July 2010

July 30, 2010

昨日、こんな風に書いた。



同じ負けるにしても、まだ開花していない才能を育てる目的で負けるというのなら、未来のためと、我慢も理解もできるかもしれない。
だが、ダメとわかった選手になんの責任もとらせず、無駄にチャンスを与え続け、負け続けるだけなら、その負けは、単なる、無駄で、見苦しい

「吐き気のするような負け」

でしかない。

ファンは、ローランドスミスのような「見るに耐えない投手」「見苦しい選手」が見苦しいゲームをし続けるのを黙って見続けなければならない義務など無い。苦痛を我慢させられ続けるいわれもない。



で、今日になって思うのは、ファンにとって「見たくもないモノを見せ続けられて、吐き気がする」のなら、チームに所属し、現状打開にもがくイチローにとっては「何倍もの吐き気がするだろう」ということだ。
7月に入って突然訪れた不調の意味はそこにある気がする。言いたくても言えないことが溜まると人間は具合が悪くなると、かの吉田兼好も徒然草で言っている。「ものいわぬは、はらふくるるわざなり


どうせ誰も言わないだろうから、
このブログがハッキリ言ってスッキリさせておこう。

天才イチローをして、これほどの見苦しさの中で、「吐き気のするような無意味な負け」と無理に向き合わせながら、プレーレベルの維持を要求し、期待し続けるなどという行為は、才能の無駄遣いなのはもちろん、それを通りこして

「野球史上の犯罪」

ですらある。



天才イチローにこれほどの見苦しい無意味さを我慢しつづけさせる権利は、近い将来には財政上の理由かなにかで消えてなくなっているかもしれないようなメジャーの貧弱チームにはない。

と、いうか、
将来の野球史にとって、永久に名前が残り、その存在がメジャーと日本の野球に与えた影響や残した足跡の意味が永遠に語りつがれていくのは、シアトル・マリナーズでも、リンカーンでも、ズレンシックでも、ワカマツでも、アデアでも、ローランドスミスでも、フィギンズでも、任天堂でも、山内氏でも、ダメ捕手城島でもない。


「ほっておいても、やがて消えていくあなたがた」は、ほんとうに、なにか巨大な勘違いをしているのではないか。


選手、監督やGM、チームが、メジャーの歴史の片隅にでも名を残せる存在になりたいと願う、それはそれで、それぞれの人の勝手だ。どうぞ、好きなようにすればいい。

だが、そんな存在にいますぐ、今年なれるものなら、今日、いますぐ、やってみせてもらおう。

できるはずもない。


イチローが既に現役にして野球史に残る存在になれたのは、「結果」、つまり、残した数字の大きさからではなく、「プロセスの素晴らしさ」である。
ずっといろいろなマイナスにも耐えながら、ずっとブレずに、自分の能力向上と維持のための努力を続けてこれた、その努力の歳月の途方もない長さ、そして、結果を出すことを要求され続けるプロの世界に身を置いて、求められる以上の結果を出し続けてこれた、その年月の途方もない長さからである。
それらの「毎日すこしずつ積み重ねられたものが、あまりにも前人未到の高さ、誰も到達できないほどの遠さに到達している」からだ。

と、いうことくらい、「いくら現状が酷くても、手を打たず、ほっておくか、顔をしかめるくらいしか能が無い凡庸なマリナーズの人々」も、「手を打ったつもりでいるが、その実、効果が皆無で結果が出せていないことに深刻さを感じない凡庸なマリナーズの人々」も、いい加減に気づいたらどうか。


野球史に名を残すのは、(自分で言っていて耳が痛いが)「凡庸なクセに、今日やるべき小さなことを、それがさも当然のような顔をしてサボり続けきた人」「昨日の問題を、今日も明日も放置する人」ではない。

野球史に名を残すから偉いのでもなんでもない。
野球史に名を残すほど「長く」努力してきた、
野球史に名を残すほど「高く」結果を残し続けてこれた
そういうプレーヤーだからこそ
われわれは自然と視線を向けるのである。

そして、見ていたくなるプレーヤー、という程度を越えて
目が離せなくなるプレーヤー」、そういうレベルに
イチローは達している。

われわれは見ていたくなるどころか、この「目の離せないプレーヤー」の「今日してくれるかもしれない、見ていてスッとする何か」を見るために
スタジアムに通い、
テレビのスイッチを入れ、
ネットの回線を繋いでいるのである。


吐き気のするほど、無意味で、自堕落で、結果も努力の姿勢もアピールできないクセにプライドばかり高い選手とチームの漫然とした負けを見続ける義務など、われわれにはない。


そう。
マリナーズにとってイチローは必要かもしれないが、イチローファンにとって、もはやマリナーズは必要ない。






昨日、あまりにも見苦しいシアトル・マリナーズのマネジメントについて「マリナーズ側にとってはイチローが必要であろうとも、イチローファンにはもはやマリナーズは必要ない」と書いたが、そのとたん、ローランドスミスが15日間のDL入り、なんていうニュースが飛び込んできた。

遅い。
遅すぎる。


シーズンの行方が完全に決してから
ようやくこのダメ投手DL入り?

そんなの、シーズンのもっと早い段階でいつでもできただろうが。
ファンをコケにするにも程がある。

M's recall LHP French, put Rowland-Smith on DL

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年7月28日、マリナーズにとってイチローは必要かもしれないが、イチローファンにとって、もはやマリナーズは必要ない。



ローランドスミスには「マイナー・オプション」がない。

MLBファンがよく使う「オプション」という言葉、正確には「マイナー・オプション」という言葉の意味については、一度、コロメとテシェイラ、2人のセットアッパーをクビにしたときのいくつかの記事で説明したことがある。
要は「オプションがない選手」というのは、マイナーに落とすために一度ウェーバーを通さなくてはならない。つまり、マイナーに落とすにはその選手を失うリスクを冒さなくてはならない、のである。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年5月30日、びっくりするほど「的外れ」な、このチームのマネジメント。よせばいいのに投手を増やすのではなく、キャッチャーを連れてきて、全く同じ「サヨナラホームラン」負け。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月1日、コロメ、テシェイラ、不調だった2人のブルペン投手がDFAになって、さっそく好ゲーム。バルガス好投で4勝目、打線もつながりまくりだが、本当の意味のチーム改善にはまだまだ。


だが、オプションがないからといって、ローランドスミスの見苦し過ぎる登板、つまり、もはや「人に金をとって見せられるレベルにないもの」を、我慢して見続けなければならない義務は、ファンの側にはない。
MLBでは、そういう見苦しい選手を無駄にベンチに置いておかないための便法として「怪我を口実に故障者リスト入りさせる」とかの方法があって、どこのチームでも活用して戦力低下を防いでいることは、子供ですら知っている。


いままでマリナーズは、この1勝10敗のダメ先発投手がいくら無様(ぶざま)で見苦しい負け方をしても、また、いくらチーム勝率を引き下げ続けて早々にシーズンにピリオドを打たせてしまい、ファンの心を凍えるほど冷えきらせようと、何をしようと、ずっとメジャーのベンチに置きっぱなしにして、先発のチャンスを与え続けてきた。

先発能力がゼロどころか、マイナスなことがわかりきっている今のローランドスミスに、貴重なメジャーのロスター枠を占領させ続け、また同時に、チームにもはやプレイオフ進出の見込みがないのに、秘めた才能があるかもしれないマイナーの若者やメジャーの控え選手たちに、その才能を試す場所を与えないでおく理由を、ただ「ローランドスミスにオプションがないから」というのでは、何も説明になっていない。


まともに説明すらできないこと、不合理きわまりないチーム内部の都合、プレーヤーの側の都合、契約の都合、さまざまな「プレーする側の都合」を、ファンの目にさらすばかりか、ファンに「歪んだ見世物」として押し付けるべきではない。
「城島問題」もそうだったが、そういう見苦し過ぎる行為がシアトル・マリナーズにはあまりにも多すぎる。


同じ負けるにしても、まだ開花していない才能を育てる目的で負けるというのなら、未来のためと、我慢も理解もできるかもしれない。
だが、ダメとわかった選手になんの責任もとらせず、無駄にチャンスを与え続け、負け続けるだけなら、その負けは、単なる、無駄で、見苦しい

「吐き気のするような負け」

でしかない。

ファンは、ローランドスミスのような「見るに耐えない投手」「見苦しい選手」が見苦しいゲームをし続けるのを黙って見続けなければならない義務など無い。苦痛を我慢させられ続けるいわれもない。プロスポーツはそういうものじゃない。
またファンは、フィギンズのような期待はずれの打者が、調子を取り戻すためだけの「現状と能力に釣りあわない打順」と「期待はずれの守備と打撃」「結果を出せていないのに笑って安住していられる努力の跡の見えない態度」を、毎日黙って我慢して見続ける義務など、どこにもない。

さらには、未来のための「価値ある負け」ではなく、無駄で見苦しいだけの「吐き気のするような負け」を黙って見続けさせられるいわれなど、どこにもない。



ローランドスミスがDLになってマイナーから上がってくるのは、2009年夏のウオッシュバーンとのトレードでデトロイトからやってきたルーク・フレンチらしい。

好調だったウオッシュバーンをトレードして、獲得したのはこれっぽっちも使えないフレンチ。
いまのメジャーを代表する名投手のひとり、クリフ・リーを、同地区に放出してまでして、獲得したのは、小太り扇風機のスモーク。

馬鹿馬鹿しいにも程がある。


もういちど言おう。

マリナーズにとってイチローは必要かもしれないが、イチローファンにとって、もはやマリナーズは必要ない。

見苦しいにも程がある。






July 29, 2010

タイトルに書いた言葉はホワイトソックスに11-0で負けたのを知ったときに、スッと頭に浮かんできた。書くことに、なんのためらいもない。たぶん先発はローランドスミスだっただろうが、どうでもいい。洒落で言うのではなく、この無能な投手が1勝10敗でも先発投手の権利を失わない理由を、本人と無能なGMは記者会見でも開いてファンに釈明するべきだ。


本当はタイトルはイチローを主語に、こう書きたいところなのだ。

マリナーズにとってイチローは必要かもしれないが、
イチローにとってマリナーズは必要ない。



だが、まぁ、一般論として、自分以外の人がどう考え、どう感じて日々を送っているかということにクチをはさむのは間違った考えなわけだと思うし、だからこの記事のタイトルはいまのところちょっと生ぬるい書き方になってしまった。
もちろん、確信はとっくにしている。マリナーズにとってイチローは必要だろうが、イチローにとって、もうマリナーズにいるメリットは何もない。あたりまえのことだ。


これまで何シーズンも惨敗の続くシーズンを見続けてきた。もちろんブログ主だけがそうだというのではなく、イチローファンの誰しもがそうだろうと思う。われわれは、あえてチームの醜態を見ず、イチローの活躍だけを楽しみにする観戦スタイルに気分を切り替えることに慣れてきたつもりだった。
が、今シーズンはどうにも気分が苦い。怒りを通り越して、冷えている。アスファルトの道路の横にヒョロヒョロと生えている雑草を噛んでいるような気になる。


ブログ主が特に気分の悪くなる原因のうち最近の大きなものを挙げるとすれば、次の4つくらいだ。まぁ、4つもあれば十分すぎるわけだが。
本当は最初「小太り扇風機」ジャスティン・スモークも入れていたのだが、ちょっと考えて、彼は許すことにした。クリフ・リーをこともあろうに同地区に放出し、そのかわりに彼のような扇風機をとってきてしまう責任は無能なズレンシックにあるのだし、スモーク自身のせいではない。

ローランドスミス
フィギンズ
ワカマツ
ズレンシック


この人たちはどういう理由や目的があってゲームをやり、チームをいじくりまわしているのか。ぴったりあてはまる言葉がなかなかみつからない。今みつかっている範囲の言葉で言えば、
「 見苦しい 」
の一言が最もよくあてはまる。

そう。あなたがたは
まったくもって見苦しい。


先日などはローランドスミスが先発マウンドに上がるゲームだとわかって、テレビのスイッチを消した。この、うつろな自信のない目をした、オドオドした人間のクセに、自尊心だけは一人前に高いという矛盾した人間の顔を、もう見たくないからである。
この投手が、カウントを悪くしてボールをおそるおそる置きにいってボールをスタンドに放り込まれる姿は、とても野球選手とは思えない。


フィギンズの今シーズン第1号ホームランなども、正直、かえってその見苦しい帳尻ぶりに、腹が立つというより、心が冷える。いままで野球も数々見てきていたが、「ホームラン」に対してこういう冷えた感情を持ったのは初めてだ。
7月末に1本ホームラン打つくらいなら、3ヶ月前にヒットを3本打ってくれたほうが全然マシだと、面と向かって言ってやりたいものだ。



城島問題のときもそうだったが、このチームではどんなに成績が悪かろうと、コストパフォーマンスに問題があろうと、「一度ロスターになったらスタメンをはずれない」「いくら馬鹿げた行為を続けても職を失わない」という、クソみたいな伝統があることはハッキリしている。
そういう醜態は常に、何の責任もないファンに押し付けられる。マリナーズという組織は、それを恥ずかしげもなく、やめようともしない。


別になんのためらいもない。こう書く用意はいつでもできている。

マリナーズにとってイチローは必要かもしれないが、
イチローにとってマリナーズは必要ない。


そう。
必要ない。

このサイトを閲覧する人たちがどの国から見ているかを示すプラグインを先日右上につけたのだが、見てもらうとわかるように、このサイトは全体の5%程度だがアメリカからも閲覧されている。だから英語でも書いておくことにしよう。

Though Ichiro might be necessary for Mariners,
for the Ichiro fan,
Mariners has already been unnecessary.


サラリーは高いがまるで使えない選手どもに阻まれてなかなかスタメン起用されなかったペーパーボーイソーンダースに、今後の幸多かれ。






July 11, 2010

野球の得点は「ホームに帰ること」で記録される。
だから野球はホーム帰るためにわざわざホームを離れるという、なんともへんちくりんなスポーツだ。

打席に立つ打者は、自分が果たしてホームに帰れるかどうかはわからない。誰も保証などしてくれない。
運がよければ帰れる。
運が悪ければ永遠に故郷には帰れない。


打席に立つこと自体をやめてしまえば、どうだろう。
ホームを失うことはなくなるのだろうか。
なぜなら一生ホームにいることができるわけだから。

しかしプレーヤーは打席に立つ。
塁に出ることを目指す。
芭蕉が奥の細道への旅立ちにあたって家財を売り払い、家そのものをも引き払って旅立ったように
プレーヤーはプレーヤーでいるために、
もう二度と故郷の土を踏めないかもしれない旅に出る。


旅の果てには約束の地はない。
ほんの一握りのプレーヤーだけが野球殿堂に入り、
チームの永久欠番となったりすることで、永遠に野球の家の住人になれる。
だがほとんどのプレーヤーは永遠の家に入ることなく
フィールドを去る。

だがそれでも。
打席に立って、一度ホームを離れる勇気をもたないプレーヤーに
喝采はない。

ホームに帰りたいなら、、
ホームを離れる勇気をもつことだ。
If you wanna return to the home,
have courage leave home.



マーク・ロウの言葉を聞いて、
やはり野球はフィールド・オブ・ドリームスなんだ、と思った。

旅立つことから
本当のホームへの旅は始まる。


ーーー

草の戸も住替る代ぞひなの家
芭蕉

芭蕉の旅立ち旅立ち(蕪村)






セットアッパーのマーク・ロウはテキサス州ヒューストン生まれだが、クリフ・リーのトレードに巻き込まれる形でトレード要員になったために、奇しくも生まれ故郷テキサスのチームに移籍することになった。
今回のトレードについてロウはこんな風に言い、トレードされても気持ちがシアトルにあること、シアトルが彼の「野球の故郷」であることを話した。


Ex-Mariner Lowe still coming to terms with moving on

"This is the only team I've ever been with. They drafted me and I've been the setup man for them and helped them win a lot of ballgames last year and wish I could have been out there this year. It wasn't part of the plan, physically."
「ここは僕が唯一いたチームなんだ。僕をドラフトしてくれて、僕はここのセットアップマンとして去年はたくさんのゲームを投げてチームを支えた。今年も、もし叶うなら投げたかった。肉体的な問題で、それは無理だったけどね」


Mark Lowe
Lowe is still going through his rehabilitation following back surgery. He just had a post-op appointment and the doctor told him he's ahead of schedule. Though Lowe was unsure if he will be able to pitch this year.

(中略)

Lowe is a Houston native, so he will be hours away instead of thousands of miles away from family now. But that hasn't changed his emotions about leaving.

"It's a place I'm familiar with but this is home for me, my baseball home," Lowe said. "I looked forward to getting out of the desert as quick as possible to get up here every year and get the season started.
「(テキサスは生まれ故郷だから)たしかに慣れ親しんだ土地さ。だけど、ここシアトルが僕にとってのホーム、野球する上でのホームタウンなんだ。シアトルで毎年プレーできるように、できるかぎり早く砂漠(=テキサス)を抜け出せたらと願っているよ」



2009年7月にデトロイトに移籍させられる前のウオッシュバーンも「トレードされたくないんだ。だけど、いま自分のできることといったら頑張ることしかない。このチームでプレーしたいから頑張るんだ」と言っていた。カンザスシティに移籍させられたユニスキー・ベタンコートは、いまだに親友のロペスのネーム入りのバットを使っている。また、今シーズン途中にチームに出戻ってきたラッセル・ブラニヤンも復帰を心から喜んでいたようだし、あちらこちらのチームで問題を起こしてばかりいたブラッドリーもこのチームへ移籍できたことを心から喜んでいるとコメントしている。
マネジメントはいつもいつもどうしようもないチームではあるが、どういうものか、このチームの選手たち同士には愛着のわく人間関係が育つらしい。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月23日、ウオッシュバーンは「移籍したくない」といい、「プレーヤーが売り払われないために、頑張るしかない」と語った。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月27日、魚釣りの好きな男の父が息子に電話してきて「トレードされたのかい?」と尋ねた。息子は言う。it's not over.「チームはまだ終わってないよ。」そして彼は家族のために魚料理を作った。



もちろん、糖尿病という持病も抱えたマーク・ロウのシアトル復帰への願いがやすやすと叶うのが、野球という厳しいビジネス社会、人生という砂漠ではないとは思う。そんなこと、言われなくともわかっている。

そんなくだらない人生の手垢まみれの教訓よりなにより、トレードが決まってシアトルを離れる間際のマーク・ロウが、つらい気持ちのなかで
「ここが僕の故郷なんだ。戻ってきたい。」
とポジティブに語ってくれたことが、無性に嬉しい。

彼は別に「世間知らずの甘ちゃん」でもなんでもない。もしマーク・ロウが、グリフィーブランドン・モローのように、心のどこかでチームに対するネガティブな感情を持ったなら、こんなコメントは言わない。
むしろマーク・ロウは、「自分は今回のトレードについては、今は受け入れるしかないんだ」とわかっている、わかっているからこそ、「いつか復帰したい」と、素直な感情をポジティブに表現できたのである。
(勘違いしてもらいたくないのは、ブランドン・モローの場合、チームを去るにあたって多少チームに対するうらみつらみをクチにしたのには、そういう悪い扱いを受けてきた彼なりの理由があるのであって、それが悪いことだとはブログ主はまったく思わない)


マーク・ロウはメジャーリーガーとしてシアトルに戻ってくるラック、幸運に恵まれないかもしれない。だが、いま僕は、後ろ髪引かれながらテキサスに去っていく彼の活躍を祈らずにはいられない。

July 10, 2010

オールスター目前だというのに、突然クリフ・リーがテキサスにトレードされた。これでアナハイムのオールスターにクリフ・リーとイチローが同じユニフォームを着て出場する、ということはなくなったわけである。
まったく夢を売るのが商売のクセに、夢の無いことをするものである。


クリフ・リーのトレードについては、彼がゆくゆくトレードされること自体はあらかじめ覚悟しておかなければならない、とは、シアトルファンの間でよくいわれてきたことだ。それはまぁ、それはそうに違いない。

だが、ブログ主に言わせれば、クリフ・リー放出を早めた、あるいは、彼を引き止められる可能性をわざわざ自分の手でゼロにしたのは、「GMや監督、投手コーチのチームマネジメントの失敗によるチーム低迷が原因である」としか思っていない。「いつかクリフ・リーはチームを出ていくことになるだろう」という話と、実際のクリフ・リーのトレードの間には、ほとんどなんの因果関係も感じない。
チーム状態が改善に進んでいるのが目に見える形なら、こんなオールスター直前なんていう時期に出ていくことにはならずに済んだだろう。ところがチームの欠陥は、わかっているのに、まるで解消される方向にない。


2009年7月にウオッシュバーンを放出したが、あれとまるで似たようなことをして、よくGMズレンシックは恥ずかしげもなくスタジアムに来られるものだと思う。今年もまたこんな夢の無いことをやってしまってすみませんと、ファンに土下座してもらいたいものだ。
クリフ・リー放出でテキサスのトッププロスペクトの1塁手獲得というが、ファーストベースマンのジャスティン・スモーク打てないコッチマンカープラッセル・ブラニヤン、いったい誰にファーストを守らせるつもりか。そして誰をロスター落ちの犠牲者にするつもりか。(どうせ今までの通例どおり、若手や控え選手に犠牲を強いて、打てもしないベテランや高給取りの無能な選手をロスターに残して、負けを加速させるに決まっているが)

無能なズレンシックの選手の獲得はこれまでも選手のダブりを常に発生させてきた。
ショートの2人のウィルソン。衰え果てたグリフィー悩める男ブラッドリーマイク・スウィニー、ダブついたDH。いつまでたってもピリッとしないロペスまるで打てない高給取りのフィギンズ無能なバーンズソーンダースブラッドリーのレフト。
ただでさえ選手層が薄いのに、ズレンシックの獲ってくる選手は獲る選手獲る選手、どいつもこいつも常にポジションがかぶっていて、しかも打てるのはベテランより控えだったのに、「再建モードにはしない。ベテラン優先」という意味の無い方針を貫き続けてチームに損害を与え続けているのは、GMとして無能としか思えない。

こんな空気のチームでスモークが育つわけがない。
それに、打者有利のスタジアムで育てられてきたプロスペクトの打撃成績が広いセーフコでそのまま発揮できるとか考えるのは、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
Rangers acquire Lee from Mariners | MLB.com: News


毎年毎年このわけのわからないチームは、どうしてこう意味のわからないシーズンばかり過ごしているのだろう。
天才イチローがこの本当にどうしようもないチームに在籍していなければ毎年イライラせずに済むのに、と、毎年のように思う。もちろん、かつてのイチローの契約更新時には「どこのチームでもいいから、とにかく絶対に移籍してくれ」と願ったものだ。


近年のシアトルのストロング・ポイント
「先発投手」「イチロー」である。
わかりきっている。

そして2010年のウイーク・ポイントは(というか去年もあった同じ弱点だが)「貧弱な打線」「使えないブルペン投手」と、シーズンの早い時点でとっくにわかりきっていた。

にもかかわらず、だ。
マリナーズはいつまでたってもロスターに使えない野手を溢れさせたまま、何ヶ月も負け続けた。いくら先発投手がゲームを作っても、ゲーム終盤にブルペンが打たれて負ける、もう見飽きるほど見た負けパターンは、「打線」と「ブルペン」というわかりきったチームの欠陥がいつまでたっても修正されないことから生まれた。
わかりきったチームの欠陥を修正できないゼネラル・マネージャーや監督、コーチが無能でないわけがない。

無能なくせに、やることといえば2009年のウオッシュバーン放出と同じで、チームの一番のストロング・ポイントである「強固な先発投手陣」を自らの手で安売り、切り売りしはじめてしまうことなのだから、笑うに笑えない。
かつての弱かった「選手を売り払い続けるアスレチックス」ではないが、ストロング・ポイントを自分で毎年毎年売り払うチームが、いったいどうやって強くなるというのだ。



まぁ、たしかにクリフ・リーはいつかは(というか、近々)手放さざるをえなかっただろう。
だが、その話と、シアトルのチームマネジメントの失敗からチーム成績が低迷し、そのせいで2009年同様に貴重な先発投手陣の一角を自分から切り崩して、早くから安売りしなくてはならない状況に陥ったという話は、意味が違う。別の話だ。
今回のオールスター前のクリフ・リー放出という事態を招いた原因は、どうみても「いつかはクリフ・リーはチームを出ることになる」という事情通ぶりたいだけのしたり顔のガキが言いそうなわけのわからない話ではなくて、「2010年は最悪のシーズンの翌年だし、本来ならチームを若返らせて再建の年だけれども、けっこういい選手がトレードで獲れちゃったし、これはいきなりプレーオフ進出のシーズンにできるかもぉ・・・」などという見通しの甘さと、誰が見てもわかるチームの欠陥である「打線の貧弱さ」と「ブルペン投手の崩壊」を何ヶ月たっても修正できないチームマネジメントの失敗の連続のせいであることは明らかだ。
せっかく獲得したクリフ・リーの放出時期が早まったのは、根本的にはこうしたチーム編成の失敗の連続のせい、としかいえない。
クリフ・リーのトレードは、本質的には2009年のウオッシュバーン放出と何もやっていることに変わりはない、と思う。



2009年の前半戦は、ヘルナンデスウオッシュバーンベダードの3本柱で面白いように勝てた。にもかかわらず、ダメ捕手城島の担当したゲームが負けを大量生産し続けた結果、全体としてのチーム成績はうだつが上がらず、結果的にGMズレンシックはプレーオフ進出を諦めた。
そして無能なズレンシックは7月末のトレード期限にウオッシュバーンをデトロイトに放出するなどして、かわりにルーク・フレンチだの、イアン・スネルだの、使えもしない投手どもを獲得してきた。

2010年はどうか。
2009年と本質的には変わらない。
チーム低迷は先発投手のせいではないにもかかわらず、結果的には「イチロー」以外の唯一のストロング・ポイントである「先発投手のリーダー的ベテラン」を毎年切り売りしている。

2010年の序盤、クリフ・リーが出遅れている間にチームを支えたのは、ヘルナンデスフィスターバルガスの3人だ。
いってみれば彼らはダメ捕手城島が日本に逃げ帰ってくれた恩恵を最大にこうむった「 新・3本柱 」だった。
このシアトルの「城島がいなくなってくれたおかげで実力が発揮されだした新・3本柱」がなんとか踏ん張ってくれたおかげで、チームには、勝率はともかくとして、「先発投手だけは他のチームに劣らない」といえるストロング・ポイントが今年もできていた。

だが、2010年のシアトルは、ズレンシックの無駄に獲得してくる選手と、その選手たちをもとにした失敗だらけのチーム編成がことごとく期待はずれに終わり、貧弱すぎる打線に加えて、弱体なブルペンという2つの大問題を抱えたことは誰にでもわかることだ。


チームが2つもの大問題を抱えているにもかかわらず、無能なマリナーズは、2007年に2割も打てないセクソンを4番に据え続けたように、ケン・グリフィー・ジュニアをクリーンアップに置き続け、メジャー選手とはとても呼べないバーンズなどにレフトのポジションを与えてやり、また、打てもせず、かといって実は守備もそれほどたいしたことのないフィギンズに2番のポジションを与え続けて、結局、負け続けた。
こうした使えない野手が次々と怪我や引退でスタメンがコロコロ入れ替わる中で、仕事をしてくれたのは、ジョシュ・ウィルソンや、ソーンダースだったが、チームは彼らの仕事をたいして評価せず、打てもしないコッチマンが復帰してくればスタメンをまたもやくれてやり、スペランカーでマトモに試合に出場し続けられないジャック・ウィルソンをだましだまし使い続け、負けてばかりのローランドスミスには意味もなくチャンスを与え続け、打たれまくりのクローザー、アーズマにはストレートばかり投げるのを許し続け、結果、チームの負けパターンはいつまでたっても同じで、ピクリとも変えることができずに、さらに負け続けた。

たぶん、投手コーチリック・アデアにしても、去年報道されたほどたいして指導力などないのだと思う。でなければ、とっくにブルペン投手の誰かひとりくらいマトモになっていなければおかしいというものだ。


クリフ・リーの記者会見を見るかぎり、彼はシアトルに来たばかりの頃とは全く違う気分になっていたようだ。「せっかくいい天気になってきたのに」という言葉で、自分がシアトルのチームと馴染みができてきていたことを感じさせた。
Rangers acquire Lee from Mariners | MLB.com: News


2009年にウオッシュバーンを放出しても、その後チームの投手陣はどこもよくはならなかった。バルガス、フィスターがよくなって先発に定着してくれたのは、ダメ捕手城島が日本に逃げ帰ってくれて、実力の片鱗をみせることができるようになったお蔭でしかない。

ウオッシュバーンはラン・サポートの少ない中、あれほどイニングを食ってくれて、準パーフェクトゲームまでして、投手陣のリーダー役だったわけだが、クリフ・リーも同じように、このところはシアトルの投手陣ともたいへんに馴染んでリーダー役になってくれていた。
そのリーダー役のクリフ・リーが抜けたいま、投手陣の喪失感はただごとではないと思う。







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