「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」

2010年4月9日、ジェイソン・バルガスの典型的な「3拍子パターン」にビクビクしながら、シアトルとテキサスのゲームを見守る(笑)
2009年6月16日、バークはヘルナンデス完封ゲームでついに「プチ城島問題」を抱えるキロスに実力で引導を渡した。(「キロス問題」まとめつき)
2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(2)
2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(1)
2009年6月14日、城島・セクソンがゴーストとして復活したシアトルは、コロラドでスイープされた。
2009年6月6日、キロスの単調なリードを予測する。
2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。

April 10, 2010

去年、「キロス問題」(参照:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」)以降、いろいろと落ち着かないシーズンを過ごしたバルガスが、先発投手としての開幕を迎えた。いまちょうどテキサス相手に投げている最中だが、どうにもハラハラする(笑)
Seattle Mariners at Texas Rangers - April 9, 2010 | MLB.com Gameday


彼の持ち球の命といえば、本人いわく、チェンジアップ、ということになるが、野村克也氏の言う「3拍子パターン」を、1回表からずっと続けている。ストレートを2球ほおっておいて、3球目にチェンジアップ、という典型的な「3拍子パターン」である。
(ゲームの中盤からは、ストレートを2球続けてからチェンジアップにいくパターンを、チェンジアップから入ってストレートというパターン、あるいは、ストレート、チェンジアップ、チェンジアップというパターンに変えたが、それでも、チェンジアップの球数が多すぎる。
結局のところテキサスの打者は初球か3球目のどちらかにチェンジアップが来ると予測できてしまう。)

いつテキサス打線につかまってしまうのか、非常に心配しながら、ハラハラして観戦しているのである(笑)なんとか最後までもってもらいたい。


かつてダメ捕手城島の使った3拍子パターンについては一度指摘したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(5)実証:ロブ・ジョンソンと城島との違い 「1死1塁のケース」


ちなみに、テキサス打線というのは、低めの球に異常に強く、高めに弱い。そのことも去年一度書いた。ロブ・ジョンソンはそこを逆手にとって、「高めのストレート」から入る配球でテキサス打線を翻弄したことがある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:最終テキサス戦にみるロブ・ジョンソンの「引き出し」の豊かさ (1)初球に高めストレートから入る


バルガスのチェンジアップについてはいろいろと書きたいことがあるので、この記事は後で書き足そうと思う。






damejima at 10:19

June 22, 2009

「裏口入学のコネ捕手城島のコピー捕手」キロスがDFAになって、「プチ城島問題」である「キロス問題」が解決を見た。
バークは、とうとうキロスとの競争に打ち勝って、第三の捕手としての位置を確保したようだ。この37歳のプレーヤーの感動ストーリーについてはアメリカの地元などでは結構触れられているが、日本ではほとんど触れられていない。煮ても焼いても食えないダメ捕手に関わっているばかりでは、せっかくの好素材も活かせない。もったいないことだ。
A journeyman catcher in twilight of his career, Burke has a day to remember - Sports - The Olympian - Olympia, Washington
6月7日記事でも言ったように、再コールアップしてホームランを打ったときのバークのバットスイングのシャープさ、走塁の切れのよさは、とてもかつての鈍足ぶりではないし、マイナーでくすぶってやる気をなくした選手のものではなかった。
心から彼におめでとうといいたい。よほどマイナーで心してトレーニングに励んでいたことだろう。
Seattle vs. San Diego - June 16, 2009 | MLB.com: Gameday

この間のキロスとバーク起用の逆転劇にまつわる複雑な展開を軽くまとめておく。


「キロス問題」決着までの経緯

第1期 城島骨折直後
(正)ロブ・ジョンソン (控)キロス
 
5月25日 城島骨折。ロブ・ジョンソンが正捕手に
5月26日 キロス、2Aからコールアップ
5月31日 キロスがアウェイLAA第3戦に初先発、負け。
       アウェイでのLAAスイープを逃す


第2期 ロブ・ジョンソン不在でバーク、キロスの混在
(実際にはほぼ(正)バーク (控)キロス)
6月7日 ロブ・ジョンソン左足の軽い怪我で休養
      バーク、3Aから再コールアップ(スターク投手DFA)
6月7日 バーク、通算3本目のHR ベダード5勝目
6月9日 バーク先発
6月10日 バーク先発 ヘルナンデス6勝目
6月11日 地元紙シアトル・タイムズ
      「コロラド遠征でバーク、マイナー落ち」と推定記事
6月12日 ロブ・ジョンソン怪我から1日だけ復帰。
      すぐに忌引休養
6月13日 バーク先発
6月14日 デーゲーム、キロス先発。
      バルガス、キロスとのバッテリーに不満漏らす
6月16日・17日・18日 パドレス3連戦で、バーク3連続先発

第3期 ロブ・ジョンソン復帰とキロスDFA
(正)ロブ・ジョンソン (控)バーク

6月19日 ロブ・ジョンソン忌引から復帰。キロスDFA(戦力外)
6月20日 ロブ・ジョンソン先発。
      バルガス「勝利はロブ・ジョンソンのおかげ」 
6月21日 デーゲーム、バーク先発。ひさびさの貯金1



今になって振り返ると、バークとキロス、どちらがロスターに残れるか、についての分かれ目はたいへんにシーソーゲーム的展開だったと思うし、また同時に、ロブ・ジョンソンと城島のどちらをとるか、シアトルはどうやって勝つチームに脱皮していくのか、という問題に直接つながっている重要な問題だった。


第1の分岐点は、5月25日城島骨折の直後、正捕手についたロブ・ジョンソンのバックアップに、4月に4ゲームに先発(2勝2敗)した3Aのバークでなく、2Aのキロスを抜擢したことだ。
バークを呼ばなかった理由は定かではない。だが少なくとも、5月末の時点では、首脳陣はバークよりキロスを優先していたわけだ。
このブログとしては、キロス優先の理由は「打撃」だろうとしか考えられない。
4月の出場4ゲームで13打数1安打だったバークの打撃より、キロスのバッティング面に期待したのではなかろうか。実際、キロスはメジャー先発4ゲームで14打数4安打、出場全ゲームでヒットを打った。
だがこのブログで再三指摘しように、キロスの投手を引っ張っていく能力については全くクビを傾げざるを得ないもので、まるで「城島のコピー捕手」のような単調さだった。後になってキロスのリード面の問題をバルガスが明確に指摘したのは、その表れである。
関連記事
2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。
2009年6月6日、キロスの単調なリードを予測する。


第2の分岐点は、ロブ・ジョンソンの怪我と忌引。
ロブ・ジョンソンが怪我で休んだ数ゲームも、忌引で休んだ数ゲームも、どちらもナイターはバーク、デーゲームはキロスがマスクをかぶっている。
だから、後になって見れば、最初からバークが第3の捕手扱いで、バークとキロスの間には競争はなかったという見る人もいるかもしれない。
だが、チームの首脳陣にはじめはキロス優先の空気があったことは、城島骨折後にバークを呼んでないことからも、事実だ。
6月22日現在、シアトルタイムズの6月11日記事の「インターリーグのコロラド遠征では、バークをマイナーに落とすのではないか」という部分は綺麗に削除されてしまい、いまは残っていない。まぁ、おそらく、記事の誤りを認めて削除したのだろうが、コロラド遠征直前まで、首脳陣の中にバークは第4の捕手でいいじゃないか、という空気があったからこそ、この記事は書かれたのだと考える。
削除前 こちら
削除後 Mariners | Russell Branyan's mammoth homer lifts Mariners back to .500 mark | Seattle Times Newspaper
もし、このコロラド遠征に際してロブ・ジョンソンの身内のご不幸がなければ、この3戦の先発捕手はロブ・ジョンソンが最初の2試合マスクで、3戦目がキロスかバークだったわけだが、そうなったときに、バークが選ばれていたかどうか。
6月9日のゲームの内容などは、バークのリード面の内容もけして良くはなかった。コロラド遠征の第2戦でバークが先発からといって、キロスより優先されたという記事を書くわけにはいかなかったし、この時点はキロスに第3の捕手を奪われる可能性は消えてはなかった。
2009年6月7日、苦労人バークはホームランでベダードに5勝目をプレゼントした。(2007年ポストシーズン行きが懸かった夏の、城島のあまりに悲惨な打撃成績つき)
2009年6月10日、ヘルナンデス7回QSで6勝目、バーク2007年の感じをやや取り戻す。
2009年6月9日、バークは不可解にも4月29日LAA戦以上の単調なゲームを再現した。
2009年6月11日、オルソンの神経質なピッチングを通じて、城島の「コーナーをつきたがる配球の欠陥」を考える。
2009年6月11日、城島DLからわずか2週間、4カード連続勝ち越しでついに勝率5割、2位に浮上した。(城島DL後の全成績・捕手別データつき)
2009年6月14日、城島・セクソンがゴーストとして復活したシアトルは、コロラドでスイープされた。

第3の分岐点は、パドレス3連戦。
この3連戦ではロブ・ジョンソンがいないこともさることながら、ただでさえ得点力が低いシアトルにとって、インターリーグで投手が打席に入らなければならなくなることで、さらに得点力がなくなることが大問題だった。
多少の失点には目をつむって打撃のまぁまぁなキロスに捕手をまかせるのか、それとも投手との関係のいいバークをとるか。首脳陣は最終決断を迫られた。
ここでシアトルが選択したのが、バークだった。
多少捕手のバッティングが良かろうが、ゲームに負けては何もならない。まさにリーズナブルな選択である。
この時点で、ロブ・ジョンソンが復帰して以降はキロスが落とされることが確実になった。実際サンディエゴの3連戦ではバークは11打数ノーヒットに終わったが、チームは2勝1敗とカードを勝ち越して、ホームに帰ることができた。
チームは打てる人が打てば、それでいいのである。



こうして「プチ城島問題」である「キロス問題」には約1ヶ月で解答が出された。「捕手に何を求めるのか」。それが明確になったのが「プチ城島問題」の成果である。

シアトルというチームが何を選手に求めるべきなのか。どういう勝ち方を目指すべきなのか。それが、この「プチ城島問題」に明確に表れている。

シアトルは当初バークでなくキロスを最初選んでしまい、せっかくの記念すべきアウェイでのLAAスイープという偉業を逃してしまうことになった。
だが、今後はグダグダとした迷いはいらない。
マウアーのようなスーパーキャッチャーでもない限り、マグレのバッティングに目を奪われる必要など全くないことが、これで首脳陣もわかったことだろう。

バークに逆転ホームランを食らう形でキロスはDFAになるわけだが、それは「ダメ捕手に打撃でのわずかな貢献を求めて失点に目をつむる選択」がチームにとって大きな誤りだったことを首脳陣が認めたことでもある。
もちろんその判断は今後のダメ捕手城島にも間違いなく及ぶはずだ。

ただ、もし仮にこの「キロス問題」が、「城島問題」を考える上で首脳陣が故意に作った「実験」だったとすれば、結果は「城島不要」と出たわけで、この「実験」そのものはなかなか優れた出来栄えではあった。
だが、それを試合で実行することはない。頭の中で考え、ゲームを見ていればわかるはずの、まったく不要な「実験」である。キロスを2Aから抜擢することで失った数ゲームがもったいなさすぎた。

damejima at 19:25

June 16, 2009

さて、(2)では、「バルガスのキロスのサイン通りで打たれました発言」を荒っぽいが訳してみようと思うのだが、このインタビュー、どういうわけか、いろいろとややこしい。
できるだけ複雑にはしたくないのだが、どうしても疑問点、矛盾点、背景を指摘しつつ読んでもらわないと、面白くないし、バルガスの真意や、こんな記事をわざわざ書いたジム・ストリートの真意、さらには一番問題な「今、投手陣たちが捕手に抱いている感情」が理解できなくなる部分が多い。「城島問題」によるチーム崩壊の場合に、この手の感情を首脳陣が理解できなかったことが崩壊の基礎になっただけに、軽率な対応はできないと思わないと、後で痛い目をみると思う。
ブログ側からの指摘部分、付け加えた部分が多いが、色分けして、できるだけ読みやすくはしてみた。ご容赦願いたい。

とにかく、バルガスは1投手として、言い訳じみた、ちょっと情けない部分もないではない自己主張ではあるが、はからずも監督ワカマツに重い宿題をハッキリとつきつけることになってしまった。
Rainy, fateful fifth costly for Mariners | Mariners.com: News


Manager Don Wakamatsu said Vargas "from the start wasn't in a groove, and I think he went away from his game plan quite a bit. What I mean by that is that I thought his changeup was his best pitch, and he got hurt a couple of times on breaking balls and sinkers down and away. Giving up 14 hits and three walks to this club is not going to lead to winning."
監督ワカマツはバルガスについてこう語った。「最初からあまり好調ではなかったし、彼(本来)のゲームプランからどんどんそれていってしまったと思う。というのはね、僕は彼のベストピッチはチェンジアップだと思ってたんだが、(コロラド第3戦での)彼は外角低めのカーブとシンカーで何度も痛い目にあっていた(=同じコースの似た球筋の球種を、連打されていた)。ヒット14本とフォアボールを3つもコロラドに与えてちゃ、勝ちにはつながらないよ。」

ブログ注
あまり人前で話すような言い方ではない。監督ワカマツのバルガスに対するイライラぶりがかなりダイレクトに伝わってくる。彼はバルガスの何にイライラしているのか、まずそこが問題だ。
ワカマツの話の流れではあたかも「バルガスが14本ヒットを打たれた」ようになっている。だが実際には、2本少ない12本である。
なぜこんな間違いをしたのかわからないが、次のセンテンスでライターのジム・ストリートがわざわざ「12本」と本数を書き換えてまで訂正しているところを見るかぎり、意図はわからないが、ワカマツが「14本」と発言したのはどうも間違いないようだ。監督ワカマツが頭に血が上って敗戦をバルガスに押し付ける発言をした、と受け取られてもいたしかたないとしか思えない。
またワカマツは「バルガスが外角低めの変化球ばかり打たれた」ことを批判しているが、後の文章でバルガスは「キロスのリードどおりに投げた」と、弁解というか、反論というか、主張している。(笑)
だが、これもシアトルでよく初回などのピンチではロブ・ジョンソンがベンチを見ている。これが守備位置についてのサイン出しならともかく、配球のサインもあるとしたら、バルガスのコロラド戦でどのくらいベンチからサインが出たのか、それによって話も違ってくる。キロスが新人なだけにベンチがかなりサインを出したということがないともいえない。
また監督の発言の中でヒットの本数を間違えたことをジム・ストリートが故意に直さずに書いたのは、明らかに「バルガスが指摘したかった捕手キロスの問題」を故意にクローズアップするためである。



Vargas (2-2) surrendered 12 of the hits and admitted after the game that he should have thrown more changeups.
バルガス(2勝2敗)はヒットのうち12本を喫し、試合後には「もっとチェンジアップを投げるべきだった」と認めた。

ブログ注
このブログでは既に「チェンジアップ押し付け」問題というカテゴリーを用意し、既に数本の記事を書いている。どうも今シーズンは「チェンジアップ」が、長打の被弾や、投手と捕手の配球面の揉め事など、なにかとトラブルの原因になっているような気がしてならない。ただ、残念なことに、それが根本的にはどこから指示が出ているかなど、今はまだ詳しいことは何もわかっていない。



"The changeup has been a good pitch for me, and I should have been smarter than that and shake to it," Vargas said. "I probably could have gotten out of that [fifth] inning."
「チェンジアップは僕の得意球だ。僕はもっと強い気持ちで臨むべきだったし、サインに首を振るべきだった。」とバルガスは言う。「(もしチェンジアップを混ぜた自分の得意パターンの配球をしてたら大量失点の5回の)あのイニングはもしかするとうまく切り抜けられたのかもしれない。」

ブログ注
昔ディッキーがトリー・ハンターに長打を打たれて、まったく同じ発言をしている。「ハンターは僕の得意球のナックルに手を焼いてた。ストレート投げて打たれたけど、やっぱり得意球なげときゃよかった」
よくロブ・ジョンソンの記事で書くことだが、ロブ・ジョンソンは打者のインコースを勇気をもって使いつつ、組み立てるのが上手い。つまり「逃げばかりではない」。また、ベダードのカーブなど、投手の得意球も把握し、計算に入れて組み立てるから、投手はサインどおり投げてもQSできる安心感があるだろう。

対して裏口入学のコネ捕手城島は、ランナーが出ると、投手が誰であろうと、得意にしている球種が何であろうと、アウトコース低めにスライダー系を投げさせようとしたり、アウトコースのギリギリにストレートを投げさせようとする。つまり「ひたすら逃げる。でも打たれる。四球の山を築く。投手の自尊心が傷つく」。この差が大きい。キロスも同じだ。
どうなのだろう。バルガスが本当に言いたいのは、捕手に従うかどうかという単細胞な瑣末な問題ではないような気がしてならない。結局は捕手とベンチがどう投手のアイデンティティを大事にするか、という問題でもあるのだが、これがワカマツ監督に伝わっているかどうかは、よくわからない。残念なことだ。
得意球のチェンジアップさえ投げさせておけばバルガスのプライドは満たされる、とかいう単純なものでもない。
ちなみに細かいことだがsmartという単語の訳に迷って、打球が強いことをsmartというのにならった。正直これでいいかどうかはわからないが、大意に影響はない。ただ「頭がいい」と訳しただけでは通じにくいと思っただけのこと。



The fact he was pitching to rookie catcher Guillermo Quiroz also was a factor.
彼が新人キャッチャーのキロス相手に登板したことも、(今日のバルガス登板失敗の)要因となった。

ブログ注
日本のスポーツ新聞などでもそうだが、記事の中で、「記者の主観」と「選手の実際の発言」を織り交ぜて、全体をひとつのストーリーにまとめることは多々ある。この文なども、「打たれたのは、捕手キロス相手に投げたことに要因がある」と「バルガスが言っている」と、わざと書きそえることもできたはずだ。だが、ライターのストリートは、そうは書いていない。当然のことながら、ライター側にある種の「バルガス発言への同意」のようなものがあると考えなければならない。



"We haven't worked all that much together," Vargas said. "When you get into a pattern of shaking, shaking, shaking, it slows the game down. I tried to execute the pitches I was throwing."
「僕らはまだ一緒にたくさんバッテリーを組んできたわけじゃない。」とバルガスは言う。「サインを拒否しまくるパターンになっちゃうと、ゲームはダラけてしまう。僕は投げるとき、(キャッチャーのキロスから指示されたコース・球種を)指示どおりにしようとしてたんだ。」

ブログ注
さて問題の箇所だ。バルガスはどうやら「サインを拒否しまくりたくなるほど、サインがあわなかったようだが、我慢した」らしい。我慢など意味がないのだから、しなければいいのだが、バルガスは我慢した。
次回登板に向けてバルガスの意図はどこにあるのか。さまざまにとれる。「次回誰が捕手であっても、サインには首を振らせてもらうよ」という意思表明ともとれるし、もっと突っ込んで言えば、「もうキロスを捕手には投げたくない」という強い拒絶感ともとれる。
もちろん2008年のウオッシュバーンがそうだったように、投手が「特定の捕手のサインどおり投げて打たれて後悔した」と発言したところで、その後、捕手を指定してまで登板させてもらえるかどうかは未知数である。意思の強いベダードは城島相手にはほぼ登板しなくていいことになったが、人のいいウオッシュバーンはそうはいかず敗戦を繰り返した。
こういうチームメイトについての批判めいた発言はあまりアメリカのプロスポーツでは公然とされないことが多いものだ。だが、今回、こうして公然と発言したからには、例えば「テンポよくキャッチャーのサインどおりに投げたつもりが、ボコボコに打たれまくって、監督にあれこれ批判されるくらいなら、自分の思った通りに投げさせてくれ」、または「なにも納得いかないサインしか出せないヘボなキャッチャーに指図されてまで登板など、したくない」などという強い意思が多少なりともバルガス側にあるのは確かだろう。
それにしてもわからないのは、シアトルがメジャー球団なのに、どうしてこうも「投手に気持ちよく投げさせようとできないのか」、ということだ。まぁ、城島なんかを3年契約してしまう球団だから、しょうがないか。



The way the rotation is currently set up going forward, Vargas' next start will come next Sunday, giving him an extra day's rest.
ローテーションは今は先延ばしされつつある。バルガスの次の登板は、彼に1日休養を与え、(予定されていた土曜ではなく)次の日曜になる模様。

ブログ注
ここも問題の箇所だ。バルガスの次回登板が6月21日の日曜ということになれば、球を受ける捕手はデーゲームなので「控え捕手」になる。今週末にロブ・ジョンソンが正捕手に復帰してくる予定だから、控え捕手として日曜にバルガスの球を受けるのは、「バーク」なのか、「キロス」か。
もしキロスがまたバルガスの捕手を勤めることになれば、当然、バルガスはふてくされる。
監督ワカマツがそれでもバルガスに「城島のコピー捕手」であるキロスを押し付けるのか。それともバークで実験して「様子を見る」のか。たぶんバークになるとは思うが、それだと、そもそもコロラド戦を前に「バークをマイナーに落として捕手は3人体制にしない」と思っていた首脳陣の思惑をバルガスが壊す結果になる。問題はそこにもある。監督ワカマツのイライラである。
この監督、どうも「実戦で実験ばかりしている」ような気がするのは、気のせいなのか?ゲームで試さないで、ゲームの前に頭を使うわけにはいかないのだろうか。



"Vargas is a guy who didn't throw at all last year [because of injury] and it might be a good idea to back him up," Wakamatsu said. "We'll see. But really, since that game in Anaheim, he hasn't looked as crisp."
Wakamatsu was referring to his outing against the Angels on May 29, when Vargas allowed two runs over 6 1/3 innings. "Our job is to figure out what's different about that game in Anaheim, where he was as good as you can get," the manager said.

バルガスは(怪我のために)去年全く投げてないからね、(バルガスの体力面に配慮して休養を与えるのは)彼をバックアップするにはいいアイデアかもしれないね。」とワカマツ。「様子は見てみるよ。でも、ほんと、彼はアナハイムでのゲーム以来、しゃきっとしてないな。」
ワカマツが引き合いにだしたのは、5月29日の(ロブ・ジョンソンがキャッチャーを務めた)対エンジェルス戦の登板。バルガスは6回1/3を投げ、2失点だった。
「我々(監督やコーチ)の仕事は、彼が(ロブ・ジョンソンとバッテリーを組んで)かなりいい感じだったアナハイムのゲームが(今日キロスとのコンビで失敗したゲームと)どう違うのかを明らかにすることだ。」

ブログ注
この部分でのワカマツ発言には、正直言って、かなりガッカリさせられた。たぶん、シアトル投手陣も、このワカマツ発言には相当がっかりしたのではないかと想像する。
アナハイムでのLAA戦のキャッチャーは、もちろん我らがロブ・ジョンソンだ。バルガスだって言いたいのは「あのLAA戦とコロラド戦では、キャッチャーが違うじゃないですか?なんでそこがわからないの?」という部分が多々あるはず。
「ロブ・ジョンソンなら、サインに首を振らなくても、十分QSさせてくれたぜ?」というわけだ。

どうも
もしかすると監督ワカマツは、アナハイムで、あの強豪LAA相手にQSしたバルガスと、コロラドでボコボコにされたバルガスの違いが、どこにあるか気がついていない(もしくは半信半疑な)ような気がする。
それは、チームがなぜ勝っているか、また、負けているか、要因factorを把握していない、という意味になる。ジム・ストリートが文中でfactorという単語を使ったのは、そういう意図が隠れていると見た。

だから、以前の記事で書いたように、キロスをコロラドに連れていこうとしたりするのだろうか。せっかくの捕手出身監督だというのに、こんなものなのだろうか。
Mariners | Russell Branyan's mammoth homer lifts Mariners back to .500 mark | Seattle Times Newspaper

バルガスは「テンポ重視で、自分の投げたい球でない球ばかり要求してくるキャッチャーのキロスのサインを、我慢我慢で、キロスの言う通り投げてみたら、ボッコボコに打たれました」と、ちょっと肩を怒らせ気味に話した以上、「監督、キャッチャーの違いなんですよ、キャッチャーの!」と言いたい部分があるわけだ。
もちろん、ライターのジム・ストリートだって、この記事を書くにあたって、バルガスに多少はシンパシーを持って書いているからこそ、「バルガスの登板失敗の要因には、キャッチャーのキロスもある」と書いているわけだ。

「監督・・。なんでわからないの?おれたち投手陣は、やっぱ捕手によって全然代わってしまうことはわかってるんですよ?陰では、みんな言ってるんですぜ?」監督ワカマツがこんなふうに言われてないといいが、さて、どうだろう。


damejima at 14:11
昨日のゲーム終了後、キロスが「城島コピーのような単調すぎるキャッチャー」であることを指摘しつつ、シアトルの首脳陣が「コロラドに連れていく控え捕手をどうやらバークではなくキロスにしようとしていた」ことなどについて記事を書いて、後は所要でブログを放置していた。

翌日になって公式サイトのある記事を見て、いつもの通り「やはり自分の思った通りだったな」と、ほくそ笑んだ。
公式サイトによれば、コロラド第3戦のバッテリーについて監督ワカマツは「アウトコース低めの変化球ばかりを痛打されていること」を批判し、また、投げて負け投手になったバルガスは「捕手キロスのサインどおりに投げて後悔している」と自分を責める形で、捕手のリード内容を批判した主旨の記事が掲載されているのを、今日になって知ったのである。
Rainy, fateful fifth costly for Mariners | Mariners.com: News
注:粗訳は、2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(2)に掲載

このブログの「時系列にそって読む『城島問題』」というタイムライン記事を理解してもらっている人は、シアトルというチームでこの種の記事がでてくる意味は、もう説明しなくてもわかるはずなので、ここから先、読み飛ばしてもらってかまわない。

シアトル投手陣から「捕手のサイン通り投げたことを後悔した」というたぐいの発言が出るのは今回が初めてではない。
むしろ、「またか」という感じだ。
2008年以前から実は存在していた「城島問題」がようやく表沙汰になったのは2008シーズンだが、この年の「城島問題」のブレイク直前に、しかも、ウオッシュバーンディッキー、2人の投手から連続して今回のバルガスとソックリの発言が、発言が飛び出して、その後の「城島問題」の騒ぎにつながっている。

2008年4月15日、ウオッシュバーンは「城島のサイン通り投げた後悔」をクチにした。
2008年4月19日、新人投手ディッキーすら後悔をクチにした。

今回バルガスがキロスのリードについて語った記事で、すでにこのブログで何度も「キロスは城島と同じタイプ、城島のコピー捕手」と語ってきたことが事実として裏付けられた。
2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。
2009年6月6日、キロスの単調なリードを予測する。
2009年6月14日、城島・セクソンがゴーストとして復活したシアトルは、コロラドでスイープされた。


さて、問題のバルガス発言だが、
この記事は実際、かなりややこしいので、何度かに分けて記事にする。


まず、バルガス発言をきちんと読むためには、地元紙シアトルポストによる、下記の記事を必ず読んでおいてもらいたい。
Mariners manager Don Wakamatsu indicated before Thursday's game that one of his three catchers ― likely Jamie Burke ― would be sent back to the minors, while a pitcher would be called up.
Mariners | Russell Branyan's mammoth homer lifts Mariners back to .500 mark | Seattle Times Newspaper
次カードのコロラド遠征にあたってシアトルは捕手3人の帯同はせず、ジェイミー・バークがマイナーに落ち、ピッチャーを1人上げてくる模様だ、と、記事は推定している。つまり、バークをマイナーに戻し、しばらくはロブ・ジョンソンとキロス、2人捕手体制で行く、という意味だ。
この「キロスとバークの選択では、首脳陣はキロスを優先していたらしい」というポイントはたいへん重要なので、必ず頭に入れておいてもらいたい。
(もちろん、記者ベーカーの推測記事なのだから、「キロス優先」という話自体が間違っている可能性もないわけではない。だが書いたのが、シアトルマリナーズに深いコネクションを持つので有名で、ジャーナリストタイプの記者ベーカーであり、彼が具体的な取材ソースもなしに書くはずはない。必ずチーム内の誰かは、ベーカーに「キロスを連れて行く」旨の発言をしたのは間違いない)

しかし、ロブ・ジョンソンの配偶者の家族に不幸があった関係で、ロブ・ジョンソンはコロラド遠征を途中で欠場することがわかり、連れていくのは、結局バークも含めて3人の捕手になった。

ちなみに、城島骨折DL後、コロラド遠征直前の捕手3人のCERAは、ロブ・ジョンソンとバークが約2点前後で、キロスひとりが4.33と大きく離されている。
ロブ・ジョンソン
5勝3敗 73回自責点15 CERA 1.85 QS7回
バーク
2勝1敗 26回自責点6 CERA 2.08 QS1回
キロス
2勝1敗 27回自責点13 CERA 4.33 QS1回


2009年6月14日、新加入投手バルガスは、「城島コピー捕手」キロスが出したサイン通り投げ、打たれまくったことを心から後悔した。(2)
に続く。






damejima at 11:42

June 15, 2009

よくよくシアトルはついてない。
まさか城島とセクソンがゴーストとしてチームに復活するとは思わなかった。


ようやく多少アウトラインができつつあったかにみえたモロい「シアトルの守り勝つ野球の形」は、海岸に作った砂の塔が高波にスイープされるかのように、自分からあっさり手放してしまった。
第3戦の9回表最終バッターになったベタンコートが初球をあっさりダブルプレーになったように、このチームのプレーヤーは「すぐに気が抜けてしまう安物のコーラ」のような「炭酸プレーヤー」が多すぎる。
Seattle vs. Colorado - June 14, 2009 | MLB.com: Gameday


謎解きを先に言えば、キロスは、平凡な打撃だけが売り物の大味な「城島型のコピー捕手」であり、またグリフィーは「四球と、たまに打つマグレのヒットしか期待できないセクソンのコピーのような、クリンアップのバッター」である。城島とキロス、セクソンとグリフィーのデータを比べてみるとわかる。
大量に失点しつつ、打線としては沈黙する、かつての最下位マリナーズの典型的ゲーム運びが、残念ながら、ロブ・ジョンソンのいないところで密かに復活ののろしをあげているのである。
イチロー、ブラニヤン、先発の3本柱とロブ・ジョンソン、このあたりを中心にいくらか上昇の気配をみせた中で、「城島・セクソンのゴースト」が先発ラインアップにこっそりと種をまかれ、葉を出し、復活しようとしている。インターリーグの見通しは暗い。



頼みのロブ・ジョンソンは、ようやく復帰で当然期待したが、配偶者のご家族の交通事故死とかで1ゲームだけで残念ながら再度メンバーからはずれてしまった。(このあたりもやや因縁めいている)コロラド第2戦では、ロペスの2ランで3-3に追いついた流れをロウのエラーとフィルダーズチョイスで潰してしまった。なにせ気分屋が多いシアトルはこれですっかりやる気を無くしてしまい、第3戦を待たずにほぼスイープが決定してしまった。これでも第2戦でミスしまくったロウはデータ上だけは自責点0なのだから、本当に始末が悪い。
第3戦は、ある意味、現状では「城島のコピー捕手」である単調な組み立ての捕手キロスが、これも単調なピッチングの投手バルガスと組んだ最悪のバッテリー。コロラドのデーゲーム・ラインアップにいいように打たれて7失点し、またもや借金を3つにしてしまった。
2009年6月6日、キロスの単調なリードを予測する。
2009年6月9日、バークは不可解にも4月29日LAA戦以上の単調なゲームを再現した。



シアトルは、3連勝できないチームだ。
だから借金をひとつ減らすのに、1カード3ゲームかかる。3つ減らすには、3カード9ゲームもかかり、時間にして約2週間が必要だ。もちろん、借金を減らした後で負けてもいけない。
そのことを考えれば、コロラドで1勝だけでもしておけばまったく違うわけだから、第3戦の先発捕手はキロスではなく、なぜバークを続けて捕手に使わないのか。
前のカードの終了時に地元紙シアトルタイムズのベーカーの推定記事として、「コロラド遠征ではバークを帯同しない(つまり意味としては、ロブ・ジョンソン、キロスだけを帯同させる)」という指摘があったが、なぜそんなことをするのか、まったく意味がわからないと思っていた。
デーゲームは控え捕手で、とか悠長な言っている場合ではない。キャリアCERA5点台のキロスと、城島DL後CERA2点台のバークとの対比なら、まったくバークのほうがマシだろうに。(実際にはロブ・ジョンソンの義理の母の事故の件がチーム側にわかっていたせいなのか、バークはコロラドに行ったわけだが)
ジャーナリストタイプのスポーツ記者ベーカーだから、推定するからには何か取材ソースがあってのことだろう。チーム首脳陣に「バークよりキロスのほうがマシ」などという判断があるとしたら、その判断には首を傾げざるを得ない。
2009年6月11日、城島DLからわずか2週間、4カード連続勝ち越しでついに勝率5割、2位に浮上した。(城島DL後の全成績・捕手別データつき)


キロス、というキャッチャーについてはこれまでも何度か触れている。
キャリアCERAが5点台中盤とディフェンス面ではとっくに失格プレーヤーで、だからこそ、あちこちの球団を転々としているプレーヤーであり、、よほどオフェンス面がよくないことには使えないのが特徴であることがだんだんわかってきた。
キロスは「出たら、人並み以上に打ってくれるのでなければ使う意味がない捕手」、別の言い方をすれば、、「打撃は他の捕手に比べて少しだけマシな程度であって、大量失点は覚悟しないといけない欠陥のある捕手」であって、NYYのポサダやコネ捕手城島と同じ、雑で大味なタイプなのである。
Guillermo Quiroz Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN
2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。
2009年6月6日、キロスの単調なリードを予測する。



最近よく、メジャー最低貧打のシアトル打線の改善策として、「打撃の多少マシな城島に早く復帰してもらいたい」などと、馬鹿馬鹿しい意見を見るが、とんでもない話だ。
現状キロスは、数字上明らかに、既に「城島のコピー捕手」なわけで、ただでさえ得点力のないシアトルはこんな捕手がチームに2人もいたら大量失点の連続で、いとも簡単に崩壊してしまう。
もしかして、そのへんのキャッチャーの能力の良し悪しの判断についてそもそもチームの首脳陣がわかってないとしたら、それはヤバすぎる。裏口入学のコネ捕手城島は、「投手のリード、ゲームの組み立てに強引に介入して混乱を招きやすクセに、コミュニケーション能力のないために対立とイライラを投手に与え続ける異常なキャッチャー」であって、メジャー他球団の普通の意味のキャッチャーではない。
今日のゲームでもわかるように、大きくリードを許したゲームで、城島本人、または、「城島コピー捕手」が1ゲームに1本や2本のシングルを打とうが、打たまいが、チームは負ける。
そんな.280や.250で7点も8点も失う捕手など使うより、失点そのものを減らさないと意味がない。
城島も、「城島のコピー捕手」キロスも、シアトルでは起用する意味がない。


城島・キロス比較(2009年シーズンデータ)
城島とキロスなら、打率のいいキロスを使うほうがずっとマシ。
キロス
打率.286 CERA 5.00
城島
打率.259 CERA 4.89


どうもワカマツは監督としての経験不足のせいなのかどうか、選手起用はまだまだゆるいように感じるし、インターリーグへの対処もどうかと思う。

例えばイチローの前の8、9番打者が走者として出れば、イチロー、ブラニヤンが走者を帰す「裏クリンアップ」になるという特殊事情にあるのは、今年に限らずシアトルの打線では毎年起きる現象で、シアトルの常識だ。9番に昔ならベタンコートを入れていたのは、そういう意味だ。
だが、ワカマツは、9番は一番打てない選手とかいう常識にとらわれているのか、インターリーグの打順9番に投手を置き続けている。

またライト側はスコアボードがあってホームランにはなりにくいクアーズ・フィールドで、ワカマツはレフトをグリフィーに守らせ、また捕手キロスに左バッターのアウトコースを攻め、右バッターのインコースを攻めさせたりするのは、まったくもって見当違いだと思う。
ここは明らかに、ライトのイチローの堅守を信頼して、ライトに打たせるような配球にすべきなのに、それをしないのはなぜなのか。

もちろん、四球を選ぶ能力しかないグリフィーが明らかに「打率は低いが四球だけ選ぶセクソンのコピーになっている」ことは明らかなのに、5番で起用しつづけていることも意味不明。6番か7番で十分だろう。


チーム首脳やプレーヤーがゲームをどう見て、選手をどう評価するのかという「モノを見る目」のあやふやさ、間違い、目指すものの不一致が、城島、キロス、グリフィー以下のプレーヤーのダメな成績を容認し、チームをぬるま湯にして、築きかけていた「守り勝つ野球」をあっさり手放す一因になっている。
キロスというプレーヤー自体は、どうでもいい。
問題なのは、今後、ロブ・ジョンソンの偉業ともいえる2点台のERAを否定するような意味の行動(例えば、あまりに打てないからといって、正捕手城島、控え捕手をキロスにするようなこと)があれば、このチームは間違いなく最下位行きだ。

まったくこのチーム、どれだけ野球や合理的なモノの見方をわからない人がやっているチームだろうと思うことは多い。「ダメなものをスッパリ切る」、そのくらいの簡単な合理性が、メジャーの球団にしてはあまりにもできない。マリナーズという球団はあまりにも合理性が無さ過ぎて、まるでメジャーっぽくない。


城島DL以降の捕手成績比較(1)
(コロラド遠征前)
ロブ・ジョンソン
5勝3敗 73回自責点15 CERA 1.85 QS7回
バーク
2勝1敗 26回自責点6 CERA 2.08 QS1回
キロス
2勝1敗 27回自責点13 CERA 4.39 QS1回

城島DL以降の捕手成績比較(2)
(コロラド遠征後)
ロブ・ジョンソン
5勝4敗 79回自責点19 CERA 2.16 QS7回
バーク
2勝2敗 35回自責点9 CERA 2.31 QS1回
キロス
2勝2敗 36回自責点20 CERA 5.00 QS1回



バルガスの登板 捕手別比較
ロブ・ジョンソン
5/29 LAA 5-2 WIN
2009年5月29日、ロブ・ジョンソン、バルガスを6回1/3QS、ホワイトを2試合連続ホールドに導いてLAA撃破、連勝を果たす。
6/3 BAL 3-2 WIN
2009年6月3日、ロブ・ジョンソン強肩披露、6回2死2、3塁、9回無死1塁でランナーを刺し、サヨナラ勝ちに導く。(バルガスの捕手別ERA付き)

バーク
6/9 BAL 3-1 LOSE
2009年6月9日、バークは不可解にも4月29日LAA戦以上の単調なゲームを再現した。

キロス
6/14 COL 7-1 LOSE
2009年6月14日、城島・セクソンがゴーストとして復活したシアトルは、コロラドでスイープされた。






damejima at 10:39

June 07, 2009

土曜というのにデーゲームでロブ・ジョンソンでなくキロスというので、すっかり気が抜けている。記事も気が抜けたまま書く。今日はかなり適当。まぁ、ゲームを見ながらタラタラ書く。

このキロスという捕手は初めてゲームを見たとき以来、どうも単調さばかりが目についてしかたがない。マウンドのウオッシュバーンとサインがあわずに、もう3度くらいマウンドに行っている。今日はウオッシュバーンはQSできそうにない。

2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。

このあいだ大炎上したゲームで書いたことは、「ランナーを出した直後の初球にストレートでストライクをとりにいったところを連続的に狙われ続けているのに、何を狙われてヒットされ続けているのか気がつかない」という点。

今日はその点は入り(はいり)の球種をバラつかせるようになって多少はマシにはなったが、それでもストライクで入りたがる部分は強い。
2回のハリスのシングル
3回のカシーヤのシングル
4回のクリーディのシングル
どれも、イニング初球や、ランナーが出た直後の初球、四球後の初球、そういうキリのいい場面に、必ずといっていいほどストライクを投げ込んでくることはバッター側がわかっている。そこを狙い打たれている。

要は、もしバッター側に立って言うなら、キロスがキャッチャーのときには「とにも、かくにも、早いカウントで打て。で、ランナーが出たらアウトコースのストレート系1本」と、もし自分が監督なら、そう言う。、

例えば、3回の満塁でのモーノーの初球だが、彼はボールになるスライダーを空振りしてくれたのだが、明らかに初球を狙っていた。スイングのタイミングも、スライダーというよりカッターでも振るようなタイミングでスイングしてくる。やはり、こういう部分はメジャーのスカウティングは早いね。明らかなクセは見逃してくれない。
たまたまモーノーは打ち取られてくれたが、モーノーの狙いはかなり初球、しかもストレート系に集中していた。ボールになるスライダーではなく、もし高めか、内側のストレートだったら大きいのを打たれていたと思う。

とか、書いている間に、レドモンドにタイムリーを打たれた。これだからな。

いくつか特徴をあげれば
・カウントが悪くなると、ストレート系を真ん中に投げさせる
・イニングの初球、ランナーが出た後の初球はストライク
・ランナーが出たらアウトロー一辺倒
こんなところか。前回も書いたが、城島そっくりな部分が多い。

5回先頭には珍しくスプリッターから入った。さすがにイニングに入る球を変えてきたのである。だが、まぁ、ストライクから入るクセはあるようだ。
強打者マウアーは結局インコースのスライダーで仕留めた。城島のゲームを見ているとわかるが、左対左の対戦で、インコースにえぐるスライダーを投げ込むようなことはまず少ない。投げるならアウトローだ。この点では、キロスはまだ城島よりはマシなようだ。
だが、インコースにえぐるスライダーなんていうマネも、ランナーがいないからできるだけのことで、キロスに、ランナーズ・オンで、この芸当ができるとは到底思えない。

おお。イチロー、さすがのタイムリー。同点である。
クロスゲームでの2アウトからのRBIだから、非常に価値がある。

7回表は前の打席でストレート系を狙っているのが明らかなモーノーからの打順。案の定、2球目真ん中高めをセンターの一番深いところまでもってきた。アウトにはなったが、コースといい、調子落ちしてきていないモーノーならスタンドインだったろう。あぶない球だった。いまの得点力のないシアトルでは1点でも失点はきつい。
モーノーにストレート系を大飛球打たれて、ヒヤリとしたのだろう、さすがに次のカダイヤーには変化球ばかり投げている。で、スプリッターをすくいあげられてシングル。世話がない。

なんとか96球で6回が終わった。なんとかQSというわけだ。やれやれ。

シアトルの投手陣というのは、概してストレート系を投げたい投手が揃っている。だからこそ、真っ直ぐ系の球をどう使うか、打者に狙われないですますか、は、シアトルの捕手に求められる重要な課題のひとつだ。
城島を見ていると何年たっても、そこらへんの課題がきちんと整理されたり、相手チームのスカウティングを乗り越えられたりしてない。いつまでたっても同じミスをしては打たれ、投手とギクシャクし、同じことの繰り返しを見せられて、うんざりする。

おやおや・・GameDayこわれやがった。

またもやロペスのエラーからピンチだが、マウアーが討ち取られてくれた。彼をうちとれているひとつの理由は、ストライクから入らないことのような気がする。
イチローなどを攻めるときのオークランドなども、たまにこの「わざと2つボール投げておいてから勝負する」なんてことをやる。打率のいい打者は打つことを優先してくるから、けっこう効くわけだ。

モーノーからの8回。全球スライダー。これは素晴らしい。彼は変化球にいまタイミングあってないからね。ストレートを捨てて勝負したね。ベンチで誰かメモでもとってんな。

9回2アウトからパスボール。内野安打で1,3塁。いかんですな。こういうの。

やれやれ。何とか勝ったが、あの緊迫した時点でサインミスっぽいパスボールとはね。どうもサインが投手ときちんと確認できてないんじゃないか。そんな感じ。疲れるゲームだった。

ただまぁ、ゲーム後半に配球の単調さは多少改善されてたのが収穫。
Minnesota vs. Seattle - June 6, 2009 | MLB.com: Gameday



damejima at 06:17

June 01, 2009

まだ試合は終わっていない(8回)のだが、現在臨時に控え捕手になったキロスという捕手の過去の成績を初めて眺めてみた。いろいろなチームを渡り歩きながら、結局、通算CERAでは5.51と、ちょっと酷い数字が残っている。
大きなピンチの場面を見るまでは、ソツなくこなしているようにみえるので「なぜ5.51なんだ?」と疑問がわくのだが、6回を見たとたんに「あぁ、だから5.51なんだな」と、過去のひどいCERAに納得がいく、そういうキャッチャーである。城島ソックリの大炎上ぶりだからだ。
キロスなどではなく、クレメントをなぜ捕手として上げてやらないのか。

まとめた結論を先にいうと、ピンチになると頭の中が真っ白になる城島のようなタイプの捕手であり、別人のようにリードがひどく単調になってしまう。だから正直、今後のキロスにはあまり期待していない。結局この捕手については第一印象だけを書いておく。
Guillermo Quiroz Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

5回までの「高低」の個性的な攻め
オルソンはなかなか好投していた。
オルソンはストレート・スピードがたった90マイルくらいしかなく、球が概して高い。球威があるタイプではない。
にもかかわらず、オルソン=キロスのバッテリーはその「高い球」をかえって武器にして、立ち上がりから「高低」に投げ分けることで打者をかわしていった。変化球も、曲がりの大きい球を使いたがる。「高低の落差」を見せたいからだ。
この「高低」をピッチングの組み立てのベースにする捕手というのは、ここ数年のシアトルの捕手にないタイプだけに、なかなか面白くゲームを見ていることができた。
ただ、課題は、分析力の異常に高いLAAの打線に、球筋を2巡目以降に見切られてどうなるか、という点だった。
それに調子のいいときのボールを受けるくらいは、どんな捕手にだってできる。問題はランナーを出した後の対処だ。

6回裏の単調さ
まぁ、理屈より、画像を見てもらったほうが早い。

初球にストレートでストライクをとりにいったところを、完全に狙い打ちされていることがわかるだろう。以前、LAAの打撃の特徴を「ゲーム中に投手の投球パターンを分析して対応してくるところ」と言ったはずだ。今日もゲーム中にソーシアがしきりにメモをとっていた。
だから打順が進んでも投手が同じ投球パターンの攻めを単調に繰り返すことは、LAA戦に限っては許されないのである。
裏口入学捕手城島が、LAA戦で常に失敗を繰り返すのも、この点であることは何度も言ってきたことだが、キロスの場合も城島と似ている面がある。

初球のストレートが狙い打ちされていることに、いつまでたっても気がつかない」ようではダメである。

投手がオルソンからバティスタに変わった直後の、長打力のあるリベラへの第1球を見てほしい。変わったバティスタにも、初球にストレートでストライクを投げさせている。
たまたまリベラが手を出さなかったからいいものの、これではいけないのである。

まだ1試合しかゲームを見ていないが、キロスの今後は必ずしも安心なものとはいえない。


2009年5月31日 6回 フィギンズ シングルフィギンズ シングル
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 アブレイユ シングルアブレイユ シングル
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 ゲレーロ 犠牲フライゲレーロ 犠牲フライ
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 ハンター 2ランハンター 2ラン
初球打ち ストレート

ここで投手バティスタに交代

2009年5月31日 6回 リベラ 2ベースリベラ 2塁打
初球ストレート



damejima at 07:09

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