February 26, 2015

なぜNY Postが、マイアミに移籍して、もうヤンキースとはなんの関係もないイチローの名前を使って「ひどく遠回しなジラルディ批評記事」を書きたがるのか知らないが、「まったく季節はずれ」な記事を書いている。

Why Ichiro is glad to be a Marlin ― and away from Joe Girardi | New York Post
「マーリンズ入りしたイチローが、ジョー・ジラルディから離れたことを喜んでいる理由」


くだらないにも程がある。
「もうチームにいない選手の名前を借りて、遠回しにチーム批評する」なんてチキンなことをする暇があるなら、NY Postはヤンキースがなぜ、ヒューズ、ロバートソン、フェルプスといった「まだ十分に戦力になるのがわかりきっている生え抜き投手陣」の『流出』を未然に防げなかったのかという記事でも書くほうが、よほど「自分たちに直接かかわるストレートな問題提起」になるだろう。

NY Postは今からでも遅くないから、フィル・ヒューズのところに行って「ヤンキース在籍時に能力が思うように発揮できなかったのは、なぜだと思うか」と質問し、ロバートソンフェルプスに「なぜヤンキースに残る気にならなかったのか」をインタビューしてこい、と言いたい。
ついでに言えば、ロビンソン・カノーに「今のヤンキースの低空飛行ぶりを外からどう見ているか」、さらには、ブランドン・マッカーシーショーン・ケリーに「なぜヤンキースから他チームに乗り換えたのか」と聞いてくるといい。
関連記事:2014年9月21日、フィル・ヒューズ自身が語る「フルカウントで3割打たれ、26四球を与えていたダメ投手が、被打率.143、10与四球のエースに変身できた理由」と、ラリー・ロスチャイルドの無能さ。 | Damejima's HARDBALL

ともかくNY Postは、イチローの名前を勝手に使って、遠回しなチーム批評に「利用」するような「卑しい行為」は心して慎むべきだ。


それにしてもNY Postは、イチローがジラルディから離れてハッピーになれたことに、「今ごろ気付いた」のだろうか? ブログ主に言わせれば、ヤンキースがもっと前にトレードしてくれればイチローは今よりもっとハッピーだったのにと言いたいところだが(笑)、いずれにしてもニューヨークメディアは気づくのが遅すぎるし、しかも、書いていることが的外れだ。

上の記事でNY Postの記者が「ヤンキース時代にイチローがジョー・ジラルディから受けた酷い扱い」の例として挙げているのは、例えばこんなケースだというんだから、笑える。
Ichiro collected his 3,999th hit of his combined career on Aug. 20, 2013, at Yankee Stadium in the first game of a doubleheader against the Blue Jays.
Ichiro was hoping to play in that second game to reach the milestone and get the moment out of the way, but was only used as a pinch runner in that game.
2013年8月20日、ヤンキースタジアムでのダブルヘッダーの第1試合で日米通算3999安打に達していたイチローは、第2試合出場でマイルストーンへの到達(=4000安打達成)を望んでいたが、実際には代走出場のみに終わった。

まったく三流メディアはいい加減なことを書くものだ。

ブログ主の知る限り、「イチローが会見など公の場で、『日米通算という形での記録』を自分が重視していると発言したり、そういう風にふるまった」などという話は聞いたことがない。
むしろ彼は、「日米通算という形での記録」についてはずっと意図的に感情を押し殺し、注意深く言葉を選んで発言して、評価を避けてきたはずだ。
ブログ注:もちろんブログ主自身の「日米通算についての考え」はイチロー自身とは違う。天才イチロー限定だが、彼の場合に限っては、たとえそれが「日米通算」であろうとなんだろうと、十分意味のある「記録」だと思っている。
そして、以下に引用するNHKの番組でイチローが「負け試合で、新人の後に代打に出されて味わった痛恨の体験」について語ったコメントを読めばわかることだが、イチロー自身だって自分の内部では日米通算4000安打という記録にまったく何の価値も見出していないわけではない、のである。

だが、NY Postの記事だけを読むと、あたかも「イチローが表立って『日米通算記録にこだわって』、第2試合出場を強く望んだかのように」書かれている。

おいおい、おいおい。
推測で勝手にモノを書くんじゃねぇよ。


例えば、イチロー自身がNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組に「4000安打達成の10日後の「代打」の屈辱」について語った例があるように、「イチロー自身が自分の言葉で語った、ヤンキースにおける酷い扱いの例」というのは、ちゃんと「ソース」が存在する。
だからNY Postは、曖昧に言葉を濁した情報源だの記者の憶測だのを元に記事を書かず、イチロー本人のコメントを引用しておけば、それが最も確実なのに、それをしないから物事おかしくなる。
「(4000安打達成の)10日後には9対1で勝っている場面で代打にいってるんですよ。悪い言い方すると屈辱。先発のメンバーは下がってる。10日前に4000本を打った僕が代打で出てる。試合決まってますから。僕の前に代打で出た選手はメジャーで1本もヒットを打ったことがないルーキー。このことっていうのは、僕の中で一生忘れない。忘れてはいけないこと。悔しかったんですよね。ライトフライで終わったんですけど。違う意味で今までで一番結果を出したかった打席だったんですよね。」
イチロー語った一生忘れない屈辱 - ライブドアニュース

ブログ主が覚えている限りでも、「ジョー・ジラルディのイチローに対する不合理きわまりない扱い」は、多々挙げることができる。(もちろん自分が観戦してないゲームでも少なからずあったに違いない

例えば、ジョー・ジラルディは、左投手先発ゲームで「左投手をまったく苦にしないで打てるイチロー」をけして先発させようとしなかった。このことも、ここでいう「酷い扱い」のひとつであり、ジラルディはイチローが長年お得意様にしてきたマーク・バーリー登板ゲームですら、先発させなかった。

また、シーズン打率.280以上を記録したイチローをベンチに座らせたまま、「打率1割台のクソみたいなバッティングの選手」を優先して代打に出すことも、1度ならずあった。
例えばジラルディは、打てない守備専の遊撃手ブレンダン・ライアンに、同じく打てるわけがないスティーブン・ドリューを代打に出すような意味不明で無駄な選手交代を、しばしばやった。
これなど、代打としてイチロー、もしくは、ドリューよりマシな打撃のできる若手を使っておいて、その後ドリューをショート守備につかせたほうがはるかにマシな攻撃ができるわけだが、ジラルディはライアンの代打にドリューを使うような意味不明な選手起用を、「ポストシーズン進出の希望がわずかながら残されていた時期」ですら、何度となくやったものだ。


マイアミ移籍会見でイチローは、「選手として必要としてもらえることを、この2年間欲していた」という意味のことを自分の言葉でハッキリ言ってのけた。
会見での原文
この2年間、欲していたものは、これだったのじゃないかなと思っています、選手として必要としてもらえること。これが僕にとっては何よりも大切なもので、大きな原動力になると思う。


もちろんブログ主は喝采した。
プロ・アスリートとして当然の話だからだ。


イチローは、2013年以降のヤンキースで、「チームがイチローのプレーを欲しているという確かな感覚が得られないまま」中途半端にプレーさせられ続け、だらしないチームがだらしなく負け、ポストシーズン進出に失敗するのを「遠くから」眺めさせられた
その原因は、GMキャッシュマンの度重なる大型契約の失敗によるペイロールの硬直化、ジラルディの不合理きわまりない起用法、怪我でロクに働かないのにレギュラーの座に居座っている高給取りの選手たち、アレックス・ロドリゲスに象徴されるチームのステロイド体質、ヤンキースの若手育成能力の無さなどにある。


発言に「耳を傾けて」さえいれば、行間に垣間見える「イチローの感情」は誰にでもわかる。彼が「ヤンキースでは酷い扱いを受けたと感じていたかどうか」なんて、イチローファンにしてみれば、なにもNHKのインタビューなど見なくてもわかる。
だが、ブライアン・キャッシュマンも、ジョー・ジラルディも、ニューヨークメディアも、イチローに「十分に耳を傾けて」はいなかった。いまさらNY Postが何か書いても、それはまったく「季節外れな行為」だし、そもそも書いていることの中身それ自体が「ピント外れ」だ。
いまさらNY Postに「ジョー・ジラルディから離れたことを喜ぶ理由」なんてものを(それも間違った形で)書いてもらわなくとも、そんなわかりきったことは、とうの昔から日本のイチローファンの「全員がわかっている」のである。

「おまえらは、やることなすこと、ことごとく遅えんだよ。書くならヤンキース在籍中に書け、この臆病モノ」と言っておこう。


もう一度繰り返す。

もしニューヨークメディアが、チームが長年抱えてきた欠陥を放置して没落しつつあることをようやく指摘してみる気になったのなら、Future Hall Of Famerであるイチローの発言やネームバリューを借りてそれを行うのではなく、記者が「自分の名前」を使って、「自分の責任」でやるべきだ。
イチローがああ言った、こう発言したなどと、いまさらチームにいない人間の名前を利用する行為を失礼だと思わないのだろうか。ほんとにチキン・ライターどもときたら、無礼きわまりないにも程がある。

関連記事:
2013年9月9日、イチローのバッティングを常に「冷やし」続けてきたジョー・ジラルディの不合理な起用ぶりを、この際だから図に起こしてみた。 | Damejima's HARDBALL

2013年9月18日、ニューヨーク・ポストのケン・ダビドフが書いた「2012年冬のヤンキースの失敗」についての浅はかな記事を紹介しつつ、ジラルディの選手起用のまずさがチームバッティングを「冷やした」証拠となるデータを味わう。 | Damejima's HARDBALL

2015年1月29日、2014年版「イチローのバッティングを常に冷やし続けたジョー・ジラルディの不合理な起用ぶり」。 | Damejima's HARDBALL


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