April 15, 2015
昨年29年ぶりにリーグ優勝してワールドシリーズに進出したカンザスシティ・ロイヤルズの快進撃(7試合消化時点で7勝0敗)が今年も止まらない。
かつては、春先に期待されながら夏を迎えた途端に低迷するのがお約束のチームだったわけだが、KCRのいまのチーム打率.329(2015年4月13日まで)という途方もない打撃数字が、去年の大躍進がフロックでなかったことを物語っている。
(同地区のデトロイトもチーム打率.337と、ちょっと考えられない天文学的数字を叩き出していている。この2チームのバッティングは今のところ、ちょっととんでもないレベルにある)
このカンザスシティの超絶バッティングを支えているのは、「四球をかえりみないヒット中心主義打線」で、これは他チームにみられない個性だ。
まず以下のグラフを見てもらいたい。
グラフ 1
X軸:チーム四球数 Y軸:チーム出塁率
R二乗値=0.3868
グラフ 2
X軸:チーム打率 Y軸:チーム出塁率
R二乗値=0.8749
これは2015シーズンが開幕したばかりのア・リーグ各チームにおける「四球数と出塁率」、「打率と出塁率」をグラフ化したもの。X軸がどの程度Y軸の数値を決定するのかを、とりあえず直線の近似式(=線形近似)で示している。
2つのグラフの近似式の内容には「歴然とした大差」がある。その意味はもちろん、これまでブログに何度となく書いてきたように、「チーム間に出塁率の差が生じる理由のほとんどが『打率の差』であって、四球の関与はほとんど無い」ということだが、そんな既にわかりきったことより、いまや、もう一歩進んで明らかにしたいのは、「出塁率にこだわることそのものの無意味さ」だ。
そのうち記事を追加して説明するつもりだが、このことをもうちょっとわかりやすくいいかえると、「出塁率向上によって得点力をアップさせる」とか称しながら、「実は、出塁率に対してほぼ無縁の存在といえる四球を無理に増加させようと画策する行為が、どれくらいわけがわからないことなのか」をまったく理解しない人間たちの愚かさを具体的に明らかにしていきたいのだ。
困ったことに、「得点力不足に悩んだ挙句に、ボストンのマネをしだして、わけのわからないことになっているチーム」に限って、明らかに細かいシチュエーションバッティングの苦手な「フリースインガー」や「低打率の二流のスラッガー」ばかり集め、その「細かいバッティング対応ができない不器用なバッターたち」に「待球指示を出しまくる」のだから、もうほんと、「わけがわからない」としか言いようがないのだ(笑)
確かにMLBは「ビジネス的に世界で最も成功したプロスポーツ」だといつも思っているが、その一方では、「他のプロスポーツと同じくらいに、わけのわからない人たちが跋扈しているスポーツ」でもあると思っている。
さて、グラフで注目してもらいたいのは、「出塁率の異常に高い3チーム」のうち、KCRとBOSの「正反対の中身」だ。
毎年のように待球率が「異常に」高いBOSが、「四球出塁の異常なほどの多さ」によって出塁率を維持しようとしている(今年TBR、HOU、TEX、NYY、TORにも同様の傾向がある)のに対して、KCRは、四球にはまるで目もくれず、ひたすらヒットを打つことに集中していて、結果として、高い出塁率を維持している。
このカンザスシティの「ヒット中心主義」が、いまチームコンセプトとして新しく見えるし、非常に心地よい。(DETは別格で、なんとKCRとBOSがやっていることの「両方」を同時に達成している。こんなチーム、見たことがない)
もちろん容易なことではないとは思うが、ぜひカンザスシティにはシーズン終了までこの「ヒット中心主義ベースボール」をできる限り維持してもらって、リーグ優勝決定シリーズあたりではボストンが掲げる、今となっては古臭い「四球中心主義」を再度ぶちのめしてもらいたいものだ。
かつては、春先に期待されながら夏を迎えた途端に低迷するのがお約束のチームだったわけだが、KCRのいまのチーム打率.329(2015年4月13日まで)という途方もない打撃数字が、去年の大躍進がフロックでなかったことを物語っている。
(同地区のデトロイトもチーム打率.337と、ちょっと考えられない天文学的数字を叩き出していている。この2チームのバッティングは今のところ、ちょっととんでもないレベルにある)
このカンザスシティの超絶バッティングを支えているのは、「四球をかえりみないヒット中心主義打線」で、これは他チームにみられない個性だ。
まず以下のグラフを見てもらいたい。
ブログ注:
『R二乗値』は、X軸とY軸に示された「2つの数値群」(例えば「打率」と「出塁率」)の間の「関係の程度」を示す手法のひとつだ。
四球とホームランの価値を水増しするOPSのようなデタラメ指標を盲信してきた愚かな人間たちや、出塁率の過大評価をこれまでもっともらしく垂れ流し続けてきた人間たちがずっと間違えてきたように、この単純すぎるモノサシだけを使ってベースボール全体を決定する法則性を発見したと断言する愚かな行為は、「小学生の文房具セットに入っている子供用のモノサシだけを使って、オフィスビルを建てようとする行為」に近い。
例えば、「Y軸の数値は、完全にX軸の数値群によって決定される」などと不可逆的に断言するのに必要な「R二乗値の数値」は、十分に多くのデータについて「1.0 にかなり近い、高い数値が出た場合」でなければならないし、また、そうした数値が出たからといって、X軸で示した数値群の価値が無限大になるわけでもなければ、第三の要素の関与を完全に排除できるわけでもない。
参考記事:カテゴリー:指標のデタラメさ(OPS、SLG、パークファクターなど) │ Damejima's HARDBALL
グラフ 1
X軸:チーム四球数 Y軸:チーム出塁率
R二乗値=0.3868
グラフ 2
X軸:チーム打率 Y軸:チーム出塁率
R二乗値=0.8749
これは2015シーズンが開幕したばかりのア・リーグ各チームにおける「四球数と出塁率」、「打率と出塁率」をグラフ化したもの。X軸がどの程度Y軸の数値を決定するのかを、とりあえず直線の近似式(=線形近似)で示している。
2つのグラフの近似式の内容には「歴然とした大差」がある。その意味はもちろん、これまでブログに何度となく書いてきたように、「チーム間に出塁率の差が生じる理由のほとんどが『打率の差』であって、四球の関与はほとんど無い」ということだが、そんな既にわかりきったことより、いまや、もう一歩進んで明らかにしたいのは、「出塁率にこだわることそのものの無意味さ」だ。
そのうち記事を追加して説明するつもりだが、このことをもうちょっとわかりやすくいいかえると、「出塁率向上によって得点力をアップさせる」とか称しながら、「実は、出塁率に対してほぼ無縁の存在といえる四球を無理に増加させようと画策する行為が、どれくらいわけがわからないことなのか」をまったく理解しない人間たちの愚かさを具体的に明らかにしていきたいのだ。
困ったことに、「得点力不足に悩んだ挙句に、ボストンのマネをしだして、わけのわからないことになっているチーム」に限って、明らかに細かいシチュエーションバッティングの苦手な「フリースインガー」や「低打率の二流のスラッガー」ばかり集め、その「細かいバッティング対応ができない不器用なバッターたち」に「待球指示を出しまくる」のだから、もうほんと、「わけがわからない」としか言いようがないのだ(笑)
確かにMLBは「ビジネス的に世界で最も成功したプロスポーツ」だといつも思っているが、その一方では、「他のプロスポーツと同じくらいに、わけのわからない人たちが跋扈しているスポーツ」でもあると思っている。
さて、グラフで注目してもらいたいのは、「出塁率の異常に高い3チーム」のうち、KCRとBOSの「正反対の中身」だ。
KCR:非常に高い打率、並の四球数
BOS:平凡な打率、突出した四球数
毎年のように待球率が「異常に」高いBOSが、「四球出塁の異常なほどの多さ」によって出塁率を維持しようとしている(今年TBR、HOU、TEX、NYY、TORにも同様の傾向がある)のに対して、KCRは、四球にはまるで目もくれず、ひたすらヒットを打つことに集中していて、結果として、高い出塁率を維持している。
このカンザスシティの「ヒット中心主義」が、いまチームコンセプトとして新しく見えるし、非常に心地よい。(DETは別格で、なんとKCRとBOSがやっていることの「両方」を同時に達成している。こんなチーム、見たことがない)
もちろん容易なことではないとは思うが、ぜひカンザスシティにはシーズン終了までこの「ヒット中心主義ベースボール」をできる限り維持してもらって、リーグ優勝決定シリーズあたりではボストンが掲げる、今となっては古臭い「四球中心主義」を再度ぶちのめしてもらいたいものだ。