August 04, 2009

城島の打撃の酷さを調べるためにチーム全体の打撃成績を調べていて、ふと、あることに気がついた。
Ronny Cedeno Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

結論を先に言っておく。

シアトルは若い可能性をみつけるのが本当に下手だ。

(いや。グティエレスやブラニヤンが当たりだったな。失礼した。でもアダム・ジョーンズ、シェリル、イバニェスを獲得したチームに比べて成功したトレードといえるかどうか)

シアトルのショートは、打撃改善の余地が残され、サラリーも安いセデーニョのままで十分だった可能性がある。若いセデーニョのトレードに慌てて走らなければならない理由はどこにもなく、もし今後ウィルソンが打撃面でセデーニョ以下の城島並みにあまりにも酷いバッターなら、ウィルソン獲得は大失敗に終わる。そもそもベタンコートより攻守でウィルソンは落ちるなら、ベタンコート以降、ショートの守備をいじりまわしたトレード全体が無意味になる。
投手のスネルが欲しかっただけなら、なにもクレメントとの交換でなくても実現はできた。
このシアトルの焦った「ショートストップ獲得騒動」に巻き込まれたクレメントのトレードは安売りだったし、クレメントの打撃にはまだまだ打撃面で期待ができた、という意味でもナンセンス。
来年にはいなくなるDHグリフィーの後釜や控え、一時急速に打撃の衰えた1塁ブラニアンの控えなど、来年以降にシアトルで仕事を作れた可能性はあった。

シアトルのトレード、というかチーム方針は、なんというか、迷走している部分、ブレている部分ばかり感じる。
そもそも買い手なのか、売り手なのか、判然としない。投手陣のまとめ役のウオッシュバーンが安売りされ、「ショートの獲得騒動」にクレメントが巻き込まれて安売りされ、狙いがますます不明瞭になってきた。
迷走しているうちに、打撃力も投手力も、さらにチームのまとまりも失いつつある感じが、日に日に強くなってきているのが困る。
ブログ主だけなのかもしれないが、ズレンシックが何を目指しているのかわからない、と感じるときがある。


野村氏ではないが、ボヤキばかりでもつまらない(笑)
ちょっと難しいクイズを出してみよう。
シアトルのAB/HR、つまり「ホームラン1本打つのに何打席かかったか」というデータのランキングだ。(8月2日現在)

14.0 ブラニアン(1位)
24.8 グリフィー
25.2 ロペス
27.8 グティエレス
28.0
37.2 
38.8 バレンティン
46.0 
46.7 城島
59.4 ベルトレ

上位4人はわかる人が多いと思う。あらかじめ書いておいた。
また、いかにもホームランを打つように思われている城島、ベルトレの名前も、あらかじめ入れておいた。今シーズンの彼らはまるっきりホームランなど期待できないことがよくわかるだろう。
また、たまにバレンティンが意外な場面でホームランを打っていたのを覚えているシアトルファンも多い。彼の名前もあらかじめ書いておく。

そこで、問題。
空いている残り3つのスペースに入るシアトルの野手の名前を当てられるだろうか?(DL中の選手、トレードされた選手はアリ。マイナーにいる選手はのぞく)




これが正解だ。
6位セデーニョが意外ではないだろうか。

14.0 ブラニアン
24.8 グリフィー
25.2 ロペス
27.8 グティエレス
28.0 ハナハン
37.2 セデーニョ

38.8 バレンティン
46.0 スウィニー
46.7 城島
59.4 ベルトレ


たまに意外な場面でホームランを打つバレンティンが長打のあるグティエレスの次にくるのでは?と思った人も多いのではないだろうか。ブログ主はそう思った。
しかし、セデーニョはAB/HR、つまり、ホームランを打つのに必要な打席数において、バレンティンより上、さらに、スウィニー、城島、ベルトレより上なのだ。意外である。
話にならないと思いこんでいたセデーニョはIsoP(Isolated Power)の数値が意外に高い。これは、IsoPが(長打率ー打率)で計算されるため、セデーニョの打率が低すぎるため、見た目だけIsoPが「高くみえる」、それだけだろうと思った。

そこで確認のために、と思って見たのがAB/HRだったわけだが、結果は意外なもので、「セデーニョのホームランを打つ割合は、シアトルでは、第6位で、バレンティンと同程度」ということがわかったわけだ。

さらに気になって移籍直後のセデーニョのピッツバーグでの打撃をたしかめてみると、15打数4安打で、なにやら2ランホームランまで打っているではないか。困ったものだ。
Washington Nationals vs. Pittsburgh Pirates - Box Score - August 02, 2009 - ESPN



ショートのベタンコートのトレード以来、セデーニョ、ウィルソンと、シアトルの「ショートストップ」がコロコロかわっている。

けして打撃も守備も悪くはないベタンコートの放出理由については、「攻守の波の大きさ」とでもまとめられるだろうが、セデーニョは「守れるが打てない」くらいのことはわかっていただろうと思う。そのセデーニョをネタに獲得するウイルソンが「守れるだけで打てない」のでは、サラリーが高くなったばかりで、何の意味もない。
まして、セデーニョのスタッツを見るかぎり、「本当に打てないのかどうか」はまだわからなかったはずだ。移籍してきたばかりのウィルソンの打撃をどうこう言うのも失礼といえば失礼だが、キャリアをずいぶん重ねてきてしまって伸びしろがないことがわかっているウィルソンの打撃と、まだ若いセデーニョでは、可能性に差がありすぎる。

そもそも、いま、7月末のシアトルは、再建モードの「売り手」か「買い手」なのか、「若手を育成して守備固め」なのか「多少はワイルドカードに未練があるのか」、そこらへんがまるで見えなくなってきている。



そんな意味のわからないショートストップ騒動に巻き込まれるように、ウィルソン獲得に際してクレメントが放出されてしまったのは、かえすがえすも残念。


この3人のショートストップたちの打撃、簡単にいまのシアトルのチーム方針風に比べてみよう。
城島の打撃について調べた5つの指標だけいうと、3人の成績はいまのところこんな風になっている。(各プレーヤーとも、2009シアトルでの成績)

OBP 出塁率
セデーニョ   .213
ウィルソン   .250
ベタンコート  .278
城島      .288

BB/PA 打席あたりの四球数
ウィルソン   .000
城島      .027
ベルトレ    .035
セデーニョ   .049

P/PA 打席あたりの投球数
城島      3.25
ベタンコート  3.27
ウィルソン   3.38
セデーニョ   3.67

IsoP Isolated Power
ベタンコート  .080
城島      .100
セデーニョ   .124
ウィルソン .125

SecA Secondary Average
ウィルソン   .125
ベタンコート  .134
城島      .136
セデーニョ   .183

セデーニョが思ったより悪くない、ということと、3人の中で最もウィルソンが期待できない感じくらいがわかってもらえば幸いだ。

ウイルソンは、まだチームに来てわずかしかたっていないから、今あれこれ言うのが酷なのはわかっている。もちろん、トレード前から「守れるが打てないショート」なのは、もう年数たっている選手だし、そう今後変わるとも思えない。
そもそも同じ「守れるが打てないショート」というだけなら、サラリーと年齢で比較して、なにもトレードで値段の高いものをわざわざ獲ってこなくても、セデーニョで十分だったはずだ。。

このチームは、いったい、セデーニョのどこを見て放出したのだろう。
ウィルソンが「守れるだけで打てない」なら、セデーニョを我慢して使えばいい。それに、ウィルソンなら、まだ「守備はポロリが多いが打てる」ベタンコートのほうがマシに思えてもくる。

「打てないように見えた」セデーニョを、サラリーの安さでキープして、9番ではなく、もっと気楽に打てる7番くらいを打たせて、打撃の開花を待つ手もあった。
そもそも監督ワカマツは、シアトルにおける9番の役割、次打者に天才イチローを控えた9番の役割が、他のチームと多少違うことを重視しなさすぎる。シアトルで9番にいては気楽には打てない。IsoP、AB/HRではないが、ほかの打順、6番7番あたりで気楽にバットを振り回すとどうなるか、試してもよかった。


それにしても、こんなトレードに巻き込まれて、クレメントもついてない。
チームの世話役のDHなど、チームに2人もいらない。このチームで最後のシーズンを迎えるグリフィーにどうしてもシーズン最後までプレーさせたいなら、せめてスウィニーのかわりにクレメントをメジャーに上げてきて、DHで試しすべきだった。







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