February 04, 2015

国際サッカー連盟と契約のある世界的な八百長監視機関が日本サッカー連盟に活動自粛を警告していたにもかかわらず、活動を続けてきたサッカー日本代表監督ハビエル・アギーレがスペインでの八百長関与疑惑で解任されたわけだが、彼の八百長関与が取り沙汰されているゲームは、「2011年」のスペイン1部リーグ最終節、レバンテ対サラゴサ戦で、この「2011年」という部分にちょっとした意味がある。

というのは、この「2011年」という年が、下記に示す大量の事例でわかるとおり、「サッカーに蔓延し続けている八百長事案が大量に摘発されたり、裁判が始まったりした、サッカー八百長摘発元年」ともいえる年だったからだ。
アギーレ八百長関与疑惑の概要:
2011年当時、アギーレ率いるスペイン1部リーグのサラゴサは2部降格危機にあったが、最終節で(レバンテに2―1で勝ち、1部残留を決めた。(「降格危機チームがリーグ最終節の奇跡的な勝利で危機をのがれる」なんてのは、サッカーの典型的な八百長パターンのひとつ)
報道によれば、試合前までに、サラゴサ会長、アギーレ監督、選手に、総額96万5000ユーロ(約1億2900万円)にのぼる不自然な金銭のやりとりがあり、スペイン検察はアギーレの銀行口座においても「計8万5000ユーロの振り込み」があった後「引き出された」という口座記録を確認している模様。事件の告発状は既に裁判所に受理され、40人以上が告発されている。

もし、仮に野球のWBC監督が在任中に八百長事件で捕まったら、世間はどう思うか。そういう風にちょっと考えればわかることなわけだが、日本代表監督が八百長事件にからんだ可能性があるとして在任中に辞任させられる、なんてことは、間違いなく「事件」そのものなのだが、さっぱり自覚のない人が大勢いる。

それどころか、不思議なことに、「2011年という年が『サッカー八百長大量摘発イヤー』だった事実」、あるいは、2013年にユーロポール(欧州警察機構)が、ワールドカップ予選や欧州チャンピオンズリーグなどを含め、大小680試合ものゲームに八百長疑惑があり、15カ国425人が関わっていると指摘したこと、これらの事実をきちんと念頭に置いて、世界のサッカーが既に八百長まみれであることを、今回のアギーレ辞任騒動にきちんと関連づけて解説した日本のスポーツメディアを(下記の産経のようなごく一部の例外を除いて)ほとんど見ないのである。


ナショナルチームの現役代表監督が八百長で訴訟を起こされて辞任なんてことが起こる原因は、ランス・アームストロング事件が明らかになっても何も変わらない自転車業界や、リタ・ジェプトゥーの資格停止などケニアのドーピング・スキャンダルをあえて看過してこれまで通りの通常営業を続けようとしている世界のマラソン業界などもそうであるように、それでなくても低下しつつあるサッカー人気が不祥事によってさらに低下するのを心底おそれる日本サッカー協会とメディアが、サッカーに蔓延し続ける賄賂、ドーピング、八百長といった不正の数々にあえて目をつぶったまま、ポジティブなニュースのみを扱い続けようと故意にやってきたところに、そもそもの問題があった。

サッカー界で近年発覚した主な八百長事件
(以下2011年発生事例赤字で示す)

中国 33人が永久追放、協会幹部も重い懲役刑
2002年日韓ワールドカップでもレフェリーを務めるなど、中国サッカーにおける第一人者といわれていた有名レフェリー、陸俊(ルー・ジュン)を含む4人が、収賄などで禁固刑実刑判決を受けた。
ルー・ジュン審判員は、1999年〜2003年の複数の試合で、一方のチームにのみ有利な審判をした見返りに、計81万元(日本円で約1000万円相当)の賄賂を受け取っていた。ルー審判員は収賄で禁錮5年6月と10万元の個人財産没収、他の3人は3年6月から7年の禁錮刑。
こうした賄賂事件には、同国トップリーグ「サッカー・スーパーリーグ(中国超級聯賽)」に所属する「上海申花(Shanghai Shenhua/上海申花聨盛足球倶楽部)」を含む複数のクラブが関係したといわれ、2013年に中国サッカー協会は、33名を永久追放、25人を5年間の資格停止するとともに、上海申花の2003年のリーグ優勝の剥奪と100万元の罰金、2013シーズンのリーグ戦での勝ち点マイナス6からのスタートとしたほか、合計12ものクラブを処分した。

サッカーの闇賭博が横行している中国では、当局が2009年から摘発に乗り出し、2年もの長期捜査によって複数のサッカー協会幹部を含むクラブ首脳から、監督・選手に至るまで、50名以上の逮捕者を出し、2011年12月から逮捕者の裁判が開始された。
サッカー協会幹部がらみの裁判では、2012年に相次いで厳罰が言い渡されており、元・中国サッカー協会審判員委員会主任、張建強が懲役12年、元・同協会副会長、楊一民が懲役10年6カ月、元サッカー協会副会長で国家体育総局サッカー管理センター主任の南勇が懲役10年6カ月などとなった。
 
韓国 41人が永久追放、韓国選手10人に1人が八百長に関与
2011年7月に元代表選手を含む50数人にも及ぶ元・現プロサッカー選手が、サッカーくじを悪用した八百長に関与したとして起訴。この「50数人」という人数は、外国人を除くと約600人が所属している韓国Kリーグ所属プロ選手の「ほぼ1割」。「選手約10人に1人が八百長に関与した」計算になる。
同国検察は、2010年6月〜2011年4月の21試合について、選手が故意に試合に負けて金銭を受け取った事実を確認したとし、複数の代表経験者を含め、国内リーグの看板スターまでもが買収や脅迫によって八百長にかかわったことが判明。2013年1月に国際サッカー連盟は、Kリーグ41人の選手を永久追放した。
Kリーグ八百長事件 - Wikipedia

2002年ワールドカップ韓国対イタリア戦の疑惑の審判
エクアドル人のバイロン・モレノ

モレノは、八百長試合が確実視されている2002年W杯の韓国対イタリア戦で、イタリアのトッティに2枚のイエローカードを出して退場させ、延長戦でもイタリア起死回生のゴールを「オフサイド」と判定し、イタリア人の激怒をかったことで超有名なエクアドル人審判。
同2002年エクアドル1部リーグのLDUキト対バルセロナSC戦の後半ロスタイムにホームチームが同点にするまで延々と笛を吹かず、異常に長いロスタイムをとった件で、20試合の資格停止。さらに資格停止から復帰直後の3試合目、こんどは同国リーグ第13節クエンカ対キト戦で主審としてアウェイの選手にばかり3人にレッドカードを出して、モレノは1試合の出場停止処分となって、直後に審判を引退した。
なお引退後のモレノは2010年9月にニューヨーク・ケネディ国際空港でヘロイン大量所持容疑で逮捕され、懲役30ヵ月の刑で服役。2012年12月にエクアドルに強制送還されている。

アルゼンチン人監督エクトル・クーペルの関与した
アルゼンチンとスペインでの八百長

アルゼンチン人監督エクトル・クーペルはかつてスペインのバレンシア(1999〜)、イタリアのインテル(2001〜)、スペインのマジョルカ(2004〜)などの監督を歴任した人物だが、2012年1月イタリア検察当局の取り調べに対して、アルゼンチンとスペインのリーグ戦2試合ずつ、合計4試合での八百長関与と、イタリア・ナポリのマフィアから20万ユーロを受け取ったことを認めた。

イタリア 八百長が恒例行事のセリエA
2010年ナポリ対サンプドリア戦での八百長で、ナポリ主将DFパオロ・カンナヴァーロ、DFジャンルカ・グラーヴァに6カ月の出場停止処分、GKマッテオ・ジャネッロに3年3カ月の出場停止が言い渡され、ナポリに勝ち点2剥奪と7万ユーロの罰金が科された。この八百長試合の結果、サンプドリアはチャンピオンズリーグ予選出場権を手にした。
2011年8月には、かつてアタランタ主将だった元イタリア代表クリスティアーノ・ドニが、アタランタ所属時の八百長で逮捕。3年半の資格停止処分になり、アタランタにも勝ち点マイナス6の処分が下された。同選手は主にイタリア・セリエAに所属した選手だが、2005-2006シーズンには八百長事件関与を認めたアルゼンチン人監督エクトル・クーペルが監督をつとめていた時代のスペイン1部リーグ・マジョルカに所属していた。
2012年04月には、DFアンドレア・マジエッロが八百長でイタリアの捜査当局に逮捕。同選手はASバーリに所属していた2011年に、対レッチェ戦(2-0でレッチェ勝利)で故意にオウンゴールを行ったことで報酬18万ユーロを受けとったと供述した。
(ちなみに、深刻な財政難に悩むセリエAは、2016年からチーム数と選手数の縮小に踏み切る予定で、1部リーグは20チームから18チームに縮小される)

トルコ フェネルバフチェなどの処罰
イスタンブール警察が行った大規模な八百長捜査で30人以上が逮捕。その中には、トルコの最有力チーム、フェネルバフチェの会長、有力チームのひとつトラブゾンスポルの副会長や、ウミト・カランら現役3選手が含まれ、他にも解説者も含めた関係者多数が取り調べを受けた。
現地報道では、「2008年から2010年までのリーグ戦の少なくとも17試合」で八百長が行われていたと報道。フェネルバフチェとベジクタシュによるスーパーカップがキャンセルとなり、またリーグ戦開幕が1カ月延期となった。また、フェネルバフチェはチャンピオンズリーグへの出場停止処分を受けた。

トルコでの国際試合2試合における
審判6名(ボスニア人、ハンガリー人)の永久追放

2011年にトルコで行われた、エストニア対ブルガリア、ラトビア対ボリビアの2試合の国際親善試合は、ゴールすべてがペナルティーキックによるという疑惑だらけの試合だったが、国際サッカー連盟の調査の結果、ボスニア人審判シニシャ・ズルニッチら3名と、ハンガリー人審判クリスティアン・セレメツジら3名、計6名のレフェリーが永久追放になった。

ベルギー ポール・ピュトの証言
2013年に川島永嗣が所属していたベルギー・リールセの元監督ポール・ピュト氏がフランス・フットボール紙に「ベルギーで八百長を強要された」と証言。同氏は2005年にベルギーで発覚した八百長問題に関わったとして一時永久追放処分を受けた経験があり、後に控訴審を経て3年に減刑された経験をもつ。

ドイツの「ブンデスリーガ・スキャンダル」
ドイツ2部リーグ審判ロベルト・ホイツァーが大規模な八百長への関与を自供したことがきっかけで明るみになったスキャンダル。クロアチアの犯罪組織につながるギャンブルビジネス関係者が裏で糸を引いていたといわれ、2004年に行われた13試合が八百長の対象となった。ホイツァーはじめ、Dominik Marks、Torsten Koopなどの審判と、ヘルタ・ベルリンの3選手、賭けを行うカフェの関係者などが処分され、ホイツァー自身にも永久追放と懲役2年5カ月間が言い渡された。
Bundesliga scandal (2005) - Wikipedia, the free encyclopedia

赤道ギニア アフリカネーションズ・カップ
アフリカネーションズ・カップ準々決勝で、ホスト国の赤道ギニアがチュニジアと対戦し、1点ビハインドで迎えた試合終了間際の後半アディショナルタイムに赤道ギニアが得たPKによって延長に突入、延長で赤道ギニアがさらに追加点を挙げ勝利した事件。
アフリカサッカー連盟(CAF)は赤道ギニアに不審な勝利をもたらしたモーリタニア人主審ラジンドラパルサド・シーカーンに6か月の活動停止を言い渡し、アフリカサッカー連盟におけるトップレフェリーの地位を剥奪。同審判は国際試合で笛を吹けなくなった。

ガーナ 2004年アテネ五輪の対日本戦
ジャーナリスト、デクラン・ヒル氏の著書『黒いワールドカップ』で明かされた2004年アテネ五輪のガーナ対日本戦の事件。日本戦を前にガーナは2試合を終え2位で予選勝ち抜けに有利な状況にあり、加えて最終節は既に予選敗退が決まり消化試合となっている日本との試合だった。当然、賭けのオッズは「ガーナ勝利」、「ガーナ勝ち抜け」に傾いたが、実際の試合は1-0で日本勝利に終わり、ガーナは総得点でイタリアを上回れずに3位に転落、予選敗退した。この八百長事件に日本側は関与しなかったが、ガーナ代表主将のスティーヴン・アッピアーが大会中に八百長フィクサーから金銭を受け取ったことを認めているという。

南アフリカ W杯前の親善試合
2012年12月、南アフリカサッカー協会会長カーステン・ネマタンダニ、同協会CEOデニス・マンブルを含む5名が八百長に関与したとして逮捕。2010年ワールドカップ前の数週間に南アフリカチームが行った国際親善試合(タイ、ブルガリア、コロンビア、グアテマラ)において、アジアの八百長関係者の利益となるよう、試合結果を操作した可能性があるとされた。(タイ戦は4-0、グアテマラ戦は5-0、コロンビア戦は2-1でそれぞれ勝利、ブルガリア戦は1-1で引き分け)
この事件が発覚したのは、フィンランドでの八百長事件で有罪判決を受けたシンガポール国籍のインド系住民ウィルソン・ラジ・ペルマル容疑者がFootball 4U Internationalという名義の会社を舞台に起こしていた八百長事件の数々をFIFAが精査する中で、同容疑者が2010年5月にワールドカップ直前の南アフリカで行われた南アフリカ対コロンビア戦でニジェール人審判を買収した八百長事件に、南アフリカサッカー協会の関与が判明したことによるもの。

産経WESTが以下の記事で羅列した
フィンランドギリシア等の八百長
【サッカーなんでやねん】中国系実業家も暗躍する八百長シンジケート…アギーレ疑惑は序の口、世界サッカー包む深い闇(1/3ページ) - 産経WEST
フィンランド アジア系黒幕の逮捕
同国ゴシップ紙が、2005年にフィンランド国内リーグのクラブの株式を取得したアジア系実業家が黒幕となって行われた2007年の八百長で、同国選手が故意に負けて1万ユーロを受領したと認めるインタビューを掲載。2011年には国際的な八百長シンジケートの黒幕の一人として、シンガポール国籍のウィルソン・ラジ・ペルマル容疑者が逮捕され有罪となり、他にも選手9人がトレーニング中に拘束される事態に発展した。
ギリシア オーナーによる脅迫と買収
国内クラブのオーナーが脅迫や買収の罪で告発され、2013年に4年6カ月の実刑判決。

同記事は他にイングランドハンガリーでの八百長事件を指摘。

ユーロポールが2013年に指摘した
ヨーロッパ・サッカーにおける八百長


ヨーロッパ全域で行われた380試合と、南米やアフリカで行われた約300試合、合計680試合が捜査対象。八百長疑惑がもたれている試合の中には、ワールドカップの予選(アフリカ2試合、南米1試合)と、欧州チャンピオンズリーグ関連の試合が含まれており、ヨーロッパでの380試合は15カ国425人の選手・審判が関与したとみられている。

UEFA関連の試合で八百長疑惑をかけられたのは2試合。うち1試合は過去3〜4年以内にイギリスで開催された試合らしいともいわれたが、詳細は判明していない。一部報道では、ハンガリーのブダペシュト・ホンヴェードが、UEFAヨーロッパリーグ予選のフェネルバフチェ(トルコ)との試合で八百長を行った疑いを持たれているとの報道もあった。また、ヨーロッパの380試合のうち、79試合がトルコ、70試合がドイツ、41試合はスイスで行われたという説があるが、これも定かではない。

ユーロポールの会見によれば、1年半にわたるかつてない規模の八百長捜査が行われ、「シンガポールに拠点を置く犯罪組織による組織的犯罪」との見方が示された。その犯罪組織は、八百長によって推定800万ユーロもの利益を上げ、また選手などに報酬が賄賂として支払われたと報道されており、賄賂最高額はオーストリアで支払われた14万ユーロとみられている。


「八百長が行われやすい試合」、というのは、サッカーというスポーツのシステム上、確実にある
なぜなら、現状のサッカーのシステムそのものが「そういう風にできている」からだ。そして、厳しく言わせてもらえば、サッカー界はその「システムそのものの欠陥に原因があることがわかりきっている腐敗」を、システムの変更という形で改善してはこなかった。だから、現在の八百長の蔓延は、サッカー界の隅々にまではびこる不正の数々をこれまでずっと見過ごし続けてきた歴史がまねいた結果だ。

「八百長が起こりやすい試合」は、パターンがはっきりしている。

最も多いのは、その試合の勝利が「クラブの収入を左右する試合」での八百長だ。
例えば「1部リーグに残れるかどうかが決まる試合や、「チャンピオンズリーグに出られるかどうかが決まる試合」がそれにあたる。(前者の例が、アギーレが関与したといわれている2011年スペイン1部リーグ最終節レバンテ対サラゴサ戦。後者の例:2010年セリエA ナポリ対サンプドリア戦)
元アルゼンチン代表MFマティアス・アルメイダが「セリエAのリーグ優勝がかかった2001年パルマ対ローマ戦で、パルマはわざとローマに負けてやり、ローマが優勝した」と証言しているように、「リーグ優勝が決まる試合」ももちろん例外ではない。
サッカーではシステム上、1部リーグに残留するかどうか、あるいは、チャンピオンズリーグに出られるかどうかで、「クラブの収入」がとてつもなく違ってくる。だから、こうしたケースでの八百長は、「クラブ主導」で行われる。
このケースの中でも、とりわけ八百長が多発するのは「1部リーグ陥落のかかった試合」だ。特に、対戦カードの負けてもらう側のクラブが「すでに降格が決まっている」あるいは「すでに残留が決まっている」ケースなら、なおさら八百長が行われやすい。「すでに降格や残留が決まっているチーム」には負けてやることになんのデメリットもないのだから、八百長が成立しやすいのも当然だ。

2つ目のケースは、国際親善試合だ。
「親善試合はガチの試合じゃないんだし、八百長など必要ないだろう」と思うかもしれないが、それは甘い。
スポンサー頼みのビジネスモデルしか成り立たないサッカーという世界では、「あっという間に結果が出て終わってしまう本番での勝ち負けよりも、むしろ親善試合でこそ、いいところを見せておいて、本番に向けた期待感を煽り続け、スポンサーやファンの関心を長期にわたって維持しておくこと」のほうが、はるかに重要なのだ。説明するまでもない。だからこそ日本代表だって、「弱い外国のチームとやたらと親善試合をやって、大勝するところばかり世間に見せつけたがる」のである。
だから、このケースでの八百長は、多くが「ホスト国のサッカー協会主導」で行われる。

3つ目のケースは、サッカー特有の「賭け」にまつわるケースだ。
これは上に書いたフィンランドや南アフリカ、ドイツの例をみればわかるとおり、賭けに深くかかわる「アンダーワールドの人物」が主導して審判や選手を買収し、試合結果を左右する。


このように、不正がおこりやすい試合には「特定のパターン」がある。
だから、アギーレのような「未知の人物」を監督に採用する場合の「不正関与の有無」を吟味する調査の方法論は、まずは監督キャリアにおいて「リーグ降格をかろうじてまぬがれた『きわどい経験』」、あるいは、「リーグ降格をかろうじてまぬがれたチームが奇跡的に残留を決めた試合で、対戦相手の監督をした経験」の有無を調べ、そうした経験が無ければ次の調査に向かい、もしあるなら、その試合の得点経緯がどのくらい信頼に足るものであるか、ビデオでも見て検討してみるだけのことだ。もちろん、「チャンピオンズリーグに進出することが決まったゲーム」「リーグ優勝が決まったゲーム」などについても調査対象にすべきだろう。

このくらいのこと、誰だって思いつくし、時間もかからない。

しかし、日本サッカー協会はそんな単純なことすらやらなかった。(スペインリーグにいたアギーレを選んだ責任者はおそらく、スペイン通の原博実だろう)
それが単純に人を信用しすぎた結果なのか、もっと深刻な意味があるのかは別にして、あれだけ賄賂とドーピングと八百長にまみれたスポーツだというのに、サッカー協会も取り巻きメディアも、サッカーの「汚れぶり」にまったく自覚がないかのようにふるまっているのには困ったものだ。

2011年にあれだけの数の八百長が指摘され、さらに2013年にはユーロポールにサッカーにおける大規模な八百長の存在を指摘されたにもかかわらず、一切マトモには報道してこなかった日本のスポーツメディアにも多くの責任がある。
彼らはそもそも、度重なる大規模ドーピングスキャンダルに業を煮やしたヨーロッパで、スポーツをめぐる刑罰(八百長だけでなく、ドーピングも含む)が、多くの国(例えばドイツ、オーストリア、スペイン、イタリア等)で「刑事罰」として重罪化されつつあったこと自体を知らなかったし、知ってからも他人事のように軽視し続けてきた。
もともとスポーツメディアが「スキャンダルを大規模報道しないまま看過して、故意に風化させようとするケース」はけして少なくないわけだが(例:近年のヨーロッパにおける大規模なドーピングスキャンダルの大半、最近の英国競馬・オーストラリア競馬等における大規模ドーピングの発覚、ロシア、ケニアなどの陸上競技における集団的・組織的なドーピングなど多数)、それにしたって、いくらなんでも無自覚すぎる。

FIFAからのスポンサー離れ、世界的に深刻なサッカークラブの財政難、サッカー大国といわれてきたブラジルでのサッカーの不人気ぶり、Jリーグ人気の壊滅などを見ても、まだ、ワールドカップ誘致の際の贈収賄も含め十数年発覚し続けてきた数々の不正(賄賂、ドーピング、八百長)を看過しても大丈夫だ、世界的な人気スポーツだから問題ない、などと寝言を言い続け、やることといったら、「次の代表監督が誰なのか」ばかりで、問題点も責任も、誰も指摘しないのだから、これではスポーツ・ジャーナリズムなんてものはサッカーには存在しないと断定されてもしかたがない。当然だろう。


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