March 25, 2009

(カッコ内は城島打席時の、日本-韓国の得点経過)
1回表 2死2塁。四球(0-0)
3回表 無死1,2塁。サードゴロ
バント2度失敗の後、凡退。二塁封殺。先制機を逃す(0-0)
5回表 無死1,3塁。空振り三振
追加点ならず。この裏、同点に追いつかれる(1-0)
7回表 1死1,3塁。サードゴロ併殺。チェンジ
中島タイムリーの1点止まりで終わる(2-1)
9回表 1死1,2塁。センターへ浅いフライ
ランナー動けず、この裏、同点に追いつかれる(3-2)
10回表 2死満塁。見逃し三振。チェンジ
ダメ押しならず(5-3)
参考資料:スポーツナビWBC特集 決勝 日本対韓国
http://live.sports.yahoo.co.jp/sportsnavi/241_wbc.htm

この11LOBという数字の凄さ、どう説明するとわかってもらえるだろうか。あまりにすざまじい数字なので、かえって悩む。
長い手順を踏んで説明してみるしかない。

●LOBって何?
LOBは、Left On Base。つまり残塁。
日本のプロ野球中継ではチームでの残塁総数しか気にしてないわけだが、メジャーではMLB公式のゲームログに個人LOBが残る。例えば満塁で三振すれば、塁上には進塁できなかった3人のランナーが残される。だからバッター個人に3つの個人LOBが記録される。
もし三振した次のバッターが満塁ホームランを打ってイニングが終わったらどうか。ランナーは一掃されて3アウトだから、チームLOBはゼロになってしまう。だからチームLOBだけしか見ていないと、打線の中の誰がランナーを無駄にしているか、わからないのである。
だがメジャーのゲームログには毎試合個人LOBが残るから、三振したバッターの3LOBは消えない。ここが面白い。つまり、個人のチャンスでの凡退ぶりが後でしっかり眺められるわけだ。

このブログでは1試合ずつゲームログを読んでいるが、年間LOB数を合計するのに、160試合のゲームログを手で足し算していく作業は、死ぬほどめんどくさい。実際には打席のシチュエーションごとに電卓で計算して合算して概数を出したほうが早い。例えば、1,2塁で3打席、満塁で4打席凡退すれば(2走者×3打席)+(3走者×4打席)=18LOBというふうなやり方だ。ちなみに日本のプロ野球でも最近はデータ整備が進んでいるので調べるつもりになりさえすれば個人LOBも調べられる。

●日本時代の城島のLOB
日本時代の数字だが、「1ゲームあたり1LOBあるかないかだ」という程度を頭に入れておけばいいと思う。
だが、それにしてもちょっと数字が少なすぎるようにも思える。元データを見てもらうとわかるとおり、2001年以前のLOBデータがない。つまり、そのくらい、日本での野球のデータ整備が遅れていたということだろう。この元データ自体も、どのくらい正確なのか、正直なところわからない。
年/LOB数/ゲーム数
2002 87(115)
2003 120(140)
2004 99(116)
2005 87(116)

資料 Japanese Baseball.com
http://www.japanesebaseball.com/players/player.jsp?PlayerID=102&Year=1996&Part=1

●メジャーでの城島のLOB
シアトルの三振王で2008年にクビになったダメダメ4番打者セクソンと、ダメ捕手城島のLOB数を、2007年で並べてみた。案外データの豊富なメジャーでも、月別LOBというのはあまりみかけない。計算にひどく手間がかかるせいかもしれない。手作業のため、多少の計算間違いはご容赦。(カッコ内はゲーム数)
4月 セクソン41(20) 城島27(16)
5月 セクソン55(27) 城島45(26)
6月 セクソン48(25) 城島37(21)
7月 セクソン36(24) 城島46(25)
4月〜7月LOB合計 セクソン180(96)城島155(88)

この2人を比べたのには理由がある。
元シアトルの1塁手で、去年ようやくクビになったセクソンは、あまりにも三振するクセに、ずっと4番を打っていた有名なダメ打者。当然ランナーがいる打席が非常に多く回ってきて、しかも、よく三振する。だからLOB数がバカみたいに多く、チームのLOBキングだったダメ男だ。
そのLOBキング、セクソンと、城島のLOBは、率で見ると、ほぼ匹敵するのである。
1試合あたりLOB セクソン 1.875 城島 1.761

メジャーの正捕手は全試合出場することはなく、デーゲームなどで休養をとる。そのためセクソンに比べて城島の出場ゲームがやや少ないから、セクソンと城島のLOBを比べるにあたっては、1ゲームあたり、ランナーのいる打席あたりといった補正をするわけだが、どれをとっても、セクソンと城島は率ではたいしてかわりないのである。
また城島の月別LOBを、実数だけで見ると変動が激しいように思うかもしれないが、打数で補正すれば、ほぼ毎月のように1打席あたり0.45から0.55にキッチリおさまっている。打撃の好不調の波、打順、チーム状態とはほとんど関係がない。
ちなみに、7月までのデータしかあげてないのにも意味がある。最下位に沈むような弱いチームにとって、ポストシーズン進出がなくなったシーズン終盤の帳尻データなど、たいした意味はないからである。頑張るなら、まだチームの順位が下位に確定しない春から夏にかけて頑張らないと意味がない。(もちろん、8月に城島のLOBが急激に減少した、などということは全くない)

チームに2人のLOBキング。これではチームは勝てるわけがない。

●2007ですら、セクソン・城島の1日の最高LOBは「7」

2007シーズンの4ヶ月間で、LOBキング、セクソンと城島のLOBの1試合での最高数は7LOBで、セクソンが2度、城島が1度、それぞれ記録している。
試合を見ているとわかるが、1試合3LOBあたりまでなら、まぁ、許せなくはないが、4とか5以上になってくると「こいつは馬鹿か」という感じが出てくる。6だの7だのは、ちょっと異常とも言える数値になる。
1番打者でもないかぎり、弱小チームの下位を打つ城島なら打席に入るのは5打席あれば多いほうで、4打席の試合が多い。だから仮に4打席で4LOBともなれば、どの打席でもランナーを無駄にして凡退し続けるのとかわりないことになる。見ていてイライラしないわけがない。現実に地元ファンからのブーイングも一度や二度ではない。

ちなみに、2007シーズンの4月〜7月に、城島が4LOB以上を記録したのは10回、セクソン20回と差があるのだが、両者の1ゲームあたりのLOBはほぼ互角。
このことはちょっと意外に思われるかもしれないが、これも理由がある。
2人の出場ゲーム数は大差があるわけではない。違うのは「四球数」だ。セクソンはランナーのいるケースで打席に入って、よくフォアボールを選ぶ。一方で城島は、ただでさえ四球を選ばないシアトルにあって、さらにスタメン最低の四球率で、シーズン中、ほとんど四球を期待できない。2008シーズンの5月など、1ヶ月間もフォアボールが全く無かったくらいだ。
したがって、ランナーのいる場面で城島は四球を選ぶことはなく、またバントもしない。必ずヒッティングしてくる。だから凡退でLOBの山を築くのである。
ランナーのいるケースで四球を選ぶことがないから、当然のことながらダブルプレーも多い。2007シーズンの夏あたりに、城島が一時ア・リーグの併殺打数ナンバーワン打者だったのも、そのためだ。

●「11」ものLOBの異常さ
こうして2007シーズンのチームLOBキングだったセクソンと城島という2人のダメ打者をデータで追ってはみたが、とてもとても11LOBなどという偉業を説明しきれた感じはない。
上で説明した通り、7LOBですら、かなりすざまじい数値なのである。

まぁ、説明などしきれないほどの、異常さなのだ、ということさえわかってもらえれば幸いではある。


まさに、WBCの2連覇が海の藻屑と消えそうな9回裏のピンチを招いた原因は、城島の偏重したリードの下手さと、城島のランナーがいるときの打率の低さにある。2007年のランナーズ・オン打率、つまり、ランナーのいるときの打率のあまりの酷さを知っている身としては、別にあらためて驚きはしないのだが、アメリカでの城島を知らない方々はきっと、この「11LOB」という異常なデータでビックリしたことと思う。
次回の記事では守備面でのまとめをしてみる予定。




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