April 05, 2018



2018年4月4日は、AT&TでのSFG戦だが、第一打席で球審のおかしな判定のせいでイチローが見逃し三振「させられた」のが非常にアタマにきた。
データ集めと画像編集がめんどくさいせいせいで(笑)、最近アンパイアとかストライクゾーンについて記事を書かなくなっていたことも反省としてあるし、「この数年のアンパイアの新しい傾向」にも触れながら怒りの記事を書いてみた。


このブログでは「MLB独特のストライクゾーン」について何度も書いてきた。その主なものを箇条書きにしてみると、こうなる。
・右バッターと左バッターでは、ゾーンがかなり異なる
左バッターのゾーンは、「アウトコース側」に大きくズレている。

参考記事:
2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。 | Damejima's HARDBALL

2007年時点のゾーン
2007年時点の右打者左打者のゾーンの違い


しかし、これからMLBを見ようとする人はぜひ知っておくべきことでもあるが、「2010年代以降のストライクゾーン」は、かつての「アンパイアの個人差が許容されていたゾーン」とはまったく違うものになりつつある。
The 2017 Strike Zone | The Hardball Times via Jon Roegele, Hardball Times

2007年と2017年のストライクゾーンの違い左バッターに関する2007年と2017年のゾーンの違い


上の図で一目瞭然だが、かつてあれだけ広かった「左バッターのアウトコースのゾーン」がほぼ無くなっているかわり、今では「低めを非常に広くとるようになった」のである。(もちろん、このことは、低めの球をすくい上げるようにしてフライを打つ近年のMLBバッターの傾向とも、深く関係している)

そのベクトルを簡単にいえば、
2010年代以降のMLBのストライクゾーンは
意図的に「ルールブック通り」に変えられてきている
ということになる。



「MLBのストライクゾーンがルールブック通りのものになっていく傾向」の一方で、「アンパイアの判定の正確さ」も急激に変化しはじめている。
詳しくは別の機会に書くが、簡単にいえば、2010年代に入ってアンパイアのストライク判定は「どんどん正確になってきている」のである。

これには、MLBが「判定精度は多少悪いが個性の強いヴェテランアンパイアを引退させ、ルールブック通りに判定したがるせいで個性はないが判定精度の高い新人に入れ替えはじめた」ことも関係している。(これは別の言い方をすれば、2010年代に入ってストライクゾーンがリニュアルされるのと同時に、アンパイアの顔ぶれも、どんどん個人差のない、単調で機械的なものに「リニュアル」されつつある、という意味でもある)

参考記事:Umpires Are Less Blind Than They Used To Be | FiveThirtyEight
2010年代のアンパイアの判定の正確さの変化

こうした最近のMLBのストライクゾーンの傾向とアンパイアの変化をまずアタマに入れ、その上で、2018年4月4日のSEA対SFG戦でのLance Barksdaleのイチローの見逃し三振判定をみれば、その意味はわかると思う。


たしかにLance Barksdaleは、2010年代に求められはじめた「判定精度の高いアンパイア」のひとりで、年々精度の上がっているひとりではあるが、その一方、以下のサイトの2013年の判定例からわかるように、かつては「左打者のインハイをストライク判定したがる、奇妙なアンパイア」だった。

2013年のLance Barksdaleの判定傾向
2013_06_12_Lance_Barksdale.mia_mil.norm | Strike Zone Maps

もしMLBに「左バッターのインハイをストライク判定したがるアンパイア」がたくさんいるのなら、「MLBの判定傾向は左打者のインハイをストライク判定するのが普通なのだから、しかたがない」といえなくもないが、実際には、そんなアンパイアなどMLBにはほとんどいない。


で、あるならば、だ。

これだけMLBのストライクゾーンが「ルールブックどおり」になりつつあり、アンパイアの精度が飛躍的に上がってきていて、個人差も減って(というか、「減らされ」)きている2018年現在、MLBアンパイアの中でも指折りの判定の正確さのはずのLance Barksdaleのが、イチローに対する判定だけがこれほど酷いままでも許される理由は、どこにもない。
Lance Barksdaleが「かつての自分の判定の好みを、イチローにだけ押しつける」なんてことは、判定が画一化されつつある2018年となっては、もはやなんの意味もないのである。


あえて汚い言葉を使わせてもらうなら、
「特定の選手を差別して判定してんじゃねぇよ、クソ野郎。」
って、話になるのである。


Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
記事検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month