December 04, 2014

今シーズン、いいところまで行きながら、最後に惜しくも失速して地区3位に終わってしまったトロントだが、やり手GMアレックス・アンソポロスがいまストーブリーグの先頭を切って疾走している。
ラッセル・マーティン、ジョシュ・ドナルドソン、マルコ・エストラーダ、マイケル・ソーンダースはじめ、ウィンター・ミーティングを前にした他チームGMがうかうかしている間に、あれよあれよという間に必要な選手を揃えつつあるのである。

他のGMを出しぬくほどの猛スピードでチームづくりを進めたかったとみえるアンソポロスだが、彼が目をつけた補強ポイントのひとつは、どうやら「チームと不和を起こしている選手たち」だったようだ。


例えば、オークランドから獲得したオールスタープレーヤー、ジョシュ・ドナルドソンは、2014シーズンにちょっとした怪我をしたのだが、そのときDL入りするかしないかについて、オークランドGMビリー・ビーンとかなり揉めたようだ。
ソース例:A’s trade of Josh Donaldson is hard to figure out - SFGate
ソース例:Scott Miller's Starting 9: With Nelson Cruz, Mariners Can Win Now―and Later | Bleacher Report
トラブルがどの程度ヒートアップしたものだったかは正確にはわかっていないが、少なくとも「話し合いの場を持った」ことは両者が認めているから、少なくとも「意見の相違」があったことは間違いない。また、トロントへのトレードが決まった後にドナルドソンがTwitter上でいろいろと発言していたところをみるかぎり、簡単に解決できる軽いトラブルではなかったことも、たぶん間違いない。
MLBでのトレードで「移籍していく選手が元の所属チームを批判的にコメントすること」はほとんどない。それだけに、かつてブランドン・モローがシアトルからトロントに移籍したときに、 "I was never really allowed to develop as a starter." と言ってシアトルを痛烈に批判したことがまさにそうだった(→参考記事)ように、もし元の所属チームを批判するコメントを残すときは「よほどのことがあった」と判断できるのである。
参考記事:2009年12月22日、「投手コーチ・アデアとの打ち合わせを無視し、モローにカーブのサインを一切出さなかった城島」に関する記録。投手たち自身の「維新」による城島追放劇の舞台裏。 | Damejima's HARDBALL
参考記事:2010年6月19日、意味なくダメ捕手城島が阻害していた「カーブ」を自由に使えるようになってピッチングの幅を広げ始めたブランドン・モロー。 | Damejima's HARDBALL

ある説では、両者の話し合いの場でビリー・ビーンに激怒したドナルドソンがビーンを "Billy Boy!" と怒鳴りつけた、ともいわれているが、残念ながらこの話の真偽は定かではない。
("Billy Boy" は、なかなか母親のもとを離れられない男の子のことを歌った古いアメリカのフォークソング。転じて、おそらく「このマザコン野郎っ!」という意味の罵声として使ったと思われる)
記事例:“Billy Boy”: The Josh Donaldson trade was reportedly sparked by an argument with Billy Beane | HardballTalk



マイケル・ソーンダースはシアトルから獲得したが、こちらはGMとの間で「明らかなトラブル」を抱えていた。
Michael Saunders, agent unhappy with criticism from Jack Zduriencik | HardballTalk

今シーズンのソーンダースは出場ゲーム数が78にとどまったことでわかるように怪我がちなシーズンだったわけだが、そのことをオフになってシアトルGMジャック・ズレンシックが記者会見の場で「おまえのフィジカルの管理がなってないからダメなんだ」と、名指しで批判したことで、両者の関係はこじれた。
トロント移籍が明らかになる前、ソーンダースは代理人を変えている。これを「ズレンシックとの関係修復のきざし」と甘ったるい見方をしたアメリカメディアもあったが、ブログ主は「移籍に備えた準備」としか思っていなかった。

ソーンダースのケースについて言うと、たとえ選手が怪我をして休もうと「GMがそれを批判する」などという馬鹿げた行為が行われることは、MLBではありえない。選手は怪我したくて怪我するわけではない。言うまでもない。

ちなみに、かつてシアトルにいたGMズレンシックのお気に入りの遊撃手ジャック・ウィルソンが「風呂場でこけて怪我して、シーズンを棒にふった」という馬鹿すぎる事件を起こしたことがある。そのときズレンシックは公式の場で馬鹿すぎる怪我をした選手をなじるようなことはしなかった。
「ズレンシックが獲ってきた選手たち」は、過去に例えば「試合中なのに、自分の判断で自宅に帰ってしまう」とか、「バントを命じられたのに、意図的に拒否した」とか、「あまりにも成績が悪くてベンチに下げられて、監督を怒鳴つけた」とか、常識外れな事件を多々起こしてきているが、そのことをチームが公式に批判したという話を聞いたことがない。

そのくせ、ソーンダースのDL入りにはケチをつけた挙句に放出するのだから、意味がわからない。

ズレンシックが就任以来、イチローも含めて、「自分の就任前からチームにいた選手」をそれこそ片っ端から放出し続けてきたことは、シアトルにちょっと関心のあるMLBファンなら誰でも知っている事実だ。
そしてもちろん、2004年ドラフトでシアトルに入団しているソーンダースは、その「2009年のズレンシックGM就任前からシアトルにいた選手」である。
だから、いつかソーンダースが放出される日が来ることは、かなり前からわかっていた。たぶん、ズレンシックは無理に理由をつけてでも、ソーンダースをチームから放り出せる日を待っていたに違いない。
だが、「怪我を口実に関係をこじれさせて放出」などという歪んだ行為は、マトモな野球人のすべきことではない。


まぁともかく、シアトル脱出おめでとう、ソーンダース。カナダ出身の彼ならトロントでスタンディング・オベーションで迎えられることだろう。

選手が主役になるのが本来の「野球」というものだ。
勘違いしている人間が非常に増えているようだが、
ファンが見たいのは、「チーム」や「選手」が勝つ姿であって、
「GMが勝つ」のを見たいわけではない。

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