November 03, 2014

オクタゴンのアラン・ニーロが代理人をつとめるジョン・マドンの電撃的なカブス監督就任に浮上している「タンパリング疑惑」について、MLBの内部動向に地球上で最も詳しいはずのFoxケン・ローゼンタールはたくさんの皮肉と溜息とともに、こんなことを書いている。彼のこういう落胆したトーンをみるのは、ライアン・ブラウンのドーピング記事以来だ。
Yeah, it’s a little dirty. Baseball is a little dirty. Life is a little dirty.(中略)
The Rays probably are right. The people bothered by Maddon’s conduct definitely are right. But while I have sympathy for both the Rays and Renteria, this is the way baseball operates. Actually, it’s the way most large businesses operate. The end justifies the means, however unseemly those means might be.
野球には少しだけ汚れた部分があり、それは人生にもあるが、これはちょっとダーティーだ。(中略)
レイズはたぶん正しい。マドンの契約で迷惑こうむった人々も、当然正しい。しかしながら、レイズと(カブスを首になった)レンテリアに同情を禁じえない一方で、これが野球の仕事というものだ、とも思う。実際それは大半のビッグビジネスのやり方でもある。達成した結果がその手段を正当化するとはいうものの、その手段とやらの見苦しさときたら。
So, does this Joe Maddon-to-Cubs deal feel icky? Deal with it | FOX Sports

奥歯にモノがはさまったような遠回しなコメントだ(苦笑)結局のところ、ローゼンタールが「アラン・ニーロのいつものやり方」を批判しているのか、ビジネスではよくある話と追認しているのか、はっきりしない。たぶん彼自身にもわからないのだろう。

だが、それより門外漢にとって大事なことは、MLB最大の事情通の彼が、この件の存在を認め、おおやけに記事にした、という事実だ。
例えば彼は「城島問題」についても、日本ではその存在すら「ないもの」とまだフタされていた時点でも、それを確証させるだけの取材も加えた上で批判記事を書いた。また、2011年にチーム内で苦しい立場に置かれて移籍すべきかどうか悩むマイケル・ヤングの本音を引き出す記事を書いたのも、ローゼンタールだ。他の記者とは情報の精度が違う。
参考記事:2008年6月17日、FOXローゼンタールは城島をオーナーだけのご贔屓捕手と皮肉った。 | Damejima's HARDBALL
参考記事:2011年2月25日、エイドリアン・ベルトレの怪我で、ますますこじれるマイケル・ヤングの移籍問題。 | Damejima's HARDBALL

つまり、ローゼンタールの日頃の情報の正確さ、速さから判断する限り、
カブス監督就任におけるジョン・マドンのタンパリングは「ほぼ存在する」、「クロと推定される」ということだ。

この件、報道しているのはなにもローゼンタールだけではない。他にも、CBS、Hardball Talk、スポーツイラストレイテッド、ESPNといった、MLBに関わるナショナル・メディアの大半がこの件について記事やツイートを書いていて、報道レンジは思ったよりはるかに広く、単なるゴシップという域を越えている。このことも、この件が「クロ」であるという推定に確かさを与える根拠だ。
Joe Maddon's agent denies tampering charges in jump from Rays to Cubs - CBSSports.com
Rays considering filing tampering charges against Cubs for Joe Maddon situation | HardballTalk
Joe Maddon hired as Chicago Cubs manager, Tampa Bay Rays may file tampering charges - MLB - SI.com
追記:MLBがカブスのタンパリング疑惑を調査 via NY Post MLB probing Cubs for tampering with Maddon | New York Post

代理人アラン・ニーロ、タンパリングとくれば、当然、2009年のダメ捕手城島と阪神の契約を思い出さないわけにはいかない。

当時オリックス監督だった元阪神監督の岡田彰布氏が、移籍先がまだ誰にも見当がつかなかった時点でいきなり「行き先を知っている」とコメントしたのには、びっくりしたものだ。
彼は「何日から話し合いになるという話じゃない。その前に話しとったんやろ!何年か前に、そんな話を聞いている。(オレも)阪神におったわけやから」と語ったが、城島の移籍先はその後「岡田発言どおりの阪神」に決まり、移籍交渉の「タイミング」自体が、タンパリングそのもの、つまり、城島の自主的なマリナーズ退団以前から交渉が行われていたことは決定的になった。
参考記事:2009年10月27日(日本時間)、まさにスポニチ「事前」報道と岡田氏の指摘どおり、城島、阪神入団決定。 | Damejima's HARDBALL

この件がタンパリングとして事件化しなかったのは、マリナーズ自身が城島退団を望んでいたためMLB機構に提訴しなかったからに過ぎない。タンパリングはルール上、元の所属球団が提訴しないかぎり、事件化に至らない。(タンパリングについての野球協約は、2008年以前と2009年以降で大きく異なる。下記のリンク先記事での解説を参照のこと)
参考記事:2009年10月27日、元阪神監督岡田氏の指摘する「城島事前交渉契約疑惑」簡単まとめ(結果:まさにスポニチの「事前」報道と岡田氏の指摘どおり、城島、阪神に入団決定) | Damejima's HARDBALL


アラン・ニーロの所属するオクタゴン(彼がベースボール部門の責任者)は、2000年代以降シアトル・マリナーズに数多くの契約選手を送りこんできた。
代表格はフェリックス・ヘルナンデスで、他に、ランディ・ジョンソンのトレードでシアトルに入団したカルロス・ギーエン (1998-2003)、城島(2006-2009)、現ヤクルトのバレンティン (2007-2009)、ズレンシックのお気に入りのフランクリン・グティエレス(2008〜)、ダグ・フィスターの安売りトレードでデトロイトに行ったデビッド・ポーリー(2010-2011)、城島の後釜捕手のひとりジョシュ・バード(2010-2011)などがいる。(近年ではハンベルト・キンテーロもオクタゴン。彼も捕手)
日本人にも契約選手が多い。「阪神関連」だけでも、城島以外に、元カブスで現阪神の福留、カブス藤川球児の後釜クローザーとして阪神に入団した小林宏之。他に現カブスの和田毅もオクタゴン。福盛、田口、建山など多数。

アラン・ニーロの、シアトル、カブス、阪神をつなぐ「不可思議なライン」には、なにやらよくわからない「繋がり」がありそうにはみえる。(そういう意味でいうと、和田毅も日本復帰後は阪神入団が「暗黙の規定路線」かもしれない)
かつてボストンのジャスティン・ペドロイア、ジョン・レスター(現在はオークランド)もかつてはオクタゴンを代理人にしていたが、理由はまったくわからないが、テオ・エプスタインがカブスに電撃的に去った後、代理人はACESに変更されている。
そういうところから、ニーロの「商売のやり方」は、代理人とチームというパブリックなものより、言いたいことはわかると思うが、ニーロとGM個人との「濃密な関係」からくるものかもしれないのだ。


いずれにせよ、タンパベイ・レイズがジョン・マドンの件をMLB機構に提訴して訴えが認められた場合、カブス側が人的補償をすることになる公算が高い。ジョン・マドンの損失にみあった「タイプAの選手」がひとり、カブスからレイズに移籍することになるだろう。


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