October 31, 2014

ワールドシリーズはサンフランシスコ・ジャイアンツが勝ち、21イニング1失点のマディソン・バムガーナーがシリーズMVP。終わってみれば順当な結果だ。おめでとう、バムガーナー。

第1戦の球審は案の定、バムガーナーが非常に相性の悪いJerry Mealsだったが、彼がまったく動じることなくカンザスシティ打線を抑えこんだ時点で、このワールドシリーズ、すでに「勝負あり」だった。
参考記事:2014年10月14日、ワールドシリーズ担当アンパイア7人と、両チームのエースとの相性だけからみた、2014ワールドシリーズの勝者。 | Damejima's HARDBALL


それにしても第7戦、1点差の9回裏2アウト3塁での「ヴェネズエラの悪球打ち(英語ではbad-ball hitter)魔人サルバドール・ペレス」と、サンフランシスコの怪童バムガーナーとの「悪球勝負」は面白かった(笑)


初球

ペレスが例によってアウトコース高めの「とんでもないボール球」をスイングしてきたことで、怪童同士の対決は始まった。

2014WS 第7戦 9回裏 ペレスvsバムガーナー2014ワールドシリーズ第7戦
スコア:SFG 3-2 KCR
9回裏2死3塁
打者:サルバドール・ペレス
投手:マディソン・バムガーナーSan Francisco Giants at Kansas City Royals - October 29, 2014 | MLB.com Classic

2014WS第7戦 9回裏 ペレスvsバムガーナー出典:BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool


「初球に、ペレスがアウトコース高めのとんでもないボール球を空振りしたこと」は、単なる偶然ではない。以下の彼のHot Zoneデータを見てもらうとわかる。

KCRサルバドール・ペレス 2014Hot Zone

上は「全投手、全球種のデータ」だが、これをさらに「スピードボールのみ」に絞り込んでみる。すると、こうなる。

KCRサルバドール・ペレス 2014Hot Zone/Fastball

ボールゾーンが真っ赤だ。
こんなバッター、見たことない(笑)

ストライクゾーン内部のかなりの面積が青くなっている(=ストライクを振ると凡退が多い)にもかかわらず、ゾーンの外、特にアウトコースが真っ赤に染まっている。ボール球をかなりの割合でヒットにしていることがよくわかる。バッターとしてのサルバドール・ペレスが、いかに「変態」かが、よくわかるデータだ(笑)

さらに注目してもらいたいのは、「ストライクゾーンの外側どころか、内側、さらに上下にも、青色や赤色でカラーリングされたエリアがあること」だ。
つまり、ペレスは「ボール球のスピードボールなら、インアウト、高低、まるで関係なく、容赦なく振ってくるバッター」であり、さらにいえば、「アウトコースのボール球(特にスピードボールを)をヒットにすることが、ストライクを打つことより得意な、ありえないバッター」なのだ(笑)

だからこそ、9回裏、1点差の2死3塁で、バムガーナーが初球に投げた「アウトコースのボールになるスピードボール」は、ペレスにしてみれば、「『俺のど真ん中』にキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」という意味になる(笑) よくまぁ、同点タイムリーを食らわなかったものだ。


振り返ってみると、バムガーナーはこのワールドシリーズで21イニングも投げているが、失点は第1戦で打たれたソロホームランのみ。その唯一無二の失点を喫した相手こそ、ヴェネズエラの怪人、サルバドール・ペレスだ(笑)
打ったのは「インコースのストレート」だが、データでみるとやはりストライクゾーンを「外れて」いる。MLBの球審は右打者のインコースをとらない人が多いから見逃せばボールだろうが、ペレスにとっては「ど真ん中のストライク」だったわけだ(笑)
打球はレフトスタンドにあっさり消えていった。



2014WS第1戦 ペレスHR(投手バムガーナー)2014ワールドシリーズ第1戦
ペレス ソロホームラン
投手:バムガーナー


2球目以降

香水(女性用品店Victoria's Secretのボディスプラッシュらしい)をつけてゲームに臨んでいる理由を聞かれて「球審をいい気持ちにして酔わせるためさ」なんて答えるわ、9月のデトロイトとの大事な首位決戦で帰塁せずタッチアップしてアウトになってゲームに負けるわ、WS第2戦ではSFGのリリーフ、ハンター・ストリックランドとケンカするわ、まぁ、やりたい放題な自然児がサルバドール・ペレスなのだが(笑)、そのヴェネズエラの怪人を抑えないと、サンフランシスコ・ジャイアンツは3度目のワールドシリーズ制覇にたどりつけない。

そこでバムガーナー、
何をしたか


悪球打ち魔人ペレスが振りたくなりそうな
「悪球」ばかり投げた
、のである(笑)


ペレスもペレスだが、
それを越えていくバムガーナーもバムガーナーだ。

彼も、キャッチャーのポージーも、たぶんペレスが「悪球打ちバッターであること」くらい、わかっている。わかっているなら、初球に「ボール球(=ペレスのストライク)をあえて投げなくても、「普通に、ストライクゾーン内で勝負」でもよかったはずだ。だがバムガーナーは、あえて「ペレスの大好きなボール球」を投じ続けて勝負することにしたのである。

よほど、唯一のホームランを打たれたのがしゃくにさわっていたのかもしれないが(笑)、すでに一度ボール球をホームランされているというのに、あとアウトひとつでワールドシリーズ制覇だが、ランナーが帰れば同点、延長戦突入などという緊迫した場面で、どこからそういうケタ外れの度胸、そういう奇想天外な発想が沸いて出てくるのか、まったくもって理解できない(笑)

ストライク勝負には危険性もある。ついうっかり手元が狂って球がボールゾーンにいってしまうと、「魔人ペレス・ストライクゾーン」(笑)に入りかねないからだ。
だが、だからといって、「ペレスの苦手な高めのボールゾーン」に投げたつもりが、うっかり「ペレスの大得意なアウトコースのボールゾーン」にいかないと、誰が保障できる(笑)なんせ、相手は普通の計算などまるで役に立たない「香水好き魔人」なのだ。

こんな「悪球配球」、よほどの度胸がないと続けられっこない。ストライクを投げる訓練は誰でもやるが、ボール球、それも、まちがいなく打たれるボール球にならないように気をつけながら、打たれないボール球をきわどく投げ続ける訓練など、誰もやるわけがない(笑)


マンガでしか見られないような勝負を現実の野球でやってのけ、ヴェネズエラの香水魔人すらねじふせた、"Mad Bum"、マディソン・バムガーナー。たぶんこの人なら、たとえ宇宙人と野球をやっても完封すると思う(笑)


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