May 14, 2009
この何年もの間、「城島のゲームでばかり大量失点が起きるのだが、理由がわからない」という話をよく掲示板で目にする。ふーん、馬鹿なんだ。と、しか思わない。これほどわかりやすい話などない。
シアトルのゲームで城島先発ゲームを見るときは、常にロブ・ジョンソンの先発ゲームより2点多く失点するのがあたりまえだ、ということをまずアタマに入れて観戦すべきである。
もし、覚えておくのがめんどくさければ、本来は間違った意味になってしまうが、「あぁ城島マスクか。普通に0対0のスコアでゲームが始まるのではなくて、0対2、いつもより2点負けた状態からゲームが始まるのだな」くらいにでも、覚えておくといい。
今日はこの話を、ウオッシュバーン登板ゲームを例に、少しおっかけてみる。
下記のウオッシュバーン登板ゲームにみられるように、ロブ・ジョンソンと城島とでは、1試合の失点のすべての面に、常に「2点の差」がある。このことは城島がメジャーに来てからというもの、シアトルのゲームマネジメント、さらには選手起用からトレードにいたるまで、あらゆる面ではかりしれない悪影響を与えてきている。
5月13日までのウオッシュバーンの登板試合と捕手の関係はこうなっていた。
ロブ・ジョンソンとウオッシュバーンのバッテリーのゲームは、全ゲームでQS(クオリティ・スタート)を達成。相性の良さなど、説明するまでもない。
4月9日 8回無失点 QS ジョンソン 完封
4月15日 6回自責点2 QS 城島(4回自責点0 怪我による交代)→ジョンソン(2回自責点2)
4月21日 7回自責点2 QS ジョンソン
4月26日 5回1/3自責点6 バーク 負け
5月2日 7回自責点1 QS ジョンソン 勝ち負けなし
5月7日 7回自責点1 QS ジョンソン
5月13日 6回自責点4 城島
ウオッシュバーン登板時の捕手別の防御率を計算してみる。当然、ロブ・ジョンソンの数字が際立つわけだが、ロブ・ジョンソンと城島との間に、「2点の差」がある。このことをよく覚えておくといい。
この差はウオッシュバーンに限らず、大半の先発投手で成り立つ。
(この計算は5月13日のもので、5月18日には捕手城島で5回6失点でノックアウトだから、実際には5月18日には城島の数値は6.00にまで悪化いる)
ジョンソン 31回自責点6 1.74
城島 10回自責点4 3.60
(5月18日時点では、城島は 15回自責点10 6.00)
防御率=(自責点×9×3)÷(投球回×3)で、計算
ジョンソンの場合、5月13日までのCERAが3.20程度で、RAve(平均失点)も3.53程度と優秀だ。
ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンのバッテリーなら、7回を投げたウオッシュバーンが自責点1から2でマウンドを降り、その後、ブルペン投手が0点から1点の失点。トータルでは、最良で1点、最悪でも3点までの失点でゲームが終わる計算になる。
これはだいたい実際のゲームにもそっている。たとえばロブ・ジョンソンの不運な負けパターンというのは、たいていの場合、先発が2失点以内で6回以上投げて好投したにもかかわらず打線の援護がなく、試合終盤に1点とられ、3−2、あるいは3−1とかいうロースコアの負けがついているだけのことだ。
城島の場合、CERAが5.31(5月18日)、RAveが5.87(5月18日)と5点台だから、まったく話が違ってくる。
ウオッシュバーンと城島のバッテリーの場合、ウオッシュバーンは5回しかもたない計算になる。自責点は計算上では2点(だが実際にはもっと多くなる)。その後、4人ものブルペン投手を使う(またはバティスタがロングリリーフする)ことになり、ブルペンの失点をどう少なく見積もっても、3点から4点程度覚悟しなければならない。トータルの失点は確実に5点から6点の失点になる。
実際のゲームでいうと、5回までハラハラの展開、6回以降、ガタガタと投手が崩れて、終わってみれば相手に5点以上の点をとられて負ける、という感覚のゲームになる。これも、実際のゲームにそこそこ沿っている話だ。
もう一度言うが、「2点の差」は、ウオッシュバーン先発のゲームだけではなく、どの先発投手のケースでも、差の大小はあれども、成立していることは誰にでもわかるだろう。
この「2点の差」は、チームがゲームをどうマネジメントして、どう勝ちに結びつけるか、というディレクションの深部に、大きすぎる影響を与え続けている。あたりまえのことだ。捕手で「2点の差」が出れば、ゲームプランがぜんぜん違ってくる。
この事実はわかっている人には何年も昔からわかっていることだが、実際にはこんなこともアタマに入れないで発言している馬鹿が、ファンにも、BSのようなメディアにも、いまだに多いのはあきれかえる。
たとえば「リーグランキングでERAの非常に良いシアトルがこれほど勝てない原因は、すべて打線にある」などという、たわいない意見を意気揚々と書く馬鹿なファンがいる。城島の投打両面の責任をベルトレやグリフィーの打撃不振にでもすり替えたいのか知らないが、これほど大雑把すぎる意見をよく恥ずかしげもなく披露できるものだ。当人は得意げに喋っているつもりかもしれないが、シアトルの現状について、なんの説明にもなってない。
「アリーグでシアトルのERAが非常に良い」のは、ひとえに4月に城島が怪我をしてくれたおかげでロブ・ジョンソン先発試合が続き、そこで驚異的なCERAを残したジョンソンの大仕事の余波が、これほど負け続ける5月になっても統計に好影響を残し続けている、それだけのことだ。
もちろん城島の功績など、何もない。何もないどころか、城島の存在は日に日に4月には3点台以下だったチームのERAを悪化させ続け、もはや5点台に近づけようとしている。
この日に日に悪化していくERAが、チームのゲームプランにどう悪影響を及ぼすか。考えないやつは馬鹿だ。
たとえばボストン戦でBS1のアナウンサーなどは、自分でモノを考える能力が根本的に欠けているのだろうが、馬鹿のひとつ覚えのように
「4月当初のマリナーズは細かい野球ができていて、今年はひと味違うぞ、と思わせたものですが、5月に入って、どうもそういう部分が見られなくなってきた」
などと出来の悪い解説者以下のアタマの悪い自説を、何度もクチにして、暗にチームのマネジメントを批判していた。
おまえたちは馬鹿か。と、思う。
ウオッシュバーンの登板ゲームに限らず、ロブ・ジョンソンと城島の先発ゲームの大きな違いである、「2点の失点の差」がどれだけ大きい意味があるか、わからないか。
以下に、多少理由を概説するために、ウオッシュバーンの今シーズンの例をあげてみる。
例1)ロブ・ジョンソン先発マスクで、失点が2から3に抑えられるケースのゲーム構成
5月2日オークランド戦でウオッシュバーンは7回を自責点1に抑え、勝ち投手の権利をもったままマウンドを降りた。また5月7日ロイヤルズ戦でも、彼は7回を自責点1と、十分な働きをみせた。
もともと得点力の低いのはわかりきっているシアトルだが、この2例のように先発の失点が2点程度、また、ゲーム全体の失点が3から4程度でおさまるロブ・ジョンソン先発試合なら、シアトル側は1回から6回の間のどこかで得点をなんとか3点程度とっておけば、リードしたまま、あるいは同点に近い僅差の展開でゲーム終盤を迎えることができる。
リードして終盤を迎えるのだから、当然、投入するセットアッパーも、アーズマ、ケリーといった、勝ちゲームに登板する、信頼に足る質のいいブルペンを投入することもできる。
また、こういったゲームでは打線へのディレクションが違ってくる。
僅差ゲームだけに、細かい戦術を駆使しても意味はあるわけで、バント、盗塁、進塁打、エンドラン、四球、監督の試みるさまざまな戦術に意味がでてくる。観戦者もゲームを楽しむことができる。
「4月には細かい野球ができた」という背景には、このロブ・ジョンソン先発ゲームの存在は欠かせなかった。
2009年4月、ロブ・ジョンソンは先発投手の防御率2.85で4月を乗り切った。
5月2日にウオッシュバーンの勝ちが消えたのは、頼りになったセットアッパー・ケリーがDLで不在で、リリーフしたロウとアーズマが揃って1失点ずつ失点したための逆転負け。5月7日に負けがついたのは、打線の援護がなかっただけのことだ。先発としてのウオッシュバーンのピッチングにはなんの問題もなく、ゲームは作れている。
また4月末のロブ・ジョンソン先発ゲームでも、5月2日のウオッシュバーン同様、先発がQSしたのに負けたゲームはいくつかある。
例2)城島先発マスクで、ゲーム失点が5を越えるケースのグダグダゲーム
例1であげたようなロブ・ジョンソン先発ゲームのようなゲームディレクションは、試合前半でたいてい4点程度失点する城島先発マスクのゲームでは、まったく違ってくる。ゲーム自体がかなり大雑把で、大味なものになってくる。
失点もさることながら、城島の先発ゲームでは、失点の有る無しにかかわらず、四球が多い。そのため先発投手は、大量失点で降板が早まるだけでなく、四球乱発でタマ数が増え、100球制限に達するイニングがロブ・ジョンソンのゲームより1イニング、2イニング、早くやってくる。
このため城島先発ゲームでは、先発投手が7回までマウンドにいることなど、ほとんど無い。よくあるパターンは、1回から3回の間の失点でノックアウトか、5回までのイニングで4失点以上してマウンドを降りるケース。当然ながら、QS(クオリティ・スタート)する投手は滅多にいない。
また、どの投手交代のケースでも、投手をかえる理由は相手チームにリードを許したためだから、当然、良いピッチャーはあまり登板させられない。リリーフが打ち込まれる確率は当然高くなり、さらにリードを広げられ、最終回を待たずに大量点差でゲームが決まって、ゲームがしらける、ということになる。
打撃面の影響も大きい。ある意味では投手よりもずっと大きいかもしれない。
失点が多く、失点しなくても四球が多いため、シアトルの野手の守備時間が長くなりすぎる。ただでさえ集中力がないシアトルのプレーヤーたちは、モチベーションが大きく損なわれる。
攻撃面でのディレクションにも、多大な影響がでてくる。
1点差なら「細かい野球」をしていても意味はある。だが、城島先発ゲームでは点差が開く。だから1塁にランナーが出たからといってバントするような細かい指示をするわけにはいかない。監督は打者にヒッティングさせざるを得ない。
もともと進塁打を打ったり、四球でランナーをためたり、バントをしたり、何人かで1点を獲りに行く野球が苦手な大雑把なチームカラーだが、その雑なカラーが相手チームの大量リードでさらに助長され、ランナーがいるのに、だらけた大雑把なバッティングばかりが増えていく。ダブルプレーが増え、打撃の効率がガクンと下がる一方、何も考えずにバットを振り回すだけのフリースインガープレーヤーがゲームで単発の長打をマグレで打って、ハバをきかすようになる。
5月の城島先発ゲームは、終盤に点差があるゲームばかりで、細かい野球ができにくくなる一方、ヒッティング指示が多くなることでマグレのホームランを狙いたいタイプの打者が、ここぞとばかりにバットを振り回しはじめて、ほんのたまにマグレでホームランを打つかと思うと、三振やダブルプレー、ポップフライの山を築きながら、チーム打率とチーム出塁率が異常に低下していく、という、そんな図式だ。
なにか言葉で言うと、むつかしく聞こえるが、こんなこと、城島が入団以来ずっと続いてきたシアトルの構造的欠陥であって、わかる人はとっくにわかっている。わかっていないのはBS1のアナウンサーや解説者、役にもたたないブログや記事を書く程度の能力しかない丹羽のような提灯持ちのライター、城島オタくらいのものだ。
途中いくつか大雑把な計算に終始した部分もあるが、トータルにみれば、シーズンの大半のゲーム展開が説明できるはずだ。
城島を抱え込んだことでシアトルが負債として背負ったのは、なにも金銭的な負担ばかりではない。
守備面でもっとも重要な負債のひとつは、この「2点」という負債だ。
シアトルのゲームで城島先発ゲームを見るときは、常にロブ・ジョンソンの先発ゲームより2点多く失点するのがあたりまえだ、ということをまずアタマに入れて観戦すべきである。
もし、覚えておくのがめんどくさければ、本来は間違った意味になってしまうが、「あぁ城島マスクか。普通に0対0のスコアでゲームが始まるのではなくて、0対2、いつもより2点負けた状態からゲームが始まるのだな」くらいにでも、覚えておくといい。
今日はこの話を、ウオッシュバーン登板ゲームを例に、少しおっかけてみる。
下記のウオッシュバーン登板ゲームにみられるように、ロブ・ジョンソンと城島とでは、1試合の失点のすべての面に、常に「2点の差」がある。このことは城島がメジャーに来てからというもの、シアトルのゲームマネジメント、さらには選手起用からトレードにいたるまで、あらゆる面ではかりしれない悪影響を与えてきている。
5月13日までのウオッシュバーンの登板試合と捕手の関係はこうなっていた。
ロブ・ジョンソンとウオッシュバーンのバッテリーのゲームは、全ゲームでQS(クオリティ・スタート)を達成。相性の良さなど、説明するまでもない。
4月9日 8回無失点 QS ジョンソン 完封
4月15日 6回自責点2 QS 城島(4回自責点0 怪我による交代)→ジョンソン(2回自責点2)
4月21日 7回自責点2 QS ジョンソン
4月26日 5回1/3自責点6 バーク 負け
5月2日 7回自責点1 QS ジョンソン 勝ち負けなし
5月7日 7回自責点1 QS ジョンソン
5月13日 6回自責点4 城島
ウオッシュバーン登板時の捕手別の防御率を計算してみる。当然、ロブ・ジョンソンの数字が際立つわけだが、ロブ・ジョンソンと城島との間に、「2点の差」がある。このことをよく覚えておくといい。
この差はウオッシュバーンに限らず、大半の先発投手で成り立つ。
(この計算は5月13日のもので、5月18日には捕手城島で5回6失点でノックアウトだから、実際には5月18日には城島の数値は6.00にまで悪化いる)
ジョンソン 31回自責点6 1.74
城島 10回自責点4 3.60
(5月18日時点では、城島は 15回自責点10 6.00)
防御率=(自責点×9×3)÷(投球回×3)で、計算
ジョンソンの場合、5月13日までのCERAが3.20程度で、RAve(平均失点)も3.53程度と優秀だ。
ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンのバッテリーなら、7回を投げたウオッシュバーンが自責点1から2でマウンドを降り、その後、ブルペン投手が0点から1点の失点。トータルでは、最良で1点、最悪でも3点までの失点でゲームが終わる計算になる。
これはだいたい実際のゲームにもそっている。たとえばロブ・ジョンソンの不運な負けパターンというのは、たいていの場合、先発が2失点以内で6回以上投げて好投したにもかかわらず打線の援護がなく、試合終盤に1点とられ、3−2、あるいは3−1とかいうロースコアの負けがついているだけのことだ。
城島の場合、CERAが5.31(5月18日)、RAveが5.87(5月18日)と5点台だから、まったく話が違ってくる。
ウオッシュバーンと城島のバッテリーの場合、ウオッシュバーンは5回しかもたない計算になる。自責点は計算上では2点(だが実際にはもっと多くなる)。その後、4人ものブルペン投手を使う(またはバティスタがロングリリーフする)ことになり、ブルペンの失点をどう少なく見積もっても、3点から4点程度覚悟しなければならない。トータルの失点は確実に5点から6点の失点になる。
実際のゲームでいうと、5回までハラハラの展開、6回以降、ガタガタと投手が崩れて、終わってみれば相手に5点以上の点をとられて負ける、という感覚のゲームになる。これも、実際のゲームにそこそこ沿っている話だ。
もう一度言うが、「2点の差」は、ウオッシュバーン先発のゲームだけではなく、どの先発投手のケースでも、差の大小はあれども、成立していることは誰にでもわかるだろう。
この「2点の差」は、チームがゲームをどうマネジメントして、どう勝ちに結びつけるか、というディレクションの深部に、大きすぎる影響を与え続けている。あたりまえのことだ。捕手で「2点の差」が出れば、ゲームプランがぜんぜん違ってくる。
この事実はわかっている人には何年も昔からわかっていることだが、実際にはこんなこともアタマに入れないで発言している馬鹿が、ファンにも、BSのようなメディアにも、いまだに多いのはあきれかえる。
たとえば「リーグランキングでERAの非常に良いシアトルがこれほど勝てない原因は、すべて打線にある」などという、たわいない意見を意気揚々と書く馬鹿なファンがいる。城島の投打両面の責任をベルトレやグリフィーの打撃不振にでもすり替えたいのか知らないが、これほど大雑把すぎる意見をよく恥ずかしげもなく披露できるものだ。当人は得意げに喋っているつもりかもしれないが、シアトルの現状について、なんの説明にもなってない。
「アリーグでシアトルのERAが非常に良い」のは、ひとえに4月に城島が怪我をしてくれたおかげでロブ・ジョンソン先発試合が続き、そこで驚異的なCERAを残したジョンソンの大仕事の余波が、これほど負け続ける5月になっても統計に好影響を残し続けている、それだけのことだ。
もちろん城島の功績など、何もない。何もないどころか、城島の存在は日に日に4月には3点台以下だったチームのERAを悪化させ続け、もはや5点台に近づけようとしている。
この日に日に悪化していくERAが、チームのゲームプランにどう悪影響を及ぼすか。考えないやつは馬鹿だ。
たとえばボストン戦でBS1のアナウンサーなどは、自分でモノを考える能力が根本的に欠けているのだろうが、馬鹿のひとつ覚えのように
「4月当初のマリナーズは細かい野球ができていて、今年はひと味違うぞ、と思わせたものですが、5月に入って、どうもそういう部分が見られなくなってきた」
などと出来の悪い解説者以下のアタマの悪い自説を、何度もクチにして、暗にチームのマネジメントを批判していた。
おまえたちは馬鹿か。と、思う。
ウオッシュバーンの登板ゲームに限らず、ロブ・ジョンソンと城島の先発ゲームの大きな違いである、「2点の失点の差」がどれだけ大きい意味があるか、わからないか。
以下に、多少理由を概説するために、ウオッシュバーンの今シーズンの例をあげてみる。
例1)ロブ・ジョンソン先発マスクで、失点が2から3に抑えられるケースのゲーム構成
5月2日オークランド戦でウオッシュバーンは7回を自責点1に抑え、勝ち投手の権利をもったままマウンドを降りた。また5月7日ロイヤルズ戦でも、彼は7回を自責点1と、十分な働きをみせた。
もともと得点力の低いのはわかりきっているシアトルだが、この2例のように先発の失点が2点程度、また、ゲーム全体の失点が3から4程度でおさまるロブ・ジョンソン先発試合なら、シアトル側は1回から6回の間のどこかで得点をなんとか3点程度とっておけば、リードしたまま、あるいは同点に近い僅差の展開でゲーム終盤を迎えることができる。
リードして終盤を迎えるのだから、当然、投入するセットアッパーも、アーズマ、ケリーといった、勝ちゲームに登板する、信頼に足る質のいいブルペンを投入することもできる。
また、こういったゲームでは打線へのディレクションが違ってくる。
僅差ゲームだけに、細かい戦術を駆使しても意味はあるわけで、バント、盗塁、進塁打、エンドラン、四球、監督の試みるさまざまな戦術に意味がでてくる。観戦者もゲームを楽しむことができる。
「4月には細かい野球ができた」という背景には、このロブ・ジョンソン先発ゲームの存在は欠かせなかった。
2009年4月、ロブ・ジョンソンは先発投手の防御率2.85で4月を乗り切った。
5月2日にウオッシュバーンの勝ちが消えたのは、頼りになったセットアッパー・ケリーがDLで不在で、リリーフしたロウとアーズマが揃って1失点ずつ失点したための逆転負け。5月7日に負けがついたのは、打線の援護がなかっただけのことだ。先発としてのウオッシュバーンのピッチングにはなんの問題もなく、ゲームは作れている。
また4月末のロブ・ジョンソン先発ゲームでも、5月2日のウオッシュバーン同様、先発がQSしたのに負けたゲームはいくつかある。
例2)城島先発マスクで、ゲーム失点が5を越えるケースのグダグダゲーム
例1であげたようなロブ・ジョンソン先発ゲームのようなゲームディレクションは、試合前半でたいてい4点程度失点する城島先発マスクのゲームでは、まったく違ってくる。ゲーム自体がかなり大雑把で、大味なものになってくる。
失点もさることながら、城島の先発ゲームでは、失点の有る無しにかかわらず、四球が多い。そのため先発投手は、大量失点で降板が早まるだけでなく、四球乱発でタマ数が増え、100球制限に達するイニングがロブ・ジョンソンのゲームより1イニング、2イニング、早くやってくる。
このため城島先発ゲームでは、先発投手が7回までマウンドにいることなど、ほとんど無い。よくあるパターンは、1回から3回の間の失点でノックアウトか、5回までのイニングで4失点以上してマウンドを降りるケース。当然ながら、QS(クオリティ・スタート)する投手は滅多にいない。
また、どの投手交代のケースでも、投手をかえる理由は相手チームにリードを許したためだから、当然、良いピッチャーはあまり登板させられない。リリーフが打ち込まれる確率は当然高くなり、さらにリードを広げられ、最終回を待たずに大量点差でゲームが決まって、ゲームがしらける、ということになる。
打撃面の影響も大きい。ある意味では投手よりもずっと大きいかもしれない。
失点が多く、失点しなくても四球が多いため、シアトルの野手の守備時間が長くなりすぎる。ただでさえ集中力がないシアトルのプレーヤーたちは、モチベーションが大きく損なわれる。
攻撃面でのディレクションにも、多大な影響がでてくる。
1点差なら「細かい野球」をしていても意味はある。だが、城島先発ゲームでは点差が開く。だから1塁にランナーが出たからといってバントするような細かい指示をするわけにはいかない。監督は打者にヒッティングさせざるを得ない。
もともと進塁打を打ったり、四球でランナーをためたり、バントをしたり、何人かで1点を獲りに行く野球が苦手な大雑把なチームカラーだが、その雑なカラーが相手チームの大量リードでさらに助長され、ランナーがいるのに、だらけた大雑把なバッティングばかりが増えていく。ダブルプレーが増え、打撃の効率がガクンと下がる一方、何も考えずにバットを振り回すだけのフリースインガープレーヤーがゲームで単発の長打をマグレで打って、ハバをきかすようになる。
5月の城島先発ゲームは、終盤に点差があるゲームばかりで、細かい野球ができにくくなる一方、ヒッティング指示が多くなることでマグレのホームランを狙いたいタイプの打者が、ここぞとばかりにバットを振り回しはじめて、ほんのたまにマグレでホームランを打つかと思うと、三振やダブルプレー、ポップフライの山を築きながら、チーム打率とチーム出塁率が異常に低下していく、という、そんな図式だ。
なにか言葉で言うと、むつかしく聞こえるが、こんなこと、城島が入団以来ずっと続いてきたシアトルの構造的欠陥であって、わかる人はとっくにわかっている。わかっていないのはBS1のアナウンサーや解説者、役にもたたないブログや記事を書く程度の能力しかない丹羽のような提灯持ちのライター、城島オタくらいのものだ。
途中いくつか大雑把な計算に終始した部分もあるが、トータルにみれば、シーズンの大半のゲーム展開が説明できるはずだ。
城島を抱え込んだことでシアトルが負債として背負ったのは、なにも金銭的な負担ばかりではない。
守備面でもっとも重要な負債のひとつは、この「2点」という負債だ。