August 27, 2015

詳しいデータは自分で調べてもらいたいが、MLBでは右投手と左投手の先発登板割合がだいたい 3:1 になっている。


すると、どういうことが起きるか。

全試合の4分の3を占める右投手登板ゲームで大量の貯金を作れたチームが、地区優勝、あるいは、ポストシーズン進出を決める」ことになる。2015年でみても例外はない。
2015年「対右投手貯金」ランキング
太字は8月27日現在の地区首位チーム

STL 33
KCR 27
PIT 23
CHC 17
LAD 13
NYM 11
HOU 10
TOR 9

2015 Major League Baseball Standings & Expanded Standings | Baseball-Reference.com


この現象を、めんどくさいので短く「右投手貯金」とでも呼んでおこう。


この「右投手貯金」現象、
逆に「自軍ローテ投手視点」から見てみると、どうなるだろう。

MLB全体の登板割合が「右:左=3:1」ということは、ひとつのチームのローテ投手5人でみると、「右3人、左1人」が基本パターンで、あと1人がそのチームの投手事情やスタジアムの構造によって、右が左かが決まるというような投手構成が想定される。だから「右4人、左1人」か、「右3人、左2人」かはチーム事情とかによるわけだ。

上で見たように、地区優勝するようなチームは「大量の『右投手貯金』を作って、逃げ切ろうとする」わけだから、逆の視点から言うと、「自軍の右投手(3人か4人程度)には、絶対に負け越してもらっては困ることになる。とりわけ、同地区ライバルとの対戦カードでは、右投手先発ゲームでは絶対に負け越したくない。
一方「左投手(1人か2人)は、勝率5割程度でも、まぁ、しょうがないかな」という話になる。

短くまとめると、こんなふうになる。
自軍の右腕投手:負け越したら地区首位にはなれない
自軍の左腕投手:勝率5割程度で十分


さて、典型例として、多くの「右投手貯金」を作ることに成功しているセントルイスの投手陣を見てみる。
まさに「方程式どおり」の布陣と成績だ。右腕の4人、特にワッカ、マルティネスの2人で「自軍の右投手貯金」を大量に貯めこんだ。唯一の左腕ガルシアは勝率5割程度だが、これで十分。セントルイスは「右投手貯金」の稼ぎ頭マイケル・ワッカを手放すことは永遠にないと思う。いい人材を育て上げたもんだ。
右 マイケル・ワッカ 15勝4敗
右 カルロス・マルティネス 13勝6敗
右 ジョン・ラッキー 11勝8敗
右 ランス・リン 10勝8敗
左 ジェイミー・ガルシア 6勝4敗

カンザスシティはどうだろう。
複数年契約の左腕バルガスのDL入りで、右のジョニー・クエトを獲ったため、今は典型的な「右投手の多い構成」になってはいるが、もともと絶対的な右ピッチャーがいない。そのため「右投手貯金」はできていない。だが、貯金の大半を同地区ライバルのホワイトソックス(10勝3敗)から挙げていること、これが非常に大きい。また、同地区の全チームに勝ち越していることも地区首位に大きく貢献している。いわゆる全員野球的な勝ち方。
右 エディンソン・ボルケス 11勝7敗
左 ジェーソン・バルガス 5勝2敗 DL
右 ジェレミー・ガスリー 8勝7敗
右 ヨーダノ・ベンチュラ 9勝7敗
左 ダニー・ダフィー 7勝6敗
右 ジョニー・クエト 2勝3敗(トレードで獲得)

次にヒューストン
サイ・ヤング賞候補の左腕ダラス・カイケルがいるため、右3人、左2人。同地区TEXに4勝8敗と負け越しているのが困りものだが、SEAに9勝4敗、LAAに8勝5敗と、カンザスシティと同じく同地区相手に貯金を作ることで地区首位を守っている。
「大量の右投手貯金」を作ってくれる右腕が2人もいるセントルイスと違って、ヒューストンの「右投手貯金」はマクヒューひとりだけだが、そのかわり左腕ダラス・カイケルがいる。この「左腕でも稼げること」が、チームに絶大な効果がある。他チームなら勝率5割程度でしかたないはずの「左投手」が「大量の貯金をもたらして」くれる上に、左腕投手には負けたくない他チームに多大な打撃を与えてくれるわけだから、ダラス・カイケルの存在は実に大きいのだ。ア・リーグのサイ・ヤング賞はこの人だろう。
右 コリン・マクヒュー 14勝7敗
左 ダラス・カイケル 15勝6敗
右 スコット・フェルドマン 5勝5敗
左 スコット・カズミアー 7勝8敗
右 ランス・マキュラーズ 5勝4敗

トロントは、珍しく左投手寄りのチーム。
右のハッチソンは12勝2敗と勝ち星こそ多いが、内容は良くなく幸運に恵まれただけの結果で、実際に頼りになるのは、むしろエストラダとバーリー。そこでGMアンソポロスが不振のデトロイトからプライスを獲ったところ、プライスが8月の月間最優秀投手を受賞する勢いで連勝してくれて、チームは8月ほとんど負けなかったため、NYYから首位の座を奪えた。プライスがシーズン後にいなくなったら、おそらく来期は右のローテ投手を大金かけて獲ることになるだろう。
右 ドリュー・ハッチソン 12勝2敗
左 マーク・バーリー 13勝6敗
右 マルコ・エストラダ 11勝8敗
右 アーロン・サンチェス 6勝5敗
右 R.A.ディッキー 8勝10敗
左 デビッド・プライス 4勝0敗(トレードで獲得)

ドジャースは「本来なら」左投手に寄ったローテ。
同地区のCOL、ARI、SDPから大量の貯金を稼いでいるのはいいが、ひとつ気になるのは、最大のライバルであるSFGに3勝9敗と大きく負け越していること。2015年のカーショーはジャイアンツ戦に3回登板して、0勝2敗と勝てていない。打線も、AT&Tパークでは打率.211と酷い。右のグレインキーだけが頼りという感じで、なんともこころもとない。先発に左右の軸があるヒューストンより、ある意味、たよりない。
右 ザック・グレインキー 14勝3敗
左 クレイトン・カーショー 10勝6敗
左 ブレット・アンダーソン 8勝8敗
右 カルロス・フリアス 5勝5敗
左 アレックス・ウッド 2勝2敗(トレードで獲得)



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