September 12, 2008

SI.comは、米国で最も有名なスポーツ雑誌で、今はタイム・ワーナー傘下にあるSports illustratedのオンライン版。CNNSI.comという名称だったが、2003年に名称を変更した。

SI.comは毎年MLBのスプリング・トレーニングの後、各チームのスカウティング・レポートを発表している。
スカウティングもいろいろなレベルのものがあり、これは公表できるものだけに、実戦のためのスカウティングというより、スポーツファン向けのチーム概況というべきレベルだが、このサイトの予想の確かさには定評があるようだ。
(ただ前年データに影響されやすいという難点はある。例えばシアトルの予想順位でいうなら、最下位だった2006年の翌2007年の順位を最下位と予測(→実際には2位)。そして2位だった2007年の翌2008年の順位を2位と予測(実際には最下位)など。ただ、前年までのデータからの予測というサイトの性格上、ありがちな話で、予測誤差としてアタマに入れて読みこなせばすむ。)

2008シーズンの始まる前、このSI.comはシアトルというチームをどう見ていたのか。

レポートのCONSIDER THISという項目に、そのシーズンに改善すべき点が具体的かつ端的に要約されて挙げられているので、2007年、2008年の部分を見てみる。まず、まわりくどくデータをいじるより、結論を先に言っておこう。

シアトルというと、いつも先発投手の力不足がプライオリティが高いように思われがちだ。だが、SI.comのレポートで2年続けて指摘されていたのは、先発投手の力量の無さなどではなく、「打撃」である。
SI.comが2年続けて指摘した問題点は、専門家でなくとも、誰もが理解できる的確でシンプルなものだったが、この指摘に関するかぎり、シアトルの側はというと、この2シーズン、懸案となり続けていたチームの問題点を何も解消しないまま先送りし続けてシーズンに突入し、誤った選手起用、城島契約延長問題を含めた誤った大きな投資を繰り返し、チームはチームとして崩壊した。


まず2007年版からみていく。
要改善点として指摘されているのは「四球の少なさに起因するチーム全体の出塁率の低さ」。そして出塁率を改善すべき選手として、ベタンコート、ロペス、ベルトレ、ブルサード、城島、5人の個人名が上がっている。

この5人、実際の2007シーズン後に四球と出塁率がどう変化を遂げたか。つまりSI.comの考える最重要課題は解決されたのだろうか。まずは見てもらおう。

四球数と出塁率  2006年  →  2007年 
ベタンコート(17四球 .310)→(15四球 .308)
ロペス   (26四球 .319)→(20四球 .284)
ベルトレ  (47四球 .328)→(38四球 .319)
ブルサード (26四球 .331)→(17四球 .330)
城島    (20四球 .331)→(15四球 .322)
注:ブルサードは2006年432打席、2007年240打席

立派なものだ。なんと、バックアッパーになって打席数の激減したブルサードは容赦するとして、誰ひとりとして数値が改善されていない。SI.comに指摘された問題点は全く改善されなかったのだ。

このことから、2007シーズンが、シアトルのフリースインガーたちにとってどういうシーズンだったかがわかる。
簡単にいえば、城島をはじめ、彼らはマグレの2位というチーム順位をいいことに、というか、それを自分たちが努力しないで済ます格好の隠れ蓑にして、自分の野球技術を必死で改善する努力を怠ったままスタメンに居座った。言い方を変えれば、彼らはイチローやイバニェスの数値にオンブし、チームに安住したのである。
そしてチームの側も、2007年春のSI.comのスカウティングレポートが指摘し、ファンの誰もがとっくに気づいていた、こうしたフリースインガーたちの怠慢な出塁率を放置したまま、2008シーズンに突入する。

シアトルの出塁率の悪さはかねてから一般のファンですらわかっていることだけに、なんだそんなことかと、思うかもしれない。だが、問題は改善点としてのプライオリティ、優先順位だ。
SI.comは、2007シーズンに向けた要改善点のトップに出塁率改善を挙げたが、シアトルの内部はおそらく違う意見だっただろう。
オーナーからGM、フリースインガーご贔屓のライターから馬鹿な城島オタにいたるまで、「なに、ホームランさえかっとばしとけば、点はとれるさ。バットを馬鹿みたいに振り回したって勝ててるじゃないか。それでいい」とでも考えて、この問題の重みを甘く見てきた。
それがチームの「打てもしない大砲主義」に表れていた。城島オタは「今シーズンこそは30ホーマー」だのと、馬鹿げたことを毎日のように掲示板に書いていたものだ。

実際には、2006年の最下位というチーム順位と、2007のスプリングトレーニングの結果を受けて、2007年には十分にチームを改善しておくべきだっただろう。
だが、2007年の2位という出会い頭の事故、マグレ当たりのホームランのような順位が全てを誤魔化して、出塁率改善はないまま2007年は終わり、セクソンも、城島も、誰も彼もが大砲のフリをした旧式な火縄銃のまま、2008年シーズンは始まった。

その結果、深い致命傷を負ってチームはチームとして死亡したことを、シアトルマリナーズの歴史にしっかりと書きこんでおくべきである。

(この記事、(2)に続く)

CONSIDER THIS 2007
(=2007シーズンの要改善点。訳はおおざっぱなもの)
http://sportsillustrated.cnn.com/baseball/mlb/specials/spring_training/2007/previews/mariners.html
アリーグ西地区のダークホースになりたければ、チーム全体で出塁率アップに取り組むべき。昨シーズンのOBP.325はリーグ13位で、これはアリーグワーストの404四球(うち49は敬遠)による。イチローのように打率.320も打てるなら文句はいわない(=四球数の少なさも度外視できるという意味)だが、そんな打率が残せるのはイチローだけだ。ベタンコート(17四球 OBP.310)やロペス(26四球 .319)のようなシアトルの若手はもっとボールを選ぶべきだし、ベルトレ(47四球 .328)、ブルサード(26四球 .331)、城島(20四球 .331)のようなベテランも出塁率を改善すべき。

For the Mariners to have any hope of being an AL West dark horse, they have to make a teamwide commitment to reaching base. Their .325 on-base percentage last season ranked 13th in the league, thanks mostly to drawing an AL-worst 404 walks (49 of which were intentional). You can get away with fewer bases on balls if you're Ichiro Suzuki and hit .320, but there's only one Ichiro. Young Seattle players such as Yuniesky Betancourt , 17 walks in 558 at bats, .310 OBP) and Jose Lopez (26 walks in 603, .319 OBP) have to be more selective, while even veterans such as Adrian Beltre (47 walks in 620 at bats, .328 OBP), Ben Broussard (26 in 506, .331 OBP) and Kenji Johjima (20 in 423, .331 OBP) can improve. (後略)




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