October 08, 2014

なるほどな。
なんかおかしいとは思ってたけど、やっぱりそうなんだな。

“Our data indicates the exclusion time of two years is far too short. Even four years is too short.”
我々のデータ(=アナボリック・ステロイドによるドーピングについての調査)によれば、(そうしたドーピングに対する処罰は)2年間の資格停止では短すぎるし、それどころか、たとえ4年間でも短すぎるくらいだ。
Effects of doping could be lifelong, say scientists - Athletics Weekly

こう語ったのは、アナボリック・ステロイドの身体への長期的影響を調査したオスロ大学・生理学教授、Kristen Gunderson氏。研究チームが学会誌Journal of Physiologyに発表した内容は、イギリスの陸上競技専門誌Athletics Weekly2014年6月号でも紹介された。

Gunderson氏がなぜ「アナボリック・ステロイドのドーピング処罰は4年といわず、生涯を通じた資格停止でもいい」と強く断言するのかといえば、理由は単純明快だ。彼らのマウスを用いた研究成果によれば、アナボリック・ステロイドの影響は、生涯ずっと続く可能性が高いと考えられることがわかったからだ。
I think it is likely that effects could be lifelong or at least lasting decades in humans.

In his study, mice were exposed to anabolic steroids for two weeks, which resulted in increased muscle mass.The drug was then withdrawn for three months, a period which corresponds to approximately 15% of a mouse’s lifespan.
After the withdrawal, the mice’s muscle mass grew by 30% in six days following load exercise, while untreated mice showed insignificant muscle growth during the same period.
研究では、マウスは2週間のアナボリック・ステロイド投与を行われ、筋肉量増加がみられた。投与はその後3週間停止されたが、これはマウスの寿命の15%にあたる。
「投与停止後のマウス」に6日間エクササイズをさせてみたところ、筋肉量は30%増加したが、その一方で、同じ日数だけエクササイズさせた「未投与のマウス」には明確な筋肉量増加はみられなかった。
Could the effects of doping be lifelong? - Cycling Weekly


詳しい内容は元記事を読んでもらいたいが、正直なところ、非常にイヤなニュースだ。気分が重くなったし、むかっ腹も立つ。

それはそうだろう。
野球でいえば、たとえアナボリック・ステロイドでドーピングしたのがバレて処罰を受けても、90ゲームばかり休んで復帰してくれば、こんどはおおっぴらにホームランを量産できる、なんてことが起こりうる可能性があることが科学的にわかった、という話なのだ。腹が立たないわけがない。


MLBで近年ドーピング処罰を受けた選手が資格停止期間を終え、復帰した後の打ちっぷりを見ていて、「あれれ? こいつ、今はステロイドやれないはずなのに、またホームラン量産しだしてるな・・・。なんなの、これ?」と思った経験は、誰しもあるはずだ。


ブログ主も、ある。
というか、いつもそう思ってきた。

具体的に名前を挙げさせてもらえば、ネルソン・クルーズメルキー・カブレラライアン・ブラウン、特に、ボルチモアのネルソン・クルーズについて、「ドーピング処罰明けというのに、ずいぶんホームランを打ってるけど、なんで?」と、ずっと不可解だな、と思っていた。


同じようなことは、野球だけではない。ドーピング摘発数のやたらと多い陸上競技や、自転車のロードレースなどでも、同様の事例をいくらでも見ることができる。
とかくメディアはそういう選手に限って、「ドーピングからの復帰後、初優勝。長いブランクに負けなかった誰それ」などと、すぐに「美談」に仕立て上げたがる。だが、そんな話は美談でもなんでもないことが、このオスロ大学の研究によってようやくわかったわけだ。

STAP細胞の捏造事件じゃないが、このオスロ大学の研究が本当に正当なものかどうかは十分な検証が必要ではあるが、それでも、この調査は今まで感じてきた「なんでこうなるかね・・。なんでだよ?」というモヤモヤした部分に「ようやく辻褄のあった、合理的説明が登場してくれた」という感じがする。


もちろん困ったことに、こうした「正確な」研究結果は、ある意味「諸刃の剣」でもある。

「たとえステロイドをやって不名誉な扱いを受けても、みそぎさえ済ませれば、こんどはヒーロー扱いされる」なんて可能性があるなら、「じゃあ、若い無名のうちにステロイドやっとくほうが得だよな。やっとくか。ザマーミロ、へっへっへ。」なんて話になりかねない。(というか、残念ながら実際そういう状態になっていると思う)

たとえステロイドをやって、不名誉な「ステロイダーのレッテル」を貼られ、所属チームをクビになるとか、人に後ろ指をさされるとか、不名誉な経験を経なければならないにしても、たとえそれが2年だろうと4年だろうと、「短期の処罰期間の不名誉さえ我慢し終えれば、再び良い成績を収められる可能性がどうやらあるらしい」という話が判明しつつあるのだとしたら、困った話にならないわけがない。

「カネだけ残れば、名誉なんか捨ててもいい」などという愚劣な選手ばかりが幅をきかせる結果をまねきかねない。ステロイドをやめた後、身体にステロイド時代の影響が残ったまま打撃で好成績をあげた選手が、さも名選手のような顔をしてダグアウトでニヤニヤしながら、ふんぞり返る、なんてことばかり起こるようになったら、スポーツとしての生命は終わりだ。


ただ、うまい話ばかりでもない。

というのは、前にも書いたように、ドーピング目的のステロイド使用は、骨格に「選手生命にかかわるほどの非常に重大な悪影響」をもたらす可能性があるからだ。
関連記事:2014年3月25日、ドーピング目的のアナボリック・ステロイド常用が引き起こす大腿骨頭壊死などの「股関節の故障」について。 | Damejima's HARDBALL

いいかえると、
ステロイドのせいで、筋肉だけは人並みはずれて隆々としてマッチョなのに、その一方で、骨、特に関節はボロボロで、手術が必要なほど、もろい」という、おかしな体格の選手
が量産される可能性がある。

あえて選手名を挙げることまでしなくても、今のMLBの主力選手で、「短い数シーズンに飛び抜けた好成績を収めたクセに、その後は、『骨の故障』ばかり繰り返すようになって、やたらと『休んでは復帰』を繰り返すようになった、奇妙なキャリアをもつプレーヤー」を、すぐに5人や10人、思いつくことができる。

こうした奇妙な選手たち、実は、若いときに続けていたステロイドの影響で骨がもろくなっているのが原因かもしれないのだ。

オスロ大学がいうように「アナボリック・ステロイドの影響は生涯続く」のなら、プラスの影響ばかりではなく、「マイナスの影響も、生涯続く」可能性があると考えるのが普通だ。
だから、たとえステロイドで一時的に好成績を収めても、あとになって骨や関節に重大な悪影響が現れるかもしれないのだ。そうなると、こんどは、「骨の丈夫さを人工的に保つための薬物を、シーズン中にやたら摂取しまくっている選手」とか「オフシーズンになると骨に関連した手術ばかりしている選手」なんてのが登場するかもしれない。(てか、実際登場していると思うが)


このニュースでますますステロイダーが嫌いになった。


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