『ドルフィン』 by ウオッシュバーン&ロブ・ジョンソン

メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(4)「低め」とかいう迷信 研究例:カーブを有効にする「高めのストレート」
2009年8月20日、シアトル公式サイトのジム・ストリートはロブ・ジョンソンとウオッシュバーンの「フィールドでの再会」をユーモラスに記事にした。
2009年7月11日、ロブ・ジョンソン値千金の決勝2ラン、The Pitchウオッシュバーンは7回QSで6勝目、ついにERA2点台に突入した。(マイケル・ヤングをうちとった「ドルフィン」解説つき)
2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。

October 01, 2009

ここでメジャー流の「見せ球としての高めのストレート」を使った配球論というか、変化球を決め球にするためのストレートの使い方として、ひとつ「カーブを決め球にするために、高めのストレートを投げる」実例を挙げてみよう。

これは、アメリカの有名な野球サイトのHardball Times(The Hardball Times)にあった研究記事だ。

Pitch sequence: High fastball then curveball

記事全文をここに載せるわけにはいかないので、あらましだけを書けば、こういうことらしい。(言葉で書くと難しいが、リンク先にはグラフやアニメーションGIFなどでも説明されている。直接読んだほうがわかりやすいと思う)

「カーブの落差を有効に使いたいなら、低めのストレートではなく、高めのストレートを投げておいてからカーブを投げるほうが有効だ
なぜなら、高めのストレートは、ホームベースに到達する途中まで、軌道がカーブと多少かぶるために、打者の球種の判別を遅らせることができる。
だから、高めのストレートの直後にカーブを投げることによって、カーブだとわかるのが遅れて、落差がより効果になり、打者をうちとれる。」

なお、この記事では、「高めのストレートの後で、カーブ」という使い方をする実在の投手について研究して書いているのであって、なにも空想で書かれているわけではない。



まぁ、仮にこの記事の言うとおりだとして、落差のあるカーブをより有効にするために「高めのストレート」も必要だとしよう。



もし、カーブを決め球にしているシアトルのベダードや、大きなスローカーブである「ドルフィン」を持ち球のひとつにしているウオッシュバーンではないが、この記事で書かれているような「ストレートにはさほど球威はないが、落差のあるカーブを決め球にしている変化球投手」が、「外角低めのストレートに固執する日本人キャッチャー」と組んだ、としたら、どういうことになるか。

例えば「投手の配球としてはたいした意味のない『低めのストレート』を何度も何度も、一杯のコースに投げさせられ」「ストレートをボールにしてしまって、カウントが悪くなった後」でようやく、「低めのストレートとはまったく軌道の違う得意球のカーブ」を打者に投げなければならない。
もしそんなことになれば、打者は一瞬にして「ストレートでない球が来たことを見抜ける」ために、本来彼らの決め球のはずのカーブは、まったくもって台無しになる。

また、投げる球種の順番も、投手がクビを振らない限りは、「カーブを投げてから、決め球のストレートをアウトコース低め」という、投手本来の投げたいのとは逆の順序になってしまい、カーブが決め球どころか、慣れない配球を強要されて、ストレートで押すタイプのピッチャーではない彼らがストレートで勝負させられて、球威のそれほどないストレートを滅多打ちにあうかもしれない。



また、同じように、チェンジアップを決め球のひとつにするバルガスではないが、「配球の一部として、カウントを整えたり見せ球にしたりする意味で、高めのストレートを頻繁に使い、配球全体が他のピッチャーより高めに設定している組み立てで長年トレーニングしてきているアメリカの投手が、「外角低めのストレートに固執する日本人キャッチャー」と組んだら、どうなるか。

低めに決まる変化球を決め球として、それをより効果的にするために、見せ球として内角高めのストレートも混ぜておかなければならないはずが、外角低めのストレートばかり要求されて、打者の目をそらすことができないまま、軌道の全く違うチェンジアップを外角に投げさせられることになる。
投手は決め球を失うばかりか、「自分らしい配球スタイル」そのものがまったく失われて、自滅を繰り返すかもしれない。




メジャーでは、投手が長年の教育とトレーニングから、自分なりのピッチングの全体像をプランし、組み立てる。投手は、長年日本とは異なる「配球論」の基礎を教育され、自分の得意な球種などとてらして、自分なりの配球術をひとりひとり、マトリクス化して組み上げてきているわけだ。
「低めなら、とにかく素晴らしい」「最後は低めのストレート」などという、ワンパターンで、わけのわからない抽象論は、全くなんの役にも立たない。



まして、投げる投手が誰であっても、全員に全く同じ配球、たとえば「外角の低めにストレートを最後に決め球として要求するような単細胞の組み立てのためだけのサイン」を投手に強要するようなことは言語道断。

そんなのは、もはや「キャッチャー」とすら呼べない。


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damejima at 16:35

August 21, 2009

7月末のトレード期限ギリギリになってデトロイトにトレードされたウオッシュバーンが、8月20日のデトロイト対シアトルの対戦で登板することになって、シアトルの公式サイトのジム・ストリートが心温まる記事を書いてくれたので、紹介しておく。


:このゲームの実際の顛末は失笑もののエンディングを迎えることになる。実際のゲームについての記事は既に書いたが、あまりにも記事が長いのと、いい話あまりにも馬鹿らしい話を共存させておくのも気分が悪いので、記事をできるだけ分割してみることにした。
8月20日のデトロイト戦の失笑ものの幕切れについて読みたい人は、こちらの記事を読んでほしい。
2009年8月20日、MLB公式のジム・ストリートはロブ・ジョンソンとウオッシュバーンの対決をユーモラスに記事にした。 →だが無粋なチームの監督さんがスタメンマスクに選んだのは、なぜか城島 →最悪の「サヨナラ負け」(失笑)



イルカ

Johnson to face former batterymate | Mariners.com: News
written by Jim Street

Mariners catcher Rob Johnson said Wednesday that he was looking forward to seeing the "dolphin" from a different angle.
マリナーズのキャッチャー、ロブ・ジョンソンは「ドルフィン」を違った角度から見られる水曜を楽しみにしているという。(中略 ウオッシュバーンがフリッパーと呼んだ球を、ロブ・ジョンソンが「ドルフィン」と呼び変えたことの説明)
Washburn and Johnson meet again on the field on Thursday afternoon in the final game of the three-game series between the Mariners and Tigers.
ウオッシュバーンとジョンソンは、マリナーズとタイガースの3連戦の最終戦のある木曜の午後にフィールドで再会する。

"It will be really fun," Johnson said. "I know what he throws, and he knows I know what he throws, so it's definitely going to be a battle. We're both very competitive.
「すごい楽しみ」とジョンソンは言う。「僕は彼が投げる球を知っているし、彼も僕が彼の球を知っていることはわかってるわけだから、もちろんバトルになるろうね。僕らは2人とも負けず嫌いなんだ。」

"It is going to be awfully weird pitching against them," Washburn said. "It is strange. Just two weeks ago I was a member of that team, and now I have to go out and try to beat them."
「マリナーズ相手に投げるのは恐ろしく変な感じだよ」とウオッシュバーン。「奇妙な感じだよ。たった2週間前には、チームの一員だったのに、今は僕は外部にいて、彼らを負かそうとしているんだからね」(この後の一部略 トレードの経緯など)

"I spent the whole season rooting for every one of those guys to get a hit and do well every time they stepped into the box," Washburn said. "Now, I'm going to have to go out there, knowing every guy's weakness better than any other team. But at the same time, everyone who steps into that batter's box knows exactly what I have to offer on the mound."
「シーズン全体を費やして僕は、彼らが打席に入るときは、ヒットを打って、いい結果を得られるようにいつも応援してきた。」とウオッシュバーンは言う。「でも、今はデトロイトに行かなければならなくなって、シアトルの打者がどんな弱点をもってるか、ほかのどのチームよりもよく知っている。でも同時に、打席に入るシアトルの誰もが、マウンドの僕がどんな球を投げるのか、正確にわかってるわけだね」

Washburn said the transition from being a Mariner to a Tiger has been a challenge.
ウオッシュバーンはタイガースからマリナーズへの移籍はひとつのチャレンジになっている、という。
"I guess I probably am not totally adjusted," Washburn said. "It will help when the Mariners leave town, I suppose."
「思うに、僕はたぶんまだ十分適応できたとはいえないと思う」とウオッシュバーンは言う。「マリナーズがデトロイトを去るにあたってヘルプになるとしたら、そこだと思うね」
ブログ注:ここでウオッシュバーンが「まだ自分がデトロイトに適応しきってない」と言っているのは、明らかにデトロイトのキャッチャー、レアードとのバッテリーの呼吸のことだろう。つまり、だからこそ、シアトル時代のロブ・ジョンソンとのバッテリーのように、十二分に力を出せるかどうかまだ確信はない、と言っているわけだ。

Asked who he is looking forward the most to face, he paused for a few seconds and said: "Rob Johnson. I just love that kid. Having had a better view of any of my pitches than anyone on that team, there will be absolutely no surprises for him."
彼に誰と対戦したい?と尋ねると、ウオッシュバーンは数秒おいて、こう答えた「ロブ・ジョンソンだね。僕はとにかくあの小僧っ子が気にいってたからさ。チームの誰よりも、僕の投球をしっかり見守り続けてくれた。彼がそういうことをすることには、なんの驚きもないけどね、そういう子だし。」

On that day in Arlington when Washburn bid his former teammates adieu, Johnson had one request.
アーリントン・パークでウオッシュバーンが前のチームメイトとお別れをした日に、ジョンソンはひとつのリクエストをした。
"He told me I had to throw him a dolphin at least once because he wants to see what it looks like from the batter's box," Washburn said.
「ロブは僕に、打席からどんな風に見えるかどうしても知りたいから、最低1球は『ドルフィン』を投げてくれって言うんだ」

Will he?
投げるつもり?
"We'll see," Washburn quipped.
「試合になればわかるさ(笑)」と、ウオッシュバーンはすかさず言った。

"But if I do and he hits it out, I told him that I would get another ball from the umpire immediately and drill him as he's rounding the bases."
「でも、もし僕がドルフィンを投げて彼がヒットなんか打ちやがったら、僕は彼がベースを一周してるとき、すぐに、アンパイアから別のボールを手に入れて、奴にぶつけてやるけどね(笑)」

ルアー






damejima at 14:27

July 12, 2009

ビューティフル・ゲームだった。


何度も書いてきたことだが、ロブ・ジョンソンのバットは、普段は湿っているが、ここぞというときに突然輝く不思議なプレミアムバットである。
ロブ・ジョンソンのバットでゲームの行方が決まったのは、今シーズン、このブログで数えているところでは、これで4ゲーム目だ。たいしたものである。
ロブ・ジョンソンの2ラン(動画)
Baseball Video Highlights & Clips | TEX@SEA: Johnson's homer gives the Mariners the lead - Video | MLB.com: Multimedia

2009年6月19日、ロブ・ジョンソンは決勝3塁打でサンディエゴでのサヨナラ負けの嫌なムードを振り払った。ウオッシュバーン7回QS。
2009年6月25日、ロブ・ジョンソンは初回満塁で走者一掃の3点タイムリーを打ち、城島のRISPを大きく引き離した。ウオッシュバーン6回QSで4勝目。
2009年7月3日、ロブ・ジョンソン決勝タイムリー含む3本の二塁打(球団タイ記録)3打点など、下位打線の活躍でBOSに競り勝った。ヘルナンデス7回QS、ジャクバスカス2イニングを封じる。

テキサスの先発ミルウッドは、ERA3点台半ばで、ここまで既に8勝している好投手。なかなか点がとれずに苦しんだが、1-1のタイスコアから7回、ロブ・ジョンソンが、カウント1-2からのスライダーが真ん中に甘く入ってきたところを左中間スタンドに価値ある2ランを放り込んだ。
Texas vs. Seattle - July 11, 2009 | MLB.com: Gameday
Johnson takes it out on Rangers | Mariners.com: News


先発のミスター・ドルフィン」こと、ウオッシュバーンは、7月8日の準完全試合に続いての連勝で、6勝目。すばらしいピッチングだった。7月8日の準完全試合がマグレなどではなく、本物の実力だったことを立証してみせた。
"I tried to get through the whole lineup the first time through without using the "Dolphin", " he said. "And I was able to do that, I didn't use it. The second time through, I started mixing in the slow breaking ball a little more and just mixing up pitches a little more."
「打者の一巡目には『ドルフィン』を使わずにすませようとしたんだけど、うまくいったね。使わずに済んだ。二巡目からは遅い変化球を少し混ぜ始めて、ちょっとずつ混ぜていったよ。」
Mariners Blog | Meet Jarrod Washburn's "secret weapon" | Seattle Times Newspaper

なにより、素晴らしかったことは、彼のERAが、3点を切りそうでなかなか切れなかったのが、この日の勝利でついに2.96と、2点台に突入したこと。
おめでとう、ウオッシュバーン。これでア・リーグのERAランキングで、6位からひとつ上がり、5位になった。3位は同僚のフェリックス。

ESPN ア・リーグ 投手ERAランキング
2009年7月11日

ESPN ア・リーグ 投手ERAランキング 2009年7月11日

ウオッシュバーン 2009全登板
Jarrod Washburn Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

2009年7月6日、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリー、「準パーフェクトゲーム」達成!ウオッシュバーン初の「無四球試合」。9回1安打完封。


この日の彼のピッチングの最大のピンチは、5回の2死2、3塁で、打席に、イチローがかつてベタ褒めしたほどの好打者、マイケル・ヤングを迎えた場面。

2009年7月11日 5回2死2,3塁 ヤング セカンドゴロ(画像をクリックすると
拡大できます)

初球 アウトコースへの高速シンカー
(91マイル ストライク カウント0-1)

7月6日のSPIロブ・ジョンソンインタビューを読み返してもらうとわかるが、「コーチ陣の協力を元に、ウオッシュバーンはこれまでの2シームをブラッシュアップして、強力なシンカーに生まれ変わらせた」という意味の記述がある。
2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。

この初球についてウオッシュバーン自身は試合後、こう言っている。技術だけでなく、34歳のベテラン投手としての勘も、この場面で生きた。ウオッシュバーン自身は「ギャンブル」と言ってはいるが、91マイルで曲がる球など、そうそう簡単に打てるものでもない。NYYの王建民投手ばりの効果的な高速シンカーだ。
"I had a feeling he wasn't' going to be swinging first pitch. I gambled right and got ahead first pitch.
彼はなんか初球を振ってこない感じがしたんだよね。僕はまさにギャンブルして、初球を成功させた」
Johnson takes it out on Rangers | Mariners.com: News

2球目 インコースのカーブ
(74マイル ボール カウント1-1)

同じく、試合後のインタビューでウオッシュは2球目以降について、「スピードを変えて、緩急に気をつけた」と言っている。
"I tried to change speeds on him after that and was able to do that. It slowed him down a little bit."
Johnson takes it out on Rangers | Mariners.com: News

初球が外の高速シンカー91マイル(約145キロ)だったから、2球目の71マイル(約114キロ)のスローカーブは16マイル(約25キロ)ものスピードの落差があったことになる。
しかもインコース。何度も言ってきたことだが、ピンチの場面でインコースをつけるのがロブ・ジョンソンの真骨頂。外角低めに逃げてばかりいるコネ捕手さんとは違う。

この2球目のカーブが果たして「ドルフィン」だったかどうかは、インタビューでもウオッシュバーンは答えておらず、残念ながらわからない。

3球目 アウトコースの「ドルフィン」
(70マイル 空振り カウント1-2)


イルカ初球と2球目は「スピード」に差をつけたが、2球目から3球目では、こんどは「コース」に差をつけた。70マイル(約112キロ)と、2球目よりさらに遅いスローカーブ「ドルフィン」がアウトコースやや低めに決まり、マイケル・ヤングのバットが空を切って、マイケル・ヤングを追い込んだ。
このボールも、残念なことに「ドルフィン」だったかどうかはわからないのだが、野球ファンとしては、2球目か3球目のどちらかが「ドルフィン」だったことにしておきたい(笑)
シアトルタイムズのベイカーが、イルカの写真までわざわざ添えて、ヤングへの1-1からのカーブは「ドルフィン」だといっているので、3球目は「ドルフィン」だ(笑)やれやれ(笑)
Mariners Blog | Meet Jarrod Washburn's "secret weapon" | Seattle Times Newspaper

4球目 インハイの4シーム
(90マイル セカンド・ゴロ アウト)

2球目で「スピード」、3球目で「コース」に差をつけて、マイケル・ヤングを追い込んだバッテリーは、4球目に「スピード」と「コース」を同時に変えてきた。
2球目、3球目が70マイルしかないカーブだっただけに、この90マイルのストレートは、いくらマイケル・ヤングとはいえ、たぶん90マイル以上のスピードを感じたことだろう。
右の好打者ヤングが、このチャンスにインコースのボールになる球をあわてて振りにいって、しかも、ひっかけてセカンドゴロを打つのだから、よほど振り遅れていたのは間違いない。


バッテリーの完全勝利。
ビューティフル・ピッチ。

4月9日  8回自責点0 ジョンソン QS 完封勝ち 
4月15日 6回自責点2 城島(4回自責点0 怪我による交代)→ジョンソン(2回自責点2) QS 勝ち
4月21日 7回自責点2 ジョンソン QS 勝ち
4月26日 5回1/3自責点6 バーク
5月2日  7回自責点1 ジョンソン QS
5月7日  7回自責点1 ジョンソン QS
5月13日 6回自責点4 城島
5月18日 5回自責点6 城島
5月26日 6回自責点0 ジョンソン QS
6月1日  7回自責点1 ジョンソン QS
6月6日  6回自責点1 キロス QS
6月12日 6回自責点4 ジョンソン
6月19日 7回自責点2 ジョンソン QS
6月25日 6回自責点2 ジョンソン QS 勝ち
7月1日  7回自責点4 ジョンソン
7月6日  9回自責点0 ジョンソン 準完全試合QS勝ち
7月11日 7回自責点1 ジョンソン QS 勝ち

ジョンソン 88回自責点20 ERA 2.05
バーク   5回1/3自責点6  ERA 10.13
城島    15回自責点10 ERA 6.00
キロス   6回自責点1   ERA 1.50






damejima at 17:42

July 10, 2009

どうせそのうち誰かが訳してくれるだろうと思っていたのだが、なかなか見つからない(苦笑)しかたなく自分で訳すことにした。拙訳の多少の問題点はご容赦してもらう。

イルカ



以下のインタビューでは、月曜の準完全試合について、ロブ・ジョンソンがいろいろと手の内を語ってくれている。
ボルチモアをキリキリ舞いさせたゲームで使った大きく曲がる変化球については、ウオッシュバーンは「フリッパー」と呼び、ロブ・ジョンソンがあらためてそれをひねって「ドルフィン」と言い直して、その球が時間をかけて練り上げられたかなり特別な球であることを明かしている。(調べたところでは、おそらく彼らは1964年にアメリカで放映されたイルカが主人公のテレビドラマ「フリッパー」にちなんで命名・改名しているのではないかと思う。)

ロブが「ドルフィン」の手の内をこうして外部に向かってしゃべれるのも、よほど自信があるからだろう。いまやウオッシュバーンには苦労したおかげで、従来の持ち球のカットボールや2シームに加えて、新しい持ち球の「ドルフィン」、また、それだけでなく、スプリッターなど多彩な球種がある。「別に『ドルフィンのことを喋っても打たれたりはしませんよ』と、自信をもってしゃべっている。

ロブによれば、今シーズンはじめからウオッシュバーンは投球の組み立て、球種について色々と試行錯誤を重ねていたようで、ロブ・ジョンソンもそれについてはなにかと協力していたようだ。
どんなカウントで「ドルフィン」を使えば効果的か、とか、「ドルフィン」の前後に投げる球種は何で、どこに投げるか、とか、ロブ・ジョンソンとウオッシュバーンの間のかなり詳しい打ち合わせぶりがうかがえる。
このあたりの投手とのコラボレーションぶり、クリエイティブな姿勢が、投手陣やスタッフ、メディアが評価する「ロブ・ジョンソンのコミュニケーション能力」の真髄のひとつだろう。


投手も、打者と同様、日々シーズン中でも自分のピッチングに改良を加えたり、新しい球種を覚えたり、クリエイティブな作業を続けている。そうでないとメジャーではすぐに通用しなくなるから、必死だ。
その、大変にめんどくさいが、創造的な作業にロブ・ジョンソンが共同作業者として加わっているからこそ、ウオッシュバーンやベダードのような投手たちがロブ・ジョンソンを「指名」してくるわけだ。
ウオッシュバーンも、もう34歳。この記事のライターも書いているとおり、自分のピッチングを改良できるところは改良して、キャリアを少しでも延ばしてサバイバルしていかなければならない。そのためには、時間をさいてコラボレーションに参加してくれて、クリエイティブなアイデアをくれるキャッチャーをパートナーとして選びたがるのは当たり前の話である。


それは、オヤジがマージャンなどやらない若い投手を無理にマージャンに誘うとか、片言の英語が喋れるとか、そんな低次元の話ではない。


ちなみにfishyは、本来「怪しげな」という、あまりよくない意味のようだが、ここではおそらくライターが、ウオッシュバーンの趣味が釣りであることにひっかけてタイトルをつけたかっただけなのだろうと想像して、単に「謎」と訳しておいた。



There's something fishy about Washburn's one-hitter
ウオッシュバーンの1安打ピッチングの「謎」。


If you thought Jarrod Washburn had the Baltimore Orioles fishing for answers Monday night, there was good reason.
もし、月曜の夜にボルチモア・オリオールズが探している答え(=なぜほぼ完璧に抑えられてしまったのかという問いに対する答え〜ブログ補足)をウオッシュバーンが持っていると考えるなら、それは適切な判断だ。

Washburn has found increasing confidence in a looping curve ball he calls "flipper." So catcher Rob Johnson renamed it "The Dolphin." And the pitch proved to be quite a catch, along with the rest of the veteran's arsenal, during a one-hit gem Monday that resulted in a 5-0 victory for the surging Seattle Mariners.
ウオッシュバーンは、彼が「フリッパー」と呼ぶ大きく曲がるカーブで自信を増した。キャッチャーのロブ・ジョンソンは、そのカーブを改めて「ドルフィン」と名付け直した。「ドルフィン」は、勢いを増しつつあるシアトル・マリナーズに月曜の1安打での5-0の勝利をもたらしたことで、ベテラン投手ウオッシュバーンにとっては、他に彼がストックしている勝負球と同じくらい、けた外れに大きな収穫であることが判明した。

The fishy offering was so effective that Johnson called only one change-up, going instead with the Dolphin to keep Baltimore batters off-balance on a night when Washburn was also spotting his fastball with extreme effectiveness on both sides of the plate.
その謎の試みは、試してみてとても効果があったため、ジョンソンはチェンジアップをたった一度しか要求せず、かわりに「ドルフィン」を使ってボルチモアの打者たちのバランスを崩させたままにさせた。そうなると、ウオッシュバーンが打者のきわどい両サイドをつく速球も非常に効果的になった。

(中略)

At 34, Washburn seems to have discovered new life. He certainly has discovered new pitches. Mechanical adjustments suggested in spring training by new pitching coach Rick Adair and bullpen coach John Wetteland have turned his two-seam fastball into an effective sinker.
34歳のウオッシュバーンは、どうやら新しい投手生命を見つけたようだ。彼は確かに新しい持ち球を発掘したのだ。新しいピッチングコーチのリック・アダイヤーと、ブルペンコーチのジョン・ウェッターランドがスプリングトレーニングで投球メカニズムの微調整について助言したことで、彼の2シームは効果的なシンカーに変貌を遂げた。

He says his curve has become better as well. And just on the last road trip, he started toying more with a little cutter to the outside corner.
彼はカーブも前よりよくなっていると言う。彼は遠征のさなかに、外角のコーナーに決まる小さなカットボールをどうにかしようと漠然と考えはじめていた。

Johnson said the curve, or Dolphin as he prefers, has become such a weapon that on Monday it replaced Washburn's change, which he normally throws 15-20 times a game, as his pitch to keep the Orioles from sitting on his fastball.
ジョンソンがいうところの「ドルフィン」は、彼ジョンソンにいわせると、ボルチモアの打者がウオッシュの速球を狙い打ちしてくるのをかわす球として、通常1ゲームあたり15球から20球の範囲でウオッシュバーンが投げるチェンジアップに代わる武器になった、という。

"It was just one of those things where they came out swinging pretty good and his command of the fastball was so good they couldn't really touch it," Johnson said. "And we were using the Dolphin to slow 'em down."
「『ドルフィン』は、打者が振りに来ているとき、とても有効な球のひとつなんだ。彼は速球のコントロールもとてもよかったんで、打者はかすりもしなかったね。」とジョンソン。「僕らは『ドルフィン』を、打者の打ち気を削ぐのに使ったんだ。」

So what exactly is this fishy pitch?
で、この謎の球は、正確にはどんな球?

"It comes out of his hand and he feels like he's going to throw it over the net," Johnson said. "He developed it early on this year after a couple games, then we started throwing it and throwing it.
「ウオッシュが自分で発明したわけなんだけど、彼にいわせると『バックネットを越えるように投げているような感覚』みたいね。ドルフィンは今年はじめに何ゲームかが終わった時点で開発してたんだけど、それから僕らはじゃんじゃん投げてるよ。」

"I'm telling him what I think about the pitch and he started to really trust it. Man, now we're starting to use it with two strikes. It was a pitch we used to get back into the count with because you don't want to swing at a pitch that is coming up at your head and dropping down at 65 or 70 mph.
「僕が彼のピッチングについて思ってることを言うようにしてから、彼は本当に信頼してくれはじめたね。今じゃ僕らは2ストライクでも(決め球として〜ブログ補足)使ってる。前はよくカウントを整えるのに使っていた。65マイルから70マイルのスピードで顔に向かってきて、そこから落ちる球を、わざわざ狙い打ちしようとは思わないだろ?」

"There hasn't been one hit off it this year. Not one. Because guys usually don't swing, they pop it straight up and are mad at themselves, or they roll it over or they miss it. So now we're starting to use it with two strikes. It's been an interesting pitch."
「『ドルフィン』は、今年になって一度もヒットにされてない。ただの一度も、だよ。打者はたいていスイングしようとか思わないんだ。ポップフライを打ち上げて腹を立てるかと思うと、のめったり、空振りしたりしてくれる。だから2ストライクのカウントで使うんだ。面白いボールだよ。」

(中略)

But on the flip side, Washburn could be doing a Jamie Moyer-like late career discovery, learning how to change speeds and develop a few new wrinkles that will make him better as he goes. He certainly has better speed than Moyer, only now he's combining the fastball with some difficult off-speed stuff.
しかし一方でウオッシュバーンは、緩急のつけ方を学び、より好投できる新しい球種をいくつか発掘しつつ、(元マリナーズで、ウオッシュバーン同様に軟投派の〜ブログ補足)ジェイミー・モイヤーばりのキャリア晩年の再発掘をなしとげつつあるかもしれない。彼はモイヤーより球は速いわけで、ウオッシュはいまや速球に、なかなかに打ちづらいスピードを殺した球を組み合わせつつあるのである。

"I think he'll tell you this is the best stuff he's ever had in his career," Johnson said. "He's developed the sinker. He's always had a cut fastball, but he's always thrown it into righties and now he's throwing it away from righties.
「彼は、自分のキャリアで投げた球の中で、一番いい球だと言うんじゃないかと思うよ。」とジョンソンは言う。「彼はシンカーを進歩させたんだ。彼には常にカットボールがあるけど、彼はいつもそれを右打者の内角に投げてきた。だけど今は、彼は右打者の遠いサイドにも投げている。」

"He's also got a splitter we throw. And now the Dolphin."
「彼はスプリッターも投げられる。そしていまや『ドルフィン』もあるわけさ。」

It all adds up to make Jarrod Washburn a very interesting pitcher these days. And on Monday night at Safeco, it was nearly perfect.
ウオッシュバーンはとてもユニークなピッチャーになりつつある。月曜の夜のセーフコのゲーム、それはほとんどパーフェクトなものだった。






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