March 21, 2014

Jack Warner
イギリス紙デーリー・テレグラフが、トリニダード・トバゴ出身の元FIFA副会長ジャック・ワーナー(Jack Warner 写真:上)とその家族が、2022年サッカーワールドカップ・カタール大会の招致決定後、不正の数々で既に2012年に永久活動停止処分になっているカタール出身の元アジアサッカー連盟会長、元・FIFA理事のモハマド・ビン・ハマム氏の経営する会社から約200万ドル(約2億円)を受け取っていた、と報じている。

ちなみに、日本ではほとんどロクに報道されないが、ワールドカップをめぐ贈収賄はじめ近年のFIFAの不正の大半を暴いてきたのは、イギリスのテレビメディアであり、度重なるワールドカップ招致失敗によって裏側にある「FIFAの腐敗」に気付いて不正の仕組みを全てえぐりだそうとするイギリスの憤りは凄まじいものがある。
Qatar World Cup 2022 investigation: former Fifa vice-president Jack Warner and family paid millions - Telegraph
このワーナーという人物について少し調べてみる。


ジャック・ワーナーは、FIFAの実力者のひとりとして、贈収賄、汚職、横領、チケットの横流しなど、数えきれないほどの金がらみのスキャンダルを起こしてきたといわれている人物だ。

北中米カリブ海サッカー連盟会長の職にあったワーナーは、例えば2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会では、ワールドカップのチケットをダフ屋に横流しして巨額の利益を得たとされている。(ちなみに、ワーナーによるチケット横流し疑惑がもたれている大会は、この2つだけではない)

また2010年のハイチ大地震でワーナーは、FIFAがハイチのサッカー再建のために寄付した25万ドルを横領した疑惑をもたれている。また、後述するがイングランド・フットボール協会の元会長デービッド・トリーズマンのイギリス議会証言によれば、ワーナーはイングランド・フットボール協会に対してもハイチ大地震支援と称して金銭の拠出を要求したらしい。

さらに2011年6月に行われたFIFA会長選では、ワールドカップのカタール招致においてワーナーに賄賂を渡していたとされているカタール出身のFIFA元理事、アジアサッカー連盟会長モハマド・ビン・ハマム理事が立候補していたが、ワーナーとハマムの間での買収疑惑が指摘されたために両者そろってFIFAから資格停止処分を受けたため、ハマム理事はFIFA会長選への出馬を断念、他方、ワーナーはFIFA副会長を辞任している。

Mohamed Bin Hammamカタール出身の元FIFA理事
Mohamed Bin Hammam

この2011年FIFA会長選は、結局のところ、カタールのハマム理事の出馬断念によって、それまで3選を果たしてきていたスイス出身のゼップ・ブラッターの4選で終わるわけだが、そのブラッター自身にしてからが、2006年に、IOC会長サマランチの不正疑惑を追及したことでも有名なイギリスのジャーナリスト、アンドリュー・ジェニングズによって、英国BBCの有名な調査番組 "Panorama"の中で、サッカー界から1億ポンド(約140数億円)以上の賄賂を受けとり、スイス警察から取調べを受けている、と報道されているのだから、始末が悪い。

Andrew Jenningsスコットランド出身のジャーナリスト
Andrew Jennings
ちなみに、2012年の報道によれば、ブラッター自身が「当時は違法ではなかった」と発言しており、FIFA会長としてカネを受け取ったことを追認している。
FIFAの巨額収賄疑惑、ブラッター会長「当時は違法ではなかった」|最新海外サッカーニュース|スカパー!サッカー中継



David Triesman元イングランド・ワールドカップ招致委員会委員長で、元イングランド・フットボール協会会長のデービッド・トリーズマンは、イギリスサッカー界の悲願であるワールドカップ招致をまかされた人物だが、こうしたFIFA内部の不正を知っていた事実を2010年にイギリスのマスメディアに暴露されてしまい、両方の職を辞任した。

トリーズマンは、イギリス議会下院の調査委員会における聴聞において、FIFA副会長時代のワーナーが、イングランドサッカー協会に対して、トリニダード・トバゴに学校を建設する費用を支払うよう依頼してきた、あるいは、大地震で被害をこうむったハイチにおけるワールドカップのテレビ放映料の買収のために5万ポンドを払うよう依頼してきた、などの証言を行っている。
またトリーズマンは、こうしたワーナーの不正の要求以外に、タイ出身のFIFA理事ウォラウィ・マクディ(この人物はなんと、FIFAの女子サッカー部門を仕切っている責任者だ)が、「イングランドがワールドカップ招致の票を欲しければ、英国でのテレビ放映権の一部をもらいたいと持ちかけてきた」とか、パラグアイ出身のFIFA理事ニコラス・レオスが「英国の爵位を欲しがった」とか、ブラジルサッカー連盟会長でFIFA理事のリカルド・テイシェイラが「ワールドカップ招致の票が欲しいなら、見返りとして何をくれるのか、オファーしてくれと言ってきた」などと、FIFA理事たちの「収賄体質」の数々を暴露している、という。
資料:汚職疑惑で揺れた国際サッカー連盟(FIFA) ―英メディア報道が一石投じる : 小林恭子の英国メディア・ウオッチ


2000年代のワールドカップ招致に関しては、ほぼすべての大会で膨大な贈収賄事件が存在するようだが、それだけでなく、2000年以前のFIFAの活動全体についても連綿とした汚職の歴史が指摘されている。

Havelange例えば2013年に、かねてから賄賂を受け取っていた疑いが持たれていたブラジル出身のFIFA名誉会長ジョアン・アベランジェが辞任している。
7代目FIFA会長であるアベランジェは、既に経営破綻しているFIFAの国際スポーツマーケティング会社ISLとの間で、ワールドカップのテレビ放送権を巡る贈収賄に関与していたことが、FIFA倫理委員会の調査によって明らかにされている。
だが、それだけではなく、かつてFIFA会長として長期にわたって在任していた1974年〜1998年の間にも、多くの汚職にかかわっていたことが指摘されているのである。
ちなみに、元イングランド・ワールドカップ招致委員会委員長のデービッド・トリーズマンに「ワールドカップ招致の票が欲しいなら、見返りとして何をくれるのか、オファーしてくれ」と発言し、FIFA理事を辞任した元ブラジルサッカー協会会長のリカルド・テイシェイラは、このアベランジェの娘婿にあたる。
FIFAのマーケティング会社ISLは、第7代FIFA会長アベランジェ、その娘婿テイシェイラ、パラグアイ出身のFIFA理事ニコラス・レオスに対して、1992年から2000年までの間、ずっと賄賂を払い続けていたことがわかっている。

Ricardo Teixeira元ブラジルサッカー協会会長
Ricardo Teixeira

この記事に名前を挙げた人物たちの大半は、FIFAのトップ、あるいは、アジア、北中米、南米といった、大陸レベルのサッカー連盟のトップなのだから、サッカー・ワールドカップがいかに「カネと不正にまみれた腐敗した世界」か、わかるというものだ。


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