May 11, 2009

この記事でとりあげるのは、一度記事にした4月8日ミネソタ戦逆転負けのゲーム後の、ワカマツ監督へのインタビューである。
書いているのはMLB.comのシアトル番記者ジム・ストリート。試合後の番記者による会見が終わった後、監督ワカマツが城島とシルバの2人を呼び出して投球の選択について話をした、という内容だが、ワカマツの話の内容のもの足りなさといい、この記事を書いた記者の認識の誤りといい、あまりに事実と異なる間違いだの、認識不足だのが散在していて、しっかり読みとくにはかなりの注意が必要な、やっかいな文章だ。

Wakamatsu asking for accountability | Mariners.com: News
http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20090409&content_id=4187404&vkey=news_sea&fext=.jsp&c_id=sea&partnerId=rss_sea
4月8日のゲームデイ
Seattle vs. Minnesota - April 8, 2009 | MLB.com: Gameday


5月9日にシルバはDL送りになって城島の糞リードの責任をとらされる形になったわけだが、1ヶ月前にはこんな笑える記事もあったことをご存知だっただろうか? 
今回のシルバのDL送りの背景で、城島と監督ワカマツがどうかかわったのか。ワカマツが城島をどうほったらかしにし、どう甘やかしてきているか。
このブログの主筆にしてみれば当たり前のことばかりだが、そんな基本的なことを理解できないままゲームを見ている人も多いはずなので、詳細に書きとめておくことにする。

まず一言ずつ言っておこう。
シルバ欠点だらけだが、投球術そのものを他人にいじくり倒されたこのケースでは気の毒。
ワカマツは城島を甘やかすな。適当にモノを言うな。
ジム・ストリートは嘘を書くな。


さて、記事の分析にかかろう。細部は記事後半に掲げたこのブログによる翻訳を読んでもらうとして、要旨はこんなところだ。

初回と2回にホームランされたチェンジアップは城島のアイデア(これは記事本文が証拠で確定)
城島は、シルバのシンカーが狙われていることを理由に、シルバのピッチングをいじくった。具体的にはチェンジアップに逃げてホームランを2発食らい、4点失った(ここも事実として確定)
捕手出身の監督であるワカマツは、城島がシンカーをメインに組み立てる投手であるシルバにチェンジアップを投げさせて打ち崩されたことが気にいらなかった
・3回以降はシンカー中心の組み立てになり、見違えるほどよくなった(と、ワカマツと記者は見た)


最初の2点については、「なるほどな」というところだ。
やはり城島はメジャーで投手のピッチングにいらぬ世話を焼いては、ゲームを壊し、投手のアイデンティティを壊し、チームを壊していっていたのである。

だがそれ以外の点は後で読むと、指摘しなければならない問題点があまりにも多すぎる。4月8日のシルバ登板のミネソタ戦で逆転負けした理由をワカマツは結局のところあまりよくわからないまま、結局放置したのではないかと思わせるフシがある。
それは城島問題を放置するのと意味はかわらない。
城島が投手のピッチングを無駄にいじってアイデンティティを壊すのをワカマツが放置し、5月に入ってチームの状態を最悪なものにしたとしたら、これは大問題なのだが、ワカマツはおそらく、今でも5月にチームが崩壊しつつある事態の根(root)の所在がわかってはいないのではないか。

4月8日のこのゲームの敗因も曖昧なままでは、5月の突然のチーム崩壊と城島の先発マスク復帰との深い関連も認識できるはずもない。

短く言うなら、監督ワカマツはシアトルというチームを根底からダメにしてきた「城島問題」を甘く見ている。



次に、インタビューの内容で、事実と異なる点、問題点を指摘しておく。

・シルバは元々どうあがいても単調になりがちな投手である。例えばシルバの場合のシンカーとチェンジアップの違いは、球筋の大きな違いではなく、多少の緩急なはずだが、球速でいうと約10キロ程度の差しかない。そのため適応力の高いメジャーの中心打者たちは容易に反応を変え、打ち崩してくる。ただでさえ連投されるシンカーに目が慣れた後に来るのが、キレがなく、中途半端に速度だけはあるチェンジアップでは、打撃投手のタマ以下の効果しかない。またシルバのシンカーとストレートはほぼ同じ速度で、速度に差がなく、打者への揺さぶり効果が少ない。
その彼の単調になりがちな投球術を小手先でいじって、決め球やカウント球ににチェンジアップをもってくれば、アウトロー一辺倒の単調な攻めでもなんとかなると考える単調な脳しか無いダメ捕手城島は、工夫のなさすぎるダメ捕手、馬鹿捕手もいいところ。

・監督のワカマツと記者は、3回以降にシンカー中心の組み立てになって「投球ぶりが見違えた」などと、わけのわからないコメントで記事を垂れ流している。
だが、とうの昔、4月8日当時にもこのブログで指摘しておいたように、5回モーノーに決勝点となる逆転2点タイムリー・ツーベースを打たれたのは、ほかでもない、そのシンカーの馬鹿連投である。

・文中でワカマツと記者は、第2打席のモーノーにシンカーを連投してセカンドゴロに仕留めたことを褒めている。
だが彼らは5回の2死2、3塁のピンチで、同じ投球パターンで第3打席のモーノーに決勝点となる逆転2点タイムリーを打たれたことを語っていない。城島はたまたまモーノーの第2打席でうまくいったに過ぎないまったく同じパターンを、第3打席でも繰り返した。シルバにシンカーをアウトコース低めに連投させ、2点タイムリーを打たれたのである。WBCの対韓国戦で、打者の2巡目以降にスライダー系を狙い打たれたのと同様の単調なパターンでもある。
このことがワカマツとジム・ストリートのアタマにまったくなくて得意気に話しているのなら、馬鹿の骨頂としかいいようがない。

・名選手ハーシュハイザーの謹言をひきあいに出して「打者の欲しい球種を投げろ。ただし、打てないコースに」などといっているが、城島がシルバ登板試合でやってきたリードとは「打者が、来ると100も承知しているシンカーを、しかも同じコース(左打者ならアウトロー)に、何度も何度も、馬鹿のひとつ覚えのように連投すること」なのであって、ハーシュハイザーの謹言とは、まったく何の関係もない。ごくわずかな関連すらない。

・文中、『責任』というキーワードを強調しているワカマツだが、「投手にはそれぞれの長所を中心にすえたピッチングをさせる。シルバの長所はシンカー。チェンジアップはサードピッチに過ぎない」などということを言っているが、そのシルバにアホで単調なリードしかできない城島を組ませて負け続けさせ、チームを下降線に導いた『責任』は、ワカマツ自身はとれるのか? そしてシルバをDL入りさせて上げてきた投手にはマトモなキャッチャーを組ませてやれるのか?

・チェンジアップを投げさせるリードはその後、シアトルでは全くやらなくなったのか?
そんなわけがない。
例えば4月25日にシルバが強敵LAA相手に302日ぶりに勝利したゲームだが、ロブ・ジョンソンは2球どころか、もっと多くのチェンジアップをシルバに投げさせて、5回を3失点にとどめて勝たせている。
チェンジアップがよくないのではない。球種の使い方、単細胞なダメ捕手が問題なのだ。
Seattle vs. LA Angels - April 25, 2009 | MLB.com: Gameday

城島とロブ・ジョンソン、2人のキャッチャーの、シルバに対するチェンジアップの要求パターンはまったく違う。4月8日と4月25日ののゲームデイをそれぞれ分析してみればわかる。城島がカウントをとる球や、打席終盤に使うのに対し、ロブ・ジョンソンは違うパターンで使っている。

・ハーシュハイザーの言う、同じ球も使い方次第というワカマツの指摘自体は間違ってはない。
コミュニケーションが大事だ、というのなら、投手やベンチとコミュニケーションがとれず、監督の指示のエッセンスがいつまでたっても実行できない城島のようなダメ捕手を正捕手にすえるのはやめるべき。
もし城島を使い続けてチームが2008年同様に破綻するなら、ワカマツは監督を即座に辞めるべき。

4月8日ミネソタ戦1回モーノー ホームラン1回のモーノー
インコースのチェンジアップ
2ランホームラン

2回には1番打者スパンにも
チェンジアップをホームランされている

4月8日ミネソタ戦3回モーノー セカンドゴロ3回のモーノー
全球シンカー連投
セカンドゴロ

自分のアイデアで始めたチェンジアップだが2発の2ランを浴びてビビり、シンカー連投に戻った城島。
打ち取ったシンカーは、ただコントロールミスが幸いして、球がインコースに行っただけの話。

4月8日ミネソタ戦5回 モーノー逆転2点タイムリー5回のモーノー
3球目を除いて、全球シンカー馬鹿連投。
決勝点となる逆転2点タイムリー。


Wakamatsu asking for accountability
責任を求めるワカマツ

MINNEAPOLIS -- Catcher Kenji Johjima seemed surprised when told after Wednesday night's loss to the Twins that manager Don Wakamatsu had questioned two particular pitch selections.

水曜夜のツインズ戦に敗けた後、監督ドン・ワカマツが特定の2つの投球のチョイスについて疑問を投げかけた模様で、キャッチャー城島は驚いたらしい。

Each time, Johjima thought the batter was sitting on right-hander Carlos Silva's sinker, so the catcher decided to surprise the hitters by getting Silva to throw a changeup. Each time, the ball landed in the seats for a home run, producing four of the Twins' six runs in another one-run loss.

城島はミネソタの打者がいつも右投手カルロス・シルバのシンカーにあっている、と考えたので、城島はシルバにチェンジアップを投げさせることで打者を驚かせよう、と決めていた。そのチェンジアップはいずれもームランとなって外野席に放り込まれた。別の1点の失点を除けば、ツインズの6点の得点のうち、4点を生み出した。(太字:ブログによる)

Several minutes after the media left the clubhouse, Wakamatsu, Johjima and Silva had a meeting to discuss the 6-5 loss.

"Believe me, as a former catcher, I don't sit back there and say, 'That was a stupid call'," Wakamatsu said Thursday morning. "I was not trying to signal anybody out, but it was getting down to what we need to do. We're not pointing fingers. What we're saying is what happened is not acceptable."


メディアがクラブハウスを出た後、数分間、ワカマツ、城島、シルバは、6-5の負けについて討議するミーティングをもった。

「わかると思うけど、僕はキャッチャー出身だから、(そのディスカッションで)何もしないわけはないんでね、言ったんだ。『あれは愚かしい投球選択だった』とね。」と、木曜の朝ワカマツは言った。「私はシグナルを出そうとしてるわけじゃないが、でも、すべきことはビシっとやらないとね。我々は人差し指じゃない。言ったのは、いま起きてることは許容できない、ということ。」(注:太字はブログによる)

Communication and accountability are two words that ring loudly in the reorganized organization.

"The biggest thing we talked about in Spring Training was accountability and I am included," Wakamatsu said. "We told them, 'You need to have a head on your shoulders and understand what your best pitches are. We can adjust during the game.' We've always talked about pitching to our strengths. The hitter's weaknesses are secondary."


コミュニケーションと責任、これはチームの再編で強調された2つのキーワードである。

「スプリング・トレーニングで話した最大のポイントは、『責任』だ。そして、そこには僕も含まれる」とワカマツは言う。「誰でも首の上にはアタマがついてるんだし、何がベストピッチか、自分で理解する必要があると、シルバと城島の2人に言ったんだ。ゲーム中だって適応できるはずさ。いつも私たちは(投手側の)長所にそったピッチングについて話している。打者側の弱点(への対策や対応)は二次的な問題なんだ。」

And so, when Wakamatsu saw the results of Silva throwing his third-best pitch in the first and second innings to Justin Morneau and Denard Span, and then watched both balls fly, fly, away, it didn't sit well with the first-year skipper.

The changeups reminded Wakamatsu of something former Major League pitcher and Rangers pitching coach Orel Hershiser said."Orel used to say, 'Give them the pitch they are looking for, but put it in a place they can't hit it."


1回と2回に彼のサードピッチ(注=得意でない球種。この場合はシンカーとストレート以外の球、という意味。3番目に得意という意味ではない)をモーノーとスパンに投げ、ボールがはるか遠くへ飛び去っていく(注=ホームランされる)結果をワカマツが見て、1年目の船出をした船長にはどうしても納得がいかなかった。
打たれたチェンジアップは元メジャーのピッチャーで、レンジャーズの投手コーチ、オーレル・ハーシュハイザーが言ったことをワカマツに思い出させた。
「オーレルはよく言ってたもんさ。『打者が欲しがってる球を与えてやれ。ただし、彼らがそれを打つことができない場所に投げろ』とね」

It was after the second inning when Silva and Johjima went basically to the sinker and the difference was like night and day.

When Silva faced Morneau the second time, he fouled off several pitches the opposite way before grounding out to second base.

"We're trying to get Carlos back to what made him successful and we saw a lot of good things last night," Wakamatsu said. "There was more sink and it reminded me of the way he pitched when he was successful."


シルバと城島が基本的にシンカー中心にしたのは2回より以降のことで、その差は昼と夜の差くらい、歴然と違っていた。
シルヴァとの2打席目でモーノーは、セカンドゴロでアウトになる前に、いくつかの球を違う方向にファールしていた。
「我々は彼がかつて成功を収めた方向にシルバを呼び戻そうとしているんだ」とワカマツは言う。「より多くシンカーを投げるように(3回以降)なって、彼(=シルバ)が成功していたときの彼の投球術を思い出したよ。」

Wakamatsu said he has the liberty of calling pitches from the dugout, but would rather not go that route.

"We're just starting to work together," the manager said of Johjima. "How long have we been together? I am not going to back away. That's the way I saw the game and those were the two pitches that took away from an otherwise solid outing. We go forward."

Johjima was out of the lineup for Thursday afternoon's series finale against the Twins, but it had nothing to do with the previous night's game. The game plan all along was to start Rob Johnson.


ワカマツは、(監督には)ダッグアウトからピッチャーを告げる自由があるが、そういうやり方はしないと言う。
「私たち(=ワカマツと城島)は一緒に仕事しはじめたんだ。」とワカマツは城島について言う。 「どれくらい長く我々は一緒にいる? 私は問題を敬遠しあうつもりはないんだ。それが僕の野球の見方だし、ほかの点では安定した結果だった今日のゲームの価値を落としたのが(最初に言った)2球の投球だった。我々は前進してるよ。」
城島はは木曜日の午後の対ツインズ最終戦のための先発からはずれていたが、それは前の晩のゲーム(=4月8日のミネソタ戦の負け)と関係はない。ロブ・ジョンソンの起用のためのゲームプランはずっとあった。




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