May 2015

May 26, 2015

MLBの今の地区首位チームの顔ぶれがなかなか面白い。

5月25日現在の地区首位6チームのうち、優勝常連チームのカーズとドジャースを除くと、以下に赤色で示した4チームは、過去10年に最低1回は『メジャー最低勝率』を記録した経験をもつ、「つい最近まで目もあてられないほど弱かったチーム」なのである。

地区優勝の常連チームの顔ぶれは、特にア・リーグで一変しつつあるともいえるわけだが、もちろんこうした現象は「偶然」ではない。

5月25日時点のア・リーグ地区首位チーム
タンパベイ・レイズ (2007、2008)
カンザスシティ・ロイヤルズ (2006)
ヒューストン・アストロズ (2012〜2014)

ナ・リーグ
ワシントン・ナショナルズ (2009、2010)
セントルイス・カージナルス
ロサンゼルス・ドジャース

(カッコ内の数字はMLBワースト勝率を喫したシーズン)


MLBドラフトは、不完全なまま放置され続けている日本のドラフトと違って、前年勝率の低かったチームから順に指名する「完全ウェーバー方式」だ。だから、最初に挙げた4チーム(TB、KCR、HOU、WSN)はすべて近年にMLB最低勝率を喫したということは、これらのチームは「最低勝率翌年のドラフトでは、全米1位選手を指名している」という意味になる。

そこで、参考までに「2000年以降、この15年間の全米ドラフトで、全米3位までの指名を行ったチーム」を表にし、さらに「2000年以降に、3回以上、この表に登場するチーム」をピックアップし、色づけしてみた。(出典:Basebal Reference)

これをみると「2000年から2014年までのシーズンに、MLBワースト3位以内の勝率を3度以上喫した経験をもつチーム」が、6球団ほどあることがわかる。
いま地区首位にいる4チーム(TB、KCR、HOU、WSN)と、これも近年躍進がめざましいピッツバーグ・パイレーツ、そして、あいかわらず低迷しているシアトル・マリナーズ(笑)の2球団を加えた、6球団だ。

2000年〜2014年のMLBドラフト上位指名球団

「6球団」をわざわざ色分けして示したことの「意味」は、「これらの6球団が、この15年間のどこかで『連続的なチーム低迷期』を過ごしてきたチームであること」を示すためだ。


その6球団のうちの4球団は、「2015年5月現在、地区首位になるほどのチーム再建
」を達成しているわけだが、 これら6球団はそれぞれの低迷期に、ドラフトの上位指名でどんな新人を獲得してきたのか。ちょっとリストにしてみた。(以下のリストで、赤色は「全米1位指名選手」を意味する)
TB  エヴァン・ロンゴリアデビッド・プライス、BJアップトン(全体2位)、デルモン・ヤングなど
KCR ザック・グレインキー、アレックス・ゴードン、ビリー・バトラー、エリック・ホズマーなど
HOU ジェイソン・カストロ、ジョージ・スプリンガー
WSN ライアン・ジマーマン、スティーブン・ストラスバーグブライス・ハーパー
PIT アンドリュー・マッカチェン、ニール・ウォーカー、ポール・マホーラム
SEA ダスティン・アックリー(笑) (注:アダム・ジョーンズを獲得した「2003年」はシアトルにとっての低迷期ではないので、このリストからは除外)


スティーブン・ストラスバーグとブライス・ハーパーを2年続けて狙い撃ちして獲得し、才能ある彼らの大活躍で今はナ・リーグ東地区王者に輝くようになったワシントン・ナショナルズが、2008年、2009年と全米ワースト勝率を記録したのは、あくまで「巧妙なチーム再建戦略」なのだということが、上の表でよくわかる。
そして今年5月25日時点で地区首位にいる4チーム、TB、KCR、HOU、WSNに、近年地区優勝争いに加わるようになったピッツバーグ・パイレーツをあわせた5チームと、ただひとり取り残されたシアトル・マリナーズの「チーム運営能力の差」は、まさに天と地ほどあるのだ(笑)

これだけを見ても、シアトル・マリナーズというチームが、まぎれもなく「全米ナンバーワンのチーム運営の下手クソなチーム」であり、また、この10年間のシアトルのジェネラル・マネージャーどもが「MLB史上まれにみるほど無能な人間だった」ということがわかるというものだ。


かつて2007年に(=監督マイク・ハーグローブが突然辞任し、ジョン・マクラーレンが引き継いだシーズン)に、それまでの3シーズンずっと地区最下位だったシアトルが珍しく「地区2位」になったことがあったが、日本の無能なファンは長らくこのシーズンを「惜しくも地区優勝を逃した年」などと思っていたものだ。
また、この年の地区優勝を逃した原因は、主に7月の勝率(.500)を思うように伸ばせなかったことにあるのだが、かつてダメ捕手城島が2007年7月に打率2割を下回る酷い打撃成績で地区優勝の可能性のあったチームの足を引っ張ったにもかかわらず、この選手が8月以降にそれなりの打撃成績で帳尻をあわせたことについても、「この年の城島の打撃成績はなかなかよかった」などと思いこんでいる馬鹿なファンがいまだにいる。


まったく馬鹿馬鹿しいにも、ほどがある。

シアトルが2000年代後半の低迷期に「本来やっておかなくてはならなかったこと」はむしろ、かつてナショナルズがやったように「思い切り徹底して負けておく」ことであり、また「GMや監督をクビにすることも含め、チームを一度バラバラに解体して、組織を再編し、人材を育成していく」ことであって、「思い出したようにときどき地区2位になること」などではない。

むしろ、再建を本気で目指すなら、地区2位というような「ハンパなこと」を絶対にしてはいけないのである。

にもかかわらずシアトルは、2000年代後半にダメ捕手城島やリッチー・セクソンのようなダメ選手を補強したり、無駄に地区2位になったりするなどして、根本的なチーム再建にまったく手をつけようとしなかった。


そしてこのダメチームは、
2010年代になってもまた同じようなことをしている。

このチームは、若手育成への転換と自称しながら誰ひとりとして育てることができず、観客減少にビビッて方針を転換し、マイナーの改善にも本気で取り組まず、スタジアムを狭く改造したことでホームランを浴びまくるようになり、その一方で、チーム史そのものだったイチローを無意味に放り出したにもかかわらずフェリックス・ヘルナンデスには大金を与えて抱え込み、気分屋ロビンソン・カノーや、薬漬けネルソン・クルーズ、とっくにスカウティングされきっているオースティン・ジャクソン、引退寸前のリッキー・ウィークスにすら大金を与えて抱え込んで、結局なにも残らず、あっという間にヒューストンに追い抜かれた。もちろん、当然ながらシアトルは当分の間これらの選手たちに約束したサラリー負担に追われることになる。


株式投資でも企業再建でも、はたまた植物の「剪定」でも同じだが、「チームという生き物」の再生方法のひとつは、切るべきでない主枝は残し、無駄な枝をすべて切った上で、「思いきりよく負けて」おいて歩む方向をスッパリ切りかえること、なのだ。

だがシアトル・マリナーズがこの10年やってきたことは、なにもかも「ハンパなことばかり」だ。
運営方針は毎年のように間違った方向に変更され、無駄にちょっとずつトレード補強しては大金を使って失敗し、無能な若手、そしてMLB史に残る無能ジェネラル・マネージャー、ジャック・ズレンシックは常に温存したまま、有能な先発投手ばかり次々に安売りしてきた結果、「失われた10数年」を過ごしたのである。


にもかかわらず、限りなく馬鹿なこの球団は、GMをクビにするどころか、、MLB史に残る大失敗を何度も何度も繰り返してきたGMジャック・ズレンシックと「契約延長」したのである。


まったく呆れ果てたチームだ。


シアトル・マリナーズが、かつてナ・リーグで地区最下位を長年続けてきたヒューストン・アストロズにあっという間に追い抜かれたことを、ブログ主は、感情として「いい気味だ」、「ザマーミロ」と思っているし、また、組織論としてロジカルな意味でも「当然の結果」だと思っている。

May 15, 2015

2015年4月10日朝、茨城県鉾田市の沿岸に100数十頭ものカズハゴンドウイルカ(Peponocephala electra)が打ち上げられているのが見つかった件では、イルカ救助への協力をあおぐ目的のツイートをした。
以前にも、中国漁船による小笠原諸島でのサンゴ密漁の件でツイート拡散をお願いしたことがあったわけだが、それを含めて、リツイートなどで協力してくださった方々にこの場を借りてあらためてお礼申し上げたい。

いらぬ不安を煽るのを避けたかったので当時あえて触れなかったが、あの時ネットではストランディングについてこんな「デマ」がまことしやかに語られていた。
(ブログ注:以下の「デマ」でいう「2011年にイルカが打ち上げられた件」とは、2011年3月4日に茨城県鹿嶋市海岸に52頭のカズハゴンドウイルカが打ち上げられたことを指している)

2011年の東日本大震災直前にもイルカが打ち上げられたことがあったが、これは「再び非常に大きな震災が起きる前兆」だ。某預言者も大きな震災の発生を、具体的な日付とともに予想している。

もちろん、その「予想された日付」とやらには、何も起きなかった(笑)


「なぜ茨城県の海岸で2011年と2015年にカズハゴンドウイルカのストランディングが起きたのか」については、ストランディング直後から既に研究者の間でデータ収集や議論が具体的に開始されていた模様で、例えば以下のサイトでは海洋研究開発機構の海水面温度データをもとに、ストランディングから約2週間後の4月23日には早くも以下の「仮説」が提示されている。(また、5月初旬に東京大学で行われたイベントではさらに詳細な議論も行われたらしい)
コラム:茨城県の海岸に打ち上げられた多数のイルカと海洋異変について│JAMSTEC

詳細は元サイトの記事を読んでもらうとして、仮説の概要をとりあえず示しておく。

1)カズハゴンドウイルカは「暖かい海」に生息する

2)2011年と2015年は、いずれも茨城県沖に「冷たい海水である親潮」が北から入り込んでいた事実がある (例えば2015年4月上旬の茨城沿岸には、例年より3度以上低い冷たい海域が広がっていた)

3)暖流・寒流の混合域ではイルカのエサとなる生物の密度が高いわけだが、暖かい海から北上してさかんにエサを捕食していたカズハゴンドウイルカは、茨城県沖で「冷たい海水」に突然遭遇し、そのことが原因でなんらかの混乱や変調をきたした可能性がある


2011年と2015年に共通する
「冷たい茨城沖」データ

暖かい黒潮」が大きく蛇行する一方で、茨城沖に北からの「冷たい親潮」が深く入り込んでいる。このため、茨城沖の海水面温度は例年に比べて非常に低いものになっている。
(2015年データ中にある赤い矢印がストランディングのあった茨城県鉾田市)
2011年の日本近海の海面水温

2015年の日本近海の海面水温


2011年と2015年とはまったく異なる
2013年の「暖かい茨城沖」データ

茨城沖に冷たい海流が入り込んでいた2011年春や2015年春とまったく違って、2013年には暖かい黒潮」が関東の沖でほとんど蛇行せず沿岸に接近して流れており、さらに黒潮は茨城沖から東北沿岸にかけて広く流れこんでいた。その結果、茨城沖の海水面温度は例年よりはるかに高いものだった。
2013年の日本近海の海面水温


どうだろう。

これらの仮説でストランディングのメカニズムのすべてが解明できているわけではないが、「何月何日に地震が起こる」などという「まことしやかなデマ」と違って、ストランディングの起きるトリガーのひとつについて非常に理路整然と「根拠を具体的に示した合理的説明」がなされている。
少なくとも「暖かい海に生息するイルカが、茨城沖で冷水塊に遭遇することによりストランディングが起きる可能性」について、2011年と2015年で高く、2013年については低いことをデータ上から十分に「科学的に」説明できている。


このことでよくわかることは、
デマは常に真実より見えやすい場所にある、ということだ。

残念なことだが、「もっともらしいデマ」、「いかがわしい話」、「真実っぽい嘘」は、常に真実や科学よりも「情報として目に触れやすい場所」に置かれていて、見えやすいがために話題にもなりやすい、のである。
慰安婦報道で30年にもわたって虚偽をあたかもそれが真実であるかのごとくに垂れ流してきた新聞メディアや、情報として根本から間違っているのにいまだにこれみよがしに垂れ流され続けているOPSのような野球データの例などでもわかるように、たとえマスメディアの記事だろうと、世の中の人が既に広く信じ込んでいるデータだろうと、例外ではないのだ。

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