November 03, 2017

2017年ワールドシリーズの最終第7戦の9回裏に、先頭打者として「代打」に立ったのは、チェイス・アトリーだった。結果は3球三振。これで彼の2017年ポストシーズンは、8試合出場、14打数ノーヒットと、酷い結果に終わった。ジャスティン・バーランダーを讃える多くの声にかきけされるように、ヴェテラン二塁手はドジャースタジアムからひっそりと去った。


2017年のポストシーズンに彼がスターターとして出場したのは、アリゾナとのNLDS第3戦、カブスとのNLCS第3戦、ヒューストンとのワールドシリーズ第2戦だが、打撃面で結果をまったく残せなかった。
3試合の相手投手が、ザック・グレインキーカイル・ヘンドリックスジャスティン・バーランダーと、すべて右投手ばかりだったことをみれば、ドジャース監督デーブ・ロバーツがチェイス・アトリーを「右投手先発時専用の臨時セカンド」として起用したことがわかる。ワールドシリーズ第7戦の代打のときの投手も、右のチャーリー・モートンだった。


ロバーツが2017ポストシーズンに起用したメインの二塁手は、2017年1月にタンパベイから獲得したローガン・フォーサイスで、46打席で11安打9四球を獲得、.435もの高い出塁率を残した。2017レギュラーシーズンに119試合出場したフォーサイスは、うち76試合でセカンドを守ったが、セカンド出場時が打率.274で、最もいい。
Logan Forsythe 2017 Batting Splits | Baseball-Reference.com

このワールドシリーズの打席結果で「フォーサイスはシュア打者」という印象をもった人もいるかもしれないが、どういうものか彼には「右投手がまったく打てない」という致命的な欠点がある。



ドジャースのセカンドといえば、かつてはディー・ゴードンの定位置だったわけだが、ゴードンも、ゴードンがマイアミに去った後の後継者のハウィー・ケンドリックも、右も左も関係なく打てた。そのため、ちょっと前のドジャースは二塁手をツープラトンにする必要がなかった。

だが、ケンドリックの後釜になるはずだったアトリーは、残念ながら違った。2016年に138試合も出場させてもらいながら、どうしたわけか左投手がまったく打てなくなってしまった。フィラデルフィア時代の彼は、左に多少苦手意識があったにしても、全然ダメというわけでもなかっただけに、原因はよくわからない。とにかくドジャースは年齢の高いアトリーにフルシーズンまかせるのをすぐに諦めた。

そこで2017年1月にタンパベイからトレードしてきたのが、かつてサンディエゴの2008年ドラフト1位だったフォーサイスで、たしかにフォーサイスの2016年のスタッツだけみれば、右投手に100個もの三振をさせられているとはいえ、「左も右も、そこそこなら打てる打者」であるようにみえた。
Logan Forsythe 2016 Batting Splits | Baseball-Reference.com

ところが、こんどはそのフォーサイス、ドジャース移籍以降「右投手がまったく打てない」のである。
おまけに、悪いことに、2016年から指揮をとりだした監督デーブ・ロバーツは、ヤンキースを実質クビになったジョー・ジラルディ同様の、非常に悪性の「左右病患者」ときた。


そんなわけで、2017年ドジャースのセカンドは、投手が左なら右打者フォーサイス、右なら左打者アトリー、と、「典型的なツープラトン体制」にあった。

この「重症の左右病患者デーブ・ロバーツのツープラトン」がどういう結果を招いたかといえば、以下の記事にみるとおり、選手に非常に難しいコンディショニングを強いることになったと、ブログ主はみる。
とりわけ、さすがに体力の衰えが隠せないチェイスは、何試合かおきに先発するような、断片的な出場のもとでは、実力を発揮することが難しかっただろう。
イチローの苦悩がわかる。アトリーが語る「代打で試合に出る難しさ」|MLB|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva


では、2017年のチェイス・アトリーは何も足跡を残さなかったか。

そうではない。

かつて以下の記事で「二塁打を数多く打てる打者の意味」を少しだけ書いたことがある。
2012年1月3日、率と期待値を足し算している「OPSのデタラメさ」 (4)実例にみる「四球数の、長打力イメージへのすりかえ」。数字に甘やかされたハンパなスラッガーたちのOPSの本当の中身。 | Damejima's HARDBALL
アトリーは、2017年のレギュラーシーズンに「353打席」という限られた打席数の中で、「20本の二塁打」を打ってみせている。これはけして少なくはない。
この「レギュラーシーズン、二塁打20本」の意味するところは、「まだまだチェイス・アトリーはやれる」という意味だとブログ主は考えたし、ポストシーズンにも、彼のワールドシリーズ経験をもっと生かすべきだった。
Chase Utley 2017 Batting Splits | Baseball-Reference.com


だが、なにも「デーブ・ロバーツはポストシーズン全試合で、フォーサイスではなく、アトリーを使うべきだった」と言いたいわけではない。
言いたいのは、少なくともロバーツは、短期決戦のポストシーズンではツープラトンなどという中途半端で無意味な戦術はやめ、「どちらの二塁手と心中するのか」ハッキリ決めて、フォーサイスかアトリーのどちらかを「しっかり使いきる」べきだった、ということだ。
きちんと決め打ちしないから、コンディションのよくないアトリーがたまに起用されては打線を寸断する原因になったりする悪循環に陥るのである。


ドジャースは打線がまったく機能しなかった試合が多かったわけだが、ダルビッシュの第7戦先発を含め、「ロバーツの選手起用の下手さ」はワールドシリーズの明暗を分けた。

第7戦のアトリーの代打起用にしても、いくら右投手がマウンドにいるからといっても、試合の趨勢が決まってしまった9回裏に、それまで13打数ノーヒットのチェイス・アトリーを打席に立たせる必然性など、どこにもない
もしワールドシリーズ制覇をあきらめていないのなら、無意味なツープラトンでコンディションを崩していたチェイス・アトリーを打席に送るのではなく、他の誰かでよかったはずだ。最後の1球まで試合を諦めるべきではないことなど、ワールドシリーズでは言うまでもないことだ。



それにしても、2012年12月にフィリーズの2年契約オファーをイチローが受けていたら、3000安打ももっと早く達成できていただろうし、「1番イチロー、2番マイケル・ヤング、3番チェイス・アトリー、先発クリフ・リー」だったのに、などと、2017年になっても、いまだに思っているブログ主ではあった(笑)
2015年2月26日、「1番イチロー、2番マイケル・ヤング、3番チェイス・アトリー、先発クリフ・リー」なんてスタメンがありえた「夢の2013年フィリーズ」。イチローへの2年14Mのオファーを懐かしむPhilliedelphia.com | Damejima's HARDBALL

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