July 15, 2009

日本には「お盆」という盛夏の習慣があり、それにあわせて祭りが行われ、人は故郷に帰る。

「お盆」には、人は故郷で、昔なつかしい友に会って旧交を温め、墓地にもう亡くなってしまった人を訪ねて、自分がどこから来たのかを確かめ、そして、どこへ向かっているのか確かめる。
過去と再会することは、悲しいことではない。むしろ、畏敬と謙虚さをもった心に年に一度戻る大切な時間である。


Nick Adenhart, 1986-2009 | MLB.com: History

Nick_Adenhart_ForeverAdenhart honored in pregame ceremony | angelsbaseball.com: News

Game_of_Nick_Adenhart

関連記事まとめ:The Johjima Problem.:ニック・エイデンハート Nick Adenhart

メジャーのオールスターの季節にいつも思うことは、ベースボールは誰かひとりの手で築きあげられるわけではなく、たくさんのプレーヤーとファンが長い歴史を共有することで高められる、ということだ。オールスターにはいつも過去の名プレーヤーが招待され、現役プレーヤーとの間で短い時間だが暖かい交流が図られるのを、ファンが微笑みとともに見守る。
いや。歴史を共有、というと、むつかしくなってしまう。むしろ、「長い夢」を一緒にみる、といったほうがいいかもしれない。

オールスターとは各シーズンの最も大きな夢をファンとプレーヤーが共有しあう行為であり、そこに出場することはベースボールという「長い長い夢」の一部、いい意味で「かけら」になる、ということだ。


イチローがシスラーの墓参りに行ったことで、そんなことを考えた。イチローは既にベースボールという歴史の一部、長い夢の一部としてフィールドに立っている。シスラーの墓参りはベースボールに対する畏敬と謙虚の表れである。
The Hot Stone League | UPDATED: Ichiro visits grave of George Sisler (with new Ichiro and Wakamatsu quotes) | Seattle Times Newspaper

A buried treasure - MLB - ESPN
セントルイス・ブラウンズのプレーヤーだったジョージ・H・シスラーのストーリー。


だからオールスターはベースボールにとっての「お盆」なのである。
いま最もホットなプレーヤーの演じる夢のゲームを見ながら、ファンは昔なつかしいプレーヤーを思い出し、プレーヤーはいつもは離れて戦っている他チームの友人に会って旧交を温める。


日頃、雑事にかまけてばかりいる自分のような人間が今年亡くなったエンゼルスのニック・エイデンハートのことも思い出すとしたら、オールスターの今日が最もふさわしい。
日本の「お盆」には「送り」という習慣があるが、このオールスターで、彼がベースボールにかけた夢をセントルイスのフィールドに「送って」やりたいと思う。


オールスターのフェリックスAbove us.


フェリックスは、エイデンハート投手と同じ、1986年生まれ。

汽笛の鳴る線路脇のボールパークマリナーズの故郷は海沿いのボールパーク。貨物の鉄道のすぐ裏。南側に走る道路は「エドガー・マルチネス通り」
http://maps.google.co.jp/maps?ll=47.593115,-122.33335&z=15&t=h&hl=ja







Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
記事検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month