April 2010

April 22, 2010

ヘルナンデスが2勝目となる8イニング無四球完投。今年テキサスからボルチモアに移籍した好投手ケビン・ミルウッドとの両先発投手完投ゲームに投げ勝った。シアトルの先発が完投するのはこれが今シーズン初。
ヘルナンデスのERAはこれで2.15、ERA1点台の大台もみえてきた。強敵の大投手ロイ・ハラデイがナ・リーグに行ったことだし、去年惜しくもとれなかったサイ・ヤング賞を今年こそとってもらいたいものだ。
これでシアトルは貯金2。開幕好調で先を走っていた首位オークランドがNYYに敗れたため、ついに同率首位となった!
Regular Season Standings | MLB.com: Standings
動画:Baseball Video Highlights & Clips | BAL@SEA: Wilson ropes a bases-clearing double - Video | Mariners.com: Multimedia

初回の1失点はブラッドリーの怪我の関係で臨時にレフトのスタメンに入ったマット・トゥイアソソーポのエラーによるもで、ヘルナンデスに自責点はついていない。
日米の自責点の考え方の違いについては、下記の記事を参照。日本でなら、初回のヘルナンデスには、自責点がついていたことだろう。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年3月30日、スポーツ・イラストレイテッドのJoe Posnanskiが、「非自責点」について語ったのを読んで、「日米の自責点の考え方の差異」についても勉強してみる。

キングの良き相棒ロブ・ジョンソンは、1点を追う4回裏の2アウト満塁のチャンスで同点タイムリーなど2安打。いつもながら、不思議な場面で打つ男である(笑)
それどころか、今日はなんと盗塁までしてみせて(笑)、ヘルナンデスを強力にバックアップした。ジャック・ウィルソンの3点タイムリー・ツーベースの場面で、ロブ・ジョンソンは1塁ランナーだったが、彼が長躯ホームインしたのも、とても意味のある走塁だった。彼は実はなかなか足が速いことがわかった。
動画:4回裏タイムリー Baseball Video Highlights & Clips | BAL@SEA: Johnson's infield single drives in a run - Video | Mariners.com: Multimedia
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:ロブ・ジョンソンの得点力・長打

ヘルナンデスは今日の8回QSで、去年から延々と続けている連続QS記録のほうもさらにひとつ加えて、17に伸ばした。公式サイトによれば、これはクラブレコードだそうだ。もちろんQSのほとんど全てはロブ・ジョンソンとのバッテリーによるもの。まさに鉄壁のバッテリーである。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - April 21, 2010 | MLB.com Gameday
Felix tops O's with 17th straight quality start | Mariners.com: News


今日のヘルナンデスの投球内容は113球投げて、ストライクがなんと82、ボールがたったの31。結果、ストライク率はなんと72.6%にも達した。19勝した昨年2009シーズンの夏でも、こんな高いストライク率で投げきったのはたった1試合しかないし、1ゲームで80もストライクを投げたのは記憶にない

以前に一度指摘したことだが、ヘルナンデスのストライク率は、四球数と非常に強い関連性がある(当たり前だと思うかもしれないが、そうならない投手もいる)。
また、さらに言えば、ヘルナンデスの場合、ストライク率と投球内容には一定の関連性があり、ストライク率が必要以上に高過ぎると、(もちろんヘルナンデスだからゲームにには勝てるのだが)内容面では良くないことがほとんど。
今日のゲームでも、貧打にあえぐ不調のボルチモア打線に9本のヒットを許している。(特にシアトル戦を得意にしているマーケイキス。3安打)
もちろん、そうしたピンチを、2併殺、無四球で切り抜けていくのが、ロブ・ジョンソンの手腕である。2併殺ともに、ボルチモア打線の要の2番ウィギントンというのが大きい。3番マーケイキスに3安打されているだけに、もし2番ウィギントンのところで打線が繋がっていたら、今日の勝利は危なかった。
相手チームのルーク・スコットは今日のヘルナンデスのピッチングをこんな風に言っている。
He did a good job of mixing up his pitches, hitting his spots, good sinker, good velocity on his fastball, hard curve, hard slider, good changeup.
球種をうまく混ぜたことが、9安打を打たれながら自責点ゼロに抑えることのできた要因になった。

2009年ヘルナンデスのストライク率と四球数

8月1日  104球58ストライク 55.8% 四球4
8月7日  113球70ストライク 61.9% 四球6
8月12日 105球67ストライク 63.8% 四球4
8月18日 106球69ストライク 65.1% 四球1
8月23日 101球67ストライク 66.3% 四球0
8月28日 104球63ストライク 60.6% 四球1
9月2日  114球67ストライク 58.8% 四球3
9月8日  113球69ストライク 61.1% 四球4
9月13日 109球65ストライク 59.6% 四球1
9月18日 104球65ストライク 62.5% 四球1
9月24日 108球77ストライク 71.3% 四球2 11三振
9月29日 120球69ストライク 57.5% 四球4
10月4日 107球72ストライク 67.3% 四球1
今日のゲーム
2010年4月21日 113球82ストライク 72.6% 四球ゼロ

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月5日、ヘルナンデスのストライク率と四球数の関係を解き明かす。(ヘルナンデスの2009ストライク率グラフつき)

今日のゲームはヘルナンデスの無四球完投勝利だが、ストライク率が70%を越えるような高い率になると、将来の大投手ヘルナンデスの場合にかぎっては、四球数は自然と1ゲームに1以下になる。
だから他のどこにでもいるような平凡な投手と違い、「無四球でゲームを終わること」それ自体は、ヘルナンデスの場合に限ってはそれほどたいしたことではない。むしろ、あまりにもストライクをとることに熱中しすぎて、投げ急いで打たれることのほうが怖い。

ヘルナンデスのストライク率と四球数の関係

もともと膝の故障を抱えているミルトン・ブラッドリーは今日はお休みで、マット・トゥイアソソーポにチャンスが巡ってきた。
初回に失点につながる残念なエラーをしてしまったが、これくらいのことはブラッドリーだって、バーンズだってやっている。好調の打撃面ではヒットを打てたのだし、問題ない。
なにより、4回裏のセンター方向のロブ・ジョンソンのゴロでセカンドに劇走してセーフにしたのは、ほかならぬトゥイアソソーポで、この走塁がゲームのターニングポイントだったと、ゲーム後にジャック・ウィルソンも語っている。なんとか今回のチャンスを生かして、スタメンに食い込んでもらいたいものだ。
バーンズのようなネタ選手を見るのは、もうセクソンで飽き飽きだ。どうでもいい。

監督ワカマツはもっと使える選手にチャンスを与えるべきだ。いくら選手が怪我をした臨時の処置とはいえ、バーンズがセンターなど、とんでもない。レフトでも代打でも、必要ない。






April 21, 2010

ちょっと気になって調べてみて、驚いた。
こんなこともあるんだな。


2010年4月19日、昨日のゲームでダグ・フィスターが6回までノーヒットに抑える好投をしたのだが、相手チームはボルチモアである。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - April 19, 2010 | MLB.com Gameday

そういえば、去年ウオッシュバーンは準パーフェクトをやったなぁと思いつつ、このゲームを見ていたが、試合後に調べて、まずひとつ驚いた。
2009年7月6日に、ウオッシュバーンがセーフコで9イニングを1安打ピッチング、つまり、準パーフェクトゲームを達成して、ESPNの2009年ア・リーグ ベストゲームの第6位にランクインしたりしたのだが、このときの対戦相手もまたボルチモアだったのである。(スタジアムも同じセーフコ)
Baltimore vs. Seattle - July 6, 2009 | MLB.com: Gameday

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月6日、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリー、「準パーフェクトゲーム」達成!ウオッシュバーン初の「無四球試合」。9回1安打完封。


さらに、まだある。同じボルチモア相手にノーヒッターを達成しかかっただけなら、ボルチモアの打線が毎年湿っているとかなんとか説明されてしまいそうなものだが、実は、両方のゲームでノーヒッターを阻止したのが、同じ打者だったのだ。

ニック・マーケイキス。
ボルチモアの強肩のライトである。

ウオッシュバーンの準パーフェクトゲームでは、4回2死から、5球目の4シームをレフト前ヒット。レフトはランガーハンズ。
また、ダグ・フィスターのゲームでは、7回無死から、4球目のストレートをセンター前ヒット。センターはフランクリン・グティエレスである。

マーケイキスは2003年のドラフト1巡目(全体7位)でボルチモア入りした。アテネ五輪でギリシャ代表として投手も務めているように、元々カレッジ時代には投手と外野手、両方をやっていた。
強肩のライトであり、2008年の補殺数はメジャー1位の17、2009年は2位の13。ボルチモアのファンは、もし同時代にイチローがいなければ、オールスターのア・リーグのライトのスターターは、このマーケイキスになっていたかもしれないと思っているのかもしれない。

MLB 年度別補殺数1位・2位
2000 デイブ・マルチネス 15  アブレイユほか1名 13
2001 ラウル・モンデシー 18  ゲレーロ 14
2002 ロバート・フィック 21   ゲレーロほか1名 14
2003 リチャード・ヒダルゴ 22 ホセ・クルーズJr. 18
2004 リチャード・ヒダルゴ 14 アブレイユほか4人 13
2005 ジェフ・フランコーア 13 イチローほか4人 10
2006 ブラッド・ホープ 16   ジェフ・フランコーア 13
2007 ジェフ・フランコーア、マイケル・カダイアー 19(同数)
2008 マーケイキス 17     ハンター・ペンス 16
2009 ハンター・ペンス 16   マーケイキス 13

2010年 補殺ランキング
MLB Baseball Fielding Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

捕殺数ランキングに載っているプレーヤーの大半はライトのプレーヤーである。メジャーにおけるライトのポジションが、補殺で観客を魅了する、という意味で、ある意味の守備の花形ポジションであることがよくわかる。守備位置が深く、補殺が容易ではないセンターはキャッチングが命だが、ライトのプレーヤーは、キャッチングに加え、強肩でなければ一流にはなれない。

イチローの名前が上のリストにちょっとしかないが、心配ない。理由はハッキリしている。
補殺12を数えた2003年、2004年には、ランキング3位、4位、2005年には補殺10で2位になっているし、そもそもイチローの強肩がメジャー全体に知れ渡ってしまってからというものは、試合を見ていればわかることだが、ことごとくサードを回るランナーが自重してしまって、ホームに突入してくれなくなってしまった(苦笑)これでは補殺を増やしようがない。イチローの補殺シーンを見たいのに、残念なことである(笑)
また、補殺が多いからといって、そのプレーヤーが全ての守備においてソツがないというわけではない。例えばゲレーロは送球や守備が粗いといわれ、ゴールドグラブをとったことがない。強肩はあくまで守備の一部であって、全てではない。


なにはともあれ、
次にノーヒッターにチャレンジするときは、マーケイキスにだけは注意しなければならない(笑)





April 20, 2010

4月13日のホームゲームで今シーズン好調のオークランド相手に一歩も引かない無四球の好投をみせていたフィスターロブ・ジョンソンのバッテリーが、こんどはボルチモア相手に6回までノーヒットに抑え込む好投をみせた。
イチローの浅いフライのランニングキャッチ、フィギンズのライト前に抜けるゴロを好捕して反転しながら見事に送球したファインプレー、ジャック・ウィルソンのファインプレーなど、ノーヒット・ノーランが達成されるとき特有の雰囲気があっただけに、7回にマーケイキスに初ヒットを許したときには、残念だと思うと同時に、なんとなく肩の荷が下りてホッとした(笑)

いくらブライアン・ロバーツが怪我(腹筋痛らしい)で欠場していて元気のないボルチモア打線とはいえ、6回を終えた時点で70球前後と、フィスターのピッチングは非常に効率がよかった。この2試合のホームでの登板で、許した四球はわずか1つである。
今日も終わってみれば、95球投げてストライク63。綺麗にボール:ストライクが1:2の理想配分になっていたことからも(四球、死球と続いた初回を除いて)いかにバッテリーがピッチングをコントロールできていたかがわかる。
これでフィスターはロブ・ジョンソンと組んで2連勝。やはりロブ・ジョンソンと組んだときの投手のERAは驚くほど低くなる。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - April 19, 2010 | MLB.com Gameday

投手コーチ リック・アデアの試合後のコメント
アデアも、この2試合のフィスターの仕事ぶりが「バッテリーとしての仕事」である部分を十分に認識している。
"I think in terms of movement and command, yeah," Adair said. "He was good. Again, he commanded both sides of the plate, was down in the zone and used his soft stuff when he needed to. He did a lot of things well and [catcher Rob Johnson] did a tremendous job with him."
Fister's gem, seven-run third down O's | Mariners.com: News


たぶんせいぜい2ヶ月もあれば、つまり夏になる前に数字的にハッキリ結果が出るだろうと思っているのだが、ロブ・ジョンソンとアダム・ムーア、この2人のマスクのゲームで、だいぶERA、被打率、四球数など、いろいろな数字に差が出る、と予測している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月13日、初回イチローを三振にしたオークランドバッテリーのたいへん美しい配球。持ち球の少ないフィスターに「ストレートのみ」で素晴らしいピッチングを披露させたロブ・ジョンソン。2人のキャッチャーの「素晴らしき配球合戦」。

ちなみに、去年デビューのフィスターの年度別捕手別のCERAなど、簡単な数値をあげておく。
昨シーズンのフィスターはダメ捕手城島とばかり組まされ、53イニングでなんと11本もホームランを打たれている。
言い換えると、運の悪いことに彼はデビューイヤーに、まったくといっていいほどロブ・ジョンソンとはバッテリーを組ませてもらってない。つまり、まぁいってみれば、フィスターは「ロブ・ジョンソン効果」の凄さを何も体験しないまま、デビューシーズンを終わってしまったのである。

2009年 フィスターの捕手別データ
(数値はCERA、被打率、被OPS)
城島        53イニング 4.58 .271 .810 
ロブ・ジョンソン  1イニング 1.29 .250 .650
アダム・ムーア  7イニング 0.00 .200 .551
Doug Fister 2009 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

2010年 フィスターの捕手別データ
(数値はCERA、被打率、被OPS)
ロブ・ジョンソン 15イニング 0.60 .120 .294
アダム・ムーア  4イニング  4.50 .333 .817
Doug Fister 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


いかに、2009年の監督ワカマツのチームマネジメントが、ダメ捕手に気をつかって投手を任せてしまい、チームの負けを無駄に増やしていたかがわかる。ほんとうにさっさと首にすべきだった。

2010シーズンはちょっと違う。フィスターとアダム・ムーアとの相性がイマイチだとわかると、サクッとロブ・ジョンソンとのバッテリーに切り替えて大成功を収めた。
2010シーズン開始当初は、ヘルナンデスローランド・スミスがロブ・ジョンソンの担当みたいな感じで始まったが、4月19日の段階では、デトロイト3連戦でローランド・スミスがアダム・ムーアに替わった一方で、4月13日以降フィスターの担当がロブ・ジョンソンに替わったように、柔軟な対応にはなっている。


これからクリフ・リーエリック・ベダードのベテラン投手たちが現場に復帰して陣容が本格的に整うわけだが、アダム・ムーアのリードがどうも単調であることがわかってきているだけに、(去年あちこちを手術しているロブ・ジョンソンの体調面に不安がなければ、だが)先発投手5人の大半をロブ・ジョンソンが受ける時期が遠からずやってくるのが当たり前の結果だと思っている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月6日、スネル、アダム・ムーアのバッテリーが多用し、延長サヨナラ負けを招いた「同じコースにストレート・変化球を続けるパターンの欠陥」をちょっと研究してみる。






April 17, 2010

4月5日のドジャース戦で2010シーズンが始まったピッツバーグのロニー・セデーニョのバッティングが、北の町の桜のように、ゆっくりと、ひっそりとその花を開きつつある。
開幕から8試合で、31打数10安打、打率.323、4打点
9番バッターとしたら、8ゲームで4打点は素晴らしい結果といえる。今年はまだホームランはないが、2塁打は既に4本打っている。
Ronny Cedeno Stats, Bio, Photos, Highlights | pirates.com: Team

4月7日のドジャース第2戦で彼は、延長10回裏にサヨナラヒットを打って、強豪LADをまさかの開幕2連敗に沈めるヒーローになった。
サヨナラ打の後なのだから、チームメイトがセデーニョに走り寄ってきて頭をポコポコひっぱたいて手荒く祝福するのはよくある光景なわけだが、そうされた後のセデーニョがけして笑顔ひとつ浮かべることもなく、むしろ、「むすっ」とした表情なのがかえって表情をあまり変えないセデーニョらしい(笑)
Baseball Video Highlights & Clips | LAD@PIT: Cedeno wins it with a walk-off single - Video | MLB.com: Multimedia

ベネズエラのプレーヤーというと、シアトルの現役にもフランクリン・グティエレスホセ・ロペスフェリックス・ヘルナンデスといるが、そういえばグティエレスもロペスも「あまり笑わない男」というイメージがある。
ポーカーフェイスがベネズエラの国民性なのかどうかは、いつもなんだか意味不明に愛想のいいカルロス・シルバさんか、ベンチでチームメイトと殴りあったことのあるカルロス・ザンブラーノさん、2人の元シアトルの投手にでも聞いてみてください(笑)


なにか、シアトルのGMズレンシックというと、トレードの天才ででもあるかのように考える人も多いわけだが、何度も言っているように、ブログ主は彼がマネージャーとして天才だなんて思ったことはない。ウオッシュバーンのシーズン中のトレードは大失敗だし、セデーニョの放出も失敗だと何度も発言してきている。
セデーニョ、クレメントなどと交換に獲得したジャック・ウィルソンは、サラリーの高さを考えると、別に彼でなければならない理由はないと思う。ショートストップとしてあまりにも打力が無さすぎる。
監督ワカマツにしても、もっとマット・トゥイアソソーポなどに定常的に出場できるチャンスを与えるべきだ。セデーニョがシアトル時代に芽が出にくかったのも、放出先のボルチモアでセンターとして成功を収めたアダム・ジョーンズにしても、シアトルというチームは若手に与える出場機会があまりにも不安定すぎる。あれでは経験が蓄積されていかない。
このままだとトゥイアソソーポも、ルーク・フレンチのようなわけのわからない投手と交換に放出してしまって、アダム・ジョーンズのように「他チームの有望レギュラー」になってしまいかねない。






April 16, 2010

結論は簡単だ。
この10年、阪神タイガースというチームのチーム防御率は毎年1位か2位で、城島が加入したこととは、まったく何の関係もない。むしろ、チーム防御率が4点台に近づくような現状があれば、それこそ阪神タイガースにおける「城島問題」である。


ひさしぶりにあちこちの掲示板を覗いてみて、笑ってしまった(笑)
このところ日本のプロ野球を扱う掲示板等や、ネットのスポーツ記事で、なにかというと「阪神タイガースの防御率がリーグトップ。これは城島が加入して安定したため」とか、なんとか(笑)関西の小学生でもそのレベルの低さがわかる意味不明なキャンペーンが盛んなようだ。
たぶん野球も、野球のデータも知りもせず、また移籍先の阪神タイガースというチームの過去の来歴も知りもしないで間の抜けた発言を繰り返す城島オタクたちの妄言もここまで来たか、としかいいようがない(笑)

まぁ、掲示板の素人ファンが自分の思い込みを掲示板などに晒して世間で恥をかくだけならまだしも、ネットメディアにもこんなアホウな文章を書いて恥を晒している記者もいる。
「現在のチーム防御率はリーグトップで、今季から加わった捕手・城島健司を中心に安定している。」
記事例:圧倒的攻撃力の巨人と防御率1位の阪神が激突=見どころ(スポーツナビ) - Yahoo!ニュース


はっはっは。なんだ、これ(失笑)

日本に逃げ帰っても打率が.250にしかならないと、こんな嘘を書くことしか逃げ道が見つからない、というのも哀れな話だが(笑)、それにしたって、10年も続けて防御率が1位か2位というチームの特性を世間が知らないとでも思って書いているのだろうか。
下手をすると、野球をほとんど知らない人間が書いているのかもしれない。もちろんデータを調べる習慣もないのだろう、可哀想に。どこかのスポーツマネジメント事務所の無能なライターでも雇って書かせているのかもしれない。


もう一度いうと、この10年の阪神タイガースというチームは、そもそもチーム防御率がリーグ1位か2位から落ちたことがない。そして、チーム防御率が4点に近い3点台になったことも、ほとんどない。
そのチームの防御率が4月15日現在で3.75。これの、どこを称して「城島が加入したから安定した」とか意味のわからないことがいえるのか(笑)子供じみた嘘を書いていると人に笑われるだけなのがわからないのだろうか。


ちょっと阪神タイガースの歴史を、チーム防御率から振り返ってみる。
データブック|チームデータ|阪神タイガース公式サイト

(1)2リーグ制以降の「投手王国時代
日本のプロ野球が2リーグに分立した1950年以降、1970年代にかけてのおよそ25年間の阪神タイガースのチーム防御率は、なんと、ほとんどのシーズンのチーム防御率が2点台で、3点台になったすら、ほとんどない。素晴らしい数字である。
これは小山正明(キャリア防御率2.45)、村山実(キャリア防御率2.09)という2人の大投手を擁したことによるものらしい。

(2)1970年代後半以降の「投手暗黒時代
小山・村山の両投手が相次いで移籍あるいは引退した後、1977年から1991年までの10数シーズン、阪神のチーム防御率はほとんどのシーズンで4点台の惨状が続く。1978年には球団創設以来初の最下位に沈んでいる。長い目で見て、投手陣の非常に長い低迷期といえる。
阪神ファンの人たちの中には、1985年には21年ぶりの優勝、そして日本一に輝いたじゃないか!と思う人もいるかもしれない。だが、その1985年すらチーム防御率は4.16である。防御率のいいチームが優勝しやすい近年の野球では、4点台での優勝はとてもとてもありえない。

(3)2000年代以降の「防御率リーグトップ時代
野村克也氏が監督に就任した1999年以降、チームカラーは1980年代とはガラリと変わる。2000年代の10年間でみると、阪神のチーム防御率が4点台になったことはわずか1度しかなく、毎年あたりまえのようにチーム防御率はリーグ1位か2位を記録し続けている。
ただ、もちろん投手陣の全てが良かったわけではない。例えばチーム防御率が3.56でリーグ1位だった2007年でみると、ブルペンの防御率が2.45でリーグ1位なのに対して、先発投手の防御率は4.45でリーグ最下位であったように、チーム内の投手力に大きな偏りがあったことは有名である。

この10年の阪神タイガースのチーム防御率
2010年 3.75 (2010年4月15日時点)
2009年 3.28(防御率1位・リーグ4位)
2008年 3.29(防御率1位・リーグ2位)
2007年 3.56(防御率1位・リーグ3位)
2006年 3.13(防御率2位・リーグ2位)
2005年 3.24(防御率1位・リーグ優勝)
2004年 4.08(防御率2位・リーグ4位)
2003年 3.53(防御率1位・リーグ優勝)
2002年 3.41(防御率4位・リーグ4位)
2001年 3.749(防御率4位・リーグ最下位)
資料:日本プロ野球機構公式HP 年度別成績ほか

もちろんシーズンごとに見れば、防御率3点台前半を記録したチームですら優勝できない投手力優位のシーズンもあれば、1985年のように防御率4点台なのに優勝できてしまう、そういう打力優位なシーズンもある。
そこで2009シーズンの阪神タイガースで「最もイニング数を投げた投手たち10人」の防御率を、今年の数字と比べてみる。

    2009  2010
能見 2.62  5.51
安藤 3.90  6.91
久保 3.75  3.79
下柳 3.62  2.65
岩田 2.68
アッチソン 1.70
福原 4.84
江草 2.71  9.00
藤川 1.25  0.00
筒井 3.71  5.40
(メッセンジャー  6.48
資料:Yahoo!スポーツ - プロ野球 - 阪神タイガース - 投手一覧ほか

説明するまでもない。
大半の投手の防御率が悪化していて、特に昨シーズンに最もイニングを食ってくれた能見安藤両投手が揃って大幅に悪化しているのが、このチームの近い将来の致命傷になるだろう。
先発投手に難があると言われ続けているチーム特性があるとはいえ、2009シーズンに最もイニング数を投げた阪神の投手たちの防御率は、先発・ブルペン問わず、ほとんど全員が3点台以下である。「先発投手の防御率が良くないのが阪神タイガースというチームのもつ大きな欠陥」という言い訳は通用しない。
また、今シーズンになって大幅に悪化した投手もいる一方で、昨年と同じレベルの投手もいることから、防御率の悪化を「飛ぶボール」のせいにしても何の説明にもならない。そういうくだらない言い訳を思いつく暇があったら、仕事しろといいたい。






April 14, 2010

まだ試合は始まったばかりなのだが興奮している。

なぜって、投球術にたけた大投手ロイ・ハラデイや、ベテラン・クローザーのネイサンが投げているわけでもないのに、このゲームの序盤3イニングが、両チームの素晴らしいバッテリーワークによる「両軍配球ショー」のような様相を呈した、非常に稀にしか見られないテクニカルなゲームになっているからだ。
Oakland Athletics at Seattle Mariners - April 13, 2010 | MLB.com Gameday

こんな中身の濃いゲーム、長いシーズンでもそうそう見られないと思う。超レアといってさしつかえない。なぜNHKはこういう素晴らしいゲームを放送しないのだろう。アホウとしかいいようがない。


まずオークランドサイドだが、1983年生まれのカート・スズキが、素晴らしくコントロールのいい1988年生まれの若い左投手ブレット・アンダーソンとのバッテリーで、アンダーソン独特の低めに流れるカーブを非常に美しい配球の中で有効に使って、シアトルの打者たちを手球にとった。
ストレートを左右一杯(特にハーフハイト)に散らしながら、最後は左打者でいえばアウトロー、右打者ではインローに、沈みながら流れるカーブを空を切らせ続けているのである。

一方でシアトルの1983年生まれのキャッチャー、ロブ・ジョンソンは、まだ持ち球の少ない1984年生まれの右投手ダグ・フィスターに、ゲーム序盤、なんとストレートオンリーで勝負させ続け、コースの投げわけのみで、3イニングをもたせてしまった。(4回以降には変化球を混ぜ始め、結局フィスターはなんと無四球で8回を投げ切ってしまった

素晴らしい「配球合戦」である。

追記:試合後のフィスターへのインタビュー
Bradley's homer backs Fister's gem | Mariners.com: News
What worked so well?
何が今日の好投につながった?
"Attacking the hitters, being able to keep the ball down and kept things moving," he said. "[Catcher Rob Johnson] mixed the pitches well tonight."
「打者に向かっていったことだね。常にボールを低めに、そしてボールを動かし続けたこと」とフィスター。「(キャッチャーのロブ・ジョンソンが)今夜はうまく配球してくれたよ」



まずはとりあえず1回裏に天才打者イチローが三振にうちとられた場面から見てもらおう。
敵ながら天晴れ、素晴らしい配球である。たいへんに美しく、無駄がない(ただ、ロイ・ハラデイほどではない。彼は別格だから。)イチローの熱狂的なファンである自分が言うのだから間違いない(笑)

2010年4月13日 1回裏 イチロー 三振1回裏 イチロー
三振


以前に、下記の記事で、6つの配球パターンを紹介した。Pitching Professor Home Pageを主催するJohn Bagonzi氏によってWeb上に発表されている、ストレート、カーブ、チェンジアップ、3つの球種だけを使った6つの配球パターンである。
Pitching Professor Home Page

WebBall.com - Pitch Sequence & Selection

上の画像のイチローへの配球はこうなっている。

外一杯ハーフハイト ストレート 見逃しストライク
外にはずれる カーブ ボール
内一杯のハーフハイト ストレート ファウル
外にはずれる カーブ(2球目とまったく同じ球)空振り三振

まさに、John Bagonzi氏の紹介する6つの配球パターンのうちの5番目、5TH SEQUENCE Living on the outsideである。
三振した球は、見逃してボールになった2球目とまったく同じ球である。天才イチローに、一度は見逃したボール球を振らせて三振にしてしまうのだから、いかにこの配球が素晴らしいかがわかる。
また、これは典型的な「4球で打者を仕留める配球」になっていて、教科書に載せたいくらいの、いい意味でスタンダードな配球だ。野球をやっている多くの人にとてもタメになる教材のような、そういう配球だと思う。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(1)「外角低め」「ストレート」という迷信

5TH SEQUENCE
Living on the outside


1. Fastball outer half
2. Curveball low and away
3. Fastball in
4. Change-up low and away

カート・スズキは、よほどイチローを研究していると見える。なぜなら、以前紹介したように、イチローがメジャーで唯一苦手としているカウントが、「1−2」なのである。そういう部分も、カートはきちんと計算にいれた上でイチローを攻めている。今日のイチローは何度もこの1-2というカウントに追い込まれて、凡退させ続けさせられた。

なお、上に挙げた美しい配球が偶然に生まれたものではないことを証明する証拠を2つ挙げておく。1回裏に三振したフランクリン・グティエレスと、2回裏のチャンスの場面で三振したロブ・ジョンソンへの配球である。
グティエレスの三振の配球もまた「美しい4球配球」である。イチローは左で、グティエレス、ロブ・ジョンソンは右だから、右打者用にアレンジされているが、基本コンセプトは全く同じであることは、下記の2枚の画像を見てもらえばわかると思う。三振したのも、イチローとまったく同じ、低目のカーブである。

2010年4月13日 1回裏 グティエレス 三振1回裏 グティエレス
三振


3球目のストレートと、4球目のカーブは、打者から見て、途中まで少し軌道が似ている。打者の手元に来て、そこからスウッと流れるのだから、いやらしい。3球目をファウルしたグティエレスは、4球目もバットが止まらず、空振り三振。

2010年4月13日 2回裏 ロブ・ジョンソン 三振2回裏 ロブ・ジョンソン
三振


インローに、「ストライクになるカーブ」、「ボールになるカーブ」をしつこく、しつこく投げられて、最近は四球を選ぶのがうまくなってきたロブ・ジョンソンも、さすがに根負けし、三振。


さて、かたやシアトルのロブ・ジョンソンフィスターのこちらも若いバッテリーである。
フィスターのストレートのスピードは90マイル前後しかないのだが、非常にうまく「投げ分けて」、打者に狙いを絞り込ませないで、かわし続けることに成功した。

「投げ分ける」というと、日本ではどうしても「コーナーぎりぎりを、きわどく突く」というイメージをもたれやすいが、それではかえって単調になる。
次の画像のオークランドの6番チャベスを三振にとった場面を見てもらうとわかる。バッテリーが目標にしているのは、「むやみに苦労してコーナーをつくこと」(そしてかえってコースが甘くなり、打者にも狙いを絞り込まれて、ホームランを打たれること(笑))ではなく、「打者の狙いを適度に翻弄すること」である。
適度に翻弄できれば、それでいいのである。

初球  アウトハイ ストレート ファウル
2球目 アウトロー ストレート ボール
3球目 イン ハーフハイト ストレート 見逃し
4球目 アウトロー ストレート 見逃し三振

2010年4月13日 2回表 オークランド チャベス 三振2回表 オークランド
チャベス 見逃し三振


配球がちょうど「三角形」になるのが、このパターンがうまくいっているときの証拠。コーナーいっぱいばかり狙っていると、「四角」にはなるが、「三角形」にはならない。

初球から高めの球を使うのが、とてもロブ・ジョンソンらしい。何度も紹介しているように、彼の得意パターンの「アウトハイ・インロー」でも、高めの球から入る。
上で挙げたイチローの三振では、見逃した2球目を4球目で空振りして三振したが、チャベスは、2球目と似たコースの4球目を「見逃し」て三振している。
カート・スズキブレット・アンダーソン「振らせる三振」と、「見逃させる三振」の、ここが違いである。
おそらくチャベスはこの場面、変化球か、インコースのストレートでも待っていたのかもしれない。チャベスにそう思わせた、つまり、狙いをはずさせた原因は、明らかに3球目のストライクが、アウトローいっぱいではなくて、インコースのハーフハイトだったからだ。

もし3球目のストライクがアウトローいっぱいのストレートだったなら、どうだろう。打者に4球目を予測されて、投手には大きな制約、足枷(あしかせ)ができる。例えばアウトローに変化球をもってきてもファウルできてしまうかもしれないし、アウトローに2球続けてストレートでも、3球目で同じ球で追い込まれたプロの打者は同じ球筋を見逃してはくれない。
だからこそ、「ダメ捕手城島のごとく、ワンパターンにアウトローを突き続ける」のではなく「3球目のインコースがハーフハイトだからこそ、利いている」と明言できるわけだ。


こちらはおまけ。
いつもの「アウトハイ・インロー」パターンである。ここでは、ロブ・ジョンソン、フィスターのバッテリーはカーブを使った。
何度も言っているように、「アウトハイ・インロー」では、ストレートから入ったら、次にはストレートではなく、球種を変え、変化球を投げることがほとんどだ。これは高さだけでなく、球種も変えることで、打者に「アウトハイ・インロー」パターンの変化のスケールを大きく見せる狙いがあるのだと思う。
上で示した「イン・アウトのコース、ハーフハイトの高さを有効に混ぜながら、ストレートだけを投げわけて、打者の狙いをかわし続けるパターン」とは大きな違いがある。

2010年4月13日 3回表 ペニントン センターフライ 3回表 オークランド
ペニントン
センターフライ







April 10, 2010

去年、「キロス問題」(参照:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」)以降、いろいろと落ち着かないシーズンを過ごしたバルガスが、先発投手としての開幕を迎えた。いまちょうどテキサス相手に投げている最中だが、どうにもハラハラする(笑)
Seattle Mariners at Texas Rangers - April 9, 2010 | MLB.com Gameday


彼の持ち球の命といえば、本人いわく、チェンジアップ、ということになるが、野村克也氏の言う「3拍子パターン」を、1回表からずっと続けている。ストレートを2球ほおっておいて、3球目にチェンジアップ、という典型的な「3拍子パターン」である。
(ゲームの中盤からは、ストレートを2球続けてからチェンジアップにいくパターンを、チェンジアップから入ってストレートというパターン、あるいは、ストレート、チェンジアップ、チェンジアップというパターンに変えたが、それでも、チェンジアップの球数が多すぎる。
結局のところテキサスの打者は初球か3球目のどちらかにチェンジアップが来ると予測できてしまう。)

いつテキサス打線につかまってしまうのか、非常に心配しながら、ハラハラして観戦しているのである(笑)なんとか最後までもってもらいたい。


かつてダメ捕手城島の使った3拍子パターンについては一度指摘したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(5)実証:ロブ・ジョンソンと城島との違い 「1死1塁のケース」


ちなみに、テキサス打線というのは、低めの球に異常に強く、高めに弱い。そのことも去年一度書いた。ロブ・ジョンソンはそこを逆手にとって、「高めのストレート」から入る配球でテキサス打線を翻弄したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:最終テキサス戦にみるロブ・ジョンソンの「引き出し」の豊かさ (1)初球に高めストレートから入る


バルガスのチェンジアップについてはいろいろと書きたいことがあるので、この記事は後で書き足そうと思う。






ブランドン・モローの移籍したトロント・ブルージェイズというチームは、日本では、去年まで大投手ロイ・ハラデイが在籍してチームという以外にほとんど知名度はないと思うが、なんといっても2009シーズンにDHとしてア・リーグのシルバースラッガー賞を受賞し、どこかのベストナインにも選出された「1983年世代」のアダム・リンドが注目株。
メジャーを席捲する1983年世代というコンセプトで一度記事を書いたことがあるが、アダム・リンドは、まさにこの1983年生まれだ。


アダム・リンドがドラフトにかかったのは2004年(3巡目 全体83位)だが、カート・スズキ(2巡目 全米67位)、ロブ・ジョンソン(4巡目 全体123位)、テイラー・ティーガーデンのア・リーグ西地区のキャッチャー3人も1983年生まれで、まったく同じ。

1983年前後に生まれたメジャーリーガー、つまり、このブログの言う「1983年世代」は、どういうわけか、キャッチャーにたくさんの有望選手を輩出している。2001年全米ドラフト1位でいまやメジャーを代表するキャッチャー、ジョー・マウアー、ナ・リーグを代表する2人のキャッチャー、Fielding Bibleいちおしのディフェンシブなヤディア・モリーナと、オールスターに選出された強打のブライアン・マッキャン、ほかにもCERAのいいドジャースの正捕手ラッセル・マーティン、今年アナハイムの正捕手になったジェフ・マシス、アリゾナのミゲル・モンテーロ、コロラドのクリス・アイアネッタ(2004年4巡目 全体110位)。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月2日、「MLBキャッチャー世代論」1:堅守を基礎にした「1983年生まれ、26歳世代」の台頭が引き起こす大きなキャッチャー世代交代の波。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月3日、「MLBキャッチャー世代論」2:古いキャッチャーイメージを淘汰する「1983年世代」の新しいキャッチャーイメージ。

捕手以外も1983年世代はスターが揃っている。Ryan Braun、Zack Greinke、Dustin Pedroia、Hanley Ramirez、Jose Reyes、Miguel Cabrera、Edwin Encarnacion、Casey Kotchman、Nick Markakis、Cole Hamels、Ervin Santana、Justin Verlander、Huston Street。各チームの主力となりつつある若い選手がズラっと揃っていて、シアトル関連でも、フランクリン・グティエレス、ホセ・ロペス、マーク・ロウ、ロニー・セデーニョがこの世代に属している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月12日、2009年の攻守あらゆるポジションと賞を席捲し、これからのメジャーを担う「1983年世代」。


今年LAAのマイク・ソーシア監督はどうやら今年はマイク・ナポリではなく、ジェフ・マシスを正捕手にしたようで、これで、ア・リーグ西地区の全てのチームに「1983年世代」のキャッチャー全員がズラリとスターターに顔を揃えた形になった。

シアトル   ロブ・ジョンソン 1983年生まれ
オークランド カート・スズキ  1983年生まれ
アナハイム  ジェフ・マシス  1983年生まれ
テキサス   ジャロッド・サルタラマキア 1985年生まれ
       テイラー・ティーガーデン  1983年生まれ
注:テキサスは本来はサルタラマキアを開幕から使っていたわけだが、彼が怪我でDL入りしてしまったために、昨年デビューして期待はずれに終わって控えに回ったティーガーデンにチャンスが回ってきた。なんとも運のいい男である。






ブランドン・リーグなどとの交換でトロントに移籍したブランドン・モローが3番手のスターティング・ピッチャー(SP=先発投手)として、ボルチモア戦でデビューした。まずはおめでとう。ブランドン。
Toronto Blue Jays at Baltimore Orioles - April 9, 2010 | MLB.com Gameday

結果だけみると、5回84球を投げ、5失点。初回のミゲル・テハダの2点タイムリーなどによる3失点より、5回に同じテハダに浴びた2ランがもったいない。あれさえなければ、とりあえず5回3失点でまぁまぁの終わり方ができた。
3失点の初回はともかく、2回以降のイニングでは公式サイトのライターも言っているように、なかなか良いピッチングだった。現にヒットはテハダの2本含め、4本しか打たれていない。

初回の3失点は、ブライアン・ロバーツの四球(2盗)を皮切りに、死球、四球、で、ノーアウト満塁から、テハダに2点タイムリーをかまされた。ちょっと、ブランドン・モローの「ノミの心臓」は治ってはいないようだ(苦笑)
なんというか、この人、いつもそうだが、「自分で勝手に切羽詰ってしまう」ところがある。真面目すぎる。1回表に味方に3点もらって、責任感から自分で勝手に緊張したのに違いない。困ったものだ(笑)
なんにせよ、5イニングで5つ出している四球の多さは相変わらずいただけないが、工夫次第でなんとかなりそうなレベルなのだから、次の4月14日のシカゴ戦登板で失点が減るよう頑張ってもらいたい。

勘違いのないように確認しておくと、モローが今日84球で降板したのは予定の行動。なんでもスプリング・トレーニングで炎症かなにかだろうが肩の軽い故障があり(fatigued right shoulder during Spring Training)、チームとしては当面85球を限度に投げさせる方針と、ゲーム前からチームのコーチが明言していた。
Brandon Morrow - Fantasy News & Updates | MLB.com: Fantasy Baseball


モローより、ちょっと心配なのが、1回裏にセカンドをスティールしたボルチモアのブライアン・ロバーツの怪我。
本当にいやらしいバッティングをするプレーヤーで、長打も打てるし守備もうまく、大好きなプレーヤーのひとりだが、どうもスティールした際のヘッドスライディングでどこか傷めたらしく、2回からフリオ・ルーゴにセカンド守備を交代している。
いちおう「腹を打ったから」というのが表向きの交代の理由らしいが、彼は1月に椎間板ヘルニア(herniated disk)を発症していることから、気がかりなのは、それとの関連。
まだ寒いアメリカの4月に、ヘルニア持ちのプレーヤーが身体を反らす必要のあるヘッドスライディングしてはいかんだろう、とは思うが、ロバーツも今年ヘルニアになったばかりで、あまり故障について自覚がなく、夢中でセカンドに頭から滑り込んでしまったのだろう。彼らしいハッスルプレーではある。大事(おおごと)にならなければよいが。
Roberts exits game with abdominal strain | MLB.com: News






April 07, 2010

子供の頃よく遊んでもらった年上の従兄弟がいた。
明るい性格で、独特の通る声で喋る、長男らしい面倒見の良い男だった。

建設会社に勤務したとは聞いていた彼と社会人になってから連絡しあうことはなくなっていたが、突然家族から連絡があってたいへん驚いたものだ。かけつけることのできる一番近い親族が自分だというので連絡してきたらしい。



白いベッドに静かに横たわる彼の顎には、病室に通うたびにうっすらとヒゲが伸びていき、まるで眠っているように見えた。手も身体も暖かい。ただ意識だけがなかった。

クモ膜下出血。

脳死状態だった。いつ生命維持装置をはずすか、それだけが家族に選択肢として残されていた。
彼は結婚したばかりだったが、抱えている仕事がたいへんに忙しく、新婚旅行を先延ばしにしてまで仕事を片付けている最中、自宅玄関でバタリと倒れたと聞いた。



あれから何年もの時間が経った。
僕は今年も野球を見ている。

報道されてはいないわけだが、
木村拓也コーチのご家族が実際にはどういう立場にあったか、大体わかる。


あの従兄弟のことを思い出さない年は、一年もない。
うっすらと伸びていくヒゲ。暖かいままの手。白いベッド。
今もありありと思い出すことができる。


僕は今年も野球を見ている。
年を経るごとに父の好きだったものを好きになる自分を見ている。

昨日のヘルナンデス、ロブ・ジョンソンのバッテリーから、2戦目はスネルアダム・ムーアのバッテリーになった。

このバッテリーの場合に配球の主導権がピッチャーとキャッチャー、どちらにあるのかはわからない(ゲーム終盤に投手が変わっても配球パターンが変わらなかったから、たぶんアダム・ムーアだと思う)のだが、去年アダム・ムーアについて一度指摘した「ワンパターン化しやすい」という特徴が非常に強く出ているゲームのように思うので、ちょっと書き留めておきたい。
Seattle Mariners at Oakland Athletics - April 6, 2010 | MLB.com Gameday

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.: メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(6)実証:アダム・ムーアの場合



下に挙げたのは、4回裏に5番のカート・スズキにホームランされたシーンである。ストレートと変化球を、同じ位置に集めていることに注目してもらいたい
2球目に真ん中低めに89マイルのストレートを投げ、3球目に、2球目とまったく同じコースに77マイルのスローカーブを投げて、スタンドに放りこまれた。

2010年4月6日 4回裏カート・スズキ ホームラン4回裏 カート・スズキ
ホームラン

ストレート(2球目)
2球目と同じコースのスローカーブ

次の打者は6番のチャベス。ホームランを打たれた直後だったが、さっそくシングルヒットを打たれ、この後、2死満塁のピンチになった。
チャベスへの初球は、真ん中に危ないストレートを投げ、1球おいて、3球目にチェンジアップを初球ストレートと同じコースに投げ、シングルヒットを打たれている。

2010年4月6日 4回裏チャベス シングル4回裏 チャベス
シングル

初球ストレート
初球と同じコースのチェンジアップ

この「まったく位置に、ストレートと変化球を続けて投げる」という配球パターンは、なにも4回だけではなく、このゲーム当初から何度も何度も繰り返し使っている。9回裏1死満塁でデイビスへの最初の2球でも使ったし、10回裏2死1、2塁で、マーク・エリスへの最初の2球でも使った。

4回裏以外の例をあげてみよう。

3回裏。9番ペニントンの打席。インハイに、チェンジアップ、ストレート、ストレートと、3球続けている。ペニントンに通用したパターンを次のイニングでも使って、カート・スズキにホームランを打たれているだが、やはりカートはキャッチャーだから、やはり相手のパターンの単調さを見逃さなかったのかもしれない。

2010年4月6日 3回裏ペニントン サードフライ3回裏 ペニントン
ピッチャーゴロ

チェンジアップ
初球と同じコースのストレート
3球続けて同じコースのストレート


そして、サヨナラヒットを打たれた10回裏のマーク・エリス
このサヨナラヒットが最悪なのは、初球のストレートの後に投げた2球目のカーブが初球のストレートと同じコースで、さらに、3球目に、2球目とまったく同じ球を3球目にも投げていること。2重にミスを犯しているわけだ。
同点でヒットが出ればサヨナラ負けのこの緊迫した場面でこれは、明らかに配球ミスとしか言えない。

2010年4月6日 10回裏2死1,2塁 マーク・エリス サヨナラヒット10回裏 マーク・エリス
サヨナラヒット

ストレート
初球と同じコースのカーブ
2球目と全く同じカーブ


カーブを有効に使うために、わざとストレートを高めに投げておく、という配球パターンについて、Hardball Timesの論文を紹介したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(4)「低め」とかいう迷信 研究例:カーブを有効にする「高めのストレート」
元資料:Hardball Times
Pitch sequence: High fastball then curveball

上のHardball Timesの記事を詳細に読んでもらうとわかるが、要点は、同じコース上にストレート、カーブと連投する場合に、「カーブの縦方向の落差」を有効に活用するために、つまり、カーブがストンと落ちて見えるように、最初に投げるストレートをあらかじめ故意に高く投げておく、という点であることは明白である。

結論を先に言ってしまえば、
今日アダム・ムーアの使った配球パターンと、Hardball Timesの紹介している配球とは、まったくの別物である。原因もハッキリしていて、ストレートと変化球の高さを変えずに投げていることがいけない。

Hardball Timesの記事が言いたいことの要所は、何度も言うが最初にストレートを高めに投げておくこと、である。そうすることで、ストレートの次に投げるカーブの「タテ方向の落差」が、打者から見ると際立って見える。つまり、カーブが、投手から打者に届く間に、最初はストレートと同じような軌道で来て、そこからストンと縦に落ちるように錯覚させることができる、と、言っているのである。だから、打者はカーブへの対応が遅れ、ミスショットさせることができる。

もし、ホームプレート上で同じ高さになるように、ストレートとカーブを続けて投げるとどうなるか。
キャッチャーにボールが届いたときにストレートとカーブが同じ高さ、ということは、逆算すると、投手の手を離れた瞬間には、明らかにカーブのほうが高い軌道を描く。
これでは、打者が投手の手をボールを離れていく瞬間に、ああ、ストレートと違うボールが来るなとバレてしまう。
それではまったく意味がないのである。


このゲームでの下記の4回裏の成功例と比べて見てもらうと、
Hardball Timesの主張したい部分がよくわかると思う。
4回裏に、カート・スズキにホームランされた後、2死満塁まで進んで、1番デイビスをピッチャーゴロに抑えたシーンである。

2010年4月6日 4回裏2死満塁 デイビス ピッチャーゴロ4回裏 デイビス
ピッチャーゴロ

初球93マイルのストレート
2球目が、87マイルのチェンジアップ

この2球は、GameDayの画像でみたりすると、かなり高さに差があって、まったく違う高さのように思われがちだと思うが、実際の球の軌道の見え方としては、右投手であるスネルが、右打者に、高めのストレートと、アウトローのチェンジアップを投げているわけだから、いわゆる「投手の球の出所(でどころ)」は、GameDayで見るほど差がないはずなのである。



投手の手からボールが離れ、打者にボールが来るまでのプロセスで、ストレートとカーブで大きな軌道の差を打者に見せない、そのために、最初のストレートをわざと高めに投げておく、というテクニックが、Hardball Timesの言わんとする、「カーブを有効にする高めのストレート」という論文の要点なのだ。






April 06, 2010

とうとうシアトルの開幕戦がやってきた。5年契約を結んだばかりのフェリックス・ヘルナンデスが先発。先発キャッチャーは良き相棒のロブ・ジョンソン
Seattle Mariners at Oakland Athletics - April 5, 2010 | MLB.com Gameday

立ち上がりのヘルナンデス、ロブ・ジョンソンのバッテリーはとにかくストレートをほうらなかった。シンカー、シンカー、また、シンカー。高速シンカーだらけ。そしてチェンジアップとカーブ。まるで王健民ばりのピッチングである(笑)

結果からいうと、ヘルナンデスはストレートを温存した。いざというときにならないと投げないし、投げるときには目の覚めるようなストレートをほおって三振を奪う。
ヘルナンデスに7分目のチカラで投げる貫禄が出てきた。素晴らしい。

またロブ・ジョンソンは今日のゲームで4つのダブルプレーをオークランドに食らわせた。去年同様、要所でダブルプレーに仕留めるロブ・ジョンソン流は健在である。(ロブ・ジョンソンが開幕試合でホームランを打ったのは出来すぎだが(笑)四球2つを選んだことがたいへん素晴らしい)
まだゲームは終わってないが
そして開幕戦勝利! 今年も彼らは頼りになりそうだ。


盗塁の多さ、四球の多さ。出塁率の高さ。そして打線の繋がり。2010年シアトルは、何もかもが変わろうとしている。


いくつか配球を紹介しておこう。
最初はハーフハイトのボールを多用したブログ主好みのパターン。

2010年4月5日ヘルナンデスのキレ味冴える配球ハーフハイトの配球パターン(3回裏・デイビス)

初球、2球目とインコースを変化球で突いて意識させておいて、3球目にいきなり、ほとんどここまで投げてこなかったストレートをアウトハイにズバン!と投げ、打者デイビスにファウルさせた。
この3球目を振らせたことで、4球目のアウトコース一杯に決まるカーブはまったく打者が手が出なかった。素晴らしい三振。



2つ目は、去年さんざん紹介してきた「アウトハイ・インロー」の典型的パターンだ。
日本では決め球はアウトローと決めてかかりやすいためか、「インハイ・アウトロー」パターンが多用される。インハイに変化球を投げておいて、決め球はアウトローにストレートを投げたがる。日本のプロ野球の中継でも見ながら一度メジャーの「アウトハイ・インロー」パターンと比べてみてほしい。
だが、メジャーでは(もちろん投手全員ではないが)、インロー(またはインコースのハーフハイト)にストレートを見せておいて、勝負球としてアウトハイに変化球を投げたりもする。まったく逆パターンである。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(2)「外角低め」「ストレート」という迷信 実例:「アウトハイ・インロー」の対角を使うメジャーのバッテリー

また、アウトのハーフハイトに変化球を何度も見せておいて、最後にインハイのストレートで勝負するパターンなども、配球教科書の最初のパートにのっていたりする。アウトローで決めることに固執しない様々な配球パターンが、若い頃から教え込まれているわけである。

4TH SEQUENCE
Away, away and in

1. Fastball lower outer half
2. Repeat fastball lower outer half
3. Curveball away
4. Fastball up and in

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(1)「外角低め」「ストレート」という迷信


ロブ・ジョンソンの多用するMLBで典型的な「アウトハイ・インロー」パターンは、コースの内外(うちそと)、高低を投げ分けるだけでなくて、早いストレート系のボールの後に緩い変化球(または逆)を投げることが多く、球種も変えてくる。つまり、球種の変化、ボールの軌道の変化に加えて、速度の変化、つまり緩急も加わる。
見た目にはただ内外に投げ分けているだけのように単純に見えるが、ヘルナンデスとロブ・ジョンソンのバッテリーでは、要所で多用され、非常に高い効果を挙げている。

2010年4月5日 開幕戦アウトハイ・インローの典型的パターン典型的な「アウトハイ・インロー」のパターン(5回裏・チャベス セカンドゴロ)

初球、アウトハイのカーブ。
2球目、インローに速度のあるシンカーで討ち取った。
ボールの内外のコース、高さ、、球種、ボールの軌道、速度、たった2球だが、あらゆる面で打者の目先を変え、けして打者にバットにまともに当てさせない。
2球目が、1球目と同じ速度のカーブではいけない。球種とスピードに変化がつかないからだ。だから2球目は、2シーム、速度のあるカットボール、速度のある高速シンカーなどでなければならない。







2010シーズンがとうとう開幕を迎えたが、ジェフ・クレメントが移籍先のパイレーツで一塁手として先発出場した。
心からおめでとう、クレメント。これからの長いシーズンが君にとって満足のいく素晴らしいシーズンでありますように。
Los Angeles Dodgers at Pittsburgh Pirates - April 5, 2010 | MLB.com Gameday


今年のピッツバーグ・パイレーツは、なんだか面白い。いろいろなところから素質を秘めたプレーヤーを、移籍市場のマネーゲームとはまた別のルートで着々と集め、開幕を迎えた。開幕戦ではいきなり強豪ドジャースをバッティングで打ち負かしてしまうのだから、今年はちょっと違う。
1番に、あの大怪我のあとタンパベイから移籍した岩村
3番ライトは、ミネソタからやってきた2009年にわずか82ゲームで21本もホームランを打った強打の若手ギャレット・ジョーンズ
そしてショートはシアトルが放り出したロニー・セデーニョ、そしてとうとうメジャーのレギュラーポジションを掴んだジェフ・クレメントが一塁手。

特に注目なのはドジャース戦でもう2本のホームランを打ったギャレット・ジョーンズ。昨シーズン途中にテキサスからロサンゼルスに移籍したLAD先発のヴィンセント・パディーヤをさっそくぶちのめした(笑)パディーヤはテキサス在籍時にシアトルと対戦した、イチローファンにはお馴染みの投手。防御率こそよくないが、イニングを食える好投手だと思うし、悪くない。そのパディーヤをいきなりぶちのめしまくるギャレット・ジョーンズ、最高である(笑)
2010オールスターゲームはエンゼルスのホーム、アナハイムだが、そこでギャレット・ジョーンズの姿を見ることができそうな気がする。ぜひホームランダービーに(テキサスのジョシュ・ハミルトンのオールスターデビューのように)、もうひとりナ・リーグの若手で活躍を期待しているナショナルズのライアン・ジマーマンとともにリーグ代表として出場し、バットを思う存分ぶん回してもらいたいと思う。

去年さんざん言ったことだが、ロニー・セデーニョのバットにはけっこう期待できると思う。レギュラーで使ってやれば結果を出すはず。2009年のようなキレギレの起用では、誰だって結果など出せない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:移籍後のロニー・セデーニョ


さて近年シアトルから移籍していったプレーヤーたちの開幕にも多少触れておこう。

ボルチモアを経てドジャースに移籍したジョージ・シェリルの開幕戦は、ちょっと散々だった。5番手として登板して、ピッツバーグの4番でキャッチャーのドゥーミットにホームランを打たれるなどして、3失点。チームの負けを決定づけてしまった。
そしてシェリルの後に投げたLADの6番手が、どういうわけか、あの「ウィーバー兄」こと、ジェフ・ウィーバー(笑)敗戦処理投手として開幕を迎えた。まだ野球をやっていたのか、という感じ。しぶとい男だ(笑)

ラウル・イバニェスは、フィリーズ移籍2シーズン目を6番レフトで迎えた。
Philadelphia Phillies at Washington Nationals - April 5, 2010 | MLB.com Gameday
フィリーズの開幕投手は、シアトルに来たクリフ・リーとの三角トレードで今年からフィリーズの大投手ロイ・ハラデイ
何度も語ってきたことだが、「少ない球数で長いイニングを投げ切る技術」にかけて、メジャーの現役投手で、ロイ・ハラデイを超える投手など存在しない。投球術においては、現役最高。芸術といえる領域に入っている。このゲームでも、88球で7イニングを投げている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』 序論:2009年9月30日、大投手ハラデイの「配球芸術」

その大投手ハラデイが早くもフィリーズに1勝目をもたらす一方、対戦相手ナショナルズの3番手として登板したのが、ミゲル・バティスタ(笑)。わずか1回2/3の間に、3安打4四球で、5失点。まさに期待を裏切らない男である(苦笑)野球の神様が愛しているのはやはり大投手ロイ・ハラデイであって、詩人ミゲル・バティスタではない。
ナショナルズには、かねてから期待しているライアン・ジマーマンがいて、さらに今シーズンからは一度記事を書いたことのあるアダム・ケネディがオークランドから移籍して、楽しみにしているので、バティスタには、どうか大人しくマイナーにでも行っておとなしくしているか、引退するかしてもらいたいものだ。

最後にカンザスシティに放り出されたユニスキー・ベタンコートは7番ショートで先発。なんと、デトロイトの好投手ジャスティン・バーランダー相手にフルカウントまで粘って、9球目をセンターへ放り込む2ランホームラン。天才なのか凡人なのか、いつまでたってもよくわからないままの男である(笑)
Detroit Tigers at Kansas City Royals - April 5, 2010 | MLB.com Gameday






April 05, 2010

MLBのデータは見ていて飽きない。スポーツのデータそのものが、ひとつのエンターテイメントとして確立している。
Baseball Reference、ESPN、MLB公式、SI.vom、CBS、FOX、項目数の豊富さもデータ・サーフィンの面白さを支えている重要な要素だが、さらに、項目ごとにソートできることなど、データの取り扱いの自由度が高いことも、データを眺める楽しみにとって大事な部分。自分でいじれる自由さはプレーヤーやチームごとの比較に欠かせない。また年代をさかのぼって調べるのが簡単なのもありがたい。

日本のメディアでは、こうはいかない。
日本のプロ野球の基礎データを常時提供しているサイトはいくつかはあるが、いかんせん、データをソートできる程度のサービスすら、ほとんどやっていない。一部ソートできるヤフーですら、せいぜい上位30人程度の選手しか表示されない。これでは、例えば競馬のデータサイトの充実ぶりなどに比べてレベルが低すぎる。
関連メディア同士で費用を出し合って共同の会社でもつくってデータ収集し、ネット上での無料データ提供を早くやるべきだ。


ヤフーの野球ページは、デザインがしょぼいのもあるし、どうも好きになれない。だがまぁ上位30人程度はソートできる。

2010シーズンのパ・リーグの打者を出塁率でソートしてみると、OBP(出塁率).350以上をマークしている13人の打者のうち、なんと半数の6人がロッテのプレーヤーで占められている。
9人のスターターの3分の2にあたる6人もの打者がOBP.350を越えているチームが1チームだけあるのだから、そりゃ順位も1位にもなるわけだ。なかでも西岡大松といったバッターは魅力がある。OBPだけでなく、OPS、得点圏打率も高い数値をたたき出しているのが素晴らしい。
今のところオリックスのカブレラやラロッカといったプレーヤーなども、たしかに出塁率は高いが、彼らは得点圏打率がたったの1割前後しかない。これではシーズン通して頼りになるかどうかわからない。ロッテの打者たちの数値は、こういうムラがない。
Yahoo!スポーツ - プロ野球 - パ・リーグ打者成績 - 出塁率

同じ話を、セ・リーグで見てみるとどうだろう。
OBP.350を越える打者17人の内訳は、巨人5人、中日4人、ヤクルト3人、横浜・阪神各2人、広島1人となっている。4月4日現在のOBPの高い打者数とチーム順位は、寸分の狂いもなくピタリと重なっているのが面白い。
Yahoo!スポーツ - プロ野球 - セ・リーグ打者成績 - 出塁率

開幕したばかりで打数が少なく、打率とOBPがほぼ連動してしまうような時期だから、現時点でチーム打率自体がずば抜けて高いロッテ、巨人、中日、ヤクルトの4チームの勝率の高さを、単純にOBPだけで説明しようとするのは馬鹿げているわけだが、これだけ出塁できるバッターをズラリと揃えた上位チームが簡単に調子を落とすわけはない。
少なくとも、これら4チームの出塁率の高さは注目に値する。これからも数値の推移と順位の関係を注目するといいと思う。


この何年かで、日本のプロ野球ロッテが出塁率重視の戦力整備を進めてきていることは、元ロッテ監督のボビー・バレンタインがアメリカから連れてきたアナリストのポール・プポ Paul Pupoの存在などからも、よく知られている。

ポール・プポのヒッティング・チャートポール・プポの
ヒッティング・チャート

ポール・プポのピッチング・チャートポール・プポの
ピッチング・チャート

ポール・プポのピッチング・チャート 2ポール・プポの
ピッチング・チャート

ボビー・バレンタインは、Paul Pupoを称して、「ミスター・インフォメーション」と呼び、非常に信頼して頼りにしていたことを自分のブログで詳細に紹介している。
ボビー・バレンタイン監督の公式ブログ / Bobby Valentine’s Official Blog Site » Blog Archive » Paul Pupo, Mr. Informationポール・プポ「ミスター情報」

プポ家は、ポール・プポ含め、男兄弟が揃って野球選手の野球一家。長兄のLen Pupoは、1967年と68年にボルチモア・オリオールズのシングルAでプレイしているスイッチヒッター。Baseball Referenceにもちゃんと記録があった。たとえシングルAの選手でもこうしてきちんと記録が残っていて、すぐに詳細な成績を取り出せるのは、本当に素晴らしいことだ。
Len Pupo Minor League Statistics & History - Baseball-Reference.com

なんでもプポの母親の作る料理は超美味いらしく、何軒かレストランを開いているほどだ。
プポの母親が最初に店を出したのは、ワシントン州の中心都市シアトルから東へ338マイル(=約540km)のところにある街、スポケーン Spokane
スポケーン ワシントン : ライラック・シティ
バレンタインのドジャースでのキャリアは、3Aより前のルーキーリーグ時代にさかのぼるが、スポケーンには、バレンタインが新人プレーヤー時代に所属していたドジャースのマイナーが置かれている。イタリア系アメリカ人であるボビー・バレンタインは、ドジャースの3Aにいた1969年にスポケーンでポール・プポと出会ったらしい。
当時のドジャースのルーキーリーグの監督が、のちに1976年にドジャース監督に就任するイタリア系のトミー・ラソーダ。ボビーをスカウトしてきたのも、スカウト時代のラソーダである。
ラソーダも、プポの母親の料理を非常に気にいっていたらしい。プポの母親がシアトルに出した2軒目のレストランはイタリア料理のようだが、バレンタインもラソーダもイタリア系だし、プポ家の家系もおそらくイタリア系だろうと想像するが、バレンタインのブログではその点は触れられてない。
1970年代にバレンタインはプポ家のレストラン事業とは無関係に自分自身の手でレストランを持ったが、後にポール・プポにレストラン経営の助力を頼んだなどから、以降、2人はレストランビジネスでも協力関係にある。

ちなみに、プポというラストネームは東海岸と、西海岸に多く分布しているらしい。
Pupo Family History Facts 1920 - Ancestry.com


ボビー・バレンタインは、ワシントン州との関係が深い。彼がメジャーリーガーとしてのキャリアを終えたのは、1979年の創設して間もない時代のシアトル・マリナーズで、ユーティリティー・プレーヤーとして、62ゲームに出場した。
ワシントン州で野球選手としてのキャリアを始めたボビーだが、選手キャリアの最後もワシントン州で終えているわけで、シアトルの監督候補に挙がることがあるのは、こうした色々なワシントン州との縁があるからなわけだが、やはりなんとなく彼はシアトルよりLAドジャースとの関係の濃い人間という印象が強い。
ボビー・バレンタインの現役成績
Bobby Valentine Statistics and History - Baseball-Reference.com


1979年のシアトル・マリナーズの選手たち
1979 Seattle Mariners Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com



なお、ロッテの快進撃については、ポール・プポと同じように分析的な指導スタイルで知られる打撃コーチの金森栄治の功績と考える人もいるようだ。
金森のコーチとしての実績を詳しく知らないのだが、ブログ主としては、どうにもBS解説者時代の、あの「しゃべりが異常に下手で、まったく無口とさえいえる、解説者にまったく向いていない男」という金森の印象が強すぎて、とても、あの「無口な、キレのない男」が、弁舌さわやかに野球というゲームを分析しているとは到底思えない(苦笑)
例:2010/03/22 西武vsロッテ 3回戦 / 日刊埼玉西武ライオンズ






April 03, 2010

先日NHK-BS1で、野球のアンパイアが大きな身振りでストライク、セーフ、アウトなどの判定結果を表したり、ベンチとプレーヤーの間でブロックサインが使われたり、つまり、野球に身体を使ったジェスチャーによる意思伝達システムが導入されるようになったのはいつなのか、というアメリカ制作のドキュメンタリー番組を放送していて、なかなか興味深かった。
BSの番組は再放送されることが多いから、そのうちまた放送するのではないかと思う。機会があったら、なかなか面白い番組だったので、見るといいと思う。


番組で紹介しているのは、2つの説。ダミー・ホイ Dummy Hoy起源説と、Bill Klem ビル・クレムを起源とする説。


ダミー・ホイ

ダミー・ホイ Dummy Hoy (William Ellsworth "Dummy" Hoy 1862年5月23日-1961年12月15日) は、メジャー史上3人目の聴覚障害をもったメジャーリーガーで、1888年から1902年までプレーした。イチローがシーズン安打記録を破ったジョージ・シスラーより前の時代の人といえば、その古さがわかるだろう。デビューした1888年には盗塁王になっている。
Hoy became the third deaf player in the major leagues, after pitcher Ed Dundon and pitcher Tom Lynch.
Dummy Hoy - Wikipedia, the free encyclopedia
野球ができた頃、アンパイアは最初は大きな動作はなく、声だけでボール/ストライクのコールをしていたらしい。だが3歳のときの髄膜炎がもとで聴覚障害のあったホイはそれを聞くことができない。そのためアンパイアが一定の動作で判定を伝えるように配慮し、それが審判スタイルとして定着していった、というのが、普通に言うダミー・ホイ起源説だ。
だがBSの番組では、ホイのために、アンパイアではなく、サード・コーチャーがボール/ストライクのコールをサインで伝達した、それが他のチームでも真似されていき、野球のブロック・サインの起源になった、というような、多少違う説明だったと思う。


ちなみに、聴覚や言語の障害を表す英単語や、野球選手のニックネームについて、少し話をしておかなければならない。
deaf 聴くことに障害がある
dumb 喋ることに障害がある
ホイの本名はあくまでWilliam Ellsworth Hoyであって、ダミー・ホイではないわけだが、これはベーブ・ルースの本名がGeorge Herman Ruthというのと同じで、それ自体は特に珍しくはない。
ホイのニックネームになっているdummyダミーという単語は、ほかにも聴覚障害のあったダミー・テイラーという投手がいた例があるように、聴覚障害をもったメジャーリーガーに共通して使われた。
dummyという単語の起源は、「モノいわぬ」という意味のdumbという言葉にあるわけだが、聴覚障害のあったダミー・ホイは、たしかにdeafではあったが、ゲーム中にフライを捕球するプレーで大声を上げて他のプレーヤーに知らせていたように、けしてdumbであったわけではない。
要は、dummyという単語は「トンマな」というような揶揄する意味を含んで使われていたわけである。当時の時代背景において、それがどのくらい侮蔑的な意味だったか推し量るのは容易ではないが、見ず知らずの他人に軽々しくクチにしていい単語ではないのは間違いない。
(なお、一部サイトでDammyと表記しているのを見たが、それは明らかに誤記で、Dummyが正しい)


ビル・クレム (William Joseph Klem、1874年2月22日 - 1951年9月1日)は、1905年から1941年までナショナル・リーグでアンパイアを務め、近代ベースボールの審判スタイルを確立した人。審判として初の野球殿堂入りを果たしている。
例えば、両手を横に大きく広げる動作で「セーフ」を意味するコールをするスタイルを発明したのはこの人で、手を使った判定ジェスチャーを初めて野球に取り入れたといわれている。


さて、この2人のどちらが果たして起源なのか。番組でも断定はしていない。
だが、2人のプレー時期を比べると、ホイのほうが時代が古いことや、ビル・クレムがメジャーのアンパイアとしてデビューする前の1900年前後の新聞記事に、既に「ダミー・ホイのために考案されたサインというシステムを他のチームでもやるようになった」という意味の記事がいくつも出ていることから、少なくともブロックサインについてはダミー・ホイ起源説に分があるように感じた。
また、アンパイアが大きなジェスチャーとともにボール/ストライクのコールを行うになった起源については、どうもアメリカの専門家の間でも意見が分かれているらしく、正確なところはまだまだわからないらしい。







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