June 12, 2009

ボルチモア遠征第3戦が雨で中断していた時間を利用して、アーズマの「サンデー・フェリックス」発言の意味を、今日のオルソンのピッチングをサンプルに考えてみた。(現在は3ベースを打ったイチローが生還したところ)
まずは重要なアーズマの「サンデー・フェリックス」発言をあらかじめ読んでおいてもらおう。
Steve Kelley | Mariners need more of Sunday's Felix Hernandez | Seattle Times Newspaper

(原文)
"He was going right after guys," said closer David Aardsma, who picked up his sixth save with a scoreless ninth. "I think in his last couple of outings he was trying to pitch around guys a little bit more. Trying to throw stuff on the corners. (後略)"
(粗訳)
「彼(=5月24日のヘルナンデス)は打者をうまく打ちとっていたねぇ」と、9回を無得点に抑え、6つ目ののセーブを得たクローザー、デイビッド・アーズマはいう。「僕が思うに、最近数試合の登板の彼はね、もっとギリギリに投げよう、投げようとしていた。球種をコーナーに集めようとも試みていた。
2009年5月24日、デイビッド・アーズマが「ヘルナンデスがロブ・ジョンソンと組むゲームと、城島と組むゲームの大きな違い」を初めて証言した。

正確な話は原文を読んでもらうとして、アーズマの話のポイントは、城島が捕手をつとめたヘルナンデスのゲームが3登板つづけて連敗していた当時の「ピッチングの窮屈さ」をハッキリ指摘しつつ、それと好対照のゲームとして、5月24日のゲームでロブ・ジョンソンが捕手をつとめたヘルナンデスが実にのびのびとピッチングできていたことを対比してみせたことにある。
2009年5月24日、ヘルナンデスは無敗のパートナー、ロブ・ジョンソンを捕手に8回自責点1でQS達成、10奪三振でひさびさのデーゲームを勝利に導いた。


ここで、今日のオルソンの2回の四球の場面を見てもらおう。

この時点でスコアは0-2。1回裏にはやくも1番のロバーツと並んで打たせてはいけない好打者4番DHスコットにアウトコースぎりぎりの球を2ランされている。
下に挙げた画像は2回先頭打者のキャッチャーのゾーンの打席。ゾーンは打率.205の打者で、まったく怖い打者ではない。にもかかわらず、ノーアウトで四球で歩かせてしまい、次打者にシングルを打たれ、ノーアウト1,2塁のピンチを招いてしまう。
このときのピッチャーオルソンの立ち上がりの「ひとりよがりぶり」は、下の画像の配球を見ればわかるはずだ。「ひとりよがり」と断定的にコメントする理由は、今日のゲームデイで3回までの打者への全投球をよく見て確かめてほしい。

最初の40球が20ボール20ストライクだったように、これではボールが多すぎる。
「ボールが多すぎる」という場合、普通は「投手のコントロールが悪い」という意味になることが多いが、オルソンはそうではない。ここが重要なポイントだ。むしろ、彼はコントロールはいい。制球がいいのに、ボールが多いのだ。
(先日の松坂の登板などでも、5イニングで8三振くらい奪っているにもかかわらず、5失点でKOされたりしている。ここらへんの話は機会があれば書いてみるつもり)
その後、データでみると2回のストライクが増えていくが、それはボール球をたくさんファウルされたためにストライクとカウントされているためで、オルソンが多くのストライクを投げたわけではない。
Seattle vs. Baltimore - June 11, 2009 | MLB.com: Gameday

2009年6月11日 2回裏 ゾーン四球2回裏 先頭打者ゾーン
四球



この画像からわかるように、球はどれもこれもストライクゾーンの4隅を狙っている。オルソンという投手は「ものすごくコーナーをつきたがる投手」なのだ。ここも城島のリードのダメさ加減を考える上で重要なポイントのひとつだ。
また、このオルソン、このあいだの貧打で負けたゲームで「僕は今日の投球について何も恥じることはない」とコメントしているように、なかなか負けん気の強い性格の投手でもあるようだ。この強気な癖にピンチには弱い性格面も、なかなか城島に通じるものがある。

彼のような、球威はないがコントロールでかわしていく投手にしてみれば先頭のゾーンへのフォアボールは「アンパイアがストライクをとらないのがいけない。僕の球はコーナーをきちんとついているのだし、問題はない」とでも思うかもしれない。
しかし、打率2割の8番キャッチャーへの配球にしてはちょっと狙いが窮屈すぎて、かえって四球にしてしまっている。


これこそ、アーズマが指摘する「窮屈なピッチング」の典型的パターンであり、まさに城島がキャッチャーをつとめるゲームの大きな欠陥のひとつでもあると、当ブログでは指摘しておく。

「コーナーをついているから間違ってない」というのは、野球では必ずしも正しくなどない。ピッチャーの仕事は「アウトをとること」であり、「コーナーをつくかどうか」は方法論であって、それ自身は目的ではない。
それなのに、打率2割の先頭の8番バッターにここまでの「窮屈なピッチング」をして、フォアボールにしてしまうような、シチュエーションにあわない神経質な投球は、投手、特に先発投手にとって、必須のものではない。

現に、1回にスコットに打たれた2ランも、アウトコースいっぱいの球である。
いくらゾーンぎりぎりに球を投げようと、「ランナーが出たらアウトコースにストレート系が来る」とか、「カウントが悪くなれば、コーナーいっぱいにストレート系が来る」とか、打者側がわかってしまえば、優秀なスラッガーには長打されてしまうのである。
前述のゾーンを歩かせた場面は、たとえキャッチャーがキロスでなく城島でも、ほとんど同じような配球をすると考える。

こういう、「コーナーをついたのにホームラン」とか、「コーナーをついているのに四球」とか、そういうおかしな甘えは美学でもなんでもない。プロのベースボールには必要ない。

そういうのは日本の九州の田舎ででもやってもらえばいい。

2009年6月11日 1回 スコット2ラン1回 スコットの2ラン

アウトコースの4シーム。流し打ちのホームランボール。腕を伸ばして打てる、打者にとって絶好のコース。

2009年6月11日 7回裏マーケイキス ダブル7回裏 マーケイキス
ダブル


投手はオルソンではなく、ジャクバスカス。スコットの2ランと同じアウトコースいっぱいの球。流し打たれてツーベース。2、3塁のピンチ。







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