WBC

2014年9月29日、岩村明憲の 「左中間」。
2013年12月27日、イチローの関節の可動域の尋常でない広さを可視化するための「モノクロ化」の魔法。モノクロ化できない「WBC決勝タイムリー」。
2013年3月22日、ヤディア・モリーナを知らなかった日本のドメスティックな野球人。ある意味「国際試合」をわずか1試合しか経験していない2013WBC日本代表。
2013年3月16日、カリビアン・ベースボールの音色。
2013年3月15日、WBCの開催意義は「世界での野球の成長ぶりをたしかめること」にある。優勝国を決めること、ではない。
2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。
2013年3月3日、WBCファースト・ラウンドにみる「MLB球審のストライクゾーン」とゲーム内容との関係 (2)ゲーム編
2013年3月3日、WBCファースト・ラウンドにみる「MLB球審のストライクゾーン」とゲーム内容との関係 (1)基礎知識編
2013年2月18日、第3回WBC予選ラウンドの注目株、ブラジル。
2013年1月25日、「本来のアメリカと比べると、今年のアメリカは小粒だ」、という意見の、あまりの「小粒さ」。
2012年1月28日、イチローファンだというスコット・マシソンのキャリアハイライト、第1回WBCカナダ対アメリカ戦から見た彼のピッチングの特徴。
2009年10月23日、 力が尽きるまで戦うのが、彼らの幸せ。
2009年3月23日、WBC決勝で捕手城島は下位打線にスライダーを狙い打たれ続けた。
2009年3月23日、WBC決勝で4番城島は「11」というありえない数のLOBで優勝を阻害し続けた。
2009年3月23日、第2回WBC決勝を前に岩隈の変化球連投を考える。
日本時間2009年3月19日、城島とメディアのおトボケは当然ながら失敗に終わった。
2009年3月17日、WBC城島退場事件。三振で腹をたてた城島はボックスにバットを故意に残し、退場処分になった。
2009年3月10日、楽天・野村監督は9日韓国戦の城島のダメ・リードを批判した。
2009年3月9日、1巡目で手の内を全て晒してしまった城島は、4回ランナーを貯められ岩隈に「シュート連投」を要求し決勝タイムリーを浴びた。
2009年3月7日、「用意してこないプレーヤー」城島はスライダー中心の組み立てに行き詰まって、ふたたび初回ホームランを浴びた。
2009年3月5日、WBC中国戦2回表無死1,2塁、予想どおりの併殺キングぶり。
2009年3月1日、杉内にチェンジアップを要求し続けた城島は先制の一発を食らった。
2009年2月28日、シアトル関係者は城島のWBC参加をどう感じているのか、ベイカーが記事にした。
2009年2月25日、城島は素人相手にランナーズ・オン7打席で3つもの内野ゴロを打った。
2009年2月20日、ダルビッシュも田中も、城島には呆れ顔。
2009年1月24日、名捕手野村、城島に「ダメ捕手」の烙印
2008年12月16日、ファンは城島にWBCの主軸を期待していないことを意思表示した。

September 30, 2014

2013年2月沖縄、ヤクルト春季キャンプ。愛弟子復活を願う元ヤクルト監督若松勉岩村明憲にこう言った。
「フリー打撃では左中間に打て」
師からみた彼の長所は「左中間への強い打球」だった。師として、そして、彼らしいバッティングの状態になんとか戻してやりたいと願う親心からのアドバイスだった。



2008年10月3日、タンパベイ時代、トロピカーナ・フィールドでのALDS(ア・リーグ地区シリーズ)第2戦。カウント1-1からのストレート系を左中間へ運んだ値千金の逆転2ラン。5回裏に1-2と負けていたタンパベイが、この2ランで逆転してそのまま逃げ切り、対戦成績を2勝0敗としてALDS勝ち抜けに王手をかけたという、価値ある一発。
ピッチャーは、当時ホワイトソックス(現在はトロント)のエースだったオールスター5回出場の名左腕、マーク・バーリー
Game data:October 3, 2008 American League Division Series (ALDS) Game 2, White Sox at Rays - Baseball-Reference.com



2009年8月30日、これもタンパベイ時代、コメリカパーク。初球の92マイルのストレート系を打ったソロホームラン。ピッチャーはデトロイトの不動のエース、オールスター6回出場の剛腕右腕ジャスティン・バーランダー
バーランダーはこのゲームに勝って15勝目。19勝9敗という素晴らしい成績でシーズンを終え、同年のサイ・ヤング賞はザック・グレインキーに譲ったものの、サイ・ヤング賞投票3位に入った。
Game data:August 30, 2009 Tampa Bay Rays at Detroit Tigers Box Score and Play by Play | Baseball-Reference.com



2010年4月13日、ピッツバーグ時代のAT&Tパークでのホームラン。カウント2-1からの4球目、ストレート系。ピッチャーは、サンフランシスコの2002年ドラフト1位、オールスター3回出場の好投手、右腕マット・ケイン
Game data:April 13, 2010 Pittsburgh Pirates at San Francisco Giants Play by Play and Box Score | Baseball-Reference.com

岩村のMLB時代の動画リスト:Search Results | MLB.com Multimedia | MLB.com


2010年ピッツバーグに移籍した岩村は、同年4月付けの記事でこんなことを言っている。
ツーシーム対策のために、グリップ位置を変えた」
出典:岩村明憲語る「弱いチームは小差で負ける」 [メジャーリーグ] All About
このインタビュー、正直にいうなら、前向きな印象よりむしろ、「MLB投手の2シームに手を焼いている」という「動く球に対する岩村の苦手意識」のほうが伝わってくる。

そこでFangraphのデータをみてみる。案の定、ピッツバーグ移籍後の岩村に対してピッチャーが投げた球種は、タンパベイ時代に多かったシンプルな速球が大きく減り、かわりに、シンカー2シームが急増している。
Akinori Iwamura » Statistics » Batting | FanGraphs Baseball


彼の出場ゲームを年間100試合とか見た上での判断ならともかく、彼の試合をちゃんと見ていないブログ主が偉そうにモノを言うわけにはいかないのだが、上の3つの動画がどれも「ストレート系を打ったホームラン」であることからも推察できるように、各種データから普通に判断するなら、MLB時代の彼の「狙い」は、「得意な4シーム」、特にアウトコースに狙いを絞っていたこと、「外にボールを呼び込んで、柄の長い鎌で遠くの雑草を刈りとるようなイメージで、バットでボールを強烈にひっぱたいて、強い打球をレフト方向に打つ」という彼独特の狙いがあったこと、そのために「スイングスピードの速さ」や「強いスイング」に非常にこだわっていたこと、などがうかがえるように思える。

ただ、カーティス・グランダーソンやプリンス・フィルダーなどについて何度も書いてきたように、スカウティングの発達している近年のMLBでは、「打席に入る前に狙いを絞り切っているタイプの打者の意図」は、遠からず投手側にバレる。
おそらく岩村明憲も、MLBを経験して数シーズンたってから、「ストレートに滅法強い」という彼のバッティングの長所がスカウティングされ、それ以降、急速に増えた2シームや高速シンカーなどの「球速があって、ストレートに見えるが、最後に鋭く動く球種」に悩まされるようになり、強いライナー性のフライを打ちたい彼自身の意図に反して、数多くのゴロを打って悪戦苦闘する日々があったに違いない。


しかし、だ。

そんな細かいこと、どうでもいい。
なぜなら、こんな個性ある選手を嫌いになんかなれないからだ。

「左中間」にこだわりぬいた打者人生。
それが岩村という個性だ。ヤクルトが彼と再契約しないと発表したからには、彼の今後がどうなるか、たしかに予断を許さない。だが、来シーズン、彼がどこでプレーしようと、彼らしい野球人生の成功と成就を願っている。

2009年3月23日、ドジャースタジアムでの第2回WBC決勝、延長10回表の1死2塁の場面で、この試合8番にいた岩村が放ったレフト前ヒット(次打者イチローが決勝の2点タイムリー)が忘れられない。
あれがライト前でなく、『レフト前』だったのは、ずっと『左中間』にこだわりぬいてきた彼独特のスイングの賜物だったのさ。偶然なんかじゃないんだぜ?」と、遠い将来、岩村のことを知らない若い野球ファンが増えた時代になったら教えてやりたいと思っている。

damejima at 12:49

December 28, 2013

デジタル技術の発達のおかげで、写真は誰でも撮影後にいじれるようになった。例えば、「モノクロ化遊び」も色データを廃棄することで簡単にできる。
(もちろんカラー画像のモノクロ化にも、輝度変換など、いろいろなテクニックがあるわけだが、ライカ風を狙った写真の大半がトーンが甘くなって単に「眠いだけの写真」になるように、中間トーンを数多く出せば出すほど良くなる、とは全く思わない。かつてのパンクロック系画像のように、中間調のまるで無いベタっとした色彩のほうが、かえって印象を強める場合もある)


モノクロ化」は手間のかからない単純な遊びだが、それは単なるトーンダウンでも、グレードダウンでもない。
「モノクロ化」はむしろ、元の映像がキャッチしようとした「決定的瞬間」の内部に潜在的に存在している「撮影者のボンヤリした意図」、「被写体の動き」、「被写体の主張」を、よりエッジの効いた形で削り出して、印象をより強めたり、曖昧な撮影意図を可視化したりできる。場合によっては、モノクロ化によってカラーだったとき以上の何かを写真に宿らせることに成功することすらある。


イチローのプレーを例にとると、たいていの場合、モノクロにすることで、よりプレーの素晴らしさがわかる写真になることが多い。

というのも、イチローのプレー写真は、モノクロ化によって視覚的な情報量を制限し、余分な情報を捨てることで、プレーの瞬間の肉体的な動き、特に、肩や股関節といった「関節」の「可動域の異常な広さ」が、ファンの想像をはるかに超えるレベルであることが、カラーで見る場合よりはるかに鮮明に「意味」として映し出されるからだ。


イチローの関節の可動域の広さ(モノクロ)
まるでジャガーかチーターの疾走を思わせるような
しなやかな股関節の動き


イチローの関節の可動域の広さ>
肩関節の異常なまでの可動域の広さと
空中での信じられないボディコントロール


2012年5月17日クリーブランド戦イチロー ファインプレー
2012年5月17日クリーブランド戦。素晴らしい跳躍の高さだが、プレーと関係ない部分でいくら高く跳べたとしても、意味はない。外野手は走り高跳びの選手ではないのだ。イチローが「捕る瞬間に最も高く跳躍できる選手」であることに、最も重要な意味がある。



ただ、あらゆる写真を「モノクロ化」で遊べるか、というと、そうでもない。どういうわけか、どこをどうやってもモノクロ化で印象を上げられない写真がある。

イチローの場合、WBCの決勝タイムリーの写真がそうだ。

WBCイチロー決勝タイムリー
(キャプション)2枚の写真から、イチローがバットヘッドの出を、高速シャッターで撮られた写真で確かめないとわからないほど、ほんのわずか遅らせて、ヘッドが過剰に効きすぎてひっかけた打球になるのを避けつつスイングしていたことが明瞭に伝わってくる。
動画と違い、2枚の写真の間には「何も無い」。だが、われわれの「脳」はきちんと2つの瞬間を繋ぐ「何か」を補完し、瞬間と瞬間を空中で繋ぎ合わせて、永遠の動画に変えてみせる。


WBCにおけるイチローばかりは、カラーバランス、トーンカーブ、コントラスト、明るさ、レベル、彩度。データのどこを、どういじってみても、モノクロ化するより、「カラー」のままにしておいたほうが、全然いい

参考)

WBCイチロー決勝タイムリー



「モノクロ化できない原因」はハッキリしている。
WBCのユニフォームの赤色だ。このユニフォームにおける「」には、それを省略してしまうことができない「何か」がある。

イチローには赤色のユニフォームが似合わないという、まことしやかな意見がある。だが、この写真をみれば、そんなこと、あるわけがない。「彼に似合う赤」を着ればいい。それだけのことだ。



蛇足でいっておくと、モノクロ化してもカッコよく見えない選手、アスリートというのも、数多くいる。その多くは、その選手のプレーの質、その選手の存在自体が平凡で、その選手にしか存在しない「きわだった個性」を持たないのが原因だ。

歴史に残るアスリートには、美術館に飾られてもまったくおかしくない、際立った「スタイル」がある。
だからモノクロ化が映えるのである。
Damejima's HARDBALL:Japanese Legend

damejima at 09:36

March 23, 2013

国際大会を経験するとか、海外でプレーするとか、野球の国際化についてファン同士が語るのを見かけるわけだが、なにやらお互いの「ものさし」の違いが漠然としたまま話していることが多い。
なので、国際化のステップをもっと具体的に示して「ものさし」を見えやすくするために、段階を細分化し、順序をつけてみる。身勝手におおまかに分けただけだが、段階はかなりの数ある。
このステップの可視化という作業は、いろんなことを一気に見えやすくしてくれる。

野球の海外経験における簡易グレード表
© 2013 damejima

0)海外の野球のゲームをテレビや動画で観戦する
--------------------------------------------
1)ボールが変わる
2)国内での外国チームとのゲーム経験
3)国内での外国人アンパイアのゲーム経験
--------------------------------------------
4)海外の球場でのゲーム経験
--------------------------------------------
5)海外で継続的に生活する
6)海外の野球チームに所属する
7)海外チームのレギュラーになる
--------------------------------------------
8)MLBチームとマイナー契約
9)MLBチームとメジャー契約
10)MLBチームのロスター入り
11)MLBチームのレギュラーになる
--------------------------------------------
12)MLBで3年以上連続してレギュラーを経験
13)MLBで3年以上活躍
--------------------------------------------
14)MLBで10年超の活躍
15)レジェンド化。または野球殿堂入り

この野球の海外経験における簡易グレード表は、同時に、「野球選手のキャリア設計図」を示してもいる。つまり、「その選手がどれだけ国際化できたか」という「国際化グレード」は、同時に、その選手のピーク時のキャリアの高さにほぼ比例する、ということだ。
この図の特徴は、選別基準を海外経験のみに特化したことで、その選手が投手か野手か、プレースタイルの違い、体格の違い、優勝経験の有無など、雑多な差異が捨象される
そんな雑多な細部などにとらわれず、それぞれの選手の海外でのキャリアだけを上の図に照らせば、かえって、過去に、どの選手が、どのレベルのキャリアグレードに到達していたかが、ひとめでわかる。(また同時に、野球の場合、「オリンピックやWBCがゴールではない」ことも、非常によくわかる)
やっているのは誰しも同じ「野球」というスポーツではあるが、キャリアのグレードをひとつでも上に押し上げるためには、ステップアップごとに毎回違う、新たな情報、新たな経験値が必要とされる
もし、新たな情報や経験を身につけて、自分を変えることができなければ、そこでその選手のキャリアのピークは終わる

どうだ。わかりやすいだろう。


この身勝手に分類した図を見ると、2013WBCの「国内の監督コーチ選手だけで構成された日本代表チーム」に関して次のことがわかる。
2013WBC日本代表チームは、海外の球場で行われるという意味での「国際試合」を、わずか1試合しか経験していない。決勝ラウンドは、上の図でいう「グレード4」なわけだが、1次ラウンド、2次ラウンドはアンパイアと対戦相手は外国人だが、国内の球場、国内のファンに応援されての試合だから、上の図でいう「グレード3」なのだ。

そして彼らはその「初めて海外でやる国際試合」で負けた。

非常にもったいない。なぜなら、技術上の実力を発揮できないまま、負けているからだ。(日本の工業製品が、技術は世界最高なのに、海外で販売戦略で負けているのと似ている)
では、なぜ技術上の実力を発揮することなく負けるのか。野球におけるステップアップとは、イコール、技術の高さが海外で認められることだ、と自分勝手に思いこんでしまう人が多いわけだが、そうではない。
2013WBC日本代表は、相手チームや球審の分析に失敗し、相手チームの日本チームに対する分析にしてやられ、ゲーム中の戦略修正スピードがあまりにも遅く、最後は、間違ったギャンブル戦術を採用したことからもわかるように、チーム全体が経験したことのないアメリカの球場のもつ独特の雰囲気に「のまれた」。だから負けた。技術の上手い下手は、この際、関係ない。
もっと圧縮した言い方をするなら、明らかに、情報不足、経験不足、そして、ゲーム中の修正の遅さが原因だ。

(ことわっておくが、日本を代表して戦ってくれた監督コーチ選手スタッフの多大な苦労をねぎらい、彼らをリスペクトする気持ちに変わりはない。だが、だからといって、WBC解説をつとめた野球評論家やマスメディアのライターまでも含めた日本国内の野球関係者の、海外経験の不足、その割にビッグマウスで厚顔無恥な不遜な態度、情報不足と海外経験の不足を補ってくれるスタッフを用意しないまま本番に臨む慢心ぶりなど、あらゆる「マーケティング不足」を指摘しないわけにはいかない。指摘しないで放置すれば、日本野球は進歩していかないし、国際化もしない)


2013WBC日本代表の主要ゲームのスコア

001 100 030 ブラジル 逆転勝ち(福岡)
000 000 003 キューバ 負け(福岡)
000 000 0211 台湾   逆転勝ち(東京)
151 311 4   オランダ コールド勝ち(東京)
080 000 02× オランダ 勝ち(東京)
000 000 010 プエルトリコ 負け(サンフランシスコ)

2013WBCのゲームスコアを並べてみれば、誰の眼にも一目瞭然とわかることがある。「日本の得点イニングの遅さ」だ。
苦戦した台湾戦、負けたキューバ戦、プエルトリコ戦に特徴的に表れているが、2013WBC日本代表は、「序盤にリードを許して、後がない切羽詰まった状態になったままゲーム終盤を迎えてケツに火がつくまで、球審の判定傾向を把握できず、相手バッテリーの配球傾向をつかまえられず、不用意なバッティングを繰り返した結果、十二分な得点を得られないゲームを繰り返した」。非常に単純な話だ。

苦戦したブラジル戦、台湾戦になんとか勝てたのは、遅れに遅れたとはいえ、ゲーム終盤にかろうじて把握や修正が間に合ったからだ。
というか、もっと正確に言えば、慣れない外国人球審の判定や、外国人バッテリーの配球パターンや球種をなんとか把握できていた野手の打順に、偶然逆転チャンスが回ってきたからだ。(例えば井端選手は、球審のゾーンをかなりきわどいところまで見抜いていた)

逆に、プエルトリコ戦で負けたのは、監督コーチを含め、日本チームの大半が、相手チームの分析も自分たちのプレーの修正もできないまま8回を迎え、誰もやるはずのないギャンブルプレーに走って、自らの手で最後のチャンスを潰し、外国で行われる初めての国際試合の慣れないスピーディーなゲームテンポや、慣れないアメリカの空気にのみこまれたまま、ゲームが終わってしまったからだ。



例のダブルスチールについてだが、
書きたくもないが、いちおう書く。

あんなものは単なる「苦しまぎれのギャンブル」だ。戦術でもなんでもない。
テキサスの監督ロン・ワシントンは「自分なら絶対にやらない」とコメントしていたが、ワールドシリーズでいつも迷采配を連発して失笑をかっている彼に指摘されるまでもなく、「負けたら終わりのゲームの8回、2点差で負けていて、おまけに、キャッチャーが世界で指折りの強肩捕手ヤディア・モリーナだというのに、普段から一緒にプレーしてもいない寄せ集めの代表メンバーで、成功するかどうかわからないダブルスチールに挑戦する」なんてギャンブルは、そもそもあの失敗の許されない場面でトライすべき戦術ではない。当り前の話だ。

往生際の悪いデータ分析担当のWBC戦略コーチの橋上秀樹とやらが、「100%走れた」だのなんだのとメディアにコメントしているわけだが、くだらないにも程がある
「焦りまくった人間のやるギャンブルプレー」に、「100%」なんて、あるわけがない。倒産寸前の会社が、本業と関係ない不動産投資やゴルフ場経営に手を出して失敗するようなものだ。そういうことをする人間に限って、倒産した直後に「あれは100%成功するはずだった。間違いなく本業を立て直せた」なんてタラレバ言いたがるのと、少しも変わらない。
そもそも橋上は、投手フアン・カルロス・ロメロの手を離れた球がキャッチャーに届くのに1.8秒かかるだのなんだの、もっともらしく意味の無い言葉を盛っているわけだが、では、「プエルトリコ側のキャッチャーの強肩」「日本側のランナーの足の遅さ」「ダブルスチール時に特有の、1塁走者のスタートの遅れ」については、計算に入れてなくてもいい、とでもいうのか。笑わせるな、といいたい。
三盗は100%だったはず、と、橋上は言うが、たとえ三盗が成功していたとしても、2点差なのだから、モリーナはセカンドに送球して同点のランナーを刺し、アウトカウントを増やしてくる。そして次打者は、アウトコースのスライダーで簡単に空振り三振させられるのが濃厚な阿部なのだ。2アウトになって、犠牲フライでは得点できない状況をまねいて、何がダブルスチールだ。

さらに橋上とやらは、負けた後に「ツーシームが内角ではなく外に来たのがデータと違った。外に制球すれば長打はないという、球場の特性を考えたリードだと思う」などという、わかった風なコメントまでしている。
そんなこと、負けた試合の後で偉そうに語る暇があるのなら、なぜゲーム中の、それも早いイニングにそれに気づいて、チーム内に情報を発信して、打線を修正しなかったのか。チーム内で発言力が低いのなら、試合後に選手批判になるような無駄グチたたかず、黙ったままでいたほうが、よほど人間としてマシだ。

プエルトリコ戦は、観戦していた素人ですら、大半が「日本チームの打者が、アウトコースのボール球に手を出し続けて空振り三振していること」に気づいている。
もちろん、プエルトリコ側も試合中に気づいていた
私は98、00年の日米野球で日本に行ったことがある。その時にも感じたことだが、日本の打者はパワーはないかもしれないが本当に粘り強い。日本の一流選手は選球眼がいいうえに、厳しい球はファウルで粘る能力も備えている。だから、日本の打者は徹底的に打席で粘って、投手の球数を増やす策に出ると思っていた。
実際は違った。初回から、日本の打線は積極的に打ちにきてくれた。おかげで、我々の先発投手はリズムをつかみ、五回(途中)までほとんど安打も許さず投げられた。これも仮定の話だが、日本の打線が一丸となって、もっと打席で粘っていたら、我々は投手の継投を考えざるを得なかっただろう。そうなれば劣勢に立たされたはず。それが、予想とは全く逆の展開になった。これも勝敗のカギになったと思う」
プエルトリコ代表打撃コーチ カルロス・デルガド
出典:プエルトリコ代表打撃コーチが侍ジャパンをボロカス(上) (日刊ゲンダイ) - Yahoo!ニュース


ゲーム終盤に追い詰められて、苦しまぎれのギャンブル策で無駄にアウトカウントを増やすより先に、なぜもっと早いイニングに「打者の大半がアウトコースのボール球の変化球に手を出して空振り三振し続けていること」に気づいて、打者にバッティングの修正を求めなかったのか。橋上の言っていることのほとんどがタラレバに過ぎない。
議論すべきなのは、目先の問題としては、後のなくなった8回に出た2人のランナーをどうすれば確実に(最低でもひとりは)ホームに帰すことができたかであって、どうすればダブルスチールが可能だったか、なんて枝葉末節の話じゃない。
それに、そもそもダブルスチールだけが得点する方法だったわけじゃない。プエルトリコの打撃コーチのコメントに迎合するのではなく言うが、もし阿部が大振りしてマグレでもホームランを打ってくれれば、逆転まであった。彼の場合の「4番」は、それが仕事だ。


プエルトリコ戦の根本的な課題は、早いイニングからハッキリしていた。日本の打者が「キャッチャー、ヤディア・モリーナの決める配球を、どう掴まえるか」という問題だ。
日本ではいまだに「MLBでは投手がサインを決める。キャッチャーはただの壁」という「古臭い俗説」だけが正しいと思い込んでいる人が大勢いるかもしれないが、プエルトリコ先発マリオ・サンチアゴは「モリーナのサイン通り投げた」と明言している。
日本の打線を最初から最後まで翻弄し続けたのは、プエルトリコの投手陣ではなく、「ヤディア・モリーナ」だ

だが、結論からいって、(自称元メジャーリーガー桑田も含めて)日本国内のドメスティックな野球人は結局、ヤディア・モリーナを知らなかった。おそらく彼が守備の賞であるFielding Bible賞を5回受賞していることどころか、Fielding Bible賞そのものを知らないことだろう。(もちろん、決勝でドミニカと対戦しても、ロビンソン・カノーも誰も、「知らないまま」負けて終わっただろう)
盗塁阻止で最も高い評価を得ているのはヤディア・モリーナだが、Fielding Bibleにおける彼の評価は「Earned Runs Savedでの評価はイマイチだが、Stolen Basesで最高評価を得ている」キャッチャー、つまり盗塁阻止を評価されているキャッチャーである。
出典:Damejima's HARDBALL:2009年12月26日、Fielding Bibleが2008年までの過去6年間、および過去3年間について「メジャー最低」と酷評した「城島の守備」。盗塁阻止は「並」で、Earned Runs Savedは「メジャー最低」。

プエルトリコは、スイッチヒッターを上位打線にズラリと並べ、キャッチャーがチームを牽引するという、まるでキャッチャー出身の分析大好き監督マイク・ソーシア率いるロサンゼルス・エンジェルスをコピーしたかのようなチーム構成だったわけだから、ソーシアがイチローを研究し尽くして向かってくるのと同じように、プエルトリコが日本を分析していないわけがないわけだが、マイク・ソーシアにも、エンゼルスにも、触れた人間はいなかった。


WBCの解説をした桑田真澄は、試合中こんなことを言った。耳を疑うようなレベルの話だ。ヤディア・モリーナさえ知らずに、この自称MLB経験者は、よくMLBがどうのこうの語れるものだ。(下記のツイッター上のコメントを、もうちょっと正確を期して書いておくと「こういうキャッチャーいるんですね。はじめてみました」と言った)

こういうキャッチャーって、どういう意味だ(失笑) まさか「MLBのキャッチャーは壁だ」なんて、素人みたいに間違った俗説を正しいと思い込んでいたんじゃないだろうな。
ヤディア・モリーナの「MLBでの格」やプレー内容すらわからない、知らないくせに、よく元メジャーリーガー気取りで物事を語れるものだ。
この人、自分はモリーナの凄さの意味をまるで知らなかったクセに、試合後になると、阿部とモリーナを比較して「両者の差が出た試合でした」なんて知ったかぶり発言までしている。
しょせん箔をつけるために行っただけのMLBで、1シーズンどころか、2007年にたったの21イニング投げただけでお払い箱になったマイナーレベルのセットアッパーだったくせに、よくも、まぁ、いけしゃあしゃあと言えるものだ。(当時桑田はナ・リーグ所属だったわけだが、同リーグのヤディア・モリーナのセントルイスとのゲームは、2007年8月のたった1試合しか経験してない)
Masumi Kuwata 2007 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com

過去に桑田は、2012年の開幕を日本で迎えたシアトルが巨人とオープン戦をやったとき、解説者としてMLBで岩隈の調子が良くないことの一因として、MLBのキャッチャーの構えの下手さをあげつらっていたらしいが、まぁ、それについても笑うしかない。
伝統的にキャッチャーの指導が下手で、しかもピッチャーにストレートに頼りきった単調なピッチングばかりさせたがるシアトルを元ネタにして、MLB全体のキャッチャー、それもトップレベルを含めた全体を一緒くたに喋れるほど、桑田のMLBでのキャッチャー経験は多くない。
経験不足の「自称」メジャーリーガーだからこそ、2013WBCで「モリーナの本当の姿」を初めて見て驚いたのだ。よく恥ずかしげもなく、としか言いようがない。


プエルトリコは伝統的に名キャッチャーを輩出してきた国だ。そんなことは、MLBファンならかなりの割合の人間が知っている。同じプエルトリコの名手イヴァン・ロドリゲスが、かなり長い間ゴールドグラブ賞を独占し続け、MLBキャッチャー界のトップを独走してきたわけだが、その後継者が、ヤディア・モリーナだ。


なぜ橋上の「100%ダブルスチール成功予定でした赤っ恥発言」と、桑田の「モリーナはじめて見ました赤っ恥発言」を並べてとりあげるかといえば、「100%」橋上、「モリーナ知りませんでした思い出づくり」桑田、そして「モリーナのゲームでダブルスチールのサインを出すほどの世間知らず」山本浩二のような、「井の中の蛙のドメスティック野球人」が、ヤディア・モリーナのゲーム支配力について何も知らずに、2013WBCで、監督をやり、コーチづらをし、解説者をやっていた、ということを指摘するためだ。
かつてNBAのジェイソン・キッドイチローについて語ったように、球技においてはキープレーヤーがゲームを作る。ヤディア・モリーナは、プエルトリコ代表でも、MLBのセントルイス・カージナルスでも、ゲームを支配するキーパーソンであることは、いうまでもない。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年6月12日、NBAで初優勝したダラス・マーヴェリックスのジェイソン・キッドが言う『イチローの支配力』という言葉の面白さ。「ランナーとして1塁に立つだけで、ゲームを支配できる」、そういうプレーヤー。
結局のところ日本国内の野球しか経験したことがないドメスティック野球人は、モリーナの存在の意味に気づくこともなく、むしろ橋上の「100%成功した発言」でわかるように、モリーナを軽視すらしてプエルトリコ戦を戦った。
こんな程度の情報レベルで、勝てるわけがない。


最後に球審のストライクゾーンの把握の遅れについて書こう。

2013WBC日本代表チームが球審のゾーンをどれだけ把握するのが遅れていたかについては、既に多少ブログ記事を書いた。それにしても日本チームは、偉そうに戦略コーチなんてものを名乗る橋上なんていう分析担当者まで用意しておきながら、なぜあれほど球審のストライクゾーンの把握が遅いのか。

Damejima's HARDBALL:2013年3月3日、WBCファースト・ラウンドにみる「MLB球審のストライクゾーン」とゲーム内容との関係 (2)ゲーム編

Damejima's HARDBALL:2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。

ブラジル戦、中国戦の2人のMLB球審、Chris GuccioneとGerry Davisは、「試合中に判定傾向が変化していかないタイプの、堅実なアンパイア」だから、ちょっと事前に調べておきさえすれば、試合当日のゾーンがどんなものになりそうか、あらかじめ把握しておくことができたはずだ。
また、たとえ事前に把握できていないとしても、球審側が「ゾーンを試合途中で変えたりしないタイプ」なのだから、ゲーム中にゾーンを把握して、ゲーム中にバッティング修正が可能だった。

だが、プエルトリコ戦は違う。
プエルトリコ戦のBill Millerは、「球審として、試合途中で判定がブレる可能性のあるアンパイア」だったために、非常にやりにくい面があった。

だが、「判定がブレる」からといって、日本代表がプエルトリコ戦の球審Bill Millerについて「つかみどころのないゾーンで判定する、やっかいなアンパイアだ」ということ自体を把握しないままゲームをやっていていい、ということにはならない。
日本チームはBill Millerが、Chris GuccioneやGerry Davisと同じタイプのアンパイアか、それとも違うタイプか、そもそもどういうタイプのアンパイアなのか、ほとんど把握していなかったように見える。
日本チームは、日本の福岡や東京でのゲームと同じように、いつもと同じ「手探り状態でゲームを開始」し、「迷いながらゲームをすすめ」て、結局プエルトリコ戦では、ブラジル戦、台湾戦と違って、ゾーンについて何もつかめないまま負けた。


最後に余談。能見投手の2ラン被弾
阿部捕手と能見投手のバッテリーについて、「スプリット(日本風にいうとフォーク)の使い方が上手い」と一度書いたのだが、プエルトリコ戦で能見投手は勝負どころでチェンジアップを投げていて、スプリットを使っていない。そのチェンジアップが浮いて、2ランを打たれた。
これはどういうわけなのか。ど真ん中のコース低めにスプリットを投げておけば、空振り三振させることができた、と思う。もったいない。
Damejima's HARDBALL:2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。

damejima at 07:42

March 17, 2013

カリブ海ベースボール文化圏

日本以外の2013WBCの4強は、ドミニカプエルトリコ、カリブ海に浮かぶキュラソー出身者を中心に構成されるオランダと、実質的にカリブの国々が占めたおかげで、日頃は日本のプロ野球しか見ない方々の間に、カリブ海沿岸国のプレーヤーたちが、いかに今のMLBで重要な位置を占めているかについて、知れ渡ったのではないかと思う。


こういう状況を説明するとき、中南米諸国出身者を指して、「ヒスパニック」「ラテン系」という言葉がよく使われるわけだが、ほかに「カリビアン」という、音楽的な響きに溢れた言葉があるのに、あまり使われないのは残念だ。


現在MLBでは、アフリカ系アメリカ人プレーヤーが減少傾向にある。
原因としてよく言われるのは、「MLBへの人材供給源であるアメリカのカレッジベースボールにおけるスカラシップ(=奨学金)支給額が、あまりに少なすぎるために、身体能力の高いアフリカ系アメリカ人プレーヤーがバスケットやフットボールなど、スカラシップの多い競技に流れてしまっている」という経済的な観点の説明だ。
だが、これまで「父親とベースボール」シリーズを含め、いくつかの記事で20世紀のアメリカ社会の変遷を描いてきた記事でわかるように、コミュニティ崩壊や南部回帰など、アフリカ系アメリカ人社会の変化は、金銭的な理由だけでは説明できない。大学スポーツにだけ起きている変化なら奨学金で説明がつくが、変化ははるかに広範囲に起きている。
Damejima's HARDBALL:「父親とベースボール」 MLBの人種構成の変化
こうしたMLBを取り巻く変化は、もちろん2013WBCの結果にも少なからず反映されており、残念ながらその影響はWBCアメリカ代表の相対的な弱体化傾向にも繋がっているといわざるをえない。


アフリカ系アメリカ人選手が減少する一方、増加の一途をたどってきたのは、ドミニカベネズエラ出身の選手たちだ。彼らは数だけでなく、質の高さにおいても群を抜きつつあり、メジャーリーガーを構成する人種地図は確実に塗り替えられつつある。
背景には、目先のきくMLBチームがアメリカ以外の国に育成組織を置き、現地での選手の発掘・育成を行いつつ、有望選手と安価にマイナー契約を結んで、メジャーで通用する人材を育て上げるといった、選手育成手法の変化がある。
例えば2013年MLBドラフトでは1位指名が高校生に集中し、大学生の指名が少なかったが、その理由は、単に今シーズン大学に有望選手数が少なかったということではなくて、おそらくアメリカ国内の大学卒業選手に対するメジャー側の期待度が年々下がっているということがあると、個人的には思っている。


ポジション別にいうと、かつてはカリビアンのメジャーリーガーというと、キャッチャー、ショート、パワー系ヒッターなどが伝統的に多く、逆に、投手は少ない、などと言われてきたものだが、今は違う。先発から、セットアッパー、リーグを代表するクローザーに至るまで、投手部門でも優秀な選手が出ている。
とりわけ、MLBで人材不足が著しいクローザーは、いまやカリビアンだらけである。
フェルナンド・ロドニー、ホセ・バルベルデ、カルロス・マーモル、ラファエル・ソリアーノ(以上ドミニカ)、フランシスコ・ロドリゲス、ラファエル・ベタンコート(以上ベネズエラ)、ホアキム・ソリア、アルフレッド・アセベス(以上メキシコ)、マリアーノ・リベラ(パナマ)、アロルディス・チャップマン(キューバ)、エルネスト・フリエリ(コロンビア)etc.
カリビアン系のクローザーはいまや、MLBに不可欠なのだ。(ちなみに2012ワールドシリーズを制したサンフランシスコのクローザー、セルジオ・ロモにしても、メキシコ移民二世)
Damejima's HARDBALL:2012年11月10日 2012オクトーバー・ブック 投げたい球を投げて決勝タイムリーを打たれたフィル・コーク、三冠王の裏をかく配球で見事に見逃し三振にしとめたセルジオ・ロモ。配球に滲むスカウティングの差。


ウィンターリーグは、カリブのドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコ、パナマ、5か国のプロの野球組織の総称で、パナマを除く4か国の優勝チームはカリビアンシリーズに出場し、カリブ海ナンバーワンを決定する。
Caribbean Series - Wikipedia, the free encyclopedia

Winter Leagues: Caribbean Series | MLB.com: Events


延長18回に及んだ2013カリビアンシリーズ・ファイナルを制したのは、18回表に元メジャーリーガーのDoug Clarkのソロホームランで挙げた虎の子の1点を守り抜いて強豪ドミニカを破ったメキシコのヤキス・デ・オブレゴン(2度目の優勝)だ。

2013WBC本戦が始まるにあたって、日本のマスメディアでは誰もカリビアン・シリーズのことなど報道しようとしないものだから、カリビアン・ベースボールの情報に疎い野球ファンにしてみれば、1st Roundでアメリカを苦しめたメキシコの健闘ぶりが、まるでトーナメントにありがちな「マグレ」のように思われていたかもしれない。
だが、よくよく情報が与えられていれば、今年のカリビアン・シリーズでメキシコが、いまやMLBの寵児となっているドミニカとすら対等に近いところまで渡り合ったことがわかり、2013WBC本戦で強豪と対戦しても、好勝負になるだろうということ、ベネズエラあたりが相手なら軽く一蹴してしまいかねないことは、想像がついたはずだ。
2013 Caribbean Series - Wikipedia, the free encyclopedia

MLB.com At Bat | MLB.com: Gameday



これはアメリカのコロラド州に住んでいるとプロフィールに書かれている野球ファン(彼がカリビアンかどうかまではわからない)が、テレビ画面を家庭用ビデオで撮影してYoutubeにアップしてくれている2013年カリビアンシリーズのファイナルの様子だ。
動画の9分30秒過ぎ、試合が決まった瞬間に、興奮した観客が怒涛のごとくグラウンドになだれこんで、ルチャ・リブレよろしく飛び跳ねながら選手と抱き合ってソンブレロの乱れ飛ぶリアル過ぎる姿(笑)が映っている。
そりゃ、WBCもなにも、2月初旬に終わるカリビアンシリーズで既にこれだけの熱い戦いをしておいて、それからWBC本戦に来てるんだから、カリビアンが4強に残るのはしょうがないわけだ(苦笑)

もちろん映像としての完成度は低いし、お洒落でもない。
だが、そんなどうでもいい細かいことよりも、むしろ、日頃は日本国内野球だけを楽しんでいる人に確かめてもらえればと思うのは、地球上には、真冬の日本のちょうど裏側で、スペイン語放送(この場合はESPN)で、メキシコ対ドミニカなんていう組み合わせのゲームを見て、スペイン語で興奮している熱い人たちが、こんなにもたくさんいるという事実だ。

テレビ画面を映しただけの粗い映像ではあるが、かえって、わからない言葉で興奮している人たちを眺めることで、「同じベースボールといっても、言語が違うだけで、こんなにも響きやリズムが違うもんなんだな・・・。同じスポーツか?(笑)」と、「強い酒を飲みながら、ちょっと蒸し暑い音楽を聞くみたいな感覚」が伝わってくるのが、なんともたまらなくいい、と思うのだが、どうだろう(笑)


それこそ東京スタジアムではないが、大昔の映像を見ると、昔の日本野球でも、チームの優勝が決まった瞬間に観客がグラウンドになだれこむ、なんてシーンがあった。
もちろん、もし今のMLBでそんなことがあったら、安全面で非常に問題だし、運営管理上のありえない大失態なわけだが、逆にいうと、こうした昭和っぽい出来事が今でも現実に行われている「カリビアン・ベースボール」が今、いかに「熱い音色で鳴っているか」、とてもよくわかる映像だと思うのだ。



damejima at 11:43

March 16, 2013

なんでまた、WBCなんてものをやっているのか。
WBCの「大会としての開催意義」についてのコメントや意見は数限りなく見てきた。だが、なるほど、と思わせてくれるような、説得力のあるコメントには一度も出会ってこなかった。


だが、嬉しいことに、初めて「なるほど」と簡潔に説明できていると思うコメントに出会った。MLB関連サイトの老舗、Hardball Timesの寄稿者のひとり、Dan Lependorfの以下の文章である。

The WBC isn’t designed to crown the best baseball country in the world. The WBC’s value lies in its ability to foster the growth of international baseball like no other event can.
「WBCは、どの国の野球が世界最高なのかを決め、栄誉を授ける目的でデザインされてはいない。WBCの価値とは、世界の野球の成長を育むことにある。それは、他のどんなイベントでも達成することができない。」
Hardball Times : Defending the World Baseball Classic

なるほどねぇ。 "foster" ね。さすが、Hardball Timesである。(Fosterとは、「フォスター・ペアレント」という言葉で使われるのと同じ「育てる」という意味だ)
ブログ主は、上の言葉の意図を自分なりにもっと明確にして、さらに明確な100パーセントに近い表現にしておく意味で、以下のようにさらに書き換えをこころみた。

WBCは、世界各国の野球が、それぞれの国で、いまどこまで成長したかを確かめるためにある。


たしかに敗退国はWBCのオモテ舞台から姿を消していく。

だが、WBCの目的が「優勝国を決めること」にあるのではなく「各国の野球の成長ぶりをたしかめること」とハッキリ意識して、これまでの対戦カードの意味を見なおしてみれば、景色はまるで違って見えてくる。

説明するまでもなく日本チームには優勝してもらいたいわけだが、WBC3連覇に燃えるその日本が、世界ランキング20位のブラジルに苦戦させられたこと、それこそが「WBC」、なのだ。ランキング11位のメキシコがアメリカを苦しめ、9位のイタリアがドミニカやプエルトリコを苦しめ、7位のオランダがキューバ、韓国を敗退に追いやったことが、WBCでしか確かめることのできない「世界野球のめざましい成長ぶり」なのだ。
穀物農家が穂を手にとって発育を確かめるように、アメリカや日本も含め、それぞれの国々での野球の育ち方がハッキリと確かめられること。これが「WBCを開催することの意味」なのだ。

もういちどしっかり書いておこう。

「WBCは、各国の野球の成長をたしかめるためにある」

勘違いしてもらっても困るのだが、これは、なにもオリンピックでよく言われる「参加することに意義がある」的な不明瞭なスポーツマンシップから言うのではない。
あくまで純粋に、野球というスポーツの種をまいた畑の成長を計測するマーチャンダイズの観点で言っているのである。そういう意味では、WBCという大会の基本的な性格は、オリンピックとは異なっているし、異なっていてまったく構わないし、また、異なっていてもらいたい。

よく、「WBCは世界最高のリーグであるMLBに有望選手を刈り取るための大会」だのと得意気に発言して、WBCを揶揄できているつもりになっているわけのわからない人を見かけることがある。また、「どこどこの国はベストメンバーではない」からどうとか、こうとか、どうでもいいことを指摘して得意気な人もしばしば見かける。
何をあたり前のことを、としか言いようがない(笑) 国際大会での活躍が認められて、そのスポーツの世界最高のリーグに招かれるなんてことは、あらゆるスポーツにある。ファン目線からいっても、WBCで最高のパフォーマンスを見せてくれた選手たちのプレーをもっと見てみたいと思うのは、当然の話だ。問題があるはずもない。


ちなみに、最初に挙げたコメントを書いたDan Lependorfは、もともとAthletics Nationというブログのライターだった。

Athletics Nationは、オークランドでTyler Bleszinskiが運営する地域限定のブログだったが、Bleszinskiは「ブログのネットワーク化」を目指して、他の有力スポーツブログとの提携をすすめ、新たに "SB nation" を設立し、社長になった。SBとは、 Sports Blog の意味だ。

この「ブログのネットワーク化」に成功したサイトといえば、他に、SB nationのライバルBreacher Reportがあるが、これらは、ESPNやFOX、CBS、スポーツ・イラストレイテッドなどの全米メディアが新聞雑誌テレビといったマス・メディア出身であるのと違って、いわば「たくさんのサイトが集合したブログ合衆国」、「クラウド・メディア」ともいえる草の根的スポーツメディアだ。提携サイトは、トップページを共同で利用するが、それぞれの記事の構成や執筆は、それぞれのサイトが独自に行う。
日本ではこうした組織が簡単に資金調達できるとも思えないが、アメリカではこうしたクラウド的なスポーツメディアに投資するファンドなどがあるため、運営には少なからぬ資金が投入されている。
資料:AOLの前幹部、スポーツ・ブログ・ネットワークのために資金調達 | TechCrunch Japan


最初に挙げた引用の元記事は、よく読むと実は、Athletics Nationというブログ出身のDan Lependorfが、FOXの有名ライターJon MorosiのWBCに関する意見が二転三転していることを批判するのが本来の主旨。
かたやLependorfが、クラウド的なブログ・ネットワークの創始者Athletics Nationの出身、かたやJon Morosiがもともと新聞系の出身で、いわゆる旧来のマス・メディアであるFOXのライターであることを知ってから読むと、またひと味違った味わいがある。
Jon Paul Morosi - FOX Sports on MSN | FOX Sports on MSN

damejima at 02:28

March 09, 2013

WBC Round 2 日本対台湾戦の文字通りの死闘は、4時間半もの時間をかけて日本の薄氷の勝利に終わった。それぞれの持ち味が発揮された屈指の好ゲームだったわけだが、セットアッパーに回って登場した田中将投手が、2人のキャッチャーを相手に「好対称のデキ」、つまり阿部捕手を相手に好投、相川捕手を相手に崩れるという結果を見せたことについて、ちょっとした思いつきをメモしておきたい。

以下は、普段は楽天のゲームを見てない人間が書いた、単なる思いつきだから、結論なんてエラそうなものではない。まぁ、「楽天の捕手って、かなりいいキャッチャーなんだろうな」と思ったまでのことだ。


相川捕手については、一度このブログで書いたような気はしていたのだが、あらためてブログ内検索してみたところ、やはり1度だけ書いていた。なにせ2年半も前のことだから、正直、書いたこと自体忘れていた(苦笑)
(ちなみに下記の記事は、理由はよくわからないのだが、このブログで最もよく読まれた記事のひとつだ。まぁ、MLBファンの数より日本のプロ野球のファン数のほうが圧倒的に多いのだから、しかたがない)
「巨人・阿部とは逆に、データで見るかぎり、例えばヤクルトの相川というキャッチャーなどは、『何回打たれても、同じチーム、同じバッターに、同じような攻めを繰り返したがるキャッチャー』にどうしてもみえる。彼は『どこが対戦相手だろうと、ワンパターンな自分の引き出しにある攻めだけしか実行しない。引き出しが少なく、探究心も無いキャッチャー』のひとりで、だからこそ阪神が神宮でゲームをするときには、彼のリードする投手はまるで『神宮球場が阪神の第二のホームタウン』ででもあるかのように、ボコボコ打たれるハメになる。」
出典:Damejima's HARDBALL:2010年9月30日、逆転3ランを打った村田が「なぜ、あれほど勝負のかかった場面で、高めのクソボールを強振できるのか?」についてさえ、何も書かない日本のプロ野球メディア、野球ファンの低レベルぶり。



まず阿部捕手だが、何度もツイートしていることだが、能見投手とのバッテリーを見ていて、非常に印象に残った配球がある。 「初球に、ど真ん中に落として見逃しストライクをもぎとるスプリット」 だ。(日本でいう「フォークボール」)

これ、何が面白いかというと、変化球、特に「その投手の最も得意な変化球」という貴重な財産、貴重な資源を、「バッターを追い込んでおいて、それから空振り三振をとるためだけにしか、その変化球を使わない」という、「狭苦しい用途」に押し込めないで済む、という意味だ。
別の言い方をすると、「バッターに、どの球種を、どのカウントで、どういう目的に使うかを、わからせないで済む」のだ。
そりゃ、初球にスプリットでストライクをとられれば、バッターは追い込まれてからのスプリットが、ワンバウンドするのか、それともゾーン内に来るのか決められなくなるし、そもそも決め球がストレート系か変化球かを推定できなくなる。


たしかにキューバ戦では、追い込んでスプリットさえ投げておけば簡単に空振り三振してくれたから、スプリットは切り札、勝負球として、最後までとっておけばよかった。
だが、そういう単純な配球が、全ての球審、全ての対戦相手に通用するわけではない。能見が打者を追いこんだ後に投げる低めのスプリットが非常に効果的なのは間違いないが、だからといってスカウティングの得意なチームに「低めのスプリットは、振らなければボールになるだけだ。振らなくていい」と見切られてしまえば、せっかくのスプリットが、切り札どころか、単にカウントを悪くするだけの「無駄球」に変わってしまう。

実際、台湾戦ではかなりの低めの球が見切られ、低めをとらないタイプのGuccioneが球審だったために、ボール判定された。
キューバ戦では、ストレートでカウントを稼いでおいて、低めにスプリットを連投しておけば打ち取れたが、日本の投手の配球パターンがわかっている打者の多い台湾戦に限っては、そもそもバッターがスプリットを振ってくれないという事態が頻繁に起こったのである。

だからこそ、阿部捕手が「能見のスプリットは、低めに使うだけじゃない。見逃せばストライクになるコースに投げることもあるんだぜ」と、長いゲームの中で「一度だけ」見せておく、というのは、スプリットの効果をできるだけ延命させる有効な策略になる。


かたや、相川捕手だが、日本対台湾戦の途中で、こんなツイートをした。


これはどうも、「Fastball Count」という言葉について、もう一度おさらいしておく必要がありそうだ。
Damejima's HARDBALL:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート(11) なぜライアン・ハワードは9回裏フルカウントでスイングできなかったのか? フィリーズ打線に対する"Fastball Count"スカウティング。

Fastball Count」は、文字通り、「投手が、球種としてストレートを投げる可能性が非常に高いカウント」なわけだが、これには「日本とMLBの配球文化の違い」が非常に大きく影響する。
(なお、WBCで「各国のファーストボール・カウントの違い」を観察することは、それぞれの国で異なる発達を遂げつつある各国の野球文化の「発展の方向性の違い」を知ることに繋がる

アメリカと、MLBの流儀の野球が教えられている地域では、カウント3-0や2-0のような「ボール先行カウント」は、論議する必要のまるでないfastball countであり、投手はほとんど例外なくストレートを投げてくる。

(ただし、fastball countは単に投手と打者の「騙し合い」の出発点に過ぎない。いまや投手も打者も相手を研究・工夫して、変化している。例えば2012年ワールドシリーズ最終ゲームでは、スライダーを多投することで知られるサンフランシスコのクローザー、セルジオ・ロモが、デトロイトの三冠王ミゲル・カブレラを追い込んでおいて、得意のスライダーではなく、ストレートを投げて見逃し三振にうちとってゲームセットになった。 資料:Damejima's HARDBALL:2012年11月10日 2012オクトーバー・ブック 投げたい球を投げて決勝タイムリーを打たれたフィル・コーク、三冠王の裏をかく配球で見事に見逃し三振にしとめたセルジオ・ロモ。配球に滲むスカウティングの差。

それに対して、日本では fastball count でも変化球が多投される。(例:第3回WBC 日本対台湾戦で、能見-阿部バッテリーは、カウント3-0でスライダーを選択した)
この背景には、日本の投手のコントロールの良さがある。

MLBと日本の配球は、構造において裏返しになっている点が非常に多い
あえて相違点だけ強調して言うと、例えばMLBでは、早いカウントではストレート系で入って、変化球で締めるパターンは多い。(例:プレートの真上に落ちるチェンジアップ、シンカー、カーブ)
かたや日本では、変化球から入って、最後はストレートやスライダーのような「速さのある球」を、それもアウトローに集めるのが配球常識という「思い込み」は非常に強い。また、ピンチの場面になると「最初から最後まで徹頭徹尾アウトロー」というワンパターン配球になってしまいがち。(もちろんMLBにも、ラッセル・マーティンのような弱気でワンパターンなアウトロー信者は存在する)

同じ現象を、バッター視点で見直してみる。
MLBでは大半の打者がヒットを打つのは、早いカウント。逆に言えば、大半のバッターは、追い込まれたカウントでの打撃成績が極端に悪い。(例外は、イチローや全盛期のボビー・アブレイユジョー・マウアーなど、ほんのわずかの高打率のバッター)
MLBの投手は、特に早いイニング、早いカウントでは、ストレート系を投げなさいと教えられて育つ投手が多いから、結果的に「バッターの側でも、早いイニング、早いカウントでは、ストレート系を狙う」ことになる。(こんな基本的なことは、MLBルーキーのダルビッシュに指摘されるまでもない)

そもそもMLBの打者は、「豪速球」には滅法強い。その上、早いカウントではストレート系狙いに徹してくる打者は多い。
(例:ヤンキースのグランダーソンがホームラン王になれたのは、極端なストレート系狙いのおかげ。Damejima's HARDBALL:2012年11月2日、2012オクトーバー・ブック 「スカウティング格差」が決め手だった2012ポストシーズン。グランダーソンをホームランバッターに押し上げた「極端なストレート狙い」が通用しなくなった理由。
そのためMLBの投手たちは、打者の「ストレート狙い」をかわす意味で、早いカウントでストレート系を投げるにしても、「動かない4シーム」ではなく、「動くストレート系」、例えば、2シームやカットボールなどを多投し、打ち損じを誘うように進化を続けてきた。(例:イチローがマリアーノ・リベラから打ったサヨナラ2ランは、初球のカットボール。リベラのあの決め球を初球打ちできたからこそ価値がある)
つまり、MLBのほとんどの球種が「動く」という事実の裏には、打者と投手の「早いカウントにおけるストレート勝負」という歴史があるわけだ。4シーム勝負できるのは、あくまでストレートによほどの球速がある、ほんのわずかな投手たちだけである。(例:バーランダーチャップマン


以上のような「MLBのストレート系が『動く』ようになった歴史」をふまえて、もういちど相川捕手の「ストレート、ストレート、変化球」というワンパターンなサインの意味を見てみる。

まず指摘したいのは、「ストライクになるストレート系を続けておいて、ボールになる変化球を振らせる」というけれども、こういうパターンに慣れている国は多い、ということだ。球にキレや球威が無ければ通用しない。
そして、「パターン認識」の得意な選手の多い国のバッターに、「ストレートはストライクにして、変化球はボールにする」という単純な配球パターンが見抜かれてしまうのに、さほど時間はかからない

さらにいけないのは、
ストレート系に強い打者の揃うWBCでは、日本の投手の4シームが通用しないこと、特に、早いカウントにおいて4シームでストライクをとりにいくという手法が、ほとんど通用しないこと」に、注意を怠っている。
さらには、「俗説で「ゾーンが低い」と言われがちなMLBの球審には、実際にはたくさんのタイプがいて、中には低めをとらない人、極端にストライクゾーンの狭い人もいる」という「球審ごとに違うゾーンの個人さの問題」にも、注意が足りないまま、低めにボールを集め続けてボール判定を食らい続けている。

その結果、「早いカウントのストレート」を狙われ、強振されて二塁打にされたり、ランナーが出てから、いたずらに低めに集めようとして、低めをとらない球審Gucchioneにきわどい球をボール判定され続けて四球を連発してしまい、カウントを悪くして苦し紛れにストライクをとりにいった高めの球をタイムリーされるという悪循環を招いた。
(ちなみに、カウントが悪くなってから、低めだけを突いてピンチを逃れようとしてドツボったのは、田中将-相川バッテリーだけでなく、能見-阿部バッテリーでも同じ現象がイニング中盤に見られた)



まとめよう。

相川捕手の「ストレート、ストレートでカウントをまとめておいて、最後は変化球」という配球のワンパターンさは、田中将のストレートを、不用意にも、ストレート系に滅法強い外国チームの狙い打ちに晒してしまい、また、球審のゾーンを考慮しないまま変化球を低めに集めた結果、変化球の効果も同時に台無しにした。
名捕手野村さんは、WBC本戦を前に田中投手について、以下のようなことを言ったらしいが、主旨には同感する。
「(田中投手の)打たれてるのは全部ストレート。お前のストレートは、ストライクゾーンに投げるとやられる。それがプロ」
強化試合で敗戦、田中将大にノムさんは「お前の真っ直ぐはプロじゃダメ」(Sports Watch) - livedoor スポーツ

だが、田中投手が辛抱できず、失点し続けてしまう原因は、相川捕手との相性の悪さにあると指摘したい。
たしかに、国際試合ではストレートにべらぼうに強い打者ばかり集まるから、日本の投手のストレートが通用しないという問題も関わってはいる。だが、その問題以前に、「ストレートを最大限に生かす配球をするという責任」において、相川捕手のワンパターンなサインとの相性の悪さによって、田中将は現状のポテンシャルすら発揮しきれていない。
実際、台湾戦での田中-阿部バッテリーにおいては、珍しくカーブも投げさせ、チェンジアップの数も増やすなどして、田中投手に足りない緩急の組み立てをキャッチャー阿部が配球の知恵で補強して、彼にあたかも緩急があるかのように見せかける(笑)工夫をしていた。
その結果、問題とされがちな「ストレート」も、阿部捕手の工夫のおかげで、それなりに台湾バッターに通用していたし、そもそも台湾にストレート系に狙いを絞らせなかった。

だが、阿部に代走が出てキャッチャーが相川に変わると、田中将はやはり早めのカウントのストライクになる4シームを狙われて、やすやすと外野にヒットされ続け、また低めのボールになる変化球は、打者に見逃されるか、もしくは球審にボール判定されて、四球もからんで自滅していくという、いつもながらの崩壊パターンにハマってしまったのは、明らかだ。
相川 読みの先頭打 延長10回決勝点の起点も反省は「配球見つめ直したい」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース


田中将投手は、頭を使ってリードしてくれる阿部とのバッテリーでなら、「組み立ての単調さ」という彼が元々持っている欠点を改善し、ストレートの使い道にも工夫が凝らされて、彼本来のポテンシャルが発揮可能になると思う。相川捕手がやったような、ストレートで追い込んで変化球で仕留める程度の、初歩的なMLB風配球など、WBCでは通用しない。
そういう意味で、楽天におけるこれまでの田中投手の好成績は、相棒をつとめている嶋捕手(と楽天のキャッチャー陣)の功績と考えていいのではないか。そんな風に思ったわけである。

damejima at 15:02

March 04, 2013

第3回WBC 1st Round
日本対ブラジル戦
球審Chris Guccioneのストライクゾーン
Chris Guccioneのストライクゾーン

第3回WBC 1st Round
日本対中国戦
球審Gerry Davisのストライクゾーン
Gerry Davisのストライクゾーン

(上の図で、赤い線は「ルールブック上のストライクゾーン」。青い線が「そのアンパイアのゾーン」だ。あくまで、それぞれのアンパイアの過去の判定結果を集計したデータからみたストライクゾーンの判定傾向である。実際の個々のゲームでは、「過去に低めを広くとる傾向にあったアンパイア」が、その日に限っては低めが辛い、なんてことも、よくある)


2人のMLBアンパイアに共通していえることは、「ストライクゾーンが狭いこと」だ。
(なお、この2人は「信頼性が非常に高いアンパイア」でもある。信頼性の高さとゾーンの狭さは、直接関係ない。ゾーンの狭いアンパイアほど信頼性が高いわけではない)


1974年生まれと若いChris Guccioneだが、少し前の彼のゾーンデータは「全体として、やや狭め。ただし、高めだけは少しだけ広い」ということになっている。
これは、正確無比な判定で知られ、ポストシーズンなど重要ゲームを任されることも多いMLBのアンパイアの重鎮のひとり、Jeff Kelloggのゾーンと、もう瓜二つといっていいくらい、似ている。また近年評価が高まっていて、2011年にはアンパイア界の重鎮のひとりであるGerry Davisのクルーに加わったAngel Hernandezも、似たタイプのゾーンを持っている。

ひとくちに「ゾーン全体が狭めなアンパイア」といえども、いくつかのタイプがあり、アンパイアごとに個人差もある。
高めの判定の違いだけに注目して比較すれば、「全体が狭いが、高めだけは多少広い」、Kellogg、Guccione、Hernandez、Cousinsなどのタイプと、「全体に狭いし、高めもとらない」、Davis、Chad Fairchild、Tim McClelland、Paul Schrieberのようなタイプに分かれる。
ブラジル戦の球審Chris Guccioneは前者で、「全体に狭めだが、高めだけは広め」。中国戦の球審Gerry Davisは後者であり、「全体に狭く、高めもとらないが、低めだけは例外的に広め」、ということになる。

こうした事前データから、これらの球審がさばく2つのゲームで、投手と打者が意識しておくべきポイントは、次のような点だった。

「ゾーンが全体として狭めだ」という意識が必要。

四球が出やすい。特に投手がきわどいところを突こうとし過ぎると、四球連発で大量失点に繋がることが多々ある。

ゾーンの左右は狭い。よって、打者が内外の難しい球に無理に手を出す必要は、ほとんど無い。
(特に右バッターのアウトコース)

打者が「高め」「低め」に手を出すべきかどうかは、球審とイニングしだいで判断。


ブラジル戦の球審Chris Guccione
日本の投打との関係


さて、上に書いたまとめから、以下のブラジル戦に関するツイートの意味は、詳しく説明するまでもなく、ハッキリするはずだ。

打つほうでいうと、早いカウントで、内外のきわどい球を無理に打つ必要は全くなく、ボールを見極めてさえいけば、割と簡単に四球が獲得できる可能性が、どの打者にも、常にあった。特に、右バッターがアウトローのコーナーに逃げていくスライダーに無理に手を出す必要は、全く無かったはず。(例えば坂本や長野の凡打)
投げるほうは、打者とは逆で、(日本のキャッチャーに非常にありがちなリードだが)アウトローのコーナーいっぱいを突くきわどい球でストライクをとろうとばかりすると、球審にボール判定を連発されて、投手のリズムも配球プランも両方崩れて、四球連発で試合を壊してをしまうことになりかねない。(例えば杉内の2イニング目)
実際、ブラジルのバッターの何人かは、外のスライダーをあえて見逃し、低めがストライクにならないことに日本側の投手がイライラし、焦れて高めに浮かせてくる球をヒットにしていた。




ブラジルは、遅い球の無い田中将の主力武器である「ストレート」、杉内の決め球「スライダー」と、その投手が多投してくるのがわかりきっている球種に、最初から狙いを定めてバッティングして、功を奏していた。
もちろん、それができたのは、ブラジルチームに日本野球経験者が多く、日本の投手の情報が十分に活用されてもいたからだ。

ツイートで、日本のキャッチャーについて「阿部がふさわしい」と言ったのは、ブラジル戦で7回までマスクをかぶっていた相川捕手は、「その投手の最もいい球を投げさせる」「低めに集める」という原則にとらわれすぎている、と思うからだ。
相川捕手は、自軍投手とのコミュニケーションにばかり気をとられて、対戦しているブラジル側打者が「日本の投手それぞれの最もいい球に狙いを絞って打席に入っている」こと、そして「早いカウントから、その狙い球をスイングしてきていること」に、球審が低めをとらないタイプであることに、ほとんど気がつかないでいた、と思う。

逆に、8回からマスクをかぶった阿部捕手は、球審にストライクをとってもらいやすい高めの球を上手に使えていた。例えば、能見投手のフォークだが、これも、よくある「低めにはずれて、空振りさせるフォーク」ではなくて、このゲームで投げたのは「見逃しストライクになるフォーク」だった。
もし、よくある「低めの、ワンバウンドするような、振らせるフォーク」だったなら、もし打者に見逃された場合、この球審は低めをとらないタイプだから、間違いなく「ボール」判定されていた。もちろん、外国の打者は早いカウントでストレート系を狙うことが多い、ということもある。
それにしても、よくまぁ、好打者の初球に、真ん中のフォークを投げさせるものだ。能見投手の技術の確かさ、阿部捕手のサインを出す度胸には、感心するしかない。



中国戦の球審Gerry Davis
日本の投打との関係


球審Gerry Davisは、1953年生まれの60歳のヴェテラン。
同じゾーンの狭いタイプの球審でも、高めはとってくれたブラジル戦の球審Guccioneとは違って、「高め」はとらない。加えて、もっと大事なことは、この記事の最初に挙げた図からわかるように、左右のゾーンが非常に狭い

実際、ゲームを見ていた人は、前田健太投手のキレのあるストレートが、左右のバッターのアウトコース一杯、あるいは右バッターのインコースに、『ズバッと決まった』と見えたのに、球審にあっさりボール判定され、マエケンが「えっ?」っと驚いた表情を浮かべるシーンを、かなりの回数見たはず。
もしそこで、かつてダメ捕手城島がやり続けた馬鹿リードのように、アウトローぎりぎりに投げさせることに無理矢理こだわり続ければ、逃げ道の無くなった投手は自滅するほかなくなる。


中国戦のマスクは、相川でなく、阿部が復帰している。これは大きかった。というのは、記憶力がよく柔軟性のある阿部捕手は、「球審が、コースぎりぎりのストレートを、ストライクとコールしないこと」に、早々と気づいたからだ。阿部はイニングを重ねるごとに、マエケンの主力球種をストレートではなく、スライダーなどの変化球に変えていった。

前の試合のブラジルは分析力のあるチームで、日本の投手それぞれの中心球種が何かを把握してゲームに臨んでいたし、アウトコースのボールになるスライダー(もっと正確にいえば、「きわどいが、球審にボールと判定されるスライダー」)を見逃すことができるバッターもいた。
だが、中国チームのバッターは、「この球審の場合、本来は見逃すべき、アウトコースのボール気味のスライダー」を投げても、やすやすと三振がとれた。これは中国チームの選手個人個人の野球センスの無さでもあるし、またチームとしてのスカウティング能力の無さでもある。



中国にない日本の野球史の長さを表わすこんなシーンがある。日本がようやく中国を突き離しにかかった5回裏、元メジャーリーガー、松井稼頭央が、フルカウントからの極めてきわどい外のストレートをあえて見逃して、貴重な四球を選んだシーンだ。
これは高度な選球眼が要求されるし、試合の流れをずっと追いかけて頭に入れて打席に入っていないとできないファインプレーだと思う。
マエケンのゲーム序盤の投球では、松井が四球を選んだような「アウトコースぎりぎり」の、それも「ストレート」は、大半がボール判定になっていた。
もし松井稼頭央が、このアウトコースのきわどい球に無理に手を出して凡退し、打線の繋がりが切れていたら、その後の大量点はどうなっていたか。地味に見えるかもしれないが、明らかにファインプレー。さすが松井稼頭央、さすがベテランとしか、言いようがない。


ちなみに、この中国戦の球審Gerry Davisが、そんじょそこらの「球場の雰囲気に左右されて、肝心の判定基準がフラフラと変わる」ような、ボンクラなアンパイアではないことは、この「松井稼頭央の四球」でも、よくわかる。
この1球の判定は、ただでさえ「アウトコース一杯」の難しい判定であるばかりでなく、この判定の結果で、打者松井が三振になるか、四球になるかが決まり、さらに、このイニングが、どのくらい日本のチャンス、中国のピンチになるかが決まる「重い」判定でもある。
もしここで、それまで重ねてきた「ボール」判定ではなく、突如として、この球だけに限って「ストライク」とコールしてしまうような「判定の揺らぎ」があれば、それこそゲームが混乱する大きな原因になる。

ボールなものは、ボール。
どんなにきわどい場面であろうと、なかろうと、変わらず自分の主張、自分のストライクゾーンを貫き通してくれるGerry Davisは素晴らしいアンパイアだ。

damejima at 16:37
2人のMLBアンパイア、Chris Guccione と、Gerry Davis がそれぞれ球審をつとめたWBC日本対ブラジルと、日本対中国戦の2試合について、いつもMLBのゲームを見ながらやっているように球審のストライクゾーンについてツイートしていたところ、思わぬ数の反響(リツイートやらフォローやら)を頂いて驚いた。

おそらく、日本のテレビでWBCを観戦している方は、普段は日本のプロ野球だけ見るタイプの方が多いと思われるわけだが、それだけに、これら2人の球審が「非常に強い特徴をもつ、独特のストライクゾーン」を持っていることをこちらのツイートで知って、驚かれたのだろう、と思う。


そこで、そうした方々にも、MLBと日本のプロ野球との違い、MLBのアンパイアの個性とその意味について知ってもらい、MLBに関する間違った認識も訂正しつつ、もっとMLBに親しんでくれるファンを増やす意味で、簡単にだが、ちょっと自分のわかる範囲で説明してみることにした。(もちろん解説が100%正確ともいえないとは思うが、アメリカはともかく、日本では他の野球サイトでMLBのストライクゾーンの現状について、このブログ以上にきちんとまとめた解説をこれまで見たことがない)



MLBのストライクゾーンについての基礎知識

ネットでも、ファン同士のリアルな会話でも、よく「MLBのストライクゾーンは、日本より低い」という話を聞かされたことがあると思う。だが、そんなのは単に過去の「情報不足の時代」に言われていた俗説に過ぎない。
昔はまだMLBで実際にプレーする日本人選手が限られ、実際のゲームを見る機会も今ほど多くはなかっただろうし、またインターネットも無く、パソコンを使ったデータ収集もままならなかった。そんな情報不足の時代に、ほんのちょっと見ただけの印象が、聞きかじりに伝聞され、通説化していたとしか思えない。

日本にはいまだに存在しないのが残念だが、アメリカには、MLBについてのパブリックなデータサイトが非常に発達している。(例:Baseball Reference
中には、実際のゲームの何十万球もの投球データを集計して、アンパイアの実際のストライクゾーンを研究したデータ、なんてものもある。
だから、調べれば「MLBのストライクゾーンは低い」なんて単純な話ではないことは、誰でもわかる。


1)一般論としてのMLBのストライクゾーンは「横長」

ルールブック上のストライクゾーンは見た目に「縦長」な形をしているが、実際の試合でMLBの球審が判定するストライクゾーンは「一般論としては、横長」にできている。つまり、ルールブック上のゾーンに比べて、実際のゾーンは、高低が狭く、左右は広いのである。
もちろん個々のアンパイアには大きな個人差が存在する。アンパイアによって、「縦長」「横長」「真四角」と、さまざまな形のゾーンが存在する。だが、非常にたくさんの判定データをぶちこんで、ならしてみると、結局「横長」のゾーンになる、という集計結果が出ている。
資料:Hardball Times:The eye of the umpire


2)左バッターと右バッターのゾーンは異なる

MLBの左バッターのゾーンは、「アウトコースが異常に広い」のが特徴。アンパイアによっては、ルールブックよりボール2個以上広いことすらある。逆にインコースは、ルールブック通り。全体として言えば、「左打者のゾーンはアウトコース側に大きくズレている」ともいえる。もし左打者としてMLBで成功しようと思うなら、広いアウトコースに対応できなくてはならない。
右バッターのゾーンは、インコース、アウトコース、ともに、ルールブックより少し広い。ただ、右バッターのアウトコースのゾーンは、左バッターのアウトコースほど広くない。逆に、インコースは左打者よりやや広め。全体として言えば、右バッターは、インコースもアウトコースも、両方に対応する必要がある。
資料:Damejima's HARDBALL:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。
ルールブックのストライクゾーンと実際に計測されたゾーンの差
上の図で、左図は右バッター、右図は左バッター。アンパイア視点で書かれた図なので、向かって右がライト側、左がレフト側になる。赤色の線が「ルールブック上のストライクゾーン」、緑色の線が「実際のゲームでアンパイアがコールしているゾーン」。球審のコールするゾーンが「横長」であることがわかる。


3)個々のアンパイアのストライクゾーンは「個人差」が非常に激しく、その「個人差」は、他のあらゆるファクターに優先する

MLBのゾーンが「一般的に横長」という特徴をもつことや、左打者・右打者のゾーンの違い、それらのどの項目よりも、「アンパイアごとの個人差」は優先される
球審ごとにゾーンは少しずつ異なるが、いくつかのタイプ分けはできないこともない。(ただ、勘違いしてほしくないのは、ゾーンが狭いから上手いとか、広いから下手とか、そういう意味ではないことだ)
「ほぼルールブックどおり」代表例:Jeff Kelllog
「非常に狭い」例:Gerry Davis
「非常に広い」例:Jeff Nelson
「めったやたら横長」例:Mike Winters
「全体として高い」例:Sam Holbrook
「全体として低い」例:Tim Timmons

資料:Damejima's HARDBALL:2010年11月8日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (4)特徴ある4人のアンパイアのストライクゾーンをグラフ化してみる(付録テンプレつき)

資料:Hardball Times:A zone of their own


4)アンパイアに存在する「技術差」について

ひとこと確認しておかなければならないと思うことがある。
それは、アンパイアごとの「個人差」と「技術差」は、意味がまったく違う、ということだ。
技術の下手なアンパイアはMLBにもいるが、そしてWBCに派遣されているアンパイアは、たとえ「ストライクゾーンの個人差」は存在するにしても、MLBでも指折りの、技術の確かな厳選されたアンパイアが派遣されてきている、ということは強調しておきたい。日本のブラジル戦、中国戦の2試合をさばいたChris Guccione と、Gerry Davisは、2人とも素晴らしいアンパイアであり、MLBでの評価は非常に高い。

例えば、「MLBのアンパイアが実際に使うストライクゾーンは、ルールブック上のゾーンとは、かなり異なっており、また、個人差が非常に大きく影響する」などと書くと、とたんに、「じゃあ、MLBのアンパイアは、みんな下手なんだな」とか、「MLBのアンパイアは、バラバラの判定をしてるのか」とか、勘違いする人が出てくる可能性がある。

だが、それは間違っている。

最後はどうしても日米の文化論に帰結してしまうことになるが、アメリカでは州ごとに法律が異なっているように、「個人差を認める」というルールが文化の根幹に通底している。「アンパイア全員が、まったく同じ基準で判定しなければスポーツではない」と考えなければならない理由は、どこにもない。
では、個人差が認められているから、MLBのアンパイアの判定がバラバラなのかというと、そういうわけではなく、「通底した了解」も同時に存在する。けしてバラバラではない。ちょっと日本人には理解できにくいことなのかもしれないが、「大きな個人差があり、それが優先されながらも、全体としてひとつの方向性が存在する」という発想を認めなければ何事も先に進まない。

野球というゲームのアンパイアの判定で、最も困ることのひとつは、「ゾーンが高すぎる」とか「ゾーンが横長すぎる」というような「個人差の存在」ではなくて、むしろ「ゲーム中に判定基準がコロコロ変わること」や、「重要なゲーム、重要な場面で、プレッシャーに押しつぶされて、アンパイアがわかりきった判定をあからさまにミスすること」、つまり、「経験を含めた判定技術の上手い、下手」だ。

野球選手はプロだから、「今日の球審のゾーンは高いな」とか、「今日の球審はアウトコースが広い」とか、わかった上でプレーしている。だから、選手はアンパイアの個人差をそれほど問題にしてはいない。
だが、判定基準をゲーム中に突然変えることは、プレーしている選手にはバレるし、怒りを買う。突然さっきまでボールと言われていたコースをストライク判定されて三振させられたら、選手は一気に頭にくるし、黙ってない。アンパイアに執拗に抗議して退場させられたりすることもある。


最後にアンパイアの「個人差」と「技術の上手い下手」が意味が異なる、という例を挙げてみる。

Close Call Sportsという各種プロスポーツの退場処分だけを扱ったユニークなサイトによれば、日本対ブラジル戦を球審としてさばいたChris Guccioneだが、彼は、2011年に退場コールを3回行っているが、そのどれもが後に「正しい判定だった」(つまり抗議した側が判断を間違っていた)ことがわかっている。さらに2012年には、彼はなんと、一度も退場コールをしていない。
資料:Close Call Sports: Chris Guccione
このことからわかるのは、Chris Guccioneのストライクゾーンが他のアンパイアと比べて「やや高い」というような「判定の個人差」と、彼の判定技術の高さの間には、なんの関係もない、ということだ。

damejima at 12:14

February 19, 2013

第3回WBCが刻々と近付いてきた、というのは嘘で、第3回WBCはとっくに「始まって」いて、4つの予選ラウンドから、スペイン、カナダ、ブラジル、台湾の4チームが既に本戦に勝ち上がっている。

予選ラウンド出場国
Qualifier 1 アメリカ・フロリダ州ジュピター
スペイン、イスラエル、南アフリカ、フランス

Qualifier 2 ドイツ・レーゲンスブルグ
カナダ、ドイツ、イギリス、チェコ

Qualifier 3 パナマ・パナマシティ
ブラジル、パナマ、コロンビア、ニカラグア

Qualifier 4 台湾・新北市
台湾、ニュージーランド、フィリピン、タイ

2013 World Baseball Classic – Qualification - Wikipedia, the free encyclopedia

2013 WORLD BASEBALL CLASSIC QUALIFIER 試合結果 (予選ラウンド1組) - 日本野球機構オフィシャルサイト


予選ラウンドを勝ち上がった国はどれもあなどれないチームだ。

カナダは、予選ラウンドではメジャーリーガーを起用せず、Jimmy Van Ostrand (ナショナルズ2A)の驚異的な打棒爆発で勝ち上がったが、本戦からはさらにそこに、ジャスティン・モーノー、ラッセル・マーティン、マイケル・ソーンダースなど、メジャーリーガーが参戦してくるようだ。トロント・ブルージェイズやモントリオール・エキスポズなど、歴史的に野球との縁が深いカナダは、さすがに選手層が厚い。

だが、今回ちょっと注目したいと思うのは、ヤンキースの不滅のクローザー、マリアーノ・リベラを生んだ野球のさかんなパナマを破って本戦に駒を進めてきたブラジルだ。
Brazil national baseball team - Wikipedia, the free encyclopedia


ブラジル人の身体能力の高さには、本当にいつも驚かされる。

例えばサーフィン

プロサーファーの世界ツアー、ASP World Championship Tourは、自動車レースのF1のドライバーライセンスと同じように、34人のみの限られたサーファーのみに参加資格が与えられ、毎年のチャンピオンを決める、クローズドなツアーだ。

よく知らない人は、プロのトップサーファーというと、ハワイアン、アメリカ人、オーストラリア人のヴェテランばかりだと思うかもしれない。たしかに、1971年生まれの40代だが、まるで衰えを見せないフロリダ出身の不世出の天才ケリー・スレーターはじめ、上位ランカーは1980年代生まれを中心にしたアメリカ、オーストラリアのヴェテラン勢が、常にランキング上位を独占してきた。

だが今は、その限られた34人の中に、ブラジル人が6人も入っている。そしてランキング7位に入っているブラジル人、Gabriel Medina(ガブリエル・メディーナ)は、なんと1993年12月生まれの、まだ10代のトッププロだ。
Gabriel Medina



さてWBCブラジル代表だが、監督は、2012年に記者投票で野球殿堂入りした元シンシナティ・レッズのバリー・ラーキン。そしてブラジルの代表選手には、ブラジルという日本に縁の深い土地柄から、日本でプレーしている日系二世、三世や、日本でプレーしているブラジル人が数多く選ばれている。

投手
仲尾次オスカル Oscar Nakaoshi 白鴎大学
吉村健二 Carlos Yoshimura ヤマハ
ケスレイ・コンドウ Kesley Kondo ユタ大学
ガブリエル・アサクラ Gabriel Asakura カリフォルニア州立大学
金伏ウーゴ Hugo Kanabushi 東京ヤクルトスワローズ
ラファエル・フェルナンデス Rafael Fernandes 東京ヤクルト
(日系人ではないが、ブラジルのヤクルト野球アカデミー卒業)

捕手
平田ブルーノ Bruno Hirata 東芝

内野手
田中マルシオ敬三 Marcio Tanaka  JR九州
奥田ペドロ Pedro Ivo Okuda  シアトル・マリナーズ傘下
松元ユウイチ Daniel Matsumoto 東京ヤクルト
ファニョニ・アラン Allan Fanhoni NTT東日本
(山形県・羽黒高校出身)
佐藤二郎 Reinaldo Sato ヤマハ

外野手
曲尾マイケ Mike Magario


直接間接に日本の野球の薫陶を受けて育てられたブラジル野球が、どこまでやれるのか。ちょっと楽しみである。
資料:2013 ワールド・ベースボール・クラシック・ブラジル代表 - Wikipedia

damejima at 11:55

January 26, 2013

このあいだ、(たしかHardball Talkというアカウントのツイッターだったと思うが)、「今年のヤンキースは、まるでジュニア・ハイスクールみたいだぜ」と皮肉っているツイートだか記事だかを見た記憶がある。
ああいう論調自体はよくあるものだし、たわいない世間話だから、別に気にもしないし、記事まで読んで時間をムダにするような馬鹿なことはしない。一部の人たちにしてみると、「本来のヤンキースは、こんな小粒なチームじゃない」、とでも言いたいのだろう(笑)

「本来のヤンキース」ねぇ・・・(笑) ぷっ(笑) 
追記この記事を書いた数日後に、アレックス・ロドリゲス、ジオ・ゴンザレスなどが関与したとみられるPED事件が報道された 90年代中期の「大粒な」ヤンキース(笑)はステロイダーばかりだったわけだ


よほどWBCが気にいらないとみえるCBSあたりも、たぶん似たようなことを考えているに違いない(笑) そんな無駄なことを考えていて時間が惜しくないのかね、とも思うが、そういう的外れな行為が好きでしかたないのなら、無理に止めはしない(笑) 中古のホームランバッターを並べた時代遅れの野球について論文でも書きたいのなら、好きなだけ考えたらいい。
(アメリカのスポーツメディアの中には、野球殿堂入り投票の件についての意見でもわかるとおり、ステロイド時代のMLBを是認する考え方も、一部にではあるにしても、根強く残っている)


こんどの第3回WBCの各国メンバーについても、やれ「小粒」だの、やれ「アメリカは本気じゃない」だの、「WBCは消滅する」だの、もう、無意味なことを書きたくて書きたくてしかたない「小粒な」書き手が、メディアやネットに掃いて捨てるほどいる(笑) 
まぁ、たぶん、つい先日引退した某選手や某選手を徹底的に贔屓しまくっていた記者さんたちとファンが、変わっていく時代に能力的についていけずに「終わって」しまい、そういう「もう居場所の無い人たち」がイライラしながら必死に書いているんだろうけども(笑)、そんな「終わった人たち」がこの先どうなろうと、どうでもいい。

そもそも「時代とズレているのが、自分のほうであること」に気づきもしないで、よく、ああもうるさいことを書き続けられるものだ。

それぞれの記事や書き込みのトーンをちょっとながめればわかることだが、たいていの場合 「そもそもMLBが、この2年で大きく世代交代しつつあったこと」を全く知らないか、まるで意識に入れないままモノを書いている。

例えばこんどWBCアメリカ代表になったと聞くジャンカルロ・スタントンだが、「ジャンカルロ・スタントン? 誰だ、それ? 23歳? 若いな」なんて言ってるようなレベル(笑)で日頃MLBを見ている(と自称している)ような人間に、いまのアメリカ代表の外野手のレベルが語れる訳もない。(マイク・トラウトが出ないなら、アメリカ代表は本気じゃない、小粒だ、なんてのも実に些細な話でしかない)

まぁ、ロクにゲームも見てないクセに、「記事を書くのが仕事だから、イヤだけど、しかたなく、自分の頭の中にある古い情報だけを頼りに、紙面を埋めるだけ」なのが、日本のスポーツ記者とその郎党だから、しかたないといえば、しかたない。そんなモノを語るに値しないレベルの人間でも、メディアでライターがやれたり、ネット掲示板で大きな顔して書き込みできたり、起業できたりするのが、今という時代なのだ。

そりゃ、ソニーもパナソニックも、ダメになるわけだ。



23歳でとっくにスターになっているジャンカルロ・スタントンの迫力あるプレーすらほとんど見たことが無い人間は、MLBでアフリカ系アメリカ人が減少しつつある問題と、その問題がMLBにおけるアメリカ人プレーヤー全体のレベル低下をもたらしつつある問題など、知りもしないし、また、アフリカ系アメリカ人選手減少の背景のひとつともなっている「サラリーの安いドミニカやヴェネズエラの選手たちの、プレーレベルのめざましい向上ぶりや、選手数の爆発的増加という現状」を、WBCアメリカ代表に関する議論の素材にしたりもしない。
また、去年のドラフトでかなりの数のチームが、例年指名が集まるはずの「アメリカの大学生プレーヤー」をスルーしたことの意味にも気がつかつこうともしない。
(さらにいうなら、MLBのアメリカ人選手とMLBの観客動員が抱える諸問題は、なにもMLBだけの問題ではなくて、ひいてはアメリカ社会、特に中間層の抱える社会問題が背景にあって直結しているわけだが、ここで論じる話でもない)
Damejima's HARDBALL:2012年5月18日、「アメリカでの非白人比率の増大傾向」と、「MLBプレーヤー、ファン両面の人種構成の変化」との複雑な関係。

Damejima's HARDBALL:2012年6月6日、アメリカでアフリカ系アメリカ人の平均寿命が伸び、白人との差が縮小した、というニュースを読む。

Damejima's HARDBALL:2012年6月11日、MLBにおけるアフリカ系アメリカ人プレーヤーの減少について書かれたテキサス大学ロースクールの記事を訳出してみた

Damejima's HARDBALL:2012年6月18日、代理人業として大卒選手の優秀さを声高に叫ばざるをえないスコット・ボラスですらオブラートに包みつつも認めざるをえない「他のスポーツへの流出」の具体的な意味。

Damejima's HARDBALL:「父親とベースボール」 MLBの人種構成の変化

たぶん頭の悪い年寄りと、年寄りに飼われている頭の悪い若造どもは、いまだにMLBではバリー・ボンズとマーク・マグワイアのような「ステロイダーのホームランバッターが並んでいる姿が、本来のアメリカだ」とでも思っているのかもしれない(笑)。ほんと、古臭い (笑) これじゃ、いまも変わらずアメリカ人全員がバカでかいアメ車に乗っていると思っているのと、まったく変わりない(笑) 今は2013年だっつうの(笑)



普段からMLBを追っかけている人なら、あらためて人から指摘されなくとも、2000年からの10年間のMLBと、この2年間のMLBでは、中心選手が変わったことは理解できているはずだ。(もっとも、この2年のMLBの世代交代は、自然に世代交代が進んだだけではなく、オールスターの不自然な選出結果を見てもわかるように、やや強引に人為的、政策的に世代交代が行われたことは明白だが、それはここで論じる話でもない)
Damejima's HARDBALL:2011年7月3日、「ここまでするか」と感じる、2011年オールスター投票の作為。

Damejima's HARDBALL:2011年7月8日、デレク・ジーターのオールスター欠場という事態を招いた「歪んだファン投票結果」に怒りを覚える。

Damejima's HARDBALL:2011年7月10日、600万票以上得票したプレーヤーが何人もいるにもかかわらず、20%以上プレミア価格が下がっても、いまだに4000枚以上売れ残っている今回の「恥ずべき」オールスターのチケット。

Damejima's HARDBALL:2011年7月18日、去年より低かった2011MLBオールスターの視聴率 (2)700万票以上集めた選手すら出現したオールスターの「視聴率が下がる」現象は、どう考えても納得などできない。


例えば、キャッチャーで言うと、2000年のオールスターファン投票で他を圧倒して1位になったのは、イヴァン・ロドリゲスマイク・ピアッツァだったわけだが、その後、ジェイソン・バリテックホルヘ・ポサダラッセル・マーティンなどを経て、ジョー・マウアーブライアン・マッキャンアレックス・アビラなどが登場し、さらに、いま誰もが知っていなければならない名前といえば、バスター・ポージージョナサン・ルクロイなどの若いプレーヤーになっている。
今回の各国WBCメンバーが、これまで2回行われたWBCと比べて小粒になったのかどうか、なんていう「小粒な議論」で、「アメリカ代表どころか、MLBを、どんなタイプの選手が代表するようになったか」を語れるわけがない。(そういう意味では、ステロイダー疑惑のライアン・ブラウンは、WBCに出てほしくないし、出るなら血液検査を受けてからにしてもらいたい)



「時代がまるで見えてないくせに、大上段なだけの意見」なんてものは、円安に為替のトレンドが舵を切ったのさえわからないままFXをやっているようなものだ。そしてそれは、スティーブ・ジョブズの発明品の数々が、どれもこれも「電話ではなく、パソコンの利便性から発生していることの意味」に気づきもしないで産業を牛耳っているつもりになっていたどこかの会社のようなものでもある。


今年のアメリカ代表で、「自分がプレーを見たことがない選手の数」を数えてみてはどうだろう(笑) もしかすると、自分がどのくらいMLBから遠ざかっているかがわかる、かもしれない(笑)

damejima at 11:01

January 29, 2012

フィリーズから巨人に入団するらしいバンクーバー生まれのスコット・マシソンイチローファンだというのでうれしくなったという、たったそれだけの理由(笑)で、軽く調べてみることにした(笑)


カナダのバンクーバーは、シアトルからインターステイト5号線を120マイルちょっと北上してカナダ国境を越え、カナダの99号線(HWY-99)で約30マイル。所要時間は2時間40分から3時間ほど。シアトルとバンクーバーは「住みやすさ」という点で共通している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月19日、野球大好きなパール・ジャムがデビューアルバムのセッションをしたLondon Bridge Studioは、セーフコから5号線を北に16マイル。


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彼のキャリアハイライトは今のところ、彼の公式ウェブサイトに書かれているとおり、2006年3月の第1回WBC予選第1ラウンドで、カナダ代表として1イニング登板し無失点だったアメリカ戦だろう。(2006年3月8日 WBC Pool B Game 3 CAN:USA アリゾナ チェースフィールド)
ScottMathieson.com • Biography

このゲームでカナダは、当時のMLBオールスタークラスの現役選手を揃えたアメリカチームを、8-6で破る金星を挙げている。(ちなみにカナダ先発Adam Loewenは、かつてボルチモアのトッププロスペクトだった左腕。3回2/3を投げ勝ち投手になったが、後に外野手に転向)
World Baseball Classic: Box Score: Canada vs USA March 08, 2006

このゲームのアメリカチーム、なかなかのメンバーだ。(よくWBCにおけるアメリカチームは辞退者続出のせいもあって手抜きをした、本気じゃないとワケ知り顔で語る人がいるが(笑)、どこをどう勘違いしているのだろう。調整不足はともかくとして、メンバー的には十分、本気だ)

1B マーク・テシェイラ
2B マイケル・ヤング(→チェイス・アトリー)
3B アレックス・ロドリゲス
SS デレク・ジーター
RF バーノン・ウェルズ(→ジェフ・フランコーア)
CF ケン・グリフィー・ジュニア
LF マット・ホリデイ
DH デレク・リー
C  ジェイソン・バリテック
P ドントレル・ウィリス、マーク・レスター、ゲイリー・マジュースキー、ブライアン・フエンテス、ジェイミー・シールズ、ヒューストン・ストリート
2006World Baseball Classic: United States: Rosters

2006年第1回WBC予選第1ラウンド カナダ対アメリカ


このゲームでマシソンは、カナダ2点リードの8回裏にリリーフし、なんとか無失点でイニングを終えて、いちおうチームの勝利に貢献したが、1イニングで四球を2つも出している。
20球投げて、ストライク11に対し、ボール9。どうやらマシソンというピッチャー、コントロールが悪いらしい。彼のメジャーでのWHIPは1.886と酷い数字なのだが、WBCでの登板も、残念ながら、まさにスタッツどおりの内容だ。
彼のコントロールの悪さは、フィリーズ在籍当時のスカウティングレポートでもかなり手厳しく指摘されている。(下記リンクはPECOTAのような専門シンクタンクの分析ではないことに注意。あくまで参考程度)
3rd & Longenhagen: MLB Prospect Scouting Report: Scott Mathieson
ストレート系
That velocity is great but the fastball is very flat. It has no sink.(速度自体は素晴らしいのだが、棒球。沈まない)
カーブ
Mathieson threw a handful of good ones but he doesn’t often know where it’s going and it’s flat.(数多く投げるものの、コントロールが悪いし、単調だ)
スプリッター
it sure looked nasty enough to be an effective major league pitch.(なかなか素晴らしい。十分メジャーで通用)


ストレート系を評価するときに、「ボールが微妙に動くかどうか」を問題にするあたりが、とてもMLBらしい。たとえストレート系であっても、2シームやカットボールのようにどれだけボールが打者の手元で動くかが、MLBでの投手評価のポイントになっていることが、よくわかる。単調なストレートしか投げられない投手ばかり生産したがるシアトルのマイナーのコーチに、この話を聞かせたいものだ。
スコット・マシソンの評価は他に、スロースターターだと言われていたのがブルペン投手としてどうなんだろうとは思うし、また、肘に故障を抱えているらしいのも気になる点だが、それなりに早い球が投げられて、スプリッターが切れるらしいし、まぁコントロールが多少マトモになって、イチローファンの彼に良い結果が残ることを一応期待しておきたい。


ちなみに、スコット・マシソンがかつてMLBにドラフトされる前に所属していたブリティッシュ・コロンビア州のユースチームLangley Blazeは、スコットの父親、ダグ・マシソン, Doug Mathiesonが作ったチーム。ダグ・マシソンは、カナダ球界でよく知られた存在で、「ブリティッシュ・コロンビア州で最も影響力のある野球人100人」にも選ばれている。
このユースチームには、かつて2009年12月のクリフ・リーがフィリーズに移籍した複数球団間トレードで、シアトルがPhillippe Aumontなどとともにフィラデルフィアに放出したTyson Gilliesも所属していた。
Baseball BC - Top 100 Influential Canadians in Baseball

Lawrie, Mathieson top Canucks in minors | Baseball | Sports | Toronto Sun

damejima at 11:16

October 25, 2009





2009年の早春にNHKで放送された第2回WBCでのイチローを扱ったアーカイブでよく知られているように、日本ハムの稲葉は、彼が最年長プレーヤーだった第2回WBCで、打撃不調に悩む孤高の男イチローに意を決して声をかけ、イチローのソックスを真似た数人の若手プレーヤーたちとともに、イチローの不振脱出のきっかけを作った。たいへんにキャンプテンシー溢れるプレーヤーである。

その稲葉、2009年秋には、どういうわけか、楽天監督を勇退する野村克也氏の「両チーム胴上げ」の輪の真下にいた。

野村率いる楽天は、最後にエース岩隈をセットアッパーとして投入することまでして、「力尽きるまで戦ったこと」は誰の目にも明らかだった。

だが、岩隈はホームランを打たれて最後の矢は尽き、このゲームを最後に野村はチームを去った。

日本ハム投手コーチで、野村氏がかつて監督を務めていたチームのひとつ、ヤクルトの出身で、メッツなどに在籍した元メジャーリーガー吉井が野村氏に握手を求めに足早に駆け寄る。野村氏と同じキャッチャー出身で、BSのMLB解説もつとめていた梨田氏が、勝利した日本ハム監督であるのに、負けた野村氏のもとに握手を求めに行った。

負けた監督は数度、宙に舞った。

胴上げが終わると74歳の老将は帽子をとりファンに挨拶を済ませ、ひとりダグアウト奥に消えていった。
選手たちはお互いを称えあい握手とハグをかわし続けたが、やがて彼らも両サイドのダグアウトに別れていった。

彼らがグラウンドでふたたび会うのは、
雌雄を決するこの場所に立った日、のみ、である。



力尽きるまで戦うのが彼らの幸せ。
まったく幸せな男たちである。

damejima at 07:14

March 31, 2009

第2回WBCの優勝に至るプロセスで、キーポイントはもちろんトーナメントの要所要所で5回も戦った韓国戦にあるのは言うまでもない。

あれだけ日本が優れた投手陣を揃えながら、けして楽勝ばかりとはいかなかった理由は、ひとえに韓国戦での意味不明な苦戦にある。
決勝で打撃面でも11ものLOBを記録した日本のヘボ捕手さんは、守備面でもやらかしており、呆れかえるほどの単調なリードに、そうした苦戦の原因の大半がある。韓国側の粘りづよいが、わかりやすい戦略にきちんと対応さえしていれば、というか、あまりに敵に読まれやすい捕手さえいなければ、苦手とはいえ戦いはもっと楽なものになった。あれほど韓国打線への対応が後手後手に回っていては、楽勝などできない。

決勝・韓国戦を例に見てみよう。

韓国監督は9回裏に勝てると考えていた
WBCが終わってだいぶ経つが、韓国代表・金寅植監督は9回裏に同点に追いついた時点での戦況を「高永民(コ・ヨンミン=7番の右打者)が決めてくれると期待した。延長に入れば苦しいとみていた」と語っている。
「もう代表監督は引き受けない」(中)
http://www.chosunonline.com/news/20090330000066

なぜこの監督は、チャンスとはいえ「この大事な試合を決めてくれる」とまで下位打線に過ぎない7番打者に期待できたのか。すでに1本ヒットを打っているから、というのではあきらかに説明不足だ。
下に挙げる諸点からみて「下位打線にはあらかじめ右を並べておいてある。試合後半に狙い打つ球種もスライダーと絞れていた。その狙い通りの球を打ち崩して、同点に追いつき、なおも1、2塁。そして、再びスライダーが来た。だが・・・、まさかあの場面、予想どおりのスライダーで三振に終わるとは思わなかった・・・」というような意味あいで「決めてくれると思った」と言っているのではないか。

(検証1)
試合後半、下位打者にスライダーを叩かれた

バットに当てた球が、すなわちその打者の狙い球、という単純な話ではないし、思わず手の出ただけの打球、ファウルにするつもりのゴロやフライ、いろいろある。だがまぁ、とりあえず韓国の打者が打席での最後の球となった球種を並べてみると、かなりわかることがある。

韓国の左打者を並べた上位打線は主にストレートで勝負し、右打者を並べた下位打線は主にスライダーをバットに当てている。結果を出したのは下位打線のほうだ。
また、試合終盤にストレートで四球が多く出て失点につながった。ゲーム前半にはに岩隈のストレート、フォークが効いていたが、ランナーの出たイニングの多い試合後半には決め球のフォークのコントロールが甘くなる一方で、スライダーがビシビシ狙い打たれだしたのである。

試合終盤に韓国が日本に追いつけた理由は、四球やヒットでランナーが出た後の場面でのスライダー狙いにあることは、ファンの誰もが気づいている。

(途中代打が出ているが、見づらくなるので詳細省略。太字はヒット、四球などの出塁。フォ=フォークボール スラ=スライダー シュ=シュート)
1:李容圭 左 直球/三振 フォ 直球 直球/四球 スラ
2:李晋映 左 直球 直球/三振 フォ/三振 スラ/三振
3:金賢洙 左 スラ フォ/シングル シュ 直球/四球
4:金泰均 右 直球 シュ 直球 ?/四球
5:秋信守 左 フォ/三振 スラ/HR 直球 スラ/三振
6:李机浩 右 直球 フォ/三振 スラ/タイムリー スラ/2塁打
7:高永民 右 スラ 直球/シングル スラ スラ/三振
8:朴勍完 右 シュ/三振 スラ スラ/犠牲フライ 直球
9:朴基赫 右 スラ ?  直球/四球 直球

(検証2)
失点場面で打たれたのはすべてスライダー。
カウントも似ており、主に右打者のアウトコース。


1点目 1−1からのスライダーをホームラン(5番 左打者)
2点目 1ボールからのスライダーを2塁打(6番 右打者)
  →初球のスライダーを犠牲フライ(8番代打 右打者)
3点目 2死1,2塁、1−1からのスライダーをタイムリー(6番 右打者)

(検証3)
8回9回に下位打線が当ててきたボールはほとんどがスライダー

8回裏
6:李机浩    右 スライダー 右中間二塁打
7:高永民    右 スライダー ショートゴロ・ランナー進塁
8:代打:李大浩 右 スライダー 初球をセンター犠牲フライ
9:朴基赫    右 ストレート 四球
1:李容圭    左 ストレート レフトライナー

9回裏
2:代打:鄭根宇 左 スライダー 空振り三振
3:金賢洙    左 四球
4:金泰均    右 四球
5:秋信守    左 スライダー 空振り三振
6:李机浩    右 スライダー 三遊間を破る同点タイムリー
7:高永民    右 スライダー(外角高め) 空振り三振


かくしてWBCでも、いつもの城島のひとり相撲
何度も言っているように、韓国というチームは試合の後半では違う戦い方をするチームだ。
2009年3月23日、第2回WBC決勝を前に岩隈の変化球連投を考える。
http://blog.livedoor.jp/damejima/archives/852644.html

その韓国という分析型のチームにとって、城島というキャッチャーはさして分析する必要がない捕手だったに違いない。ランナーが出さえすれば、右打者ならアウトローにスライダー、左打者ならインコース、など、ひどく単調なリードしかできないからだ。
そんな単調なリードを称して「日本式」などと自称してもらっては困る。

城島が退場して韓国に敗れた試合でも、「左打者にはすべてインコースを投げ、右打者にはアウトコースだけ」という、なんともお寒いリードをして、解説の投手出身の槙原氏にも「球が揃いすぎ」と即座に批判されるなど、そのリードにはさまざまな批判が噴出した。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年3月17日、韓国戦、槙原は「球が揃いすぎ。コーナーを狙いすぎ」と批判した。そして城島退場。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年3月10日、楽天・野村監督は9日韓国戦の城島のダメ・リードを批判した。

WBCについては、杉内のチェンジアップの扱いの失敗にはじまって、松坂のスライダーの扱いの失敗岩隈のシュート連投要求での韓国敗戦、ダルビッシュにスライダーを押し付けての数々の失敗、もう書くのも飽きるほどだが、「スライダー」というボールの扱いがキーポイントになると初めから言ってきた。
結局、このガラクタ捕手さんのリードはリードとも呼べない代物のまま、大会が終わってしまったのである。ほんとうによくもまぁプロを名乗れるものだ。

退場した韓国戦といい、決勝といい、もし9回裏に7番打者に投げたスライダーで韓国にサヨナラ勝ちを許して優勝を逃していれば、戦犯はまちがいなく、このプレーヤーだっただろう。



damejima at 03:25

March 25, 2009

(カッコ内は城島打席時の、日本-韓国の得点経過)
1回表 2死2塁。四球(0-0)
3回表 無死1,2塁。サードゴロ
バント2度失敗の後、凡退。二塁封殺。先制機を逃す(0-0)
5回表 無死1,3塁。空振り三振
追加点ならず。この裏、同点に追いつかれる(1-0)
7回表 1死1,3塁。サードゴロ併殺。チェンジ
中島タイムリーの1点止まりで終わる(2-1)
9回表 1死1,2塁。センターへ浅いフライ
ランナー動けず、この裏、同点に追いつかれる(3-2)
10回表 2死満塁。見逃し三振。チェンジ
ダメ押しならず(5-3)
参考資料:スポーツナビWBC特集 決勝 日本対韓国
http://live.sports.yahoo.co.jp/sportsnavi/241_wbc.htm

この11LOBという数字の凄さ、どう説明するとわかってもらえるだろうか。あまりにすざまじい数字なので、かえって悩む。
長い手順を踏んで説明してみるしかない。

●LOBって何?
LOBは、Left On Base。つまり残塁。
日本のプロ野球中継ではチームでの残塁総数しか気にしてないわけだが、メジャーではMLB公式のゲームログに個人LOBが残る。例えば満塁で三振すれば、塁上には進塁できなかった3人のランナーが残される。だからバッター個人に3つの個人LOBが記録される。
もし三振した次のバッターが満塁ホームランを打ってイニングが終わったらどうか。ランナーは一掃されて3アウトだから、チームLOBはゼロになってしまう。だからチームLOBだけしか見ていないと、打線の中の誰がランナーを無駄にしているか、わからないのである。
だがメジャーのゲームログには毎試合個人LOBが残るから、三振したバッターの3LOBは消えない。ここが面白い。つまり、個人のチャンスでの凡退ぶりが後でしっかり眺められるわけだ。

このブログでは1試合ずつゲームログを読んでいるが、年間LOB数を合計するのに、160試合のゲームログを手で足し算していく作業は、死ぬほどめんどくさい。実際には打席のシチュエーションごとに電卓で計算して合算して概数を出したほうが早い。例えば、1,2塁で3打席、満塁で4打席凡退すれば(2走者×3打席)+(3走者×4打席)=18LOBというふうなやり方だ。ちなみに日本のプロ野球でも最近はデータ整備が進んでいるので調べるつもりになりさえすれば個人LOBも調べられる。

●日本時代の城島のLOB
日本時代の数字だが、「1ゲームあたり1LOBあるかないかだ」という程度を頭に入れておけばいいと思う。
だが、それにしてもちょっと数字が少なすぎるようにも思える。元データを見てもらうとわかるとおり、2001年以前のLOBデータがない。つまり、そのくらい、日本での野球のデータ整備が遅れていたということだろう。この元データ自体も、どのくらい正確なのか、正直なところわからない。
年/LOB数/ゲーム数
2002 87(115)
2003 120(140)
2004 99(116)
2005 87(116)

資料 Japanese Baseball.com
http://www.japanesebaseball.com/players/player.jsp?PlayerID=102&Year=1996&Part=1

●メジャーでの城島のLOB
シアトルの三振王で2008年にクビになったダメダメ4番打者セクソンと、ダメ捕手城島のLOB数を、2007年で並べてみた。案外データの豊富なメジャーでも、月別LOBというのはあまりみかけない。計算にひどく手間がかかるせいかもしれない。手作業のため、多少の計算間違いはご容赦。(カッコ内はゲーム数)
4月 セクソン41(20) 城島27(16)
5月 セクソン55(27) 城島45(26)
6月 セクソン48(25) 城島37(21)
7月 セクソン36(24) 城島46(25)
4月〜7月LOB合計 セクソン180(96)城島155(88)

この2人を比べたのには理由がある。
元シアトルの1塁手で、去年ようやくクビになったセクソンは、あまりにも三振するクセに、ずっと4番を打っていた有名なダメ打者。当然ランナーがいる打席が非常に多く回ってきて、しかも、よく三振する。だからLOB数がバカみたいに多く、チームのLOBキングだったダメ男だ。
そのLOBキング、セクソンと、城島のLOBは、率で見ると、ほぼ匹敵するのである。
1試合あたりLOB セクソン 1.875 城島 1.761

メジャーの正捕手は全試合出場することはなく、デーゲームなどで休養をとる。そのためセクソンに比べて城島の出場ゲームがやや少ないから、セクソンと城島のLOBを比べるにあたっては、1ゲームあたり、ランナーのいる打席あたりといった補正をするわけだが、どれをとっても、セクソンと城島は率ではたいしてかわりないのである。
また城島の月別LOBを、実数だけで見ると変動が激しいように思うかもしれないが、打数で補正すれば、ほぼ毎月のように1打席あたり0.45から0.55にキッチリおさまっている。打撃の好不調の波、打順、チーム状態とはほとんど関係がない。
ちなみに、7月までのデータしかあげてないのにも意味がある。最下位に沈むような弱いチームにとって、ポストシーズン進出がなくなったシーズン終盤の帳尻データなど、たいした意味はないからである。頑張るなら、まだチームの順位が下位に確定しない春から夏にかけて頑張らないと意味がない。(もちろん、8月に城島のLOBが急激に減少した、などということは全くない)

チームに2人のLOBキング。これではチームは勝てるわけがない。

●2007ですら、セクソン・城島の1日の最高LOBは「7」

2007シーズンの4ヶ月間で、LOBキング、セクソンと城島のLOBの1試合での最高数は7LOBで、セクソンが2度、城島が1度、それぞれ記録している。
試合を見ているとわかるが、1試合3LOBあたりまでなら、まぁ、許せなくはないが、4とか5以上になってくると「こいつは馬鹿か」という感じが出てくる。6だの7だのは、ちょっと異常とも言える数値になる。
1番打者でもないかぎり、弱小チームの下位を打つ城島なら打席に入るのは5打席あれば多いほうで、4打席の試合が多い。だから仮に4打席で4LOBともなれば、どの打席でもランナーを無駄にして凡退し続けるのとかわりないことになる。見ていてイライラしないわけがない。現実に地元ファンからのブーイングも一度や二度ではない。

ちなみに、2007シーズンの4月〜7月に、城島が4LOB以上を記録したのは10回、セクソン20回と差があるのだが、両者の1ゲームあたりのLOBはほぼ互角。
このことはちょっと意外に思われるかもしれないが、これも理由がある。
2人の出場ゲーム数は大差があるわけではない。違うのは「四球数」だ。セクソンはランナーのいるケースで打席に入って、よくフォアボールを選ぶ。一方で城島は、ただでさえ四球を選ばないシアトルにあって、さらにスタメン最低の四球率で、シーズン中、ほとんど四球を期待できない。2008シーズンの5月など、1ヶ月間もフォアボールが全く無かったくらいだ。
したがって、ランナーのいる場面で城島は四球を選ぶことはなく、またバントもしない。必ずヒッティングしてくる。だから凡退でLOBの山を築くのである。
ランナーのいるケースで四球を選ぶことがないから、当然のことながらダブルプレーも多い。2007シーズンの夏あたりに、城島が一時ア・リーグの併殺打数ナンバーワン打者だったのも、そのためだ。

●「11」ものLOBの異常さ
こうして2007シーズンのチームLOBキングだったセクソンと城島という2人のダメ打者をデータで追ってはみたが、とてもとても11LOBなどという偉業を説明しきれた感じはない。
上で説明した通り、7LOBですら、かなりすざまじい数値なのである。

まぁ、説明などしきれないほどの、異常さなのだ、ということさえわかってもらえれば幸いではある。


まさに、WBCの2連覇が海の藻屑と消えそうな9回裏のピンチを招いた原因は、城島の偏重したリードの下手さと、城島のランナーがいるときの打率の低さにある。2007年のランナーズ・オン打率、つまり、ランナーのいるときの打率のあまりの酷さを知っている身としては、別にあらためて驚きはしないのだが、アメリカでの城島を知らない方々はきっと、この「11LOB」という異常なデータでビックリしたことと思う。
次回の記事では守備面でのまとめをしてみる予定。



damejima at 15:31

March 24, 2009

やれやれ。
日本はキューバ・韓国とゲームを繰り返している間に、いつのまにか決勝になってしまった。投打のバランスの普通にとれた中南米チームとの白熱の対戦など、もっと違うゲームバリエーションを見てみたかった。


今回のWBC、結局のところ、対応力の高い韓国に負けては、パターンを修正して、こんどはスカウティングをしないキューバに勝つ。これの繰り返しばかりだった気もする。
正直、見ていてパターンがわかりやすすぎて、多少飽きた。

決勝のポイントも、なぜ日本チームはキューバには完勝できて、宿敵韓国には何度もやられているのか、という点にある。
一般の野球ファンなら誰もが、キューバと韓国の差が、チーム力の差というより、「分析力」や「対応力」にあることはわかっているというのに、メディアのほうは、そんな基本事項にキチンと触れないまま決勝を煽っている。キューバ野球と韓国野球の質的な違いに言及しもしないでゲームを語って、何が面白いのだ。

決勝はお互いの分析力、即応力の勝負になる。キューバに欠けていて、韓国にあるのは「対戦相手を分析するチカラ、それと、分析に基づいてゲームの中で即応するチカラ」だが、それを上回るゲームを岩隈が作れるなら、日本が余裕で勝てるはずだ。


キューバは、試合相手をほとんどスカウティング(分析)しないらしい。そういう素朴な野球スピリットを指して、すべて間違いだとは言い切れない。むしろそれは野球の変わらぬ魅力のひとつでもある。。
ただ、そうはいっても、何の戦略もなしにやたらとバットを振り回してばかりでは、もはや現代野球では勝てなくなってきている。(アメリカにもキューバと似たような部分がある)
今の時代にしてはあまりに相手を研究しなさすぎるキューバ打線は、打線に「中南米系の選手+城島+セクソン」と、振り回すしか能ない打者ばかり並べ、負けに負け続けたシアトルマリナーズ打線のようなものだ。

熱心な野球ファンで知られるキューバのカストロ氏も、キューバの歴史的な敗戦の重さについて「(今後は)より技術的、科学的な方法を適用しなければならない」と、さすがに自国チームの戦略の旧式さ、古臭さを認めている。
【WBC】キューバのカストロ前議長「敗戦から教訓を」
http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/090320/mlb0903201748013-n1.htm

日本戦でのキューバ打線は、何度も何度も同じパターンで凡退し続けてくれた。岩隈の投げたキューバ戦などは、決め球のフォークとシュートを温存して、カーブ、チェンジアップ、スライダーの組み合わせだけで打線をかわすことができたほどだ。
さすがに試合後半には、松阪がヒットを打たれた球種を調べてみればわかるが、キューバ打者もスライダー系を狙い打ちしてきたが、チーム全体で徹底されていたとは言いがたい。そのため打線全体の迫力がなく、連打での得点など期待できるわけがなかった。


だが、韓国は違う。
ねちっこく相手チームの戦略や特徴を分析しつつゲームを進めてくる。

例えば日本が対戦した試合でも、中軸打者は一度は打ち取られてくれても、どこかで対応してくる。同じ球種の連投にその場で対応してきたり(例 3月9日に岩隈が決勝タイムリーを打たれたシュート連投)、2巡目から順応してきたり(例 3月9日に岩隈が決勝タイムリーを打たれた4回表の2人のランナー)、現状のキューバにはない順応力がある。これが打率の低さを補っている。

負けた韓国戦
3月7日 松阪● スライダー系にコントロールのつかない、いわゆる「悪い松阪」。組み立てに煮詰まった城島が苦し紛れにカットボールを要求し、ホームラン浴びて敗戦。古田氏、野村氏が城島を批判。
3月9日 岩隈● 2巡目からボールを見極められた。4回にランナーを貯められ、シュート連投。3塁線に決勝タイムリー浴びる。
3月17日 ダルビッシュ● 初回ランナーが出た場面で、同じコースにスライダー連投で、3失点。城島退場事件。

完勝したキューバ戦
3月16日 松阪○ スライダー系に制球が戻った「いい松坂」。「球を散らした」(松坂談)
3月19日 岩隈○ 2巡目から組み立てをカーブ主体に切り変えつつ、決め球フォークを温存。4回の2死1,3塁ではフォークを3連投、三振に打ち取った。


そんなキューバ・韓国のチームカラーの違いをアタマに入れた上で、あらためて岩隈先発の韓国戦・キューバ戦を比較してみるとどうだろう。
3月9日 岩隈● 2巡目からボールを見極められた。4回にランナーを貯められ、シュート連投。3塁線に決勝タイムリー浴びる。
3月19日 岩隈○ 2巡目から組み立てをカーブ主体に切り変えつつ、決め球フォーク、シュートを温存。4回の2死1,3塁ではフォークを3連投、三振に打ち取った。

韓国戦で打たれた決勝タイムリーは、「シュート」連投。そしてキューバ戦2巡目の2死1,3塁では「フォーク」連投。どちらのゲームもイニングは4回で、つまり打者2巡目のピンチで決め球を連投している点が共通している

0-1で負けた試合の韓国の4番は岩隈のシュート連投を打ち返してきたが、キューバ戦4回の1.3塁でキューバの7番はワンバウンドのフォークを空振りしてくれた。この差が最初に言ったキューバと韓国の「分析力・対応力の差」である。

何が言いたいか、もうおわかりだろう。
2つのゲームで、岩隈自身のピンチでの投球術は特に変わってはいないのである。

松阪の場合は、韓国戦で打たれた後、スライダーのコントロール精度を上げつつシュートを混ぜ、投球内容に手を加えてその後のゲームに臨んでいるわけで、岩隈と同じではない。
岩隈の韓国戦のシュート連投は打たれたから批判して、キューバ戦のフォーク連投は勝ったから批判しないのでは筋が通らない。フォークが打たれないのは、ひとえに岩隈のフォークのコントロールがズバ抜けているからに過ぎない。


だから決勝を見る上で、岩隈の投球術そのものが過去2試合で大きく変わっていたわけではないことをアタマに入れておく必要がある。
2ストライク以降の要所でのシュート、さらにピンチではフォーク連投もいとわない岩隈の必勝パターンが。このまま「不動の必勝パターン」で終わることができるのか、それとも、打率も防御率もたいしたことがないのに決勝まで来た韓国の「対応力」がそれを上回るのか。

以前にも言ったことだが、今の岩隈の絶対的な決め球は韓国戦で多用したシュートでなく、キューバ戦で多用したフォーク(アメリカ風に言うならスプリッター)のほうである。岩隈本人もアメリカ戦後に「フォークには自信がある」と明言している。自信があるから、ランナーがいてもパスボールを怖れることなく、平気でフォークを投げられる。

アメリカ戦終盤、馬原がフォークのスッポ抜けをタイムリーされて2点差まで詰め寄られたが、捕手は馬原と岩隈のフォークには差があることを考慮せずにピンチでバカのひとつ覚えのようにフォークを要求すればいいわけではない。
岩隈の場合はストライクになるフォークと、ボールになるフォークを投げ分けられるほど、フォークのコントロールがいい。馬原のフォークとはレベルに差があるのである。
相手打線は縦の変化に弱い、だから要所でフォークを使えばいい、その程度のリードでは単に絵に書いた餅であり、記録に現れないミスどころか、馬原が2点差に詰め寄られた後の追加点がなかったら、この試合、どうなっていたかわからない。

試合観戦中の追記
3回裏
無死1,2塁、城島はバントを2度失敗。その後サードゴロで二塁封殺。飛んだコースが野手正面なら当然ダブルプレーを食っていた。

4回裏
ちょうど予想どおりのシチュエーションが来た。2死1塁で韓国4番。スライダー スライダー フォーク 直球 フォーク インコースの抜けたストレート。最後の球は本来ならシュートかもしれないが、抜けた球がフラフラとインコースに来たのをレフトフライ。これは明らかに打った側の打ち損じ。うっかりするとホームランだった。これが後々にどう影響するか。打ち取ったと勘違いした判断をすると怪我をする
5回表
ノーアウト1,3塁、城島、外角スライダーを空振り三振。
5回裏
スライダーでカウントをとりにいったところをホームランされた。次打者も内川のファインプレーでセカンドでアウトにはできたが、やはりスライダーを狙い打たれてヒットされている。これが韓国の「対応力」というやつ。試合中盤以降にカウントをとるスライダーに狙いを絞ってくるにしても、キューバは打てないが、韓国は打ってくる。本来ならこのイニングから組み立てを変えているべきだっただろう。
6回裏
打たれた「後」で組み立てを変えてくる、いつもの城島。シュートを多用しはじめた。1イニング遅い。ここからはランナーが出たケースとクリンアップには、シュート、フォークを投げることになる。
7回表
1死1,3塁、城島、フォークをサードゴロ併殺。
8回裏
先頭打者にスライダーを打たれ、無死二塁。1死三塁となって、代打イ・デホに初球のスライダーを狙い打たれて大きなセンター犠牲フライ。1点差に詰め寄られる。
9回表
1死1,2塁、城島センターへの浅いフライ。ランナーは釘付け。ここまで日本ヒット12本、韓国4本。それで3-2なのだから、点の入らない原因は4番城島。
9回裏
スライダーの多投をダルビッシュに要求してはいけないのである。何度も書いたことだ。
そして狙い打たれてタイムリーだ。
言わぬことではない。これでわかったろう?城島は馬鹿だ。
打たれたらいつものようにさっそくストレート主体に切り替えとは。やれやれ。城島。
10回表
2死満塁、城島見逃しの三振。

優勝おめでとう!





damejima at 09:10

March 19, 2009

まずは、3つの資料を読み比べてもらおう。

資料1と、資料2の間には、およそ30分の小さなズレしかないこと、そして(資料1+資料2)の2つと、資料3の間には約半日の大きなギャップがあることを、あらかじめアタマに入れておくといい。(掲載時間はすべて当該ウェブサイトからコピーしたもの)

日本時間18日18時の段階で関係者には城島の退場理由がペーパーで配布され、おそらく「退場理由は審判への侮辱行為」と判明していた。にもかかわらず、最初一部メディアはあたかも退場が「わざとではないバットの置き忘れ」で「審判への侮辱」とは関係がないような書き方をし、さらに「城島は困惑している」などというトボケた印象操作記事を配信したりしていた。

だが、メジャーの野球を少しかじっていれば、「バットを置き去りにする」という行為が、例えば「ホームベースに足で砂をかけて見えなくする」「汚い言葉でののしる」「ベースをはずす」といった行為と同じで、メジャーでは退場処分になる悪質な行動のひとつであることは、誰にでもわかる。(実際、当ブログ主筆もメジャーのゲームでホームベース脇にわざとバットを置き去りにして退場になるシーンを何度か目撃したことがある。「バット置き」は故意の行動なのだ)

当ブログでは、試合進行中から記事を更新し、その時点で既に、城島の退場理由を「審判への侮辱行為」としていたことをあらためて明記しておく。
ペーパーなど見なくとも、あんなことをすれば退場だ。アンパイアは最初から怒り心頭だっただろう。当然のことだ。

資料1●共同の配信記事を元ソースにした各社共通記事
日本時間3月18日18時前後
試合後の記者室では、2死以外のアウトカウントで用具を置き去りにする行為が退場に該当する規則が用紙で配布された。」(各記事より引用)
掲載例 1-A/サンスポ 2009.3.18 18:20
退場の城島、“冷静”に振り返る/WBC
http://www.sanspo.com/baseball/news/090318/bsr0903181820026-n1.htm
掲載例 1-B/スポニチ 2009年03月18日 17:57
痛かった正捕手の退場 城島「反省しています」
http://www.sponichi.co.jp/baseball/flash/KFullFlash20090318066.html

資料2●城島本人の談話
日本時間3月18日18時30分前後以降
本人は『なぜそうなったか分からない。何も言っていないし、バットをたたきつけたわけでもない』と困惑を隠せない。」(資料2-Aより引用)
掲載例 2-A/時事通信 2009/03/18-18:24
城島、退場処分に困惑【WBC】
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2009031800865
掲載例 2-B/日刊スポーツ[2009年3月18日18時46分]
城島退場「なぜか分からない」/WBC
http://www.nikkansports.com/baseball/wbc/2009/news/f-bb-tp0-20090318-472670.html

資料3●日本時間19日早朝以降の記事
城島の退場はMLBの「審判マニュアル」が適用された。「審判を侮辱するような行為があった場合、退場処分にすることができる。例えば、ボールが通った軌道を地面にバットで書いたり、道具をその場に置いた場合。二死のときはいいが、無死と一死のときは侮辱行為にあたる」とされる。またWBCではマナー重視を徹底。審判員に触れることや、ヘルメットの投げつけなどの侮辱行為のほか、中断中に走者がベースに座ることの禁止も通達された。』(資料3-Aより引用)
▽城島の退場処分 「アンパイア・マニュアル」セクション4には、「投球の軌道を土に描いての抗議や、2死の場合を除き、打席に用具を置いてベンチに戻ることは球審への侮辱とみなし退場処分とする」と明文化されている。城島は見逃し三振の際に、バットを打席に置いていったため退場となった。大会規定には退場処分への具体的な罰則などは記されていないが、場合によっては罰金や数試合の出場停止が科される可能性がある。』(資料3-Bより引用)
掲載例 3-A サンスポ 2009.3.19 05:03
「人間形成しないと」ノムさん城島を一喝
http://www.sanspo.com/baseball/news/090319/bsr0903190505005-n1.htm
掲載例 3-B スポニチ 最終更新:3月19日7時0分
城島退場処分!キューバ戦出場停止も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090319-00000003-spn-spo


もうおわかりだろう。
報道を時系列で並べてわかることはいくつもある。

資料1資料3から、試合終了直後には、城島が審判への侮辱行為で退場処分になったことが大会側から日本の関係者に紙の資料(以下、ペーパーと略す)で配布されていた。
大会側がペーパーを配布した理由は、もちろん「今後は二度とするな。許さないぞ」と厳しく釘を刺すためなのは言うまでもない。わざわざ配布するからには、大会規約の何条にのっとって退場にしました、と、おそらく根拠が明記されていたに違いない。小学校ではあるまいし、『打席へのちょっとした忘れ物』を警告するためにわざわざペーパーを回すなど、やるわけがない。
(全員がそうとも限らないが)ペーパーを目にしていた報道関係者(もしくはチーム関係者)は、試合終了直後から城島の退場理由が「審判への侮辱行為」と既にわかっていた。
ところが、だ。
資料1の共同通信の配信した短い文章だけを読むと、あたかも『バットの置き忘れ』が理由で退場とも受け取れる幼稚な書き方が故意になされている。このために、某巨大掲示板などでは「これは『忘れ物』であって、審判への侮辱行為からの退場ではない」などという、失笑以下の馬鹿げた書き込みが続出して無駄に議論がかわされる原因になった。

しかし、日本時間19日早朝になって、各社から資料3のたぐいの記事が続出して、城島の退場理由が「審判への侮辱行為」であると確定と、当たり前すぎるオチがついた。
この馬鹿げた混乱の原因は、資料1の段階でわかっていた退場理由を、メディアがわざとボカしたことにある。ペーパーを読む時間さえなかった、というような言い訳など通用しない。

●資料2から、試合終了直後の城島とメディアは、共同でひとつのストーリーを作りあげようとした
18時30分の段階で既にペーパーを見ていた関係者は、退場理由が「審判への侮辱行為」であると知っていた。なのに、資料1に続いて世間に流れたのは、資料2のような「城島は困惑している」というような、甘ったれた記事だ。資料1、続く資料2と、印象操作のような代物を続け様に世間に流すのは、いかにメディアが18日午後の段階で既に「火消し」の意図をもっていたか、ということにほかならない。
まったく舐めた話だ。三振直後の城島が大声でわめいたか、わめかないか。そんなことは、目と耳で知っている。録画もされている。
なにより、テレビで観戦している視聴者全員が、城島が大声で怒鳴りちらしたのを見ていたのだ。それを「困惑する城島。何も言ってない」などというような稚拙な記事で誤魔化そうとは。
笑うしかない。



damejima at 10:54

March 18, 2009

MLBが、このダメプレーヤーにどうして最低の評価しか下さないか、どうしてまたこんなブログが存在しているのか、これで日本中がわかったことだろう。


退場処分になった直接の理由は、アウトコース低めのきわどい変化球をセルフジャッジして三振した城島が、ストライク判定に腹を立てて、バッターボックスの中にワザとバットを置いて帰ったことだ。さらに加えて、三振した直後に大きな声で、アンパイアに背を向けたまま、何かを怒鳴ってもいる。アンパイアは即座に臨戦態勢に入っていた。

アンパイアはすぐに城島を退場にしたわけではない。
アンパイアはしきりに、「おまえ、プレートに戻って、バットを取りにこい」と、両手を使った大きな身振りで城島にゼスチャーしていた。

JPN@KOR: Kenji Johjima is ejected in the seventh - Video | MLB.com: Multimedia
http://mlb.mlb.com/media/video.jsp?mid=200903183981147
YouTube - WBC 日本vs韓国 城島退場シーン
http://www.youtube.com/watch?v=U2SlsxAuk74

だが、城島はまったく振り返りもせず、戻ってもこずに、ベンチに帰り無視した。それで一時的に退場処分を猶予していたアンパイアは、スッパリと城島を退場処分にした。城島には退場処分に対する抗議する様子はまったくなく、処分が意外そうな表情もなかった。意図的な行為だったのだろう。

アンパイアはメジャーのアンパイアだったが、アンパイアの判断への抗議はありうるとしても、侮蔑的な態度をとることは全く許されていない。当然の処分だが、メジャーの野球を知らない選手が退場ならともかく、城島はメジャーの現役控え捕手である。

スポーツはときとして腹のたつこともある。
だが抗議するのなら、野球の場合なら、アンパイアの目を正面から見て抗議するのが常識だ。抗議の場面など、よくある話であり、抗議するだけならアンパイアは、心証を悪くする可能性はあるものの、退場処分になど、するわけがない。
背を向けたまま、汚い言葉を吐いたり、バッターボックスにバットをわざと置いてきたり。根性のねじまがった子供のような態度をとることはグラウンドでは許されない。


そもそも、この試合、アウトコースの低めに変化球ばかりを集めてストライク判定を要求し続けていたのは、ほかでもない、城島自身だろう。どこまで礼儀を知らないのだ、このダメプレーヤーは。

たったの1試合、それもスライダーの制球を取り戻していた松阪のおかげで勝っただけのキューバ戦で、城島は勘違いしたマスコミに持ち上げられ、天狗になっていた。

試合の流れはもう帰ってきはしない。
もちろん、8回以降、きわどいボールはストライクにはならないし、きわどいスイングはストライクにされる。


城島退場「何も言ってない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090318-00000014-nks_fl-base
この記事の前半部分に引用した2つのビデオを見ればいい。その一言だけで十分だ。馬鹿馬鹿しい。言い訳にも程がある。



damejima at 14:35

March 11, 2009

野村監督が先日の完封負けした韓国戦の失点について口を開いた。その内容はまさにこのブログで試合中に述べた通りのもの。我が意を得たり、である。

2球続けてシュートを放らせ、タイムリーを打たれた城島の責任は重い。
前の記事でも言ったことだが、打者の1巡目で決め球のシュートを見せて打ち取った、ということは、次の打席ではその球種はもう100%は通用しはしない。プロの打者とはそういうものだ。まして2球続けて投げさせるなど意味がない。
岩隈にとってシュートは決め球のひとつだが、こうしたくだらないプロセスで好投手の決め球が壊されていくのでは、投手はたまったものではない。決め球を打たれれば、投手は気分が悪いし、チームに試合の流れが来るはずもない。メジャーの投手たちが城島を信用などしない理由がよくわかる。たまさか打ったヒットくらいで、取り返しなどつかない。
城島のヒットはほんのマグレだが、岩隈のシュートやフォーク、松坂のスライダー、ダルビッシュのスライダー、渡辺のカーブなど、主力投手の決め球の使い方、相手チームへの見せ方は、WBCの結果を左右する大事なファクターだからだ。
決め球を次々に潰していく城島は代表捕手失格である。

ノムさん、侍ジャパンに愛の大ボヤキ
http://www.sanspo.com/baseball/news/090311/bsh0903110503000-n1.htm
四回のタイムリー、あれは城島が悪い」。四回一死一、二塁で迎えた4番・金泰均に、初球のシュートをファウルされたあと、2球目のシュートを打たれ「外のスライダーでも放っておけばよかった。前の打席はシュートで打ち取ってんだから。大ヤマを張られて待ち構えているところにシュートか…」とぼやいた。
(太字は当ブログで添付。記事は3月11日付けだが、野村監督がインタビューに答えたのは10日であるため、表題を10日表記とした)

参考
2009年3月9日、1巡目で手の内を全て晒してしまった城島は4回ランナーを貯められタイムリーを打たれた。
http://blog.livedoor.jp/damejima/archives/836550.html



damejima at 11:11

March 09, 2009

何が偶然で、何が偶然でないか。大事なのは、これだ。
解説者もファンもだが、それを見極めずにあれこれ言っても始まらない。これを書いているのはまだ4回だが、重いのは、偶然転がり込むひとつの牽制死などではなく、偶然ではない要素から起きる「1点の失点」である。

韓国打線2巡目、ランナーを貯められて4番にタイムリーを打たれた。結局、韓国の得点のキーマンはこの4番打者らしい。
初球に、第1打席では通用していたインコースへの食い込むシュート。そして同じ球種を続けて、やや甘く入ったところを三塁線を抜かれたのである。

この場面がまったくの偶然なら別に文句はつけない。
だが、そうではないものは書かざるをえない。

ひとつ目の理由。野球でよく言われることだが、同じ球を続けると甘くなるという言葉がある。同じコースに同じ球種を続ける、というのはそういうリスクを伴うということだ。それはそうだ。プロでも全く同じコースに続けて2球投げるのは簡単ではない。必ず甘くなる。

2つ目に、その「インコースにシュートを連投する」というリスクを犯すなら、サード村田をライン際に寄せるだけのコミュニケーションがとれていないと困る。これは古田も言っている。

3つ目に、ランナーが出たときの城島のリードのクセ。シアトルの試合を年間100試合くらいみればわかる。ランナーが出ると、同じコースを続けてついたり、同じ球種を続けて使う。つまり、ランナーズ・オンで城島はリードが急に単調になり、相手打者に読まれやすい。これは、このダメ捕手さんのもともと持っている特徴である。このクセのおかげで、メジャーでどれだけ打たれていることか。


そして、そもそも、なぜ韓国は2巡目にランナーを貯められたのか。
簡単に言うなら「韓国の打者は1巡目で岩隈の球筋の大部分を見ることができたから」である。

このゲームでの岩隈の本当の決め球はフォークである。なぜならランナーがセカンドに進んだ場面でもフォークを余裕で投げられている。これは、よほどコントロールに自信があるからである。そしてシュート。
だが、その2つの球種の組み立てを、城島は全て1巡目で使い切って、見せてしまった。だからこそ2巡目になったとたんに、いきなりランナーが2人出ているわけだ。


加えて、タイムリーを打たれたあとの5番打者との対戦だが、城島はコントロールはつかないと何度もこのブログで指摘してきた「スライダー」を何度も岩隈に要求して、フォアボールを与え、ピンチを拡大してしまっている。
これもシアトルではよくみる光景。打たれた直後にあわてて組み立てを変える、というやつだ。

WBCでのスライダーの危険性については何度も指摘してきた。
2009年3月1日、杉内にチェンジアップを要求し続けた城島は先制の一発を食らった。
2009年3月9日、「用意してこないプレーヤー」城島はふたたび初回ホームランを食らう。
なぜタイムリーを打たれた直後、塁上にランナーがいる場面で岩隈にとってはコントロールのつかないスライダーでフォアボールなのか。理解に苦しむ。

たまたま韓国のセカンド走者が牽制死してくれたが、これこそが「偶然」というものだ。あのままイニングが続いていたら、混乱したままのバッテリーはもっと失点していただろう。


もう一度言う。
何が偶然で、何が偶然でないか。
それを見極めずにあれこれ言っても始まらない。


追記
ここまで書き終えて7回だが、またランナーズ・オンで韓国4番にインコースのストレート。懲りない捕手である。ツーベースを打たれた。この試合を左右しかねない。またしても韓国の走塁ミスで助かる。4回の牽制死も走塁ミス。

追記2
試合は予想どおり、重い1点で負けた。
楽観的な解説を披露して城島を褒めてばかりいた古田は名捕手野村氏の弟子ではある。だが、今日の試合でよくわかることは、この2人の捕手は全く思考方法が異なることだ。
野村さんは選手への指導が細かい。それはなぜか。「偶然と、そうでない出来事の区別に厳しい」からだ。一見偶然に見えても、プレーは細かい事象の連鎖で起こる。連鎖しやすいプレーの関係がわかっているからこそ、細かい指導で連鎖を断ち切って、失点を防ごうとする。
だが、古田はそうではない。「偶然でないこと」に対する線引きがひどく甘い。そのために発言のポリシーが緩い。
この2人の監督としての実績に大差がある理由がわかる気がする。



damejima at 19:51

March 08, 2009

原因は「変化しすぎるボール」だ。
予想どおり、ダメ捕手さんは対応しないままゲームに入って、またしても、初回からホームランを打たれた。3対0で1回裏を迎えることができた浮かれたムードが一瞬で冷え、脇の下に気分のよくない、嫌な汗を書いた。
イチローが大事な試合でキッチリと打線を引っ張ったからいいようなものの、あれで2回の大量得点がなかったら、試合は3月1日の試合同様、とても重苦しいものになったはずだ。


2009年3月1日、杉内にチェンジアップを要求し続けた城島は先制の一発を食らった。

初回に先発松坂が打たれたホームランは、上の記事で書いたことと同じ現象である。

杉内のケースでは、チェンジアップ主体の組み立てで入って、修正することもなくチェンジアップばかりを要求して、結果的に高めに浮いたところをホームランされた。
昨夜の韓国戦では、コントロールがつかないスライダー系主体の組み立てでゲームに入った。パスボールしまくり、ついでにポロポロとボールをこぼしつつ、スライダー系の組み立てに煮詰まったあげく、苦し紛れに城島が、まだ今日の松坂がコントロールできそうかどうかわからない球種(おそらくはカットボールかなにか)を突然要求して、これがコントロールできず、高めにフワリと抜けてスタンドに放り込まれたのである。


よく言われることだが、WBC球は変化しやすい。
本番の対韓国戦の両先発を見てもわかる。

先発松坂も、3月1日の杉内同様、スライダーは使い物にならなかった。また韓国先発のキム・ガンヒョンも同じで、スライダーの制球は全くダメだった。もちろん試合当初のスライダー系の組み立てを、松坂のイニング終盤になってようやくスライダーを捨てて、ストレート系のカットボール主体の組み立てに切り替えたのも、その対策のためだ。

WBC球は、捻って投げるスライダー系の変化球は、特に力んでボールを強く握りすぎると、曲がりが大きくなり過ぎる。コントロールという点だけでみると、圧倒的にストレート系のほうがコントロールがつきやすい。

そんなことは、杉内登板の時点で既にハッキリしつつあった。
だが、それに対する城島の対応は、予想どおり遅れ、スライダー系の組み立てにさっそく行き詰まり、初回にホームランを打たれた、というわけだ。



打線のほうでみても、今日活躍した打者と、そうでない打者に大きく分かれたのも同じような理由があった。

第一打席のイチローが内角低めの変化球を狙い打ったように、1番イチローから3番青木までのバッターは、試合当初から徹底して変化球系を狙い打ちしていた。これは、初回から徹底されていたことで、試合が進む中で急遽対応したのではない。
WBC球で投手がコントロールをつけにくい変化球が甘く入るのを、狙い打ちできていたわけだ。

ところがその一方で、小笠原、福留といったフリースインガーたちは、最初の打席からストレート系もスライダー系も来た球をかまわず振りまわしていて、狙いが絞れてはいなかったし、最後まで対応ができずに流れに乗れず、終わってしまった。いわゆる「ゲームへの入りかたを間違えた」というヤツだ。まるでシアトルでの城島そのものである。
初回の村田には、キム・ガンヒョンが3番までの打者に変化球を打たれたことからストレート勝負に切り替えており、それに対応できなかった村田は三振をとられた。村田が結果を残せたのは、2打席目途中から切り替えたため。

だから今日の試合は「用意してきてゲームに入れた選手」と「用意してこなかった選手」の差が出た試合なのだ。

「最初から用意してきていた選手」がイチロー、中島、青木なら、「用意せず、試合途中での対応もしなかった」のが小笠原、福留である。捕手としての城島がどちら側のプレーヤーかは、いうまでもない。

不用意なままゲームに入って、不用意な球を投げさせ、打者の意図通りにホームランを打たれた。杉内のケースと全く同じである。


メジャーの試合をあまり見ない人はわからないだろうが、大差がついた試合でホームラン程度のことはシアトルでのシーズンでは日常茶飯事。シーズンでのホームラン数しかわからない人は、2007年や2008年の数少ないホームランが、どういうシチュエーションで生まれたか調べてみるといい。
このダメ捕手さんがスタンドインするのは、一方的な勝ちゲームの7,8回、つまり100球制限のあるメジャーで相手先発がとっくにマウンドから降りていて、敗戦処理投手から打ったホームランが大半。
ついでに言えば、2007年2008年、打率を稼いだのも、ポストシーズン進出がなくった消化試合の9月。ダメ捕手さんがバットを振り回せるのは、そんな時くらいなのだから、ご愛嬌、ご愛嬌。

1回、金泰均に許した2ランは「真っすぐ系の球。(時事ドットコム 本人談)
超スローがすぐにテレビで見られるこのご時勢。松坂の指が横を向いてリリースしていることくらいは、誰でも見られるのである。あまりにスライダーが入らないので、泡を食ってカットボール要求したらホームランされました、すみません、くらいのことが言えないものか。

日本キラー金広鉉 プロ最悪の8失点KO…
金寅植監督は「日本は金広鉉を徹底的に分析していた」と振り返った。「スライダーを狙い打たれた。



damejima at 06:59

March 05, 2009

この時間、まだ中国戦は終わっていないが、下の記事ですでに予告してあった通りの城島の打撃のヘボっぷりに笑わせてもらっている。

2009年2月25日、城島は素人相手にランナーズ・オン7打席で3つもの内野ゴロを打った。
http://blog.livedoor.jp/damejima/archives/826692.html

強化試合4試合で2併殺。本番ですでに1併殺。もちろん、打球の速さや、飛んだ位置の微妙さから、たまたまダブルプレーにならなかった内野ゴロもすでに、強化試合で2つ、本番で1つの、計3つほどある。
トータル5試合で3併殺である。6つものアウトを記録した勘定になるわけだから、打席数よりアウトの数のほうが多い稀有なバッターである。


城島にバントなどどうせできっこないが、5試合で3併殺するような、この能の無さ、野球のプレーヤーとしてのレベルの低さはどうだ。

2回表は、ノーアウト1,2塁だった。それが、あっという間に2死3塁である。先取点をとって、押せ押せで行きたい場面であるのはいうまでもない。
これだけではない。
4回表の打席も無死1塁の場面で、ショートゴロ。2つ目の併殺となってもおかしくないような打撃である。2007年2008年についてのデータを見てもわかるが、この打者は野球という競技で最もよくあるランナー1塁というシチュエーションの打率、あるいは、ランナーのいる場面での打率が極端に悪いし、また、併殺打が異常に多い。

まだまだ城島の併殺打ショーは、このあとも1か月続く。
笑わせてもらおうと思っている。

追記
8回裏無死2塁でバント失敗(キャッチャー後方へのポップフライ)→ショートゴロ、2塁走者は3塁封殺

福留がこの日4つめの四球。代走に片岡を出した。もちろんダブルプレー逃れでもあり、盗塁させる意味もある。そこで城島にバントのサインを出した原も原だが、キャッチャー後方にポップフライだからしょうがない。ヒッティングに切り替えたが、ショートゴロで、盗塁までした片岡がサード封殺。
なんの意味で代走片岡が盗塁してまで併殺を逃れたのか。せめてランナーを進める右打ちをすればいいものを、馬鹿としかいいようがない。



damejima at 21:09

March 02, 2009

よくぞあれでプロのキャッチャーが務まるものだ。感心した。

先発の杉内はチェンジアップがことごとく抜けていて、カウントなど取れそうにない球種だったのは誰の目にも明らかだったが、にもかかわらず、城島はチェンジアップのサインを出し続けて、あげくには巨人の好調の3番アルフォンゾに高めに浮いた球をスタンドに運ばれて先制点を許し、非常に重苦しいゲーム展開になった。
なにも中軸打者に対してだけチェンジアップを投げたわけではない。下位のたいしたことのないバッターにまで投げていたから笑うのだ。フルカウントまで粘られ、あげくに最後に決め球にチェンジアップを投げさせ、当然、はずれて四球を選ばれるとか、どうかしている。
これにはさすがに解説席の捕手出身の古田が「こういうのは4番を相手にした組み立てですねぇ・・・。まぁ、練習ですかね・・」と言い、クビを傾げていた。それはそうだ。1軍半メンバーの巨人の貧打の下位相手に、フルカウントから入らないチェンジアップ要求なのだ。首を傾げないほうがおかしい。

杉内はそのうちに、わずかなイニングしか投げてない強化試合にも関わらず、ランナーを背負った場面では、業を煮やしたのか、サインに首を振っていた。マリナーズで、何十回となく見た風景が再現されている。合宿中には「WBCのボールが合っている」と報道され、好調かと思われていた杉内だったが、これで当分調子は戻ることはないだろう。投手というのは繊細な動物なのだ。
2ストライクをとっては、クサいコースにほうらせるか、明らかなボール球を無駄に投げさせてはカウントを悪くして、あげくにフルカウントにして投球数を増やしてしまうのは、メジャーでもWBCでも、城島の全く変わらない悪癖。
この捕手、投球制限をどう考えているのか。日本の一線級の投手たちが、ことごとく全くわけのわからない投球内容で潰れていこうとしている。どの先発にも、カウントを目一杯使って自滅させていくのだから、呆れた捕手だ。まぁ、少ない球数で打ち取るピッチングの組み立てなど、どだい、この捕手には最初から無理なのだが。

盗塁は許すし、バットのほうも、予想どおりの併殺打ときた。ランナー1塁の場面で内野ゴロを打つのは、もうとっくにWBCでも、お約束である。
ほんのわずかな試合数なのに、すでに2併殺。たぶんWBCが終わるまでには10併殺くらいは打つ予定なのだろう。





damejima at 05:45

March 01, 2009

http://blog.seattletimes.nwsource.com/mariners/2009/02/28/ms_tell_beltre_no_wbc.html

Mariners GM Jack Zduriencik told us moments ago that it's a decision he tried not make, given how badly Beltre wanted to play in the WBC. But in the end, he said, he felt he had to step in and do what was best for the ballclub.

"If it was up to him, he'd be going,'' Zduriencik said. "We need this player and we need this player badly to be a very competitive club this year.''(中略)
Zduriencik has allowed every other M's player wishing to play in the tourney to do so. The M's had stated that it would be totally up to the player, even though some, like Kenji Johjima and Carlos Silva, are coming off horrible seasons and need to re-establish themselves this year.
(簡訳)ほんの少し前のマリナーズGMジャック・ズレンシックは、ベルトレがWBCでのプレーをどれほど渇望しているかという話題を振られて、(彼を行かせるかどうか)自分では決めたくない決断だと(記者である)我々に語っていた。だが結局のところ彼は、その問題に介入し、球団にとっての最善の判断を下すべきと感じたようだ。
「もし彼(ベルトレ)の判断にまかせたなら、WBCに行っただろうね。」とズレンシックは言う。「我々にはこのプレーヤーが必要なんだ。今年非常に競争力があるクラブにするために、どうしても必要なのさ。」(中略)
ズレンシックはトーナメントでプレーしたがっている他のどんなマリナーズのプレーヤーにも、それを許した。たとえそれが城島やシルバのように、最悪のシーズンを過ごし、今年は彼ら自身の手で再起する必要があるプレーヤーであったとしても、マリナーズは、WBC参加はすべてプレーヤー次第だと、ずっとコメントし続けてきた。


短い中で2度も使われているbadlyという単語がキーポイント。センテンスの中で同じ単語を使うことを嫌う英語表現においては、これは珍しいことで、当然故意に使われているはずだ。
needとかwantという動詞と一緒に使われる場合のbadlyは、「bad=悪い」とかいう意味では無く、願望の強さ、それもかなり強い願望を強調するために使われる。つまり、いうなれば「あまりにも熱望しすぎて気分が悪くなる。それくらい、切望している」というような意味である。

badlyが2度使われたのは、「ベルトレがWBCに出たい気持ち、それもbadlyだろう。だが、マリナーズが彼を出したくない気持ちも負けず劣らずbadlyなのだよ」と、球団とベルトレ、両者の異なる強い願望が同等に強い一方で、方向性がまったく逆で矛盾した困った事態を、badlyという単語をわざと両者ともにまたがって使って表現したのである。



メジャーのWBC参加において、故障を抱えている選手の辞退は当然ながら、移籍したばかりの選手のようなケースでも、WBCへの参加は、球団側からではなく選手側から辞退することが多い。

前年GGを獲得したベルトレは「どうしても今シーズンも活躍してもらわないと困る」と明言されて引き止められたが、一方で、あまりにも酷いシーズンを過ごした城島やシルバは「君次第だ」と自主性にまかされた。
もちろん、代わりになる選手のいないプレーヤーと、城島のような、そうでない期待されないプレーヤーの差であることは言うまでもないし、球団の期待度がベルトレと城島では違い過ぎる。

しかし、このベルトレのWBC引きとめの例でもわかるように、「参加はプレーヤー次第」と表向きは言いながら、「行くのは選手の勝手だ。それもアメリカ流の自主性ってやつだろ」と選手側が判断するしたら、それは大間違い、完全な勘違いだ。
オトナの慇懃さ、遠まわしな言い方は、日本でも英語圏でも変わりない。理由は簡単だ。相手を尊重した公式発言をするのが礼儀だからである。だから管理者側は「プレーヤー次第だよ」と言う。
しかし、その言葉を表面だけ真に受けて「じゃ、WBC行きます。よろしく」と簡単に言って許されるプレーヤーと、そうでないプレーヤーがいる、というのは、アメリカでも日本でも、野球でもビジネスでも、同じことなのだ。

頭の悪いダメ選手のためにもう少し言い足すと、オトナは「行くか行かないか、決めるのはプレーヤー次第。全部まかせたから、行きたいなら行ってきなさい」などと言うわけはない。
本来は「自分が行っても許されるプレーヤーか、そうでないプレーヤーか、それくらい自分で判断できるだろう?自分のすべきことを、自分で判断してくれ。それがプレーヤー次第ということだ」というのが、正確な中身である。
実績のない選手が自主性とかいう分不相応な言葉を使って、勘違いしてはいけないのである。

城島のWBC参加自体、シアトルでまったく歓迎などされていないことは言うまでもないが、かといって、今期の戦力として多くの改善を期待されているわけでもない。チームにとって、いまやその程度の存在なのだ、ということが、この記事からわかるのである。
そして、自分がどう行動すべきだったかも、城島はわかっていない。せいぜいお祭りに参加したつもりになって、はしゃいでいるのがお似合いのプレーヤーである。





damejima at 15:37

February 26, 2009

まずは2009WBC 強化試合オージー戦2試合の城島の打撃、シチュエーションを見てもらおう。

2009年2月24日(火) 京セラドーム大阪
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/wbc/2009/live/02/241_wbc.htm
四球  1死満塁
右前安 無死1塁
遊ゴ失 2死1塁
右前安 無死1、2塁

(水) 京セラドーム大阪 
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/wbc/2009/live/02/241_wbc.htm
二ゴロ 1死1、2塁
右前安 先頭
二併殺 1死満塁
左前安 1死1、3塁

あの酷いオーストラリアの二遊間は、この2日間、いくつエラーを記録したか?なんと4つである。チーム全体でも、9つエラーをしている。
このデータだけ見ても、このオーストラリアがどういうレベルのチームだったかわかる。一部で報道されている通り、このオーストラリアチームのメンバーは大半がアマチュアなのである。日本の残塁は2試合で合計24。大勝して当たり前のレベルの相手に雑な試合をやったものだ。

で、この2試合の城島の攻守(走など、最初から能力が皆無)だが、
打撃、そして、日本の先発投手との相性、このブログのオーナーとしては世間様とは全く逆の意味で、心の底からニヤリとしたものだ。
対戦相手の投手レベルが上がってくれば、どうなるか。とっくに予想がついた。本番のガチ試合での城島のヘタレっぷりを書き留めるのが、今から楽しみでならない。


最初に挙げたのは、オーストラリア戦の8打席の結果とシチュエーションだ。

8打席で、1塁にランナーがいなかったのは、わずかに1度しかない。残り7打席は、すべてランナーズ・オンで、すべて1塁に走者がいる。城島はその7打席で3度も、セカンド・ショートへの内野ゴロを打っているのである。

あの下手クソなアマチュアのオーストラリア相手に3度である。しかも、あの酷い二遊間に満塁でダブルプレーまで喫している。

それが城島という打者なのである。
早打ちと引っ張るだけが持ち味のダメ打者が、素人相手にライト前に流し打ちタイムリーなど打つようでは、打者として終わっている。

2007年の、あの中身のない、見かけ倒しのバッティングと、今も何も変わってない。2007年も、ポストシーズンに出られないのが確定した後での帳尻ヒットで稼いだ帳尻あわせのシーズン打率で勘違いしている野球ファンが多いようだが、シーズン通産の打率だけを見ても、あの年の城島の打撃の酷さはわからない。ア・リーグの併殺打王を何ヶ月続けたか。
あのみせかけの2007年を見抜けないようでは、2008年の酷さも語れないだろう。

ブログや掲示板などを見ると、「やっぱり城島のバットは頼れる」だのなんだの、わけのわからないコメントを書いてご満悦な阿呆ブログなども見かけたが、野球以前の問題である。相手との力関係すら相対化して見ることもできない、こういうスポーツ音痴なコメントなど、どうでもいい。

さぁ、本番の結果が楽しみになってきた。
打撃だけ? いやいや。マリナーズのケース同様に、将来ダルビッシュあたりから「本当は2009WBCでは、城島とは組みたくなかった」などという後日談が出たら、きっちりブログに書いてやろうと手ぐすねを引いて待ち構えているのは、言うまでもない。



damejima at 04:40

February 24, 2009

この記事を読む前に、1週間ほど前にさかのぼっていただこう。
2009年2月13日のスポーツ紙で城島はこんなことを言っている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/baseball/20081016-4822204/news/20090113-OHT1T00084.htm
WBC日本代表候補に選ばれているマリナーズ・城島健司捕手(32)が、趣味のマージャンを生かして侍ジャパンの若手投手陣と親交を図る計画を明かした。(中略)連覇のキーマンが自ら後輩に歩み寄り、チームの結束を深める。
(中略)「投手全員とマージャンするのが一番。マージャンをしたら性格が分かるしね」(中略)未知の投手を把握するため、雀卓を囲むことで心の距離を縮め、呼吸を合わせる狙いだ。
(中略)「核になっていく投手には僕の方から電話をかけたい。受け取り方(電話の応対)を聞くだけでも、性格をつかむ一つのきっかけになる」日本ハム・ダルビッシュや西武・涌井になりふり構わずアプローチをかけるつもりでいる。

で、わずか1週間後には、これだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/4029918/

ダルビッシュ(22)に城島と麻雀をやったかと尋ねると「麻雀? できないっす」と、ひと言。20歳の田中も「城島さんからは何も言われてません。やったことは? ボク、麻雀できないんで。野球の話は少しはしますけど」とのこと。大卒3年目の岸(24)にいたっては、「城島さんから『やろう』と誘われたんですけど、ルールが……。銀仁朗(西武・捕手)が城島さんに『岸さんはできます』って言っちゃったんですけど、どうすればいいのか……」と、困惑顔。


まぁ、どこまでも空気の読めないお年寄りに、何を言っても始まらない。
日本ですら浮きまくってしまう、何の方法論も持たない加齢臭オヤジ、それがこのダメ捕手である。まして、アメリカ? メジャー? 肌があうとか、あわないとか、もう、そういう議論ですら必要ない。
このWBC麻雀シカト事件で、この男のコミュニケーション能力の無さくらいわからないようでは、現代日本人とはいえない。そりゃあ投手陣から総スカンくらうわけだ。

いまどきテレビを見ず、タバコも吸わない、なんていう若者くらい、そこらにゴロゴロいる。コスプレが趣味のK-1ファイターだっている。会社は当然、禁煙だ。大学の周りでは雀荘はバカスカ潰れている。

麻雀でコミュニケーション・・・? どこまでニブいのか、このオヤジ、そのうち磯釣りでコミュニケーションを図る、とか言い出すつもりだろうか。
こういうタイプの阿呆は、かつてアメリカツアー挑戦に失敗したオッサン・プロゴルファーと同じで、アメリカなど、最初から向いてないのだから馬鹿な夢を見るなと言いたい。

そのうちヘルナンデスにも、麻雀を教えるといい。
教えられるものなら。



damejima at 05:47

January 25, 2009

野村監督が「捕手・城島」にダメ出しするのは、これが初めてではなく、かねてからの主張で、何度もこの手の話はしている。
当ブログとしても、野村氏支持なのは言うまでもない、と言いたいところだが、できればWBCには正捕手として出場して、目一杯恥をかいてもらいところであり、迷うところだ(笑)
まぁ打力などといっても、その打力自体、メジャーで打率2割しか打てない、そんな男なわけで、リードは期待できない、打てない、走れない、何もない、なぜ何の取り柄もない捕手がなぜWBCに呼ばれるのか、それ自体、謎で、いまからWBCが本当に楽しみなのだ(笑)

http://sports.yahoo.co.jp/news/20090124-00000022-ykf-spo.html
「(WBCで原ジャパンが)阿部や城島にマスクをかぶらせるようなら負ける。キャッチャーに打力は要らない」
「(城島と阿部の)2人はあくまで打つことが主眼の選手。今回のWBCでは、リードを最優先に観察力のある捕手を起用し、どうにか最終回まで相手を0点に抑えるような戦い方をしないと、勝ち目がない。0点に抑えている限り負けることはないですから」と指摘したという。



damejima at 03:47

December 16, 2008

3月に行われる第2回ワールドベースボールクラシック(WBC)について、Yahoo Japanが「日本代表の4番に座ってほしいのは?」というアンケートを行ったのだが、困ったことに、その後このアンケートがどういう結果になったのか、それがわからない。

たまたま検索がヘタなせいでリンクが見つからないだけならこちらの不手際だが、もし結果を公表してないとしたら、サイト閲覧者にアンケート協力させておいて、結果を知らせないとはどういう了見か。アンケートをビジネス化するのもほどほどにしてもらいたい。

それにしても、この経過。誰ももう城島のバットになど期待などしてないことを改めて示した。

12月16日9時25分現在の数値
2008年12月11日より 計 33782 票
(以下はアンケートサイトより。当ブログで投票の多い順に修正済)

12月15日には日本代表候補45人が発表予定です。
以下に挙げた選手のなかで、日本代表の4番に座ってほしいのは?


松中信彦(福岡ソフトバンク) 27% 8984 票
小笠原道大(巨人) 21% 7011 票
村田修一(横浜) 12% 4010 票
栗原健太(広島) 10% 3324 票
そのほかの選手 8% 2646 票
イチロー(マリナーズ) 8% 2560 票
中村剛也(埼玉西武) 5% 1704 票
中島裕之(埼玉西武) 4% 1306 票
城島健司(マリナーズ) 3% 1169 票
福留孝介(カブス) 3% 1068 票



damejima at 11:07
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