ダグ・フィスター

2012年5月7日、ダグ・フィスター、7回を73球無失点でDLから無事復帰。それにしても深刻な「MLB全体のクローザー不足」。
2012年4月1日、ダグ・フィスター、ヒューストン戦6イニング1失点で、ST負けなしの4勝目。クッキーカッター・スタジアム終焉による、チームカスタマイズ必須時代の到来。
2012年3月18日、ダグ・フィスター、ワシントン戦で3度目の登板。4イニング7奪三振で、今年も順調な仕上がり。
2011年10月6日、フィスター5回1失点の好投で、ALDS Game 5の勝ち投手に。デトロイトがヤンキースを破って、テキサスとのALCS進出!
2011年9月29日、予想通り、9月のア・リーグ月間最優秀投手は、ダグ・フィスター。
2011年9月26日、ダグ・フィスター、クリーブランドを無四球9奪三振で8回完封、11勝目。9月5勝0敗で、月間最優秀投手をたぐり寄せる。
2011年9月16日、ダグ・フィスター8回1失点で9勝目。デトロイト・タイガース、24年ぶり4回目の地区優勝(ア・リーグ中地区では初優勝)。おめでとうダグ・フィスター。
2011年9月11日、ダグ・フィスター、ミネソタを7回零封で移籍後6勝目。ERAはついに3.06に。
2011年9月5日、ダグ・フィスター、ア・リーグ中地区首位決戦のビジター第1戦に先発、キャリアハイの13奪三振で勝利!大一番に強いことを証明。
2011年8月30日、平日のゲームにもかかわらず34,866人の大観衆を集めたコメリカ・パークでダグ・フィスター、6回までパーフェクト。13ものゴロアウトで、7回2/3を投げきる無四球ピッチング。
2011年8月25日、ダグ・フィスター、7回自責点ゼロ、無四球試合達成で移籍後3勝目。リリースポイントの安定した基本球種だけのシンプルなピッチングで、タンパベイ打線を封じる。
2011年8月20日、ダグ・フィスター、ア・リーグ中地区の首位攻防戦で、106球で7回を投げぬきクリーブランドを余裕でかわして移籍後2勝目。
2011年8月4日、デトロイトにトレード後、初登板のダグ・フィスターは、7回QSで4勝目。水面下で進む「ストライクゾーンの密かな改変」は、ホームラン大量生産時代への回帰をはかる懐古主義の流れかもしれない。
2011年8月1日、「ダグ・フィスターはやたらとランナーを出していた」というのはウソ。最もランナーを出さず、ホームランと四球も出さないア・リーグ屈指のピッチャーが、ダグ・フィスター。
2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。
2011年7月7日、球審ジョー・ウエストの一方的な不利判定に泣いたダグ・フィスター。Go Home, Joe West with extreme favoritism.
2011年7月2日、監督エリック・ウェッジは無意味な「左右病」でただでさえ低い得点力をさらに低下させて、いったいどこまでダグ・フィスターに迷惑をかければ気がすむのか。
2011年6月30日、今年上半期の先発投手5人の通知表。「6回2失点」の投手と、「7回3失点」の投手の違い。
2011年5月19日、太陽タイムリーのおかげでシアトルがLAAを連破したサヨナラゲームの記録。
2009年5月18日、シアトルのアンバランスすぎる現状(3) WHIPランキングのベスト5に2人もシアトルの先発投手が入っているにもかかわらず、投手に勝ちがつかず、チームは最下位。
2010年4月20日、2年続けてシアトルの投手のノーヒッターを阻止したニック・マーケイキス。
2010年4月19日、ロブ・ジョンソン、フィスターのバッテリー、6回までノーヒットの超好投で、4月13日の無四球試合にひき続いて連勝。これもひとつの「城島クビ効果」。
2010年4月13日、初回イチローを三振にしたオークランドバッテリーのたいへん美しい配球。持ち球の少ないフィスターに「ストレートのみ」で素晴らしいピッチングを披露させたロブ・ジョンソン。2人のキャッチャーの「素晴らしき配球合戦」。
2009年9月13日、ダブルヘッダー第一試合、フィスター大炎上で城島マスク4連敗。コネ捕手城島はフィスターにサインにクビを振られ過ぎてゲームを遅延させ、怒ったテキサスの観客からブーイングを受けた。
2009年8月27日、「チェンジアップだらけの」フィスターを6回5失点炎上させ、ケリーは「ストレートオンリー」で2ラン被弾させたコネ捕手城島選手の「鮮やか過ぎるお手並み」(爆笑)

May 08, 2012

今シーズン初登板の4月7日ボストン戦で脇腹を痛めてDL入りしていたダグ・フィスターが戦列復帰。古巣シアトルを7回73球、被安打4で抑えて終えた。全く危なげなかった。
Detroit Tigers at Seattle Mariners - May 7, 2012 | MLB.com Classic


今日のフィスターの投球内容は、2シーム41%、カーブとチェンジアップがそれぞれ22%ずつで、合計85%。記録上は大半の球種が変化するボールで、なんとわずか2球しか4シームを投げていない
打者の手元で動く球を多投した結果、ゴロアウト10に対して、フライアウト4と、何度も繰り返し書いてきたように、完全にいつもの「見事なグラウンドボール・ピッチャー」ぶり。
もしシアトルの打者がフィスターに対して、シアトル時代の4シームばかり投げていたイメージで打席に入っていたとしたら、打てるわけもない。

イチローとの対戦では、第1打席に右中間にライナーの二塁打を放ったイチローが、かつでの同僚に貫録を見せたが、これも打ったのは、2シーム


なおゲームは9回裏にリリーフしたオクタビオ・ドーテルがせっかくのゲームをぶち壊して、シアトルがサヨナラ勝ち。なにか、シアトル時代のフィスターを思い出させるようで、笑うに笑えない。
8回裏に登板したセットアッパー、フィル・コークの出来が完璧だっただけに、デトロイト監督ジム・リーランドの「勝ち運の無さ」も、ここまでくると重症だ。
デトロイトが大金はたいてプリンス・フィルダーを獲得しながら、勝率で5割近辺をウロウロしている原因のひとつは、バッティングが多少湿ってきていることもないではないが、それ以上に、勝ち切れないブルペン投手。(マックス・シャーザーは多少よくなってきている)
アレハンドロ・バルベルデといい、ドーテルといい、先発投手の作る勝ちゲームをキープするだけの力が、今のデトロイトのブルペンにはない。

去年ポストシーズンで大失態を続けたバルベルデだが、ERA5.68、被打率.300、WHIP1.82、セーブ率71.4%というスタッツは、とてもとても、コンテンダーのクローザーと呼べる数値ではない
デトロイトがいつになったら、この図体がデカいだけの軟弱なクローザーにこだわるのを止めるのか知らないが、他地区で優勝の可能性の無いチーム(例えば、WHIP1.000のミネソタのマット・キャップスでも、宝の持ち腐れになっているサンディエゴのヒューストン・ストリートでも誰でもいい)から、さっさとクローザーを引っこ抜いて補強したほうが、チーム勝率アップにつながって、誰もが幸せになれるのは間違いない。



MLBのクローザー不足」は、MLB現地記事を読んでいる人ならわかるように、アメリカのスポーツメディアが「優秀なキャッチャーの不足」とともに、最近繰り返し記事にしている話題で、なにもデトロイトだけに限ったことではない。
今シーズン前のストーブリーグで、フィリーズがボストンのクローザー、ジョナサン・パペルボンに、クローザーとしてはありえない大金をはたいたのを見て、「馬鹿なことをするもんだ」と思っていたが、認識を少しは改めるべきかもしれない。(とはいえ、パペルボンのサラリーはやはり高すぎる)

セーブ数の多いクローザー
(セーブ数/登板数、セーブ%)
クリス・ぺレス      CLE  11/14 91.7%
フェルナンド・ロドニー  TBR  9/15 100%
ジョナサン・パペルボン PHI  9/12 100%
クレイグ・キンブレル   ATL  9/11 90%
フランク・フランシスコ   NYM 9/14 88.9%
ジム・ジョンソン      BAL  8/12 100%
ジャビー・グエラ      LAD  8/14 72.7%

クリーブランド、タンパベイ、ボルチモアと、好調チームのクローザーが見事に並んでいる。やはり、信頼できるクローザーがいるチームは確実に勝率をアップできる。
MLB Baseball Best Closers of 2012 - Major League Baseball - ESPN

セーブ数の少ないクローザー
(セーブ数/登板数、セーブ%)
スコット・ダウンズ     LAA 2/11 50%
フランシスコ・コルデロ  TOR 2/11 50%
ラファエル・ドリス     CHC 2/15 66.7%
ヒース・ベル        MIA 3/11 42.9%
ジェイソン・モット     STL  4/11 80.0%
ヒューストン・ストリート  SD  4/10 100%
ヘクター・サンチアゴ   CHW 4/10 66.7%

こちらのリストには、LAAやMIAのように、「下馬評が高かったのに、順位が低いチーム」がズラリと顔を揃えている(笑)


シアトルのブルペンで言うと、既にツイートしたように、スティーブン・デラバーがクローザーとして使える感じがあり、彼のストレートにもう少しコントロールつけばクローザーとして使えそうなので、この夏はブランドン・リーグ高値で売り払う大きなチャンスだと思う。





damejima at 14:26

April 02, 2012

Spring Training in Florida今シーズンのダグ・フィスターは登板するたびに2、3、4と、少しずつイニング数を増やしてきたのだが、4月1日STヒューストン戦で6イニングを投げ、4安打(1ホームラン)で、1失点。
初めて先発投手らしいイニング数を投げたわけだが、ピンチはあっても失点はしないフィスターらしい内容で、いつでも本格的なシーズンインができる状態に近づきつつあるようだ。ちょっと四球が多かったのが気にはなるが、ST通算被打率.192なのだから、内容は十分すぎる。
デトロイトの先発ローテーションは、不動のエース・バーランダーはともかく、去年180イニングちょっと投げたが、ERA4.75と、優勝チームのローテ投手とは思えない数字(苦笑)に終わってしまったリック・ポーセロが、このSTでは17イニング投げてERA1.59と好調な滑り出しなために、バーランダー、フィスター、ポーセロの3本柱で今年はかなり行けそうな感じ。
ただ・・、マックス・シャーザーは、今年もちょっとダメかも(苦笑)
Houston Astros at Detroit Tigers - April 1, 2012 | MLB.com Classic

Major League Baseball Stats | tigers.com: Stats


それにしても、デトロイトはよく打っている。

今日はアストロズ、メッツとの変則ダブルヘッダーで、STだから当然チームの主力を2チームに分けてゲームしているわけだが、それでも11安打、13安打と、2試合で24安打。
打率はもともと高いチームだが、ホームランが出やすくなってきたことがスプリング・トレーニングでの得点力を上げている。大怪我をしてしまった去年の打線の功労者ビクター・マルチネスを欠いているというのに、これだから、これは相当打てる。


ただデトロイトは、本来は、地区優勝するためには投打のバランスが必要なチームだと思う。

2011年デトロイトのチーム打率.277は、ア・リーグ3位。ア・リーグ屈指の「ヒットの打てるチーム」のひとつなわけだが、ホームランは169本で、リーグ平均の162本とほぼ変わらない。
デトロイトより打率が高い2チームは、テキサス、ボストンだが、デトロイトのホームラン数は、この打率トップ2と比べ、30〜40本少ない。二塁打数はボストンがずば抜けている。
テキサス、ボストンの本拠地の狭さを考えると、打率上位3チームの打撃力に、実は、大差はない。(実際、パークファクターで補正したOPS+でみると、ホームランの少ないデトロイトが、ホームランでデトロイトを引き離したテキサス、ヤンキースより上位)
打率上位3チームの打撃スタッツの「見た目の差」は、パークファクターの差が現れたにすぎない。
2011 American League Season Summary - Baseball-Reference.com

だが、野球において、チームの立場で最終的に争うのは、「グロス」であって、「得点の数」や「勝ち負け」だ。
OPSのようなデタラメな数値を、やはり欠陥のあるパークファクターで補正することでOPS+に変換して、いくら「デトロイトには、テキサスやボストンと同程度の得点力が備わっていること」がわかったとしても、ワールドシリーズ優勝を目指すコンテンダーの立場としては、試合に負けてしまっては、それは数字いじりに過ぎず、何の意味もない。
前に書いたように「チームの視点」と「プレーヤーの視点」は大きく異なるわけだが、「チームの視点」から見たとき、「補正」という行為に、実はあまり根本的な価値はない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:指標のデタラメさ(OPS、SLG、パークファクターなど)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年9月3日、チームというマクロ的視点から見たとき、「出塁率」を決定している唯一のファクターは「打率」であり、四球率は無関係、という仮説。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月10日、「パークファクター」という数字の、ある種の「デタラメさ」。


ホームラン数の違いは、どうしてもチームの「見かけの得点数」には影響する。
2011年の得点数上位3チームは、打率が高く長打も多いボストン、打率はリーグ平均以下だがホームランの多さで得点力を補ったヤンキース、ア・リーグ最高打率と長打も豊富な逸材溢れるテキサスで、これら3チームが揃ってシーズン850点以上を叩きだしたが、打率は高いのにホームランは平均レベルの4位デトロイトは787点で、上位3チームと比べると、デトロイトの得点は1段階落ちる。(リーグ平均は723点)
この「見た目の得点数」の差が生じる原因は、繰り返しになるが、チームの打力の本質的な差ではなくて、主として「本拠地の違い」でしかない。


では、デトロイトは、「テキサスやボストンとの、見た目の得点数の差」にどう対処しようとしているのか。今シーズンのデトロイトは、「得点をさらに増やしたい」のか、それとも「失点を減らしたい」のか。
もしデトロイトが得点力をあと10%くらい上げることで、ボストン、テキサスに匹敵する得点数を得ようと思うと、本拠地がヒッターズ・パークではない以上、多少予算に無理してでも、他のコンテンダーを上回る多額の投資が必要になる。つまり、単純化して言うと、他のコンテンダーの主軸打者よりも良い数字を残せるスラッガーへの投資が必要になるわけだ。
まぁ、だからこそデトロイトはプリンス・フィルダーに大金を投じてラインアップに加えたわけだが、これはこれでひとつの選択ではある。
(いちおう断っておくと、ブログ主は、フィルダーのいなかった去年でも結構打てていたデトロイトは、なにより先に、あのふがいないブルペンにもう少し手を加えておかないとダメだと思っている)


あくまでデトロイトは「投打のバランス」を見ていかなければならないチームだ。
本拠地のコメリカパークを大改装して、フェンウェイやアーリントン並みの狭いボールパークにでもしないかぎり、デトロイトは「多少相手に打たれて失点しようとも、長打を打ちまくれる打線を作って、相手よりも多く得点を挙げ、打ち勝てる野球」を目指すわけにはいかない。
投打のバランスの必要なデトロイトは、「打率が低く、しかもホームランも20本前後しか打てないハンパなスラッガー」を大金かけて揃えてズラリと並べるような、雑な野球を目指すことはできないと思う。
(これは他の大半のチームも同じだ。だからこそ、守備もできない低打率のハンパなスラッガーの需要が激減、消滅しつつあることに、日本のメディアは気づいていない。ハンパなスラッガーが、下位チームに徐々に移籍し続けて大金を稼ぎ続けられる安易な時代は、事実終わったし、終わって当然だ)

もし、フィルダーがセンターのだだっ広いコメリカパークで思ったほどホームランを打てず(というか、ソロホームランが20本程度増えようが、チームは思ったほど勝てるようになどならない)、フィスターやポーセロの勝ち星が伸び悩むような事態だと、デトロイトの今シーズンのチームデザインは本来の投打のバランスを欠いて、大コケすることになる。
だからこそ、給料の安いダグ・フィスターが先発に加わって、安いコストでチーム防御率が下げられることの意味は、はかり知れないくらい大きい
(勘違いしてはいけないのは、球場が広いことが、投手有利を意味するとは限らないことだ。広いボールパークなら長打は出にくくなるとは限らない。例えばセンターが広いコメリカパークでは、三塁打が非常にでやすい。だからこそ、コメリカパークで、フライを打たせないグラウンドボール・ピッチャー、ダグ・フィスターが投げることに価値が出てくる。)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月1日、「ダグ・フィスターはやたらとランナーを出していた」というのはウソ。最もランナーを出さず、ホームランと四球も出さないア・リーグ屈指のピッチャーが、ダグ・フィスター。



かつての「クッキーカッター・スタジアム時代」なら、どこのボールパークも、たいして変わらない形状だった。だから、ホーム、ビジター、どこのボールパークに行っても、バッターは同じように能力が発揮できたために、チームごとにデザインをカスタマイズする必要度は、今とは比べようがないくらい、格段に低かった。極端な言い方をすれば、どこのチームにいてもGMは常識的にさえやっていればそれなりに成功できた。
リンク:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「クッキーカッター」という単語を含む記事
だが、今の時代、ボールパークはチームによって特性が大きく異なる。
それだけに、クッキーカッター・スタジアム時代が終焉して以降の野球には、それぞれの本拠地の特性に合ったチームデザインが要求されているわけで、本拠地の形状や、ひいては地元ファンの要求する野球の方向性をも考慮したチームづくりくらい、やって当たり前のはずだが、しかし現実を見れば、MLBのチーム全てがそれを忠実にやってのけているかというと、そんなことはない。
中には、数字に強いフリ、投資手法に通じているフリをして、実際には、そのチームにそぐわない、思いつきみたいな机上のチームデザインを平気でやろうとして、何シーズンにもわたって大失敗し続け、言い訳し続けた挙句に、チームを破壊して首になるジェネラル・マネージャーだって、後を絶たない
セーフコのような広めのボールパークを本拠地にしたチームが「守備だけしかできないプレーヤーに大金を払って、攻撃力をまったく犠牲にしてしまい、大失敗する」だの、その反動でこんどは「たとえチームの基本財産となる投手力が大きく下がるのを黙認してでも、先発投手を放出してバッターを集めまくり、何年もかかる長打増加に必死になる」なんていう、バランスを欠いたチームデザインが、どれほど馬鹿げているか。あえて言葉にするまでもない。


広いボールパークを本拠地にするチームが(または平均的なボールパークでもいいが)ワールドシリーズに勝てるチームデザインを、誰かがきちんと発明・確立しないかぎり、狭いボールパーク優位な時代が続いていくのは、野球ファンとして悲しむべきことだと思うから、デトロイトには頑張ってもらいたい。
(そういう意味では、日本のプロ野球で、本拠地がだだっ広いにもかかわらず2連覇を達成できた中日ドラゴンズのチームデザイン手法の持つ価値は、きちんと論ずべき価値があるが、残念なことに、いつも元監督にして天才打者の落合博満氏に対する個人的な好き嫌いだけに話が矮小化されてしまい、きちんと論じられた試しがない)

damejima at 08:37

March 19, 2012

2イニング、3イニングと徐々に登板イニング数を増やしてきたダグ・フィスターが、フロリダのグレープ・フルーツ・リーグ(Grapefruit League)ワシントン戦で3度目の登板。今シーズンのスプリング・トレーニングで最長となる4イニングを投げ、圧巻の7奪三振で順調さを見せつけた。
Detroit Tigers at Washington Nationals - March 18, 2012 | MLB.com Classic

実戦ではないスプリングトレーニングで打者から逃げ回って四球連発しているようなことでは心もとない。今日のフィスターは37ピッチで32ストライク。1回などは味方内野手のエラーを挟んで、3者三振。いつものようにランナーは出すものの、アグレッシブにナッツのバッターを攻め続けて、また一段とMLBのピッチャーらしい風格が出てきた。
Doug Fister Stats, Video Highlights, Photos, Bio | tigers.com: Team


何度も書いてきたように、フィスターはシアトル時代からもともと「ランナーを出しはするが、失点はほとんどしないタイプ」だから、このピッチャーの良さは「一夜漬けの数字野球にハマったまま抜け出せなくなっている無能なGM」や、「試合を見ず、FIPやWHIPのような指標だけで選手のことを何もかもわかっていると勘違いしている馬鹿な数字オタク」にはわかりっこない。(後になって、後付けで彼がシアトル時代も良かったとか称する数字をほじくり返してくるくらいが関の山だ)

ピッチャーの中にはいろんなタイプがいる。
指標ばかりありがたがる人間が多くなっているわけだが、彼のように、いつもWHIPはダメだが、ピッチャーとしては十分実力のある投手もいる。フィスターは、ランナーは出すものの、だからといって四球連発はしないし、ホームランも打たれない。けしてコントロールが悪いわけでもなく、また、度胸がないわけでも、ランナーが出た後の慎重さがないわけでもない。グラウンドボール・ピッチャーだから、いざとなったらダブルプレーをとる投球術も心得ている。

もしフィスターが、きわどくコーナーを突くピッチングをすることばかりに必死になって、四球を連発した挙句にホームランを浴び、大量失点するような悪いときのデイビッド・アーズマ松坂のようなピッチャーだったら、彼はいま、昨年のメジャーの地区優勝チームの先発マウンドには立ってない。


数字なんか見ていても、ダメなヤツはダメなままだ。
今日のようなゲームで、無能な人間が「シアトル時代に何を見てこの投手を酷評していたのか」がわかる気がする。

damejima at 06:33

October 07, 2011

Game 5までもつれたデトロイトとヤンキースのALDSが終わった。
低めをとらない球審に苦しみつつも、ダグ・フィスターが5回を1失点でしのいで、勝ち投手。
コントロールのいいフィスターだけに、カーブやスライダーなど、低めに決まる球はいくらでもあったが、今日の球審ではまるでとってくれない。こんな不利な状況で、よく5イニングもちこたえた。特に5回の満塁のピンチを、フィスターが2つのポップフライで乗り切った時点で、デトロイトのこのゲームの勝ちが6割方決まった。(デトロイトの監督リーランドは、もう1イニングいけそうなフィスターを下し、シャーザーをリリーフ登板させたかと思うと、早々に降板させ、フラフラ投げて満塁から押し出し四球をやらかしたフィリップ・ベノワをなぜか2イニング目も使ったり、どうもよくわからない投手起用だった)

さぁ次はテキサスとのア・リーグチャンピオン決定シリーズだ。
頑張れ、ダグ・フィスター。
Detroit Tigers at New York Yankees - October 6, 2011 | MLB.com Classic


それにしても、今日の球審Ted Barrettは酷かった。今シーズン見た球審の中でも、5本指に入る。Sam Holbrookを越えた酷さ。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool
まず、とにかく低めをまったくとらない。
それと、左バッター。アウトコースがボール2つ分くらい広く、インコースが狭いために、ゾーン全体が大きくアウトコース側にズレている。

かと思うと、この球審、試合終盤になって、突然デトロイトのピッチャーの投げる低めをとったりしだした。さぞかしヤンキースのバッターはフラストレーションがたまったことだろう。

通常のTed Barrettのストライクゾーン
(Game 5でのゾーンと全く違っていることに注意)
Ted Barrettのストライクゾーン


CCサバシアは、5回から1回1/3投げたが、キャリア初のリリーフ登板だったらしい。1失点してしまい、これが結果的に決勝点になってしまった。フィスターの失点が1点だけだったために、負け投手はヤンキース先発イヴァン・ノヴァだったが、実質的にはサバシアのこの失点が決勝点だから、サバシアにやったことがないリリーフ登板させたヤンキース監督ジョー・ジラルディは、チャンスで三振ばかりしていたアレックス・ロドリゲスとともに、たぶんニューヨークの口うるさいメディアとファンの絶好の餌食になることだろう。
加えてジラルディは、5回の2死2塁のピンチで、ミゲル・カブレラを敬遠し、ビクター・マルチネスと勝負するチョイスをしている。
今シーズンのマルチネスをずっと見守ってきたブログ主の立場からいうと、マルチネスが打席に入る前から「おいおい、ジラルディ。わかってなさすぎる(笑)」と思って見ていたら、案の定、マルチネスは決勝点となるタイムリーを打った。


シアトルから無意味に放出されてデトロイトに移籍後、デトロイトのポストシーズン進出に大きな功績のあったダグ・フィスター、そして、「そのシチュエーションに必要なバッティング」を確実に成功させ続けてきた今シーズンのビクター・マルチネスのバッティング。
今シーズンの力をそのまま発揮できたデトロイトが、見事にヤンキースを打ち破った。



damejima at 12:45

September 30, 2011

2009年にロブ・ジョンソンが、1シーズンに3回、シアトルの投手をア・リーグ月間最優秀投手に押し上げたのをしみじみ思い出す。特にデトロイトに理不尽なトレードをされる直前の、7月に受賞したジャロッド・ウオッシュバーンを。今回の受賞は、ある意味でウオッシュバーンのリベンジでもある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年6月7月9月、2010年6月 月間最優秀投手とロブ・ジョンソン効果


予想通り、9月に一度も負けなかったダグ・フィスターが、9月のア・リーグ月間最優秀投手に選ばれた。9月のERA0.53はもちろんメジャートップクラス。WHIPも0.529と文句のつけようがない。
そして被打率は.127。これは、フィスターと並んで9月のナ・リーグ月間最優秀投手に選ばれた、プエルトリコ出身でフロリダの奪三振王、ハビアー・バスケスと並んで、メジャートップの数値らしい。
また、34三振を奪いつつ、3四球しか与えなかったことで得られたK/BBの数値11.4も驚異的な数値だ。
Tigers right-hander Doug Fister named American League Pitcher of the Month. | MLB.com: News

たとえ1ヶ月の成績であっても、彼は、この地球上にたった2つしかないトップリーグであるア・リーグの投手の頂点に立ったのだ。そうそう簡単に達成できることではない。どんな名投手だってキャリアで何度達成できるかわからない快挙のひとつだ。

(とはいえ、クリフ・リーなどは、2008年にクリーブランドで2度(4月、8月)、2010年テキサスで1度(7月)、2011年フィリーズで2度(6月、8月)と、毎年のように受賞しているわけだが(笑) まぁ、フィスターをクリフ・リーと比べるのは、まだ可哀想だ)

あらためて、心から「おめでとう」と言いたい。
Players of the Month | MLB.com: News

この件に関しては、ただ事実を並べただけのMLB公式サイトを見るより、例えば以下のようなサイトを見るほうが面白い。このリンクはアメリカのCBSのサイトだが、ダグ・フィスターの今回の受賞をCBSのMLB担当者たちの一部がどれほど驚いているかがわかって、非常にオモロイ(笑) 「わかってないねぇ、CBSも(笑)」と、ニヤニヤしながら、思い切り楽しんで読むことができる(笑)

特に、4番目にピックアップしたコメントを、しっかり目に焼き付けておくといい(笑)
フィスターのトレードがWIN-WIN? 何を馬鹿なことを(笑) そんな馬鹿げたコメントは、全米担当の立場にあるためにロクに情報集めもせず書き散らす、時間に余裕の無い情報濃度の薄いメディアのアホが、フィスターの登板をまったく見もせず、成績の中身をまるで吟味もせず、ただシアトル時代のフィスターの勝ち負け程度しか見ずに、しかも、デトロイトでの登板結果が出る前、8月初旬あたりに。単なる思いつきをウェブに書き散らしただけの、ただの与太話(笑) ファーブッシュが今すぐ月間最優秀投手になれるかって? 絶対ありえない(笑) ザマミロ。

ついでに言えば、かつてのクリフ・リーとジャスティン・スモークのトレードもそう。
WIN-WIN? まさかっ(失笑) ありえない。ありえるわけがない(笑) どこをどう間違えると、そういう馬鹿げた与太話になるのか、教えてもらいたい(笑)

no one blinks twice when his name gets slotted behind Verlander at No. 2. in the postseason rotation.

It sounds like a joke, but it's not.

Many pitchers had great months, but Fister's symbolized how great the Tigers' chances to reach the World Series have become.

As long as the Tigers didn't give Seattle a future John Smoltz (they didn't), this is the best trade any contender made.
「タイガースはシアトルに『未来のジョン・スモルツ』 (と言えるような、若くて、将来性と実力のある有望株)を放出したわけでもなんでもないわけで (実際デトロイト側の出した投手をシアトルで登板させてみたら、「未来のスモルツ」でもなんでもなかった)、このトレードは (デトロイトの側が、フィスターという「未来のスモルツ」を得た、という意味で) 優勝候補チームのやったトレードの中で、ベストのトレードだ」
Players of the Month: Beltre, Fister - CBSSports.com


すぐにポストシーズンが始まる。ヤンキースの強力打線との対決がダグ・フィスターを待っているわけだが、できればワールドシリーズまで駆け上がって、かつての師匠であるフィリーズの二枚看板、クリフ・リー、あるいは、大投手ロイ・ハラデイとの投げ合いをぜひ見てみたいものだ。

ポストシーズンも頑張れ。ダグ・フィスター。
GO FISTER GO! DO IT!



damejima at 11:32

September 27, 2011

クリーブランド戦に先発したダグ・フィスターが勝ち投手になるのはとっくにわかりきっているので、ゲーム終了を待たずに「無四球完封」という内容の記事で書いていたら、8回裏にデトロイトがあまりにも点を取りすぎてしまって大差がついてしまい、9回表にフィスターが登場してこなかった(笑)

前の登板で3イニングだけの登板でラッキーな10勝目を挙げていたダグ・フィスターだが、クリーブランドを109球(81ストライク)で散発3安打、無四球9奪三振で8回を無失点に抑えて、まったくあぶなげなく11勝目。
今日のストライク率74.3%はちょっと驚異的。これじゃ、まるでクリフ・リーだ。(笑)
これでERAは、2.83。タンパベイのジェームス・シールズに並んで、ア・リーグERAランキング3位に躍り出た。
2011 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN
これで9月は5勝0敗、自責点わずか2点。他の有力候補が誰かは見てないのだが、9月の月間最優秀投手賞受賞は固いと見た。
Cleveland Indians at Detroit Tigers - September 26, 2011 | MLB.com Classic


今日のフィスターは、なんといってもスライダーのキレが凄まじかったのに加えて、あらゆる球種をコントロールできていたのが素晴らしい。
7回表に、クリーブランドのクリーンアップを3者三振にしたイニングなどは実に圧巻のピッチングで、下に挙げたトラビス・ハフナーの三振などは、ちょっとロイ・ハラデイばりの「4球ピッチ」だった。

2011年9月26日 投手ダグ・フィスター トラビス・ハフナー 三振

初球が、アウトコース低め、コーナーにピタリと決まるカーブ。2球目が、アウトコース一杯のハーフハイトのチェンジアップ。3球目は、インコース一杯のスライダー。そして、最後に内寄りの低め一杯に決まるストレートで、ハフナーはまったく手が出ず、見逃し三振。
カーブチェンジアップスライダー、そして、ストレート。変幻自在のパターンだ。


同じパターンの配球を、8回表の1死2塁、得点圏にランナーを背負った場面から。打者は、エゼキエル・カレーラ

2011年9月26日 投手ダグ・フィスター エゼキエル・カレーラ 三振
外一杯のチェンジアップ、高め一杯のスライダー、ど真ん中のストレート、最後は低め一杯のカーブで、空振り三振。力で押すストレート以外、変化球がどれもこれも一杯に決まっている。
チェンジアップスライダー、そして、ストレートカーブ
上に挙げたハフナーの三振の配球順序と違うのは、ハフナーでは最初にカーブだったが、カレーラには最後にカーブだった、この1点だけ。最初に使ったカーブを、こんどは最後に付け替えたわけだ。
チェンジアップは外いっぱいに「カウントを稼ぐ」。スライダーとカーブは、低めいっぱいに使い、「決め球にも、カウント稼ぎにも使える」。そういった構造材としての変化球で、壁面ともいうべきストレートを効果的に演出して「見せ球」にして、何度もこのブログで書いてきた「4球ピッチング」を遂にモノにしたのがよくわかる。


今のダグ・フィスターなら、基本的に、どの球種でもゾーンぎりぎりに決められるし、どの球種でもストライクがとれて、どの球種でも三振がとれる。まさに、投手として理想的



damejima at 10:43

September 17, 2011

地区優勝おめでとう、ダグ・フィスター

デトロイト・タイガースは、24年ぶり4回目の地区優勝だが、1994年に「3地区制」が導入され、98年にア・リーグ東地区からア・リーグ中地区に所属が変わってからの話でいうと、悲願の初優勝ということになる。
というのも、デトロイトが前回地区優勝した1987年は、94年に「3地区制」が導入になる以前の優勝であり、87年優勝当時のデトロイトは、69年に導入された「東西制」のもとで、ア・リーグ東地区の所属だったからだ。

ちなみに、1970年にシアトル・パイロッツが、当時メジャーの球団が無くなってしまっていたミルウォーキーにフランチャイズを移して創設された「ミルウォーキー・ブリュワーズ」は、創設当初、東西制のもとでのア・リーグ東地区所属チームであり、94年に3地区制が導入されたときに、ア・リーグ中地区に移動している。
そして98年に、タンパベイがア・リーグ東地区に出来て、今日優勝が決まったデトロイトがア・リーグ東地区からア・リーグ中地区に移動になったことで、ブリュワーズはこんどはナ・リーグ中地区へ移動した。
(ちなみに、もともとミルウォーキーという街は、66年までブレーブスがフランチャイズにしていた街で、66年にブレーブスがアトランタに移動してしまったことで、数年はメジャーのチームが無かった。98年にデトロイトがア・リーグ中地区に来ることになったときに、「ア・リーグ中地区のどのチームをナ・リーグ中地区に移動させるか?」という議論になったが、ミルウォーキーはもともとナ・リーグのブレーブスがあった街だけに、当初候補に挙がっていたロイヤルズではなく、もともとナ・リーグの野球に親しみのあるミルウォーキーのチームをア・リーグからナ・リーグに移動させるという案にあまり抵抗がなかったのは、そのせいもあるらしい)

今年優勝しそうな勢いのミルウォーキー・ブリュワーズだが、1982年の唯一の地区優勝(同年リーグ優勝)は、1987年のデトロイト・タイガーズとまったく同様、「ア・リーグ東地区所属時代の優勝」であって、98年にナ・リーグ中地区に移動して以降は、一度も優勝していない
だから、今年デトロイトとミルウォーキーが優勝することになれば、両リーグとも中地区は、「デトロイト、ミルウォーキーが98年のエクパンジョンで現在の所属地区に移動してからは、揃って初の優勝を成し遂げる」という、なんとも珍しい現象が起きることになる。



フィスターが加入して以降、先発投手陣の柱がしっかりしたことによる無傷の12連勝が効いて、2位クリーブランドも3位ホワイトソックスも、むしろ引き離される一方の圧倒的優勝になった。外野手を補強したくらいでなんとかなると思ったクリーブランドはご愁傷様(笑)
24年ぶりの優勝を決めたデトロイト公式サイトのこのゲームのヘッドラインは、Fister leads the way as Tigers clinch Central。フィスターがこの優勝を導いたと、手放しで褒め称えた。

ポストシーズンにバッティングのいいヤンキース、ボストンあたりをバーランダー、フィスターでねじ伏せるのを見るのが非常に楽しみだ。
Detroit Tigers at Oakland Athletics - September 16, 2011 | MLB.com DET Recap

Detroit Tigers at Oakland Athletics - September 16, 2011 | MLB.com Classic


今日もダグ・フィスターは完璧。移籍後7勝目。91球で8回を投げ切ってしまい、ブルペンでいちおう肩を温めていたブルペン投手ホアキン・ベノワの出番はなかった。グラウンドアウトが9.フライアウトは5。いつものようにゴロアウトで非力なオークランドを翻弄した。
これでフィスターの登板イニング数は197.1。次の登板で200イニング登板達成は確実。9月に入って、ERA0.80、2勝負けなし。今月あと2回か3回登板し、もしもそれぞれのゲームを1失点以内で行けて勝ち投手なら、今月のア・リーグ月間最優秀投手もありうる
Doug Fister Stats, Bio, Photos, Highlights | tigers.com: Team

球種としては以下の通りで、いつもの球種だ。カーブがよかったのは前回通りだが、前回の登板と比べると、やや変化球の割合が多かった。これには理由がある。
4シーム 35%(前の登板 35%)
2シーム 25(33)
カーブ  15(19)
スライダー 12(5)
チェンジアップ 12(7)

ま、いっても、優勝自体は想定内。
むしろ期待はダグ・フィスターのポスト・シーズン。


今日の球審はEric Cooperだったが、このアンパイアはとにかくゾーンが高い。もともと通常のアンパイアより、ゾーンがボール2個くらい高いのだ。(下の図の青線がEric Cooperのゾーン)

Eric Cooperのストライク・ゾーン

Eric Cooperよりゾーンの高いところをとる球審といえば、MLBで最も高いところをストライクコールするGary DarlingDan Lassognaか、ゾーン全体が広大なことで知られるJeff Nelsonくらいで、約100人いるMLBのアンパイアのうち、ほんの数人しかいない。

この球審のゾーンが高いのは、突然今日のゲームでだけ広くなったわけではなく、あくまであらかじめわかっていたことだ。(ちなみに、普通はボール1個か2個分広い左バッターのアウトコースが、こんなに狭い球審も珍しいわけだが、これもこのアンパイアのクセ。よく知られていて、想定内)
だからこそ、身長の高いダグ・フィスターが打者を見おろすように投げる縦変化のカーブが非常に効果的になるし、変化球をいつもより多用したピッチングは実にクレバーだったといえる。
逆に、オークランド先発のトレバー・ケーヒルは低めにシンカーを集めるのが持ち味の投手なだけに、こういうゾーンの高い球審は合わない。もっと大量失点していてもおかしくなかった。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool



damejima at 13:55

September 12, 2011

前回9月5日のクリーブランド戦では、13奪三振とキャリアハイの奪三振数を記録したダグ・フィスターが、こんどは同地区のミネソタ戦で好投。108球74ストライクの安定したピッチングを披露して、移籍後6勝目を挙げた。デトロイトはミネソタのスイープに成功、9連勝。
9月に入って、同地区のクリーブランド、ミネソタとの対戦が続いたが、9月に入ってからの2ゲームでフィスターの被打率はわずか.132、WHIPもわずか0.67。2チームを完全に沈黙させ、デトロイトの首位の座を確保したのだから、この2勝は非常に高い価値がある。

ゲームをクローズしたのは、いつものホセ・バルベルデだが、ゲームセットの瞬間、獣のように数秒間吼え続けたシーンは、必見(笑)
Minnesota Twins at Detroit Tigers - September 11, 2011 | MLB.com Classic


今日の登板、グラウンドアウトが9、フライアウトが4で、いかにもグラウンドボール・ピッチャーのフィスターらしい内容。

フィスターの登板イニング数は、186.2。いま登板イニング数トップは、同じデトロイトで、今年のサイヤング賞間違いなしのジャスティン・バーランダーの229.0で、2位がCCサバシアの224.1、3位がタンパベイのジェームズ・シールズの218.0だが、今年のフィスターはこのままでいけば、MLBの一流先発投手の目安であるシーズン200イニング登板に到達するのは、ほぼ間違いない。酷い成績のままの200イニングなら意味はないが、この好成績での200イニングには非常に高い価値がある。

また、ア・リーグWHIPランキングでも、今日のゲームの前までが1.140で10位だったが、ゲーム後には1.13を切ってきた。ランキング10位以内キープは間違いない。
WHIPの良さの背景にあるのは与四球の少なさだ。今日のゲームの前までで、ア・リーグ与四球ランキングでも1.655で4位。K/BBランキングでも3.573でア・リーグ8位に入り、HR/9ランキングは0.473でア・リーグ2位(更新前)だから、これらのランキング順位もさらに良化することだろう。

まだゲームが終わって間もないのでBaseball Referenceはじめ、スタッツサイトのデータが更新されていないわけだが、フィスターの防御率はついに3.06まで下がった。これはア・リーグERAランキング10位のダン・ヘイレンについに肩を並べたことになる。
2011 American League Pitching Leaders - Baseball-Reference.com

フィスターといえば、大半のシアトルファンは「ランナーはかなり出すが、粘りのピッチングで得点を許さない」というイメージを持っているわけだが、そういうイメージはもう古くさい。
というか、フィスターに失礼

フィスターはいまや、「イニングが食えて、四球を出さず、ホームランも打たれず、ランナーを出さず、防御率も最高レベルで、ア・リーグ最高の先発ピッチャーのひとり」である。

たいしたものだ。


前回9月5日の登板では、記憶では4シーム、チェンジアップ、カーブ程度のシンプルな球種だけを使ってクリーブランドから13三振を奪ったような記憶があるが、今日はストレート系では2シーム(33%)と4シーム(35%)を同じくらいのパーセンテージ使い分けて、あとはカーブ(19%)、スライダー(5%)、チェンジアップ(7%)という感じの配球で、2シームを多用した点に特徴がある。
クリフ・リーエリック・ベダードジャロッド・ウオッシュバーンと、シアトルには「カーブ使い」に長けたヴェテラン投手がたくさんいた。フィスターもどうやら、こうした「カーブ使いの名手」の仲間入りができそうだ。

逆にいうと、そういう「身近にいてくれて若手が学ぶことのできるヴェテラン投手を次から次へトレードし、さらには彼らから何かを学んだ中堅投手さえもトレードしてしまうズレンシック無能の極みということでもある。
学ぶべきヴェテランもいないキャリア不足の投手陣で、何をどう再建するというのだ。馬鹿か、と、言いたい。



日本の自称マリナーズファンというかチームオタの一部に、フィスターについてどういう評価があったかを知るには、次のリンクをクリック(笑)→続きを読む

damejima at 06:13

September 06, 2011

デトロイト対クリーブランドのア・リーグ中地区首位決戦第1戦は、ダグ・フィスターの素晴らしいピッチングと、今季素晴らしいバッティングを披露しているビクター・マルチネスの3ランで、デトロイトが先勝した。
優勝にわずかな望みを託すクリーブランド先発は、好投手ウバルド・ヒメネスで、しかもデトロイトはビジターだから、この勝利には非常に高い価値があるのは言うまでもない。
Detroit Tigers at Cleveland Indians - September 5, 2011 | MLB.com Classic


ダグ・フィスターは、キャリアハイとなる13三振を奪った。特に上位打線の1番から4番まで4人の打者から2つずつ三振を奪い、クリーブランド打線を封じ込めた。
3回裏には2死満塁のピンチがあったが、ここで3番カブレラを簡単に追い込んでおいて、クリフ・リーばりのカープで三振に仕留めるのだから、たいしたものだ。
フィスター13奪三振 動画(MLB公式):
Baseball Video Highlights & Clips | DET@CLE: Fister fans 13 over eight dominant frames - Video | MLB.com: Multimedia

デトロイト公式サイトのトップ記事のタイトルも、3ランを打ったビクター・マルチネスではなく、Fister's 13 K's help Tigers pad division lead と、フィスターが主役だ。

松坂を(あるいはヘルナンデスでもいいが)思い出してもらうとよくわかると思うが、三振をとろうとすると、早いカウントから打たせてとるわけではないわけだから、どうしても球数というのは増えてしまう傾向がある。
だが、今日のフィスターは、13三振を奪いながら、8イニングを、わずか101球(72ストライク)で投げ切ってしまったのだ。少ない球数でたくさんの三振をとるのは、よほどの実力がないとできるものではない。まったく文句のつけようがない。


この日、クリーブランドの先発ヒメネスも、打たれたヒットは、4回に打たれたわずか2本のみ。彼の絶好調とまではいえないにしても、ピッチング全体はそれほど悪くはなかった。だが、その2本が致命傷になってしまった。
デルモン・ヤングにヒットを打たれた後、ミゲル・カブレラはフルカウントから四球。1死1,2塁となって、5番ビクター・マルチネスに、2-2から甘く入ったストレートをライトスタンドの奥深くに放り込まれた。

何度も書いてきたことだが、今シーズンのビクター・マルチネスはほんとうに素晴らしいバッティングを披露していると思う。この3ランも、「甘く入ったボールだから、ホームランにできて当たり前」なんて、まったく思わない。そんなことを言う人がいたら、逆に聞いてみたい。
「ここぞという大一番で、もしど真ん中にボールがきたとして、確実にホームランにできますか?」
中地区優勝をまだ諦めてないクリーブランドの最後の望みを断ち切るような、素晴らしいホームランだ。
ビクター・マルチネス3ラン 動画(MLB公式)
Baseball Video Highlights & Clips | DET@CLE: Martinez belts a three-run shot to right - Video | MLB.com: Multimedia

2011年9月5日 ビクター・マルチネス 3ラン 投手ヒメネス



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damejima at 09:26

August 31, 2011

いやー、惜しかった。
もしかすると、完全試合か? と、思わせる「芸術的」ピッチングだった。


カンザスシティとの第2戦に登板したダグ・フィスターだが、6回終了時点まで、すべてのイニングを3者凡退に切ってとるパーフェクト・ピッチング
試合後、デトロイトの監督リーランドは両軍投手のピッチングについて「art of pitching(芸術的ピッチング)」と、手放しでほめたたえた。
Leyland said. "And I think you saw the art of pitching at its best tonight from both sides."
Kansas City Royals at Detroit Tigers - August 30, 2011 | MLB.com DET Recap

7回こそ、先頭打者に二塁打を打たれて気持ちが少しだけ途切れて、味方が得点する前に1失点してしまい、残念ながら勝ち星こそつかなかったが、それでも、1失点で7回2/3。それもたったの94球(65ストライク)での結果だ。十分すぎる。
そしてチームは10回裏にサヨナラ勝ちで首位キープ。文句のつけようがない。
Kansas City Royals at Detroit Tigers - August 30, 2011 | MLB.com Classic

今日のゲーム、初回のソフトライナーと4回のフライアウトの2つの例外を除いて、6回までの16アウトがすべてが「ゴロ」と「三振」。それも「無四球」なのだ
これはピッチャーとして本当に素晴らしい。

以前、フィスターが良くなった理由として、「グラウンドボール・ピッチャーに変身できたこと」を挙げておいたが、まさに今日のゲームで証明してくれた。
いまやダグは、ア・リーグBB/9ランキング3位HR/9ランキング2位移籍後のK/BB(SO/BB)は、なんと、8.50の超ハイパーな数字で、2010年ナ・リーグ サイヤング賞投手ロイ・ハラデイの7.30より優れた数値。
堂々たる一流である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。

2011年ア・リーグ BB/9ランキング
1. Tomlin (CLE)  1.143
2. Haren (LAA)  1.248
3. フィスター (SEA、DET)   1.752
4. Pavano (MIN)  1.790
5. Francis (KCR)  1.830
2011 American League Pitching Leaders - Baseball-Reference.com

2011年ア・リーグ HR/9ランキング
1. Masterson (CLE)  0.288
2. フィスター (SEA、DET) 0.464
3. Sabathia (NYY)   0.615
4. Weaver (LAA)    0.626
5. Wilson (TEX)     0.677
2011 American League Pitching Leaders - Baseball-Reference.com

デトロイト移籍後
BB/9(9イニングあたりの四球数) 0.6
K/BB 8.50
K/BBは三振数を四球数で割った数値で、SO/BBとも書く。投手の力量をもっともシンプルに測るスタッツで、3点台なら優秀といわれる。

参考:2010年MLB 最優秀K/BB
ア・リーグ クリフ・リー 10.28
ナ・リーグ ロイ・ハラデイ 7.30


よく野球ファンが、大振りのバッターについてだけでなく、投手についても、「三振か、ホームランか、四球」という言い方をするように、ゴロアウトと奪三振は往々にして両立しないものだ。
簡単な話、ストレートで押すタイプの投手をみればわかる。たいていは、ストレートの球威を保つためにコントロールを多少なりとも犠牲にしている。そうすると、三振は多くとれる反面で、ちょっと間違うと四球連発、ホームラン、なんて悲惨な結果になりやすくなるのが、速球投手のよくあるパターンだ。


ダグ・フィスターの場合は違う。適度に三振も奪いつつ、なおかつ大半の打者に内野ゴロを打たせるという、理想的ピッチングができる。こんな投手、探したって、なかなかいない。ベンチの監督から見て、これほど安心できるピッチャーはいない。
前にも何度も書いているとおり、コメリカ・パークというボールパークは「センターが馬鹿みたいに広大なスタジアム」であり、フライが上がる、ということは、イコール、かなりの確率で長打が生まれる、という意味になる。
グラウンドボール・ピッチャーがどれほど貴重なものか、平日のゲームにもかかわらずスタジアムに詰めかけた34866人ものデトロイト・ファンもしみじみ思っていることだろう。
フィスターを放出した無能なズレンシックのトレードがWIN-WINだ、なんて言ってる馬鹿がいたら、そいつに話かけるのはやめたほうがいい。なぜなら、一切の例外なく、哀れな野球音痴だからである。

Doug Fister Statistics and History - Baseball-Reference.com



damejima at 15:09

August 26, 2011

デトロイト移籍後5回目の先発となるタンパベイ戦で、ダグ・フィスターが99球(63ストライク)で3勝目。
デトロイトの大黒柱は言うまでもなく、8月5勝負けなしで、8月の月間最優秀投手が確実どころか、今シーズンのサイ・ヤング賞投手ほぼ当確と思っているジャスティン・バーランダーだが、8月3勝1敗のフィスターも、ほぼ2番手といっていい大活躍だと思う。
Detroit Tigers at Tampa Bay Rays - August 25, 2011 | MLB.com Classic

素晴らしい投球内容だったと思う。
理由は3つ。

一つ目は、「球種の少なさ」。
投げたのは以下の球種だが、基本的に誰でも投げる球しか投げていない。まさに実力の証だ。スプリッターもなければ、高速シンカーも、ナックルカーブもない。といって、ストレートが特別早いわけでもない。たぶんトップスピードは93マイルいってないと思う。
4シーム    41球
スライダー   22球
カーブ     14球
チェンジアップ 14球
2シーム     8球

2つ目は、「リリースポイントの安定感」。
無四球に象徴されるように、いまのフィスターは安定感が抜群だ。その理由のひとつが、この「リリースポイントの安定」だろう。どんな球種を投げてもバラつかないことが、いまの彼のピッチングを支えている。こういう状態のときの投手は、特殊な変化球などに頼らなくても十分ピッチングができる。

3つ目は、「長打を打たれなかったこと」。
打たれた長打はサム・フルドのツーベースのみ。何度も書いてきたが、ホームランを打たれなくなったのは、今年のフィスターの成長を示すポイントのひとつ。


これでポストシーズンでのフィスターの登板を見るのが非常に楽しみになってきた。

それにしても、相変わらずビクター・マルチネスが素晴らしい。今日はDHでの出場だが、1安打2四球の3出塁。荒っぽくバットを振り回して長打を狙うようなかつてのようなバッティングではなく、常にシチュエーションを考え、無駄なプレイをしないよう心がけている真摯な姿勢が、バッターボックスからビシビシ伝わってくる。






damejima at 07:03

August 22, 2011

デトロイトに移籍した(馬鹿なズレンシックに移籍させられた)ダグ・フィスターが、2位のクリーブランドとの首位決戦に先発。もともと大振り傾向のあるクリーブランド打線を6安打1四球で、帳尻打者の散発的ソロホームラン1本だけに抑えて、悠々首位決戦に勝利した。
Cleveland Indians at Detroit Tigers - August 20, 2011 | MLB.com Classic

デトロイト移籍以降、4ゲーム目の登板だが、最初の2ゲームは、なんと9イニング投げて奪三振ゼロ。もともと三振をたくさんとる投手ではないものの、やはりバッテリーとしての呼吸はあっていなかった。
この日の奪三振は7で、今シーズンの最多タイ。

以前の記事で書いたとおり、コメリカパークというボールパークは、センターが馬鹿みたいに広く、特に三塁打が出やすい球場だ。
パークファクターでいうと、それほどヒッターズパークに見えないが、実際にはそうでもないし、セーフコに比べれば、二塁打、三塁打のでやすさは比較にならない。
投手のシアトルからデトロイトへの移籍はどうみても投手に不利な移籍だし、予想されたことだが、移籍によってフィスターのスタッツはだいぶ悪化したが、それでも2勝1敗なのだから立派なものだ。
ダグ・フィスター
移籍前後のWHIP、ERA+の比較

移籍前 1.171 115
移籍後 1.477 87

早く環境に慣れて白星を積み重ねることで、無能GMズレンシックを見返してほしいものだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。

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damejima at 00:37

August 04, 2011

センターが馬鹿広いヒッターズパークのコメリカパーク、かつ、強打のテキサスとの対戦と、打たれて当たり前みたいな厳しい条件の登板だったが、ダグ・フィスターがデトロイト移籍後初登板を、7回3失点、QSで白星スタートを飾った。
3失点も、ほとんどがエラーがらみ。まったく問題ない。フィスターは打線の援護さえあれば、これからも白星を積み重ねて、ポストシーズンでも登板のチャンスがあることだろう。
Texas Rangers at Detroit Tigers - August 3, 2011 | MLB.com Classic


このゲームでフィスターはテキサス打線に何本かの二塁打を打たれたが、あらかじめ7月31日の記事で指摘しておいたように、これはひとつにはコメリカパークの「センターが異常に広い」という形状によるもの。
このスタジアムではセンター脇にシャープな当たりが飛べば、たいていは二塁打になってしまう。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。


だが、今日のゲームでずっと問題だったのは、センターの広さよりも球審John Tampaneの判定だ。
まぁ、低めとコーナーをまったくとらない、とらない
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なお、カウントによって、メジャーのアンパイアがコーナーいっぱいのボールをストライクと判定しない問題については、以下の記事を参照。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月11日、カウント3-0ではゾーンを広げて四球を避け、カウント0-2ではゾーンを狭めて三振を避ける。あらためて明らかになったアンパイアの「故意にゲームをつくる行為」。

2年くらい前に書いたことだが、テキサスの打者は、ローボールヒッターがほとんどを占める
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:最終テキサス戦にみるロブ・ジョンソンの「引き出し」の豊かさ (1)初球に高めストレートから入る

だから、テキサス相手に勇気をもって投げた低めがことごとくボール判定されてしまうと、ピッチャーは投げる球がなくなって、非常に追い詰められるわけだ。

その追い詰められたシチュエーションを、デトロイトバッテリーは次のような配球でなんとか切り抜けた。
「高めはゾーンぎりぎり、ストライクに。
 低めはゾーン外、ボールにする」

例えば、右打者のインコースに投げるときは、低くはずれるだけではなくて、打者側にボール1個か1個半くらいはずれるボール。アウトコースに投げるときも、低くはずれるのではなくて、ファースト側に外れるボール。

こういうとき、執拗に低めを投げて球審がストライクと言ってくれるのを待っていたのでは、カウントを悪くするばかりで、しかたなく高めにストライクを取りにいって球が浮いたところを痛打されるのがオチ。(=相性のあわないキャッチャーと組んだときのバルガス



それにしても、今日のデトロイト・テキサス戦に限らず、最近の大半のゲームで、かなりの数の球審が、「低め」をストライクコールしなくなってきている、と、ブログ主は感じている。
今日のゲームでも、左打者が見逃したフィスターの低めの投球のほとんどが「ボール」とコールされている。

何度か書いてきたことだが、MLBでは、イチローがメジャーデビューした2001年に「タテマエの上では」ストライクゾーン改定が実施され、ステロイド時代のゾーンからルールブック通りに近いゾーンに改定された、とされている。
だが、その後の調査で明らかなように、ゾーンは必ずしもルールブック通りにはなっていない。
むしろ正確な言い方としては、「ほぼルールブック通りのゾーンを使うアンパイア」、「異常に狭いゾーンのアンパイア」、「ステロイド時代特有の広いゾーンを使うアンパイア」などと、アンパイアごとに使うゾーンはバラバラ、「ゾーンはアンパイアまかせ」という状況が生まれてしまっている。

それがこのところ、新たに「低めをとらない」という判定傾向が今シーズン、突然に現れて出してきている。
「低め」をストライク判定しないとすると、当然のことながら、打者有利の時代が到来することになる。これは、2001年以降10年ほど続いてきたルールブック通りのゾーンの判定基準への「タテマエ的変更」が、転換期を迎えていることを示しているのだが、この点についてMLB機構が何か発表したわけではない。

だが、明らかに、今シーズンのMLBは、「ステロイド・クリーン」なイチローやプーホールズが代表してきた2000年代の「何か」を、排除、あるいは、過去のものにしようとしていると、ブログ主は常々感じている。
今年のオールスター選出での歪んだ経緯を見てもわかるし、またアンパイアの判定傾向の変化も、MLBが90年代のステロイド時代のごとくの「ホームラン量産時代」に向かって、こっそりと舵を切りつつあるのを感じるのである。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (1)「ステロイド時代のストライクゾーン」と、「イチロー時代のストライクゾーン」の違い。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。





damejima at 10:52

August 02, 2011

ダグ・フィスターの話をすると、よく 「あんなに毎回毎回ランナー出すピッチャーが、いいピッチャーなわけがない」とか、「フィスター? たいしたことないだろ、あんなの」とか、知ったかぶりしたがる馬鹿がいる。

基礎的なデータすらロクに見ないで印象だけで喋るから、馬鹿はすぐに恥をかく。

WHIPランキングだけ見ても、一目瞭然だ。
ダグ・フィスターはランナーをやたらと出すどころか、むしろ「ア・リーグで最もランナーを出さないピッチャーのひとり」であり、シアトルにおいては「誰よりも優れた内容のピッチングをしていたピッチャーであり、エースともてはやされるフェリックス・ヘルナンデスより、WHIPの数値は優れている」、というのが事実だ。
また、BB/9(9イニングあたりの四球数)においても、ダグ・フィスターは「ア・リーグで最も四球を出さないピッチャーのひとり」であり、シアトルにおいては「ダグ・フィスターは、フェリックス・ヘルナンデスよりも四球を出さないピッチャー」である。

ア・リーグWHIPランキング
(2011年6月1日現在 以下同じ)
2011 American League Standard Pitching - Baseball-Reference.com

Justin Verlander 0.867
Josh Beckett 0.917
Jered Weaver 0.942
Dan Haren 0.990
Josh Tomlin 1.025
Alexi Ogando 1.040
James Shields 1.073
Michael Pineda 1.077
Philip Humber 1.105
David Price 1.112
---------------------
ダグ・フィスター 1.171 15位
ヘルナンデス 1.206 20位


ア・リーグBB/9ランキング
Josh Tomlin 1.1
Dan Haren 1.3
Jeff Francis 1.7
Justin Verlander 1.8
Carl Pavano 1.9
ダグ・フィスター 2.0
Jered Weaver 2.0
David Price 2.0
Mark Buehrle 2.1
Gavin Floyd 2.1
--------------------
ヘルナンデス 2.8(30位)


ついこの間、ダグ・フィスターがグラウンドボール・ピッチャーに変身した、という趣旨の記事を書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月31日、「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。だからこそ、せっかくグラウンドボール・ピッチャーに変身を遂げたダグ・フィスターを売り払ってまでして外野手を補強してしまうシアトルは、どうしようもない馬鹿である。

ダグ・フィスターがグラウンドボール・ピッチャーに変身したことの効果は、ア・リーグのHR/9(98イニングあたりの被ホームラン率)ランキングを見るとわかる。
今年のダグ・フィスターは「ア・リーグで最もホームランを打たれにくいピッチャーのひとり」だからだ。
このHR/9の数値においても、フィスターはヘルナンデスを大きく引き離している。

ア・リーグHR/9ランキング
Justin Masterson 0.2
CC Sabathia 0.3
Jered Weaver 0.4
ダグ・フィスター 0.4
Tyler Chatwood 0.6
Brandon Morrow 0.6
C.J. Wilson 0.6
Edwin Jackson 0.6
Josh Beckett 0.6
Philip Humber 0.6
Dan Haren 0.6
-----------------------
ヘルナンデス 0.7


「グラウンドボール・ピッチャー」
「ランナーを出さない」
「ホームランが少ない」
「四球が少ない」
「ストレートのピッチバリューが高い」

これらが今年のダグ・フィスターのピッチングの特徴だが、もちろんこれらは相互に関連している。ゴロが多く、フライを打たれないなら、当然、ホームランは打たれない。四球が少ないから、ランナーが貯まらず、大量失点しない。
そして、「ストレートが使える投手」というのは、ピッチングにおいて、非常に大きなウエイトをもつ。


フィスターのいいデータばかりでなく悪いデータのほうを見てみると、フィスターの成長ぶりがもっとよくわかる。

今シーズンにフィスター打たれたヒット数は139本で、これはア・リーグ14位にもあたる多さ。H/9(9イニングあたりのヒット数)でみても8.6と非常に多く、ほめられたものではない(それでもシアトルで最も多くヒットを打たれている先発投手のは、フィスターではなく、ヘルナンデスの147本だ)
普通これだけヒットを打たれたら、防御率は酷いことになる。実際、H/9が9を越えている、つまり、毎回のようにヒットを打たれるような投手は、マイク・バーリーのような例外を除けば、ほぼ全員が防御率4点台、5点台の投手ばかりだ。

だが、そこまでヒットを打たれているフィスターのERAは3.33で、これはシアトルで最も優れている。
説明しなくてもわかると思うが、これは、彼が打たれた139本のヒットのうち、100本がシングルヒットで、無駄に四球を出してランナーを貯めたり、ホームランを打たれたりすることが少ないためだ。


もしブログ主がGMなら、2000万ドルと40万ドルの似たような成績のピッチャーがいたら、40万ドルのピッチャーのほうをチームに残し、2000万ドルのピッチャーはトレードに出して、課題のバッティングを強化するのに予算を使う。

当然のことだ。

もし逆の行動をとるとしたら、そのGMにはチームを強化するつもりが本当は無いのだ。

Doug Fister 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

Felix Hernandez 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com






damejima at 18:27

August 01, 2011

ブログ主はもう、言葉と行動の矛盾がはなはだしいズレンシックエリック・ウェッジのインタビューを読まないことにした。
目先をごまかしているだけの、頭の悪い人間たちの言うことに、いちいち耳を傾けなければならない理由はない。


ダグ・フィスターは今の時点で、MLBで「最もラン・サポートの少ない先発投手」である。つまり、フィスターがいくら好投しても、味方は点をとってくれないわけで、それが彼の3勝12敗という不幸な成績に直結していた。
ダグ・フィスターは見た目(=見た目の成績)は悪いが、中身(=ピッチングの質)はしっかりしている。

よくエリック・ウェッジは、まったく意味もなくコロコロ変えてばかりいる自分の野手起用の下手さ加減を棚に上げて、「ベテランがー、ベテランがー」とか馬鹿のひとつ覚えで、お経をとなえ続けているわけだが、グティエレスのような打率2割以下でミリオン単位のギャラをもらっている無能な野手に責任をとらせて真っ先に放出するのならともかく、むしろ、明らかに打線の貧打のせいで勝てない先発投手、それも「チームに残りたい」と明言している投手から真っ先に放出してしまうのだから、このチームの監督とGMの言葉と行動には、なんの一貫性もありえない。
だからもう聞く耳を持つ必要などない。


MLBで最もランサポートの少ない投手 ベスト3
ダグ・フィスター 1.97
ダスティン・モーズリー SD 2.55
ジェイムズ・シールズ TB 2.75
Major League Leaderboards » 2011 » Starters » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball


獲得する側の球団からすれば、フィスターのような「見た目の成績は悪いが、実はピッチングの中身のいい投手」に、かなりの「お買い得感」があることは、説明するまでもない。


そもそもセーフコは「投手有利のスタジアム」なのだから、もし他のチームにダグ・フィスターのような「たまたまランサポートが少ないだけで、成績が悪く見える先発投手」がいたら、そういう「見た目の悪い投手」こそ率先して獲得してきて投手有利なセーフコで投げさせれば、コストパフォーマンスのいい投手に「化けてくれる」可能性がある。(もちろん、もともとダメな投手をいくらセーフコに連れてきても、ダメなものはダメだが。誰をチョイスするかこそ、本当の手腕だ)

つまり、詳しくは後で説明するが
ダグ・フィスターのようなグラウンドボール・ピッチャータイプで、しかもイニングを食える先発投手こそ、あらゆる点でセーフコ向きの投手なのだ。
なのに、セーフコにフィットしたコストパフォーマンスのいいダグ・フィスターを誰よりも先に安売りするのだから、どこまでマヌケなジェネラル・マネージャーなんだ?、という話になるのが当然だ。



去年から今年にかけてのフィスターの変化には、ひとつ、特筆すべき特徴があって、それは「フライボール・ピッチャーから、グラウンドボール・ピッチャーへの変身」という点。
これが彼にとってどれだけ大きな意味があったか、以下にチラッとメモしておきたい。まず、ちょっとGB/FB(ゴロをフライで割った数字。数字が大きいほど、打球のゴロ比率が高い)を見てみる。

ダグ・フィスター GB/FB
2009 1.06
2010 1.36
2011 1.35

ダグ・フィスター GB%
2009 41.3 %
2010 47.1 %
2011 46.4 %


MLBでは「フライアウトのある一定のパーセンテージは、本来なら長打あるいはホームランだったのが、たまたまアウトになっただけ」という考え方は、かなり浸透している。
だから、「あるピッチャーが、ゴロが急増し、フライが激減した」という現象は、ある程度の範囲で 「ホームランを打たれる可能性が非常に下がった」という意味になる。

ダグ・フィスターの場合を見てもらいたい。見事に今年、昔よりはずっと「フライを打たれないピッチャー」に変身している。
HR/FBは「フライに占めるホームランの割合」、HR/9は「9イニングあたりに打たれるホームランの割合」だが、びっくりするほど今年のダグ・フィスターは数字が改善している。
HR/FB HR/9 ホームラン数
2009 14.1 % 1.62 10本
2010 6.4 % 0.68 13本
2011 4.4 % 0.43 7本


MLBの投手のゴロ率 上位
(カッコ内は HR/FB HR/9)
Major League Leaderboards » 2011 » Pitchers » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball
ジェイク・ウェストブルック STL 61.6 %(13.5 % 0.93)
チャーリー・モートン PIT 59.8 %(7.6 % 0.40)
デレク・ロウ ATL 59.7 %(7.9 % 0.49)
ティム・ハドソン ATL 57.9 %(8.2 % 0.57)
---------------------------------
フィスター 46.4 %(4.4 % 0.43)

ゴロ率 下位(カッコ内は HR/FB HR/9)
Major League Leaderboards » 2011 » Pitchers » Batted Ball Statistics | FanGraphs Baseball
J.A.ハップ HOU 32.4 %(10.6 % 1.33)
マイケル・ピネダ SEA 32.9 %(7.5 % 0.83)
コルビー・ルイス TEX 33.0 %(12.6 % 1.73)


MLB全体でみると、ゴロ率上位の投手では、例えば、今年快進撃中のピッツバーグのチャーリー・モートンがいる。
2010年のモートンは、HR/FBが18.1 %、被ホームラン15本と、酷いありさまだったが、2011年になってそれが7.6 %、5本と、大幅に改善されてホームランを打たれにくくなり、現在8勝6敗。ピッツバーグの久々の首位争いに十分貢献している。
ピッツバーグは他にも、ジェフリー・カーステンズ、ケビン・コレイア、ジェームズ・マクドナルドと、去年より投手成績が改善した先発投手がいるわけだが、どんなコーチがいるのか知らないが、今シーズンの快進撃は案外ピッチングコーチのおかげかもしれない。
ちなみに、2010年にモートンが打たれた球種は、主にカーブ、チェンジアップといった変化球だったが、今年の彼はストレートを投球全体の75%も投げるようにしており、ピッチングスタイルを大きく変えることが、今年の成功につながっている。


逆に、ゴロ率下位の投手では、フィリーのマイナーからヒューストンに移籍して先発投手になったJ.A.ハップの数字が酷い。ホームラン17本を打たれて、防御率6.01、4勝13敗。アストロズ低迷の原因は、ピッツバーグとは逆に、ピッチングコーチのあまりの無能さにあるのかもしれない。
コルビー・ルイスの数字もあまりよくはない。彼のHR/9は1.7で、ア・リーグで最もホームランを打たれやすいピッチャーが、コルビー・ルイスだ。彼のランサポートは6.20で、ダグ・フィスターの3倍以上ある。ようするに、彼が10勝8敗と勝ち星先行でいられるのは、明らかに味方打線のおかげでしかない。


最後にマイケル・ピネダの将来性について。

ピネダはいまメジャー有数のフライボール・ピッチャーだ。
だから、将来も現状のフライボール・ピッチングのままだとすると、現状のピッチングや数値がどうであれ、将来もっと相手チームに研究されだしたときに、外野が広くてホームランの出にくいスタジアムで投げるのには向いていても、狭いスタジアムでは長打を浴びて大炎上という現象が頻繁に起きる可能性をもっている。
実際ピネダは、広いセーフコでの被長打率は.254と驚異的に低いが、狭いフェンウェイでは被長打率.619、失点7と、長打を浴びてボコボコに打たれている。エンジェルスタジアムは基本的には中立的な球場だが、ここも相性がよくない。
Michael Pineda 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


そのピネダが打たれているスタジアムのひとつが、デトロイトのコメリカパークだ。
コメリカパークは、ゲームを見たことのある人ならすぐわかるのだが、とにかくセンターが異常に広い。左中間、右中間も広いし、それだけでなく、センター後方のエリアがまた、やけにだだっ広い。

よく「広いスタジアムだから投手有利」と単純に思われがちだが、コメリカパークに関してはまったく同意できない

むしろ、まったく逆だ。

ブログ主は「コメリカはヒッターズ・パーク」と確信して、いつもゲームを見ている。
なぜなら、コメリカパークのセンターは、あまりに守備でカバーしなければならない面積が広すぎる。そのため、センターの定位置のほんのちょっとはずれた場所にシャープなライナーを打ちさえすれば、すぐに外野を抜ける二塁打、三塁打になってしまう
ESPNのパークファクターデータによれば、コメリカパークは、メジャーで最も三塁打のでやすい球場のひとつだ。
2011 MLB Park Factors - Triples - Major League Baseball - ESPN

つまり「広すぎる外野は、かえって長打を生む」ということ。

だから、もしデトロイト・タイガースにトレードされたのが、去年からグラウンドボール・ピッチャーに変身をとげることに成功したダグ・フィスターではなく、MLB屈指の極端なフライボール・ピッチャーであるマイケル・ピネダだったら、センターの広いコメリカパークでは長打を打たれまくって潰れる可能性がある。(ピネダと同じように典型的なフライボール・ピッチャーで、シアトルからデトロイトに意味もなくトレードされて潰されたジャロッド・ウォッシュバーンにも同じことがいえる。あのトレードは「フライボール・ピッチャーがコメリカには向いてないこと」をまったく理解しない屑トレードだった)


「広いスタジアム」=「投手有利」と決め付けがちだ。
だが、ピネダのような「フライボールピッチャーは、広いスタジアムだからこそ、長打を浴び続ける可能性もある」ということもある。

だとすれば、外野の広いスタジアムで、
どうすれば長打による失点を防げるのか?

1 フライボール・ピッチャーを先発に揃えた場合
マイケル・ピネダのような、カットボールやシンカーの持ち球のないフライボール・ピッチャーを先発にズラリと揃えると、フランクリン・グティエレスのような、打撃はダメでも守備の上手い外野手を、大金を出して雇い、たくさんのフライを捕らせる必要が出てくる。グティエレスの打撃の下手さ、肩の弱さには目をつぶる。

2 グラウンドボール・ピッチャーを先発に揃えた場合
グラウンドボール・ピッチャーを揃えて、フライをできるだけ打たせない。外野手の守備負担を減らすことで、外野手にはある程度バッティング重視の選手を配置できるようになる。


ブログ主は、後者のアイデアのほうが、外野手の打撃を無駄にせず、貧打を解消につながるとは考えるが、それを実現するためには、ダグ・フィスターのようなグラウンドボールピッチャーを安売りして先発投手陣がフライボール・ピッチャーばかりになってしまっては、まるでお話にならない。

セーフコのような「投手有利といわれるスタジアム」だからこそ、ダグ・フィスターのようなグラウンドボール・ピッチャーを放出し、マイケル・ピネダのようなフライボール・ピッチャーばかり残す一方で、守備だけしかできないグティエレスのような外野手を置いておくのが、いかに固定観念にとらわれた馬鹿か、ということが、おわかりいただけただろうか。


もういちど書いておく。

「広い球場は、投手有利」というのは、ただの固定観念にすぎない。投手有利なはずのセーフコであっても、そのピッチャーが持ち球にカットボールやシンカーなどがないフライボール・ピッチャーであるなら、長打を打たれまくる可能性は十分すぎるくらい、ある。


貴重なグラウンドボール・ピッチャーを自分の手で放出し、その一方で、外野の大飛球を処理できない守備の下手な外野手を次々にそろえているシアトルの2011年のトレードが今後どういう風に破綻するか、もう言わなくてもわかるだろう。デトロイトに放出すべきなのは、ダグ・フィスターではなく、コメリカパークの広いセンターの守備にうってつけのフランクリン・グティエレスだ。





damejima at 02:54

July 08, 2011

ほんと、気分の悪いゲームだった。

ジョナサン・パペルボンにGo Homeと罵倒されたアンパイア、ジョー・ウエストの話を、ジョー・ウエスト側に好意的な立場から記事を書いたばかりだが、今日のLAA初戦の球審が、そのジョー・ウエストとはまるで知らなかった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月5日、ゲームの進行が遅いとクレームをつけた最年長ベテランアンパイアに、ジョナサン・パペルボンが放った"Go Home"の一言。

最近イチローに対する球審のアウトコースの「ゆがんだ判定」も多少マトモになってきたな、と思っていたところだったが、オールスターが近づいたせいか、球審ジョー・ウエストは、ダグ・フィスターがエンゼルスの右打者に投げるアウトコースを、「ど真ん中に近い球」すら含めて、ことごとくボール判定し、その一方で、オールスターでの登板が予想されているジェレッド・ウィーバーの判定と大きな差をつけて、アンパイアとしてゲームを「つくった」。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

ジェレッド・ウィーバーは疑いなくオールスター出場にふさわしい素晴らしい投手のひとりであり、ほっておいてもシアトルの若い打者くらい軽くひねる能力がある。
だから、あえてゲームを「つくる」必要などないのに、なんでまた、こういう変なことをするのだろう。
これほど、片方のチームの投手だけを故意に不利な判定をする「エコヒイキのゾーン」は、見たことがない。少なくとも、今シーズンのシアトルのゲームでは、はじめて見た

ブログ主もパペルボンにならって言わせてもらおう。
Go Home, Joe West with extreme favoritism.
偏った球審など見たくない。家に帰りやがれ。



右打者への判定

三角がフィスターの投球、四角がウィーバー。
がストライク判定、がボール判定。

2011年7月7日 球審ジョー・ウエストの右打者のゾーン


データを見てもらうと、ゾーン内に緑色の三角形がやたらとたくさんあるのがわかるだろう。
それらは全てダグ・フィスターが右打者に対して投げたストライクで、球審ジョー・ウエストは全部「ボール」とコールした。中には「ほぼど真ん中に近いストライク」すら、ボール判定している。
酷いもんだ。



ジョー・ウエストというアンパイアは、球審としては、もともと「低目とファースト側のゾーンが、極端にではないが少し狭く、高めとサード側がわずかに広い」、そういうゾーンの特徴を持つアンパイアで、ゾーン全体はやや狭いほうに属する。
資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年11月6日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (3)アンパイアの個人差をグラフ化してみる
両チームの投手が「その球審独特のゾーン」で同じように判定され、同じように被害をこうむったというのなら、「まぁ、MLBではゾーンもアンパイアの個性のうち」と、肩をすくめて苦笑いすることもできなくもない。

だが、だ。
ジョー・ウエストは、ダグ・フィスターのストライクだけを、ボール判定」している。こればかりは許せない。監督エリック・ウェッジはなぜこんなおかしなアンパイアに抗議しないのか。


ついでに書くと、
今日最も被害を受けたのはフィスターだが、左打者イチローの、第3打席2球目のアウトコース低めの判定も酷い。
ダグ・フィスターの右打者のアウトコースへの判定がことごとくボール判定になったわけだが、左打者への投球で、これほど酷い判定を受けたのはイチローだけだ。
Seattle Mariners at Los Angeles Angels - July 7, 2011 | MLB.com Classic

左打者への判定
2011年7月7日 球審ジョー・ウエストの左打者のゾーン

2011年7月7日 イチロー第3打席2球目 投手ジェレッド・ウィーバー


もうすぐオールスターだが、オールスター出場選手だけを一方的に保護し、優れた選手だとアピールしてまでして、不自然な大量投票によって進んだマトモでないオールスターの体面をとりつくろい、演出しても、何の意味もない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月3日、「ここまでするか」と感じる、2011年オールスター投票の作為。






damejima at 14:11

July 03, 2011

今日のセーフコのゲームで、サンディエゴは左投手を先発させてきたが、試合開始前から日本のファンに予想されていたとおりの「貧打」で、9回を1失点に抑えたダグ・フィスターが「完投負け」した。
これでダグの今シーズンの成績はとうとう3勝9敗という数字になってしまったわけだが、防御率は、なんと3.02のハイスコアだ、

いったいどこの世界に、防御率3.02で、9敗もする投手がいるというのか。監督エリック・ウェッジは、無意味な「左右病」のスタメン起用でどこまでダグ・フィスターに迷惑をかければ気がすむのだ。
San Diego Padres at Seattle Mariners - July 2, 2011 | MLB.com Classic


エリック・ウェッジのくだらない戦略のひとつに、「相手の先発投手が左か右かによって、使う選手、特に下位打線のプレーヤーの顔ぶれを大きく変更する」というのがある。
この愚策、「左右病スタメン」とでも呼んでおこう。

シーズン当初は、イチロー、フィギンズ以外は、ほとんどの打順が変更され続けたが、ようやく最近になって、イチロー、ライアン、アックリー、スモークあたりの野手が上位打線として固定されてきてはいる。

だがそれでも、いまもエリック・ウェッジの「左右病」は酷い。

特に酷いのは、相手先発が左投手の場合
日本のシアトルファンの間では、「左投手との対戦では、エリック・ウェッジは勝つつもりがないんじゃないか」とまで言われだしている。


こういう話題が出すとよく、データとはとても呼べない思い込み数字を頭に描きつつ、エリック・ウェッジが左投手に対して組む打線の酷さを擁護しようとする人、あるいは、自分の好きな選手をウェッジが好んで起用するのを擁護しようとするヒトをみかけるが、アホらしいにも程がある。

まぁ、ファンが、根拠になど到底ならない「データもどき」や、単なる自分の好みから、脳内思い込み打線を組むのなら笑って済まされもするが、まさかウェッジ本人も、そういうくだらない思い込みと、根拠のない好みだけで、現実にまったくそぐわない打線を毎回組んでいるのではないか? と心配になってきた。


いくつか、シアトルの打撃に関する「思い込み」の弊害を挙げてみよう。


「シアトルで、最も左投手を打っているのは、
右バッターではなく、左バッター」である

そもそも監督エリック・ウェッジのやりたがる「左右病打線」がおかしいというのは、「シアトルで、最も左投手を打っているのが、右バッターではなくて、左バッター」であることからして、明らかだ
右バッターも右投手を得意にしている打者が少なくない。右打者ミゲル・オリーボの12本のホームランのうち10本が右投手からのもの。右打者ブレンダン・ライアンの対右投手打率は.264で、左投手からの打率は.221しかなく、打点も大半が右投手からのものだ。

左投手を左バッターが打っているという、クリアな、誰の目にも明らかな現実があるにもかかわらず、ウェッジは、たとえば今日の打順でいうと3番に、クリーンアップで打てた試しがない右打者グティエレスを入れている。
これでは打線が機能するわけもない。
ウェッジは明らかに目の前の現実やデータでなく、古くさい野球常識にとらわれて采配している
対右投手の右打者 .227 .275 .317 .592
対右投手の左打者 .222 .308 .354 .662
対左投手の右打者 .225 .279 .336 .615
対左投手の左打者 .263 .314 .332 .646
(数字は順に、打率、出塁率、長打率、OPS)2011 Seattle Mariners Batting Splits - Baseball-Reference.com

左は得意で右が打てない左打者ダスティン・アックリー
40打数12安打
対右投手 32打数6安打 .188
左投手 8打数6安打 .750
Dustin Ackley 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

問題の解決には、常にハッキリ、明瞭に物事を考えるクセをつけておくことが大事だ。「見えてない問題」というものは絶対に解決しない。だから、いちいちハッキリと定義しておく。
シアトル打線で左投手を打てるのは、むしろ左打者である。この例からも、相手先発投手が左だから、右だからと、打線を組み替え続ける行為は、ことシアトルにおいては、まったく無意味な行為。


「ジャスティン・スモークは左投手に強い、
 わけではない」

実践トレーニング中の有望プレーヤーをあげつらいたいために書くのではないが、くだらない誤解は撲滅しておかなくては気がすまない。
よく「ジャスティン・スモークは左投手に強い」などと、わけのわからないことを強弁したがる人を見る。
ジャスティン・スモークが左投手に強い?(笑)何を根拠に、そういうおかしなことも、したり顔で言い続ければ間違った意見も正しくなるとでも思っているのか。くだらない。実際のゲームで右打席のスモークの「しょっぱさ」を見ていれば誰でも「スモークが本当にパワフルなのは左打席」であることはわかる。
もし、掲示板かなにかで、「ジャスティン・スモークは、左投手に強い」とか公言して得意ぶっている人間を見ても、くれぐれも「そうなんだ」などと納得してはダメだ。くだらないアホウの言うことなど、信じないことだ。

スモークの投手別の打撃データは、打撃データをチラ見している程度だと、「.280打っている対左投手のバッティングのほうが、右投手よりもはるかに優れている」ように見える。
Justin Smoak 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
だが、「対左投手の打率」という大雑把な数字は、先発投手を打った数字ではない。むしろ、MLBでよく「モップ」といわれる「敗戦処理投手」まで、あらゆるレベルの左投手を含んだ「雑な数字」だ。おまけに、スモークの場合、対左投手の打数が、対右投手よりはるかに少ない。
(これは、監督エリック・ウェッジが、スモークを「苦手にしているはずの右投手のときに、やたらと起用してきた」という意味でもある。ウェッジの先発起用がいかに合理性に沿っていないか、がわかる)

実際、もっと詳しいデータで、スモークの先発投手別の打率を見てみると、相手先発が左投手だろうと右投手だろうと、彼の打率はほぼ2割4分ちょっとしかない。
つまり、実は、スモークの打率は、先発投手に対する数字でいうと、それが左投手だろうと右投手だろうと、関係ない、のである。

くだらない思い込みをこれから聞かなくて済むように、あらためできちんと言い切って、定義しておく。
スイッチヒッター、スモークの現状のバッティングは、シアトル打線が苦手とする左投手先発のゲームで「特別な輝き」を期待できる、と言い切れるほどのデータ的根拠は、世界中どこを探しても存在しない。


「フランクリン・グティエレスは
 左の先発投手が打てる、わけではない」

エリック・ウェッジが何を期待してこの右打者をクリーンアップに入れたりするのか知らないが、彼は以前「クリーンアップのような、プレッシャーのかかる重たい打順は打ちたくない」という意味の発言をしたことでも知られる気の弱いバッターであり、今シーズンの彼の打順別データでもわかるとおり、彼が最も結果を残してきたのは「6番」などの下位の打順であって、「3番」は適任ではない。
Franklin Gutierrez 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

たしかに彼の対左投手打率は.308で、対右投手の.162よりはるかにいい。
だが、グティエレスも、ジャスティン・スモークで話したこと同じだ。彼は左の先発投手に対しては.231しか打てていない。右の先発投手に対する.182と、たいした差はない。

グティエレスの守備はともかく、彼のバッティングにエリック・ウェッジがどういうレベルを期待しているのか知らないが、ここでハッキリと指摘しておこう。
先発投手を打ちこなせるレベルにないフランクリン・グティエレスの現状のバッティングに期待して、シアトル打線が苦手としている左投手先発ゲームで、彼をクリーンアップに抜擢するのは、明らかに愚かな策。左投手に対するバッティングで彼に期待していいのは、ゲーム終盤のブルペン投手との対戦など、限定されたシチュエーションのみ。


「アダム・ケネディは、左右どちらの投手も打てるのに、
 左投手先発ゲームでは起用されない」

スモークと比較する意味で、アダム・ケネディの「投手別」の打撃について触れておこう。というのも、アダム・ケネディはスモークと非常に対称的な数字が残っているからだ。
Adam Kennedy 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
ケネディは、先発が右投手のゲームでの先発打率が.273あるのに対して、左投手先発ゲームでは、.222しか打てていない。こういう大雑把な数字だけ見ると、例によって軽率にも「ケネディは左バッターだけに、右投手が得意。右投手専用だ」と思い込む人間が出てくる。
本当に馬鹿につける薬がない。次のことを忘れてはダメだ。
エリック・ウェッジがケネディを先発起用したのは、ほとんど右投手の場合しかない。ケネディの起用ゲーム数と打席数は、対右投手が60ゲーム192打席、対左投手が33ゲームで42打席。つまり、右投手のゲームでは「先発フル出場させている」のに、対左投手のゲームではほとんど「守備固め」とか「代打」とかでしか使われていないのだ。

ウェッジがケネディを右投手のゲーム中心に先発させてきたにもかかわらず、ケネディの右投手全体、左投手全体、それぞれに対する打率そのものは、.270と.263で、ほとんど変わらない。これは素晴らしい。
ケネディのイニング別打率を見ると、ゲーム終盤になってもほとんど打率が下がらないのだが、それを見るかぎり、「ケネディは、右投手先発のゲームでは結果を残してきたのはもちろんだが、先発起用されなかった左投手先発のゲームの代打などでも、彼はブルペンレベルの左投手を、右の先発投手と同じレベルで打ちこなすように努力してきている」という意味にとらえることができる。

エリック・ウェッジのくだらない言い訳をこれからマトモに耳に入れずに済むように、あらためできちんと定義しておこう。
アダム・ケネディは右投手だけしか打てないのではない。右の先発投手はもちろん、マトモにスタメン起用されなかったゲームでも、左投手に対してそこそこの結果を残してきている。だから、先発投手が左だろうと、右だろうと、スタメン起用する価値がある。



今日のサンディエゴとのゲームでも、アダム・ケネディはゲーム終盤になって代打起用されているが、エリック・ウェッジは最近よくこういう中途半端な選手起用をする。
例えばナショナルズとのゲームでは、当時絶不調なのがわかっていたフィギンズを代走をやらせた後、守備にもつかせて、タイムリーエラーを誘発させ、逆転負けしている。
シュアなプレーのできるアダム・ケネディをこんな中途半端な起用で疲労させるくらいなら、なぜスタメン起用するか、最後までベンチに座らせるか、どちらかにすべきだ。(もちろん、本来はスタメン起用すべき)
おまけに今日の下位打線には、ジャック・ウィルソン、ショーン・フィギンズと打てない野手を並べ、おまけに、3番にグティエレスだ。打線が繋がるわけがない。

前の原稿で、「シアトルの打線は、エンジンのかかりが遅く、諦めるのが早い」「その原因は、ゲームになかなか入れない選手がいることだ」と書いたが、こんなハンパな選手起用ではゲームに入れっこない。当然だ。






damejima at 16:10

July 01, 2011

野球選手の数字、というのは、ちょっとした数字のマジックみたいなところがある。


たとえば、防御率3.00のエリック・ベダードと、防御率3.35のフェリックス・ヘルナンデス。試合を見ないで、「防御率」しか見ないようなおかしな人にしてみると、この2人が似たような投手に見えてしまうだろう。

だが、防御率というのは、9イニングでの自責点数に換算している数字であることに注意しなければならない。
防御率3.00で6回しか投げられない球数の多い今シーズンのベダードの失点は、だいたい「2点」。対して、防御率3.35で毎試合7回程度を投げるフェリックス・ヘルナンデスの失点は、ほぼ「3点」に近くなる。
2011 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPNa>


打線が貧弱で、1試合あたり3点ちょっとの得点しか期待できないなシアトルの野球においては、先発投手の失点が「6イニング2失点」なのか、それとも「7イニング3失点」なのかで、勝ちゲームなのか負けゲームなのか、終盤のゲーム展開やブルペンの使い方など、ゲームの様相がまったく違ってしまう
「6イニング2失点」なら勝ちゲームのリリーフを注ぎ込んで勝ちを拾いにいくゲームになる可能性があるが、「7イニング3失点」だと、もしかすると同点か負けている可能性がある。
なぜ、試合終盤の野手のエラーが致命傷になってしまうのか。なぜリリーフ投手のわずかな気のゆるみが、これほどダメージが大きいのか。なぜクローザーにかかる負担がこれほど大きく、簡単に負けてしまうのか。
数字を並べてみると、よくわかると思う。

ベダードとヘルナンデスの、どちらが優れたイニングイーターか? といえば、当然、ヘルナンデスがベダードを圧倒するに決まっている。
だが、実際のゲームでは、打線の貧弱すぎるシアトルが得意とする投手戦のクロスゲームに持ち込んでギリギリの勝ちを拾うという目的においては、単にイニングイーターであるというだけでは、試合に勝てないのだ。
本来、ヘルナンデスだけに責任があるのではなく、打線に責任があるのだが、今シーズンのレベルのヘルナンデスに好きなようにピッチングさせているだけでは、チームの勝率は5割を越えることはできない。これも事実だ。


シアトルの勝ち負けを決めているのは、常に「ほんのわずかな差」だ。
「ほんのわずかなこと」が、実はシアトルの先発投手の「評価」や、ブルペンの使い方、代打や代走などゲーム終盤の野手の使い方を「大きく間違えるポイント」になっている。
例えば、ナショナルズとの3連戦などは、監督エリック・ウェッジが「自分たちが、なぜ勝ち、なぜ負けているのかというゲームパターン」を把握しないままゲームを進めているために、スタメン、代打、代走、守備交代など、野手の適切な選択を間違えまくって、スイープされた。

シアトルで大事な「ほんのわずかな差」とは何だろう?
簡単な数字で示しつつ、2011年上半期のシアトル先発投手たちについて通知表をつけてみる。



エリック・ベダード
ERA 3.00
QS率 0.60
Erik Bedard Game By Game Stats and Performance - Seattle Mariners - ESPN
隠れエース。
6月30日時点では、アトランタ戦で怪我をした2人のキャッチャーを補充しなければならず、40人枠を開けるためにDL入りしてしまったが、エリック・ベダードの防御率は、3.00。これはア・リーグ12位で、これはCCサバシアや、CJウィルソンよりいい。素晴らしい数字だ。
15登板で90イニングだから、1試合あたりちょうど6イニング投げている。「6イニング投げて、2失点で降板」というのが、ベダードの標準的な登板だ。

だが、最近の彼はもっと素晴らしい。
5月6月は、10登板して、自責点16。1回の登板あたり、わずか1.60しか失点していない。特に5月の月間ERAは5登板、1.39で、本当に素晴らしい数字を残した。

チームがすべき仕事は、「イニングは食えないが、防御率がいいエリック・ベダード」に、勝ちをつけてやるには、どうしたらいいか、この設問に解決策を見つけてやることだ。相手投手にあわせて野手を組み替えまくっているだけでは無意味だ。
投手ごとこういう課題にひとつひとつ丁寧に解決策を見つけて、チームの「仕入れたモノを、同じ金額で売るような、無意味な自転車操業体質」を直していくことこそが、最近ブログ主が力説している「シアトルの監督、GMの、やるべき工夫であり、仕事」だ。
イニングが食えないが、防御率は素晴らしいベダードに、「4点以上の得点」あるいは、優秀なセットアッパーの援助さえあれば、彼の登板日に勝ちを拾える可能性は常にある。もったいなさすぎる。

シアトルの「1試合あたり3点ちょっと」という貧しい得点力を考えると、ベダードが6イニング2失点で降板した後の「残り3イニング」を、3人、あるいは2人の投手が「1失点以内」で乗り切ればいい。それが実現できたゲームは、シアトルの3得点に対して、対戦相手の得点は2から3で、勝てるか、同点であることになる。
非常にあやうい話だが、シアトルの勝ちパターンは「投手戦のクロスゲーム」なのだから、しかたがない。


フェリックス・ヘルナンデス
ERA 3.35
QS率 0.67
Felix Hernandez Game By Game Stats and Performance - Seattle Mariners - ESPN
今シーズンのヘルナンデスのピッチングは、あきらかにエースのそれではない。今の彼はむしろ「中堅のイニング・イーター」である。去年までの活躍で他チームのスカウティングが進んだことで、手の内を相手バッターにかなり読まれている。
今シーズンは18登板で129イニングを投げている。1登板あたり、7.17イニング。防御率から7イニングあたりの失点を求めると、だいたい2.60という計算になる。
特に、5月6月の12登板は、自責点33。1登板あたり2.75失点で、ほぼ常に「3失点は覚悟しなけばならない」という結果になっている。6月の6登板だけ見ても、自責点は18。やはり「1登板あたり、常に3失点」という結果は、6月になっても変わっていない。

イニングが食えるが、ほぼ3失点するフェリックス・ヘルナンデス」に勝ちをつけてやるには、どうしたらいいか。
シアトルの「1試合あたり3点ちょっと」という貧しい得点力を考えると、ゲーム終盤2イニングを、セットアッパー1人とクローザーが、「必ず無失点」で乗り切らなくてはならない。これは結構きつい。
もちろん、3失点がお約束という今の状態のヘルナンデスを勝たせるには、
打線が毎試合4得点すればいいわけだが、残念なことに、今のシアトルでは、彼に4得点を約束する能力がない。
だから、ヘルナンデスが降板する7回の時点で、もし相手チームにリードを許している状況のゲームでは、試合終盤に1点か2点失うことで、ほぼチームの負けが決定してしまう。
いまヘルナンデスに必要なのは、彼の足りない部分を補ってくれる「冷静な智恵袋」だが、ヘルナンデス自身の自分の能力への過信からチームは「智恵袋の」ロブ・ジョンソンを手放ししてしまっているし、また、ミゲル・オリーボのリード能力はロブ・ジョンソンほどは高くない。オリーボは、「打者を追い込むところまでは構成できるキャッチャー」だが、「うちとるところまで、全てを構成できるキャッチャー」ではない。バッターにファウルで粘られて手詰まりになると、同じような配球に終始する。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (1)打者を追い込んだ後のヘルナンデスの不可思議な「逆追い込まれ現象」

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (2)「ストレートを投げる恐怖感」と「アウトコースの変化球への逃げ」が修正できないヘルナンデスの弱さ。


ここまで書いたことで、シアトルの貧弱な打線を前提に考えると、チームがそれぞれのゲームに勝つ可能性は、「6イニング2失点のベダードは、7イニング3失点のヘルナンデスより勝てない」とは、必ずしも言い切れないことがわかってもらえるはずだ。
この失点の2とか3とかいう細かい話をベースに、残り3人の先発投手を評価してみよう。


マイケル・ピネダ
ERA 2.65
QS率 0.75
Michael Pineda Game By Game Stats and Performance - Seattle Mariners - ESPN
相手チームに手の内を読まれ始めるまではエース格と言えた。
16登板で、102イニング、33失点。1登板あたりでは、6.38イニング、2.06失点だ。「6回か7回を投げて、ほぼ2失点で終えてくれるピネダ」は、だいたい好調時のエリック・ベダードと同じことがいえる。これは、逆にいうと、「最近好調だったエリック・ベダードは、開幕当初のピネダに匹敵する快投ぶりだ」という意味でもある。
6回か7回を投げて、ほぼ2失点で降板するピネダ」を勝たせてやるには、ベダードと同じで、ピネダが2失点で降板した後の「残り3イニング または 2イニング」を、3人、あるいは2人の投手が「無失点」で乗り切ることで、かなりのパーセンテージで勝てるのは間違いない。
だが、たとえ1失点でもすると「延長戦」になってしまう可能性を考えなくてはならないので、リリーフ投手の責任はかなり重く、ブルペン投手の疲労はどうしても深くなる。
開幕当初とは違い、相手チームはピネダの投球パターンを厳しくチェックしてきているわけだが、それに対してピネダは、チェンジアップを持ち球に加えることで「壁」を乗り越えようとしている。
若いが、ピッチングに対する情熱のある投手である。


ジェイソン・バルガス
ERA 3.88
QS率 0.56
Jason Vargas Game By Game Stats and Performance - Seattle Mariners - ESPN
いわば精密機械のような天才肌の投手。
3ヶ月でみると、16登板で、104.1イニング、45失点と冴えない。だが、ようやく相性の悪いジメネスから解放された最近の10登板は、69.2イニング 24失点。1登板あたりでは、6.92イニング、2.40失点と、輝いている。イニング数でみても、ヘルナンデスにも負けていない。かなりしっかりしてきている。

要は、バルガスという投手は、他の投手と基準が違うのだ。数字だけで追いかけてはいけない天才ぶりがいつも垣間見える。
好調時と、打たれるときの差が激しい。調子がいいと、完封ベースで投げることさえできる。これは、彼が気分屋だからではなく、何度も書いているように、球審、キャッチャーとの相性の問題だ。相性が悪いと、3から5イニングで、5点前後失点し、簡単に降板してしまうこともある
要は、バルガスは、ピッチングが「精密すぎる」のだ。

とにかく「精密機械のバルガス」の場合、単に気持ち良く投げさせることだけに気をつかうだけで、びっくりするくらいいいピッチングをしてくれる。むしろ、これほどわかりやすいピッチャーはいないだろう。
彼の実力を低く勘違いしている人が多いが、最低でも「月間5登板で3勝2敗」という計算の成り立つ、シュアな先発投手だと思う。
チームが彼に「月間6登板、4勝2敗」を、1シーズン2度くらい実現させたいと思うのなら、チームがバルガスに、キロスやジメネスのようなおかしなキャッチャーをあてがうのを絶対に止めるべきだ。、


ダグ・フィスター
ERA 3.18
QS率 0.56
Doug Fister Game By Game Stats and Performance - Seattle Mariners - ESPN
成長して、一皮剥けたダグ・フィスター」。
単なる5番手投手だと思っている人もいまだに少なくないが、それはまったくの間違い。どこを見ているのだ、と、言いたい。バルガスと同様に、本当に勘違いした人が多い。
16登板で、110.1イニング、自責点39。1登板あたりでみると、6.88イニング、244失点。
防御率3.18は、ア・リーグ17位。オークランドのトレバー・ケイヒルと肩をならべ、テキサスの期待の若手ザック・ブリットンや、あの「ちっこい球場」で打線の援護をもらいまくって10勝もあげているジョン・レスター、完全男マーク・バーリー、タンパベイの好投手デビッド・プライスより、ぜんぜんいい数字だ。

打線の貧弱なシアトルの先発投手というものは、平均投球イニングと自責点が、「6回2失点」なのか、「7回3失点」なのかで、まったく違ってくる、ということを長々と書いているわけだが、今シーズンのフィスターは「ほぼ毎試合7イニング投げられる、堂々たる若手投手」である。これは言うまでもなく、絶賛に値する。
フィスターの欠点は、WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)が良くないことでわかるように、ランナーを簡単に出してしまうことであり、この悪いクセはまだまだ直っていないのは確かだが、一方では、彼なりのピッチングスタイルが固まりつつあり、ランナーを出した後に粘り強く投げ、ピンチを切り抜けていける手腕がだんだん身についてきている。

「7回を粘り強く投げられる実力の備わってきた若い投手」に勝ちをつけてやる手段など、グダグダ書く必要などない。チームがもっと細かい野球でもなんでも、やれることをやり、十分な点をとってやるだけのことだ。
そんなことも思い浮かばないような監督やGMなら、さっさとクビにしたほうがマシだ。


1登板あたりの投球イニング数
フェリックス・ヘルナンデス 7.17
(5月6月のバルガス 6.92)
ダグ・フィスター 6.88
バルガス 6.51
ピネダ 6.38
ベダード 6.00

1登板あたりの自責点
ベダード    2.00
ピネダ     2.26
(5月6月のバルガス 2.40)
フィスター   244
ヘルナンデス 2.60
バルガス    2.81

7イニング換算の自責点
ピネダ     2.06
ベダード    2.33
(6月のピネダ 2.38)
(5月6月のバルガス 2.43)
フィスター   248
ヘルナンデス 2.75
バルガス    3.03


最後に挙げたいくつかの数字は、シアトルの先発投手にとって、いかに「率」ではなく、グロスの失点数が少ないままマウンドを降りることが大事か、ということを表現したいために挙げてみた。
けしてヘルナンデスがア・リーグで成績の悪いほうに属する投手だ、などと、わけのわからないことを言うつもりではない。

だが、6回か7回、2失点くらいでマウンドを降りるヘルナンデス以外の4人の投手が、長く投げてはくれるものの、ほぼ毎試合3失点しているヘルナンデスより劣っているとでも勘違いして、「キング」だの、「キングスコート」だのと、もてはやしているような、お粗末でショボい野球意識では、いつまでたっても、「このチームが、貧打なりに勝ち続けていくための方法論」に辿り着けない、ということを言いたいのである。






damejima at 19:10

May 21, 2011

トリー・ハンターはほんとに災難だったねぇ。

トリー・ハンターは2001年から9年連続ゴールドグラバーになっているわけで、2001年にメジャーデビューしたイチローのファンにとっては、たぶん、同じ年にメジャーデビューしたセントルイスのアルバート・プーホールスと並んで、最も印象深いプレーヤーのひとりだろうと思うし、ブログ主にとってももちろん同じ。

トリー・ハンターはやはりセンターにいてほしい。強くそう思う。若手の育成なんてことは、ハンターの守備が本当にどうにもならなくなって、それからでもいいんじゃないのか。
やっぱりハンターがチームの中心にいるエンゼルスが、エンゼルスだ。
Los Angeles Angels at Seattle Mariners - May 19, 2011 | MLB.com Classic



このプレーは、同点で迎えた9回裏、2アウト3塁の場面で、デーゲームのセンターフライが太陽と重なってしまって名手のトリー・ハンターにも捕れず、シアトルがサヨナラ勝ちした、というわけだけど、そもそもこの9回裏を同点で迎えるにあたっては、たくさんの選手の貢献があった。
ブログ主としては、ダグ・フィスターマイケル・ソーンダース、2人の若いはえぬきのマリナーの仕事が大きいと感じた。

1) 先発ダグ・フィスターの8回1失点の好投
2) リリーフ デイビッド・ポーリーの好投
3) 9回表 マイケル・ソーンダースのセンターフライ好捕
4) ジャック・カストのプッシュバントヒット
5) アダム・ケネディの送りバント
6) ルイス・ロドリゲスの進塁打
7) ローボールヒッター、カルロス・ペゲーロ

マイケル・ソーンダースの「ダンシング・キャッチ」については日本のシアトルファンがアニメgifにしてくれている。下のリンク先は、そのアニメgifファイル。
http://sageuploadw.rdy.jp/12upload/upload.html
もちろん、このブログで点検した上で再配布したほうが、リンクを踏む人は安心だとは思うが、このブログはアップできるファイル容量に制限があるため、5M弱の大きさのこのファイル自体をアップして再配布することはできない。
そのため各自が自己責任でリンク先を踏み、このユニークなキャッチングを見てもらいたい。見る価値はある(笑)


このキャッチングに関してSeattle Post-IntelligencerのJohn Hickeyが記事にしているが、この記事で、イチローとソーンダースのお互いに関するコメント部分がなかなか興味深い。まぁ、ある種の「師弟関係」のようなものだ。このコメントを読むと、ソーンダースが映画「ベスト・キッド」の子供のように思えてくる(笑)

Hickey: Ichiro likes Saunders’ smarts | Seattle Mariners

師匠イチローの「ソーンダース評」
“From my angle (in right field) it’s fun to watch (Saunders’ play),’’ Ichiro said after the game. “He was fighting and he wasn’t giving up. And it proved that he’s a smart ballplayer.

“To even have a chance to make that play, you’ve got to imagine it before it happens. You’ve got to position yourself in your mind so that when it happens, you’re ready. He did that. To me, that play proves that Saunders is a smart player.’’


ソーンダースからみた「イチロー」と、9回のキャッチングのソーンダース自身による解説)
“Ichiro is one of the all-time greats, so it’s great to hear that from him,’’ Saunders said. “You do have to visualize before, sort of pre-prepare, because the late afternoon sun (in Safeco Field) can be tough. You’ve got to give yourself a chance to be ready for the ball to come out of the sun while you still have a chance to catch it.’’








damejima at 08:23

May 19, 2010

前の記事にひき続いて、某巨大掲示板の興味深いデータをもうひとつ記録に残そうと思う。
これもまた、今シーズンのシアトルのアンバランスすぎる不合理なチーム状態を示すデータ、ということになる。

989 名前:名無しさん@実況は実況板で[] 投稿日:2010/05/19(水) 17:59:26 ID:cDazFpUJ [38/39]

1. Fister SEA 0.94(3勝1敗)
2. Braden OAK 0.96
3. Marcum TOR 0.97
4. Hughes NYY 0.98
4. Vargas SEA 0.98(3勝2敗)

ESPN 2010年ア・リーグWHIPランキング
(2010年5月18日現在 ブログ側で添付)

ア・リーグWHIPランキング(2010年5月18日現在)

WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)というデータは、「投手が与えた四球と被安打数の、イニングあたりの数」。デッドボールやエラーによる出塁は含まれない。2009シーズンにウオッシュバーンがMLB全体のWHIPランキングのトップを走っていた時期があり、このブログでも何度も挙げた。
WHIP (野球) - Wikipedia

2010年WHIPランキング(ESPN)
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月23日、ウオッシュバーン、ついにWHIPア・リーグトップに立つ。7回QS、4連勝の8勝目でERAは2.71に上昇。ゲーム後、彼は初めて自らハッキリと「チームに残りたい」と強く意思表明した。ロブ・ジョンソンは先発ゲーム8連勝。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年8月4日、ウオッシュバーン、7月のア・リーグPitcher of Month受賞!ロブ・ジョンソンは6月ヘルナンデスに続き2ヶ月連続で月間最優秀投手を輩出、キャッチャーとしての揺るぎない優秀さを証明した。


現在のWHIPランキングでベスト5に入った投手たちのうち、シアトル以外の投手たちの横顔をみてみる。

WHIPランキング2位のダラス・ブレイデンは、もちろん、この5月9日にメジャー17人目の完全試合を達成したオークランドの主力左腕。
WHIPの数値が素晴らしいにもかかわらず、ERAは3.50と、WHIP上位5人の中で最も悪い。完全試合の前の試合も、後の試合も負け投手になっているように、好不調の波が大きいタイプだ。
K/BBは4.13で、5人の投手の中ではひとり抜けている。とにかく四球を出さないことが、彼のWHIPの高さにつながっているようだ。
だからブレイデンは、ハラデイリンスカムのような、勝ちだけを積み重ねてサイ・ヤング賞を争うような大投手タイプではない。むしろ、12勝10敗とか、13勝11敗とかの成績でシーズンを乗り切ってくれる典型的なイニング・イーターだ。チームにとってはありがたい存在である。
Dallas Braden Stats, News, Photos - Oakland Athletics - ESPN

WHIP上位5投手のERA
Doug Fister 1.72
Dallas Braden 3.50
Shaun Marcum 2.61
Phil Hughes 2.25
Jason Vargas 2.93


WHIPランキング3位のショーン・マーカムは、トロント・ブルージェイズの技巧派の右腕で、開幕投手。トロントのエースだった大投手ロイ・ハラデイがフィリーズに移籍したことで、今年の開幕投手を務めた。5月に入って味方のRS(Run Support Average)も上がってきて、現在3連勝中と、ノッてきている。
Shaun Marcum Stats, News, Photos - Toronto Blue Jays - ESPN

WHIPランキング4位のフィル・ヒューズは、ヤンキース期待の若手右腕で、まだ23歳。デビュー以来どうも良いのか悪いのかパッとしないシーズンが続いていたが、今シーズンは見違えるほどいい。開幕から5連勝、負けなし。
とにかく今シーズンのピッチングにはキレがある。(「投手コーチのアドバイスでオフからチェンジアップに取り組み、それが自信を持って使えるようになり、投球の幅を広げることができた」フィル・ヒューズ)
加えて、彼の登板時の味方のRS(Run Support Average)が凄まじい。RS 11.05は、ア・リーグのトップ5に入る数値。これだけ点もとってもらえば負けないわけだ。今秋には最多勝をチームメイトのサバシアあたりと競うシーンもあるかもしれない。
ヤンキースというと、ペドロイア、エルズベリー、レスターなど新人をスタメンに育てあげた実績の多いボストンに比べて若手育成が上手くないというイメージも強かったわけだが、カノー、ヒューズ、チェンバレン、ガードナー、セルベリ、テムズなど、最近のヤンキースは若手育成が非常に上手く機能しだしている。(記事例:スポーツナビ | 野球|コラム好調のヤンキースを支える「ホームグロウン選手」たち
Phil Hughes Stats, News, Photos - New York Yankees - ESPN


RS(Run Support Average ラン・サポート)というデータは、その投手の登板時に味方がどれだけ点をとってくれたか、という数値なわけだが、WHIP上位の5投手のRSはこんなふうになっている。

WHIP上位5投手のERAとRS
Doug Fister 1.72 4.79
Dallas Braden 3.50 4.67
Shaun Marcum 2.61 6.97
Phil Hughes 2.25 11.05
Jason Vargas 2.93 4.50

WHIP3位マーカムと、4位ヒューズには、かなりのRSがあることがわかる。
一方で、残りの3人は4点台。RSは9イニングの数値だから、自分がもし勝ち星をゲットしようと思えば、失点を3点以内に抑えるしかない。つまり、毎試合のようにQSすることが求められるわけである。

これは結構きつい。

カンザスシティのグレインキーも防御率2.72、WHIPが1.07でありながら、打線ラン・サポートが3.92しかなく、いまだに1勝4敗で、毎シーズンのことながら気の毒になるが、シアトルには、ある意味、「フィスター、バルガスと、グレインキーが2人いる」ようなものだ。

特に、WHIP第1位で、防御率も1.72と素晴らしいダグ・フィスターは、打線次第でもっと勝ちを増やせたはず。
例えば5月2日のセーフコでのテキサス戦。フィスターが無四球無失点で8回を投げぬいて、1−0でリードして最終回を迎えながら、9回表にアーズマが打たれ、同点になり、延長12回で負けた。
こうした例はフィスターだけでない。今シーズン、シアトルのどの先発投手にもある。ともかく先発投手が勝ちに恵まれていなさすぎる。
Doug Fister Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

Jason Vargas Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

フィスターだけに限らず、味方がちゃんと点をとっていさえすれば、今年のシアトルの先発投手にはもっと勝ちがついているのは間違いない。






damejima at 21:11

April 21, 2010

ちょっと気になって調べてみて、驚いた。
こんなこともあるんだな。


2010年4月19日、昨日のゲームでダグ・フィスターが6回までノーヒットに抑える好投をしたのだが、相手チームはボルチモアである。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - April 19, 2010 | MLB.com Gameday

そういえば、去年ウオッシュバーンは準パーフェクトをやったなぁと思いつつ、このゲームを見ていたが、試合後に調べて、まずひとつ驚いた。
2009年7月6日に、ウオッシュバーンがセーフコで9イニングを1安打ピッチング、つまり、準パーフェクトゲームを達成して、ESPNの2009年ア・リーグ ベストゲームの第6位にランクインしたりしたのだが、このときの対戦相手もまたボルチモアだったのである。(スタジアムも同じセーフコ)
Baltimore vs. Seattle - July 6, 2009 | MLB.com: Gameday

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月6日、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリー、「準パーフェクトゲーム」達成!ウオッシュバーン初の「無四球試合」。9回1安打完封。


さらに、まだある。同じボルチモア相手にノーヒッターを達成しかかっただけなら、ボルチモアの打線が毎年湿っているとかなんとか説明されてしまいそうなものだが、実は、両方のゲームでノーヒッターを阻止したのが、同じ打者だったのだ。

ニック・マーケイキス。
ボルチモアの強肩のライトである。

ウオッシュバーンの準パーフェクトゲームでは、4回2死から、5球目の4シームをレフト前ヒット。レフトはランガーハンズ。
また、ダグ・フィスターのゲームでは、7回無死から、4球目のストレートをセンター前ヒット。センターはフランクリン・グティエレスである。

マーケイキスは2003年のドラフト1巡目(全体7位)でボルチモア入りした。アテネ五輪でギリシャ代表として投手も務めているように、元々カレッジ時代には投手と外野手、両方をやっていた。
強肩のライトであり、2008年の補殺数はメジャー1位の17、2009年は2位の13。ボルチモアのファンは、もし同時代にイチローがいなければ、オールスターのア・リーグのライトのスターターは、このマーケイキスになっていたかもしれないと思っているのかもしれない。

MLB 年度別補殺数1位・2位
2000 デイブ・マルチネス 15  アブレイユほか1名 13
2001 ラウル・モンデシー 18  ゲレーロ 14
2002 ロバート・フィック 21   ゲレーロほか1名 14
2003 リチャード・ヒダルゴ 22 ホセ・クルーズJr. 18
2004 リチャード・ヒダルゴ 14 アブレイユほか4人 13
2005 ジェフ・フランコーア 13 イチローほか4人 10
2006 ブラッド・ホープ 16   ジェフ・フランコーア 13
2007 ジェフ・フランコーア、マイケル・カダイアー 19(同数)
2008 マーケイキス 17     ハンター・ペンス 16
2009 ハンター・ペンス 16   マーケイキス 13

2010年 補殺ランキング
MLB Baseball Fielding Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

捕殺数ランキングに載っているプレーヤーの大半はライトのプレーヤーである。メジャーにおけるライトのポジションが、補殺で観客を魅了する、という意味で、ある意味の守備の花形ポジションであることがよくわかる。守備位置が深く、補殺が容易ではないセンターはキャッチングが命だが、ライトのプレーヤーは、キャッチングに加え、強肩でなければ一流にはなれない。

イチローの名前が上のリストにちょっとしかないが、心配ない。理由はハッキリしている。
補殺12を数えた2003年、2004年には、ランキング3位、4位、2005年には補殺10で2位になっているし、そもそもイチローの強肩がメジャー全体に知れ渡ってしまってからというものは、試合を見ていればわかることだが、ことごとくサードを回るランナーが自重してしまって、ホームに突入してくれなくなってしまった(苦笑)これでは補殺を増やしようがない。イチローの補殺シーンを見たいのに、残念なことである(笑)
また、補殺が多いからといって、そのプレーヤーが全ての守備においてソツがないというわけではない。例えばゲレーロは送球や守備が粗いといわれ、ゴールドグラブをとったことがない。強肩はあくまで守備の一部であって、全てではない。


なにはともあれ、
次にノーヒッターにチャレンジするときは、マーケイキスにだけは注意しなければならない(笑)





damejima at 09:42

April 20, 2010

4月13日のホームゲームで今シーズン好調のオークランド相手に一歩も引かない無四球の好投をみせていたフィスターロブ・ジョンソンのバッテリーが、こんどはボルチモア相手に6回までノーヒットに抑え込む好投をみせた。
イチローの浅いフライのランニングキャッチ、フィギンズのライト前に抜けるゴロを好捕して反転しながら見事に送球したファインプレー、ジャック・ウィルソンのファインプレーなど、ノーヒット・ノーランが達成されるとき特有の雰囲気があっただけに、7回にマーケイキスに初ヒットを許したときには、残念だと思うと同時に、なんとなく肩の荷が下りてホッとした(笑)

いくらブライアン・ロバーツが怪我(腹筋痛らしい)で欠場していて元気のないボルチモア打線とはいえ、6回を終えた時点で70球前後と、フィスターのピッチングは非常に効率がよかった。この2試合のホームでの登板で、許した四球はわずか1つである。
今日も終わってみれば、95球投げてストライク63。綺麗にボール:ストライクが1:2の理想配分になっていたことからも(四球、死球と続いた初回を除いて)いかにバッテリーがピッチングをコントロールできていたかがわかる。
これでフィスターはロブ・ジョンソンと組んで2連勝。やはりロブ・ジョンソンと組んだときの投手のERAは驚くほど低くなる。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - April 19, 2010 | MLB.com Gameday

投手コーチ リック・アデアの試合後のコメント
アデアも、この2試合のフィスターの仕事ぶりが「バッテリーとしての仕事」である部分を十分に認識している。
"I think in terms of movement and command, yeah," Adair said. "He was good. Again, he commanded both sides of the plate, was down in the zone and used his soft stuff when he needed to. He did a lot of things well and [catcher Rob Johnson] did a tremendous job with him."
Fister's gem, seven-run third down O's | Mariners.com: News


たぶんせいぜい2ヶ月もあれば、つまり夏になる前に数字的にハッキリ結果が出るだろうと思っているのだが、ロブ・ジョンソンとアダム・ムーア、この2人のマスクのゲームで、だいぶERA、被打率、四球数など、いろいろな数字に差が出る、と予測している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月13日、初回イチローを三振にしたオークランドバッテリーのたいへん美しい配球。持ち球の少ないフィスターに「ストレートのみ」で素晴らしいピッチングを披露させたロブ・ジョンソン。2人のキャッチャーの「素晴らしき配球合戦」。

ちなみに、去年デビューのフィスターの年度別捕手別のCERAなど、簡単な数値をあげておく。
昨シーズンのフィスターはダメ捕手城島とばかり組まされ、53イニングでなんと11本もホームランを打たれている。
言い換えると、運の悪いことに彼はデビューイヤーに、まったくといっていいほどロブ・ジョンソンとはバッテリーを組ませてもらってない。つまり、まぁいってみれば、フィスターは「ロブ・ジョンソン効果」の凄さを何も体験しないまま、デビューシーズンを終わってしまったのである。

2009年 フィスターの捕手別データ
(数値はCERA、被打率、被OPS)
城島        53イニング 4.58 .271 .810 
ロブ・ジョンソン  1イニング 1.29 .250 .650
アダム・ムーア  7イニング 0.00 .200 .551
Doug Fister 2009 Pitching Splits - Baseball-Reference.com

2010年 フィスターの捕手別データ
(数値はCERA、被打率、被OPS)
ロブ・ジョンソン 15イニング 0.60 .120 .294
アダム・ムーア  4イニング  4.50 .333 .817
Doug Fister 2010 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


いかに、2009年の監督ワカマツのチームマネジメントが、ダメ捕手に気をつかって投手を任せてしまい、チームの負けを無駄に増やしていたかがわかる。ほんとうにさっさと首にすべきだった。

2010シーズンはちょっと違う。フィスターとアダム・ムーアとの相性がイマイチだとわかると、サクッとロブ・ジョンソンとのバッテリーに切り替えて大成功を収めた。
2010シーズン開始当初は、ヘルナンデスローランド・スミスがロブ・ジョンソンの担当みたいな感じで始まったが、4月19日の段階では、デトロイト3連戦でローランド・スミスがアダム・ムーアに替わった一方で、4月13日以降フィスターの担当がロブ・ジョンソンに替わったように、柔軟な対応にはなっている。


これからクリフ・リーエリック・ベダードのベテラン投手たちが現場に復帰して陣容が本格的に整うわけだが、アダム・ムーアのリードがどうも単調であることがわかってきているだけに、(去年あちこちを手術しているロブ・ジョンソンの体調面に不安がなければ、だが)先発投手5人の大半をロブ・ジョンソンが受ける時期が遠からずやってくるのが当たり前の結果だと思っている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月6日、スネル、アダム・ムーアのバッテリーが多用し、延長サヨナラ負けを招いた「同じコースにストレート・変化球を続けるパターンの欠陥」をちょっと研究してみる。






damejima at 21:26

April 14, 2010

まだ試合は始まったばかりなのだが興奮している。

なぜって、投球術にたけた大投手ロイ・ハラデイや、ベテラン・クローザーのネイサンが投げているわけでもないのに、このゲームの序盤3イニングが、両チームの素晴らしいバッテリーワークによる「両軍配球ショー」のような様相を呈した、非常に稀にしか見られないテクニカルなゲームになっているからだ。
Oakland Athletics at Seattle Mariners - April 13, 2010 | MLB.com Gameday

こんな中身の濃いゲーム、長いシーズンでもそうそう見られないと思う。超レアといってさしつかえない。なぜNHKはこういう素晴らしいゲームを放送しないのだろう。アホウとしかいいようがない。


まずオークランドサイドだが、1983年生まれのカート・スズキが、素晴らしくコントロールのいい1988年生まれの若い左投手ブレット・アンダーソンとのバッテリーで、アンダーソン独特の低めに流れるカーブを非常に美しい配球の中で有効に使って、シアトルの打者たちを手球にとった。
ストレートを左右一杯(特にハーフハイト)に散らしながら、最後は左打者でいえばアウトロー、右打者ではインローに、沈みながら流れるカーブを空を切らせ続けているのである。

一方でシアトルの1983年生まれのキャッチャー、ロブ・ジョンソンは、まだ持ち球の少ない1984年生まれの右投手ダグ・フィスターに、ゲーム序盤、なんとストレートオンリーで勝負させ続け、コースの投げわけのみで、3イニングをもたせてしまった。(4回以降には変化球を混ぜ始め、結局フィスターはなんと無四球で8回を投げ切ってしまった

素晴らしい「配球合戦」である。

追記:試合後のフィスターへのインタビュー
Bradley's homer backs Fister's gem | Mariners.com: News
What worked so well?
何が今日の好投につながった?
"Attacking the hitters, being able to keep the ball down and kept things moving," he said. "[Catcher Rob Johnson] mixed the pitches well tonight."
「打者に向かっていったことだね。常にボールを低めに、そしてボールを動かし続けたこと」とフィスター。「(キャッチャーのロブ・ジョンソンが)今夜はうまく配球してくれたよ」



まずはとりあえず1回裏に天才打者イチローが三振にうちとられた場面から見てもらおう。
敵ながら天晴れ、素晴らしい配球である。たいへんに美しく、無駄がない(ただ、ロイ・ハラデイほどではない。彼は別格だから。)イチローの熱狂的なファンである自分が言うのだから間違いない(笑)

2010年4月13日 1回裏 イチロー 三振1回裏 イチロー
三振


以前に、下記の記事で、6つの配球パターンを紹介した。Pitching Professor Home Pageを主催するJohn Bagonzi氏によってWeb上に発表されている、ストレート、カーブ、チェンジアップ、3つの球種だけを使った6つの配球パターンである。
Pitching Professor Home Page

WebBall.com - Pitch Sequence & Selection

上の画像のイチローへの配球はこうなっている。

外一杯ハーフハイト ストレート 見逃しストライク
外にはずれる カーブ ボール
内一杯のハーフハイト ストレート ファウル
外にはずれる カーブ(2球目とまったく同じ球)空振り三振

まさに、John Bagonzi氏の紹介する6つの配球パターンのうちの5番目、5TH SEQUENCE Living on the outsideである。
三振した球は、見逃してボールになった2球目とまったく同じ球である。天才イチローに、一度は見逃したボール球を振らせて三振にしてしまうのだから、いかにこの配球が素晴らしいかがわかる。
また、これは典型的な「4球で打者を仕留める配球」になっていて、教科書に載せたいくらいの、いい意味でスタンダードな配球だ。野球をやっている多くの人にとてもタメになる教材のような、そういう配球だと思う。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(1)「外角低め」「ストレート」という迷信

5TH SEQUENCE
Living on the outside


1. Fastball outer half
2. Curveball low and away
3. Fastball in
4. Change-up low and away

カート・スズキは、よほどイチローを研究していると見える。なぜなら、以前紹介したように、イチローがメジャーで唯一苦手としているカウントが、「1−2」なのである。そういう部分も、カートはきちんと計算にいれた上でイチローを攻めている。今日のイチローは何度もこの1-2というカウントに追い込まれて、凡退させ続けさせられた。

なお、上に挙げた美しい配球が偶然に生まれたものではないことを証明する証拠を2つ挙げておく。1回裏に三振したフランクリン・グティエレスと、2回裏のチャンスの場面で三振したロブ・ジョンソンへの配球である。
グティエレスの三振の配球もまた「美しい4球配球」である。イチローは左で、グティエレス、ロブ・ジョンソンは右だから、右打者用にアレンジされているが、基本コンセプトは全く同じであることは、下記の2枚の画像を見てもらえばわかると思う。三振したのも、イチローとまったく同じ、低目のカーブである。

2010年4月13日 1回裏 グティエレス 三振1回裏 グティエレス
三振


3球目のストレートと、4球目のカーブは、打者から見て、途中まで少し軌道が似ている。打者の手元に来て、そこからスウッと流れるのだから、いやらしい。3球目をファウルしたグティエレスは、4球目もバットが止まらず、空振り三振。

2010年4月13日 2回裏 ロブ・ジョンソン 三振2回裏 ロブ・ジョンソン
三振


インローに、「ストライクになるカーブ」、「ボールになるカーブ」をしつこく、しつこく投げられて、最近は四球を選ぶのがうまくなってきたロブ・ジョンソンも、さすがに根負けし、三振。


さて、かたやシアトルのロブ・ジョンソンフィスターのこちらも若いバッテリーである。
フィスターのストレートのスピードは90マイル前後しかないのだが、非常にうまく「投げ分けて」、打者に狙いを絞り込ませないで、かわし続けることに成功した。

「投げ分ける」というと、日本ではどうしても「コーナーぎりぎりを、きわどく突く」というイメージをもたれやすいが、それではかえって単調になる。
次の画像のオークランドの6番チャベスを三振にとった場面を見てもらうとわかる。バッテリーが目標にしているのは、「むやみに苦労してコーナーをつくこと」(そしてかえってコースが甘くなり、打者にも狙いを絞り込まれて、ホームランを打たれること(笑))ではなく、「打者の狙いを適度に翻弄すること」である。
適度に翻弄できれば、それでいいのである。

初球  アウトハイ ストレート ファウル
2球目 アウトロー ストレート ボール
3球目 イン ハーフハイト ストレート 見逃し
4球目 アウトロー ストレート 見逃し三振

2010年4月13日 2回表 オークランド チャベス 三振2回表 オークランド
チャベス 見逃し三振


配球がちょうど「三角形」になるのが、このパターンがうまくいっているときの証拠。コーナーいっぱいばかり狙っていると、「四角」にはなるが、「三角形」にはならない。

初球から高めの球を使うのが、とてもロブ・ジョンソンらしい。何度も紹介しているように、彼の得意パターンの「アウトハイ・インロー」でも、高めの球から入る。
上で挙げたイチローの三振では、見逃した2球目を4球目で空振りして三振したが、チャベスは、2球目と似たコースの4球目を「見逃し」て三振している。
カート・スズキブレット・アンダーソン「振らせる三振」と、「見逃させる三振」の、ここが違いである。
おそらくチャベスはこの場面、変化球か、インコースのストレートでも待っていたのかもしれない。チャベスにそう思わせた、つまり、狙いをはずさせた原因は、明らかに3球目のストライクが、アウトローいっぱいではなくて、インコースのハーフハイトだったからだ。

もし3球目のストライクがアウトローいっぱいのストレートだったなら、どうだろう。打者に4球目を予測されて、投手には大きな制約、足枷(あしかせ)ができる。例えばアウトローに変化球をもってきてもファウルできてしまうかもしれないし、アウトローに2球続けてストレートでも、3球目で同じ球で追い込まれたプロの打者は同じ球筋を見逃してはくれない。
だからこそ、「ダメ捕手城島のごとく、ワンパターンにアウトローを突き続ける」のではなく「3球目のインコースがハーフハイトだからこそ、利いている」と明言できるわけだ。


こちらはおまけ。
いつもの「アウトハイ・インロー」パターンである。ここでは、ロブ・ジョンソン、フィスターのバッテリーはカーブを使った。
何度も言っているように、「アウトハイ・インロー」では、ストレートから入ったら、次にはストレートではなく、球種を変え、変化球を投げることがほとんどだ。これは高さだけでなく、球種も変えることで、打者に「アウトハイ・インロー」パターンの変化のスケールを大きく見せる狙いがあるのだと思う。
上で示した「イン・アウトのコース、ハーフハイトの高さを有効に混ぜながら、ストレートだけを投げわけて、打者の狙いをかわし続けるパターン」とは大きな違いがある。

2010年4月13日 3回表 ペニントン センターフライ 3回表 オークランド
ペニントン
センターフライ







damejima at 12:12

September 14, 2009

ブーイングの原因は、コネ捕手城島の出すサインがフィスターにあまりにもクビを振られ続けるために、何度もマウンドに行くため。

投手とサインが合わなさ過ぎて相手チームの観客にブーイングを受けるキャッチャーを、生まれて初めて見た


アウェイのスタジアムの観客は、対戦相手のキャッチャーがピンチでマウンドにいくのなら、文句は言わない。彼らのホームチーム自軍にとってはチャンスの場面だからだ。
そうではなく、ただ「ピッチャーとサインがあわない」ことを理由に、それもたいしたピンチではない場面で、キャッチャーが何度も何度もマウンドに行くのを黙って許してくれるわけがない。



ダブルヘッダーは、もしゲームに遅延がなく定刻に開始されていても、普段のゲームより以上にお互いにサクサクとゲームを進めるのが常識。対戦するどちらのチームの選手も「無駄を省き、スピーディーにゲームを進める」のが暗黙の了解だ。
ましてこのゲームは、ただでさえ時間が限られるダブルヘッダー第一試合というのに、雨でゲーム開始時点で5時間以上もズレこんで始まっている
さらには、このダブルヘッダーの翌日は、シアトルはゲームがなく休めるが、テキサスはオークランド戦があって、休めない

ただでさえ時間がない。そのことは、スタジアムで何時間も耐えに耐えてゲーム開始を待ってきた観客が一番よくわかっているのである。

なのに、コネ捕手ときたら、サインがあわないといっては、何度も続けてマウンドに行く、きわどいスイングのほとんど全てを塁審に確認したがるで、本当にどうしようもない。メジャーのシステム、自分の置かれた状況をまったく理解していない。

ブーイングされて当然。

雨の影響で5時間も遅れたゲームを待ってくれていた観客は、イチローの歴史的な瞬間は見たくても、「バッテリー間のサインの調整」を見るために、悪天候の中、屋根のない球場でひたすら耐え続けたのではない。

そんなことは楽屋(がくや)でやっておけ、できないのならゲームに出るな、と言いたくなるのが当たり前。


またひとり、シアトルの若者が厄病神、コネ捕手城島に潰されることになった。コネ捕手とサインがあわないイライラを抱えて、フィスターは顔が紅潮したままゲームを終えた。

研究されはじめたフィスター、大炎上で終了。

Seattle vs. Texas - September 13, 2009 | MLB.com: Gameday


イチローの記録達成のかかったゲームというのに、これほど酷いゲームをするとは呆れかえる。

4回裏の守備でのダブルプレー機会では、クレメントとセデーニョを安売りして獲ったジャック・ウィルソンの悪送球で、ダブルプレーに失敗。ジャック・ウィルソンがダブルプレーに失敗するのは昨日に続いて、2日連続。いい加減にしてもらいたい。


5回表の攻撃では、無死1塁でコネ捕手城島はダブルプレーになるのが当たり前の平凡なサードゴロ(結果はキンズラーが1塁に投げず不成立)

この打席の前後、BS1解説の普段無口でクチベタの金森には、何度もくりかえし「バットのヘッドを回しすぎ。(理由は)強い当たりを打とうとしすぎるため」と、帳尻バッティングの欠陥をハッキリ言われる始末。
7回の1死1塁では、泳いでキャッチャーフライ。


5回終わらないうちに100球投げてしまったフィスターは、ホームラン打たれまくって、10安打5失点の大炎上。5イニングの登板で、失点しなかったのは3回のみ。

ローランド・スミスに続いて、フィスター大炎上。

どうぞ、ニセ正捕手のコネ捕手がこれからもフィスターを担当するといい(笑)そのうちこうなることは、最初からわかっていたのだ。


ローテを無理矢理いじった結果が、これだ。

2009年9月10日、ローランド・スミス撃沈で完璧なまでの完封負け。8イニングで10安打を浴びたニセ正捕手、LAAに3連敗スイープ。チームは9月恒例の大連敗で、貯金はこれでとうとう、たったの「3」。ロブ・ジョンソンの積み立て貯金を、チームみずからが食い潰した。






damejima at 08:53

August 28, 2009

今日はイチローもお休みだし、ボストンの記事を書いて終わりにしようと思ったんだが、な。そうもいかなくなった(笑)
フィスターも、よかった、よかった。これでようやく「本当の意味で」城島の仲間になれたな。バルガスオルソンに、これで一歩近づけたわけだ(笑)

上には上がいるもんだ。さすがメジャー。
あのビクター・マルチネスより、投手に凄い配球させるやつがいるんだから(失笑)5人続けて全く同じ配球でホームランサービスとかな。腹がよじれる(笑)

試合後の城島のインタビューが楽しみだ。
きっと「投手のコントロールがもうひとつで、構えたところにこないから一発を浴びすぎだ」とか、なんとか、投手批判してくれるに違いない(爆笑)
(あと、ちなみに今日も2三振。1死1塁と、2死1、3塁な)
Kansas City vs. Seattle - August 27, 2009 | MLB.com: Gameday

2009年8月27日、カーブのコントロールが全く無い田沢と、そのカーブを連投させまくるビクター・マルチネスの「鮮やかすぎるお手並み」(笑)



下に並べたのは、6回のカンザスシティの5人の打者に対する全配球だ。ズラズラ並べた意味は、見てもらえばわかる。まぁクリックして、全部見るといい(笑)

2009年8月27日 6回先頭打者マイアー先頭打者マイアー
最初の2球ともチェンジアップ

4球目ストレートを打ち損じてレフトフライ

2009年8月27日 6回2人目の打者バトラー シングル2人目の打者バトラー
最初の2球ともチェンジアップ

2球目のチェンジアップを狙い打ってシングルヒット

2009年8月27日 6回3人目の打者 ジェイコブズ3人目の打者ジェイコブズ
3球目まで全部チェンジアップ

4球目ストレートがボール
5球目のチェンジアップで三振

2009年8月27日 6回4人目の打者 カラスポ 2ランホームラン4人目の打者カラスポ
3球目まで全部チェンジアップ

4球目のストレートを2ランホームラン

2009年8月27日 6回5人目の打者 ティーエン6回5人目の打者 ティーエン
最初の2球ともチェンジアップ

3球目のストレートを打ち損じて
センターフライ


いやー。
5人全員に最初の2球続けてチェンジアップ(爆笑)で、その後ストレートと(笑)
でも、まさか、2ランホームラン打たれた直後のティーエンにまで、まるーで全く同じ配球するとは思わなかった(爆笑)
最高の配球だわ、これ。打者は最初の2球のチェンジアップを狙うか、カウント悪くなれば必ず投げてくるストレート狙えばいいだけ。最高(失笑)



7回にケリーが被弾した2ランまでの記録(笑)
画像は面倒になったので省略(笑)

先頭打者ペーニャ
7球全部インコースのストレート

全部インコースのまっすぐ(笑)なのに最後は空振り三振。この打席のペーニャは最初のストライクを2つとも見送っていることからも、狙いがストレートになかったことは推測できる。

2人目の打者 ベタンコート
初球ストレート  見送り
2球目スライダー ライトフライ
もともと早打ち打者だけに参考にならないが、それでも初球のストレートは見送ってきた

3人目の打者 アンダーソン
7球全球ストレート

3球目と5球目がストライクなのだが、先頭打者のペーニャ同様、2球とも見送ってきた。最後は四球。つまり、ここまでの3人のバッターは、いずれもストレートを見逃してきたことになる。

4人目の打者 デヘスース
ランナーが出た後の打者で、明らかにここまでの3人の打者と狙いが変わった。初球、2球目の外のストレートを、「ここぞとばかりに」続けてスイングしてきたのである(ファウル)。
これは「ランナーがいるときの城島のワンパターンな配球」に対する対応として、非常に正しい。なぜなら、「ランナーがいるシチュエーションで打席に入った左打者」に城島は「スローイングの邪魔にならないアウトコースの早い球」を配球したがることが多いからだ。これは城島の何年も変わらない基本のクセのひとつだ。
カンザスシティは、城島の攻め方をよくわかっている。
それはそうだ。監督は、元日本野球のヒルマンだ。0−2になったら、1球アウトコースに遊んでくるとか、日本人キャッチャーの思考方法パターンなど、いやというほど見てきている監督だ。
そういう城島のクセをあたかも見抜いているかのように、早いカウントのストレートをスイングしたことで、デヘスースは、バッテリーに「ストレート」を投げるのをためらわせることに成功した。

あとの勝負は、高校野球のような単純勝負。
デヘスース側にしてみれば、0−2に追い込まれたことで、「柔軟になんでも振っていく」か、「むしろストレートを捨てて、変化球に絞る」か、「ストレートをしつこく狙い続ける」か、最初だけは迷いがあったかもしれない。
だが、バッテリーが1球「ストレートで遊んできた」こと、そして1−2から「外のスライダー」に変えて決めようとしてきたのを見れば、バッテリーの狙いはある程度わかったのではないか。
「一度決めようとした作戦が失敗しても、同じトライを何度もしてくる」
、これもコネ捕手のいつものクセだ。
デヘスースは2度スライダーをカットしてタイミングをあわせ、最後はインコースに甘くなったスライダーをスイングしきって、2ランホームラン。
いかにコネ捕手の引き出しが奥行きがなく、小さいか、わかっただろう。ちょっと打者に自分の「ただでさえ乏しいパターン(特にランナーがいるケース)」に対応されると、もう「次の手がない」のである。大量失点はこうして生まれる。






damejima at 13:32
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  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



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