August 2010

August 30, 2010

8月26日のミネソタ戦に先発したクリフ・リーは5回5失点、目をこすって「これがあのクリフ・リー?」と見直したくなるような、ちょっと信じられないテンポの悪さにびっくりした。相手先発が今シーズン絶好調のリリアーノだっただけに、このゲーム、およそテキサスらしくない弱々しいゲームになってしまった。
Minnesota Twins at Texas Rangers - August 26, 2010 | MLB.com Wrap

何が「よくない」と感じたかというと、2つある。

1)1回から3回までの配球の単調さ
2)投球テンポの遅さ

1)だが、3回までの投球はほとんどが「ストレート」と「カットボール」のみ。これではさすがにあまりに単調すぎる。どういうわけか、彼の勝負球のひとつで、これまでも肝心なときには頼れる球種だったはずの「カーブ」がまったく使われていなかった。シアトル時代も「変化球はカットボールが中心」にはなっていたが、これほどまでにカーブを投げないクリフ・リーではなかった。
4回以降になってようやくカーブを使いだしたのだが、そのときには既にゲームの流れをミネソタに完全に奪われていて、もうどうしようもなかった。
加えて、シアトル在籍時に、アドバイスを求めたバルガスに「投球テンポを早くしろ。打者に考える時間を与えるな。」とアドバイスしたはずのクリフ・リーの投球テンポが、まるでもう、別人のように遅い。これには本当に驚いた。

短くまとめれば「テキサスでのクリフ・リーは、まったく自分のスタイルで投げられていない」。

なぜ、こんなことになったのだろう?



この8月、テキサスは特にア・リーグ東地区のチームとの対戦が続いているが、この間ずっとクリフ・リーにいいところがなく、彼の8月の月間防御率はなんと6.20、テキサス移籍後の防御率も4.50になってしまっている。
移籍前と後のスタッツの比較
Cliff Lee Split Statistics | texasrangers.com: Stats

今シーズンここまで23ゲームに先発しているクリフ・リーだが、4点以上の自責点のゲームは(シアトル在籍時も含めて)以下の7ゲーム。対戦相手にちょっとした共通点があることに注目してもらいたい。

5月5日 タンパベイ(8回 4失点)
5月21日 サンディエゴ(6回1/3 7失点)
7月10日 ボルチモア(9回 6失点)
8月1日 アナハイム(8回 4失点)
8月11日 ヤンキース(6回1/3 4失点)
8月16日 タンパベイ(7回2/3 6失点)
8月21日 ボルチモア(5回2/3 8失点)
8月26日 ミネソタ(5回 5失点)
Cliff Lee Game Log | texasrangers.com: Stats

タンパベイに2度、ヤンキースに1度、ボルチモアに2度、やられている。そう。つまり、ア・リーグ東地区のチームに特に集中的に打たれているわけである。
いちおう、ア・リーグ東地区のチームと対戦して「3失点以下だったゲーム」も挙げておく。2ゲームだけある。無失点で終われたゲームはない。
6月29日 ヤンキース(9回 3失点)
7月17日 ボストン(9回 2失点)


今年6月の2つの記事で、ア・リーグ東地区の投手たちのピッチングスタイルについて、「カットボール多用」の傾向がある、と書いた。
そして、クリフ・リーの2010年におけるピッチング・スタイルが、2008年までの「打者を追い込んだ後の勝負どころでカーブを多用する緩急のスタイル」ではなくなって、「カットボールを多用する、これまでにないスタイル」に変貌していることを書いた。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月23日、クリフ・リー「鳥肌モノ」の115球、4試合連続無四球で6勝目。「ストレートのかわりにカットボールでカウントを作って、変化球で仕留める」クリフ・リーの「東地区っぽいピッチング・スタイル」は、実は、2010年シアトルモデル。


こうしたことから、
2010年にピッチングスタイルを変え、カットボールを多用する配球になったクリフ・リーが、カットボールを多用してくる投手との対戦に慣れているア・リーグ東地区の打者に、かえって打たれやすくなった
という仮説がいえるかどうか、考えてみることにした。


だが、問題なのはそう単純ではなくて、ちょっと長々と書きたい「わかりやすいクリフ・リーの配球のクセ」の問題があって、ちょっとややこしい。

次回の記事で、クリフ・リーの配球がどういうクセがあるか、具体的な話と、そして、それをメリットに変えて快投に導くキャッチャーとの相性などについて書いてみたい。
そのへんを書くと、今までなぜクリフ・リーがクリーブランドにいる頃からキャッチャーとのコンビネーションに神経を使い、クリーブランド時代にはビクター・マルチネスを拒否してまでショパックを選び、またシアトルではロブ・ジョンソンを専属キャッチャーに選んだりしていたのか、考える道筋がつく、と思う。






ボルチモアが4安打完封で、同地区のシアトルですら一度もやったことがない「エンゼルスの敵地スイープ」を達成した。ボルチモアは積年の課題である「攻守のアンバランスさ」に解決の糸口を見いだしつつあるのかもしれない。

昨日の第2戦は、ここまで2勝13敗だった大戦犯ケビン・ミルウッドが8回を無失点に抑えて勝ってしまったわけだが、今日の第3戦では、去年リーグでワーストの17敗(10勝)もしておいて、今年も防御率はかろうじて3点台ながら7勝13敗と冴えない成績だったジェレミー・ガスリーが8回1/3を投げきってしまうのだから、「ショーウォルターのオーガスト・マジック」はとどまるところを知らない。
Baltimore Orioles at Los Angeles Angels - August 29, 2010 | MLB.com Wrap

このボルチモアの8月の快進撃の原動力はハッキリしている。「投手陣の再生」だ
先発投手として使われたが、イマイチで、その後テキサスからケビン・ミルウッドが来たことでセットアッパーに回されてしまっていた「ルパン」上原ですら、クローザーに転用してセーブさせてしまうのだから、「ショーウォルターのオーガスト・マジック」の投手陣に対する効き目は凄まじい。

ボルチモアの月別ERA
4月 4.62 12位(5勝18敗)
5月 4.68 12位(10勝18敗)
6月 5.72 14位(9勝17敗)
7月 5.60 13位(8勝19敗)
8月 3.57 3位(16勝11敗)

これまで常にリーグ最下位あたりに低迷していたボルチモアのチームERA(防御率)だが、ここへきてリーグ3位に急浮上している。これだけみれば十分で、細かいデータなどいらない。いかに監督を変えて以降のボルチモアが「変われつつあること」がひと目でわかる。
ボルチモアがもともと持っているチームとしての欠陥は「打撃はいいが、投手があまりにもダメなこと」なのは、MLBファンなら誰もがわかりきってわけだが、その問題点である「チームバランスの悪さ、つまり、攻守のアンバランスさ」を、逃げずにきちんと矯正しようとしているらしいことが、ボルチモアのこの「劇的なチーム再生」につながりつつある。うらやましいかぎりだ。

ア・リーグ8月 チーム別ERA
2010 MLB Team Pitching Stats - Major League Baseball - ESPN

ア・リーグ8月 チーム別ERAベスト5
(8月29日現在)
オークランド 2.32
シアトル 3.49
ボルチモア 3.57
ミネソタ 3.65
タンパベイ 3.69
ボストン 3.81

8月のチームERAで、3点台以下を記録したのは6チームだが、そのうち、月間勝ち越しを達成しそうなのは、3位のボルチモア以下、6位ボストンまでの4チームで、どれも「打てるチーム」ばかり。それにひきかえ、1位のオークランドと2位のシアトルの「打てない2チーム」は、8月を負け越すか、勝ち負け同数くらいにとどまる。
なかでもミネソタは8月にたくさんの貯金をつくったが、これも、打撃が月間チーム打率が3割を越えるようなハイ・アベレージで、なおかつ、チーム防御率ア・リーグ4位と、ハイレベルで「チームの攻守のバランス」を達成しているからこそできる芸当。

ボルチモアがきちんと自分のチームの攻守のアンバランスさという弱点に向き合って解決をはかって、勝率を大きく改善しつつあるのに対して、シアトルがいつまでたっても「先発投手はまぁいいが、あとはまるでダメ」「守備重視の野球をするはずが、守備が下手で、しかも打てない選手がスタメンに居座り続ける」という「あまりにも酷いチームのアンバランスさ」に対して、きちんと打開する対策をほとんどとっていないのだから、当然の結果だ。






今シーズンはもう新監督バック・ショーウォルター率いる新生ボルチモアの記事を何度も書いてきたわけだが、8月のボルチモアはとうとうあと2試合(エンゼルス最終戦とボストン初戦)を残して、15勝11敗と、4つも勝ち越している。
2010 Orioles Schedule | orioles.com: Schedule

地元紙ボルチモア・サンによると、もしオリオールズがエンゼルスとの第3戦に勝って月間の貯金を5とすると、「2008年6月以来の月間5勝以上の勝ち越し」になるらしい。
Orioles claim winning August with 5-0 victory over Angels - baltimoresun.com

ちなみに、シアトルはエンゼルスをビジターでスイープしたことが一度もないと思う。たしか2009年5月に先発オルソン、捕手キロスの相性最悪バッテリーで、せっかくの「敵地スイープのチャンス」を逃した苦い記憶があるのだが、当時シアトルの地元紙で「敵地スイープはしたことがない」という報道があったような記憶がある。
今日のアナハイムでは、エンゼルスと同地区のシアトルですら一度も達成してない「アナハイムでのエンゼルスのスイープ」にボルチモアがチャレンジするのだから、もし達成しようものなら、これはシアトルファンにとっても、ちょっとした「事件」である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。

2009年5月31日のシアトル対エンゼルス戦の公式記事
Game Wrapup | Mariners.com: News

2009年5月のシアトルのスケジュール
2009 Mariners Schedule | Mariners.com: Schedule


昨日8月28日のボルチモアとアナハイムの第2戦では、あろうことか、ここまで2勝13敗と最悪の成績で、今シーズンの大戦犯である元テキサスのヴェテラン投手ケビン・ミルウッドが、なんと右打者を並べたエンゼルス打線を8回無失点に抑えて勝ち投手になった。
昨日までの彼の登板ゲームは8連敗で、全部がミルウッドに負けがついたわけではないが、それでも8試合のうち6ゲームで彼に負けがついていて、8ゲーム合計の失点は31点もある。
地元紙ボルチモア・サンは、その大戦犯ミルウッドが「これまで先発登板した16ゲームのうち、12ものゲームで、初回に複数の失点をしていた」ことを紹介した上で、ミルウッドが「エンゼルスを初回無失点に抑えた」どころか、「8回まで無失点に抑えて、無事にマウンドを降りた」そのことに、かえって驚いていた。

地元紙さえ驚くのも無理もない。

シーズン前にボルチモアがミルウッド獲得を発表したときメディアでは「打者有利のアーリントンで投げてまずまずの成績をおさめていたヴェテラン投手だけに、カムデンヤーズでならそこそこの好成績をおさめてくれるに違いない」なんていう甘い論評が多かった。
だが、実際にフタを開けてみれば、ミルウッドは防御率5.34で、2勝13敗と最悪。既に26本もホームランを打たれて、これは既に彼自身のキャリアワースト・タイ記録になっている。
期待を裏切ったミルウッドのこの酷い成績が今シーズンのボルチモアの低迷の大きな要因のひとつになったわけだが、このミルウッドにさえもひと仕事させるとは、ショーウォルターはどんな魔法を使ったのだろう。それとも今シーズンのエンゼルス打線がよほど酷いだけなのだろうか。
Kevin Millwood Stats, News, Photos - Baltimore Orioles - ESPN


いずれにしても今日のボルチモアのゲームは、ちょっとした「記録のかかったゲーム」なのだ。


ちなみに。

監督ワカマツのクビを切ったシアトルは、9日にワカマツ解任した後は8勝9敗と、勝率は5割を越えていない。(8月はここまで11勝13敗)
また、8月21日からの8ゲームは特に1勝7敗と、わずか1勝しかしていない。
2010 Mariners Schedule | Mariners.com: Schedule

監督を変えて成績が向上したボルチモアに対して、監督をクビにしても新監督が決まらず、臨時の代行監督でお茶を濁して、しかも成績低迷に変化の少ないシアトル。
もちろんワカマツは解任されるのが当然の能力不足の監督だと思う。だが、その後の成績をみればわかるように、シアトルの病巣がワカマツだけなわけがないのは、火を見るより明らかである。






August 28, 2010

もうすぐ8月が終わる。
つまり、8月末のいわゆるウェイバー・トレード期限がやって来る、ということだ。

最近のウェーバートレードのニュース例
マニー・ラミレスのウェーバーに複数球団がクレーム
Multiple Teams Claim Manny Ramirez On Waivers: MLB Rumors - MLBTradeRumors.com
デレク・リーが若手3投手と交換でアトランタに移籍
Braves Have Not Asked Mariners About Figgins: MLB Rumors - MLBTradeRumors.com


チッパー・ジョーンズの怪我による戦線離脱で、急遽代役を探さなくてはならなくなったアトランタ・ブレーブスが選んだのは結局、7月に球団間で合意していたエンゼルスへの移籍を拒否したカブスのデレク・リーだったわけだが、デレク・リーの移籍が決まる前にシアトル地元メディアは「ショーン・フィギンズをアトランタにトレードできる可能性」について、しきりに記事にして、フィギンズ放出を煽りまくっていた。(例:8月12日のこの記事 Should The Mariners Trade Chone Figgins? | U.S.S. Mariner

しかし、だ。

かつて打撃成績がメジャー最低になった(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年7月15日、地元記者ベイカーはメジャー最低打者城島に呆れ果てる。ダメ捕手城島のクビを切るどころか、高額の複数年契約を与えてやった、この弱腰球団は、新米監督の首くらいはなんとか切れても、公衆の面前でダグアウトで監督に反抗するようなフィギンズを放出、なんていうスジの通った行動を貫徹できるわけがない。
SPIなどは歴然とした球団の経営者批判をウェブサイト上に掲載しているが、この球団にやれることは、トカゲの尻尾を切るように出来の悪い新米監督とロブ・ジョンソンに責任を押し付けるくらいのことが関の山だろう。
Mariners' problems lie at the top, not in the manager's office
この記事の翻訳:Go Mariners! シアトル・マリナーズ最新ニュース from SeattlePI.com:マリナーズの問題は、監督ではなくトップだ



40人ロスターの選手は、7月末までのノンウェーバー・トレードでならウェイバーなしでもトレードできるが、それ以降の8月末までにトレードを行う場合は、ウェーバー通過が必要になる。
8月末までのウェーバー・トレードでは、交換相手の選手が40人ロスターに入っている場合、その選手もウェーバー通さないとトレード出来ない。そのため、マイナーリーガーや、PTBNL(後日発表選手)が交換要員に充てられることも多い。また複数球団からクレームがあった場合、順位の低い球団、同じリーグの球団など、交渉の優先順位があらかじめ決められている。また7月末までのトレードにない特徴として、ウェーバー公示した球団は1度だけウェーバー自体を取り消すことができる。


ウェーバー期間に他チームからクレーム(Claim、譲渡申し込み)があった場合、次のような3つの道がある。
1)元の球団がウェーバー自体を取り消す
2)クレームしてきた球団と48時間以内にトレードを成立させる
3)元の球団がクレームしてきた球団にその選手を放棄する。この場合、クレームしてきた球団はその選手の残りの契約金全額を引き継がなくてはならない。

クレームが無く、選手がウェーバーを通過すると、初めてチームは選手を自由にトレードできるようになる。マイナー降格させるなり(ベテラン選手は選手の同意が必要)、保有権を放棄するなり、他チームへトレードするなりの行為ができる。


さて、スポーツイラストレイテッドのジョン・ヘイマンが、ウェーバー・トレード候補に挙がるのではないか、という選手31人を名指しする記事を書いたのは、8月初め。
その記事のトップに挙げられていたのが、ほかでもない「使えないチビ、ショーン・フィギンズ」である。ほかにもシアトルでは、ミルトン・ブラッドリーケイシー・コッチマンの名前も挙げられていた。
Chone Figgins, Barry Zito among those who could still be traded - Jon Heyman - SI.com

1. Chone Figgins, Mariners 2B. He's in the first year of a four-year, $36 million contract, and for whatever reason, Seattle doesn't appear to be the perfect match it seemed to be. He recently had a dispute that became public with manager Don Wakamatsu. Someone may still remember his productivity from his days with the Angels and see him as a potential igniter atop a lineup.

27. Milton Bradley, Mariners OF. With $16 million to go through next year, no chance anyone claims him. But does anyone want him, either?

28. Casey Kotchman, Mariners 1B. Looks like strictly a defender now. No one should claim him with $1.5 million to go.


ジョン・ヘイマンが移籍候補に挙げた31人のうち、実際にトレードされたのは、8月18日にマイナーの投手3人との交換でカブスからアトランタ・ブレーブスに移籍したデレク・リーくらいだが、カブスがデレク・リーを放出したがっていることは、7月にはカブスとエンゼルスの間で合意していたことで周知の話なわけで、デレク・リーのトレードを先読みするくらいのことは別に難しくない。
それだけに、この記事はもともとかなりの部分、記者個人の好みで書かれた割としょうもない記事だったともいえる。

だが、それにしたって、チームの現場責任者である監督に公衆の面前で歯向かうような真似をした選手を、まるで「何もなかった」かのように処分できない弱腰のチームだ、「使えないチビ ショーン・フィギンズ」を8月末までにトレード、なんていう、1本スジの通った骨っぽい芸当が、この「常に腰砕けのシアトル」に実行できるわけがない。

もしこのチームにそんな甲斐性があれば、とっくにもっとマシな球団になっている。






August 26, 2010

8月のヤンキースとの3連戦で1試合2本のホームランを打ったイチローが、ヤンキースタジアムについて軽くコメントしていたが、セーフコ・フィールドとヤンキースタジアムの違いが気になって、ちょっと画像をこしらえてみた。
元データ:Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

ただ、以下の2つの理由から、どの画像も「お遊びレベル」だ、ということを忘れて欲しくない。この画像だけを元にあれこれモノを言ってもらっても責任は持てない。
理由の1つ目は、元データの平面図(Clem's Baseball ~ Stadiums by Class)が「どの程度の正確さで作成されているか」、それがわからない、ということ。
2つ目の理由は、「球場の大きさは、必ずしも公称どおりの大きさ、公式に発表されている数値どおり作られているとは、限らない」ということがある。かつて観客席の数が公称の数字と実際の席数が異なる、なんてこともよくあったわけだが、残念な話である。

そういう制約があることを心得た上で、まぁ暇つぶしにでも眺めてもらいたい。


右打者天国のカムデンヤーズ
セーフコよりさらに左打者天国のヤンキースタジアム


カムデンヤーズ、セーフコ、新ヤンキースタジアム、この3つの球場はいずれも、1992年以降に大流行したネオ・クラシカル(新古典主義)のボールパークに分類されている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月21日、ボルチモアのカムデンヤーズは、セーフコのお手本になった「新古典主義建築のボールパーク」。80年代のクッキーカッター・スタジアムさながらの問題を抱える「日本のスタジアム」。

セーフコ、カムデンヤーズ、ヤンキースタジアムの比較セーフコ、カムデンヤーズ、ヤンキースタジアムの比較図(オリジナル Copyright © damejima. All Rights Reserved.)
赤:セーフコ
緑:カムデンヤーズ
青:ヤンキースタジアム

こうして3つの球場を同じ平面に並べてみると、いくつかわかることがある。

セーフコとカムデンヤーズは、外野フェンスの形状が基本的に非常によく似ている。直線的で硬質なフォルムで、凸凹の位置も全体として似ている。それに比べ新ヤンキースタジアムは新古典主義に特徴的な左右非対称の球場ではあるが、外野フェンスは弧を描いた曲線的フォルムで、直線的な部分がない。
新古典主義のボールパークにもいろいろあって、ほとんどはセーフコやカムデンヤーズのような「直線的なフォルム」の球場が多いが、中には、新ヤンキースタジアム、ブッシュ・スタジアム、グレート・アメリカン・ボールパークのように「曲線的フォルム」をもつ球場も少数だがあるのである。

カムデンヤーズ、セーフコ、新ヤンキースタジアム、のうち、左中間がもっとも広いのはヤンキースタジアム。右中間がもっとも広いのはカムデンヤーズ。セーフコはそれぞれの中間である。シアトルからボルチモアに移籍した右打者のアダム・ジョーンズは、右打者地獄のセーフコよりも、右打者天国のカムデンヤーズのほうが幸せかもしれない。

カムデンヤーズを紹介した前記事(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月21日、ボルチモアのカムデンヤーズは、セーフコのお手本になった「新古典主義建築のボールパーク」。80年代のクッキーカッター・スタジアムさながらの問題を抱える「日本のスタジアム」。)で、「右打者に有利なカムデンヤーズと、左打者に有利なセーフコは、好対照な球場」と紹介したのだが、ヤンキースタジアムは、その左打者有利のセーフコより「さらに左打者に有利にできている」といえそうだ。


ヤンキースタジアムの
「狭いポール際のホームランの伝統」


セーフコとヤンキースタジアムの2つだけを比べてみると、面白いことがわかる。

セーフコ、ヤンキースタジアムの比較セーフコ、ヤンキースタジアムの比較図(オリジナル Copyright ���2010 damejima. All Rights Reserved.)

赤:セーフコ
青:ヤンキースタジアム

新ヤンキースタジアムは左中間が広く、セーフコは右中間が広いという特徴があるのだが、そんなことより注目してもらいたいのは「新ヤンキースタジアムのポール際が急激に丸まった形になっていて、その結果、両翼がたいへん狭いこと」だ。

たしかに新ヤンキースタジアムの左中間は広い。382フィートから最深部では399フィート、約121.6mもある(ことになっている)。
だが、なぜかレフトのポール際だけは318フィートしかなく、331フィートあるセーフコのレフトに比ると、新ヤンキースタジアムのほうが13フィート(約3.96メートル)も短い。
こうした現象はライトポール際ではもっとひどくて、セーフコ326フィートに対して新ヤンキースタジアムは314フィート(約95.7m)しかなく、新ヤンキースタジアムのほうが14フィート(約4.27m)も短い。

両翼95mの球場、というと、日本のプロ野球セ・リーグでいうなら「両翼が約90mしかない神宮球場よりはさすがに広いが、甲子園とほぼ変わらない程度の狭さ」ということになる。日本でもドーム球場のほとんどが国際試合の規格にあわせて両翼100メートルある今の時代(セーフコも両翼100メートル前後)に、両翼95メートルでは狭すぎる。

両翼の広さがほぼ同じ新ヤンキースタジアムと甲子園の形状の違い(Copyright ���2010 damejima. All Rights Reserved.)
ヤンキースタジアムと甲子園の比較赤い太線が甲子園球場。両翼の大きさはほぼ同じ2つの球場の形状を重ねてみた。新ヤンキースタジアムはセンターが非常に深く、左中間、右中間が狭い。特に右中間がつぶれた形をしている。甲子園は逆にセンターが浅く、左中間、右中間が深い。
だが2つの球場がどちらもポール際のフェンスが急激に丸くなっている。そのため、両翼が非常に狭いという点では、2つの球場はそっくりだ。

この「ポール際が急激に丸くなっていて、両翼が狭い新ヤンキースタジアム」は、ある意味「1920年代のベーブルース時代以来続いている、ヤンキースの伝統的な球場の構造」でもある。

ロビンソン・カノーのホームラン・チャート
ロビンソン・カノーのホームラン・チャート
(新ヤンキースタジアム、通算)
レフトポール際に注目。Robinson Cano Hitting Chart | yankees.com: Stats

新ヤンキースタジアムのポール際の狭さには、ヤンキースの歴史が詰まっている。

ベーブルースがレッドソックスからヤンキースに移籍してきた1920年に使っていたのは、当時ニューヨークに本拠地があった時代のジャイアンツ(現在のサンフランシスコ・ジャイアンツ)が使っていたポロ・グラウンズ
この球場は長方形だったため、センターがなんと483フィート、約147.2mもある(日本の主要な球場のセンターは116〜117m)のに対して、左右両ポールまでは、センターの半分程度の広さしかない(左279フィート 約85.0m、右257.67フィート 約78.5m)という異様な形の球場で、本当かどうかは確認してないが、なんでもポール際ならポップフライでも本塁打になったらしい。

ヤンキース移籍後のベーブ・ルースはこの「ポロ・グラウンズのポール際の異様な狭さ」の恩恵を受けたといわれていて、移籍してきた1920年シーズンに54本ものホームランを打った(前年は29本)。史上初のホームランバッターの登場ともいえるルースの人気沸騰で、ヤンキースもメジャー史上初の年間観客動員100万人を突破した。
だが、人気を奪われたポロ・グラウンズの主であるジャイアンツ側はこれを心よく思わず、ヤンキースに「1921年以降のポロ・グラウンズの使用差し止め」を言い渡したところ、ヤンキースはポロ・グラウンズからハーレム・リバーを渡ってちょうど反対側に、ライト側が異様に狭く、またポロ・グラウンズと同じようにライトポールまでの距離が極端に短い旧ヤンキースタジアムを建設した。

つまり、1923年開場の旧ヤンキースタジアムは、単にライト側がレフトに比べて異様に狭いというだけではなくて、「両翼のポール際が異様に狭いというポロ・グラウンズの非常に特殊なフィールド形状」を踏襲して、「ベーブルースのホームランのためにライト、およびライトポール際が異様に狭くしていある」球場というわけだ。旧ヤンキースタジアムのライトポールは296フィート、約90.2mしかなく、現在の神宮球場くらい狭い。
だからこそ「新ヤンキースタジアムでポール際が急に狭くなっていてホームランが入りやすいのも、ポロ・グラウンズとベーブ・ルースの1920年代に始まって、旧ヤンキースタジアムでもしっかりと継承された、ヤンキースの古くからある伝統的な球場のつくり」というわけなのだ。

Polo Groundsポロ・グラウンズ

Clem's Baseball ~ Polo Grounds

旧ヤンキースタジアム旧ヤンキースタジアム

Clem's Baseball ~ Yankee Stadium

セーフコと球場のつくりが似ているカムデンヤーズと、新ヤンキースタジアムを比べてみると、基本的な部分ではやはり、左中間は新ヤンキースタジアムが広く、右中間はカムデンヤーズのほうが広いが、ポール際に関してだけは、やはり両翼ともに新ヤンキースタジアムのほうが狭くなっていることがわかる。
なにも、新ヤンキースタジアムと形状が特別違う球場を探し出してきて、新ヤンキースタジアムをけなしたり、おとしめたりしているわけではないのだ(笑)

カムデンヤーズ、ヤンキースタジアムの比較カムデンヤーズ、ヤンキースタジアムの比較(オリジナル Copyright © damejima. All Rights Reserved.)

緑:カムデンヤーズ
青:ヤンキースタジアム






August 23, 2010

イチローがメジャーに移籍して圧倒的な勝率をあげて地区優勝した2001年に、マリナーズ監督としてア・リーグ最優秀監督賞を受賞しているスウィート・ルー、こと、ルー・ピネラがカブスの監督を退任した。
【2月24日】1999年(平11) イチロー「1日で帰りたくなくなった」(野球) ― スポニチ Sponichi Annex 野球 日めくりプロ野球09年2月

彼の監督としての手腕の評価や、マリナーズ時代の華々しい実績などは、どうせたくさんの人が論じるだろうし、いまセンチメンタルになっても何も始まらないので、このブログでは、彼がヤンキース在籍時代にレフトとして全ゲームにスタメン出場し、ドジャースを相手に見事にワールドシリーズチャンピオンになった1977年のワールドシリーズの第6戦でもリプレイしてみることにする。
第6戦が行われたのは1977年10月18日で、ここまでヤンキースの3勝2敗。1986年以前の奇数年のワールドシリーズだから、DH制がなく、ヤンキースの投手たちはすべて打席に立った。
October 18, 1977 World Series Game 6, Dodgers at Yankees - Baseball-Reference.com


1977年のピネラは、カンザスシティ・ロイヤルズからヤンキースに移籍して4年目のシーズンで、103ゲームに出場して、339打数、47得点、45打点、12ホームラン。ヒットは112安打で、打率.330、OPS.876と、堂々たる成績のレギュラーシーズンだった。この1977年の打率.330は、結局ピネラのキャリアハイになり、ホームラン12本もキャリアハイ。
ポジション別の出場試合数は、DH43、ライト27、レフト24、ファースト1で、73年にア・リーグで始まったばかりのDHを最も頻繁につとめた。
当時のヤンキースでの彼のポジションはいちおう「ユーティリティ」という位置づけだが、ワールドシリーズも6試合すべてに出場しているように、単なる「守備要員の控え選手」あるいは「守備に全くつかないDH専門打者」という意味のプレーヤーではなく、守備も打撃も信頼された堂々たるレギュラーだったといっていい。
翌年1978年にピネラはレギュラーシーズンに130ゲーム出場、ワールドシリーズも全て出場して2年連続優勝。1979年もレギュラーシーズン130ゲームに出場している。
Lou Piniella Statistics and History - Baseball-Reference.com


さて、
この試合のプロセスをたどる前に、このゲームと大いにかかわりのあるワールドシリーズにおけるDH制の変遷の歴史をちょっと確かめておこう。

MLBのレギュラーシーズンで最初にDH制が認められたのは、1973年ア・リーグが最初だが、当初ワールドシリーズに関してだけは1973年以降もDH制は採用されていなかった。
初めてワールドシリーズでのDH制が認められたのはア・リーグでのDH制採用から3年たった1976年。だからワールドシリーズでのDH制は35年程度の歴史しかない。
しかもワールドシリーズでのDH制の採用当初は「偶数年でのみ、DH制採用」という「隔年DH制」であり、現在のようにホームチームにあわせてDHがあったりなかったりする制度になったのは、1986年以降。ワールドシリーズにおけるDH制度が現在の形になってから、実はまだ約25年ほどしかたっていないのである。
World Series - Wikipedia, the free encyclopedia

だから、「奇数年」のワールドシリーズである1977年のワールドシリーズには、そもそも「DH制がない」つまり、当時は既にDH制度があったア・リーグチャンピオンである77年のヤンキースは、レギュラーシーズンは「DHあり」で戦ったが、「ワールドシリーズだけは全ゲームをDH無しで戦った」。
77年のレギュラーシーズンではDHとしての出場ゲーム数が最も多かったルー・ピネラが、ワールドシリーズでは、DHではなくレフトとして全ゲームにスタメン出場しているのは、そのためだ。
ちなみにピネラのワールドシリーズでの打順は、ヤンキースタジアムでのゲームはすべて「7番レフト」だが、ドジャースタジアムで行われた第3戦、第4戦では「5番レフト」と、4番レジー・ジャクソン(彼の44番は永久欠番)の後ろのクリーンアップまで任されている。いかに、監督ビリー・マーチン(現役時代の彼の1番は永久欠番)のピネラに対する信頼が厚かったかわかる。


第6戦の先発は、ヤンキースがレギュラーシーズン17勝13敗、防御率3.88で77年シーズン途中にオークランドから移籍してきたばかりのMike Torrez(キャリア通算185勝160敗)。ドジャースがレギュラーシーズン12勝7敗、防御率2.62のBurt Hooton(キャリア通算151勝134敗)。


第1打席 ライトフライ
ルー・ピネラの第1打席は、2回裏。初回にドジャースのタイムリー三塁打で2点をリードされたヤンキースは、この回の先頭4番レジー・ジャクソンが四球で歩くと、5番のクリス・チェンブリスに2ランが出て、同点。その後、1死ランナー無しでルー・ピネラに打席が回ったが、浅い右中間のライトフライ。

第2打席 犠牲フライ(打点1)
4回裏。3回裏にドジャースの4番レジー・スミスにソロ・ホームランを打たれてまたも1点リードされていたヤンキースの4回は、ランナーを1塁において、4番レジー・ジャクソンが初球を逆転2ラン。4-3と、この試合はじめてヤンキースがリードした。
さらに2回裏にホームランを打っている5番チェンブリスに二塁打が出て、サードに進塁した1死3塁で、ルー・ピネラに打席が回った。ピネラはレフトに犠牲フライを打ち、ランナーが帰ってきた。スコアは5-3。ピネラの堅実な打撃で点差は2点に広がった。

第3打席 センターフライ
第3打席は6回裏。
5回裏にはランナーを1人おいて、またもレジー・ジャクソンが初球を2打席連続の2ランホームラン! ヤンキースが7-3と、点差を4点に広げていた。6回裏、ピネラは2人目の打者として登場したが、センターフライに終わり、その後三者凡退。

第4打席 ファウルフライ
ピネラの第4打席は8回裏。このイニングの先頭打者4番レジー・ジャクソンが、なんと「3打席連続初球ホームラン」! 点差は5点に広がり、スコアは8-3に。この日のレジー・ジャクソンは4回打席に立って、四球、3ホームラン、5打点。7番ピネラは2死ランナー無しから打席に立って、1塁側のファウルフライに倒れた。


結局このワールドシリーズのMVPはいうまでもなく「ミスター・オクトーバー」 レジー・ジャクソンだったわけだが、ルー・ピネラも有能なバイ・プレーヤーとして十分な貢献をした。(22打数6安打3打点)
ちなみにレジージャクソンは「3打席連続初球ホームラン」という離れ業をやってのけたのだが、実はこの前の第5戦の最終打席がホームランだったので、あわせて「ワールドシリーズ 4打席連続ホームラン」という偉業を達成している。


このワールドシリーズに出場したのは、「ミスター・オクトーバー」レジー・ジャクソン、後に日本のプロ野球巨人でプレーしたレジー・スミスだけでなく、多数の才能ある選手が出場した。
投手では、ヤンキースの永久欠番(49番)投手で、翌年78年にサイ・ヤング賞投手になる「ルイジアナ・ライトニング」ロン・ギドリー、74年サイ・ヤング賞投手で、5年連続20勝、完全試合を達成し殿堂入りしているキャットフィッシュ・ハンター、この77年のサイ・ヤング賞投手で70年代を代表するクローザーのひとりスパーキー・ライル
野手では、70年ア・リーグ新人王で、この77年のア・リーグMVPも獲得し、生きていれば殿堂入り確実といわれながら飛行機事故で若くして亡くなったが、ジョニー・ベンチと並ぶ名キャッチャーといわれ、キャプテンで永久欠番選手(15番)のサーマン・マンソン(ルー・ピネラはサーマン・マンソンの葬儀で弔辞も読んだ)、ゴールドグラブ三塁手のグレイグ・ネトルズ(シアトルにいたマイク・スウィニーの奥さんは、ネイルズの弟の娘)はじめ、数々の名手たち。

こうした才気あふれるプレーヤーの中で1977年のワールドシリーズの全ゲームにスタメンとして出場したルー・ピネラが、いかに選手として素晴らしい選手だったかは、いうまでもない。


通算打率 .291
ア・リーグ新人王(1969年)
ゲームあたりレンジファクター1位(レフト 1969年)
オールスター出場(1972年)
最多二塁打(1972年 ア・リーグ)
最多アシスト1位(13 レフト 1974年)
守備率1位(レフト 1974年)
最優秀監督賞3回(1995年、2001年、2008年)






August 22, 2010

空からみたカムデンヤーズ左右非対称で新古典主義建築の魅力溢れるカムデンヤーズ。ライト後方に19世紀のレンガ造りの倉庫があり、ボールパークのデザインも倉庫に調和するようにつくられた。

先日ボルチモアの新監督ショーウォルターさんの記事を書いたばかりだが、1992年に建設されたボルチモアのホームカムデンヤーズ(Oriole Park at Camden Yards)は、95年に建設が決定し99年に開場したシアトルのセーフコ・フィールドと色々な意味で非常によく似ている。
それもそのはず、セーフコをはじめとする近年建設されたネオ・クラシカル、つまり「新古典主義建築を取り入れたといわれるボールパーク群」のお手本になったのがカムデンヤーズだから当然のことなのだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月18日、ショーウォルター監督のみせる「父親の走り」の素晴らしさ。
参考資料:
Clem's Baseball ~ Stadium dimensions
Wapedia - Wiki: 野球場


大昔、野球黎明期のアメリカの専用ボールパークは「広い土地の手に入らない、もともと手狭(てぜま)な大都市で空き地を活用して」作られた。
ただでさえ土地がない都市の空き地は、もともと変則的な形をしていたり、周辺にさまざまな事情を抱えていることも少なくないわけだが、初期のボールパークはそれぞれの「空き地の抱える諸事情」にあわせて作られたため、「左右が非対称で、いびつな形」をしていることが多いのは、都市部の限られた土地を有効利用して建設されたことも理由になっている。(例えばブルックリン・ドジャースの本拠地エベッツ・フィールドは元はゴミ捨て場、旧ヤンキースタジアムは元は材木置き場でライト場外に鉄道があり、フェンウェイ・パークは沼地に建てられ、レフト場外には直線道路と建物がある)
だが、その「いびつさ」は野球の歴史の中でかえってアンティークの家具のように「味のある変形具合」と評価され、初期のボールパークは通いやすい都市の中心部に立地した都市機能の一部として、それぞれの球場がそこにしかない独特のクラシカル雰囲気をかもしだしながら観客に愛され、野球を隆盛に導いた。

初期のボールパークそれぞれの平面図の比較
資料:Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

Polo Groundsポロ・グラウンズ
元はポロ競技場。センターは147m以上あるのに、両翼はわずか80m前後。おそらく野球史上最もいびつな形の球場のひとつ。1920年ベーブ・ルースがボストンから移籍してきた時、ヤンキースはここを西海岸移転前のニューヨーク・ジャイアンツと共用でホームにしていた。

旧ヤンキースタジアム旧ヤンキースタジアム
1923年開場。場外に鉄道があるライト側が異様につぶれた特殊な形。ジャイアンツからポロ・グラウンズの使用を拒否されたヤンキースがハーレム・リバーを挟んで反対側の材木置き場に建設した。


しかし1960年代中盤から80年代にかけて、球場の老朽化やマーケティング上の理由からボールパーク(野球場)に「多目的スタジアム Multi-purpose stadium」としての機能を求める時代が来て、特にアメリカンフットボールのスタジアムとの兼用化を狙って、新しいスタジアム建設が進んだ。(いまの日本の球場のかなりの部分は、東京ドームが82年建設のメトロドームを手本にしたように、いまだに30年前のアメリカの状態にある。また、日本の大多数のサッカースタジアムも陸上競技場との兼用施設になっており、欧州の非常に美しいサッカー専用スタジアムとはまるで比べ物にならないくらい劣悪な観戦環境にある)
多目的スタジアム時代の球場の大半は、名称に「スタジアム」か「ドーム」という言葉がつく。
セーフコができる前のシアトルがフランチャイズにしていたキングドーム(2000年に解体)も、かつてはプロフットボールチームであるシアトル・シーホークスとの共用スタジアムだった。キングドームは北米3大プロスポーツ(NFL、MLB、NBA)全てのオールスターゲームを開催した史上唯一のスタジアムだが、これも要はキングドームがいかに80年代特有の「なんでもありスタジアム」のひとつだったか、ということの証である。

クッキーカッタークッキーカッター

こうした「なんでもありスタジアム」は、英語では、cookie-cutter stadiums(クッキーカッター・スタジアム)、とか、concrete donuts(コンクリート・ドーナツ。単にドーナツ・スタジアムと呼ばれることもある)とか呼ばれていて、いまではかつての「大失敗」として評価が定着している。
クッキーカッターというのは、平らに伸ばしたクッキー生地から「同じ形」のクッキーをくりぬくための「ぬき型」のことだが、80年代までの多目的スタジアム群がどれもこれも「あまりにもそっくりの、まるで特徴の無いスタジアム」だったことから、こう呼ばれることになった。

実際どのクッキーカッター・スタジアムも、スタジアム全体の形が円形でお互いに似ているだけでなく、立地やグラウンドの作りも似ていて、郊外の高速道路のインターチェンジの近くなどに建設されているためにスタジアム周囲があまりにも殺風景で、都市中心部から離れているため交通の便が悪く、グラウンドは選手の故障をまねく固すぎる人工芝で、観客とフィールドの距離が離れすぎてしまって、臨場感に乏しい可動式の客席など、ほとんどあらゆる面で選手と観客の両方から不評をかった。
Multi-purpose stadium - Wikipedia, the free encyclopedia

クッキーカッター・スタジアムの平面図の比較
資料:Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

アストロドームアストロドーム
1965年開場。かつてのヒューストン・アストロズのホーム(現在はミニッツメイド・パークに移転)フットボール兼用で、典型的なクッキーカッター。Clem's Baseball ~ Astrodome

リバーフロント・スタジアムリバーフロント・スタジアム
1970年開場。かつてのシンシナティ・レッズのホーム(現在はグレート・アメリカン・ボールパークに移転)やはりフットボール兼用で、レイアウトがアストロドームとまったく見分けがつかない。Clem's Baseball ~ Riverfront Stadium


1992年にクッキーカッター・スタジアムからの脱却をめざして建設されたのが、新古典主義風のボールパークの元祖と呼ばれるカムデンヤーズだ。(そもそも古い球場は、「○○○・スタジアム」という呼称ではなくて、「○○○・パーク」とか「○○○・フィールド」と呼ばれることが多い。最近新設されたボールパークで「スタジアム」と名乗ったのは、かつてクッキーカッターとして悪名高かったセントルイスのブッシュ・スタジアムのみ)
カムデンヤーズは、ロサンゼルスに移転する前のブルックリン・ドジャースがホームにしていたエベッツ・フィールド(Ebbets Field )をお手本にしているといわれる。
クッキーカッター・スタジアムが「円」を基本モチーフにデザインされ、球場全体が球形、フィールドが左右対称、外野フェンスもなめらかな弧を描いているのに対し、カムデンヤーズのデザインモチーフは「非対称」「直線」と、大きく違う。
カムデンヤーズはフィールド全体が「左右非対称」で、また、外野フェンスが直線のみで構成されたデザインになっている。また球場全体の雰囲気作りには、ライト側の19世紀に建設された倉庫とマッチするレンガと鉄骨のクラシカルなデザインファクターが上手に取り入れられていて、直線的だからといって冷ややかなイメージではなく、むしろ古き良き時代を思わせる「懐かしく、暖かい印象の直線」に仕上げられている。

新古典主義ボールパークの平面図の比較
Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズオリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ
右中間が左中間より約10フィート広く、ライト側に高さ25フィートのフェンス。そのため左打者にはホームランが出にくい。右打者不利といわれるセーフコ・フィールドと好対照なつくり。Clem's Baseball ~ Oriole Park at Camden Yards

エベッツ・フィールドエベッツ・フィールド
1913年開場。カムデンヤーズのモデルにもなったブルックリン・ドジャースのホーム。エベッツは当時のオーナーの名前。Clem's Baseball ~ Ebbets Field


昔のボールパークのクラシカルな雰囲気の良さを取り入れた「ライトが広い」カムデンヤーズは都市中心部に近く、海沿いの倉庫街にあって、すぐ横を鉄道や高速道路が走るが、「レフトが広い」セーフコ・フィールドも同じように、海沿いの倉庫街の鉄道沿いに立地していて、いかにセーフコがカムデンヤーズそっくりかがよくわかる。
カムデンヤーズの横を走る鉄道のすぐ外側はもう大西洋に続く湾だが、セーフコ・フィールドの外を走る鉄道のすぐ外も海であり、この2つのボールパークは「双子」といってもいいくらいに地勢がそっくりなのだが、それだけでなくボルチモアとシアトル両方の都市そのものがロケーション的にかなり似ている。
そもそもメリーランド州ボルチモアは、大西洋から東海岸に奥深く入り込んむチェサピーク湾(Chesapeake Bay)の奥にある港湾都市で、タバコの積み出し港として栄えたが、この「大洋が大陸の奥深くに入り込んだ湾の奥に位置している街」というロケーションは、太平洋がアメリカ北西の海岸に奥深く入り込んむピュージェット湾(ピュージェット・サウンド、Puget Sound)の奥に位置している商業都市ワシントン州シアトルと地勢的にそっくりなのだ。

ボルチモアの地勢大西洋と五大湖の中間に位置して、大西洋が北米東海岸に入り込む湾の奥にあるボルチモアは、太平洋岸のシアトルと地勢がそっくり。


そんな歴史的に意味のあるカムデンヤーズだが、建設直後の観客動員に対する効果は絶大だった。
91年までボルチモア・オリオールズの1試合あたりの観客数はおよそ3万人だったのだが、カムデンヤーズのできた92年以降は、1試合あたり45000人と、1.5倍にも膨れあがった。これだけ応援してくれるファンが多くなって、いつもボールパークが満員になることがプレーヤーに力を与えないわけはないのであって、97年にボルチモアは98勝64敗の好成績で地区優勝まで遂げている。まさにカムデンヤーズ効果である。
Baltimore Orioles Attendance, Stadiums, and Park Factors - Baseball-Reference.com


しかし残念なことに、東地区最下位に沈むようになった2008年以降は、カムデンヤーズ建設当時には年間350万人以上あった観客動員は、200万人を割り込むようにな状態になっている。

他のフランチャイズが次々にカムデンヤーズを模倣して新古典主義のボールパークを建設するようになって、カムデンヤーズの魅力が薄れたのか?

いや、そうではない、と思う。

いくらカムデンヤーズが変わらず魅力的なボールパークであっても、結局はチームがそれに甘えてしまっているのではダメだ。新しいスタイルのボールパークというだけで観客が来てくれる時代が終われば、やはり観客が見たいのは「ホームチームの勝利」なのは当然だ。
魅力的な打者があれだけ揃ったパワフル打線なのに、あれほど勝てないのはちょっとおかしいと思うし、実際に最近のショーウォルター就任後のゲームでは、LAAをスイープし、西地区首位のテキサスさえ圧倒している。
魅力的な新監督も来た来シーズンは、いまも魅力溢れるカムデンヤーズ、そしてパワフルなプレーヤー、ボルチモア本来の実力にふさわしい野球を見せて、新古典主義ボールパークの殿堂カムデンヤーズを満員の観客で沸かせてくれるのを期待したい。


それにしても、
このチームが勝てないことによるカムデンヤーズの観客減少という問題は、セーフコとシアトル・マリナーズの観客動員の関係についてもまったく同じ問題がある。「勝つ」ということの大事さを、無能なズレンシックはどう考えているのだろう。

また、60年代中盤から80年代に流行したアメリカの「クッキーカッター・スタジアム」の抱えていた数々の深刻な問題は、いまだにクッキーカッター・スタジアムっぽい人工芝ドーム球場だらけの日本のプロ野球や、陸上競技との兼用スタジアムだらけの日本のプロサッカーが、いまだに抱え続けている問題点だ。
ファウルグラウンドに臨場感のある観客席を作る程度でお茶を濁すのではなくて、日本のボールパークも、日本のサッカースタジアムも、もっともっと観客と選手を大事にした味のある競技施設に生まれ変わるべきだ。
MLBのボールパークがこれまでの歴史の中で解決してきた様々な問題は、とてもひとごとではない。






August 20, 2010

今現在16勝を挙げてハーラートップを走っているのはNYYのCCサバシアだが、今年のサイ・ヤング賞に彼がふさわしいかどうか、という点になると、ちょっとどうだろうと思う。
彼はたしかに丈夫で頼りになる投手で、イニング数、ゲーム数を投げてくれる投手だが、打たれたヒット数、四球数がちょっと多すぎるし、彼にサイ・ヤング賞を与えるくらいなら、まだボストンのバックホルツにでもくれてやったほうがマシだと思うが、もっとふさわしい投手がいる。

それはクリフ・リー

彼の今シーズンの公式スタッツのうち、打ちたてつつある数々の歴史的な記録と、さまざまなスタッツで彼がどれだけ上位にいるかを見てもらいたい。
去年も勝ち数の多いヘルナンデスではなくて、防御率と内容で上回ったカンザスシティのグレインキーがサイ・ヤング賞投手になったが、今年のサイ・ヤング賞も、昨年のヘルナンデス同様に、勝ち数の多いサバシアより、(もう少し勝ち数を増やすという条件つきで)内容のあるクリフ・リーがふさわしいと思う。
2010 American League Pitching Leaders - Baseball-Reference.com

特に、ちょっと今シーズンのクリフ・リーの四球の異常な少なさは、ちょっと尋常でない。

SO/BB(Strikeouts / Base On Balls、三振数÷四球数)
SO/BBは、サイ・ヤング賞の名前の元になった約100年前の名投手サイ・ヤングが、1893年から1906年までの14シーズンで11回もメジャー最高を記録している記録で、サイ・ヤングの名投手ぶりを示す数値のひとつだ。
これまでの歴史的なシングル・シーズン記録は、1980年代に2度のサイ・ヤング賞に輝き、カンザスシティ・ロイヤルズをワールドチャンピオンに導いた名投手ブレット・セイバーヘイゲンが16年前、1994年に110年ぶりだかに打ち立てた11.0000だが、今年のクリフ・リーは、なんと14.7000
記録を破るにしても、その記録更新の幅がハンパなく大きすぎる。なんというか、ケタが違う。
セイバーヘイゲンの前の記録は、1884年にJim Whitneyが打ち立てた10.0000で、これは、イチローが84年ぶりに更新したジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録と同じように、その後100年以上も誰も破れなかった歴史的大記録なのだが、ブレット・セイバーヘイゲンの11.0000は、その記録を110年ぶりにうち破った。
そのセイバーヘイゲンの快挙を、クリフ・リーはさらに誰も想像すらできないとんでもない数値14.7000で抜き去ろうとしている。
Progressive Leaders & Records for Strikeouts / Base On Balls - Baseball-Reference.com


BB/9(9イニングあたりの四球数)
メジャーの長い記録の中でも、単年でBB/9が1.0000を切ることができた投手は(今年のクリフ・リーを除いて)わずか114人しかいない。
そしてのその大半は1880年代から1900年代初頭にかけての古い記録であって、20世紀半ばから現在にかけてだけをみると、達成できたのは(2010年クリフ・リーを除いて)以下のわずかのべ9人しかいない。しかも、複数回達成した投手が大投手グレッグ・マダックスなど3人いることから、達成者の実数はたった6人しかいない。

カルロス・シルバ (26)  0.4301 2005
クリフ・リー (31)   0.5325 2010 左投手
Bob Tewksbury (31) 0.7725 1992
Greg Maddux (31)  0.7736 1997
Bob Tewksbury (32) 0.8424 1993
David Wells (40)  0.8451 2003 左投手
LaMarr Hoyt (30)  0.8558 1985
Jon Lieber (34)   0.9170 2004
David Wells (41)  0.9199 2004 左投手
Greg Maddux (29)  0.9873 1995
Single-Season Leaders & Records for Bases On Balls per 9 IP - Baseball-Reference.com

今年のクリフ・リーの0.5325は、いまのところ1800年代を含めていえば歴代15位くらいにあたるのだが、2010年クリフ・リーより上の数値を記録している14人は「全員が右投手」であって、今年のクリフ・リーがこのままいけば、左投手として歴代最高のBB/9を記録することになる。
近年の左投手がBB/9において1.0000を切った記録は、2000年にトロントで20勝をあげ完全試合もやっているデービッド・ウェルズの2003年の0.8451、2004年の0.9199くらいしか記録がなく、クリフ・リーの0.5325は、左投手として化け物クラスの数値である。
Progressive Leaders & Records for Bases On Balls per 9 IP - Baseball-Reference.com


WHIP(Walks & Hits per IP)
四球が異常に少ないのだから、WHIP(イニングあたりのヒットと四球でランナーを出す率)がいいのは当たり前といえば、当たり前かもしれない。クリフ・リーの0.947は、いまのところア・リーグトップ。

1. クリフ・リー .947
2. Cahill (OAK) .981
3. Weaver (LAA) 1.095
4. Pavano (MIN) 1.107
5. Lester (BOS) 1.130
6. Hernandez (SEA) 1.138
7. Danks (CHW) 1.146
8. Lewis (TEX) 1.153
9. Braden (OAK) 1.154
10. Marcum (TOR) 1.160
Progressive Leaders & Records for Walks & Hits per IP - Baseball-Reference.com

ただ、WHIPの数値の良さについては、四球を出す率が異常に少ないわけだから、その分ヒットを打たれてこの数字になっている、ともいえるわけで、それを考慮すると手放しで喜ぶべき数値ではない、ともいえる。
現に、シアトルから移籍して以降、クリフ・リーの被打率は、かなり急上昇している。
5月 .248
6月 .222
7月 .211
8月 .277
Cliff Lee Stats, News, Photos - Texas Rangers - ESPN

やはりクリフ・リーが今年の歴史的な記録塗り替え作業に成功するとしたら、ベースになった好成績期間は明らかにロブ・ジョンソンとバッテリーを組んだシアトル在籍中の成績である。

2010シーズン ERA+(=Adjusted ERA+)
シアトル在籍時 172 (ほぼキャリア・ハイ)
テキサス 126
2チーム在籍トータル 150

2010シーズン ERA(=いわゆる防御率)
シアトル在籍時 2.34 (キャリア・ハイ)
テキサス 3.44
トータル 2.77
Cliff Lee Statistics and History - Baseball-Reference.com






August 19, 2010

子供の頃、夕暮れに家にあった斧で指に大怪我をしたことがある。

よく指先が飛ばなかったものだと今でも思う怪我だったが、そのときの最も覚えている記憶は指の痛みではなくて、父の「走り」だ。
父は出血し続けている指にタオルを巻きつけると、すぐに僕を背中に背負った。実家は住宅街にあるからタクシーが通りかかることはない。父はそのまま、街で大きめの病院まで一度も休むことなく走りぬいた。

近くの、といっても、数100mはある。地下鉄ひと駅分まではないが、普段は自転車で行くような距離の場所でもある。当時の自分の体重は、覚えてはいないが、小学校高学年ですでに身長が160センチ台後半にのるような子供だ、けして軽かったとは思えない。


父が走り出す前にどこかに電話をかけようとしていた記憶はまったくない。父は119番にもタクシー会社にもかけなかった。父がタオルを指に巻きつけたこと、父が走る背中、父が走りぬけた時間外の病院のロビーの薄暗さ。すべてを鮮明に覚えている。父は電話をかけることより、迷わず自分で走ることを選んでくれた。
いまは指はかすかに傷跡が残っただけで、機能はまったくなんともない。


Oriole Park at Camden YardsOriole Park at Camden Yards

成績不振で監督をクビにしたボルチモア・オリオールズの新監督になったバック・ショーウォルターさんの試合を何試合が見ることができたが、彼が本当に素晴らしい監督さんであることは、アンパイアに抗議に行くときの彼の「走り」ですぐにわかった。
このところのボルチモアの好調さの理由がここにある。本当に彼の「走り」は見る価値がある。

彼はまず、スタートダッシュに迷いがない。
気がついたときにはもうベンチから飛び出している。

そして、のろのろ歩いたりしない。せかせか、せかせか走る。
まっすぐアンパイアに向かう。迷わず走り寄っていく。

そしてなにより、けして背の高くない彼が「この事態をなんとかしてやらねば」と思いつつ懸命に走る、その切実な気持ちが、彼の態度の隅々にとてもよく表れていて、見ていてちょっと涙が出そうになった。



監督にもいろいろなタイプがいる。
ホワイトソックスのギーエンのような「気のいい兄(あん)ちゃん」もいれば、デトロイトのリーランドのような「厳格なおじいちゃん」もいる。

ショーウォルターさんは、さしずめ「父親」だ。
彼の走りっぷりが、まさしく「父親の走り」だからだ。

父親はいざとなったら無心で駆け出していく。もし子供が車にひかれそうになったら反射的に車道に飛び出していく。
「ショーウォルターは選手になにかあったら迷わず飛び出してくれる。」選手がそう確信できる人がベンチにいて自分のプレーを見守っていてくれると思えることが、どれだけ選手に戦う勇気を与えてくれることか。シンプルなことだが、ショーウォルターさんのような、「走り」で気持ちまで表現できる監督さんは、けして多くない。

判定がくつがえるかどうかはたいした問題ではない。ショーウォルターが走る、その「走り」が既に選手へのメッセージになっている。そのことが素晴らしい。
アダム・ジョーンズのサヨナラ・セフティーバントなど、ちょっと以前の大雑把なボルチモアならありえなかったし、以前なら諦めて投げてくれた負けゲームの終盤でも、今の彼らは諦めてはくれない。


シアトルは幸いにしてボルチモアとの3連戦を勝ち越すことができたが、そんなことよりショーウォルターさんの「走り」を見れたことで非常に満足。
もしあれを見逃したMLBファンがいたら、それはそれはご愁傷さま、あんないいものを、君の一生は本当にツキがないね、といいたい。あの「走り」を見たいがためにわざわざカムデンヤーズに通う観客が増えることは間違いない、そう思っている。

これからのボルチモアは楽しみだ。もともといい打者の揃っているチームだが、これからのボルチモアのゲームはアンパイアが誤審をしてくれないと、もったいない。
なぜって、ショーウォルター監督がベンチを光の速度で飛び出して、せかせか、せかせか駆けていくあの姿を見るだけで、高い入場料を払う価値が十分あるからだ。

それくらい、彼の「走り」は素晴らしい。






August 18, 2010

「守れるチーム」を作るとか高言していたはずの「守るしか勝つ方法がない」シアトルは、いまや「ア・リーグで最もエラーの多いチームのひとつ」だ。情けない。
2009年にチームUZRがメジャー断トツの1位だったのが、まるで幻だったかのように、シアトルの守備はダメになった。 (たぶん、このチームの関係者は2009年に城島をスタメンマスクから干して先発投手がようやくマトモに機能するようになって勝率が大幅に改善できた理由の根本をわかっていない。わかってないまま、いじくり倒して2010年に失敗した。その最大の失敗がフィギンズ。)

そしてチームの負けパターンは、春と、どこも、何も、変わってない。それはそうだ。原因をきちんと対策できてない。対策できないから、この勝率なのだ。
いくら先発投手と外野守備だけよくても、打てない、守れない内野手と、ブルペン投手がそのままでは、いくらロブ・ジョンソンに理由のない責任をかぶせても勝率は上がってこない。

8月15日クリーブランド戦では、ア・リーグで最も下手なセカンドの「使えないチビ」フィギンズの「いつものエラー」から、満塁ホームランを打たれて、いつものように負けた。
8月16日のボルチモア戦は、クローザーのストレートばかり投げたがるデイビッド・アーズマの「いつものひとり相撲」「いつもの四球連発」から、9回裏に同点に追いつかれ、いつものように延長でブルペン投手でサヨナラ負けした。

負けるなら負けるで、ドラフト1位獲得の権利を獲得できるところまで潔く負ければいいのだが、かつての城島恒例の「秋の帳尻打撃」のように、最下位が確定した夏を過ぎる頃からしか打てない帳尻ダメ選手たちの意味不明の帳尻ヒットのせいで、意味のない勝ち星を中途半端に挙げてくるから、よけいに始末が悪い。

たぶん、このチームに再建は無理だ。
再建ということのMLB的な意味も方法もわかってない。


もちろん、ゴールドグラブ賞の選考がエラー数だけで受賞者を決めるような単純すぎる決め方をしているのを批判して、セイバー派の人たちがFielding Bible賞を創設した話のように、エラー数の多さだけをあげつらって守備批判するのは意味がない。

だが、フィギンズのセカンド守備は、むしろ逆だ。
エラー数だけあげてフィギンズのセカンド守備の下手さ加減を批判するのでは、むしろ批判そのものが甘くなって、フィギンズに有利になるほどだ。
それほどフィギンズのセカンド守備は、エラー数がア・リーグで最も多いばかりか、「エラーと記録されないミス」があまりにも多い。エラー数のような見かけのデータでなく、シアトルの毎日のゲームを見慣れている人たちはわかっていることだ。
正面をついた強い当たりはグラブからこぼす、グラブが触っていても捕れない、他チームの上手いセカンドなら捕れている軽いイレギュラーは捕れない、よしダブルプレーというプレー場面でランナーのスライディングをかわすのが下手で1塁に送球できない、ライト前に上がったポップフライを追いすぎてテキサスヒットにする。などなど。例を挙げればキリがない。

フィギンズの場合、データに現れる守備の下手さ、データに現れない守備の下手さ、その両方があまりに多いから、彼のエラーの多さだけ挙げても、むしろ批判が足りないくらいであって、彼のセカンド守備の下手さぶりはエラー数だけでも十分にわかる、というのが正しいのである。

セカンドに好打者で守備も上手い選手が揃う今の時代のMLBにおいて、「左打席ではマトモに打てず、スイッチヒッターとは名ばかりで、守備においてもア・リーグ最低クラスのセカンド」それがフィギンズだ。来期いくら打撃が上向こうが、セカンド守備は突然改善できたりはしないだろう。


今シーズンのシアトルの最大の失敗は、チーム編成にあるのは誰の目にも明らかだ。守備のチームとして成功したのは、「ようやくネックだった城島を干すことに成功した2009年」であって、2010年ではない。
ロスターの打順と守備位置をどう構成するかはチームマネジメントの最大の仕事だが、「最大のポイントだったフィギンズのセカンドコンバートと打順2番固定が大失敗に終わったこと」が、攻守両面にわたって大打撃になって、想定したチームコンセプトが完全に崩壊しているのは明らかだ。
にもかかわらず、無能なズレンシックは、結局、監督コーチをクビにして、選手を数人いれかえただけで、さらにクリフ・リーのトレードにも大失敗しておいて、攻守のネックの何人かと自分自身については何の責任もとらせていない。

P 8 8位タイ
C 9 4位タイ
1B 3 12位
2B 14 1位タイ
3B 19 2位タイ
SS 19 2位タイ
LF 6 3位タイ
CF 0 13位タイ
RF 3 9位

これは今シーズンのシアトルのポジション別エラー数と、リーグ内でのエラーランキングだ(8月17日までだが、急いで書き写しているので多少数値に間違いがあるかもしれない)フィギンズはア・リーグの二塁手で最もエラーするプレーヤーのひとりだ。

フィギンズは、今シーズン、ア・リーグで最も出場ゲームの多いセカンドプレーヤーだが、守備の良さを表す指標のひとつであるレンジ・ファクター(RF)でみると、RF/9(9イニングあたりのRF)、RF/G(ゲームあたりのRF)でみて、出場100ゲームを超える5人ほどのセカンドプレーヤーの中で最も数値が悪い。また50ゲームを超える選手10数人の中でも、タンパベイの2人を除けば、最も低い。


ちなみにサードのホセ・ロペスについてだが、「ロペスのサード守備は、フィギンズ並みに酷い」と思いこんでいるシアトルファンは多い。

だが、それはおそらく間違いだ。

たとえば同じ三塁手で守備には定評があるエイドリアン・ベルトレと比較してみると、ベルトレのボストンでのエラー数はホセ・ロペスと同じ16で、RFはロペスのほうがいい。マイケル・ヤングや、ミゲル・テハダもエラー数そのものはロペスとかわりない。ロペスの問題は、彼らほど打てないことであって、エラー数ではない。(だからこそ、ロペスの安易なトレードに、ブログ主は賛成していない)
またシアトル在籍時代のベルトレは、当時の打撃の酷さはともかく守備に関してだけは多くのシアトルファンも認めていたわけだが、それでも1シーズン最低14のエラーを記録していて、多い年には18のエラーを記録している。つまり、シアトルだけしか知らないファンが守備の名手と「思い込んでいる」ベルトレは、ミネソタやデトロイトの三塁手のように、シーズンを1ケタのエラー数で終われるような三塁手ではなかった、ということ。
だから2010年のロペスのエラー数16が、これからの50試合足らずで20もエラーするのでもないかぎり、シアトル時代のベルトレと比べて飛びぬけて多すぎるとはいえない。
シアトルファンは、ちょっとロペスの守備のハードルを上げ過ぎている。

それどころか、100ゲームを越えてサードを守ったア・リーグの今シーズンの三塁手の中で、最もRF関連の数値がいいプレーヤーがホセ・ロペスだったりするのを忘れて彼の守備を批判してもらっては困る。

ベルトレの過去の守備スタッツ
Adrian Beltre Stats, News, Photos - Boston Red Sox - ESPN

規定ゲーム数に達しているア・リーグ三塁手の守備スタッツ

2010 Regular Season MLB Baseball 3B Fielding Statistics - Major League Baseball - ESPN



つい話がフィギンズのセカンド守備の下手さからそれてしまった。守備指標はいろいろあるわけだが、RFでなく(結果はしれているが念のため)UZR(アルティメット・ゾーン・レイディング)でみるとどうだろう。

シアトルのチーム全体の数値はリーグ4位。
勘違いしてはいけないのは、2009年シアトルのチームUZRは85.3で、メジャー断トツの1位であったこと。2010年にチームを意味もなくいじりすぎて、これでもチームのUZRはかなり下がったのである。
「守るしか勝つ方法がない」シアトルのUZRがなんとか4位にもちこたえたのは、たぶん外野守備の良さが大きく効いている。外野手全体のUZRがいいのは言うまでもない(リーグ3位)が、ただ、フランクリン・グティエレスの数値は、2009年の31.0から大きく下がって、2010年は7.5しかない。チーム内UZR1位は今年はイチローの10.0だ。もちろん今年のゴールドグラブも間違いない。
まるで打てず、どうみても来年は必要ないとブログ主が思っているコッチマンだが、見てないが、守備数値だけはたぶんいいはず。ブログ主は別にコッチマンの守備がとりわけいいとは思わない。1、2塁間を抜けていく当たりに弱すぎるし、そもそも守備位置が悪い。ただ無難にこなしてエラーをしてないだけの話。ランガーハンズで十分に代役ができる。
またショートでは、多くの人が守備の名手と「思い込んでいる」ジャック・ウィルソンのUZRは「マイナス」で、-1.4。その一方で多くの人が「エラーばかりしていると思い込んでいる」ジョシュ・ウィルソンは「プラス」で、0.3。(これには日頃からジョシュ・ウィルソンを使い続けるべきと言っていたブログ主は納得)
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ところが、セカンドだけを見るとシアトルは大きくマイナスで、LAAについで悪い。RFだけでなく、UZRでみても、フィギンズのセカンド守備がいかにダメかがわかる。LAAの数値が悪いのはケンドリックの-10.8が酷すぎるためだが、もちろんシアトルの数値を大きくマイナスに引き下げているのは、フィギンズの-9.1。(ちなみにサードをやっていたLAA時代のフィギンズのUZRは、たとえば2009年に16.6と、2ケタのプラス)
いかに二塁手フィギンズが「処理できるはずの打球を処理できていないか」わかる。やはりフィギンズは、「目に見えるエラー数だけが多いわけではない」のだ。


フィギンズ -9.1(1047イニング)
トゥイアソソーポ -0.8(8イニング)
ジョシュ・ウィルソン 0.5(13イニング)
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RF(レンジ・ファクター)と同様、サードについてもUZRを参照してみると、ロペスはプラス数値(UZRはプラス数値なら、リーグ平均以上の守備であることを示す)で、リーグ6位。やはり「ロペスのサード守備は、フィギンズのセカンド守備と同じくらい酷い」というのは、単なるいいがかりでしかないことがわかる。
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball


監督ワカマツがクビになったのは当然のことだが、それにしたって「打撃も守備もダメで打順降格にされそうになって、監督にベンチで歯向かったフィギンズを何も処分しない」のは、MLBの鉄則に反する。
無能な監督がそれをやったから選手を処分しなくていいとか、そういう問題ではない。審判に手を出したプレーヤーが退場になるのと同じで、それは「ケジメ」である。
「スイッチヒッターとは名ばかりで、ア・リーグ最低の守備しかできない」フィギンズを打順降格にするくらいの処分は当たり前の行為であって、むしろ処分方針として甘いくらいだ。

このまま今後も「使えないチビ」フィギンズになんの処分もしないのなら「シアトルはケジメのつけられない、選手に舐められっぱなしの球団」というレッテルは、永遠にはがせないだろう。






August 10, 2010

監督ワカマツ解任がようやく決まったこの日の特別な(笑)オークランド戦で、なんと、トリプルプレーが決まった。シアトルにとっては1995年7月13日トロント戦以来、チーム史上10回目。

4回表無死1,2塁から、マーク・エリスのサードゴロをロペスがキャッチして、ベースを踏み、セカンドのフィギンズコッチマンと渡って、トリプルプレー達成。ライナーで飛び出しているランナー2人をアウトにしたのではなく、ダブルプレーの延長のような「ゴロのトリプルプレー」は珍しい。オークランドがトリプルを食らうのは8回目。

10数年に一度の珍しいプレーなわけだから、やはり監督が変わることは、チームに新しい流れや雰囲気をもたらすのだろう。ダレル・ブラウンにとっては、新監督としての就任のギフトになった。

動画
http://mlb.mlb.com/video/play.jsp?content_id=10798463

GameDay
Oakland Athletics at Seattle Mariners - August 9, 2010 | MLB.com Gameday


それにしても、下の記事でデータを挙げたように、低迷する打撃成績のチームにあって打撃面で気を吐いてきたマイケル・ソーンダースをなぜスタメンで使わないのだろう。
首の痛みが引いていない、というのなら代走での起用もわかるが、もしそうでないなら、せっかくバッティングに進境ぶりがみえてきたのだから、絶対にゲームで使って慣れさせるべきだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月8日、打てないチームなのがわかっていて、それでもマイク・スウィニーをフィラデルフィアに売り飛ばしてしまうズレンシックの「素晴らしい見識」。

今日レフトの守備についているランガーハンズも使って能力を引き出してほしいプレーヤーのひとりだが、彼をファーストで使えばレフトはソーンダースでなにも問題ないのに、打てもしないコッチマンの1塁手起用にこだわりすぎるから、こういうおかしなことになる。






damejima at 12:40
ワカマツ 
なんという「行き当たりばったりで、優柔不断で、遅すぎる監督交代」だろう。


シアトル・マリナーズが、監督ワカマツ、ベンチコーチのバンバークレオ(元西武のプレーヤーでワカマツと同時期にオークランドの打撃コーチ)、投手コーチのリック・アデア、コンディショニングコーチのスティーブ・ヘクトをクビにした。
ワカマツの臨時の後任は、マイナーを4年間指導してきたダレン・ブラウン。ベンチコーチの後任は、タコマの捕手コーディネーターだったロジャー・ハンセン(元オリックスの人)。
シアトルはすでに、野球よりフットボールの実績のほうがよほどあるという不可解な打撃コーチのアラン・コックレルを解任して、マイナーの打撃コーチだったアロンゾ・パウエル(90年代に中日で3年連続首位打者)を後任にあてている。
だから、これでシアトルはタコマから指導スタッフをそっくりメジャーに上げてきたような形になる。

Mariners replace Wakamatsu with Brown | Mariners.com: News

最近監督を変えたボルチモアのショーウォルター新監督がエンゼルスを鮮やかに3タテした好例を見たばかりだ。
打撃はいいが投手がダメなことでMLBファンに有名なボルチモアだが、そのボルチモアの3人の先発投手が、3人が3人とも、見違えるような切れのいいピッチングをみせたのだから、野球のようなチームスポーツにおいては選手の発揮する力というものは、オーケストラと同じで「指揮者」によって大きく変わることがあることがよくわかるのである。


なぜシアトルと無能GMズレンシックは「どうせ交代させるとわかっているダメ監督」をクビにするだけの簡単な作業なのに、もう少しマシなやり方、スマートなやり方ができないのだろう、と思う。


先日、たしか先週の火曜日に無能GMズレンシックは現地の記者に
「ワカマツを解任しないのか?」と質問されて
「今は彼が監督だ、ごにょごにょごにょ」とか、あたかも今シーズン中は解任しないふうなナマ返事をしていたはずだ。
それが、誰から「ワカマツをクビにするように言われた」か知らないが、二枚舌の根も乾かないうちに、そして後任もしっかり決めてもないのにワカマツをクビにするのだから、呆れかえってモノがいえない。

どうせマリナーズのことだから、次の監督の目星もつけてないのだろう。ボルチモアのファンに怒られるが、ボルチモアでさえできるのに、なぜシアトルにはできないのだ。
ずっとマイナーの監督だった人間を代理監督にもってくるような、この「慌てふためきぶり」
最初にクビになったのは打撃コーチのアラン・コックレルダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年5月10日、打撃コーチ解雇についてのいろいろな反応。
そして、ワカマツ、バークレオ、アデア。
以前、マイク・ハーグローブが辞任したときは当時のベンチコーチだったマクラーレンが臨時監督になって、翌年の開幕も監督をやったわけだが、今回は監督・ベンチコーチ・投手コーチまとめて解任だから、責任の重さが違う。


なぁ、ズレンシック。
はやく決断力のカケラもないアンタ自身が辞任しろ。

「このチームが向かうべき方向に向かっていなかった」だの解任を説明したらしいが、その元の原因を作ったのは、あなた自身だ。







August 09, 2010

19.4 7本


これが何の数字かというと、風呂場でコケで指を骨折してしまうような出来損ないで、高給取りで、スペランカーのショートストップを獲るかわりにピッツバーグに放出されたジェフ・クレメントの今シーズンのホームラン1本あたりの打席数と、ホームラン数である。
ピッツバーグで最もホームランの多いのは、110ゲーム出場で16本の主砲ギャレット・ジョーンズだが、彼のホームラン率は26.1でチーム内4位だ。52ゲーム・7本のクレメントのほうが、実はホームラン率は高い。
ア・リーグの規定打席に達した打者で、ホームラン率が20.0を切る打者というと10人ちょっとしかいない。19前後の打者はユーキリスゲレーロアレックス・ゴンザレスとか、ビッグネームの打者になる。
もちろん160ゲーム出場したらそれだけ同じ割合でホームラン数が増えるとは言わないし、打率があまりにも冴えないのがクレメントの現状のダメな点ではあるが、やはりクレメントの長打力にはまだまだちょっとした可能性がある。


まぁ余談はそれくらいにして、パークファクターが違うのは承知の上で、このクレメントのホームラン率19.4と、シアトルの野手全員のホームラン率を比較してみる。

シアトル ホームラン率ランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney 16.5 6本
Russell Branyan 21.3 8本
Ryan Langerhans 22.7 3本
Michael Saunders 23.5 8本
Milton Bradley 30.5 8本
Justin Smoak 31.5 2本
Josh Bard 35.0 2本
Adam Moore 37.0 2本
Casey Kotchman 39.9 7本
Franklin Gutierrez 40.0 10本
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

なんと、クレメントを上回るホームラン率を記録している選手というのが、先日フィラデルフィアにトレードされてしまったマイク・スウィーニー、たったのひとりしかいない。

それはそうだ。
ア・リーグ全体のホームラン率を参照してみると、スウィニーの16.5という数字は、ジャスティン・モーノーマーク・テシェイラといったオールスター級の打者に匹敵する数字なのだ。
起用されたゲーム数、打席数を考えると、マイク・スウィニーのホームランは、本数こそ6本しかないが、長打の効率そのものは抜きん出ていたことがわかる。

マイク・スウィニーは背筋のけいれんのために6月27日から故障者リスト入りしてしまっていたわけだが、シアトルは彼がリストから外れると同時にウェイバーにかけてしまい、フィラデルフィアにクレームされ、放出してしまった。


しかし、だ。

打線の貧打にあえぐチームなのがわかりきっていて、優先して処分すべき選手は誰だったのか。それはマイク・スウィニーなのか。トレードしないまでも、いますぐにでもスタメンからはずすべき選手が誰なのか。


.375

これはクレメントのSLG(長打率)だが、ホームラン率と同じように、シアトルのSLGランキングと比べてみるとどうだろう。
チーム内2位のソーンダースの進境が著しいことがわかる。その一方で、なにか長打を放っている「印象」のあるグティエレスが、中軸打者として起用され続けてきた割に、実は、主軸を打つにはけっこう頼りない数字でしかない。
そしてクレメントより長打率のいい打者は、トレードされてしまった長打男のスウィニー、打席数の少ない控え捕手バードを含めてさえもシアトルの野手全員の中に、たったの5人しかいない。

シアトル 長打率ランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney .475
Michael Saunders .420
Russell Branyan .400
イチロー .390
Josh Bard .386
Franklin Gutierrez .370
Ryan Langerhans .368
Milton Bradley .348
Casey Kotchman .344
Josh Wilson .335
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

そして、チーム内長打率ランキングでもマイク・スウィニーが抜きん出ている。
マイクの.475という長打率は(規定打席に達していないわけだが)規定打席に達している打者のみのア・リーグSLGランキングに照らしていうと23位から24位あたりに該当していて、例えば25位のジョー・マウアーの.473や、26位のマイケル・ヤング、27位のアレックス・ロドリゲスの.470より上の数字なのだ。
もちろん160ゲーム出場していれば、おのずと数字は下がるだろうが、この長打率においてもスウィニーという選手はチーム内で敬意を表されていい選手であることは間違いない。



.611

これはクレメントのOPSだ。ホームラン7本はいいとして、現状の打率が悪すぎるためにクレメントのOPSが悪いのはわかっているが、シアトルのOPSランキングの酷さをきわだたせる意味で、わざと挙げてみた。

シアトル OPSランキング(2010年8月8日現在)
Mike Sweeney .802
イチロー .753
Ryan Langerhans .740
Michael Saunders .725
Russell Branyan .699
Josh Bard .698
Franklin Gutierrez .684
Chone Figgins .650
Josh Wilson .645
Milton Bradley .641
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

ここでも、トップはマイク・スウィニーだ。
またも上位に名前が出てきたソーンダースの進境にも拍手を送りたいし、また出場機会をなかなか与えてもらえてないランガーハンズも頑張っている。
スウィニー、ソーンダース、ランガーハンズは今シーズン、常時出場機会を与えてもらってきた選手ではない。それだけに、チームのOPSランキングに名前の出てこないシーズン開幕時のレギュラー野手のたるみきった成績は糾弾されていい。

サードのロペス、ショートのジャック・ウィルソン、ファーストのケイシー・コッチマン。さらに、あらゆる打撃スタッツのベスト10に名前が出てこないDHケン・グリフィー・ジュニア。
これに、シーズンが実質終わってしまってから帳尻しているだけの「使えないチビ」フィギンズを含めると、開幕時の内野手全員の打撃は「全滅」である。


ファーストをコッチマンにやらせるくらいなら、ランガーハンズを使え、と言いたい。そしてジャック・ウィルソンが骨折してくれて、清々した。ジョシュ・ウィルソンにやっとチャンスが巡ってきた。


まぁ、こんな状況の中で実行されたのが、
「チームで一番効率よく打てるマイク・スウィニーのトレード」なのである。

スウィニーに唾をつけたのが、ピッツバーグやワシントン、つまり惨憺たる成績のチームが獲得したのではなく、まだまだプレイオフを諦めてはいない強豪フィラデルフィアだったことの意味が、「素晴らしき見識」をお持ちのシアトル・マリナーズのゼネラル・マネージャーにはわかっているのだろうか(笑)

マイク・スウィニー放出は、チーム内の投手のまとめ役だったクリフ・リー放出と同じように、野手のメンタルなまとめ役を失うという「形のない損失」でもあるどころか、「数字にはっきりと表れた、バッティング面での明らかなマイナスのトレード」でもある。

8月から正捕手にすえたアダム・ムーアのあらゆる打撃スタッツだって、ジョシュ・バードどころか、ロブ・ジョンソンより低い。






今日の準ノーヒット・ノーランで今シーズンのブランドン・モローは9勝6敗。素晴らしい成績である。
ここまでチームが58勝52敗と、貯金6だったのを思えば、チームの貯金の半分はモローの登板ゲームで稼いだことになる。(残りの半分はショーン・マーカム)


ここまで消化したイニング127.1。ア・リーグで33位タイあたりの立派な数字で(ちなみにMLB1位は大投手ロイ・ハラデイ185.0。素晴らしいの一言。ア・リーグ1位はヘルナンデス174.1
チーム内でも、ここまで131.0イニングを消化して10勝5敗のエース格ショーン・マーカムに次いでの2位だから、十分にイニングを「食って」いて、チーム内ですでに準エースクラスになっている。

QS数も今日を含めてシーズン13に達して(トップはヘルナンデスの20)、これはリーグ22位タイ。マーク・バーリーマット・ガーザジョン・レスターなどといった好投手と肩を並べている。
QS%55%となかなかの数字で、マーカムの57%とほとんど変わらない。登板ゲームの半分ではQSできている。ア・リーグ全体では36位で、マーク・バーリーあたりと肩を並べている。
2010ア・リーグQS数ランキング
2010 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

また、今日までの奪三振数151は、ア・リーグ5位。毎年奪三振の多いフェリックス・ヘルナンデスと、今日の17奪三振で肩を並べた。投げたイニング数が比較的ランキング上位の投手たちと比べると少ないことから、イニングあたりの奪三振率がかなり高いことがわかる。

2010ア・リーグ奪三振数ランキング(画像)
2010 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN
ウィーバー  171
リリアーノ  156
レスター   154
ヘルナンデス 152
モロー    151
バーランダー 140
シールズ   135
ルイス     134
サバシア   131
グレインキー 129

2010年8月8日 ア・リーグ奪三振数ランキング
2010年8月8日 ア・リーグ奪三振数ランキング

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スターターとしてケチのつけどころのない堂々たる好成績である。


以前、6月の記事で、今シーズンのモローのピッチング内容がシアトル時代とはまるで違っていて、「カーブが非常に増え、変化球を投げる割合が激増したこと」を指摘した。
その後2ヶ月たったが、この「カーブの割合を非常に増やした」という傾向はその後も変わっていない。
準ノーヒッター、17奪三振を記録した8月8日のゲームでも、かなりの数の変化球を投げている。特に、このゲームでは、カーブではなく、スプリッター(と記録された球)を非常に多く使い、強打で知られるタンパベイ打線を沈黙させることに成功した。

「投手有利なカウントにならないかぎり、モローにはカーブのサインを出さない」とか、わけのわからないリードをモローに押し付けていたダメ捕手城島のリードが、いかに馬鹿げたものだったか、意味の無いものだったか、よくわかる。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月19日、意味なくダメ捕手城島が阻害していた「カーブ」を自由に使えるようになってピッチングの幅を広げ始めたブランドン・モロー。

Brandon Morrow » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

「城島打ち合わせ無視事件」に関する記録と記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月22日、「投手コーチ・アデアとの打ち合わせを無視し、モローにカーブのサインを一切出さなかった城島」に関する記録。投手たち自身の「維新」による城島追放劇の舞台裏。

元データ:MyNorthwest.com シャノン・ドライアーのコラム
Joh Leaves the Mariners, What Now For Both - MyNorthwest.com

The real eye opener was in the game Brandon Morrow threw right before he was sent down. Don Wakamatsu had said in his post game press conference that it looked like Morrow's breaking ball was shaky the few times he threw it. When we asked Morrow about it he looked at us stunned and said that he didn't throw a breaking ball that game. The plan with Rick Adair and Joh going into the game was to incorporate the breaking ball, it was what he was working on but Joh never called one. His explanation, he couldn't get Brandon into a count where he could throw it.
本当にビックリしたのは、モローがマイナーに降格させられる直前のゲームである。監督ワカマツは試合後の記者会見で「今日のモローはブレーキング・ボールを何球か投げたが、どれも不安定に見えた」と話した。
私たち記者がモローにそれを尋ねると、彼は呆然と我々を見つめながら、「このゲームで僕はブレーキング・ボールなんて、1球も投げてないよ」と言ったのである。
なんでもリック・アデア投手コーチとジョーがゲーム前に立てたプランでは、ブレーキング・ボールを交えるはずだった。だが、ジョーはそれを一度もコールしなかったのである。ジョーの説明によると、モローがブレーキング・ボールを投げることのできるカウントに持ち込むことができなかったから、ということだった






トロントは今ロジャースセンタ−でホームゲーム中だが、ブランドン・モローが先発で8回まで115球投げて、ストライクは82、ボールは33と、素晴らしいストライク率。そして奪った三振16、四球はわずか1。エラーなし。

これはエライことになってきた。

Morrow working on no-hitter vs. Rays | MLB.com: News

Tampa Bay Rays at Toronto Blue Jays - August 8, 2010 | MLB.com Gameday

ブランドン・モローのシーズンスタッツ
Brandon Morrow Career Statistics | bluejays.com: Stats

ブランドン・モローのゲームログ(試合ごとの投球内容)
Brandon Morrow Game Log | bluejays.com: Stats


8回表
フルカウントから先頭バッターを三振!
これで15三振

2番目のバッター、アップトン
2−2からストレートで三振!
16三振!!

3人目、センターフライ
とうとうあと3人だ。


最終回
先頭打者 バートレット
センターフライ

あと2人

2人目 ベン・ゾブリスト
四球・・・

3人目 カール・クロフォード
レフトフライ

あと1人

4人目 エヴァン・ロンゴリア
うああああ・・・
トロントの名セカンドアーロン・ヒルがグラブに当てるところまで追いついたのだが
・・・・ライト前ヒット・・・・・・・・・・

・・・・。うーん・・・。

5人目 三振!
17三振!!!
ただ・・・。ノーヒットノーランは逃した・・・・。

なんてこった。空気読め、ロンゴリア
というか、結局ゾブリストに四球を出してセットポジションになったのが痛かったな・・・。あの四球がなければクロフォードでノーヒットノーラン達成できていたかもしれない。残念。

だが、準ノーヒット・ノーラン、おめでとう、モロー。






August 08, 2010

日本のプロ野球の8月3日の巨人戦で、ダメ捕手城島が「カウント2−2から、1試合に2度ピッチアウトする」という、なんとも身の丈をわきまえないプレーをしてタイムリーやホームランを打たれてチームを負けさせるという不始末プレーがあったらしい。
当然のことながら「カウント2−2からのピッチアウト」は特殊である。フルカウントになることを投手に強要する行為だからだ。その行為を我慢した上で打者にタイムリーだのホームランだの打たれた日には、投手としたら目もあてられない。

該当するゲームを見ていないし、過去のプロ野球のゲームは、MLBのGameDayのように、詳細に遡る手ごろな手段が見当たらないので、「らしい」としかいえないのだが、この「2アウトで、カウントも2−2、どうしてもランナーの盗塁を刺さなくてはならない場面でもなく、むしろ絶対に四球にすべきでない場面」なのに、わざわざ「カウント2−2からピッチアウトしてフルカウントにする」とかいうスタンドプレーは、実は8月の2回だけではない。
少なくとも今年5月の日本ハム戦でも一度やっていて、シーズンで最低3度やっていることは、ネットのブログ記事などからわかった。


この3度の「カウント2−2からのピッチアウト」には、ある共通点があるのだが、その点は誰も指摘してないようだ。
可笑しいのは、この5月1回、8月2回、計3回のシチュエーションが、3度が3度ともソックリなのだ。
 クロスゲーム
 2死1塁
 代走
 カウント2−2

まるで、特定の色を見せてからエサを与え続けていると、色を見せただけでヨダレを垂れながす犬のような、「脊髄反射キャッチャー」である。いかに普段から頭を使ってないか、よくわかる。
他に自慢できるものが無いプレーヤーだから、たいした数字でもない盗塁阻止率を見せかけだけ上げておきたいのかなにか知らないが、いかにこれまで投手に無駄な負担をかけてまでスタンドプレーして、盗塁阻止してきたかを立証するデータがまたひとつ出てきた、というわけだ。ランナーが出たら左打者にはセカンドに送球しづらいインコースには投げない、なんていう行為だけではなかったのである。
この「カウント2−2からフルカウントにしてまでピッチアウトする」という例は、メジャーでもやっていたのかどうか記憶に無いのだが、また暇なときにでもメジャー時代での例を検索して、みつかったらブログ記事にするつもりだ。


MLBには公式サイトのGameDayという素晴らしいサービスがあるために、過去のゲームの試合展開を詳細に遡ることができる。「どの試合で」「どの投手が」「何球に」「どんな球種を投げ」「どんな結果になったか」を、簡単に見ることができるのである。
だが、日本のプロ野球の場合は、そういったデータサイトが充実していない。ヤフーの試合結果なども、当日のゲームについては「1球速報」という形で詳しい経過が見られるが、そのデータを後々になって参照することができない。

だから以下に残すシチュエーションの記録作成にあたっては、ヤフーの粗い試合経過記事、いくつかのファンブログ等を参考に、手作りで再構成してみるほかなかった。多少間違いがあったとしてもご容赦願いたい。


ケース1
2010年5月30日 札幌ドーム 日本ハム対阪神戦


8回裏 スコア:0-2 阪神投手:久保
田中賢 ヒット 無死1塁
森本  ヒット 無死1、2塁
糸井  併殺打 2死3塁
二岡  タイムリー 2死1塁(日本ハム代走:紺田 スコア:1−2)
阪神投手交代 久保→藤川球児
小谷野 カウント2−2からピッチアウト 紺田2塁で憤死

9回裏(スコア:1−2 阪神投手:藤川球児)
小谷野 カウント1−0 同点ホームラン(スコア:2−2)

このゲームで面白いのは、城島がカウント2−2で盗塁を刺すのに成功したことなどではなく、そのときの投手が「回またぎ登板」の阪神のクローザー藤川球児で、バッターが日本ハム小谷野だったことだ。
クローザーとして名高い藤川が、打者をせっかく2−2にまで追い込んでいるにもかかわらず、わざわざピッチアウトしたのである。梨田監督の無理な強攻策が次々とはずれまくって走者がたまたまアウトになってくれたからいいようなものの、そうでなければ阪神はこの無駄なプレーでゲームに負けていたかもしれない。
この試合で藤川は2試合連続の「回またぎ登板」をしているのだが、藤川は8回裏に2−2まで追い込んでいた小谷野の打席で「ピッチアウト セカンド盗塁死」があったために、9回裏になって、ふたたび登場した小谷野と対戦した。そして、その1点差の9回裏に再登場した小谷野は、起死回生の同点ホームラン。
たぶんけして偶然ではないだろう。「一度打席で普段目にしてない別のリーグの投手である藤川球児の球筋を見ていて、目が慣れていた」好打者に、似たような球、似たような組み立てしかできなければ、そりゃ結果は知れている。
日本ハム監督梨田さんが、1点差負けの8回裏の無死1、2塁にもかかわらず、バントさせずに強攻を選択してダブルプレーにしてしまったにもかかわらず、こんどは2アウトからスチールまでも強攻させて、さらにそのスチールすら失敗、という、相手チームの判断ミスの連続にも助けられただけのことでもある。
結果的に、「盗塁阻止」を優先して、小谷野と2度勝負することで、勝負に負けたのは、日本ハムではなくて阪神のダメ捕手である


ケース2
2010年8月3日 東京ドーム 巨人対阪神


5回裏(スコア:1−0 阪神投手:スタンリッジ)
2アウトから
代打工藤  死球 2死1塁
坂本  カウント2−2からピッチアウト
     その後坂本に粘られ四球 2死1、2塁
松本  投手強襲タイムリー(スコア:2−0)


ケース3
2010年8月3日 東京ドーム 巨人対阪神


8回裏(スコア:3−1 阪神投手:安藤)
2アウトから
エドガー ヒット 2死1塁(巨人代走:鈴木)
脇谷  カウント2−2からピッチアウト
     フルカウント後ヒット 2死1、2塁
阿部  カウント2−2から3ラン(スコア:6ー1)


この8月の巨人戦の2度のケースは、5月の日本ハム戦のケースとあまりにもソックリ、というか、まるで同じシチュエーションなのが、つい笑ってしまう。
2アウトまで持ち込んでおきながら、ランナーを不注意に出す。そこに代走が出される。もちろん足の速い選手だ。カウントは2−2。ダメ捕手からのサインでピッチアウトする。だが、無駄にフルカウントにしてしまい、ランナーを貯めてしまう。
そして、タイムリー。ホームラン。

5月にたまたまセオリーにないことをして、相手チームの不用意なスチールを刺しただけなのに、「してやったり。このパターンは使える」といい気にでもなっていたのだろうが、そのときですら直後のバッター小谷野にさんざん球筋を見られて、9回裏に同点ホームランを打たれて延長戦に持ち込まれていることは綺麗さっぱり忘れているのが、いかにもダメ捕手らしい。






以下に話をしようとしているのは、日本に逃げ帰ったダメ捕手城島がどうやら今シーズン何度も披露(笑)しているらしい「カウント2-2からのピッチアウト」の話なのだが、
まず「ピッチアウト Pitchout」という野球用語のよくある間違い、という話からしなければならない。


「ピッチアウト」「ウエスト」は意味が全く違う用語だが、非常にたくさんの野球ファンがこの2つを混同して使っている。
特に多いのは、「ピッチアウト」と表現すべきケースなのに「ウエスト」という言葉を使って表現するたぐいの間違い。
例えば「盗塁を阻止するために、投手にウエストさせた」というのは間違った用法であって、「盗塁を阻止するために、キャッチャーが立ち上がってわざとアウトコース高めにボールをはずす行為」は、「ピッチアウト」で、「ウエスト」ではない。

ピッチアウト Pitchout
ランナーズ・オン、つまり塁上にランナーのいる状況で、投手がバッターのバットの届かないアウトハイなどに意図的に投球し、キャッチャーが捕球後にすぐに送球できる態勢にするプレー。目的は、攻撃側の「走者の足を使って進めるプレー」、例えば盗塁、エンドラン、スクイズなどを阻止することだ。
ちなみに、表記上のささいなことだが、ピッチアウトは、Pitchoutと1語で表現するのが基本の言葉であり、pitch outと2語に分けたり、pitched outと過去分詞の形にするのは、表記バリエーションに過ぎない。

ウェイスト waste a pitch または waste pitches
和製野球英語でいう「ウエスト」は、「ピッチアウト」と意味がまったく違う。
0−2、つまり、ノーボール2ストライクなどの投手有利カウントで「敢えてボール球を投げて、故意にカウントを浪費すること」こと。つまり日本の野球用語でいう「見せ球」とか「捨て球」といわれる投球が、「ウエスト」である。
wasteは「浪費する、無駄にする」という意味の言葉であり、また発音も本当は「ウエスト」ではなく、「ウェイスト」と二重母音であり、例えば「西」を意味するwestと、wasteは発音が異なる。(単語の最後にeがついているからには二重母音になる。日本の高校生でも知っている。)また、waste pitch(ウェイスト ピッチ)と表現されるよりも、waste a pitch または waste pitches と表現されることが多い。






August 03, 2010

今日は朝からたいへん笑わせてもらった。
これだからこのブログを読む人がゼロにならない、というのが、よくわかる(笑)ありがたい、ありがたい(笑)

マリナーズが「7月の墜落」をしたのは、無能なズレンシッククリフ・リーを安易に安売りしたにもかかわらず、その後の足りなくなるのがわかっている先発投手の人的な補充や、チームをまとめなおす新しい目的意識を、用意さえしていなかったために、イチロー以外にチームに残されていた最後のストロングポイントである先発投手陣に中心がなくなってしまい、最後の砦のバランスが壊れたためだが、さらに言えば、その「墜落した7月」は「ジョシュ・バードがロブ・ジョンソンにかわって正捕手におさまった7月」だというのに、どういうものか、無能なチームマネジメントを批判すらしないどころか、目の前にある現実を見たがらないアホウがアメリカにも日本にもたくさんいて、ロブ・ジョンソンのマイナー落ちを手をたたいて、まるで田舎の猿が飛びはねるがごとくに喜んでいる。

まぁ、こういうアホウがたくさんいるからこそ、この数年、このブログも価値を押し上げてもらったわけで、見ていて痛々しい人々だが、喜ばしくもある(笑)ある意味でたいへんありがたい人々でもある。こういうお人好しの方々がかつて「城島問題」の重さに気づきもしないで恥をかいてくれたおかげで、このブログも今日の隆盛を迎えられたというものだ。

たぶんこの人たちは、2010シーズンの「7月の墜落」の意味も、まるで的外れな文章を書き連ね続けてくれて、シーズンの終わりに来るであろうチームのシーズン100敗についても、的外れなことを言い続けて、恥をかいてくれるに違いない。
ありたがや、ありがたや。(笑)

マリナーズ月別成績・勝率
4月 11勝12敗 .478
5月 8勝19敗  .296
6月 14勝13敗 .519
7月 6勝22敗  .214


ジョシュ・バードがチームに復帰してきたのは7月1日、ヤンキース戦からだ。そこから彼の先発ゲームは13ゲームあるが、たったの2勝しかしていない。
Josh Bard Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ロブ・ジョンソン先発ゲーム
4月 7勝4敗 .636
5月 2勝11敗
6月 11勝8敗 ,579
7月 4勝11敗
合計 24勝34敗 .414
Rob Johnson Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ジョシュ・バード先発ゲーム
5月 3勝3敗(5月26日のデトロイト戦は1打席だけで交代)
7月 2勝11敗
合計 5勝14敗 .263
Josh Bard Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


6月には月間勝率5割に戻して復調気配もあったシアトルだが、いったいなぜ7月にガクンと墜落したか、7月にジョシュ・バード先発ゲームでいったい何ゲームを落としたか、日米のアホウたちはそんな簡単なことも頭にいれもせず、いつまでも過去のパスボール程度のささいなことを小姑のようにグチグチと陰湿にあげつらって重箱の隅をつつくのに顔を赤くして苦心惨憺している。ほほえましいものだ。

誰が考えたって、ヘルナンデスがバードと組むようになったからといって、ヘルナンデス登板ゲームの勝ちが増えるわけがない。事実、7月になってバードとも組むようになったが、ヘルナンデスの勝ちゲームはまるで増えてなどいない。今シーズンのヘルナンデスの不安定さは、ロブ・ジョンソンのせいでもなんでもない。

ヘルナンデス登板ゲームの勝敗
4月 4勝1敗
5月 0勝6敗
6月 2勝4敗
7月 2勝4敗
Felix Hernandez Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

それはそうだろう。
シアトルの先発投手がいくらQSしようと、何をしようとゲームに勝てないのは、フィギンズ以下の打線が度をこして貧弱なのと、ブルペン投手があまりにも非力なことに原因があるからなのがわかりきっているからだ。
たとえロブ・ジョンソンをマイナー送りにしたところで、こうしたチームの墜落の根本原因が改善するわけでもなんでもない。
そんなのは、ただの責任転嫁でしかない、馬鹿げた行為なのは、子供でもわかる。

たとえば、だ。
クリフ・リーがジョシュ・バードを専属捕手に選ばなかったのは、ロブ・ジョンソンのせいではないローランドスミスが見苦しい投手なのは、ロブ・ジョンソンのせいではないアダム・ムーアがメジャーで突然3割打てるわけでもなんでもない。アルフォンゾなどという「まがいもののキャッチャー」で一度失敗して負け数を無駄に増やしたくせに、(というか、2009年にもキロスとかいう、まがいもので失敗している)、この人たちは、どういうものか、いまだに懲りないのである。

もしメジャーの他のチームで、ショーン・フィギンズのようなこと(=規律違反)をベンチでしたら、打順降格どころではすまない。ゲームになど、出してもらえなくなる。ヘタをすればトレードされる。
にも、かかわらず、そのフィギンズには何の処分も下すこともできないのだから、チームまるごと舐められて当然だ。だが、立場の強いフィギンズは処分できないクセに、立場の弱いロブ・ジョンソンには責任転嫁とは、おそれいる。

理にかなった行動をとれなくなったズレンシックも、ワカマツも、もうマネージャーとして末期症状である。


先発投手のキャッチャー別ERAと被打率

クリフ・リー
バード 5.65 .267
ロブ・ジョンソン 1.97 .232
Cliff Lee 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

ヘルナンデス
バード 1.59 .194
ロブ・ジョンソン 3.05 .236
Felix Hernandez 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

バルガス
バード 5.55 .327
ロブ・ジョンソン 3.57 .254
Jason Vargas 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

フィスター
バード 3.46 .252
ロブ・ジョンソン 3.68 .256
Doug Fister 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

ローランドスミス
バード 9.79 .362
ロブ・ジョンソン 6.34 .310
Ryan Rowland-Smith 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


6月の成績がまがりなりにも勝率5割をキープできたのは、あきらかにクリフ・リーとロブ・ジョンソンのバッテリーの安定感があったことと、先発投手がブルペンに頼るのを止め、長いイニングを投げるようになったからだ。そして、もしジョシュ・バードが怪我をしていなくて、ずっと正捕手であったところで、クリフ・リーはジョシュ・バードを自分の専属捕手には選ばなかっただろう。
6月にはチームの支柱になっていたクリフ・リーを、何の準備もケアもしないうちに、しかも同地区の首位チームに思いつきで安売りするような馬鹿げたことをしでかした上に、さらに「7月の墜落」の責任をロブ・ジョンソンに押し付けてマイナー送りにして、シアトルは「6月のチームの中心軸」を自分の手でドブに捨てたのである。


ここまでの責任転嫁をしたからには、たぶんここからズレンシックとワカマツはきっと地区優勝してみせてくれるに違いない(笑)






August 02, 2010

4月 11勝12敗 .478
5月 8勝19敗  .296
6月 14勝13敗 .519
7月 6勝22敗  .214

これは、2010年シアトル・マリナーズの月別の勝ち負けと、勝率だ。
みてもらうとわかるように、4月と6月にはほぼ5割程度の勝率を残している。特に大事なのは、6月のチーム成績が言うほど悲惨ではないことだ。

しかし、7月に、突然エンジンが壊れた飛行機が急降下するように、マリナーズは墜落した。
今シーズンはこのままだとシーズン110敗を越えるのではといわれているが、その墜落原因が「チームとしての目的の再構築も、きちんとした精神的な準備、後半に使う選手の手配、そんな当たり前の準備すらないまま、突然クリフ・リーを不用意に放出して、投手陣の中心を失い、チームが数少ないストロングポイントを喪失したことにある」のは、火をみるより明らかだ。

これは2009年の7月にウオッシュバーンをデトロイトに放出したのと同じ現象である。

2009年の投手陣の精神的な支柱はウオッシュバーンだったが、2010年の場合、投手陣の精神的なリーダーは明らかにクリフ・リーである。ヘルナンデスはまだ若い。
クリフ・リーが突然いなくなったことで、マリナーズはイチロー以外の唯一の財産であった「優秀な先発陣」の「精神的な支柱」「大黒柱」を失って、残り少ない財産すら失ったのである。


7月以降もマリナーズでプレイする残された選手たちにとって大事なのは、「これからチームが何を目的に、どう戦っていくのか」「7月以降の再構築された目的のために、チーム編成にどういう変更を加えていくのか」であることは、当たり前である。
それなのに、シアトル・マリナーズはおそらく、何の明確な目的再構築のプランも持たず、選手にはほとんど何の説明もないまま、クリフ・リーをただただ安売りした、と、このブログでは推測する。
でなければ、これほどまでにチームが壊れない。今のシアトル・マリナーズは、チーム自体が壊れている


ひとつの人間集団が目的と中心を持たない、もてないことの影響の大きさは、はかり知れない。

なぜなら
目的をもたない人間は弱いからだ。
また、中心をもたない集団は弱いからだ。


こんなのは「兵法の基本」である。こんな当たり前のプリンシプルがわからない人間たちがマネージャーをやっているシアトル・マリナーズに、チームスポーツがコントロールできるわけがない。

シアトル・マリナーズはすみやかに目的と中心を再構築すべきだ。
それをする気がないのなら、球団運営などやめてしまえ。



さて、主な先発投手別に月別の勝ち負けをみてもらおう。
その目的は「月ごとに、誰が投手陣を支えてきたか」を見ることだ。(以下は、その投手の勝ち負けではなく、その投手の登板日におけるチームの勝ち負けである。お間違えなきように)

クリフ・リー登板ゲーム
4月 0勝1敗
5月 3勝2敗
6月 5勝1敗
7月 1勝0敗
Cliff Lee Stats, News, Photos - Texas Rangers - ESPN

ヘルナンデス登板ゲーム
4月 4勝1敗
5月 0勝6敗
6月 2勝4敗
7月 2勝4敗
Felix Hernandez Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


ダグ・フィスター登板ゲーム
4月 2勝2敗
5月 2勝4敗
6月 1勝0敗
7月 1勝5敗
Doug Fister Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

バルガス登板ゲーム
4月 2勝2敗
5月 3勝2敗
6月 3勝3敗
7月 1勝4敗
Jason Vargas Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ローランドスミス登板ゲーム
4月 2勝3敗
5月 1勝5敗
6月 1勝4敗
7月 0勝6敗
Ryan Rowland-Smith Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


この程度のデータでも、小学生でもわかることがあるだろう。

4月の中心はヘルナンデスだ。しかし5月の不振はヘルナンデス登板ゲームに負け続けたことが大きい。
6月の中心は、もちろんクリフ・リー。
バルガス、フィスターの2人、特にバルガスは、この間ずっと地道にチームを支えてきた。
5月以降のローランドスミス登板ゲームの極端な負け越し(2勝15敗)を放置し続けたことは、チーム墜落に直結している。




クリフ・リーがマウンドに登れない4月を支えたのはヘルナンデス登板ゲームの4勝1敗だが、他の先発投手のゲームも、ほぼ5割の勝敗になっている。この時点で先発投手陣にはそれはそれなりの一体感があった。

だが、5月にクリフ・リーが復帰すると、ヘルナンデス登板ゲームが0勝6敗となって、結果的にチームは大きく負け越した。
5月のヘルナンデスの登板ゲームだが、彼は6ゲームのうち4ゲームでクオリティ・スタート(QS)を決めているわけで、けして「5月のチームの大きな負け越し」は、ヘルナンデスのせいではない。
だが、月別ERA(防御率)だけでみると、5月以外の月が全てERA2点台なのに対して、5月だけが4点台なのは事実なのであって、けして5月のヘルナンデスが本来の調子ではなかったのもまた事実だ。今シーズンのヘルナンデスは安定感がない。

6月になると、クリフ・リーの登板ゲームが5勝1敗となってチームを支えるとともに、他の投手もそれなりに勝ったために、結果的にチームは6月に限って言えばほぼ5割の勝率を残すことができた。

そして7月。クリフ・リーが同地区首位のテキサスにトレード。


これまでのシーズン、たとえサイ・ヤング賞候補になった年であれ、どのシーズンであれ、まだ若いヘルナンデスがチームの投手陣のリーダーシップを発揮してきたわけではない。やはりそこは、ウオッシュバーンのような年のいったベテラン投手がまとめてきた。
今年に限っては、ジェイソン・バルガスがクリフ・リーにいろいろと投球術を学んでいたという事実があるように、投手陣をリーダーとして引っ張っていたのは、引退したグリフィーでも、まだ若いヘルナンデスでもなく、「動じない男」クリフ・リーだ。


クリフ・リーの放出じたいはやむをえないことであるにしても、その放出先が同地区の首位チームであることの意味不明さや、チームの勝ち頭でリーダーのひとりであるはずのクリフ・リーが突如いなくなって、明らかに負けが増えていくことがわかっているこのチームが、いったい何を目指して戦うのか、そんな重要なことすらまるっきり明確でないようなラインアップ、スタメンが続いている中で、
イチローはじめ、選手たちが、「いったい自分はなんのために戦っているのだろう」などと思うような戦いしかできない状態だとしたら、そこには中心も、目的もありえない。ただの弱々しさだけが残るのは当然だ。


そんなこともわからずにチームスポーツをマネジメントしようとしている人間がいるとしたら、その人間は馬鹿だ。
何もわかっていないし、チームスポーツにかかわる資格がない。







August 01, 2010

今日のミネソタ戦の結果の酷さはともかく、マイケル・ソーンダースの攻守にわたる向上ぶりには感心した。

とくに2本のレフト線の打球処理の鮮やかさには、ちょっと感動を覚えた。スライディングでフェンスにボールが届くのを阻止したのは素晴らしいし、その後の内野への返球も、動作が機敏なのがとてもいいし、返球そのものが強く遠くまでダイレクトに投げられるようになってきた。
また、バッティング面でも、苦手にしていたインローに落ちる変化球への対応にだいぶ改善の跡がある。たぶん自分でもなんとかしようと、ファンに見えないところで練習を重ねているのだろう。まだ変化が小さい場合に限られるにしても、変化球をだいぶ芯にとらえられるようになってきた。

ゲームに使われることでレフト守備も打撃もよくなりつつあるマイケル・ソーンダースだが、彼はこれまで、この最悪のシーズン中、誰かが怪我で休まないかぎり、ずっとベンチで我慢させられ続けてきたのであって、ほんとうに心が痛む。
たしかに彼の打撃には低めの変化球に弱点があったが、マイケル・ソーンダースの長打でどれだけ助かったゲームがあったことか。あやうくノーヒット・ノーランというゲームですら、彼のホームランで助かったことすらある。
彼の成長が楽しみだ。



先日、ローランドスミスについて、「あまりにも見苦しい選手」「見るに値しない」「この無能な投手が1勝10敗でも先発投手の権利を失わない理由を、本人と無能なGMは記者会見でも開いてファンに釈明するべきだ。」などとこのブログに書いたら、その途端、ローランドスミスが15日間のDL入りするという出来事があったばかりだが、こんどは、このブログで「小太りの扇風機」と書いたジャスティン・スモークがマイナー落ちした。(スモークの年棒調停のがれの対策だという話もあるが、ここまでくるとそんな小さい話題など、どうでもいい)

スモークのマイナー落ち、偶然にしては、まるで、どこかの会社のだれかさんが、このブログを読んであわててでもいるかのようなタイミングの「良さ」だ。


なんだ、いったい。
この、ローランドスミスに責任をとらせるタイミングといい、スモークのマイナー落ちといい、ささいな失敗を指摘されるのをおそれるド田舎の役場の小役人のような「みみっちいチームマネジメントぶり」は。

見苦しいにも程がある。



あんたたちの犯したミスは巨大なミスであって、ローランドスミスとスモークを下に落としたことくらいで言い訳できるような、そんな小さい代物ではない。

おまけに、この2人を落とした後釜にマイナーから上げてきたのが、移籍したくないと明言していた2009シーズンの先発3本柱のひとり、ウオッシュバーンを2009年7月末に無理矢理トレードまでして獲得したが、まるで使えもしなかった元デトロイトのルーク・フレンチと、三塁手としてはこれまで何度もテストして結果がわかりきっているはずのマット・トゥイアソソーポなのだから、何をしたいのか、わからない。
こんな2人をマイナーから上げてきたところで、「来期使える選手を見極めるための戦力テスト」にも、「来期スタメンで使う選手に実戦で経験を積ませる機会」にも、どちらの意味にもならない。

ファンを馬鹿にするにも程があるだろう、おまえたち。



とっくにわかっていたことだが、ズレンシックの選手編成は「もともとメチャクチャ」で、なおかつ「ツギハギだらけ」だったことがハッキリしてきた。

このブログではすでに何度も「ズレンシックの選手編成ぶりは、「選手同士の守備位置がダブりすぎているなど、無駄だらけ」と何度も指摘してきた。ズレンシックを神のようにあがめてきたアホウなメディアや、知ったかぶりの日本のMLBオタクもようやくわかったことだろう。
ズレンシックの編成は、内野、外野、投手、捕手、ほとんどすべてにおいて失敗したが、最大の失敗は、単に「無能なズレンシックが獲得してきた選手が期待どおりの活躍をしてくれなかったこと」にあるわけでない。

そんな失敗なら、よくある。
見苦しさはそんなことでは生まれてこない。


ズレンシックの失態が取り返しのつかないと言うのは、もともと機能するはずのない選手までも獲ってきて予算と時間とロスター枠を無駄にして、ファンの期待と時間と金を無駄にしたこと、機能のダブりまくった選手ばかり獲得してきて、限られた予算とロスター枠を無駄にしたこと、機能してない選手に対していつまでも見切りができずにチャンスを無意味に与え続けたこと、そして数々の選手獲得の失敗を、さらに無駄な選手獲得でツギハギに取り繕おうとしてさらに失敗を積み重ねたこと、また、不調の選手にプレー改善のチャンスとアドバイスを適切かつ柔軟に与えられる技量をもった監督もコーチも用意しなかったこと、などにある。

その結果、ズレンシックは、見苦しすぎるプレーをファンに見ることを強要し続けた。これこそは最大の失敗、失礼きわまりないファンの冒涜だ。

ファンは、ズレンシックのつまらないミスと、機能しない選手が無駄に与えられたチャンスを無駄に消費し続けるのを見せつられけ続けるために存在しているのではない。


たとえば守備位置の変更や打順を変える、控え選手といれかえて競争心を煽る、とかのように、現場の細かい工夫で選手の一時的な不調を乗り越えつつシーズンを送って、チームに一体感をもたらすのではなくて、GMや監督、不調の選手の犯し続けたミスをとりつくろうために、ツギハギだらけの「ミスをとりつくろうためだけの補強」をさらに何度も繰り返して行ったことで、もはや取り返しのつかないほど巨大な負債を作ったチームは、もはや破綻状態にあるといっていい。



イチロー以外の打撃の酷さや、先発以外の投手たちの酷さはもう言うまでもないことなので、守備について多少まとめてみる。書いていてあまりにイライラするので、キーを打つ指も、ちょっと怒りで震えるほどだ。


まず、内野守備だが、
2010シーズンにあたってマリナーズが内野守備を大きく動かしたもともとの原動力は「ショーン・フィギンズをセカンドに固定しようとした」ことにある。このことは、マリナーズファンなら誰でも知っている。

予備知識として、知らない人もいるかもしれないから、一応書いておくと、「使えないチビ、ショーン・フィギンズ」は、前の所属チームのエンゼルスでスタメン起用されだした初期の頃は「ユーティリティ・プレーヤー」としてスタートした選手だということを頭にいれるべきだ。
彼の守備の本職はセカンドでなくサード、どころか、かつては外野手としてもけっこうなゲーム数出場している。
つまり「使えないチビ、こと、ショーン・フィギンズ」は、使おうと思えば、外野ですら守らせられる「便利屋さん」だということを頭に入れておかなければいけない。
いつのまに「自分は大選手」と本人が誤解しているか知らないが、せめてオールスターに出られるくらいになってから、文句は言ってもらいたいものだ。

話を進めよう。

無能なズレンシックは、内野をいじくり倒して、「守備位置のダブりという、危うい地雷」をロスターにたくさん作りだした。(もちろんレフトとDHもいじくりたおして駄目にした)
「使えないチビ」フィギンズをマリナーズに連れてくるにあたっては、選手の年棒を釣り上げるので有名なスコット・ボラスが代理人をつとめるサード、エイドリアン・ベルトレをボストンに出し、セカンドの守備が上手くないといわれ続けてきたホセ・ロペスをサードにコンバートして、受け入れ準備を整えたフシがある。
ファーストのラッセル・ブラニヤンとは契約を見送って、かわりにフィギンズと同じ元エンゼルスのケイシー・コッチマンを連れてきた。ショートは、かつてショートを守っていたセデーニョとのトレードでピッツバーグから獲得してきたスペランカーでシーズン通して働けないジャック・ウィルソンだ。
ジャック・ウィルソンはセデーニョと同じポジションの選手だが、この「同じポジションの選手をわざわざ獲得してきてしまう」のは、無能なズレンシックの「悪いクセのひとつ」だ。



こう書くと、内野守備が鉄壁にでもなったかのような錯覚を持つかもしれないが、実際には、マリナーズは2010シーズンで「セカンドをフィギンズに守らせることに固執する、という大失敗」を犯した。大失敗というのは、「不調だろうが、なんだろうが、固執したこと」。そのことで内野手の起用は滅茶苦茶になった。

「使えないチビ」ショーン・フィギンズは、セカンド守備でエラーばかりしているが、そういう記録に残る、目に見えるエラーばかりではない。「見えないエラー」も多すぎる。
特に、ゲームでのキーになる場面、たとえばダブルプレーでの「送球ミス」「連携ミス」、ポップフライを追いすぎて外野守備の前進の邪魔をしてヒットにしてしまう、守備位置が悪くてゴロを外野に抜かれる、などなど、「記録にあらわれないミス」も毎週、どのカードでも見かける。お世辞にも、クレバーな選手とは呼べない。

フィギンズは守備の名手とかいう先入観にとらわれた地元メディアやファンサイトなどはなかなか認めないのだろうが、そんなことはどうでもいい。ハッキリ書いておかないと馬鹿はわからないだろうから、ここでハッキリ書いておこう。
フィギンズのセカンド守備はヘタ。
 セカンドで使う価値など、まるで無い。


しかし無能なマリナーズは、自らが犯した編成上の失敗の最大の事件のひとつである「フィギンズのセカンド守備が、上手いどころか、むしろ、ロペス以上に下手だった」ことがわかったにもかかわらず、「いまだにセカンドで起用しつづけている」という致命的なミスを、認めないという立場を貫いている。
それどころか、犯したミスをとりつくろうためにさらに無駄なトレード、無駄な選手起用を重ねて、金を無駄使いし続け、最初のミスについてお茶を濁そうとしてきた。


はっきりいって
フィギンズ程度のセカンド守備なら、ロペスで十分だ。
コッチマン程度のファースト守備なら、ランガーハンズで十分だ。
ジャック・ウィルソンの守備に多額のギャラを払うくらいなら、
ペーパーボーイ、ジョシュ・ウィルソンの打撃をとるほうがマシだ。
クリフ・リーをトレードの駒にして、スモーク程度の選手をもらってきてしまうなど、言語道断、もってのほか。その意味の無さは、言葉にならない。

なのに、だ。マリナーズは、ロペスをセカンドに、フィギンズをサードに戻して気分転換させるような工夫すら試してみることもまるでしないどころか、、
「使えないチビ。フィギンズ」の打順をいじることもせず、
打てないコッチマンにはチャンスをくれてやるクセに、
スペランカーのジャック・ウィルソンが怪我をしている間さにさんざん世話になったジョシュ・ウィルソンにはキレギレのチャンスしか与えず、
その結果、内野はどうなったかというと、打率が.250を切る打てないクセに守備もそこそこでしかない選手ばかりが雁首を揃えている。

そのクセ、彼らズレンシックがシーズン前に補強した選手がまるで打てないからといって
ただでさえダブついていた1塁手に、ブラニヤンを出戻り補強し、
名投手クリフ・リーを同地区に放出してライバルの補強に加担してまでして1塁手の小太り扇風機スモークを補強して
ただでさえダブついている1塁手を、意味もなくさらにダブつかせた。

こういう「補強のミスを、さらなる補強で埋めあわせしようとする無駄な行為」は、金銭感覚の乏しい貧乏人が「返せない借金を、さらに借金で埋めて体裁をとりつくろおうとして、借金を雪ダルマ式に膨れ上がらせる現象」と、まるでソックリだ。



同じような「雪ダルマ式にふくれあがる借金のようなツギハギ補強」は、レフトDHの選手起用でも起きている。

レフトの守備は、あの愛すべきラウル・イバニェスがフィラデルフィアに出ていってしまってからロクなことがない。
名前も出したくないほど見苦しい外野手、バーンズ」は、とてもメジャーの野球選手とはいえないどころか、草野球レベルの選手だった。にもかかわらず、この「バーンズの見苦しいプレーぶりを見ることを、ファンに強要しつづけた」のは、「マリナーズ」であり、ズレンシックである。
また、往年の守備もバッティングもできないのはわかっているグリフィーにすらわざわざレフトもやらせ、挙句の果てには名選手グリフィーのプライドと実績に傷をつける形で引退させた。この「老いたグリフィーの見苦しいプレーぶりと、悲惨な引退劇を見ることを、ファンに強要しつづけた」のも、ほかでもない「マリナーズ」であり、ズレンシックだ。


意味のない見苦しいプレーを見せ続けるのも、
限度がある。

GMも監督も、使えない選手も
さっさと次の世代に席を譲るべきだ。







ハワイ移民150周年
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