September 21, 2008

クレメントが膝の手術に踏み切って戦列を離れた9月のシアトルはすでに9連敗を含む、4勝13敗。城島が先発マスクだったゲームは3勝6敗、勝率.333。何度チャンスを与えようが、目の前のライバルがいようがいまいが、勝率4割の壁すら越えられない。まして5割を越えたことなどない、そういう捕手なのだ。
城島は、クレメント不在の9月になってやたら先発マスクをかぶるようになったが、案の定、投打のバランスはあっさりと壊れ、打てれば守れない、守れれば打てない。9月は今シーズン2度目の月間20敗にむけて前進中である。たぶん、創設以来100敗をくらう回数の多すぎるマリナーズの捕手といえど、ひとシーズンで2度も「月間20敗」をくらう捕手は、城島以外にいないのではないか。

今年シアトルが達成しそうなシーズン100敗という不名誉な記録については、シアトルポストのデータ担当ライターがかなり前に既に記事を書いている。彼のセレクトした100敗チームを挙げておこう。
2007シーズンの城島の記録したCERA5.03という酷い成績の意味がいまだにわからない人もいるようだが、こうした数字を見てもまだわからないのなら、その人は頭が悪いとしかいいようがない。防御率5点台などというのはシーズン120敗するチームの数値で、2008年の100敗は、2007年の城島の酷さについての破滅的な勘違いが表層に現れてきただけのことだ。
http://blog.seattlepi.nwsource.com/take2/archives/141474.asp

(数字は順に、年度、チーム、防御率、打率、勝敗)
1962 NYM 5.04 .240 40-120
2003 DET 5.03 .240 43-119
2004 ARI 4.98 .253 51-111
1988 BAL 4.54 .238 54-107

1978 SEA 4.67 .248 56-104
1983 SEA 4.12 .240 60-102
2004 SEA 4.76 .270 63-99
1977 SEA 4.83 .256 64-98
1992 SEA 4.55 .263 64-98

この記事はあくまで100敗したチームから再建に成功しえた特定のケースを選び出して書かれた記事で、この記事に出てくる100敗シーズンの正捕手たちが、その後どういう運命を辿ったかについて触れていないのが不満だ。なので、このブログで紹介してみることにする。

結論から先にいうと、100敗などするチームの正捕手は普通クビにされて再建が始まる。あの元ドラ1の名捕手Dan Wilsonでさえ、キャリアの終わりぎわとはいうものの、正捕手の座を他人に譲っている。
城島のように、下降が予測されていたシーズンの、それも開始直後の4月、酷い成績が明らかになる前に時期はずれのコネで結んだ契約を交わしてチームに居座った選手など、メジャーには見当たらない。考えられない搾取行為である。



1962 NYM
62年はメッツ創設年で、120敗もいたしかたないだろう。この62年含めた6年間、毎年のように100敗くらいしたメッツは監督も4回交代。69年に4人目の監督Gil Hodgesがいきなり100勝してワールドシリーズにも優勝するが、それまで7シーズン100敗チームとして低迷した。

2003 DET
捕手は3年目のBrandon Inge。彼は、前年の2002年にも106敗している。この2年続けての100敗以上という酷い成績のあと、Ingeは3塁手にコンバートされ、正捕手の座を失った。
デトロイトはすぐにマーリンズからイヴァン・ロドリゲスを獲得、監督もリーランドに替わってから、90年代からの長い低迷期を抜けた。2006年アリーグ制覇してワールドシリーズ進出。3年程度で100敗チームを再建した。

2004 ARI
捕手はJuan Brito。この年で引退した。
翌年からは2004年夏にデビューしていたChris Snyderが、控えから正捕手になった。Snyderは現在も正捕手。翌2005年には監督がシアトルをクビになったボブ・メルビンに変わり、2007年地区優勝。3年で100敗チームから脱出した。

1988 BAL
捕手はMickey Tettleton。
100敗チームの正捕手は普通にクビになると言ったが、このTettletonは例外だ。というのも彼はキャリア長打率.449、1989、91、92年にシルバースラッガー賞をとるほどの打者だったためで、そのため100敗したにもかかわらず、ボルチモアは彼をクビにしなかった。91年にはデトロイトに移籍、92年までは正捕手を務めたが、やがてDHにまわされ、最後はテキサス時代のイヴァン・ロドリゲスの陰でひっそりとキャリアを終えた。
彼は打力こそ多少あったが、彼が正捕手として所属したチームはポストシーズンに一度も進出できていない。93年以降はDHとしての起用が主で、97年引退しているが、もし打力がなければ彼の選手生命はもっと前に終わっていたはず。
半端に打力があった彼に期待したボルチモアとデトロイトは、結果として貧乏くじを引いたわけで、テキサス、フロリダ、デトロイトと、所属チームでそれぞれポストシーズンに進出したパッジとは、比較すると明らかに大差がある。
もちろん、シルバースラッガー賞など永遠に縁のない城島は、Tettletonにすら及びもしない。マウアークラスならともかく、半端な打力の捕手に期待などするものではない。

1977 SEA、1978 SEA
捕手はKCから移籍してきたBob Stinson。80年に引退。
77年にシアトルが創設された年。戦力がまだ揃っていないという意味で、まぁ100敗もいたしかたない。だが、それよりもいけないのは、創設後のシアトルの勝率が5割を越えるのが、15年後もたった1991年であること。監督は9人も交代。あまりにも低迷期が長すぎる。このチームの再建の下手さを物語る。

1983 SEA
捕手は2年目のRick Sweet。この年に引退。

2004 SEA
捕手はDan Wilson。翌2005年にはMiguel Olivoに正捕手の座を譲り、このシーズンで引退。
Dan Wilsonはいうまでもなくシアトルにとっての名捕手。ドラフト1巡目指名で入団したシンシナチから94年にシアトルに移籍して以来、ずっと正捕手としてマスクをかぶり続けた、93年から指揮をとった名将ルー・ピネラ監督(現在は地区優勝目前のシカゴの監督)とともに地区優勝3回、ポストシーズン進出4回、96年にはオールスターにも出場。
彼が正捕手だった94年から2004年までの11年間は、チームの勝率が5割を割ったことは、彼が初めて正捕手になった94年と、正捕手として最後のシーズンになった2004年の、わずか2度しかない。当然ながら、計算などするまでもなく、彼が創立以来チーム最高勝率の捕手。また通算犠打数85、2002年の捕手としてのシーズン打率.295は、シアトルの球団記録。
ピネラがチームを去ってメルビンに監督が変わった2004年の99敗で、Dan Wilsonの正捕手としての選手生活にはピリオドを打たれたわけだが、今となってはかえってそれが気の毒になるほどのいさぎよい幕引きは、名選手ならでは、といえる。
ダン・ウィルソンのキャリアスタッツ



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