2009年真夏の奇怪な「自軍投手による捕手決めシステム」

2009年8月、フィスター、ローランドスミス、2人のタコマ出身ローテ投手の存在は、ウオッシュバーンのトレードがもともと不要だったことの証明。「2009年2度目の城島の暗黒月間」を放置した「7月の裏ローテ投手固定」は、シアトルのチームマネジメントの「大失態」。

August 25, 2009

いまシアトルで好調な先発投手といえば、サイ・ヤング賞を狙ってはいるが多少不調の続くヘルナンデスよりもむしろ、フィスターローランドスミスの名前をあげるシアトルファンも多いかもしれない。

だが彼ら2人はトレードで得たわけではなく、タコマ生え抜きの投手たちだ。そんな当たり前のことを誰も彼も忘れて、2009年シーズンに絶望してモノを語っている。
それが気にくわないし、馬鹿だなと思う。



シアトルのマイナー出身の彼らが「使える」ならば、だ。
ウオッシュバーンをトレードしてまで、投手陣を根こそぎいじる必要など、まるでなかった、ということだ。

無駄なトレードごっこなどせず、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード、フィスター、ローランドスミス。この5人でもどうにか戦えたかもしれないのだ。(もちろんベダードの故障については、フォローの必要が後から生じただろう。)



だが、「城島の負け確定の裏ローテ」といわれた7月には、オルソン・バルガスあたりのローテ4番手5番手の投手と、城島のバッテリーのカードが、いくらチームの貯金を食いつぶし続けようとも、フィスターのようなシアトル生え抜きの若手投手たちに表舞台に出てくるチャンスは与えられなかった。

なぜか。
もちろん彼らのマイナーでの先発投手としての調整に多少時間がかかったこともあるだろうが、それよりなにより、「城島問題」の存在と「城島問題」を甘くみたシアトルというチーム、そしてこのチームに昔から特有の「若手をきちんと試そうとしない体質」に原因の大半がある。
この2009年7月の選手マネジメントの「大失態」は、今年のワイルドカード争い脱落と、ウオッシュバーンの無駄なトレードに対し、大きな責任がある。




7月にロブ・ジョンソン先発ゲームがいったいいくつ勝ったか。おわかりだろうか?
11勝3敗で、8つもの貯金をしている。

ならば、その7月にチームの貯金は2ケタになったか?
いやいや。そんなことにはならなかった。

なぜか。

城島の先発ゲームで、この2009年7月に3勝8敗と、5月の城島同様に大きく負け越して、ロブ・ジョンソンの先発ゲームの貯金のほとんどを食いつぶし続けたからだ。酷いことをするものだ。
あやうく2度目の5月度月間20敗になりかけた今年5月の正捕手城島の大失態はひどく人目についたが、この「7月の控え捕手城島の大失態」はあまり目につかなかった。
なぜなら、チームがウオッシュバーンの好調さやロブ・ジョンソン先発ゲームの勝ち星の多さによって支えられ続けていたため、城島の大失態と連敗ぶりが目立たなかった、ただそれだけである。

10をこえていたはずのチームの貯金は、裏ローテの城島の先発ゲームが、あたかもキャベツの葉に群がる害虫のように食いつぶした。


それほどまでしてシアトルが「裏ローテの投手・捕手のマッチングの固定」にこだわり抜かなければならなかった理由など、「先発ビッグスリーに嫌われぬいたことが判明した城島を、5試合のうち2試合キャッチャーとしてゲームに先発させ続けることに、なんとか口実を与えるため」、それ以外、ブログ主は何も思いつかない。



このワイルドカード争いに重要だった7月にシアトルがやったこと、といえば、「ローテ投手を5人のうち3人はロブ・ジョンソン、2人は城島に配分」などという、「大馬鹿すぎる2人捕手制」だ。

こんな意味不明のシステムがどこにある。

きっちりとロブ・ジョンソンを正捕手に腰をすえさせる一方で、うだつの上がらないことがわかっているオルソンや、バルガスにこだらわってばかりいるのではなく、「自前の」マイナーの投手をいろいろと試していれば、「ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード、フィスター、ローランドスミス」という組み合わせ(または故障がちのベダードのところに嵌める投手だけの獲得程度のトレード)に、そう時間をかけずに辿り着けていたかもしれないのである。
城島を先発させるために、先発のビッグ・スリー以外の負けてばかりいる4番手5番手投手をわざと固定し続けて、いかにも「城島と相性のいい投手もいるんですよ」みたいなフリをさせておく必要があったのかもしれないが、そんな不合理なやり方は野球でもなんでもない。
そんなことで眠っている人材を発掘できるわけがない。




2009年夏、シアトルのローテは、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードとロブ・ジョンソンの組み合わせでなんの問題もなかった。
問題があったのは「4番手、5番手のローテ投手と、城島先発時の勝率の低さ」だった。そんなこと、わかりきっている。
わかりきっているのに、手をこまねいて城島と裏ローテが負け続けるのを放置したことで、マイナー投手の発掘が後手に回った。

城島など、バッティングの調整とでも名目をつけて無理にでもマイナー送りにするか、強制DLか、ベンチに座らせておくかしつつ、フィスターなり、ローランドスミスなり、ほかの誰でも、どんどん試せばよかったのだ。
ウオッシュバーンのトレードを急ぐ必要などなく、うまくいっていたビッグスリーを無理に解体してまでローテ投手の陣容をいじる必要もなかった。チーム勝率も、ビッグ・スリーの勝ち星をむざむざ城島に食いつぶさせておくこともなく、チームもワイルドカード争いに残れていた可能性がある。もちろんクレメントのトレードも必要ない。


自前のマイナーの投手のテストもきちんとやらずに、4番手5番手の投手の獲得を名目にウオッシュバーンやクレメントをトレードしてまでして、結果的にローテ投手の大半が入れ替わってしまうほど、いじくり倒して、キャッチャーとのコミュニケーションやマッチングもめちゃくちゃにし、ローテ投手全体のレベルも大きく低下させ、ワイルドカード争いからの脱落を招いたのは、明らかに、「城島問題」の存在を甘く見たチーム・マネジメント側の「大失態」にほかならない。






damejima at 07:00

Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
記事検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month