August 25, 2015

イチローの記念すべきメジャー10000打席が目前に近づいたわけだが、「ヒット1本あたり打席数」でみると、通算安打数歴代1位のピート・ローズが約3.727(小数点以下第4位を四捨五入、24シーズン)に過ぎないのに対し、イチローが3.421打席(MLBのみ、15シーズン弱)で、この両者のみの比較では、もちろんイチロー圧勝なのだ。


よく、イチローのヒット数が多い理由について、「1番打者は打数が多いのだから、ヒット数も多くて当然だ」などと、知ったかぶりに「間違ったこと」を公言するアホウをネット上でたまに見かけるわけだが、以下に挙げるランキングを見れば、そうした発言の馬鹿さがひとめでわかる。

イチローの通算ヒット数が多い理由は、1番打者だからではなく、「他の誰よりも効率的にヒットを積み重ねてきた打者だから、通算ヒット数も多くて当然」というのが正しい答えなのだ。


ちなみに球聖タイ・カッブは、3.123(24シーズン)という超絶的な数字である。ヒット数が多いだけでなく、ヒット生産のペースがMLB歴代No.1のありえないハイペースなのだ。

一方、ピート・ローズの「通算15890打席」はMLB記録であり、ピート・ローズとタイ・カッブは、プレー期間こそ「24シーズン」で同じだが、こと「打数だけ」で比べると、なんと「2806打席」も、ローズのほうが多い。
ピート・ローズ 15890打席(MLB記録)
タイ・カッブ 13084打席
差異 2806打席

こうした事実から、なぜ永久追放者ピート・ローズが、長らくタイ・カッブが持っていたMLB通算安打記録を上回れたのか、理由がわかる。
単にピート・ローズは「打数」が果てしなく多かった、だから球聖タイ・カッブの通算ヒット数を上回れた、ただそれだけに過ぎないのである。

イチローが毎日1番を打っていた時代の年間打数が約700だったわけだが、それでいうと「2806もの打数の差」というと、「イチローのようなレギュラーの1番打者が、4シーズン打つくらいの打数にあたる数字」なのだ。
そりゃ打席に立つことそのものに必死だったピート・ローズのほうが、ヒット生産効率歴代1位のタイ・カッブより、ヒットの実数だけは多くなるのも当然の話といえる。


ついでだから、以下に「3000安打達成者」の「ヒット1本あたり打席数」を、ヒット数上位に限ってまとめてみた。(小数点以下第4位を四捨五入 ジョージ・シスラーは3000安打未達成だが入れておいた)
このランキングからも、なぜタイ・カッブが「球聖」と呼ばれるのかがよくわかる。また、かつてイチローの前のシーズン安打記録保持者ジョージ・シスラーが、3000安打未達成ながらも、球聖タイ・カッブに迫る神がかり的な安打製造機だったこともよくわかる。タイ・カッブもシスラーも、伊達に長くMLB記録保持者だったわけではないのだ。
タイ・カッブ 3.123
(ジョージ・シスラー 3.205 3000安打未達成)
ナップ・ラジョイ 3.226
トニー・グウィン 3.256
キャップ・アンソン 3.298
トリス・スピーカー 3.413
ポール・ワナー 3.416
ホーナス・ワグナー 3.435
イチロー 3.437
(2016年6月19日現在)
ロッド・カルー 3.456
スタン・ミュージアル 3.503
デレク・ジーター 3.637
ポール・モリター 3.666
ジョージ・ブレット 3.686
ハンク・アーロン 3.697
ピート・ローズ 3.727
ウィリー・メイズ 3.806
ロビン・ヨーント 3.848
エディー・マレー 3.936
デイブ・ウィンフィールド 3.974
カル・リプケン 4.046
クレイグ・ビジオ 4.086
カール・ヤストレムスキー 4.092
リッキー・ヘンダーソン 4.369


上のMLB歴代ランキングから「約100年前、20世紀初頭の選手たち」を除いてみる。すると、近代のMLBにおいて「3.5以下の数字を残した選手」は、トニー・グウィン、イチロー、ロッド・カルー、わずか3人しかいないことがわかる。
トニー・グウィン 3.256
イチロー (2001-2010のみ) 3.270
イチロー (通算) 3.421
ロッド・カルー 3.456
以下 スタン・ミュージアル 3.503

近代野球における投手の質的発達、新たな変化球の開発、投球術の進化、圧縮バットの禁止、飛ばないボール、加えて、2000年代以降の打撃スカウティング技術の発達、飛球分析に基づく守備のポジショニングなど、さまざまなバッティングをめぐる環境変化を考えると、イチローが残してきた数字はまさに「近代野球の頂点に君臨する数字」といえるだろう。


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