April 2014

April 06, 2014

Neighborhood Playは、たとえ大幅に適用範囲が拡大されたInstant Replayといえども、こればかりはビデオ判定が適用されない例外であり、両軍監督はチャレンジできない」ことになっている、という話は、日米のメディアやこの手の話題に詳しいブログに書かれている定番の話題のひとつなわけだが、実際には、4月2日のカブス対パイレーツ戦でダブルプレーの成否について、ビデオ判定が行われ、判定が覆っている。

この件が果たして、
「本来ならチャレンジできないはずのNeighborhood Playを、インスタントリプレイで判定したことになる」のかどうか。

Chicago Cubs at Pittsburgh Pirates - April 2, 2014 | MLB.com Classic

パイレーツの2点リードで迎えた8回表、1死満塁で打者ネイト・シャーホルツはセカンドゴロ。アンパイアは、4-6-3のダブルプレーが成立したとして、3アウトを宣告。二塁塁審は John Tumpaine、パイレーツのセカンドはニール・ウォーカー、ショートはジョーディー・マーサー
だが、カブス監督のリック・レンテリアがビデオ判定を要求、結果的に判定が覆ってセカンドでのフォースアウトが取り消されたために、同時にサードランナーの生還も認められ、スコアは1-2と1点差になった。


このプレー、動画で確認してみると、捕球したとき、パイレーツの遊撃手ジョーディー・マーサーの足は明らかにセカンドベースから離れている
だから、問題になるのは、このプレーがいわゆる Neighborhood Play にあたるかどうかという点だ。

ビデオ判定で「セーフ」になったダブルプレー(4月2日CHC対PIT)


Neighborhood Playというのは、「ダブルプレーの際に、守備側野手(セカンドまたはショート)が、ランナーにスパイクされるのを防ぐため、捕球時に足がセカンドベースに触れていない状態で、捕球・送球すること」で、実際には、まったく足が振れないままプレーすることもあれば、送球を捕球する前に足でベースをタッチしておいて、足を離し、それから捕球・送球してダブルプレーを成立させることも多い。
こうしたNeighborhood Playに「2つのアウトの成立」を認めることは、「ベースボールにおける暗黙の了解」のひとつとして認められている。

ただ、これには注釈がある。

「ベースに触れないダブルプレー」が Neighborhood Play と認められるのは、あくまで「セカンドでランナーがアウトにできることが明白な場合だけ」だ。

もう少し具体的にいえば、「送球をキャッチした瞬間に足がセカンドベースに触れていないダブルプレー」がNeighborhood Playとして許容されるのは、「セカンドでランナーをアウトにはできる状況だったのは明らかだが、同時に、ランナーにスパイクされるのを避ける必要があったため、足をベースから離してプレーした、という場合だけ」なのだ。

だから例えば「セカンド送球が大きくそれていた」というような場合には、Neighborhood Playと認められず、ダブルプレーとして成立しない(ことがある)のだ。

そして実際、動画をみてもらうとわかるが、パイレーツの二塁手ニール・ウォーカーの送球はセンター方向にそれており、遊撃手ジョーディー・マーサーは「足をベースから離さないと、送球を捕球することができない状況」にあった。


こうした事例に非常に詳しいClose Call Sportsでは、以下のように注釈をつけて、この件の顛末を明快に説明している。

This is a reviewable play pursuant to MLB's Replay Review Regulations.
MLBのインスタント・リプレイのレギュレーションに照らせば、このプレーはビデオ判定していいプレーである。
Not reviewable is the umpire's judgment that a runner is clearly out on a force play at second base under the circumstances in which the defensive player may or may not have touched second base in his attempt to complete a double play and avoid a collision with the runner.
ビデオ判定にもちこめないのは、「アンパイアが、『二塁において走者をフォースアウトにできる状況なのが明らかだ』と判断した場合」である。そうした状況(=確実に二塁フォースアウトにできる状況)ならば、ダブルプレーを完成させつつ、ランナーとの激突を回避しようと試みる守備側プレーヤーが、セカンドベースに触塁していたかどうかは不問になる。
All other elements of the call shall be subject to review, including whether the fielder caught the ball, had control of the ball, was drawn off the bag, or tagged the runner.
それ以外はすべて「ビデオ判定の対象」になる。野手がボールをきちんと捕球できていたか、送球がそれていないか、足がベースから離れていないか、ランナーに対するタッチ等、すべてが含まれる。
Close Call Sports & Umpire Ejection Fantasy League: Neighborhood Play

要するに、「カブス対パイレーツ戦のダブルプレーでは、ゴロを捕った二塁手の遊撃手への送球が「横にそれている」。だから、二塁でのフォースアウトが成立する状況ではないのが明らかである以上、このプレーは、いわゆる "Neighborhood Play" にはあたらない。だから、この『Neighborhood Playではないプレー』をビデオ判定の対象にすることは、新しいビデオ判定のレギュレーション上も、まったく問題ない」といっているわけだ。


Close Call Sportsの説明にはもう何もつけ加える点はないほど明快だが、ブログ主としては、あえて以下の点をさらに明確にしておかないと、気が済まない。


審判関係者などでこの件について、「セカンド送球がそれているケースでは、 "Neighborhood play" にはあたらない」なんてことを書いていることがあるが、そんなことを、今のいま、「したり顔」で言われても困るのである。
まして、「昔からそうだった」とか、「そういうルール運用は昔からあった」みたいに言われるのは、もっと困るし、腹も立つ。

たくさんのゲームを見てきた人ならわかると思う。
このカブス対パイレーツ戦のダブルプレー判定は、かつての判定システムにおけるMLBアンパイアなら、判定は間違いなく「ダブルプレー成立」だったのであり、たとえ守備側の監督や選手がどんなに判定に抗議しようと、その抗議が認められるなんてことは、まずありえなかったタイプのプレーなのだ。

つまり、いいかえるなら、
これまでのMLBアンパイアは、たとえダブルプレーで送球が大きくそれようが、なんだろうが、ほとんどのダブルプレーを "Neighborhood play" とみなし、ダブルプレー成立を安易に認めてきた、と、言いたいのである。

こうしたケースで、アンパイアの酷い判定に抗議した監督・選手もいた。だが、その大半は認められることなく、むしろ、アンパイアによって数多くの「退場者」が無意味に生産されてきたのである。


ブログ主の考えでは、今回のビデオ判定の拡張によって、初めて、(それがベースボールの面白さを増すのか減じるのかという議論は別にして)かつてなんでもかんでも広大に適用され続けてきた 「広すぎるNeighborhood Play」 というunwritten rules (またはunwritten codes)が、初めて限定され、狭められて、「間違いなくフォースアウトにできると思われるケースのみを、Neighborhood Playとみなす」 という「狭い定義」に限定されたのだと思う。

もちろん、これからも個々のケースでアンパイアの判断は右往左往することになるとは思うが、このことは「ルールの厳正化」をよしとする立場の人にとって、大きな前進のひとつだ。


ダブルプレーのとき、適当にセカンドに送球し、適当にファーストに投げていればいい時代は、ある意味もう終わった。これからの時代の二塁手、遊撃手には、これまで以上に正確なプレーが求められることになる。

April 05, 2014



New York Yankees at Toronto Blue Jays - April 4, 2014 | MLB.com Classic

1点ビハインドで迎えた田中将初先発ゲームの3回表、イチローの内野ゴロは明らかに「セーフ」で内野安打のはずだったが、1塁塁審のDana DeMuthの判定は「アウト」。

ここで監督ジョー・ジラルディが「チャレンジ」して、「セーフ」をもぎとったとたんに次のバッターの新人ソラルテに2点タイムリー・ツーベースが出て、ヤンキースが序盤に押されていたトロント戦の主導権を奪い返した。
MLB Instant Replay Review 029, 031: Dana DeMuth (01, 02) | Close Call Sports & Umpire Ejection Fantasy League


その後、ヤンキースがリードのまま8回表になって、ジャコビー・エルズベリーが打ったピッチャー・ライナーの1塁でのクロスプレー判定で、ジラルディは再びアンパイアのところに抗議に行き、そのままアンパイアが、「この試合2度目のInstant Replayによる判定」を行ったのだが、この2度目のビデオ判定は、「1度目が成功したから、2度目のチャレンジができた」わけではない




既に記事に書いておいたことだが、今シーズンから始まったExpanded Replay(ホームランだけでなく、他のさまざまなプレーに拡大されたインスタント・リプレイによるビデオ判定システム)のレギュレーションにおいては「7イニング以降には、両軍監督にチャレンジする権利はない」のだ。
「1度目のチャレンジが成功すれば、2度目もチャレンジできる(3度目はない)」のは確かだが、同時に、「7回以降は両軍監督にチャレンジする権利はない」ことを、大半のメディアとファンが忘れている。


では、なぜ「8回表にビデオ判定を行った」かといえば、あくまで「審判団が必要だと認めた」からであって、「ヤンキース側の2度目のチャレンジ」ではない。
そもそもジラルディがアンパイアのところに行った理由も、判定への抗議のためでって、その抗議によってアンパイアが「自主的判断」でビデオ判定を行うよう促したいという強い意図はあったにしても、だからといって「7回を過ぎているのに、2度目のチャレンジができる」わけではない。
2014年4月3日、今年から拡張されたMLBのインスタント・リプレイ。いまだによく周知されていないレギュレーションのまとめと、4つのMLB記録から明らかになりつつある「1塁塁審の問題」。 | Damejima's HARDBALL

1塁でのクロスプレーの多いイチローだが、近年では明らかに「セーフ」のケースで「アウト」と判定されるケースも増えていただけに、イチローにとっては、このExpanded Replayの多用は「ヒットの増加」を意味するものになりそうだ。


初先発した田中将だが、なんでもこの100年でヤンキースの新人投手が先発デビュー戦で8三振以上奪ったのは、1997年の伊良部投手(9奪三振)以来、2人目らしい。
まぁ、奪三振数はともかく、ヤンキースの新キャッチャーブライアン・マッキャンとの呼吸がイマイチ噛み合ってないことが露呈したことや、マッキャンのサイン通り投げているとスプリットばかりになってしまって配球が単調になり、抜けたスプリットの出現率が高くなることなど、たくさんの課題が見つかったゲームだったといえる。

マーク・テシェイラの故障、観客の乱入、2度のビデオ判定と、いろいろあったゲームだが、まぁ、田中の球については、良くも悪くも「想定内」の感じで、特に驚きはない。何度も書いてきたように、「ストレートとスプリットだけで押していくピッチング」では、遠からず行き詰ると思う。



蛇足だが、1塁ランナーのイチローが、牽制悪送球で三塁を狙ってタッチアウトになった場面があった。
あれはヤンキースのサード・コーチャーが手を回したりするから、ああミスが起こることになるのであって、イチローにまったく非はない。(下記の動画でも、実況アナが "Ichiro takes a look at third-base coach, he is giving him a wave" 「イチローがチラっとサードベースコーチを見たっ、コーチは腕を回している!」とリアルタイムで証言している)



ヤンキースのサード・コーチャーは、壊れた信号機として地元ヤンキースファンに有名なロブ・トムソン(Rob Thomson)だ。

2012年にも一度記事にしたことがあるが、ああいう「ランナーからボールの処理の遅れが見えないケース」で次の塁を狙うかどうかの判断は、ランナーのイチローではなくて、サード・コーチャーが判断してランナーに指示する。


2012年のポストシーズンのディヴィジョンシリーズで、「完全にアウトのタイミング」でホームに突入したイチローが、ボルチモアのキャッチャー、マット・ウィータースの2度のタッチを絶妙にかいくぐって奇跡的に生還した「マトリクス・スライド」があった。
だが、あの奇跡的なプレーが生まれた理由も、元を正せば原因は同じサード・コーチャー、ロブ・トムソンであって、どうみてもホーム突入は無理なのに、トムソンが腕をグルグル回し、イチローにホーム突入を指示したからだ。
2012年10月9日、2012オクトーバー・ブック 『マトリクス・スライド』。ついに揃った 『イチロー 三種の神器』。 | Damejima's HARDBALL



2012年10月8日 イチロー『マトリクス・スライド』 位置解説






April 04, 2014

2014MLBレギュラーシーズンが開幕して、適用範囲が大幅に拡大されたインスタント・リプレイ、いわゆるExpanded Replayが今シーズンから運用され始めているわけだが、いまだに、きちんとそのルールや運用方法をきちんと書いたサイトが見当たらないようだから(笑)、ちょっとまとめておくことにした。


例えば、新しいビデオ判定システムで「元の判定を覆すかどうか」について最終判断を下すのは、球場にいるクルー・チーフ(日本でいう「責任審判」)だと思っている人がいまだにいるのかもしれないが、(MLB発表の資料などで読む限り)実際にはそうではない。

判定が覆るかどうかについて最終判断を下すのは、Replay Official(リプレイ・オフィシャル)と呼ばれる「球場とは別の場所にいる、まったく別のアンパイア」だ。
また、細かくいえば、「監督がチャレンジしたプレイ」について、「ビデオ判定に入るかどうか」を決定するのも、あくまでReplay Officialの決定によるのであって、「Replay Officialがビデオ判定に移行すると決定するまで」は、元の判定は変更されることはない)

Replay Command Center
Replay Officialが判定を行うニューヨークのReplay Operations Center (Replay Command Centerと表記するメディアもある)
Major League Baseball Debuts Instant Replay Ops Center | Close Call Sports & Umpire Ejection Fantasy League

ブログ注
判定を覆すかどうかの最終判断者はReplay Officialである」という点の元資料だが、MLB公式サイトとシカゴ・トリビューン紙は以下のように書いている。

MLB公式サイト
If the Replay Official does not overturn any of the calls challenged by a Club, the Club will lose the ability to challenge any additional play or call in the game.
ソース:MLB公式サイトにおけるExpanded Replayのレギュレーション:Replay Review Regulations | MLB.com: Official info

シカゴ・トリビューン
The replay official will make the ultimate determination of whether to overturn the call.
ソース:MLB approves expanded instant replay | Chicago Tribune

以下に、新しい拡張されたMLBのビデオ判定、いわゆるExpanded Replayについて、メディア報道などをもとに箇条書きにまとめてみた。
(項目において、項目をたてる数、項目の順序、項目の分割等は、ブログ側判断によるもので、MLB機構の正式発表によるものではない。また、各種メディア資料をもとに再構成した記述であるため、記述内容が正確かどうかについては、MLBの正式発表のレギュレーションにてらして自己責任において確認してもらいたい)
資料;シカゴ・トリビューン MLB approves expanded instant replay - Chicago Tribune
資料:審判員の眼 Instant Replay starts from 2014 Official Games (インスタント・リプレーが始まるゾ!)
資料:ニューヨーク・デイリー・ニューズ Major League Baseball approves expanded instant replay, managers can challenge up to two calls a game - NY Daily News

2014シーズンからのExpanded Replayの概要

1) 「チャレンジ」できるイニング数と度数の制約
両軍監督は6イニング終了を意味する3アウトが宣告され、10秒が経過するまでの間に「1度だけチャレンジ」を行うことができる。
「2度目のチャレンジ」は、「1度目のチャレンジ」が成功した場合に限ってのみ許される。
なお、2度目のチャレンジが成功であるか失敗であるかにかかわらず、「3度目のチャレンジ」はできない

ブログ注:
チャレンジができるイニングを「6イニングまで」と書いているサイトが多いが、実際には「6イニングが終わった後でも、監督はチャレンジすることができる」から、厳密にいえば「6イニングまで」という表現は正確ではない。
というのも、Expanded Replayのレギュレーションに、「アンパイアが3アウトを宣言した後であっても、監督はチャレンジできる」という記述と、「3アウトの後でチャレンジする場合、10秒以内にチャレンジを宣言せねばならない」という細則が記述されているからだ。
("In the case of a play that results in a third–out call, a Manager must immediately run onto the field to notify the Umpire that the Club is contemplating challenging the play (and in all circumstances must be on the field in less than ten (10) seconds from the Umpire's third–out call)," via Replay Review Regulations | MLB.com: Official info
だから、非常に厳密に書けば、監督が「チャレンジ」できるのは、6イニングの3アウトの宣告まででもなければ、7イニングの開始まででもなく、「6イニング終了である3アウトが宣告された直後、10秒が経過するまで」となるわけだ。


2) 7イニング以降のアンパイア判断によるビデオ判定
両軍監督にチャレンジの権利がなくなるのは、厳密にいうなら「6イニングの3アウトが宣告されてから10秒が経過して以降」だが、それ以降は、審判団がビデオ判定が必要と認めた場合にのみ、ビデオ判定が行われる。


3) 拡張されたビデオ判定の具体的方法
監督が「チャレンジ」をすると、そのゲームにおけるアンパイアのクルー・チーフに加え、最低ひとりのアンパイアが、ビデオを見て判定を確認する。
さらに審判団は、ニューヨークにあるMLB Advanced Mediaの "Replay Operations Center" (Replay Command Centerと表記しているメディアもある)に連絡をとる。センターには Replay Official (リプレイ・オフィシャル)という肩書の 「ボールパークにいるのとは別のMLBアンパイア」が待機している
このReplay Officialが、「チャレンジ」について、「元の判定を覆すかどうかの最終判断」を行い、それをボールパークにいるアンパイアに伝える。
こうして「複数のプロセス」が実施された後、ボールパークにいるクルー・チーフはボールパークでビデオ判定の結果を両チームと観客に示す。


4) Expanded Replayが適用されるプレイ
Home Run
ホームラン以外のBoundary Calls
ボールがグラウンドとスタンドとの境界(boundary)を越えたプレイに関する判定。例「野手の悪送球でボールがベンチやカメラマン席に入り、アウト・オブ・プレイ」 (またFan InterferenceやGround-rule Doubleも、ジャンルとしては、このBoundary Callsに含まれる)
Ground-rule Double
日本でいう「エンタイトル・ツーベース」
Fan Interference
フェンス際のフライやゴロを、ファンが触れたり捕球することで、守備側野手のプレーが阻害されたようなケースの判定
Force play Neighborhood playを除く
Tag Play
盗塁や牽制を含むタッチプレー全般
Fair/Foul in the Outfield
Catch Plays in The Outfield.
外野手の捕球の成否に関する判定。例えば、スライディングキャッチやダイビングキャッチを試みた場合に、「ボールがワンバウンドしているかどうか」を判定する
Hit by Pitch
Timing Play
例:ランナー生還が三塁でのアウトより前だったかどうか
Touching a Base
例:走者のベースの踏み忘れ。アピールプレイであるため、ビデオ判定以前の問題として、守備チーム側からアピールがあったことが前提になる
Passing Runners
走者の追い越し
Record Keeping
例:打者のカウント、アウトカウント、スコア、選手交代に関する訂正
Collisions At Home Plate
ホームプレート付近での、ランナーとキャッチャー(あるいはベースカバーに入った守備側選手)との接触に関するプレイ。今シーズンからルール改正され、ホームインを狙うランナーは、ホームプレートへの直線的な走路から外れてキャッチャー(またはベースカバーした選手)に接触しようとすることが禁じられた。


5) 「チャレンジ」できないプレー
「チャレンジ」が許されないプレイが設けられている。
代表的なのは「球審のストライク/ボールの判定」で、これは「チャレンジ」できない。他に、例えばボールが大きくホップしたり、バウンドしたことで、一塁ベースあるいは三塁ベースの上を越えていく場合、それがフェアか、ファウルだったかの判定については、チャレンジすることはできない。

ブログ注
この2つの例以外に「チャレンジできないプレイ」が存在するのかどうかについては、いまのところ不明。


6) チーム側のチャレンジ以外の諸権利
ビデオを見る権利
両チームは、チャレンジ中にビデオのリプレイを見ることができる
ビデオルームと連絡をとる権利
ダグアウトには「ビデオルームと連絡をとるための電話」が設置され、ビデオルームと連絡をとることが許される
ビデオリプレイを流す権利
両チームは、クロスプレーのリプレイを、スコアボードに設置された大型スクリーンなどのようなビデオ再生装置で球場内に流すことができる(via Chicago Tribune)
アンパイアルームにある「リプレイのみられるモニターと電話」アンパイアルームにある「ビデオルームに連絡できる電話と、リプレイのみられるモニターの入ったボックス」 Why I’m against baseball’s instant replay - Salon.com


MLB初のExpanded Replayの「チャレンジ」
2014年3月31日カブス対パイレーツ戦
カブス監督リック・レンテリア、塁審ボブ・デービッドソン



記念すべき「初めてのExpanded Replayによる判定」と「1試合に2度のチャレンジ」が行われたのは、2014年3月31日のカブス対パイレーツ開幕戦。初チャレンジを行ったのは、カブスの新監督リック・レンテリア

MLB最初のチャレンジ対象となるコールを行ったアンパイアは、なんと、いわくつきのアンパイア、ボブ・デービッドソンだった(笑)

5回表の無死1、2塁、カブス先発Jeff Samardzijaが送りバント、結果は1-5-3のダブルプレーだったが、この1塁でのクロスプレーについて、今年からカブスの監督になったリック・レンテリアがチャレンジ。これが「MLB最初のExpanded Replay」になった。
ちなみに判定は覆らなかった(笑)
Cubs fall on walk-off HR in Renteria's debut - March 31, 2014 | MLB.com Wrap


MLB初の「1試合に2度のチャレンジ
2014年3月31日カブス対パイレーツ戦
ピッツバーグ監督クリント・ハーディー、塁審ボブ・デービッドソン



なおMLB初のExpanded Replayの行われたカブスvsパイレーツ戦で、10回表に、こんどはピッツバーグ監督のクリント・ハーディーがチャレンジを行ったために、このゲームは「MLB初の1試合に、2度のチャレンジが行われたゲーム」にもなった。
初の「同一ゲーム2度目のチャレンジ」だったが、対象は、またしても1塁塁審ボブ・デービッドソン(笑) いかにこのアンパイアがMLBで「心証の悪いアンパイア」であるかが、よーーーくわかる(笑)

10回表、ピッツバーグのリリーフ、ブライアン・モリスが、1塁に牽制球を投げた。ランナーは、エミリオ・ボニファシオ。
塁審ボブ・デービッドソンは「セーフ」とコールしたが、ピッツバーグ監督のクリント・ハーディーがチャレンジ。結果的に判定は「覆った」。
First of two Cubs-Bucs challenges is MLB's first | cubs.com: News


初のExpanded Replayによる「判定のターンオーバー」
2014年3月31日ミルウォーキー対アトランタ戦
アトランタ監督フレディ・ゴンザレス、塁審グレッグ・ギブソン



「チャレンジによって初めて判定が覆った」のは、これもいわくつきのバッター、去年ドーピングがバレて出場停止処分を食らっているライアン・ブラウンの1塁でのクロスプレー。

6回裏のライアン・ブラウンのファーストでのクロスプレーについて、1塁塁審のグレッグ・ギブソンは「セーフ」とコール。だが、アトランタの監督フレディ・ゴンザレスのチャレンジが通って、判定は「覆った」ため、これがMLBにおける初のExpanded Replayによる判定のターンオーバーとなった。


初の「1試合で同じチーム2度のターンオーバー」
2014年4月2日カンザスシティ対デトロイト戦
デトロイト監督ブラッド・アスムス
1塁塁審Chris Conroy



「1試合で同じチームによる2度のチャレンジに初めて成功」したのは、勇退したジム・リーランドにかわってデトロイトの新監督になったブラッド・アスムスだった。

1度目は、6回裏の無死1、2塁。デトロイトのタイラー・コリンズがオフに長期契約を結んだカンザスシティの先発ジェイソン・バルガスからセカンドゴロ。
1塁塁審Chris Conroyがアウトをコールし、いったんダブルプレーが成立したが、コメリカパークの場内のスクリーンに映し出されたリプレイは、明らかに「ファーストはセーフ」。
結局デトロイトの新監督ブラッド・アスムスのチャレンジが通って、判定は覆り、ダブルプレーによる2死3塁ではなく、1死1、3塁になった。

上で書いたように、MLBのビデオ判定のレギュレーション上、このような「1度目のチャレンジが成功した」場合では、「2度目のチャレンジ」をすることができる

2度目は、1対1の同点で迎えた延長10回表の2死2塁。打者青木宣親が、デトロイトのリリーバー、アル・アルバカーキからピッチャーゴロを打ち、ファーストでクロスプレーになった。1塁塁審Chris Conroyの判定は「セーフ」。
だが、ここでも、デトロイトの新監督ブラッド・アスムスのチャレンジが通って判定が覆り、3アウト。もし、このクロスプレーが最初の判定通り「セーフ」になっていたら、同点の2死2塁でのボテボテのゴロだっただけに、セカンドランナーは生還し、カンザスシティが1点リードして9回裏になっていたはず。
試合は、その直後の9回裏に、デトロイトが新加入イアン・キンズラーのサヨナラヒットで勝利したのだが、10回表のチャレンジ成功が効果をあげた結果になった。
Tigers win both replay challenges vs. Royals | tigers.com: News

Kansas City Royals at Detroit Tigers - April 2, 2014 | MLB.com Classic


それにしても、こうしてまとめてみると、ここで挙げてみた「Expanded Replayのチャレンジ成功の実例」の全てが、1塁でのプレーなのだが、これを「単なる偶然」と片付けていいとは、到底思えない。

2013年5月に書いた記事で、「ファーストでの誤審の多さ」について書いたことがあった。思えば、アーマンド・ガララーガの完全試合が塁審ジム・ジョイスの誤審で幻の完全試合として葬られてしまったのも、「1塁での誤審」だったのだ。
2013年5月27日、日米ファーストでの誤審3題。このところのアンパイアの「雑な判定ぶり」は、もう何らかの対策が必要なレベルにきている。 | Damejima's HARDBALL


これからもっともっと「チャレンジ成功の実例」が出てくると思うけれど、おそらくその多くが「1塁での判定」になるような気がする。
それだけに、1塁塁審をつとめるアンパイアのふるまいについて、例えばポジショニングなどを根本的に再考すべきときが来るような気がする。

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