May 2011

May 31, 2011

ここに四角い箱がある。と、する。

箱

箱の中に、空気の十分たくさん入った、2つの風船を詰めると、風船は押し合って一定の形に収まる。(画像では便宜上めんどくさいので2つの風船を同じような形に描いているが、同じ形になるとは限らない)

箱に詰められた2つの風船

次に、2つの風船の入った箱の中に、もうひとつ、の風船を加え、詰める風船の数を3つに増やしてみる。
3つの風船同士は押し合って一定の形に収まるが、最初に詰めた、2つの風船の形は、さっきとは異なる形になる。
この「同じ風船でも、他の風船との兼ね合いで、形が変わる」ところが面白い。

箱に詰められた3つの風船

このたとえ話は、もともとフランス系の言語学者丸山圭三郎さんという人が言語という軟体動物の「意味」の不思議な変容ぶりについて話したことをもとにしているのだが、野球というゲームにも、なかなか面白い示唆を含んでいると思う。


四角い箱が、野球チームのスタメン枠
風船が、選手。風船の「色」が、その選手単体の個性。風船の「形」や「大きさ」が、役割や期待度だ、とする。

四角い箱に「どういう色の風船を詰めるか」によって、そのチームの「全体的なカラー」は決まってくる。
たとえばホームランバッターを赤い風船だとして、箱に赤い風船だけを9個詰めこむようなことをすると、その箱は赤い風船だけが入った真っ赤な箱になる。また、俊足のアベレージバッターが青い風船だとして、箱に青い風船だけを9個詰め込むと、その箱は真っ青な箱になる。


だが、たいていは、ひとつの色だけではなくて、さまざまなカラーの風船を、適度なバラつきをもつように混ぜ合わせて、箱の中身、そのチームのスタメンを決める。つまり、野球チームには(そして、バンドや企業でも)さまざまな役割をもった人間のバリエーションが不可欠だということだ。

このことは、実例を考えればわかりやすい。ホームランの打てるバッターの並んだヤンキースを考えればわかる。
とても大量のホームランなど打ちそうもなかったカーティス・グランダーソンが突然ホームランバッターに変身したのは、彼にもともとボールを飛ばす才能があった、ということもあるだろうが、意味論的にいうと、「自分の周りに真っ赤な風船(=ホームランバッター)ばかりがいる状態に置かれた青い風船は、やがて時間がたつと影響されて、色が赤くなる」という部分も見逃せないとも思う。
それはオカルトではなく、意味論の世界だ。



もう一度、風船の話に戻る。


本当に重要なのは、ここだ。箱に詰め込まれる風船の立場からみると、箱に新しく風船が詰め込まれるたび、風船の「形」が変わってくること。
それぞれの風船の色(=個性)は同じでも、風船の「形」(役割やパフォーマンス)は変わる。

たとえば、シアトル・マリナーズ。
箱(=チーム)に、非常に強い個性をもつ典型的リードオフマンのイチローという巨大な青い風船(=選手)がいるところに、後から、同じ青い色の風船ショーン・フィギンズが詰め込まれた。
この場合、イチローという風船、フィギンズという風船に、どういう事態が起こると予測されるだろう?


ちょっとわかりにくくなった。
ちょっと、たとえ話で考えてみる。

ある野球チームが、シーズン30本のホームランを打てるスラッガーを9人揃えたとすると、そのチームは、シーズンに「30×9=270本」の大量のホームランを打てる、あるいは、バッター同士がお互いの相乗効果で、270本どころか、300本以上のホームランを打てるようになるものだろうか?

野球というスポーツのこれまでの歴史は、上のクエスチョンの答えが明らかに「 NO 」であることを教えてくれている。むしろ、そのチームのホームラン数は、「270本以下」になってしまい、コストパフォーマンスが悪い結果になることがほとんどだろう。

つまり、いいたいことはこうだ。
「同じ色の風船がひとつの箱に詰め込まれた場合、それぞれの能力が多少そがれて、完全には能力が発揮されなくなることがほとんどだ」ということ。言い方を変えると、同じ色の風船を詰め込みすぎると、その色の風船はほぼ必ず「脆弱」になる。


なぜそうなるのか。
正直、理由はよくはわからない。生物の集団にはとかく謎は多いものだ。
風船同士の干渉によるのか。同じ色の風船同士は、押し合いへし合いすることで、目に見えないストレスがかかって、お互いのパフォーマンスが下がるものなのか。
この謎はなかなか興味深い。

だが、バンド。企業。動物の種の進化。インターネット。組織と名のつくものほとんど全てに、この原則はあてはまるように思う。
たとえばローリング・ストーンズに、キース・リチャーズと同じ弾き方をするギタリストは2人いらない。ほとんどの場合、企業に社長は2人必要ない。むしろ社長が2人もいたら、やりにくくてしょうがない。
南米チリの鉱山に閉じ込められた数十人の人々だって、もしも指導者が何人もいたら、全員が死んでいたかもしれない。

中心というものを必要としないクラウド・コンピューティングや、ストライカーを必要としないノートップのサッカーなど、新しい思考方法に基づくオーガニゼーションもあるにはあるが、そういうものが人間というやっかいな動物が常に縛られている意味論や組織論を、まったく超越し、解決しているかというと、そんなことはまるでない。
人間という生物の組織は、やはりシンプルな意味論を超えていけないようにできているのである。


野球の守備は9人で同時に行う。だから「守備はチームプレイ」だが、攻撃であるバッティングは、打席に2人の選手が一緒に入ることはない以上、「打撃は守備よりはずっとパーソナルなもの。個人的な行為」と、思われがちな部分があるが、実際には意味論的にも、そんなことは全くない。
長くなるので端折るが、打順の違う打者同士は、たとえお互いの打順が、1番と6番とか、大きく離れている場合でも、相互にまったく無関係なわけではなくて、むしろ、密接に関係しながら存在している。意味論的には、そうだ。一匹のサルが芋を洗って食べるようになると、遠く離れた場所のサルが芋を洗って食べるようになったりもする。

野球チームという箱に詰まった9つの風船は、お互いに非常に強く意味論的に影響しあいながら、ひとつの組織体を構成している。
「誰かが膨らめば、誰かが縮む。」
そんなことがありうる。


わざと結論を先延ばしにしてみたが(笑)
言いたいことはこうだ。

イチローとフィギンズを2人並べたからといって、2人あわせて400本ものヒットが打てるようになるわけではない。スポーツの技術論、組織論ではなく、人間のかかえる意味論から、そう思う。
この2人の選手は、色は同じでも、才能やチームへの影響力の強さに大きな差がある。片方の風船は常に劣勢に立たされ、押され、しぼんでいく。それが、「人間のつくる組織というもののもつ独特の意味論の世界」なのだ。


だから、ズレンシックは、フィギンズの今後のことも考えて、彼をシアトルから放出し、彼が「ひとり」でのびのびできるチームでプレーできるようにしてやるべきだ。






May 29, 2011

マリアーノ・リベラを打ち崩してサヨナラ勝ち。
これでとうとう貯金1。

打線もさることながら、ゲームを守りぬいたブルペン投手陣を褒めたい。昨日も頑張ってくれたデイビッド・ポーリーが連日2イニング投げ抜いてくれて、2日連続の勝利投手になった。
おめでとう、ポーリー
New York Yankees at Seattle Mariners - May 28, 2011 | MLB.com Classic


それにしても、なぜ今までこんなことに気がつかなかったのか?、と自分でも残念に思うくらい、マリアーノ・リベラの左打者への投球は「パターンを特定する」ことができた


まず、左打者のインコースを、
ボールになるストレートでえぐっておく。
次に、同じコースにこんどは
ストライクになるカットボールを投げる


パターンといっても、たった2球。
だが、百戦錬磨のクローザーらしく、シンプルだがよく計算されたパターンだ。


この「左打者インコースカットボールえぐり配球」、つまり、左打者にインコースのカットボールで、ドン詰まりの打球を打たせる「リベラ・左打者パターン」には、いくつか運用のバリエーションもあるが、基本的には上に書いたパターンだ。

もし打者が、2球目の「ストライクになるカットボール」を思わず強振してしまうと、初球にインコースをえぐらて印象が残っている分だけスイングが鈍るか、ストレートの軌道でスイングしてしまうかして、リベラのキレのあるカットボールのわずかな変化をバットの芯でとらえきれず、凡打してしまう

それこそがリベラの狙いだ。


具体的に見ていこう。

シアトルがサヨナラ勝ちした12回表に打席に立った5人のバッターのうち、敬遠された右打者グティエレスを除いて、4人の左打者全員に、リベラはこの「左打者インコースカットボールえぐり配球」ともいうべき、「リベラ・左打者パターン」を使っている。


先頭打者 フィギンズ

2011年5月28日 12回裏 フィギンズ セカンドゴロ
アウトコースのストレートでまずストライクをとってから、2球目「インコースをえぐるボールになるストレート」、3球目「インコースでストライクになるカットボール」と、最も典型的な「リベラ・左打者パターン」を使った。
結果は、リベラの狙いどおり。
カットボールをひっかっけてセカンドゴロ。
この「ひっかけて内野ゴロ」、これがマリアーノ・リベラが左打者に対して最も理想的な討ち取り方だ。フィギンズはいわば、簡単に釣り針にかかるアタマの悪い魚。どうしようもない。


2人目 スモーク

2011年5月28日 12回裏 スモーク シングル
初球は、例によってインコース。
ブログ主は、リベラがこの初球をストライクにしたかっただろうと考える。だが、今日のアンパイアSam Holbrookは、何度も書いているように、ゾーンが非常に狭い。そのため判定はボール。リベラの計算はここから狂った

資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。

2球目も、初球同様にインコースのカットボールだが、初球よりも「内側にはずれて」いる。
この「内側にはずれるカットボール」こそ、「リベラ・左打者パターン」の最重要ポイントだと、ブログ主は考える。
スモークの打席は初球がボールに判定されてボール先行になっているわけだから、ストライクの欲しい2球目はむしろゾーン内に投げてくるのが当然だろ? 何言ってんの? と思う人もいるかもしれないが、この議論全体をもう一度読み返してみてもらいたい。
スモークのインコースを、あくまで「ボールになる球で、あらかじめえぐっておくこと」で、打者に「体に近いところを、ボールがかすめるように通過していく印象」を強く与えておくのが、「リベラ・左打者パターン」の本質なのだ。
だからこそ、2球目はストライクでなくてもいい。

結果的に2ボールになってしまっが、ここで、リベラは2-0からアウトコースのストレートを投げて、簡単にストライクを稼いだ。「リベラ・左打者パターン」の後で、アウトコースに投げたストレートは、ほとんどといっていいほど、バッターが手を出してこないことを、マリアーノ・リベラは誰よりも知っている。
そして、再度インコースにカットボールを投げた。打者スモークはさすがに4球目のカットボールを見透かしたのか、シングルヒットを打った。
おそらくリベラは、もし4球目を打たれなかったら、5球目にインコースにストレートでも投げるつもりだったんじゃないか? と思う。つまり彼は、4球目、5球目で、再び「リベラ・左打者パターン」を使ってスモークを討ち取るつもりだったのだろう、と思うのだ。


3人目 ジャック・カスト

2011年5月28日 12回裏 カスト ツーベース
初球、インコースをえぐるボール球のストレート。2球目、ストライクになるカットボール。まさに最も典型的な「リベラ・左打者パターン」だ。打者カストは、リベラの狙いどおり、2球目のカットボールに手を出し、ファウルになっている。
先頭打者フィギンズの凡退でもわかるとおり、2球目のカットボールをひかっけさせて凡退させるのがリベラのパターンなわけで、ファウルになったのは、カストにとってはむしろ幸いした。


4人目 グティエレス 敬遠


5人目 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー

2011年5月28日 12回裏 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー
初球、インコースに「ボールになるカットボール」。2球目、同じインコースに、こんどは「ストライクになるストレート」。
ここまで説明してくると、これが「リベラ・左打者パターン」のバリエーションであることは想像がつくと思う。インコースをえぐっておいて、次にストライク。2球目は、初球と違う軌道の球。球種が逆転しているだけで、本質は変わらない。

結果は、アダム・ケネディの勝ち。
シアトルのサヨナラ。



マリアーノ・リベラが、去年イチローにサヨナラホームランを打たれたシーンを思い出してほしい。
あのとき「初球のカットボール」を、左打者イチローは痛打したが、あれもインコースだった。
たぶん、あのシーン、リベラはイチローに初球を投げる前から既に、「リベラ・左打者パターン」にそって「2球目に、インコースにストレート」を投げてイチローを討ち取るイメージでいたんじゃないか、と思うのだ。






ア・リーグのゲームでピッチャーが打席に立つことは絶対にありえないか? と、聞かれれば、答えは No だ。

ア・リーグでも投手が打席に立つことは、ありうる。

Boston Red Sox at Minnesota Twins - May 28, 2009 | MLB.com Wrap

May 28, 2009 Boston Red Sox at Minnesota Twins Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com

例えば、こういうことだ。

昨日2011年5月27日のシアトル・ヤンキース戦のゲームの球審をつとめたTodd Tichenorのストライクゾーンがやけに狭くて、両軍先発投手ピネダバーネットが2人で合計10個もの四球を出した、という話をしたばかりだが、奇しくもちょうど2年前の2009年5月28日に、そのTodd Tichenorが球審をつとめたミネソタ・ボストン戦で、こんな事件があった。


この日のミネソタは、これはたまたまなのだが、レギュラーキャッチャーのジョー・マウアーが休養日で、DHとして出場していた。

1-1の同点で迎えた7回表。

先頭打者ジェイソン・バリテックが、珍しくこの日2本目となるホームランを打って1点リードした後、さらに1死1、3塁となって、ダスティン・ペドロイアが犠牲フライを打ち、ボストンがリードを2点に広げたのだが、ホームプレート上でのクロスプレイのセーフ判定を巡って、ミネソタ側が猛烈に抗議した。
球審Todd Tichenorはこのとき、ミネソタのやたらと退場させられることでも有名なガーデンハイアー監督と、控えキャッチャーのマイク・レドモンドを退場処分にしたのだが、この日のミネソタベンチには、悪いことに、DHジョー・マウアーしかキャッチャーがいなかった。

そのためミネソタはやむなく、マウアーをDHからキャッチャーにして守備につかせた
Morning Juice: Outta here! Tichenor hits an umpire's grand slam - Big League Stew - MLB Blog - Yahoo! Sports

DHが守備につくケースでは以下のルールが適用される。

1) 守備しないDHの選手を、守備につかせることはできる
2) だが、そのかわりに、チームはDHの権利を失う
3) DHがいなくなった以上、そのチームの投手は打席に立たなければならなくなる
(実際にはピンチヒッターが出されることがほとんど)

だから、この日のミネソタ側のWrapには、ア・リーグでは見慣れない表記がいくつもある。

Mauer, DH-C
マウアーの右側の記号は守備位置だが、DHからキャッチャーに代わったことがわかる。

Redmond, M, C(退場になった控えキャッチャー)
Henn, P
a-Cuddyer, PH
Ayala, P
b-Buscher, PH

ミネソタは控えキャッチャーのレドモンドが退場になったために、守備の欠けた部分はDHマウアーが守備について埋めたわけだが、打撃のラインアップの欠けた部分、つまり8番の打順を、「DHの権利が消滅した」投手で埋めなくてはならない。
そのためミネソタはブルペンからショーン・ヘン(当時ミネソタに在籍していて、現在はトロント)を登板させただけでなく、打者として8番に入れた
というのも、DHマウアーが守備についたことで、ミネソタ側の「DHの権利が消滅」してしまい、たとえア・リーグのゲームで、投手であっても、この場合は打順に入れなくてはならないのだ。
そして、この8番という打順は、すぐ裏の7回裏に打順が回ってくるために、もし代打を出さずにおくと、投手ショーン・ヘンは、DH制ア・リーグのゲームなのに、打席に立たなければならなくなる
(実際には代打が出る。このケースでもマイケル・カダイアーが代打に立った)

さらにやっかいなことに、カダイアーが代打に出たにしても、こんどはカダイアーが投手を兼任できるわけではないわけだから、カダイアーが打席に立った次の守備のイニングになる時点で、カダイアーの打順には投手をいれなくてはならない。
(このケースではカダイヤーの打順に投手アヤラを入れた)

さらにまた、その投手に打順が回ってくることがあれば、またまた代打を出すハメになる。
(このケースでは、投手アヤラに代打ブッシャーを出した)
めんどくさいこと、このうえない。

DHの権利喪失の例
Forfeiting the right to a DHという項目参照。やはりキャッチャーがらみのケースが多い。
Designated hitter - Wikipedia, the free encyclopedia

ただし、
このゲームはこのままでは終わらなかった。


波乱だらけの7回表が終わり、7回裏のミネソタの攻撃になった直後、ストライク・ボールの判定を巡って、こんどはボストン側が猛抗議を行ったことから、なんと、こんどはボストンの監督フランコーナと、キャッチャーのジェイソン・バリテックが退場になったからだ。
ただし、ボストンのベンチには、控えキャッチャーのコタラスがいたために、ボストンはミネソタがDHを失ったような「めんどくさい事態」にはならずにすんだ。(キャッチャーをDHにしたりするものじゃないことが、よーくわかる)
05/28 2009 7回表裏で両チームのキャッチャーと監督4人が退場 ‐ ニコニコ動画(原宿)

そう。
あの両軍監督、両軍キャッチャー、合計4人退場事件のときの球審が、昨日のシアトル・ヤンキース戦で両軍先発投手に10個もの四球を出させた球審Todd Tichenorなのである。


この人の「帳尻癖」、なんとかならないものかね?(苦笑)






May 28, 2011

シアトルがとうとう5割復帰。

3点のビハインドからグティエレスのファインプレーで流れを引き寄せると、イチローの2ベースを原動力に、1点差に詰め寄る。そしてライアンが同点になるゴロ打点、イチローの決勝打点も生まれて、タイムリー無しの4得点でNYY初戦に逆転勝利。先発ピネダをリリーフして好投したポーリーに3勝目がついた。

2011年5月27日 MLBトップページ
New York Yankees at Seattle Mariners - May 27, 2011 | MLB.com Classic

2011年5月27日 グティエレスのファインキャッチ
Baseball Video Highlights & Clips | NYY@SEA: Gutierrez makes a beautiful catch in center - Video | MLB.com: Multimedia

2011年5月27日 イチローのとんでもないツーベース
イチローの変態ツーベース。
どうみてもアウトコースのボール球(笑)


8回表2死2塁での牽制アウトの瞬間
セットアッパー、ジャーメイ・ライトが、セカンドランナーをピックオフで刺した瞬間を撮影したシアトル・タイムズのスーパーフォト。たぶんキャッチャーからのサインプレイ。
The Seattle Times: May 27 | Seattle Mariners vs New York Yankees


それにしても、今日の球審Todd Tichenorはストライクゾーンが狭かった。シアトルの先発ピネダ、ヤンキースの先発AJバーネットが、揃って5四球、2人あわせて10イニングで10四球という、めったにないゲームになったのはそのため。下記に、ピネダのケースのボール判定を挙げておく。
ちなみに、今日の1塁塁審は、バルガスがさんざん手こずっている、あのSam Holbrook
この対ヤンキース3連戦の3戦目にはバルガス先発のはずだが、また球審はSam Holbrookなのだろうか?
なんでまたシアトルはいつもいつもこのアンパイア、このチームに当たるのだろう?


ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。

2011年5月27日 1回表 A・ロッド 7球目1回表 A・ロッド 7球目
結果 四球

フルカウントから投じたアウトコース一杯に決まるスライダーが、ボール判定。

2011年5月27日 2回表 ポサダ 初球2回表 ポサダ 初球
結果 2球目をレフトフライ

初球、低め一杯に決まるストレートがボール判定。

2011年5月27日 2回表 スウィッシャー2回表 スウィッシャー 初球・3球目
結果 四球

初球と3球目、インコースのコーナー一杯のストレートがボール判定







May 27, 2011

5月25日の阪神・ロッテ戦7回表の、阪神バッテリーの失点パターンがなかなか面白いので、いちおうメモを残しておくことにした(笑)

要点は、6人目の打者・今江が「なぜ初球ストレートを、まるでストレートが来るのがあらかじめわかっていたかのように、打てるのか」ということだ。
(と、いうか、本質的なことを言えば、このイニングの打者全員がストレート狙いができていないといけない)

シチュエーションは、3-2で先攻ロッテが1点リード。7回表の阪神バッテリーは、投手が久保田、キャッチャー城島

1)高濱  初球ストレートを二塁打 無死2塁
2)井口  速球で追い込み 外角フォークで凡退  1死2塁
3)福浦  敬遠  1死1,2塁
4)里崎  初球のみスライダー ストレートで追い込み
       外角フォークで三振 2死1、2塁
5)清田  フルカウントから外角ストレートを見送り 四球
       2死満塁
6)今江  初球ストレートをタイムリー 神2-4ロ 2死満塁
7)伊志嶺 フルカウントから押し出し 神2-5ロ 2死満塁
8)伊藤  カウント1-2から外角ストレート三振 3アウト


まず誰でも気がつくのは、
セカンドにランナーがいる状態で、井口里崎、2人の打者に対して、例によって、阪神バッテリーがまったく同じ攻めをしていることだ。
ひとりが上手くうちとれると、2人目以降の打者にも同じ攻めを続けるのは、言うまでもなく、キャッチャーの誰かさんのクセで、去年のポストシーズンでも数多くサンプルを見ることができた(笑)たぶん、初球ストレートを痛打された先頭打者高濱にも、実は井口、里崎と全く同じ攻めをするつもりだったに違いない(笑)
「ストレートだけで打者を追い込んで、最後にアウトコース低めにフォークを落とす」という、なんつーか、もう(笑)あまりにもお馴染み過ぎる攻め(笑)まさに「力ずく」そのもの。プロとしてなんの創意工夫も感じられない。
それでもまぁ、どういうわけか、井口、里崎は凡退してくれて結果オーライ。

普段の久保田投手の組み立てがどういうものかが全くわからないのが困るのだが、これだけストレートだけで打者を抑えようとした、ということは、逆に言えば、この試合でストレートによほどのキレと自信があった、ということなのかもしれないが、どうなのだろう。


さて、外角フォークであっさり凡退した井口・里崎とは方向性のまったく違うバッティングをした打者が、2人いる。先頭打者の高濱と、タイムリーを打った今江だ。
2人とも初球ストレートを、センター方向に打ち返している。(だからこそ、久保田投手がこのイニング、ストレートだけで押すことは、もともとできるはずがない、といえるわけだが)

この「初球ストレートを打てたクレバーな2人の打者」のうち、清田が四球を選んだ直後に打席に立った今江に限っていうと、「初球は、どこをどうみてもストレートで、しかも、間違いなくストライクを取りに来る」と「誰でも予測できる状態」にあった。いくらファンとはいえ、この場面で、この程度の予測もできないなら、野球を見るのはもう止めたほうがいい

理由はいくつかある。

1)久保田投手の持ち球は限られている
2)ランナーがたまった後では、フォークは投げにくい
3)「四球直後の初球ストライクを狙え」という単純なセオリー
4)キャッチャー城島は、イザとなったときに限ってフォークを後逸する可能性があるため、要所でフォークをチョイスしてくる可能性はきわめて低い

チャンスに強い今江と対戦するというのに、ここまで「初球ストレート」が予測できる状態にしてしまっていては、もう、どうにもならない。



打者の側から見たこのイニングのポイントは、「狙いをストレートだけに絞って、コースが甘く入ったら、早いカウントから強振する」という、たった1点しかないことに、「打者がいつ気づくか?」ということにあった。
このイニングに打席に立った8人のうち、データでみると、ストレートに絞ることができないでフルカウントにまで追い込まれてしまうような野手が2人ほどいるわけだが、これは単に、いま調子が最悪に悪いか、または、場面を考えて打席に立つだけの野球脳がそもそも無いまま、いつも漫然とバットを振り回しているか、どちらかだ。

普段の久保田投手がストレートだけで打者を次々と三振させることが可能な投手なのかどうか、それはわからないが、ここで満塁にしてしまっては、打者をストレートで追い込んだ後でフォークで仕留めるというワンパターンな攻めすらできなくなる。
そのことを考えると、このイニングで最もやってはいけないのは、今江に初球のストレートを狙われてタイムリーを打たれたことより、5人目の打者・清田を歩かせて満塁にしてしまい、配球面でニッチもサッチもいかなくなったことだろう。(もちろん、清田の次打者が、あまりアタマの良さそうには感じられない伊志嶺君なら、話は別だが。あと、初球にスライダーを投げておく手もあるにはあった)

そして清田との対戦での阪神バッテリーの配球には意味がよくわからない点がいくつかある。
まず、伝家の宝刀フォークを、2球目に使ってしまっていること、この意図がわからない。そしてフルカウントになった後には、勝負球のはずのお約束の外角フォークを投げない。これも意味がわからない。
なぜ追い込んでからフォークを投げるお約束のパターンを使わず、2球目に、彼らの組み立てからすれば貴重な持ち球のはずのフォークを安易に使ってしまったのか? そしてフルカウントから大胆に外角フォークを投げる勇気はなかったのか。
まぁ、何がしたかったのやら、よくわからない。


こうして、阪神バッテリーは自らの勇気の無さで自滅して満塁にしてしまい、次打者・今江の初球にストレートでストライクをとりにいくわけだ。フォークを投げる可能性が消えた久保田投手は、まさに素っ裸で戦場に飛び出していくようなものだ。
もうこういう状況になってしまえばストレートが「痛打されないわけがない」ことが、ここまでの簡単な説明で少しはわかってもらえたらありがたい。


余談だが、ロッテ7人目の打者は伊志嶺君という新人だそうだが、このわかりきった場面で、ボールが真っ二つに割れるほどストレートをしばきたおすくらいの、意図のハッキリしたバッティングができないようでは、これから先が思いやられると思う。グジグジ迷っていてはダメ。
むしろ有望なのは、このイニングの先頭打者で、阪神バッテリーの攻めパターンが明白になる前に、初球ストレートを強振できた高濱選手だろう。この野球センスの良さ、思い切りの良さを生かして、今後もクレバーな打者目指して頑張ってもらいたいものだ。








May 26, 2011

ミネソタ初戦で、今までまったく関心のなかった控えキャッチャーのクリス・ジメネスを初めてじっくり見てみたが、いったいあれは何だ?
怒りがこみあげてくる。
いったい誰が、あんなおかしなMLBらしくないテクニックを教えこんだのだ?
Seattle Mariners at Minnesota Twins - May 23, 2011 | MLB.com Classic


何がいけないって、
どんなクソボールでも、「常に」ミットを大きく動かしてストライクにみせかけようとするキャッチングだ。

マジ最悪
こういうのは技術が高いとか低いとか、そういう問題ですらない。メジャーのキャッチャーとして、ありえない。

たしかにMLBでも、きわどいボールの場合に、判定を有利にしようとミットをほんのわずか動かすキャッチャーは、いる。
だが、ジメネスのキャッチングの酷さはそういうレベルではない。度を越している
なんたって、誰が見てもボールどころか、ゾーンからはるか遠く離れた明白なボールですら、大きくミットを動かして、球審にアピールしようとしているのだ。ありえない。

いらぬことをするな。と、言いたい。

いまや知っての通り、MLBのアンパイアは(個々の技術はともかく)プライドが非常に高い。
キャッチャーが、日本のプロ野球でやるように「あからさまにミットを動かして捕球する」ことで、「アンパイアのコールを自分たちに有利に誘導しようとしている」と球審に思われれば、そのアンパイアはもう、ピッチャーに有利な判定などしてくれなくなる。当然の話だ。

実際、データを調べてみると、5月23日の球審Ed Rapuanoは、シアトルの投手の低めのボールに辛くなっていて、特にバッターが左の場合に、低目をほとんどストライクコールしていない。(この日のミネソタの左打者というと、当たっているトップバッターのディナルド・スパン、2本ホームランを打たれたジム・トーミがそれにあたる)

2011年5月23日 球審Ed Rapuanoの判定(補正後 左打者)左マップ内、三角形のマーキングがシアトルの投手。
低めのストライクがほとんどボールとコールされている。
出展:Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

2011年5月23日 ミネソタ初戦 3回裏 スパン 四球5月23日 3回裏
スパン 四球

2球目、3球目と続けて投じたアウトコース低めの釣りっぽいストレートがボール判定。フルカウントからの7球目、インコースをえぐる絶好のカットボールもボール判定。

控えキャッチャーのクリス・ジメネスになんの関心もなかったので、いままでたいして調べてもなかったのだが、5月23日のバルガス先発ゲームがあまりにも酷かったので、ちょっと調べてみて、呆れた。

ジメネスは2004年ドラフト19巡目(全体557番目)でクリーブランドの選手になり、それから5年目の2009年にようやくメジャーデビューしている。それから2010年10月にはFAになり、12月にシアトルと契約したわけだが、2009年デビュー時は外野手としての起用が中心のユーティリティとしてのデビューであって、メジャーでのキャッチャーとしてのキャリアがほとんどない。
これはもう、CERAがどうの、配球がどうのとか、そういうレベルじゃない。
Chris Gimenez Fielding Statistics and History - Baseball-Reference.com

CERA
2009年 4.18(45ゲーム中8ゲームがキャッチャー ライト7、レフト14)
2010年 4.54(28ゲーム中24ゲームがキャッチャー)
2011年 5.75(10ゲーム中9ゲーム)
通算   4.78


キャッチャーで先発したゲームほぼ全敗のジメネスとばかり組まされている、不幸なジェイソン・バルガス
負 4-6 ベダード
負 3-8 バルガス
負 0-7 ヘルナンデス
負 2-3 ベダード
負 1-9 バルガス
負 0-6 フィスター
勝 2-1 フィスター  ←オリーボと途中交代
勝 8-7 バルガス  ←オリーボ途中交代


ここ最近のジェイソン・バルガスのピッチングは、シアトルに来たばかりの頃のように、チェンジアップのキレと緩急だけに頼っているのではなくて、ストレート、チェンジアップ、カットボールの3つの球種を、相手に読まれないような意外性のある配球をし、しかも、きわどいコースにビシリ、ビシリと決めていくピッチングに変化している。
とりわけ最近のバルガスにとって重要なのは、低めにビシビシ決めていく「コントロールの良さ」だ。
これがたとえば「低目をまったくとらない、バルガスと相性の悪いアンパイア」にあたるとどうなってしまうか、については、再三再四書いてきた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。

微細なコントロールが命になってきたバルガスにしてみれば、ジメネスのような「キャッチングの酷さで、アンパイアを敵に回してしまうようなキャッチャー」と組むことは、まさに死活問題。かつてダメ捕手キロスと組まされていた不幸な時代が復活しかねない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月20日、インターリーグで2年ぶりにシアトルの投手が打ったヒットで、2009年当時のジェイソン・バルガスの苦境を思い出す。

いったい誰がジメネスにあんな、まるでMLBらしくないキャッチングを教えこんだのだ。(まさか、シアトルのマイナーの、あの無能なバッテリー・コーディネーター、ロジャー・ハンセンか?)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月14日、過去に城島擁護者だったベンチコーチ、ロジャー・ハンセンが現在も続けている無意味な捕手トレーニング手法。マイナーコーチ時代から続けてきた「手抜きのスパルタ方式」でプロスペクトを壊し続けてきた責任を徹底批判する。


バルガスやフィスターがローテーション・ピッチャーとして大成しようとしている矢先に、ジメネスのような酷いキャッチャーと組ませるべきではない。
すぐさまこんな最悪のキャッチャーはマイナーに落とすべきだ。








May 24, 2011

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打点を挙げた、ジメネスの代打アダム・ケネディイチローペゲーロ、スモークの代走ルイス・ロドリゲス、終盤を締めたクリス・レイライトリーグオリーボ、みんなグッジョブ!!
勝ったケロ(笑) 6連勝!!!
ひゃっほぉうううう!!!!!

シアトルの5連勝以上のストリーク
2004 1回
2005 なし
2006 3回(最大6連勝)
2007 3回(最大8連勝)
2008 なし
2009 1回
2010 1回
2011 2回(最大6連勝)

Seattle Mariners at Minnesota Twins - May 23, 2011 | MLB.com Classic


諦めないってことは、美しいってこと。
(以下、働いた人のみ。仕事しなかった選手はカット 笑)

8回表 SEA 4−7 MIN
ブレンダン・ライアン シングル 1死1塁
ジャック・ウィルソン エラー出塁 1死1、3塁
代打アダム・ケネディ タイムリー 1死1、3塁
イチロー ジョー・ネイサンのインコース一杯に決まるスライダーでバットを折られながらも、きっちりセカンドベース付近に落とし、サードランナーを帰した。イチローさすがの一振りでシアトルが最少得点差に詰め寄る。打点1 2死1塁 

8回裏 SEA 6−7 MIN
投手 クリス・レイ
このイニングから、ダメ捕手ジメネスに代打ケネディが出た関係で、キャッチャーがオリーボに交代したことで、目に見えてピッチャーが安定した。このキャッチャー交代は、このクロスゲームに勝てた大きな要因のひとつ。
クリス・レイは、最初の2人をあっさり三振に切ったことで安定できた。2死後、この日絶好調のスパンにだけはヒットを許したが、これはかなり低い明らかなボール球を打たれただけのもので、こればっかりはバッターが上手すぎた。


9回表 SEA 6−7 MIN
ジャスティン・スモーク シングル 無死1塁
ジャック・カストは三振に倒れるが、その間にスモークの代走ソーンダースが2塁盗塁成功。結果的に送りバントの形に。
カルロス・ペゲーロ 同点タイムリー 2死1塁
ペゲーロの同点タイムリーは、初球のストライクとコールされてもおかしくないボールを見送って、2球目のど真ん中のストレートを打ったもの。低めの大好きなバッターだけに、よく初球のローボールに手を出さなかったものだ。
追記:ソーンダースの盗塁成功は「イチローとベンチで相手投手マット・キャップスのクセについて話し合ったこと」から
この日は控えだったソーンダース。ベンチで出番を待つ間に、イチローと、ミネソタのクローザー、マット・キャップスの投球フォームの癖についてしっかり話し合った。そのため、ソーンダースは代走で出場することになったらどうすべきかをよく心得て、起用を待っていた。という趣旨の話題を含む記事。
Mariners Blog | M's manager Eric Wedge nearly emptied his bench tonight, then watched as moves came up aces | Seattle Times Newspaper
Saunders was probably the difference-maker tonight. He'd looked on from the dugout in the eighth after Ichiro had made it to first base and noticed that closer Matt Capps was using a high leg kick rather than a slide-step in his delivery to the plate.
When the inning was over, Saunders and Ichiro talked it over and agreed there had been no slide-step.
So, when Saunders was asked to pinch-run, he knew what he had to do.

9回裏 SEA 7−7 MIN
投手 ジャーメイ・ライト
疲労がかなりたまってきているせいで、ライトは簡単に2アウトをとった後、四球、ワイルドピッチと、不安定な面も見せたが、既に2本のホームランを浴びているジム・トーミを敬遠したことで、なんとか切り抜けた。このイニングにあわててリーグを投入せず、延長をみすえたエリック・ウェッジもグッジョブ。


10回表 SEA 7−7 MIN
ジャック・ウィルソン シングル 無死1塁
ミゲル・オリーボ 送りバントを2度失敗した後、シングル 無死1、2塁
イチロー 高めのバントしにくい球を、あっさり送りバント成功 1死2、3塁
フィギンズ 敬遠 1死満塁
9回に代走の出たスモークに代わる1塁手ルイス・ロドリゲス 勝ち越し犠牲フライ 打点1
オリーボが2度も失敗した送りバントを、イチローがあっさりと成功させたことで、ダグアウトは大盛り上がり。
ルイス・ロドリゲスは、ペゲーロもそうだが、どういうわけか、こういう決定的な場面に打席が回ってくる運勢をもっている。低めにボールになる球が3球目と5球目にあったが、その2球を振らずに我慢できたことが、犠牲フライにつながった。

10回裏 SEA 8−7 MIN
投手 ブランドン・リーグ
リーグは、ようやく腕が振れてきた。そのことで、やっとアウトコースへのコントロールと球威が戻ってきている。
最後の打者スパンの当たりは、強いショートゴロで、ヒットでもおかしくなかったが、これをブレンダン・ライアンが好ポジショニングで、ショート正面のなんでもないゴロに変え、無事にゲームセット。記録には現れないが、ライアンのビッグなファイン・プレー








May 22, 2011

エリック・ベダードがたった92球でサンディエゴから9三振を奪い、もう誰にも文句は言わせないとばかりに8回無失点の快投で2勝目。やはり調子が戻れば彼本来のカーブを主体にしたピッチングは本当に素晴らしいものがある。
これでチームは3連勝。ピネダ、ヘルナンデス以外の先発での3連勝には本当に高い価値がある。
Seattle Mariners at San Diego Padres - May 20, 2011 | MLB.com Classic

このゲームの2回表、ベダードはフルカウントからショート脇にシングルヒットを打った。このヒット、なんでもインターリーグだけしか打席に立たないシアトルの投手としては、2009年以来、2年ぶりのヒットらしい。


ちょっと調べてみると、案の定、2009年にヒットを打ったのは、Long Beach Stateでの大学時代に投手兼DHだった経歴をもつ、バッティングのいい投手ジェイソン・バルガスだった。
June 14, 2009 Seattle Mariners at Colorado Rockies Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月17日、The News TribuneのRyanDivishによると、大学時代のジェイソン・バルガスはDH兼ピッチャーで、相当バッティングがうまかったらしい。


この頃に書いたブログ記事をみてみると、バルガスがこの時期、いかに苦境にあったかがわかる。
当時のバルガスは、自分のピッチングスタイルをまるで理解しないダメ捕手城島にかわって、こんどは城島のコピーロボットとでもいうべき、キロスをキャッチャーとしてあてがわれていた。
キロスもまた、城島と同じように、バルガスのピッチングスタイルをまったく理解しないまま漫然とゲームをして、6月14日のコロラド戦も1-7と大敗した。
そのためバルガスは試合後に、「キロスのサインどおりに投げてしまったことを後悔している」と、見た目には自分を責める形で、実際にはキロスのリードを批判する発言をしたのだが、当時、監督経験の無い新人監督のワカマツはバルガスの置かれた苦境をまるで理解しなかった。

当時、自分の自由にならない状況でばかりピッチングさせられていたバルガスにしてみれば、インターリーグで、大学時代に非常に得意としていたバッティングの技術を披露することは、せめてものストレス解消だったのかもしれない。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年6月14日、城島・セクソンがゴーストとして復活したシアトルは、コロラドでスイープされた。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(1)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(2)








May 21, 2011

トリー・ハンターはほんとに災難だったねぇ。

トリー・ハンターは2001年から9年連続ゴールドグラバーになっているわけで、2001年にメジャーデビューしたイチローのファンにとっては、たぶん、同じ年にメジャーデビューしたセントルイスのアルバート・プーホールスと並んで、最も印象深いプレーヤーのひとりだろうと思うし、ブログ主にとってももちろん同じ。

トリー・ハンターはやはりセンターにいてほしい。強くそう思う。若手の育成なんてことは、ハンターの守備が本当にどうにもならなくなって、それからでもいいんじゃないのか。
やっぱりハンターがチームの中心にいるエンゼルスが、エンゼルスだ。
Los Angeles Angels at Seattle Mariners - May 19, 2011 | MLB.com Classic



このプレーは、同点で迎えた9回裏、2アウト3塁の場面で、デーゲームのセンターフライが太陽と重なってしまって名手のトリー・ハンターにも捕れず、シアトルがサヨナラ勝ちした、というわけだけど、そもそもこの9回裏を同点で迎えるにあたっては、たくさんの選手の貢献があった。
ブログ主としては、ダグ・フィスターマイケル・ソーンダース、2人の若いはえぬきのマリナーの仕事が大きいと感じた。

1) 先発ダグ・フィスターの8回1失点の好投
2) リリーフ デイビッド・ポーリーの好投
3) 9回表 マイケル・ソーンダースのセンターフライ好捕
4) ジャック・カストのプッシュバントヒット
5) アダム・ケネディの送りバント
6) ルイス・ロドリゲスの進塁打
7) ローボールヒッター、カルロス・ペゲーロ

マイケル・ソーンダースの「ダンシング・キャッチ」については日本のシアトルファンがアニメgifにしてくれている。下のリンク先は、そのアニメgifファイル。
http://sageuploadw.rdy.jp/12upload/upload.html
もちろん、このブログで点検した上で再配布したほうが、リンクを踏む人は安心だとは思うが、このブログはアップできるファイル容量に制限があるため、5M弱の大きさのこのファイル自体をアップして再配布することはできない。
そのため各自が自己責任でリンク先を踏み、このユニークなキャッチングを見てもらいたい。見る価値はある(笑)


このキャッチングに関してSeattle Post-IntelligencerのJohn Hickeyが記事にしているが、この記事で、イチローとソーンダースのお互いに関するコメント部分がなかなか興味深い。まぁ、ある種の「師弟関係」のようなものだ。このコメントを読むと、ソーンダースが映画「ベスト・キッド」の子供のように思えてくる(笑)

Hickey: Ichiro likes Saunders’ smarts | Seattle Mariners

師匠イチローの「ソーンダース評」
“From my angle (in right field) it’s fun to watch (Saunders’ play),’’ Ichiro said after the game. “He was fighting and he wasn’t giving up. And it proved that he’s a smart ballplayer.

“To even have a chance to make that play, you’ve got to imagine it before it happens. You’ve got to position yourself in your mind so that when it happens, you’re ready. He did that. To me, that play proves that Saunders is a smart player.’’


ソーンダースからみた「イチロー」と、9回のキャッチングのソーンダース自身による解説)
“Ichiro is one of the all-time greats, so it’s great to hear that from him,’’ Saunders said. “You do have to visualize before, sort of pre-prepare, because the late afternoon sun (in Safeco Field) can be tough. You’ve got to give yourself a chance to be ready for the ball to come out of the sun while you still have a chance to catch it.’’








May 19, 2011

まさにジェイソン・バルガスの強いハートと投球術が炸裂したゲームだ。

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素晴らしい115球である。
ストライク75球で、ストライク率は65.2%。まさに「ストライク2 ボール1」。教科書どおりだ。

The Long Beach State 49ers Baseball team のロゴマークLong Beach Stateのロゴ

ジェイソン・バルガスが、Long Beach State(カリフォルニア州立大学ロングビーチ校)での大学時代の元チームメイト、ジェレッド・ウィーバーとの投げ合いに勝った。しかも、エンゼルス打線を散発4安打にかわし、7回無失点の快投。これで3勝目。
ジェレッド・ウィーバーとバルガスの元チームメイト対決の結果は、ESPNの看板番組「スポーツセンター」でも取り上げられた。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月16日、トロイ・トゥロウィツキー、ジェイソン・バルガス、ジェレッド・ウィーバー、ターメル・スレッジの母校、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の「ダートバッグ野球」。アメリカのカレッジベースボールとMLBの深い繋がり。

チームメイト対決に関するロサンゼルス・タイムズの記事
Cal State Long Beach teammates Jered Weaver and Jason Vargas oppose each other tonight | The Fabulous Forum | Los Angeles Times

Angels' Weaver hopes to right ship in Seattle - latimes.com

試合前のジェレッド・ウィーバーのコメント
"I'm looking forward to facing Jason. We were part of a great team at Long Beach State. He used to throw 94, 95 [mph] in college. He's definitely become more of a pitcher, and it's cool to see," Weaver said. "I think this is the closest start I've ever been part of. Usually it's like a five-game separation in the title race, but everybody is in it now. That's kind of exciting."
Los Angeles Angels at Seattle Mariners - May 18, 2011 | MLB.com Preview

過去のバルガスとウィーバーの対戦
バルガスがシアトルに来て以降、2009年9月9日に一度だけ同じゲームで投げたことがあるが、このときウィーバーは先発だが、シアトル先発はイアン・スネルで、バルガスは先発ではなくブルペン投手としてリリーフ登板だった。
だからバルガスとウィーバーが同時に先発して、真っ向から投げ合ったのは、どうやら今日が初対決らしい。
バルガスはエンゼルス戦通算2勝2敗。防御率2.45。被打率.215、被OPS.626。バルガスが最も多く三振数を奪った対戦相手が、エンゼルス。
September 9, 2009 Seattle Mariners at Los Angeles Angels of Anaheim Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com

バルガスは、ついこのあいだ、ボルチモアの好投手ザック・ブリットン(彼は今日はヤンキース相手に投げていた)と投げあって、9回無失点に抑えきったばかりで、8回1失点に抑えた5月8日テキサス戦も含めれば、これで3試合続けてほぼパーフェクトなピッチング内容だ。

打線も既に6勝を挙げて今期好調のジェレッド・ウィーバーをものともせず、なんとか3点をもぎとり、たぶん負けるだろうなどとファンの間で思われていたいエンゼルス戦を完封勝ち。
Los Angeles Angels at Seattle Mariners - May 18, 2011 | MLB.com Classic

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (1)打者を追い込んだ後のヘルナンデスの不可思議な「逆追い込まれ現象」


今日のバルガスは、イニングの締めなど、要所要所で三振をとれたのが大きいが、その原動力になったのが、4シーム、チェンジアップ、カットボールの使い分け
新しいGamedayのデータで見るとわかるが、今日のバルガスはこの3つの球種を、ほぼ3分の1ずつ使って、打者に的を絞らせなかった
(例えば、5回のボージャスの三振は、全球チェンジアップ。7回のアブレイユの三振は、三振前の1球を除いて全部ストレート)


配球面で特に気にいったのは、
3回のトリー・ハンターの三球三振の場面。

初球
アウトコースいっぱい、ハーフハイトのカットボール。見事なコントロールだ。
もしこのボールがアウトコース低めコーナーいっぱいだと、3球目の変化球で三振がとれるかどうかがわからなくなる。なんでもかんでも、コーナーいっぱいに決めればいいというものではない。ハーフハイトだからこそ、3球目を振ってくれる。

2球目
もしロイ・ハラデイならここで、インコースいっぱいのハーフハイトの4シームでも投げそうな気がするが、バルガスは、インハイいっぱいの4シームを投げて、トリー・ハンターを一気に追い詰めた。これも素晴らしいコントロール。

3球目
ここでストライクからボールになるバルガス得意のチェンジアップがアウトコースに炸裂。ハンターはなすすべもなく三球三振。
だが、もし仮にハンターがこの素晴らしいチェンジアップを振らずに我慢できていたとしても、おそらくハンターはハーフスイングしていたに違いないと思う。
だから、たとえ4球目を投げることになったとしても、バッターが圧倒的不利な状況にはかわりないことは、誰でもわかるだろう。組み立てがハッキリしているから、次の4球目に投げるべき球のイメージも、すでにバルガスの頭の中にイメージできていたはずだ。

常に次がイメージできる、それが投球術というもの。
常にバッターの半歩先を歩けるコントロールと、キレ、配球イメージが、バルガスにはある

2011年5月11日 3回表 トリー・ハンター 三振


参考:大投手ロイ・ハラデイの芸術的三球三振
2009年9月30日 投手ハラデイ 打者デビッド・オルティス

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』 序論:2009年9月30日、大投手ハラデイの「配球芸術」を鑑賞しながら考える日米の配球の違い

初球 アウトコースいっぱい ハーフハイトのチェンジアップ
2球目 インコースいっぱい ハーフハイトのカットボール
3球目 インコース ストライクからボールになるカーブ

2009年9月30日 7回 ハラデイ、オルティスを3球三振


最後に蛇足ながら、まるでハートが弱くてストライクが投げられないセットアッパー、ジャーメイ・ライトを必死にリードして、2死満塁からLAAの新人ハンク・コンガーのインコースいっぱいに投げさせ、価値ある三振を奪った好リードのキャッチャー、ミゲル・オリーボにも大きな拍手。
拍手拍手拍手

ちなみに、今日CFフランクリン・グティエレスがスタメン復帰したが、ジェイソン・バルガスがシアトルに来たのは、2008年12月11日、シアトル、クリーブランド、ニューヨーク・メッツのからむ三角トレードのときで、このときシアトルは、ショーン・グリーンJJプッツジェレミー・リードなどを放出し、バルガスグティエレスマイク・カープアンディ・チャベスなどを獲得した。バルガス獲得時のGMはズレンシック








5回裏2アウト1、3塁からのイチローの素晴らしいタイムリーを除くと、先日ノーヒッターを達成したばかりのミネソタの左腕フランシスコ・リリアーノにすっかり抑えられて負けてしまったシアトルだが、某巨大掲示板に5回のタイムリーの打席と、その前の打席の画像があったので、メモがわりにもらっておいた。

この2つの画像が興味深いのは、3回裏に凡退した打席(真ん中低め)も、5回裏のタイムリーの打席(インコース低め)も、球種が同じストレートで、イチローがひとつのゲームの中でプレーを修正する能力がいかに高いか、ということが、ひと目でわかるからだ。


まず3回裏の一塁ゴロのシーンだが、初球、2球目が、まったく同じコースとスピードの93マイルのストレートだった。まるで同じ球が続いただけに、イチローのほうがちょっと意表を突かれた感じになって思わずバットが出てしまい、一塁ゴロにうちとられた。ストップモーションでみれば一目瞭然だが、腰砕けな感じのスイングになってしまっていて、イチローの意表を突いたリリアーノにしてやられている。

だが、5回裏のタイムリーの場面では、イチローはまるで違うスイングをした。
初球が、アウトコース低めいっぱいに決まる素晴らしい86マイルのスライダー。2球目がインコース低め、92マイルのややボールっぽいストレートだったが、これを見事にタイムリー。体全体がまるで弓のようにしなって、バットの先まではりつめた意識が通った素晴らしいスイングで、きっちり92マイルのストレートをとらえて、リリアーノにリベンジしている。

シアトルの若手のバッターなどは、ピッチャーのまったく同じ攻めに何度も何度もひっかかる打者が多いが、こういう部分こそ真似をしてもらいたい、と、強く言いたいところだが、本音でいうと、「ゲーム中にすら、自分のプレーを修正していける能力」なんていうものは非常に高度な運動能力なわけで、そんな簡単に真似られるものなら誰しもオールスターに出られるプレーヤーになってしまうと思う。

やはりイチロー、
天才である。
Minnesota Twins at Seattle Mariners - May 17, 2011 | MLB.com Classic

2011年5月17日 ミネソタ戦3回裏 イチロー 一塁ゴロ3回裏
一塁ゴロ

2011年5月17日 ミネソタ戦5回裏 イチロー タイムリー5回裏
タイムリー




2011年5月17日 ミネソタ戦3回裏 イチロー 一塁ゴロ(データ)3回裏
一塁ゴロ


2011年5月17日 ミネソタ戦5回裏 イチロー タイムリー(データ)5回裏
タイムリー









May 18, 2011

シアトルの地元紙The News TribuneのRyanDivishツイッターによると、大学時代のジェイソン・バルガスはDHもやっていたらしく、かなりバッターとしても才能があったらしい。
https://twitter.com/RyanDivish

大学時代のジェイソン・バルガスについては一度記事にした。
ジェイソン・バルガスは、トロイ・トゥロウィツキージェレッド・ウィーバー、現横浜のターメル・スレッジは同時期にこのLong Beach State(カリフォルニア州立大学ロングビーチ校)でプレーした。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月16日、トロイ・トゥロウィツキー、ジェイソン・バルガス、ジェレッド・ウィーバー、ターメル・スレッジの母校、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の「ダートバッグ野球」。アメリカのカレッジベースボールとMLBの深い繋がり。

スポーツのさかんなLong Beach Stateのウェブサイトには、在学生で後にプロとして活躍しているような選手たちのリストがあるが、気がつかなかったが、ジェイソン・バルガスの名前の横には、たしかに「Designated Hitter/Pitcher」とある。
最初、アメリカのカレッジ・ベースボールの名門LSU、ルイジアナ州立大学で野球をやっていたバルガスが、Long Beach Stateに在籍したのは1年間だけだが、その1年間だけで、打率.354の高打率、二塁打14本、ホームラン5本をマークしている。
1年間の数字とはいえ、野球の非常にさかんなカリフォルニア州での成績だから、なかなかたいしたバッティングセンスだ。

Jason Vargas, Designated Hitter/Pitcher, 2004
One of just a handful of solid two-way players for the Dirtbags, he spent just one year at The Beach, teamming with Jered Weaver and Cesar Ramos to go a combined 27-5 during the Super Regional run in 2004. He also led the team in hitting batting .354. He spent just a year and a half in the minors before getting called up from Double-A in 2005.
Long Beach State Official Athletic Site Traditions

MLBのプレーヤーになってからのバルガスのバッティングスタッツもいちおう見ておくと、これもなかなかのものだ。特にナ・リーグ時代の打率は、なんと.295。打撃不振に悩むシアトルの打者たちには、耳の痛い話だろう(笑)
投手は交流戦以外ではバッターボックスに立たないア・リーグに移籍してからは、コンスタントにバッティングをしなくなったせいか、バルガスの打撃成績もたいしかことはなくなったが、ちょっと期待しながらゲームを見てみるのも面白い。

2005年 FLA 26打数8安打 二塁打2本2打点 打率.308
2006年 FLA 16打数5安打 二塁打1本1打点 打率.311
2007年 NYM 2打数0安打
2009年 SEA 4打数1安打 打率.250
2010年 SEA 6打数0安打
通算 54打数14安打 二塁打3本 3打点 打率.259
ナ・リーグのみ 44打数13安打 二塁打3本 打率.295 OBP.326 SLG.364 OPS.690
Jason Vargas Batting Statistics and History - Baseball-Reference.com










May 16, 2011

オフに、ミルウォーキーのGMダグ・メルビン(かつてシアトルの監督だったのは、ボブ・メルビンで別人)が09年サイヤング賞投手ザック・グレインキー、去年トロントで13勝したショーン・マーカム、ヤンキースなどからもオファーのあった斎藤隆をごっそり獲得してきて、今シーズンに投打とも万全の体勢で臨んだはずのミルウォーキーだが、なんやかんやで結局のところ、勝率が5割に届かず、借金は3(笑)。
チームに合計4人も3割バッターがいるこの状況で、この順位は恥ずかしいだろう。明らかに戦力の劣るパイレーツと勝率が並んでしまっている。

プリンス・フィルダーライアン・ブラウンといった不動のビッグネーム。大学時代2003年にゴールデン・スパイク賞を受賞して守備は下手だが打撃のいい二塁手リッキー・ウィークス(2003年ドラフト1位、全体2位)。去年メジャーデビューしてシーズン後半には正捕手に座り、今年も大活躍中の2年目キャッチャー、Jonathan Lucroyジョナサン・ルクロイ 2007年ドラフト3位、全体101位)も打撃好調。

常に人材不足のシアトルからしたら、誰か1人でいいから寄こせ、と言いたくなるだろう(笑)
(下記は、去年ローランドスミスが、ルーキーのジョナサン・ルクロイに3ランを打たれたときの記事)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月25日、ストレートに球威もコントロールも無いのに、要所で突然ストレートを投げたがる「脳内剛速球投手」ローランドスミスのワンパターンな「ストレート病」。ホームラン2発で、試合は壊れた。
ジョナサン・ルクロイ
Jonathan Lucroy Statistics and History - Baseball-Reference.com
リッキー・ウィークス
Rickie Weeks Statistics and History - Baseball-Reference.com

そのミルウォーキーの監督Ron Roenickeロン・ローニック)は、カンザスシティからグレインキーの「おまけ」みたいに獲得した元マリナーズのユニスキー・ベタンコートのあまりの低出塁率にはやはり手を焼いているようで、記者から聞かれてこんな発言をした。

Can't Brewers coaches ask Betancourt to try taking some pitches?
"They have before, and he gets defensive and his at-bats aren't as good," Roenicke said. "That was the problem in Seattle; they approached him that way. Last year [in Kansas City], they didn't and he had a very good offensive year. They let him be himself."
Brewers sticking by Gomez and Betancourt | brewers.com: News

「もう少しベタンコートに待球でもするように、コーチから指導できないのか?」と聞かれたRon Roenickeが言うのは、こういう意味のことだ。
「アイツは、ほら、根っからの攻撃的スインガーだろ? あれこれ言って守りに入らせようとしたんじゃ、バットが湿っちまって、うまくいかないのさ。シアトルでは、それで失敗したわけだろ?
去年までいたカンザスシティは、シアトルとは違う指導方針で臨んで、ベタンコートには好きにやらせて、その結果、バッティングが再生したわけ。
もともと打撃のいい選手だから。まぁ、ちょっと時間かけてみていくしかないね。(俺だって、手を焼いてるのさ)」


うーむ・・・・・ぅ。
まぁ、まったくそのとおりだ。そのとおりではあるが、だ。
人から言われると、なんかむかつく(笑)反論できないのも悔しいので、ひとこと書いておく。


今年これだけの戦力を揃えたミルウォーキー。
もはやナ・リーグ中地区首位のシンシナティや、強豪アトランタにスイープされても、「しかたない」と言ってすませることは、もはや許される立場ではないことくらいは自覚すべきだろう。
まして、戦力がまだ十分でないワシントン・ナショナルズにすら、謎のスイープを食らっているようでは、とてもとても強いシンシナティやセントルイスを追い抜いて地区優勝、どころではない。

まるで、「ベタンコートが出塁しないから、ウチは勝てないのだ」とでもいわんばかりの「言い訳記事」は、恥ずかしいかぎりですぜ、ミルウォーキー。

C Jonathan Lucroy
1B Prince Fielder
2B Rickie Weeks
SS Yuniesky Betancour
3B Casey McGehee
LF Ryan Braun
CF Carlos Gomez
RF Mark Kotsay
2011 Milwaukee Brewers Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com

それにしても、ジョナサン・ルクロイかぁ・・・。最近好調のマット・ウィータースより大物感ある感じだし、できたらシアトルにくれないもんかね。くれないよな(苦笑)ヤンキースに行ったラッセル・マーティンも、ドジャースでは貧打のキャッチャーのイメージだったが、ニューヨークに行ったとたんホームラン打ちまくりか。うらやましぃ・・・・・。
まぁ、MLBのキャッチャーの地図は、世代交代で大きく塗り変わる時期に来ているので、そのへんのことも近く記事にしてみるつもり。








May 15, 2011

この記事は、下のリンクの続きだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (1)打者を追い込んだ後のヘルナンデスの不可思議な「逆追い込まれ現象」



ちょうど一ヶ月前。
カムデンヤーズへの遠征で、フェリックス・ヘルナンデスは、典型的な早打ちボルチモア打線につかまり、早いカウントのストレートを狙い打たれる形で、被安打7、四球3、自責点4。5回でマウンドを降りた。
ゲーム序盤の3失点くらいなら、ほとんどの場合、そのまま7回120球くらいまで平気で投げるヘルナンデスが「5回で降板させられた」のだから、いかに5月12日のカムデンヤーズでのピッチング内容が悪かったかがわかる。
Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 11, 2011 | MLB.com Classic

あのとき、こんなことを書いた。
ヘルナンデスには「投球術」が欠けている。
だからもう、ヘルナンデスのことを、「キング」と呼ぶのは、やめることにした。


あれから一ヶ月たって、6月18日。
ホームのフィリーズ戦で、ジミー・ロリンズシェイン・ビクトリーノに好きなように打たれまくるヘルナンデスを見ながら、5月のときの「感想」は、変わるどころか、より確信に近いものに変わった。
キングス・コート」とかいうチケット販売戦略は、まぁ、観客動員のためのギミックだから、それはそれでいい。好きなようにビール飲んで、仮装大会やって、お祭り騒ぎは好きに楽しめばいい。だが、ブログ主は、ヘルナンデスのことを「キング」と呼ぶつもりはない。


5月頃、日本のファンはヘルナンデスについて、「いつも5月がよくないから、しかたがない」だの、わかったようで実は何の根拠もないことをしきりに言っていたものだ。月別データを見ると、そういうテキトーすぎる意見が「二重の意味で」現実をわかっていない意見であることがわかる。

今年のヘルナンデスは、月別データだけでいうと、「いつも5月がよくないから、しかたがない」どころか、これでも5月が一番「マシ」なのだ。
   被打率 防御率
4月 .240   3.32
5月 .202   3.07
6月 .263   3.77

まぁ、こんなデータを見ると「5月は例年悪いわけだけど、今年に限っては、実は良かったんだな・・・。ヘルナンデス、さすが」(笑)などと、自分が二重に馬鹿なことを言っていることさえ気づかないで、早とちりしたことを言うアホウが必ず出てくるだろう。数字だけ見て、実際のゲームはほとんど見ずにモノを言っていても、恥をかかずに済むと思っているのだろうか。

ヘルナンデスの5月の全登板を見た人なら、データ上の良し悪しはともかく、「2011年5月のヘルナンデス」がかなりグダグダなピッチングぶりだったことをよく知っている。だからこそ、5月にボルチモアでメッタ打ちにあったのである。

そして「6月のヘルナンデス」は、5月の「数字では絶対にわからないグダグダ」が表面化してきて、被打率.263などという、とんでもないことになってきている。



Fangraphには、カウント別に、投手がどんな球種を投げたかが、おおまかにわかるデータが用意されている。
これと、Baseball Referenceのカウント別被打率とあわせて、今年のヘルナンデスが「どういうカウントで、どういう風に打者を攻め、そして打たれているか」、ちょっと簡単にシミュレーションしてみよう。
Felix Hernandez ≫ Splits ≫ 2011 ≫ Pitching | FanGraphs Baseball
Felix Hernandez 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com
注意してほしいのは、Fangraphの球種分類が「おおまか」であること。たとえば、最近のヘルナンデスは「シンカー」を多投するが、この「シンカー」という球種はFangraphの分類項目に無い。たぶん、どれか違う変化球のパーセンテージに含められて計算されてしまっている。だから以下の話で、変化球についてあまり厳密に書くことは、そもそもできない)



Baseball Referenceによれば、今年のヘルナンデスがもっとも打たれたカウントが、First Pitch、初球だ。まず、ここが問題の出発点である。
相当打たれている。被打率は.381。被長打率.540、被IOPS.930。数字の上だけでみても、かなり酷い。

他にも、ヘルナンデスが被打率3割以上打たれているカウントは、初球、1-0、2-0、0-1、1-1と、合計5つもある。要は「3球目までに打たれると、かなりの確率でヒットを打たれてしまっている」ということになる。

Fangraphで、「被打率3割以上の5つのカウント」で投げた球種を調べてみると、面白いことがわかる。

ヘルナンデスが打たれているカウントで投げている球種をみてみる。
初球 速球(確率71%)被打率.381
1-0 速球(70%)被打率.308
2-0 速球(94%)被打率.385
0-1 速球(33%)、カーブ(31%)被打率.324
1-1 速球(38%)、カーブ(25%)、チェンジアップ(24%)被打率.361
Felix Hernandez 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


もうおわかりだろう。簡単だ。
早いカウントではストレートを打たれ、遅いカウントになると、変化球を打たれる
これらの単純なデータ群からでさえ、ヘルナンデスが投球の3球以内で打たれるパターンが、簡単に分類できることがわかる。

もうちょっと詳しく書いてみる。

A)初球が打たれるケース(1通り)
A−1 初球のストレートを狙い打たれ、長打される

B)2球目が打たれるケース(2通り)
B−1 初球のストレートがボール判定。2球目にストレートを連投してストライクをとりにいって打たれる
B−2 初球のストレートがストライク判定。2球目にストレートか、カーブを投げ、打たれる

C)3球目が打たれるケース
C−1 初球、2球目でストレートを投げて、どちらもボール判定。3球目もストレートで、そこで打たれる
C−2 初球のストレートでストライク、2球目がストレートかカーブで、ボール。1-1となって、次の球(ストレート、カーブ、チェンジアップのどれか)を打たれる。
C−3 初球のストレートがボール、2球目もストレートで押して、こんどはストライク。1-1となって、次の球(たぶんアウトコースの変化球、それもシンカーかチェンジアップと推測)を打たれる。


同じことを、こんどは「バッター目線」から整理してみよう。
打者はどのカウントで、どの球種を打てばいいか?

初球の狙いかた
1)何も考えず、初球ストレートを思い切り強振。長打狙い。
2球目の狙いかた
2)初球ストレートがボール判定だった場合、2球目も高確率でストレートが来るので、ここは必ずヒッティングすべき。
3)初球、2球目が、続けてストレートのボール判定のカウント2-0。次は間違いなくストレート。狙い打ちしていい。(もし四球が必要な場面で、コントロールが荒れているケースなら、振らなくてもいい)
4)初球ストレートを強振して、空振りか、ファウルだったカウント0-1の場合。2球目がストレートである確率はかなり下がり、球種がバラつくため、ここは様子見。
5)初球ストレートがきわどいので見逃したカウント0-1の場合、もしその球がストライクだったら、2球目は球種が予測しづらい。ちょっと様子見。
3球目の狙いかた
6)初球ボールで、2球目をファウルしたら、3球目は、変化球かストレートか、狙う球種さえしっかり絞りきれれば、甘い球を狙い打てる。
7)初球ストレートがストライク、2球目がボールのカウント1-1なら、3球目は基本的に様子見だが、打ちたいなら、変化球かストレートか絞りきって、甘い球だけを打つ。
8)初球、2球目で、カウント2-0に追い込まれた場合。3球目のアウトコースの変化球は、ほぼ「釣り球」。見逃すべき。4球目も、ほぼ同じ。これでカウントを2-2まで戻せる。

ちょっと読みづらい書き方で申し訳なかったが、上に書いたことをもっと簡単に言うと、どういうことが起こっているのか。

早いカウントで投げたがる「ストレート」、遅いカウントになると投げたがる「変化球」、ヘルナンデスはその両方を打たれているのである。


初期症状で、ストレートへの自信と信頼が失われていき、さらに症状が進んだ後期症状では、せっかく打者を追い込んでも、その後はアウトコースのボールになる釣り球の変化球一辺倒になって、打者にピッチングの組み立て自体を見切られていく。その結果、球数はやたらとかかるようになり、2-2や、フルカウントがやたらと増えていく、というのが結論だ。


実際、今年のヘルナンデスのPitch Type Values(球種ごとの有効度)は、こうなっている。(カッコ内は2010年の数値)
ストレート    -1.8(2010年 25.5)
スライダー系  -0.7(6.1)
カーブ      3.2(2.4)
チェンジアップ 13.9(18.7)

早いカウントのストレートが打たれすぎたことで、配球システムの根本が崩れて、いざとなったらストレートに頼るピッチングが不可能になってきた」のである。
これがヘルナンデスのピッチングの根幹が崩壊してきた去年から既にあった「第一の問題点、初期症状」だ。


そして、ストレートを早いカウントで打たれすぎて、ピッチングの逃げ道がなくなってしまった彼が何に頼ったか。
外のシンカーやチェンジアップである。


最初の2球でなりふいかまわず打者を追い込んで、カウント0-2としたら、後は、外のシンカーやチェンジアップ。
ここからが「第二の問題点、後期症状」だ。
どうにかして打者を追い込んだにしても、あとに残されたのは、チェンジアップやシンカーくらいしかない。そういう球種をアウトコースのボールゾーンに釣り球として投げるのは、「打者への攻め」ではなくて、「単なる消去法」だ。ほかに選択肢がないから、それに決定しているだけである。
(本当はないこともないのだが、たとえキャッチャーがそれを要求しても、ヘルナンデスは首を横に振る。だから、カウントが煮詰まると、非常に高い頻度でバッテリーのサインがあわなくなって、テンポが遅くなる。そうするとビクター・マルチネスのような観察眼のある打者は「ヘルナンデスが首を振ったな。ああ、これは変化球、特にシンカーが来るな」と、わかるようになってくる)

だが、打者も馬鹿ではない。

ストレートを投げることに「ある種の恐怖心」を抱くようになってきているヘルナンデスの「弱腰ぶり」は、打者はもう十分すぎるほどわかっている。
ヘルナンデスのカウント0-2、あるいは、カウント1-2からは、たてつづけに「外の、ボールになる変化球が来ること」はわかっている。ならば、ボールなら黙って見逃せばいいし、ストライクなら、タイミングをあわせて狙い打つだけのことだ。

こうして、カウント2-2やフルカウントが多発するようになっていく。


こういうのを、
日本語では「見切られる」という。
先発投手は見切られたらオシマイだ。






May 14, 2011

カムデンヤーズでのビジターゲームで、ジェイソン・バルガスが、ボルチモア期待の新鋭ザック・ブリットンと投げ合い、2人とも9回無失点でマウンドを降りる手に汗にぎる投手戦を演じた。
Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 12, 2011 | MLB.com Classic
ゲーム自体は、ブランドン・リーグの乱調で12回表の貴重な得点を勝ちに結びつけることができず、サヨナラ負けしたのだ、そんな、リーグのふがいなさが原因とわかっていることは、どうでもいい。
フェリックス・ヘルナンデスではまったく抑えられることができなかったボルチモア打線Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 11, 2011 | MLB.com Classic)を、なぜジェイソン・バルガスはこれほどまでに完璧に抑えられたのか? そのことのほうがはるかに大事だ。

その他、自分の中でいろいろなことについて、答えがハッキリと出たので、その一部をまとめてみた。

ヘルナンデスには「投球術」が欠けているのである。

「フェリックスがいつも5月に調子が出ない」とか、そんなオカルトじみた、どうでもいい理由ではない。もっときちんとした、野球の上での話だ。



ヘルナンデスはこれまで、自分に欠けている「投球術」の部分を、キャッチャー(たとえば、いまやサンディエゴの正捕手の位置にいるロブ・ジョンソン)やベンチによって補完されてきた、そういうタイプの投手だ。
球威は十分だが、投球術に欠ける。だから、ヘルナンデスは、投球術のない今のままでは、絶対にロイ・ハラデイにはなれない。球威だけでは誰もロイ・ハラデイにはなれない。

ロイ・ハラデイは、自分の中に「自立した投球術」を持つ、自立した投手だ。だから、キャッチャーが誰であろうと、打線の調子がどうであろうと、関係ない。自分の内部に存在する「自分自身の手で育てあげた自分だけの投球術」をもとに、ゲームの最後まで責任をもって投げぬく。それを信条としている。100球制限も、ロイ・ハラデイには関係ない。
他方、ヘルナンデスにあるのは、「球威」「スピード」「変化球のキレ」「ボールコントロール」など、ボールに物理的なパワーを与える能力、それと「負けん気」などのメンタリティの強さだが、それら以外に、まだ欠けている投手として必要な能力がある。
それが、日本語でいうところの「投球術」だ。つまり彼は単にボールを上手にあやつって打者を追い込んでいるだけであり、「自分で自分のピッチングスタイルをデザインする能力」には欠けている。
それがボルチモアとの対戦でハッキリわかった。

ヘルナンデスはとりあえず打者を追い込めるところまで行ける。それはひとえに、彼のパワーのおかげだ。だが、打者を自由自在にうちとるためのピッチング・デザインは、彼の内部に十分あるとはいえない。


だからもうブログ主は、ヘルナンデスのことを「キング」と呼ぶのは、やめることにした

頂上をあらわす「キング」という称号で呼んでいい投手は、例えば、ロイ・ハラデイノーラン・ライアンのような「自立した投球術」を備えた大投手であって、投球術に欠けるフェリックス・ヘルナンデスには「キング」の称号はふさわしくない。ちょっと態度が大きいくらいのことで、誰かのことをキングなどと呼ぶ必要など、まったく感じない。


細かい部分に触れよう。
これは、いままで何度も中途半端に書きとめてきたことを一歩先に進めることにもなる。

去年も頻繁に見た光景だが、ヘルナンデスは「打者を追い込んでからの投球」が、まったくもって冴えない。

なぜなら、ヘルナンデスは「打者を追い込む」のは上手いのに、いざ凡退させる段階になって四苦八苦ばかりしていて、スッキリ討ち取ることができないからだ。

具体的に言えば、打者を追い込んだ後、明らかにボールとわかる無駄な投球が多すぎて、2-2、3-2と、カウントを自分からどんどん悪くしていき、せっかく追い込んだ打者を簡単に四球にしていたりする。(こういう投球数が無駄に増えていくピッチングでは、野手の守備時間が異様に長くなり、野手のバッティングにも影響が出て、ラン・サポートも減ることが多い)


ボルチモアとの対戦で、ヘルナンデスはキャッチャー、ミゲル・オリーボとまるで息が合ってなかった。(けして全部の場面がそうだとは言わないが)特に、打者を追い込んだ後のサインが最も意見が合わなかったように見えた。もちろん、オリーボがどういう球を要求し、サインにヘルナンデスが、何度も何度も首を振って、その結果どういう球を選択したかを明確に知ることなどできないが、首をふったシチュエーションと、その後に投げた球などから推測すると、ブログ主は、以下のようにヘルナンデスとオリーボの意見があわない理由を考えた。

特に典型的な右打者のカウント1-2という場面で説明してみよう。


打者を追い込んだこういう場面で、最近ヘルナンデスが、キャッチャーのサインに首を振りまくるケースが、非常に多くみられる。ヘルナンデスが最終的に投げたがる球はどうやら「アウトコースの、大きく鋭く変化して、打者から逃げてボールになる球」のようだ。
この球をヘルナンデスが使いたがる理由についてブログ主は、「自分の球の威力で追い込んだ打者を、最後になにがなんでも、『安全に』空振りさせたい」のだろう、と見ている。

だが、このヘルナンデスが投げたがるアウトコースの球に、どういうものか、打者がまるで反応しない。むしろ簡単に見逃してくる。そして見逃された球がきわどいコースにビシリと決まって、見逃し三振がとれることはほとんどなく、むしろ、アウトコース低めにハッキリはずれるボールになることが多い。

要は、打者側に、「追い込まれてからヘルナンデスが投げてくるアウトコースの変化球は、見た目の変化は素晴らしいが、ボールになる。だから、見逃しても、三振しないですむ」ことがバレはじめているのだろう、と思う。
いくら、いままで誰も見たことがないような素晴らしい変化をするボールでも、大きくはずれてボールになることがあらかじめわかってしまえば、打者は空振りしない。うちとれない。単純な話だ。


だが、それでもヘルナンデスは、アウトコースの変化球によほど急激な変化をつけたがる。よほど打者にバットを振らせたいのだろう、キャッチャーのサインの大半に首を振り、ボールに強すぎるスピンをかけるために、非常に力み(りきみ)かえって投げ続ける。そのため、ボールにあまりにも変化がつきすぎて、1塁側に大きく逃げるワンバウンドになるケースが多々ある。
これが、ヘルナンデス登板時に頻発しているワイルドピッチ(またはパスボール)の元凶になっている。


投手にしてみれば「こんなに、いままで誰も投げてないほど、急激な変化球で打者を誘っているのに」と思っている。なのに、打者がまるで反応しない。すると、投手はかえって「まだ打者をうちとってもいないのに、決め球が無くなってしまった感覚」になったりする。
こういう「カウントの上では、投手側が打者を追い込んだはずが、かえって、投手のほうが、投げる球が無くなった、追い詰められた、という感覚に追い込まれていく」という、おかしな現象を、とりあえず「逆追い込まれ現象」とでも呼んでおくことにする。
(ある意味で、満塁で打席に入った打者が、チャンス!とポジティブな感情を持つのではなく、むしろネガティブにヤバイ!と感じるのにも、ちょっとだけ似ている 笑)


この「逆追い込まれ現象」に陥ったときのヘルナンデスは、たいてい表情は怒ったようなイライラした表情か、無表情だが、人間というものは不思議なもので、顔だけそういう厳しい表情、クールな表情だからといって、行動においても自分の思ったとおりの大胆さ、強気が、表現できるわけでは、まったくない。
むしろ、逆で、顔は冷静で、見た目は強気そうなのに、実は内心とても追い詰められている、そういう人こそ、たくさん見かける。それが人間という動物の普通の光景だ。

いくら本人だけが「絶対に三振をとるぞ!」と決め付けて、「俺は強気な投手だ!!」と鼻息荒く息巻いていたとしても、ボールそのものは打者にたち向かうどころか、むしろ打者から大きく逃げているのでは、なんの意味もない。
ヘルナンデスが強気になるべき相手は、サインを出している味方のキャッチャーではなく、対戦している相手チームの打者なのだ。言うまでもない。キャッチャーのサインをいくら拒否できるようになったとしても、そんなのは「強気」でもなんでもない。ただの「内弁慶の子供」だ。

「逆追い込まれ現象」に陥ったヘルナンデスのアウトコースの「逃げの変化球」はますます打者に見切られていき、投げる球が無くなったヘルナンデスは、フルカウントから、こんどは力まかせに、高速シンカーや、カットボール、4シームなど、ストレート系の球を投げるわけだが、体重のバランスは崩れ、ボールは思いもよらぬ方向に行ってしまい、四球を出し、タイムリーを打たれてしまう。
まるでパソコンで映画のDVDをリプレイするかのように。



そもそも真剣勝負の場において『投手だけが安全でいられる、打者の空振り』など、ないはずだ。
「安全でなさそうなところ」にリスク承知でキレのある球を思い切って投げ込むからこそ、打者のバットは思わず空を切って三振してくれる、あるいは凡退してくれるのであって、絶対に投手側は安心だという「安全なところ」に、いくら鋭すぎる「逃げの変化球」を投げ続けてみたところで、打者は空振りなどしてくれない。

そういう意味では、ヘルナンデスのアウトコースのボールは「打者にたち向かう」どころか、むしろ「打者から大きく逃げている」
投手が「打者から逃げるボールで、三振してくれ」とか、そういうことばかり考えるのは、単に、自分に都合のいいことばかり考えがちな子供、という話になる。


この話の意味は、ボルチモアの素晴らしい新人投手、ザック・ブリットンの大胆すぎる2シームと比べてみても、よくわかるはずだ。

ブリットンは、打者を追い込むだのなんだの、ごちゃごちゃ考えるより先に、2シームを、ほぼ「ストライクゾーンの、信じられないほどド真ん中」に投げこんでくる。もちろん打者は「しめた!!」と思って反射的にフルスイングしてくるわけだが、これが、ボールが動くせいで、まるでマトモにバットに当たらない。必ずといっていいほど、ボテボテの内野ゴロになる。
もちろん、東地区の投手であるブリットンには、東海岸特有のカットボールや2シームといった「動くボール」を多用する投球術が文化的背景にある。若い投手だが、彼なりに計算されたピッチング、といっていいと思う。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:地区ごとの配球文化の差異


このブリットンの2シームのチャレンジぶりに比べれば、いかにヘルナンデスのアウトコースの変化球が、投手側のリスクをあらかじめ回避した「安全な逃げ」でしかないか、わかると思う。
外の変化球が、どれだけ大きく曲がろうと、鋭く落ちようと、そりゃ、ボールになるとわかってしまえば振ってもらえなくなる。



思うに、投手の投球術というのは、2種類あって、けっこう混同されていると思う。

ひとつは、「打者を追い込むところまで」の投球術。
もうひとつは、「打者を最終的にうちとる」ための投球術。

もちろん、ロイ・ハラデイは後者だ。
そして、このあいだ初めて見たザック・ブリットンも、シアトルでいえば最近のジェイソン・バルガスも、後者だと思う。

前者の「打者を追い込むまでの投球術」しかもたない投手は、打者を追い込んだ後にどうするかといえば、自分の持ち球の中で、その日、これはと思えるボールを、えいやっ、とばかりに投げ込んでくるだけだ。
それでも球威があるうちはいい。手の内を相手に研究されないうちは、それでもいい。
だが、そんなのを「投球術」と呼ぶことなどできない。
そういう投手は本来、最後にはキャッチャー(あるいはピッチングコーチでもいい)の持つデザイン力の助けを借りなければならないはずだ。


自分のストレートの威力を過信というか慢心して、キャッチャーのあらゆるサインに首をふり、ストレートだけを投げることにこだわりぬいて、その結果、勝ちゲームを大量破壊しまくったデイビッド・アーズマも、かなりどうかしていると思ったものだが、フェリックス・ヘルナンデスが、第二の「慢心したアーズマ」にならないことを祈る








5/8  リーグ 3失点 敗戦投手
5/10 リーグ 2失点 サヨナラ負け
5/12 リーグ 2失点 サヨナラ負け
(先発バルガス9回無失点
5/13 リーグ 3失点 サヨナラ負け
(先発フィスター8回2失点

かつて、ピッチングを組み立てようとするロブ・ジョンソンのサインに首を振りまくって、ワンパターンにストレートだけを投げたがって、せっかくの勝ちゲームを連続サヨナラ負けしまくって、チームを崩壊に導いたときのデイビッド・アーズマの慢心ぶりがそうだったように、去年ブランドン・リーグが何度も繰り返し炎上して、ゲームを何度も落としていたのを、なんと、言うにことかいて、当時シアトルのキャッチャーだったロブ・ジョンソンがリーグの決め球のひとつであるスプリッターを捕れないから、リーグがスプリッターを投げられないのが理由で、リーグはまともにピッチングできていないだの、なんだの、おかしな「タラレバのナンクセ」をつけてロブ・ジョンソンを罵倒してばかりいた手の施しようがない馬鹿が、日本にもアメリカにもいたものだが、いつになったら、ああいう頭の悪い人間が「野球を見る目」が身につくのだろう(冷笑)
永遠に勘違いしたことを言っていればいい。こちらは常に遠くから冷笑するだけだ(笑)


本当は単なる平凡なセットアッパーでしかないブランドン・リーグがどういうレベルの投手なのかは、この1週間で全て証明が終わった。

結論:
去年ブランドン・リーグが炎上していたのは、単に、単なるセットアッパーレベルの実力しかないこの投手の能力の無さが原因であり、ロブ・ジョンソンのキャッチングのせいではない。以上証明終わり。以降、議論不要。
Seattle Mariners at Cleveland Indians - May 13, 2011 | MLB.com Classic


ブランドン・リーグは、今はトロントでローテーション・ピッチャーとして活躍しているブランドン・モローとのトレードで獲得した投手だが、よく、無能GMズレンシックの酷い業績を言い繕うために、このトレードを、Win-Winのトレード、つまり、双方に利益のあったトレードのように言う人がいるが、馬鹿なことを言うものじゃない。

ブランドン・モローはシアトルの2006年ドラフト1位(全体5位 この年はティム・リンスカムが全体10位でドラフトされた年)で、しかもスターターである。
1st Round of the 2006 MLB June Amateur Draft - Baseball-Reference.com

MLBにおけるスターターの投手と、単なるセットアッパーの「重みの違い」すらわからないで、くだらないことを言うものじゃない。

ハッキリしておく。
貴重なドラフト1位のスターターを、単なるセットアッパー程度と交換してしまうトレードが、Win-Winなわけがない。馬鹿なことを言うな。


この件についても、証明終わりだ。

結論:
ブランドン・モローと、ブランドン・リーグのトレードは、単に、数あるズレンシックの失敗トレードのひとつである。以上証明終わり。以降、議論不要。


Brandon League is not a closer.
He is just a loser.








May 11, 2011

痛すぎる1敗だった。
カムデンヤーズに移動してのボルチモア初戦だったが、勝ちゲームの投手を注ぎ込みまくった上で、痛恨のサヨナラ負け。せっかく近づいてきていた5割ラインがまた遠ざかってしまった。

だが、「なぜ負けたのか?」、そこをしっかり考えて、要因を少しでもみつけだしておかないと、「頭を使わない野球」に逆戻りしてしまう。思い出すのも苦痛なゲームだが、きちんとメモを残しておく。
今日の負けで特にダメな点をひとつだけ選べ、といわれたら、「カウント0-2からの3球目に、必要のないストライクを投げてはヒットを打たれる、これを何度も何度も繰り返したこと」を挙げたい。
Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 10, 2011 | MLB.com Classic


9球目 スライダー シングル マーケイキス
3球目 ストレート シングル 0-2から  ゲレーロ
6球目 ストレート ホームラン 打点1 ハーディー
4球目 ストレート シングル 2-1から ゲレーロ
初球 ストレート シングル 打点1 初球 スコット

3球目 スライダー ダブル 打点2 1-1から アダム・ジョーンズ
3球目 ストレート シングル 0-2から ウィータース
2球目 スライダー シングル 0-1から ハーディー
3球目 カーブ 0-2から ゲレーロ
3球目 カーブ 0-2から 打点1 ルーク・スコット

2球目 ストレート 0-1から 打点1 アダム・ジョーンズ
4球目 スライダー 0-2から マーケイキス
初球 ストレート アダム・ジョーンズ
4球目 ストレート 2-1から ハーディー
5球目 スライダー 2-1から ピエ

3球目 スライダー 0-2から ハーディー
4球目 チェンジアップ 1-2から マーケイキス
初球 シンカー フォックス
4球目 シンカー 打点1 2-1から  ピエ
初球 シンカー 打点1 ウィータース


これは今日打たれた20本ものヒット。
見てわかるとおり、わかりやすい特徴がいくつもある。

1)カウント0-2と、打者を追い込んだ直後に投げた「不用意なストライク」(ヒット数6本。そのほとんど全てが3球目)
2)初球にストライクをとりにいった球
3)カウントを少し整えてから、ホームベース真上に投げた「決めにいく変化球」(これは大半が4球目)


こうした現象が起きる理由は、ボルチモアというチームの打線の「早打ち」という特徴に、今日のシアトルの投手のピッチングが合ってしまっている、ということが、まずひとつ、挙げられる。
また、もうひとつ忘れてはいけないのは、「配球の単調さ」。これも残念ながら挙げておかなくてはならない。
初球にストライク。2球目でファウルを打たせて打者を追い込めたら、0-2でも遊ばず、ストライク勝負。また、ボールを挟んで1-2というカウントで追い込んだ場合は、ホームベース上あたりに落ちるスライダー系(あるいはシンカー)変化球で勝負。


パターンがあまりにも単調すぎる。


先日の記事で指摘したように、ボルチモアの打線は「待球をしない」という点に非常に強い特徴がある
P/PA(打席あたりのピッチ数)、つまり、相手投手に投げさせた1打席あたりの球数がトップのボストンは常に4に近い数字で、ア・リーグで最も待球型のチームなのに対して、ボルチモアは3.5前後しかなく、間違いなく早いカウントからバットを振ってくる。チームの四球数も、リーグでダントツに少ない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月2日、「何もせず待球するのではなく、打者有利なカウントでならストライクを思い切りスイングするからこそ、むしろ四球を増やすことができる」という当たり前の現象について考える。

こうした「早打ちチーム」ボルチモアの特徴を頭に入れておいた上でならわかると思うが、今日のシアトルの投手たちのほとんどがなぜ、打者をカウント0-2と追い込んだ直後に、あれほどストライクを投げたのか、正直、理由がさっぱりわからない

ピネダのストレートのように、三球三振を狙いにいっても大丈夫といえる素晴らしい持ち球でもないかぎり、今日のような単調な配球では、それこそ、ボルチモア打線にニンジンをくれてやるような結果にしかならない。

貧打に泣いているはずのボルチモア打線が、シアトルとの対戦に限ってはイキイキして見えるのは、シアトルのバッテリー側の戦術が「ボルチモアにフィットしたピッチングスタイルをしてしまっているから」だ。

バットを振りたくて振りたくてしょうがないタイプの打線に対して、ああもストライクをしつこく決めていこうとすれば、いくらでもヒットを打たれてしまう。
デレク・リーには失礼かもしれないが、今の三振して当たり前のデレク・リーすら四球で歩かせてしまうようなピッチングをしていては、勝てるゲームも落としてしまうのだ。








May 09, 2011

MLBの観客では、時々だが、特定の選手を応援するために仮装してスタジアムにやってくる「ダジャレ仮装応援団」が発生することがある。

彼らの特徴は
1)選手名にひっかけたダジャレをチーム名にする
2)仮装する
3)外野席で大騒ぎ(笑)

だいたい、これだけ(笑)
特に大事なのは、ダジャレだ。

ぶっちゃけ、こういうことをやるのに、たぶん深い意味は無い(笑)
楽しいからやるのだ。誰にかまうことがあるか、てな感じ(笑)

だが、まぁ、あえて言うなら、その選手が、ここまでして応援してもらえるほど、地元の熱心なファンから熱狂的支持を集めているという証拠、とはいえる。



デービッド・コーン David Cone 応援団
とうもろこし頭軍団「コーンズ・コーンナー」

デービッド・コーン応援団「コーンズ・コーンナー」1988年シェイ・スタジアムで、デービッド・コーンを応援する「コーンズ・コーンナー」の皆さんたち(笑)

なんというか、こう・・・「コーンって言いたいだけやろ、おまえ!」みたいな、愛すべきお馬鹿な人たち(笑)が、外野席のコーナー、つまり隅っこ、というか、ドハズレに陣取って応援しているのは、サイ・ヤング賞投手で完全試合も達成したデービッド・コーン

コーンは、(あらためて説明する必要もないだろうが)サイ・ヤング賞(1994年)、1999年7月18日の完全試合達成、リーグ最多勝4回(1988、94、95、98年)、最多奪三振2回(90年〜91年)など多数の大記録と、5回のワールドシリーズ優勝(トロント1回、ヤンキース4回)によって、近年のMLBファンに強烈な印象を残して2003年5月に引退した素晴らしい右腕。
David Cone Statistics and History - Baseball-Reference.com
これほどの成績のデービッド・コーンだが、2009年リッキー・ヘンダーソンが野球殿堂入りした時の投票で、得票率が5%以下しかなく、すでに殿堂入り候補者リストから脱落している。殿堂は20勝を何回も達成した選手でも無理な、厳しい世界なのだ。

以下に他の例をいくつか挙げてみる。ちょっと見ただけで、「ああ、本当にダジャレだけなのね・・」とわかってもらえるはず(笑)けしてむつかしく考えてはいけない(笑)

ゲイリー・シェフィールド Gary Sheffield 応援団
「シェフィールズ・シェフ」

ゲイリー・シェフィールドを応援する「シェフィールズ・シェフ」たぶん・・応援というより・・・
シェフ」って言いたかっただけ。みたいな(笑)


ブライアン・マッキャン Brian McCann 応援団
「マッキャンズ・カン」

ブライアン・マッキャンを応援する「マッキャンズ・カン」(笑)これも・・たぶん
カン=缶」って言いたかっただけだろうな(笑)


今年、11年連続200本安打などの大記録を目指すイチローにも、5月のホワイトソックス戦で、とうとう(笑)こうしたダジャレ応援軍団がついた。
その名も、
イチローズ・ブリーチェロズ!
Ichiro’s Bleacheros


Ichiro’s Bleacheros! Fanboys go blond for Mariners’ star - Big League Stew - MLB Blog - Yahoo! Sports

Ichiro’s Bleacheros


ううむ・・・金髪のウィッグ(かつら)が正装らしい・・・。
これ、喜んでいいのか?(笑)迷うぞ(笑)なんで金髪のウィッグ・・・。


bleacherというのはそもそも、こういう「外野席」のことだ。
アメリカの学校とかの小さなスタジアムにはたいていある。
bleacher

bleacher reportという、アメリカのスポーツファンのための有名サイトがあるが、あのbleacherは、日本語でいう「外野からモノを言う」というときの「外野」、すなわち、なにかにつけてクチうるさい観客を意味している。

シアトルのイチローファンが、チーム名をつけるにあたって「ブリーチェロス」bleacherosと、「外野席」を意味する「ブリーチャー」bleacherに、アルファベットを2文字くっつけたのは、もちろん、イチローの「ロー」にひっかけたかったからだ。・・・・と、いちいち説明を加えないと理解できないような苦しすぎるダジャレをチーム名にするあたり、このオジサンたち(というか、おじいちゃんたち)は、タダモノではない(笑)
たはははは(笑)

金髪軍団の正体は、セーフコのシーズンシートのチケットを持っているシアトルのおじいちゃんたちである。詳細はリンク先記事参照。






May 06, 2011

勝ったゲームを、終わった後でMLB公式サイトのGamedayという機能で、ゆっくりたどってみるのは本当に楽しい。ライブで見ている時間とはまったく視点でゲームを見ると、「そうか」、「なるほど」と、気づかされることが本当に多いものだ。

テキサスとの第3戦は、1勝1敗のタイになった後のゲームで、しかも、シアトルのチーム勝率5割ラインが見えてきているだけに、勝つか負けるかで大きく違ってくる大事なゲームだったわけだが、われらがジェイソン・バルガスが、キャッチャーミゲル・オリーボとの息のあった素晴らしいバッテリーワークをみせてくれて、強敵を割と簡単にねじ伏せることができた。
Texas Rangers at Seattle Mariners - May 5, 2011 | MLB.com Classic

この連戦で先発した6人の投手たちの、ストライク率を書き出してみた。(最初の数字が総投球数、2番目がストライク数)

97-77  79.4% 9三振0四球  ピネダ  SEA
113-83 73.4% 11三振1四球 ルイス  TEX

102-68 66.6% 6三振1四球  オガンドー  TEX
96-63  65.6% 3三振2四球  バルガス   SEA
125-81 64.8% 12三振1四球 CJウィルソン TEX
103-65 63.1% 3三振2四球  ベダード    SEA



ストライク2 に対して、ボール1」という、MLBの典型的な配球比率については、これまでこのブログで、しつこくしつこく、書き過ぎるほど書いてきたが、この3連戦でのマイケル・ピネダコルビー・ルイスのストライク率は、それを遥かに上回っている。

このシアトル対テキサス3連戦で、先発投手で負けがついたのは、9三振を奪ったマイケル・ピネダと、11三振を奪ったコルビー・ルイスの2人だ。
クリフ・リー並みのとんでもなく高いストライク率で、これほど多くの三振を奪ったにもかかわらず、彼らは負けた。


思い出すと、去年秋10月のポストシーズン開幕戦、クリフ・リー73.1%もの高いストライク率で勝利を手にした日に、ロイ・ハラデイは、なんと、クリフ・リーすら超える76.0%と、ちょっと異常とさえいえる圧倒的なストライク率で、たった104球で9回を投げぬいてしまい、軽くノーヒット・ノーランを達成してしまった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月6日、クリフ・リー、タンパベイを10三振に切ってとり、ポストシーズンまず1勝。フィラデルフィアでもみせた大舞台でのさすがの安定感。
だが、あんな超人的な芸当、つまり、ほとんどストライクばかり投げて相手をピシャリと抑え込むことができるのは、彼ら2人の名投手のような、並み外れた投球術を持った投手だからこそ可能になるのであって、並みの投手には無理な相談だ。


野球は「アウトをとる競技」ではあるが、別に「三振をとるための競技」ではない
三振をたくさんとったのに、味方が点をとってくれなくて負けるというセリフは非常によく聞く話だが、三振を多くとる投手がなぜそういう結果を招くのかについては、投手側にも多少理由があるケースもあるはずだ。


例えば、マイケル・ピネダ
彼は、まだ球種が少ない。
そういう投手が、4球に3球、ゾーン内にストライク、それも大半はファストボールを投げ続けるのだから、クリス・デイビスミッチ・モアランドエルビス・アンドラスといった、テキサスの誇る若い豪腕バッターたちに狙いを絞られて、自慢の剛球をミートされるハメになった。
特に、クリス・デイビスにホームランを打たれてはいけない。
打撃スタッツをみればわかることだが、彼は典型的なストレートボールヒッターだ。ストレートには異常に強いが、カーブなどはあまり打てない。
今日の第3戦、2点負けている場面の9回表にクリス・デイビスはピンチヒッターとして打席に立ったが、あの打席の平凡すぎる凡退ぶりを見てもらえばわかる。ブランドン・リーグが決め球のスプリッターを使うまでもなく、チェンジアップとシンカーだけで、クリス・デイビスのバットは空を切り続けた。

ピネダも、次回からちょっとは考えて投げないとダメだろう。

2011年5月5日 9回表 代打クリス・デイビス 三振

上は、ピネダがホームランを打たれた翌日のゲームの9回表に代打で出てきたクリス・デイビスをブランドン・リーグが三振にしとめた打席の投球の詳細。リーグとピネダのピッチングの違いを見るために挙げてみた。
リーグのこの配球は、ロブ・ジョンソンがよく使う、アウトハイとインローを投げ分ける、典型的なMLB的配球だ。以前から何度となく書いている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(2)「外角低め」「ストレート」という迷信 実例:「アウトハイ・インロー」の対角を使うメジャーのバッテリー
この配球では、インとアウトで球速にも変化をつけるためにアウトハイの球にストレート系、インコースに変化球を使うとか、内外で速度の投げ分けをすることがほとんどだ。
リーグの場合、高速シンカーが投げられるので、外に高速シンカー、内にチェンジアップと投げ分けて、内外で10マイルの速度差をつけて、クリス・デイビスを軽く三振にしとめた。


今日のコルビー・ルイスだが
打者の攻め方がワンパターンすぎて、見ていてつまらない。
例えば、打者が左なら、外を徹底して攻めておいて、最後インサイドで三振に仕留める。ただそれだけ。だから、あれを打てないのは、シアトルの下位打者が頭を使ってないだけのことだ。
追い込んだカウントを作るためにかなりの手間をかけるのがルイスの定石なわけだが、三振の数が増えるかわり、味方の守備時間も長くなりがちで、ただでさえ湿ってきているテキサス打線に元気がない。
投手が打者を追い込むカウントを作る前に、もし甘く入った球があれば、どれもが失点の原因になるし、早いカウントから打って出られると、案外ひとたまりもない。
イチローの2本のヒットなども、2本とも、カウントを作るための外角ストレートをレフトに弾き返したヒット。ルイスがインコースにスライダーで討ち取りにいく前に、アウトコースいっぱいにストライクが来るのがわかってしまっては、天才イチローは軽く打ちこなしてしまう。


ジェイソン・バルガスが、本来はチェンジアップ主体に打者をうちとる配球をするピッチャーであることは、これまで何度となく書いてきた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年6月20日、7回QSで3勝目のバルガスは、6月14日キロス批判と対照的にロブ・ジョンソンの「ゲームメイクの上手さ」を称え、チームは5割復帰を果たした。(2)
テキサスも、シアトルと同地区で、バルガスを何度も打ち崩した経験があるだけに、そのへんとっくに研究済みのはずだから、今日はたぶんチェンジアップを狙い打ちした打者も多数いただろうと思うが、そこは、さすが研究熱心なバルガスだ。
まるでカットボールを多用するア・リーグ東地区の投手たちのように、カットボール主体のピッチングにスッパリと切り替えて、テキサス打線を手玉にとった
地区ごとの配球文化の差異については、ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)を参照)

城島やキロスのような酷いキャッチャーとばかり組まされて誰もバルガスに注目していない頃から彼の才能に注目し続けているだけに、バルガスのピッチングについては誰よりも詳しいと思ってきたが、これほどカットボール主体に投げて成功したバルガスは見たことがない
たぶん、去年シアトルに在籍していたクリフ・リーに、カットボールの使い方についてしつこく質問していたバルガスのことだから、こういうゲームプランは、半年以上前から準備していたに違いない

対戦相手をきちんと研究してビヘビアを常に更新し、投手の進歩に対応し続けていけるのが「いい打者」なら、どんなに打者に研究されても、それをさらに乗り越えて、進歩し続けていけるのが、MLBにおける「いい投手」である

だとすれば、ジェイソン・バスガスは、間違いなく、「いい投手」だ。

2011年5月5日 4回表デビッド・マーフィー ダブルプレー4回表
マーフィー
初球のカットボールをダブルプレー







May 04, 2011

長年問題になっていながら改善されていないシアトルのチーム体質の大問題といえば、打線でいうなら、「OBP(On-base percentage)=出塁率の低さ」、これに尽きていた。 (もちろん問題は出塁率以外にも、長打力の無さなど、言い出したらきりがないくらいある。いまだに欠陥だらけの打線なのは間違いない。低すぎる長打と得点力を、四球と犠打でかろうじて補っているのが現状だ)

ダメ捕手城島も含め、ビル・バベシ時代に積極的に獲得しまくっていた右のフリースインガーたちは、ベタンコートロペスベルトレ、誰も彼も、四球を選ばず、好機で三振ばかりするような、シチュエーション・バッティングが死ぬほど苦手な打者ばかりだった。あんなパークファクターにそむいているような打者ばかり獲得していてはチームが強くなるはずもない。
だが、ここ数年のシアトルの異常な出塁率の低さをバベシだけのせいだと思っている人もいるかもしれないが、バベシの時代の選手を次々にクビにしていっているズレンシックがGMになって、守備しかできない選手ばかり獲った2010年の打撃スタッツは、バベシ時代よりずっと酷い
2010年の出塁率などは、なんと.298と、3割を切ってしまい、イチローの打率を下回ってしまったほどで、ついにはチーム歴代最低出塁率を記録した。
しかも、である。
同時にチーム歴代シーズン最多三振数(1184三振)、チーム歴代1ゲームあたりの三振数(7.31三振)と、2つもチームワースト記録を更新しているのである。
なにもバベシだけがアホウだったわけではない。 

シアトルのシーズン歴代最低出塁率
2010年 .298
1983年 .301
1980年 .308
参考)チーム最高出塁率
    1996年 .366
    2000年 .361
    2001年 .360
1996年、エドガー・マルチネスはOBP.464を記録。(彼のキャリアハイは前年95年の.479) 2000年は、Aロッド、エドガーの2人がOBP.420越えを果たし、チームは歴代最高四球数775を記録。2001年はイチロー入団、優勝。

シアトルのシーズン最多三振数
2010年 1184 グティエレス137、フィギンズ114。
1986年 1148
1997年 1110
参考)チーム最小三振数
    1981年 553
    1994年 652
    1978年 702

ちなみにエドガー・マルチネスの通算出塁率は.4178。ゆうゆう4割を越えている。
この通算出塁率4割以上(3000打席以上)というレコードは、長いMLBの歴史でもたった61人しか達成していない大記録で、しかも、歴代1位のテッド・ウィリアムス(4817)を含め大半のプレーヤーは第二次大戦前後以前の古い選手たちであり、近年のプレーヤーだけを抜き出すと、ほんのわずかしかいない。
近年の打者の中で四球数が異様に多いことで知られている典型的な待球型打者のボビー・アブレイユでさえ、通算出塁率はかろうじて.400に届いているにすぎない。
このことからして、エドガーの.4178という通算出塁率がいかに素晴らしい記録で、いかに彼が偉大なプレーヤーだったかが、あらためてよくわかる。

近年のプレーヤーのOBPランキング
(現役選手含む。カッコ内はステロイダー。
 ステロイダーに名誉は必要ない)
(1位 バリー・ボンズ .4443)
2位 アルバート・プーホールズ(現役)
3位 トッド・ヘルトン(現役)
4位 フランク・トーマス .4191
5位 エドガー・マルチネス .4178
6位 ウェイド・ボッグス .4150
(7位 マニー・ラミレス .4106)
8位 ランス・バークマン(現役)
9位 ジョー・マウアー(現役)
(10位 ジェイソン・ジオンビー(現役))


さて、
今年2011年のシアトルのバッティングはここまでどうか?

結論からいうと、残念ながら、劇的に改善されたとは、到底いえない。
SLG(長打率)は、あの最悪だった2010年すら超えて、チーム歴代最低の.334で、ア・リーグ13位だし、OPSはチーム歴代ワースト2位の.647、ア・リーグ13位と、なんとも酷いものだ。


しかしながら、あいかわらず酷い打線の2011年には、どういうわけか、ここまでア・リーグ1位をキープしている打撃スタッツがある。

それが四球である。


四球数は、ここまで116で、なんとア・リーグトップ。(2位はボストンの110、3位トロント109。最少は、ボルチモアの66)四球116個のうち、22個は、DHジャック・カストが稼ぎ出している。
また四球率 10.6%は、例年四球の多いボストンと並んでトップ。(最低はまたしてもボルチモアの7.0%)
さらにSO/BBは1.72で、これは、リーグ最高の三振率の低さを誇る非常に優れた打線をもつテキサスの1.70や、四球の多いスラッガーを常に打線に揃えているヤンキースの1.72に次いで、リーグ3位なのである。
最初に「低すぎる長打と得点力を、四球と犠打でかろうじて補っている」というのは、こういうことだ。


こうした四球数増加、待球型打線への変身の背景にあるのは、
どんな要因なのだろう。


まずひとついえるのは、シアトルの打者が、四球になるかならないかはともかく、非常にたくさんの球を投手に投げさせていることだ。
チーム別に、対戦相手の投手に何球投げさせたか、という数字を、Baseball Referenceのデータで見てみよう。
資料:2011 American League Pitches Batting - Baseball-Reference.com

ア・リーグ チーム別 総ピッチ数
1位 シアトル 4424
2位 カンザスシティ 4256
3位 デトロイト 4224
(最少 ボルチモア 3577)

ア・リーグ チーム別 Pit/PA(打席あたりピッチ数)
1位 シアトル 4.03
2位 ボストン 3.96
3位 デトロイト 3.90
(最少 ボルチモア 3577)

今年のシアトルはどうかしているんじゃないか?と思えるほど、投手に球数を投げさせていることがわかる。
打席あたりのピッチ数が4を越えたのは、この数年では2010年ボストンの4.02くらいしかなく、近年にはほとんど前例がない。ボストンは毎年このPit/PAがア・リーグ1,2を争っている典型的な待球型打線のチームなのだが、シアトルは突然そういうチームに肩を並べたことになる。



上のデータは、素晴らしいデータの充実ぶりで知られているBaseball Referenceだが、この「チーム別データ」というやつ、なかなか見ていて飽きないだけでなく、配球論の観点からも、非常に有益で重要なデータを含んでいる

たとえば、投球数全体におけるストライク率は、強いチームであろうと、弱いチームであろうと、60%から64%の一定の範囲におさまっている。
これは、MLBで配球の理想配分といわれる「ストライク2に対して、ボール1」という割合が、MLBのほとんどのチームにおいてきっちりと守られていることを示している。
どんなに素晴らしいピッチングスタッフが揃った強豪チームであれ、逆に、先発投手の貧弱さに泣いている投手力の貧弱なチームであれ、配球の上でのストライク・ボールの配分には、ほとんど大差ない、のである。

別の言い方をすると、
四球が多いとか少ないという話には、どうも、投手側のボールコントロールのファクターの影響は少ないのではないか?」という推論が成り立つかもしれない、ということだ。


これは非常に面白い。
ちょっと強引にまとめると、こういうことになる。

1) 投手の投げる球がボールになる割合、というものは、そのチームの投手力にあまり左右されることなく、どんなチームであっても一定の狭い割合の中におさまる。ストライク2に対してボール1という配球理論が、MLBではかなりきちんと守られている。
2) したがって、いくら投手力の弱いチームとの対戦だからといっても、それが理由で、ボールになる球が非常にたくさん増えて、その結果、四球数が異常に増えるとか、四球によるランナーがたくさん出せるとかいうことには、ならないことになる。

と、なると。
問題は、いったいどういうファクターが四球数を増やすのか?ということになってくる。投手側に理由がなければ、打者側に何か理由があるのだろうか。


同じBaseball Referenceから、ちょっとこういうデータを見てもらおう。
3-0、2-0、3-1という、いかにも「四球になりそうな、打者有利なカウント」の、チーム別の出現データである。

カウント 3-0の出現割合(全打席あたり)
最高 6%(NYY、CWS)
最低 3%(BAL)
リーグ平均 5%(=2010年と同じ)
シアトル 5%(=2010年と同じ)

カウント 2-0
最高 17%(NYY、CLE)
最低 11%(BAL)
リーグ平均 15%(=2010年と同じ)
シアトル 16%(2010年の14%から、やや増加)

カウント 3-1
最高 11%(CLE、SEA、LAA、TEX)
最低 7%(BAL)
リーグ平均 9%(=2010年と同じ)
シアトル 11%(2010年の9%から、やや増加)

これらのデータからいえることをまとめてみる。

1) 2011年のシアトルは、四球になりそうなカウントシチュエーションが、他のチームに比べて異常に突出して多くなっているわけではない
2) したがって、2011年のシアトルの四球数の増加や、打席あたりのピッチ数の大幅な増加は、対戦相手の投手があまりにも調子が悪いとか、あまりにもコントロールの悪い投手との対戦が多かったことなどが原因して、シアトルにだけ「四球になりそうなカウント」が増えた結果、シアトルの四球数が増加したとは言えない。
3) とはいえ、3-0のカウントシチュエーションは増えていないが、2-0、3-1は、多少だが、増えている


この表には他にもたくさんのデータがのっている。
ストライクを見逃した率、ストライクを振った率、ストライクをファールした率、初球を振った率、見逃し三振率。
これらのデータの中に、今シーズンのシアトルの四球数が急増した理由があるだろうか? つまり、「初球から振るのを止めた」とか、「見逃しの三振が減った」とか、「ファールするのがうまくなった」とか、シアトルの打者のバッティングの傾向がよほど変わったと明瞭にわかるデータが、ここにあるだろうか?

2010年と2011年の数値を比較してみる。

ストライクを見逃した率 → 変化なし
2010年 28%(リーグ平均28%)
2011年 28%(リーグ平均28%)

ストライクを振った率 → 変化なし
2010年 15%(リーグ平均14%)
2011年 15%(リーグ平均14%)

ストライクをファールした率 → 変化なし
2010年 28%(リーグ平均27%)
2011年 28%(リーグ平均27%)

初球を振った率 → 変化なし
2010年 26%(リーグ平均26%)
2011年 26%(リーグ平均26%)

見逃し三振率 → 増加
2010年 25%(リーグ平均26%)
2011年 29%(リーグ平均26%)


困ったことに、2010年と2011年のデータの間にほとんど変化が見られない。初球をスイングせずに我慢しているわけでもなく、ストライクを見逃す率が急激に改善したわけでもなく、三振をファールで逃れる率が突然上がったわけでもないらしいのだ。

困った(笑)


あらためて、四球になりやすいカウントのデータに戻って、2010年と2011年をしつこく比較してみる。

3-0でスイングした数
2010年 7(リーグ12位)
2011年 9(リーグ1位

2-0でスイングした数
2010年 348(リーグ7位)
2011年 65(リーグ5位)

3-1でスイングした数
2010年 296(リーグ7位)
2011年 78(リーグ1位


ようやく、2010年と2011年の違いのようなものが出てきた(笑)

ドン・ワカマツが監督をしていた2010年には、3-0、2-0、3-1といったシチュエーションでは、シアトルの打者はほとんどバットをスイングしなかった。
それに対し、今年2011年のシアトルの打者は、こうした「四球が生まれやすいカウント」で、リーグ1位といっていいくらい、バットを振ってくる。これが、エリック・ウェッジ監督就任以降のシアトルの打者だ。


四球を選ぶ率を高める方法、あるいは、四球をよく選ぶ打者、というと、野球をあまり見ない人であれ、よく見る人であれ、「要は、バットを他の打者より振らないから四球を多く選ぶ打者のことだろ?」とか、思われがちだ。
だが、実際には、
四球というのは、ただ漫然とバットを持ってバッターボックスの中に立っているだけで、自動的にもらえる、タダ同然の安上がりなプレゼントなどではないのだ。


結論を先に言うと、
投手が、対戦している打者のことを、『いざとなったらカウント3-1だろうと、2-0だろうと、必ずバットを振ってくる打者だ』と思うからこそ、かえって四球は増える。
逆に、『この打者はバットを振ってこない、待球してくる』とバレてしまう打者は、実は投手にとってまったく怖くない」
のである。


たとえば、待球打者の典型ボビー・アブレイユの2011年のカウント別データを見てみよう。(2011年5月2日現在)
2011 American League Pitches Batting - Baseball-Reference.com

初球を振る率 5% リーグ最小

カウント3-0の出現率 16% リーグ最多
カウント2-0の出現率 27% リーグ最多
カウント3-1の出現率 25% リーグ最多

カウント3-0でスイングした回数 0回
カウント2-0でスイングした回数 9回
カウント3-1でスイングした回数 14回(リーグ1位)

ア・リーグで最も多くの打者有利カウントを出現させる典型的待球打者ボビー・アブレイユが、「ア・リーグで最も初球を振らない打者」であり、また、「カウント3-0で、最もスイングしない打者」なのは、まぁ、誰でも想像するとおりのデータだ。

だが逆に、そのアブレイユが同時に「ア・リーグで、カウント3-1で最もスイングしてくる打者だ」という事実は、ほとんど知られていない。
今年の彼のカウント3-1以降、つまり、スタッツでいうAfter 3-1の打撃成績は、84打席で、45打数12安打39四球、打率.607(2011年5月2日現在)というのだから、なんともすさまじい。このカウントで荒稼ぎしているといっていい。
Bobby Abreu 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

初球からスイングしてくる打者の多いMLBだが、選球眼が良く、四球が選べるボビー・アブレイユにとっての「稼ぎ場所」は、他人とまったく違う。
「打者有利な、遅いカウント」にこそ、彼の「稼ぎ場所」がある

だからクレバーな彼は、「もし初球が、自分がスイングしようと思わない球種やコースであるなら、無理に振って凡退するような馬鹿なことはしない」のはもちろんだが、また同時に、「カウントが、3-1、2-0のように、打者有利なカウントになっていて、投手がカウントを稼ぐために甘い球を投げてきているのに、それをスイングしないで呆然と見逃すような、馬鹿な真似はしない」のである。


ボビー・アブレイユのこうしたカウント別バッティングのスタイルは、極端なようだが、非常によく計算され、彼独自のスタイルに仕上がっている。
だが、こうした打撃コンセプトは、彼だけが実行しているわけではなく、ミネソタの待球型打者ジョー・マウアーや、シアトルのDHジャック・カストにも、ほぼそっくりそのままあてはまる。
カストが、今年のシアトルの四球数の多さを牽引している四球王であることは言うまでもない (打率がもっと上がってくるといいのだけれども 笑)。
Seattle Mariners 2011 Batting / Hitting Statistics - ESPN


アブレイユやカストは、四球を目的にバットを振るのを控えるような、無意味なことはしない。むしろ「打者有利なカウント」になれば、必ずといっていいほど、バットを強振してくる。(そしてボール球は振らない)
この「アイツ、打者有利なカウントになったら、まず間違いなくストライクをスイングしてくるぞ・・・」という恐怖感を投手に持たせることこそが、いまのシアトルや、ボビー・アブレイユの四球数、出塁率の高さの原動力のひとつになっているのだと思う。


四球が生まれる原因は、投手側の技術的理由ではないだろう。
投手がボール球ばかり投げるから、四球が増え、打者の出塁率が上がるわけではけしてない。
どんな投手であっても、そこはそれ、MLBのメジャーに上がってこれるような選手たちだ。イザとなれば打者をうちとるボールくらい、誰でも持っている。でなければ、メジャーに上がってはこれなかったはずだ。投手の技術は、本来は安定しているものだ。
投手側の理由ではなく、打者側が、ベースボールという「打者と投手との心理ゲーム」における駆け引きに勝ってこそ、投手のもともと安定している技術に「乱れ」や「迷い」を生じさせたり、投手・キャッチャー・ベンチに「打者有利なカウントでの、このバッターとの勝負だけは避けておこう」と「弱気」にさせることができてはじめて、打者は投手との勝負を優勢に持ち込むことができ、出塁率が上がる。

逆説的なようだが、単純な話で、バットを持って打席に立っているだけで四球は生まれきたりしない。
もちろん、バベシ時代のシアトルのように、ただただ、何も考えずに早いカウントからやみくもにバットを振るとか、逆に、守備型の選手ばかりを揃えて、スイングするのを無理に控えさせて消極的になるだけでは、どちらも結局、出塁にはつながらない。


極端な言い方をすれば、
スイングするから四球になる
弱気になったら、負ける。
技術もないのに強気なのは、馬鹿だ。
技術があるのに弱気なプレーヤーは、もったいない。
技術かあるなら自信を持つべきだ。


野球はやっぱり、本当に面白い。








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