December 12, 2014

ビリー・ビーンとその関連の人物たち、サンディ・アルダーソンポール・デポテスタJ.P.リッチアーディーファハーン・ザイディの「GM遍歴図」を作ってみた。

黄色のセルは「そのチームがポストシーズンに進出できた年」を示している。1990年代末以降、ビリー・ビーンから次々と独立し、さまざまなチームのGMに就任した「ビーンの手下たち」が、今はメッツでサンディ・アルダーソンのもとにふきだまっていることが、よくわかるように図にしたつもりだ(笑)
よくは知らないが、「野球の秀才たち」が大集結したのだ、きっとメッツはこの数年、ポストシーズンに出まくってきたどころか、何度もワールドシリーズを制覇して黄金時代を過ごしているに違いない。

さすがビリー・ビーン。人を見る目も天才級だ。

ビリー・ビーン一派のGM遍歴

これを作りながらつくづく考えさせられたことは、彼らはつまるところ、
「経営コンサルタント」であって、「経営者」そのものではない
ということだ。


では、「経営者と経営コンサルタントの違い」とは何だろう。

「この問いに『言葉』で答えられないのが経営者というものであり、スラスラ即答しやがるのが、経営コンサルタントだ」とも思うが(笑)、それはさておき、少なくとも言えることは、「もしも美容師の仕事がボサボサに伸びきった髪を無造作にカットするだけなら、それは『誰でもできる仕事をしている』に過ぎない」ということだ。


投資ファンドであれ、経営コンサルタントであれ、経営に行き詰まった企業に入り込んだ人間なら誰でもまず手をつけるのは、「不採算部門の整理」だ。

それくらいのことは、誰でも思いつく。
では、その「誰でも思いつくようなこと」を、なぜ「既存の組織や、既存の管理者」には「できない」のか。問題はそこにある。
硬直した組織の場合、組織の構成と管理者の脳が「硬直化」していて身動きがとれない。組織の立て直しが最初の目標なら、従来のしがらみにとらわれた人間には改善できないのだ。だから「外部」から人を呼ぶ。

「外から人を入れる意味」は案外、再建のための商売上のアイデアにあるのではなくて、単純に「しがらみのない外部の人間だからこそ、大胆な手術がやりやすい」という、たったそれだけの点にある。だから、経営コンサルタントが言う提言の多くが、実は「内部の誰もが、いつかやらなきゃな、と思っていたことばかり」だったりすることがある。
「やらなきゃとわかっていても、できない」ことは、オトナにもある。それを実行に移させるためには、外部から言ったほうが、効果があるのだ。「江戸幕府と黒船の関係」と同じ理屈だ。


外部の経営コンサルタントが最初にやることは、「雑草が伸び放題のまま、ほったらかしになっていた森」で、「無駄な枝葉や雑草を刈りまくる」ことだ。この「草刈りの時期」は、コンサルタント導入の「成果」が視覚的に見えやすい。伸び放題だった背の高い雑草を刈り取っていればいいのだから、成果が見えやすくて当然なのだ。
一般企業でいう「不採算部門のカット」は、野球チームの場合、そのほとんどが「不要な選手の削減」を意味するわけだが、新しいGMがそれに着手したからといって、それを別に「経営の天才」と呼ぶ必要もなければ、「褒めちぎるような手並みの良さ」でもない。やって当たり前のことをやっている、ただそれだけのことだ。


だが、しばらくすると、チームの改良は目にみえて止まる。
なぜなら、「雑草を刈りとる時期」なんてものはすぐに終わるからだ。

すぐにやってくるのは、「チームをつくる時期」だ。
何を目指して、どこを、どうやって成長させ、その結果、何を、誰に売って食っていくのか。何に再投資していくのか。それは、「その組織が何を新しく目指すのか、そのビジョンと方法を、社会と投資家に示す行為」である。
そして「草刈りがうまいだけの人間が失敗を犯す」のは、決まって、この「チームづくりの時期」だ


あらためて、
「経営者と経営コンサルタントの違い」とは何だろう。

「草刈りがうまいだけ」なら、経営コンサルタントにすぎない。

だが「経営者」は、海に出て巨大マグロをとってくるとか、畑で何か作るとか、森を育てるとか、少なくとも「なにかを生産し、利益を生み出す立場」でいなくてはならない。欲をいうなら、消費者(ファン)に愛される立場にまで到達できたなら、もっといい。


バーノン・ウェルズ、アレックス・リオスはじめ、さんざん大型契約に失敗した挙句に、トロントGMを2009年に首になったJ.P.リッチアーディがこんなことを言っている。彼がいわんとしたことは「トロントには予算がない。だから、常に予算を潤沢に持っているヤンキース、レッドソックスがいるア・リーグ東地区で優勝しようだなんて、どだい無理なことだ。誰がGMやったって、俺と同じ問題に直面するだけの話さ」ということだった。
But until those two factors change, the next guy sitting in this role, whether that’s five years from now or 10 years from now, is going to be faced with the same problem: How do you get by the Red Sox and the Yankees?”
Ricciardi Says His Successors Will Face Same Challenges He Has In AL East | CityNews

後になってこんなこと言うくらいなら、最初から引き受けるべきじゃない。リッチアーディは「金がないから勝てない」なんてことを言い出せばマネーボールの名が泣くとは思わなかったのか。
そもそもトロントは、「たとえボストンやヤンキースのような額の予算がとれないチームであっても、ビリー・ビーンの手下ならなんとかしてくれるに違いない」という期待感からリッチアーディーにGMを任せたというのに、当の本人は失敗した後になってわけのわからない言い訳に終始したのだから、無責任きわまりない。


ビリー・ビーン自身とその手下のGM経験者たちが、お得意の数字とやらをあやつって得点力を上昇させて得失点差を改善し、「強いチーム」をつくりあげ、さらには「地域のファンに愛されるチーム」になったとでもいうのならともかく、強いチームになるでもなく、まして、地域のファンにも愛されないなら、彼らの仕事は、雑草が伸びて始末におえないときにだけオーダーするのが適任の「草刈り業者」でしかない。


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