June 18, 2009

打撃はいいが、捕手としての能力について長年疑問符がつけられ続けていたヤンキースのポサダについて、ニューヨークタイムズがCERAデータを元にストレートな疑問符を投じた。
論調の基礎になっているのは「投手の成績はキャッチャーによって決まってしまう部分がある。それはゲームの結果にも影響する」という、このブログではおなじみのというか、当たり前の話。単細胞な城島オタクはともかく、知ったかぶりのメジャー通の言うような「メジャーではキャッチャーは壁」などという紋切り型のデタラメは、USメディアでは通用しない子供の戯言であることが示された。
記事ではバーネット投手が具体例をあげながら、キャッチャーによって変わる投球内容についての証言も行っている。
Analysis - Yankees’ Pitching Problems May Be Linked to Catching - NYTimes.com

翻訳はとりあえず以下を参照。
「捕手失格」DH埋まり…ポサダ問題でヒデキピンチ! - 夕刊フジ
(ただし、上記の夕刊フジの記事は多少問題がある。夕刊フジが大半を引用しているニューヨークタイムズの元記事と照らしつつ、注意して読むべきだ。
夕刊フジは記者が主観で「ポサダはもともとキャッチングに問題があった」などと書いた直後にNYタイムズの記事の翻訳を切れ目なしに並べて書いているが、これだと、あたかもNYタイムズの記事が「ポサダのキャッチング」を批判したように読めてしまう。
だが、原文を読めばわかることだが、これは夕刊フジ記者の主観による書き足しであって、NYタイムズの記事は「ポサダのCERAがあまりにも悪い原因はキャッチングにある」などとは書いていない。
むしろNYタイムズは移籍してきたバーネット投手が「ストレートを投げるようなカウントで、カーブを投げて様子をみる」などと話した例をあげて、配球の話をしている。
夕刊フジでは、このバーネットの「配球」についての証言部分が省かれてしまっている。)



元記事を読む前にCERAの数値の意味をおさらいして、またヤンキースの蚊抱える「ポサダ問題」と、シアトルの「城島問題」の類似性や、ポサダのキャリアスタッツなどについて触れてみる。


5点台のCERAの捕手というのは、例えばポストシーズン争いたけなわの2007年7月中旬の例でいうと、WSNのシュナイダー、TBのナバーロ、TEXのレアードと、わずか3人しかいない。これら3チームともこの時点でそれぞれの地区の最下位だったことからわかるように、5点台のCERAは捕手としてまったくダメ。異常に強力な打線でも持たないかぎり、5点台の正捕手をもつチームは地区最下位あたりをさまようことになる。
シアトルでいうなら、城島はキャリア4.86と、毎年5点前後の酷い数字を残すダメ捕手だが、2009年6月16日時点で5.57と酷い数値のキロスは捕手としてはとっくに失格。デーゲームで使う意味すらなくなっている。
CERA 5点を大きく越えるようなキャッチャーはチームにクビにされたくなければ、CLEのビクター・マルチネス(打率.340 CERA 6.10)ではないが、人並み以上の打撃成績で酷い守備面をフォローしければならない。人並みの打撃成績なら、チームとして使う意味はまったくない。

逆に3点台は優秀なキャッチャーの勲章だ。
3点台の捕手は、キャリア3.78のラッセル・マーティンのように、打撃はたいしたことはないがキャッチャーとして優れた数字を残す名捕手タイプということになることがほとんどだ。キャリアCERA 3.91で、加えて打撃も素晴らしいジョー・マウアーのような攻守に優れたスーパースターは、規格外、別格なのだ。、
ロブ・ジョンソンはメジャートップの成績で、2009年6月16日時点での2.73という数字は、毎年1人でるかでないかの驚異的な数字。名捕手への道を歩む能力を十分に感じさせている。



さてポサダだが、今年のCERA6.31はあまりにも酷い。これではゲームにならないし、投手陣から不満が出るのはわかる。
もちろん今年5月最初の12ゲームで88失点した城島のように、1試合平均7失点8失点するような最低のキャッチャーは、NYYで進退が議論されるポサダ以下で、議論にすら値しない。ゲームに出る資格がそもそもないし、メジャーに存在する意味もない。
ただポサダのキャリアCERAは4.44で、キャリア4.86の城島よりかなりマシの及第点クラスだから、ポサダの不調が今年1年だけなのかどうか、判断が難しい。だが37歳という年齢でキャリア終盤の彼について、来年以降の成績改善にニューヨーク市民が期待しているわけではなさそうである。
ポサダのキャリアスタッツ
Jorge Posada Stats, News, Photos - New York Yankees - ESPN

一方、控え捕手のセルベリ、モリーナ、キャッシュらが受けたときのCERAは平均3.81で、6.31のポサダと1ゲームあたり2.5点もの差がある。ヤンキースの3捕手それぞれのCERAを取り出すと、4.18、3.66、3.49と多少の幅はあるが、それでも4点前後の好データの範囲に全員が収まっている。
これはちょうどシアトルで2点台のロブ・ジョンソンや、それに準じる数値のバークと、数値の酷い城島キロスの間に2点以上の差があるのと似ている。
カテゴリー:2009投手ERA「2点の差」

NYタイムズの記事では、バーネットの登板ゲームで、ポサダのマスクのときだけ被打率が.330と跳ね上がっていることを指摘しているが、このことについて、バーネット自身も現場の投手として、アーズマが証言したのと同じように、「捕手が違うと投球内容が変わってくる」という意味のことを、例をあげながら証言しているのが興味深い。
2009年5月24日、デイビッド・アーズマが「ヘルナンデスがロブ・ジョンソンと組むゲームと、城島と組むゲームの大きな違い」を初めて証言した。

シアトルの例で言うと、このブログでも、ロウの登板ゲームでの同じ32球の内容について、ロブ・ジョンソン城島の配球の違いについて触れたことがある。
2009年5月12日、切れた城島は先発全員安打を食らい、予想通りゲームをぶち壊した。(ロブ・ジョンソン・城島の32球の配球比較つき)


当然のことながら、「メジャーでは配球は全て投手が決め、キャッチャーは壁でしかない」などというのは、ただの迷信でしかない。

捕手によって、配球は変わる。
ニューヨークタイムズの指摘を待つまでもない。


One unsettling fact for the Yankees is the difference when Jorge Posada catches. With Posada behind the plate, the Yankees' pitchers have a 6.31 E.R.A. The combined E.R.A. with Francisco Cervelli, Jose Molina and Kevin Cash is 3.81.

Posada has caught four starts by Chien-Ming Wang, whose job status is now evaluated on a game-by-game basis. Even removing those starts, the staff's E.R.A. with Posada is still high, at 5.47.

Posada, 37, has handled many exceptional pitchers in his career. Although some, like Randy Johnson and Mike Mussina, have preferred other catchers, Posada does not have to apologize for his résumé. Posada takes his job seriously and is an emotional engine of the team.

Yet Burnett, in particular, seems to struggle with him. In Burnett's four starts pitching to Posada, opponents have batted .330. In nine starts with the other catchers, the average is .223.

When he lost a six-run lead in Boston in April, Burnett questioned the pitch selection, though he blamed himself, not Posada. Asked Sunday about the difference in pitching to the rookie Cervelli, Burnett gave a careful but revealing answer.

“I think it's just a matter of ― I don't know if it's the catcher ― but we threw curveballs in fastball counts, we had them looking for something and they had no idea what was coming, I don't think,” Burnett said. “That's huge.”








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