August 25, 2009

それにしても、城島のコバンザメ記者Nといい、ウオッシュバーンのトレードを必死になって煽って実現させた、このシアトル地元紙のジャーナリスト気取りライターといい、スポーツライターはどうしてこうもダメで、モノを見る目のない輩が多いのだろう。


ポストシーズン進出の可能性がなくなったチームで、しかもセプテンバー・コールアップ直前になっているのに、今頃になってチーム打撃がどうたらこうたらだの、メディアとして、まったく意味がない。
そろそろ新人をメジャーに上げてきて来年に向けてメジャーの守備と打撃に慣れさせなければいけないこの時期だが、コネ捕手城島はじめ、シーズンの順位争いがまだ片付かない春から夏にかけてはたいした数字を残せなかった戦犯のベテランを、まるで「2008年のシアトルのように」9月以降も使い続け、彼らが自分の帳尻をあわせのためだけを目的に、必死にホームランや長打を狙うのを、地元メディアとしてほめちぎりたいとでもいうのか。

そういう、悪夢の大失敗シーズンのクセに若手の育成にも失敗した2008年のような馬鹿馬鹿しいチーム運営を、今年もまたシアトルにさせたいのか。


何年もメジャーにいながら、プレーオフ進出の見込みのないチームにとってのセプテンバー・コールアップの目的も理解できず、メジャーの仕組みもわからず、チームを100敗させておいて、秋が近づいたチームが若手だらけになったのを「タコマーズ」と皮肉った馬鹿すぎる2008シアトルの正捕手ではないが、この記者も馬鹿としかいいようがない。


グリフィーにDH枠を独占させるような馬鹿なチームマネジメントをして、中心選手に順番にDHを与えて疲労回復を図る機会すら与えずに疲弊困憊させているシアトルだが、イチローがふくらはぎの張りを訴えて、次のゲームへの出場ができるかどうかわからないという、日本のファンがそれでなくてもイライラしているこの時期に、地元メディアのシアトル・タイムズのベイカーが馬鹿丸出しでイチロー批判めいた記事を書いた。

いつもなら、自分が記事を書くときには、そのデータを挙げるか、根拠として原文のリンクを出しつつ記事を書くことにしているのだが、今回かぎりはあまりに内容が馬鹿らしくて、こんな酷い原文、とても訳す気にならない。
全部読みたい好事家は、自分で勝手に読み通してほしい。あまりにも酷いことがわかると思う。

書いたご本人、いつもジャーナリスト気取りのようだが、いやいや、いやいや。ありえない。あんたは、ただのシアトルにコネがあるから生きていられる御用聞き程度だ。
Mariners Blog | Mariners are worst in AL at scoring baserunners; failing more than 2008, 2004 squads | Seattle Times Newspaper


このジャーナリスト気取り、超限定されたシチュエーションを2つあげつらって、重箱の隅をつつきたいらしい。
ひとつは、たぶんBRS%。
(たぶん、というのは、Baseball Referenceのデータを流用して人を批判しているクセに、「このデータです」とベイカーが特定してないからだ。このBRS%、打点に限らず、その打者の打席でランナーが得点できた率、という、なんとも曖昧なデータなのである)
それと、もうひとつ、「無死か1死でランナーがサードのシチュエーションで、ランナーに得点をさせる率」。

この程度のトリビアルなデータの羅列で「シアトルの得点力の無さの原因」を探れて、しかも無駄に文字を書いて金にできるなら、誰だってメジャーのアナリストかコーチになれる。
こんな記事を書いてよく恥ずかしくないものだ。


このジャーナリスト気取りが言うには、BRS%のリーグアベレージが15%で、イチローが13%だとかいい、また、2つ目の「2アウト以下、サードでの得点率」では、イチローが30%しかないと胸を張りつつ、どうもイチローが仕事をしてないように書きたくてたまらないようだが、こんなデータで「打者の得点力」を測る馬鹿がどこにいる。

2008年に大失敗した城島をまたもや正捕手にすえて5月に大失敗し、また失敗した城島を7月に正捕手に戻しかかり、さらにマトモに打てもしないグリフィーなぞにDHを独占させてチームの主力選手を疲労困憊させ、主力投手のウオッシュバーンを安売りしてしまうチームマネジメントもチームマネジメントで酷いものだ。
だが、メディアとしてそんなチームマネジメントの酷さをこれっぽっちも批判せず、疲れ切ったイチローをムチ打つかのような記事を意気揚々と書いてジャーナリスト面する阿呆が「スポーツ・ジャーナリズム」とは、城島を正捕手に戻すチームマネジメントと同じくらい、ちゃんちゃらおかしい。




ベイカーのこの記事のくだらなさはいくらでも反証が出るだろうし、日本のメジャーファンなら誰しも、その人なりに何十、何百という種類の反論ができることだろうから、あえてここでその全部を網羅するような無駄なことはしない。あまりにも馬鹿すぎる記事に、そこまで丁寧に反論する義理はない。


そもそも今シーズン、イチローが「無死か1死でランナー3塁」というシチュエーションの打席がいくつあったか。

たったの23打席である。

20かそこらの数のシチュエーションのパーセンテージをあげつらって、イチローについて何か言えたつもりになるスポーツライターなど、ただの馬鹿である。BRS%のイチローの数字だとて、キャリアでは15%であって、リーグ標準レベルの数字をほぼ9年、きっちり残してきている。



ベイカーはそもそも、今シーズンがはイチローにとって、たいへんに特殊な年になりそうなことがわかってない。

イチローが打席に入ったときに塁上にいるランナー総数は例年350ちょっとくらいが年平均だが、今年は、あと1ヶ月少々のシーズンを残して、わずか248だかしかないのである。あと何打席あるかわからないか、100打席としても、その全部にランナーがいるなどということはありえないから、今シーズンのランナー数はどうみても、300ちょっとくらいしかいかないだろう

こんなことになった理由は、チームマネジメントに理由があり、イチローの責任ではないのは当然だ。
このチームは2009シーズン、「イチローの前にランナーを出して、いろいろ柔軟に策を講じる戦術」ではなく、むしろ「イチローの前でイニングが終わってしまう打線」を、意味不明にずっと続けてきた。
そんなこともきちんと抑えずに、ヘボいライター風情にあれこれ言われても、まるで意味はない。
下位打線の打率を他のシーズンと比較してみたことはないのだが、2009シーズンの9番打者に「打率の最も低い打者を常に置き続けた」のは間違いない。その打線システムで、イチローの得点生産力にケチをつけるなど、もってのほかだ。

このブログでも、また、数多くのイチローウオッチャーさんたちが言ってきたように、永遠の1番打者イチローが主力であるシアトルというチームにおいては、「9番打者」は本来特別な打者だ。
かつては好打者のベタンコートが9番に座り続けていた時代が長かったわけだが、その意味をワカマツは考慮することなく、結局9番には当時はまだ調子の出なかったセデーニョや、まだメジャーに慣れないソーンダースなどを置いて、打者としてのイチローを「塁に出る役割に限定して使い倒してきた」。それでイチローの打席からランナーの絶対数を減らし、打点の絶対数を減少させたのは、チームの失敗であって、イチローの責任ではない。



また、こんな走力と得点のデータもある。
イチローが走力を生かして、味方の得点を増やし、味方の中軸打者の打点を増やしてやっているというデータ群であるが、シアトルのジャーナリズム気取りのスポーツライターはこんなところも見てないのだから困る。

例えば「そのプレーヤーがランナーとして1塁にいて、二塁打が出た。このケースで、生還したケースはどのくらいあるか」というデータがある。
イチローの場合、9回のそうしたシチュエーションで、生還したケースは7回もある。言ってみれば、得点圏でない走者シチュエーションでの長打を、「イチローの傑出した走力」が、「イチロー自身の得点」と「打者の打点」に変えているわけだ。

このデータ例では、シアトルで足のあるほうといえるグティエレスさえ、6回のうち2回しか生還してない。イチローがダントツで、その次は最高でもベルトレの10回中4回程度。ベイカーがなにかともちあげたがるブラニヤンなどは8回中2回しか生還してないし、ロペスも11回中2回、グリフィーも7回中2回。大半の選手が2回程度しか生還してない。
つまり、ロペス、ブラニヤン、グリフィーのような走者は、1塁にいて2塁打が出たとしても、ほとんどホームには帰ってこれない。だが、イチローだけは悠々とホームに帰ってこれるのである。
言い方をかえれば、今年のような9番にある程度出塁できる打者を置かないノーマルな打順システムにおいては、イチローは「自身の打点は伸びないが、走力を生かして、あとの打者にツーベースが出ればホームに帰ってくる仕事では他の打者の打点を増やしている」のに対して、ロペス、ブラニヤンなどは、「たまにイチローを返すのが仕事で、打点を増やしてもらっているが、自分自身はホームランでも打たない限り、生還できるかどうかわからない」のだ。
例年100得点を記録してきたイチローの今年に限っての得点の伸び悩みをみれば、彼ら「イチローを還すのが仕事のバッターたち」が、どれほど仕事をできているか、できていないか、小学生でもわかりそうなものだ。



また別の例で、「プレーヤーがランナーとして2塁にいて、シングルヒットが出たときに、生還できた数」を調べると、イチローの場合、19回のうち、12回(63%)も生還し、12得点を挙げている。このケースでの生還数は、もちろんチームトップである。この数字に近い数字なのはグティエレスで、13回中8回生還(61.5%)で、イチローには及ばない。

この数字、他のプレーヤーはこうなっている。
ブラニヤン  13回中 7回   53.8
ロペス    14回中 6回   42.9
グリフィー  7回中 3回   42.9
これらのプレーヤーは、たとえ2塁にいても、シングルヒットでは必ずしもホームに還って来れるものでもない、ということがよくわかるだろう。(そもそもグリフィーがセカンドにいるシチュエーション自体が、4番DHにしては少なすぎる)彼らは打点を稼ぐ「バッター」にはなれても、後続打者にとっては打点のチャンスとなる「ランナー」にはなれず、チャンスを摘み取っている。



イチローはバッターとして得点に貢献してもいるが、ランナーとしても貢献している。こんなことは、ファンなら誰でもわかっていることだ。イチローのランナーとしての走力、というのは、打点とは違う意味で、ある種の得点力であることは、子供でもわかる。野球は次のベースを獲る競技だから、「ベース」ボールなのである。
「ランナーとしてのイチローが1塁にいて、ブラニヤンやロペス、グリフィーが二塁打を打ったケース」では、もちろん打点はイチローではなく、打者のほうにつく。「イチローが2塁にいて、彼らがシングルヒットを打ってイチローが走力でシングルヒットを得点に変えたケース」でも同じだ。打点や、シュチュエーション打撃での数字が上がるのは、ブラニヤンやロペス、グリフィーのほうで、イチローではない。
だが、数字を見てもわかるとおり、実際には、極端に言えば1塁から二塁打で長躯ホームインしたり、2塁からシングルヒットで生還できるのは、半分はイチロー(やグティエレス)の仕事であり、彼らにしかできない仕事なのだ。
むしろイチローのほうに打点をつけたいくらいの話なのである。


今年のイチローの得点の低さを見てもわかる通り、イチローが2塁や3塁にいても、イライラするほどホームに還ってこれないシーンを何度見たことか。シアトルの地元のジャーナリスト気取りも、程度の低い記事ばかり書いていい気になるな、と言いたいものだ。



なお、ちなみに、このダメ・スポーツライターのあげる2つのデータで比べると
BRS%
ロブ・ジョンソン 15%
城島        9%

「無死か1死でランナー3塁」の打席での
ランナー生還率(打点に限らない)

ロブ・ジョンソン 41%
城島       43%

ロブ・ジョンソンのほうがチームバッティングに優れている。(そもそもシチュエーション数が少なすぎて比較にならない。とはいえ、BRS%は城島の場合、年々低下の一途。)







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