August 19, 2009

パッジのテキサスへのトレードの直接の目的は、サルタラマキアに発見されたThoracic Outlet Syndromeによるもの。
Thoracic Outlet Syndromeとは、日本語でいうと、胸郭出口症候群。腕に行く神経や血管が胸の出口の所で、圧迫されて起こる一連の病気だそうで、交通事故で首に傷害を受けた人、特定の姿勢で長時間コンピューターを使う人に多くみられ、水泳、バレ−ボ−ル、ウェイトリフティングのように腕を頭上によく挙げるスポーツをする人にもリスクがあるという。
第72回 胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome = TOS) - usjapanmed.com

サルタラマキアがDL入りしたことで、テキサスは控え捕手のティーガーデンを正捕手にするとかという選択をせず、イヴァン・ロドリゲスを獲ってきて、第3のキャッチャーのケビン・リチャードソンをDFAにした。

パッジも昔のようなスラッガーとしてのパッジではないし、そうそう昔のような活躍ができるわけでもないことは、テキサスの関係者だって、わかって獲得しているだろう。それでも、少なくとも、パッジ加入でますますテキサスのゲーム運びに「安定感」が増してしまうことにはなる。
つまりテキサスは、別にパッジのバッティングに大きな期待などしなくても、「十分勝てる体勢」に常にあるという「余裕」ぶりにあるということ。その余裕の存在が大きい。
Pudge rejoins Rangers for chance to win | texasrangers.com: News


防御率1位のシアトルはむしろ不安定なチーム
現在、ア・リーグのチーム防御率1位は依然としてシアトルだが、実は、この数字にはもう、あまり意味はなくなってしまった。この数字に意味をなくさせた原因はいろいろあるが、最大の理由は、「シアトルのチームマネジメントが7月末以降ブレまくってしまい、今シーズンに何を期待しているのか、見失っている」ことにある。
チーム防御率2位をキープしていたホワイトソックスに今日テキサスが追いついて、テキサスが2位タイに浮上しているが、実際に「堅い試合運び」をきちんと毎試合できているのは、実はテキサスのほうで、シアトルではない。
それが証拠に、チーム防御率がいくらよくても、シアトルの「試合運び」は、いつもいつも不安定で、いつまでたっても、選手をむやみに入れ替えても、打順をいくらいれかえても安定しない。
誰がいまのGMを褒めて媚びへつらおうと、そんなこと知らない。チームが安定した戦いをできない現状は、あきらかにGMや監督のブレや優柔不断さに責任がある。


ア・リーグ最少失点チームは
シアトルではなく、テキサス

シアトルとテキサスの得失点にかかわる数字を比較してみる。
被打率はシアトルのほうがいい(シアトル.247 テキサス.258)のに、失点数は、見た目にはほんのわずかな差だが、テキサスのほうが少ない。(シアトル520 テキサス507)。テキサスの失点507は、実は、ア・リーグでナンバーワンなのだ。
テキサスほど失点しないチームは、ア・リーグではほかにない、ということに一応なっている。

「テキサスの失点はア・リーグで最も少ない」ことがわかった上で、さらによく見てみると面白いのは、自責点はシアトルのほうが少ない(シアトル467 テキサス479)ことだ。つまり、投手(というかバッテリー)の責任の失点はシアトルのほうが少ないわけだ。

両チームの失点差が13、自責点の差がほんの12点だから、たいした差ではない、と思われるかもしれない。
だが、ためしに「失点から自責点を引いてみる」、つまり「投手の自責点でない失点」を求めてみると、シアトルが53もあるのに対して、テキサスは28しかなく、その差は倍くらいになる。
いま約120ゲームを経過したところだから、シアトルでは、投手に責任の無い失点が2試合に1点ずつあるのに対して、テキサスでは4試合に1点くらいしかない、ということになる。
そして得点の少ないシアトルについてだけいうなら、この「投手の自責点ではない失点の重さ」は、非常に重い意味がある


「得点<失点」のシアトル、「得点>失点」のテキサス
こんどは両チームの得点数を見てみる。
シアトル470に対し、テキサスは564もある。1試合あたりに直すと、シアトル3.98、テキサス4,82。およそ1点違う。
一方で、1試合あたりの失点は、シアトル4.40、テキサス4.33で、それほど違わない。
つまり、シアトルは毎試合約4得点して、エラーによる失点も含めて、4.40失点している、つまり「得点<失点」である。それに対してテキサスは、4.82得点して、エラーによる失点も含めて、4.33失点する。つまり「得点>失点」なのである。
別の視点で言うと、シアトルでは「エラーをしていては勝てないのに、エラーが多い」が、テキサスでは「エラーがあっても勝てるが、エラーによる失点は少ない」のである


ミスが多く、ひとつのエラーが致命傷のシアトル
ミスが少なく、ミスがあっても勝てるテキサス

シアトルで「失点ー自責点」が、53もあるとさっき書いたが、これを1試合あたりに直すと面白いことがわかる。現在118試合を消化したシアトルで、投手の自責点以外の失点は、1試合あたり、53÷118=0.45点ある。
どうだろう。毎試合4点得点して、4.40点失点するシアトルのゲーム展開にとって、この「投手の責任ではない失点」が毎試合0.45点あることが持つ重さは、けして小さくない、ということだ。

これは現実のゲームを毎日見ているファンなら、誰しも実感していることだろう。勝てるはずのゲームを、打撃であれ、守備であれ、小さな気の緩みで落とすことは、シアトルではよくある。
例えば最近実際にあった例では

センターフライをグティエレスが落球したことから4失点して、ルーク・フレンチが、『自責点ゼロ』の負け投手になった

満塁でダブルプレーでチェンジのはずが、セカンドのロペスがボールを握りなおしてダブルプレーにできず、サードランナーの生還を許した

1アウト1塁からのショート・ゴロを、ショートのジョシュ・ウィルソンがエラーしてダブルプレーどころか、1、3塁にしてしまい、その後逆転負け

などというのがある。
と、いうか、毎試合のように、こういう例がある。

毎試合4点得点して、4.40点失点するシアトルのゲーム展開のシアトルにとっては、ゲームにおいて「失点につながるような事件」がひとつでも起きれば、それで勝てるゲームを間違いなく落とす。そういう、やたらと「神経質な」チームなのだ。

かたや、テキサスはというと、4.82点得点の一方で、防御率が良く、エラー含めて4.33しか失点しないのだから、基本的にミスが少なく、投手はよく投げてくれて、野手がひとつやふたつエラーしても、1本くらいホームランを打たれても、結局勝ててしまう。そういう「ゆとりのあるチーム」ということになる。

神経質にゲームを進めなければならないか、それともゆとりを持ってプレーできるか、その差が選手のメンタリティに与える影響が大きいことは言うまでもない。これは単にテキサスは打力があるから、という話で説明できる話ではない。打力があっても失点しすぎて負け続けているチームは、メジャーには掃いて捨てるほどある。テキサスの守りは堅い。

テキサスとシアトル、この両チームにおいて、本当に守りが堅いのはどちらのチームか、言うまでもない。(もっとも、ひとつのエラーの重みが、シアトルでは重くなりすぎる、と言い換えたほうがわかりやすいかもしれない)


失点に対する責任が高くても、
スタメンでいられるシアトル

かつての先発投手たち(つまり、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード)の防御率が高かったために、シアトルはチーム防御率が見た目だけは高い。しかし、実際にはシアトルは、テキサスの倍以上の守備リスクを抱えながらプレイしている不安定な自転車操業チームだ。
テキサスのように、多少の守備の乱れや、先発投手の失点を、チーム一丸で吸収できる強靭なシステムにはなっていない。

シアトルのベンチで座っておしゃべりしている高給とりのベテランは、大量失点が当たり前の投手、大量失点が当たり前の捕手、失点につながるエラーをする可能性がある野手、または、そもそも守備につかない野手だ。つまり、総じて言えば、守備面での貢献度は小さいプレーヤーばかりだ
だが彼らのうち、野手でいえば、人並みか、人並みのやや下くらいには打てる、という名目のもとに、「貧打のシアトルでなら高給が取れるまがいものの選手」が幅をきかしている。投手でいえば、投手の選手層があまりにも薄いために、メジャーのベンチに入れて、ローテ投手にすらなれる。
彼らは、だれもかれも、「シアトルにいることが自分にとって都合がいいので、シアトルにしがみつきたがる」。見ていて本当に気分が悪い。

そこで、チームは今年6月あたり、守備はいいが安い給料の選手たちを獲得してきたり、マイナーから上げてきたりすることで、「ベンチを暖めるしか能が無いか、フルタイムで働けない高給取りの老人たち」と併用して、彼らの欠陥とペイロールをフォローする、そういうチーム補強策をとってみせた。
だが、シアトルは、いつのまにかそういう守備のいい選手をかたっぱしから「やはり打撃がダメだ」とかなんとか適当に理屈をつけて、早々に諦めてしまった。そのために、結局は勝率が下がってきて、あげくには盲目的にウオッシュバーン、クレメントを安売りして「応急処置」を施そうとしたが、かえって選手層は薄くなり、特にローテは崩壊した。
スネルは使い物にならず、ウィルソンはDL入りで、「打率は上がらず、投手の防御率は落ちる」という結果を招いて、ブルペン投手の酷使はなおさら酷くなり、結局はさらに勝率を5割に落とす結果にしかなっていない。

パイレーツ移籍後のセデーニョが既に3本もホームランを打っていることを、みなさん、ご存知だろうか。彼のホームラン数は既に城島より多い。
Ronny Cedeno Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

城島、グリフィー、スウィニー、シルバ、ベルトレ、毎試合出られる能力とフィジカルの無いベテランが、シアトルには多すぎる。彼らはロスター枠を無駄にし、能力に見合わない高給を取り、DH枠を独占しているだけでなく、能力があるかもしれない若手のチャンスを摘むどころか、若手にトレードの危機だけを与えて、結果的にシアトルのマイナーをより層の薄い、ペラペラなものにしている。
その一方で、スタメンで出ている守備系の選手は、というと、なんとかスタメン確保し続けるために、バッティングでも結果を出そうと必死になりすぎて空回りして凡退を繰り返し、「余裕の無さが余裕の無さ」を生む悪循環ばかりが繰り返されて、いつしかメジャーから落とされてしまう。
簡単に言えば、「神経質な球団マネジメントしかできない」シアトルでは「給料の安い若手に安定したチャンスで余裕を与えるような構造」にはなっておらず、むしろ、若手がちょっとでもミスをすれば、すぐに、日頃はベンチでお喋りしていて、守備面では使い物にならず、かといってバッティングはメジャー平均以下程度のベテランに、すぐにすげかえてしまうようなことばかり目立つのである。

それではチーム体質など、変わりようがない。



投打のバランスがより高い位置でとれているのは、明らかにテキサス・レンジャーズのほうなのは明らかだが、テキサスはただバッティングが優れているから勝っているわけではなく、チームマネジメントが非常にうまく投打を整備してきて、それが成功しつつある。
守れて打てる選手など、そうそういないものだが、多少の我慢もしつつ粒を揃えた選手を、方針をブレずにじっくり集めたテキサスは、チーム再建に成功しつつあるのである。パッジ獲得も、パッジの能力に期待するというより、パッジを獲ったことでチームがブレることはない自信があるから獲れる、そういう強い自信の表れだろう。

他方で、今年のシアトル、今年以降のシアトルは、何をしたいのか。
7月末のウオッシュバーンのトレード以降、このチームが何をしたいのか、何を目標にしているのか。

わかる人がいたら教えてもらいたいものだ。






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