ショーン・フィギンズ

2011年5月30日、言語学的意味論から考える「しぼむ風船」ショーン・フィギンズ。
2010年10月3日、かつて2008年に城島が選ばれた「ESPN上半期LVP」と「年間LVP」をほぼ同時受賞したといえるショーン・フィギンズ。そして、「シーズン最悪の非貢献者」と名指しされたも同然のズレンシック。
2010年8月27日、8月初めにスポーツ・イラストレイテッドのジョン・ヘイマンは「8月末までにトレードされるかもしれない選手31人」のトップに、「ショーン・フィギンズ」を挙げた。(ウェーバー・トレードの解説など)
2010年8月17日、「フィギンズのセカンドコンバートと打順2番固定が大失敗に終わった」ことが、攻守両面、さらには規律の崩壊を招き、いまやシアトルは「ア・リーグで最もエラーの多いチームのひとつ」。
2009年12月8日、ショーン・フィギンズはどうやら2番を打ち、守備位置はシーズン当初サードではなく、セカンドらしい。
2009年12月4日、快足スイッチヒッター、ショーン・フィギンズ獲得。らしい。これもコネ捕手に払うサラリーが不要になった「シアトル正常化」のおかげ。

May 31, 2011

ここに四角い箱がある。と、する。

箱

箱の中に、空気の十分たくさん入った、2つの風船を詰めると、風船は押し合って一定の形に収まる。(画像では便宜上めんどくさいので2つの風船を同じような形に描いているが、同じ形になるとは限らない)

箱に詰められた2つの風船

次に、2つの風船の入った箱の中に、もうひとつ、の風船を加え、詰める風船の数を3つに増やしてみる。
3つの風船同士は押し合って一定の形に収まるが、最初に詰めた、2つの風船の形は、さっきとは異なる形になる。
この「同じ風船でも、他の風船との兼ね合いで、形が変わる」ところが面白い。

箱に詰められた3つの風船

このたとえ話は、もともとフランス系の言語学者丸山圭三郎さんという人が言語という軟体動物の「意味」の不思議な変容ぶりについて話したことをもとにしているのだが、野球というゲームにも、なかなか面白い示唆を含んでいると思う。


四角い箱が、野球チームのスタメン枠
風船が、選手。風船の「色」が、その選手単体の個性。風船の「形」や「大きさ」が、役割や期待度だ、とする。

四角い箱に「どういう色の風船を詰めるか」によって、そのチームの「全体的なカラー」は決まってくる。
たとえばホームランバッターを赤い風船だとして、箱に赤い風船だけを9個詰めこむようなことをすると、その箱は赤い風船だけが入った真っ赤な箱になる。また、俊足のアベレージバッターが青い風船だとして、箱に青い風船だけを9個詰め込むと、その箱は真っ青な箱になる。


だが、たいていは、ひとつの色だけではなくて、さまざまなカラーの風船を、適度なバラつきをもつように混ぜ合わせて、箱の中身、そのチームのスタメンを決める。つまり、野球チームには(そして、バンドや企業でも)さまざまな役割をもった人間のバリエーションが不可欠だということだ。

このことは、実例を考えればわかりやすい。ホームランの打てるバッターの並んだヤンキースを考えればわかる。
とても大量のホームランなど打ちそうもなかったカーティス・グランダーソンが突然ホームランバッターに変身したのは、彼にもともとボールを飛ばす才能があった、ということもあるだろうが、意味論的にいうと、「自分の周りに真っ赤な風船(=ホームランバッター)ばかりがいる状態に置かれた青い風船は、やがて時間がたつと影響されて、色が赤くなる」という部分も見逃せないとも思う。
それはオカルトではなく、意味論の世界だ。



もう一度、風船の話に戻る。


本当に重要なのは、ここだ。箱に詰め込まれる風船の立場からみると、箱に新しく風船が詰め込まれるたび、風船の「形」が変わってくること。
それぞれの風船の色(=個性)は同じでも、風船の「形」(役割やパフォーマンス)は変わる。

たとえば、シアトル・マリナーズ。
箱(=チーム)に、非常に強い個性をもつ典型的リードオフマンのイチローという巨大な青い風船(=選手)がいるところに、後から、同じ青い色の風船ショーン・フィギンズが詰め込まれた。
この場合、イチローという風船、フィギンズという風船に、どういう事態が起こると予測されるだろう?


ちょっとわかりにくくなった。
ちょっと、たとえ話で考えてみる。

ある野球チームが、シーズン30本のホームランを打てるスラッガーを9人揃えたとすると、そのチームは、シーズンに「30×9=270本」の大量のホームランを打てる、あるいは、バッター同士がお互いの相乗効果で、270本どころか、300本以上のホームランを打てるようになるものだろうか?

野球というスポーツのこれまでの歴史は、上のクエスチョンの答えが明らかに「 NO 」であることを教えてくれている。むしろ、そのチームのホームラン数は、「270本以下」になってしまい、コストパフォーマンスが悪い結果になることがほとんどだろう。

つまり、いいたいことはこうだ。
「同じ色の風船がひとつの箱に詰め込まれた場合、それぞれの能力が多少そがれて、完全には能力が発揮されなくなることがほとんどだ」ということ。言い方を変えると、同じ色の風船を詰め込みすぎると、その色の風船はほぼ必ず「脆弱」になる。


なぜそうなるのか。
正直、理由はよくはわからない。生物の集団にはとかく謎は多いものだ。
風船同士の干渉によるのか。同じ色の風船同士は、押し合いへし合いすることで、目に見えないストレスがかかって、お互いのパフォーマンスが下がるものなのか。
この謎はなかなか興味深い。

だが、バンド。企業。動物の種の進化。インターネット。組織と名のつくものほとんど全てに、この原則はあてはまるように思う。
たとえばローリング・ストーンズに、キース・リチャーズと同じ弾き方をするギタリストは2人いらない。ほとんどの場合、企業に社長は2人必要ない。むしろ社長が2人もいたら、やりにくくてしょうがない。
南米チリの鉱山に閉じ込められた数十人の人々だって、もしも指導者が何人もいたら、全員が死んでいたかもしれない。

中心というものを必要としないクラウド・コンピューティングや、ストライカーを必要としないノートップのサッカーなど、新しい思考方法に基づくオーガニゼーションもあるにはあるが、そういうものが人間というやっかいな動物が常に縛られている意味論や組織論を、まったく超越し、解決しているかというと、そんなことはまるでない。
人間という生物の組織は、やはりシンプルな意味論を超えていけないようにできているのである。


野球の守備は9人で同時に行う。だから「守備はチームプレイ」だが、攻撃であるバッティングは、打席に2人の選手が一緒に入ることはない以上、「打撃は守備よりはずっとパーソナルなもの。個人的な行為」と、思われがちな部分があるが、実際には意味論的にも、そんなことは全くない。
長くなるので端折るが、打順の違う打者同士は、たとえお互いの打順が、1番と6番とか、大きく離れている場合でも、相互にまったく無関係なわけではなくて、むしろ、密接に関係しながら存在している。意味論的には、そうだ。一匹のサルが芋を洗って食べるようになると、遠く離れた場所のサルが芋を洗って食べるようになったりもする。

野球チームという箱に詰まった9つの風船は、お互いに非常に強く意味論的に影響しあいながら、ひとつの組織体を構成している。
「誰かが膨らめば、誰かが縮む。」
そんなことがありうる。


わざと結論を先延ばしにしてみたが(笑)
言いたいことはこうだ。

イチローとフィギンズを2人並べたからといって、2人あわせて400本ものヒットが打てるようになるわけではない。スポーツの技術論、組織論ではなく、人間のかかえる意味論から、そう思う。
この2人の選手は、色は同じでも、才能やチームへの影響力の強さに大きな差がある。片方の風船は常に劣勢に立たされ、押され、しぼんでいく。それが、「人間のつくる組織というもののもつ独特の意味論の世界」なのだ。


だから、ズレンシックは、フィギンズの今後のことも考えて、彼をシアトルから放出し、彼が「ひとり」でのびのびできるチームでプレーできるようにしてやるべきだ。






damejima at 19:34

October 04, 2010

かつて2008年にダメ捕手城島が選ばれた名誉ある(笑)賞のひとつに、ESPNの有名記者Jason Starkが選定するLVP (Least Valuable Player)という賞がある。
日本語でいうなら、彼が選定する「ワーストプレーヤー」だが、毎年、オールスター前までの上半期と、フルシーズンの2つが、野手、投手、監督について発表されている。

2008年の城島はこのLVP(Least Valuable Player)を、上半期とシーズンの両方を同時獲得(笑)していて、まさに誰も文句のつけられない、押しも押されぬピカピカのLVP様だった(笑)(Jason StarkがMLBに携わる記者の中でどれだけ影響力の大きい人物かは、過去記事参照)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年7月12日、城島はESPNのMLB専門記者Jason Starkの選ぶ上半期ワーストプレーヤーに選ばれた。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年9月28日、ESPNのJason Starkは城島をア・リーグ年間ワーストプレーヤー、「LVP」に選んだ。



そのJason Stark、今年2010年の上半期LVPに選んだのは、我らが「使えないチビ」こと、ショーン・フィギンズだった。
Please don't go back and read all the stuff we wrote this past winter when the Mariners signed Chone Figgins.
Jason Starkは、前年の冬にフィギンズ移籍について書かれたESPNの記事のフィギンズに対する期待感の全てを取り消して、その上で「チームオフェンスの醜い終焉を招いた」と、かなり口汚い言葉を使って、フィギンズの酷さをこきおろした。もちろん、それが当然の行為、当然の成績である。
ちなみに、彼がア・リーグの投手から上半期のMVPに選んでいるのはクリフ・リーで、これも異存のないところ。上半期、自軍のブルペン投手の酷さに手を焼いたロブ・ジョンソンの苦労も多少報いられることだろう。
MLB: Joey Votto, Cliff Lee and Carlos Zambrano among the midseason award winners - ESPN


さて、10月2日になってJason StarkはさらにシーズンLVPを発表した。

年間LVPに選ばれたのは、なんと個人のプレーヤーではなく、「イチローを除くマリナーズの打者全員」(笑)Jason Starkがこういう選択の仕方をしたのは初めて見た(笑)彼は選択理由のコメントの中でこんな意味のことをガッツリ書いている。

「そりゃ、まぁ、上半期LVPはショーン・フィギンズをワーストプレーヤーに選んだわさ。でも、な。よくよく考えてみるとだな、近代以降のア・リーグのありとあらゆる打線の中で、なんのためらいもなく「最低最悪」と言い切れる2010年マリナーズ打線(イチローを除く)にあってだ。フィギンズだけをLVPに選ぶのは、フェアじゃないわな」
Back at the All-Star break, I handed out the prestigious LVP of the Half-Year non-trophy to Chone Figgins. But upon further reflection, I concluded it just wasn't fair to single out one hitter in what we can now safely proclaim as The Worst American League Lineup of Modern Times.
Honoring 2010's most valuable and least valuable players, Cy Youngs and Yuks, rookies and managers - ESPN

とか、なんとか、言いながら、Jason Starkは、ア・リーグ年間LVPの次点筆頭に、しっかりと「ショーン・フィギンズ」の個人名を記している(笑)(こういう慇懃無礼さは、欧米にはよくある)Starkがフィギンズの年間成績を批判してない、なんてことは、まったくない。(また、フィギンズの次にはミルトン・ブラッドリーの名前もある。)
いうなれば、2008年の城島に続いて、2010年のショーン・フィギンズは、上半期と年間LVPをほぼ受賞したに等しい。まぁ、当然の判断だ。

というか、
(イチローを除いて)近代以降のア・リーグ最悪と言い切れる打線を編成した責任は、それこそ「誰がどうみたって」GMズレンシックにあるのだから、Jason StarkとESPNの指摘する2010年の年間LVP、というか、2010シーズン最悪の非貢献者は、誰がどうみたって「マリナーズの無能GMズレンシック」ということになる。

それはそうだ。
この打線を組んだのは他の誰でもない。当然だ。
近代以降ア・リーグで最も失敗したGMのひとりになれて、おめでとう、ズレンシック。






damejima at 02:15

August 28, 2010

もうすぐ8月が終わる。
つまり、8月末のいわゆるウェイバー・トレード期限がやって来る、ということだ。

最近のウェーバートレードのニュース例
マニー・ラミレスのウェーバーに複数球団がクレーム
Multiple Teams Claim Manny Ramirez On Waivers: MLB Rumors - MLBTradeRumors.com
デレク・リーが若手3投手と交換でアトランタに移籍
Braves Have Not Asked Mariners About Figgins: MLB Rumors - MLBTradeRumors.com


チッパー・ジョーンズの怪我による戦線離脱で、急遽代役を探さなくてはならなくなったアトランタ・ブレーブスが選んだのは結局、7月に球団間で合意していたエンゼルスへの移籍を拒否したカブスのデレク・リーだったわけだが、デレク・リーの移籍が決まる前にシアトル地元メディアは「ショーン・フィギンズをアトランタにトレードできる可能性」について、しきりに記事にして、フィギンズ放出を煽りまくっていた。(例:8月12日のこの記事 Should The Mariners Trade Chone Figgins? | U.S.S. Mariner

しかし、だ。

かつて打撃成績がメジャー最低になった(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年7月15日、地元記者ベイカーはメジャー最低打者城島に呆れ果てる。ダメ捕手城島のクビを切るどころか、高額の複数年契約を与えてやった、この弱腰球団は、新米監督の首くらいはなんとか切れても、公衆の面前でダグアウトで監督に反抗するようなフィギンズを放出、なんていうスジの通った行動を貫徹できるわけがない。
SPIなどは歴然とした球団の経営者批判をウェブサイト上に掲載しているが、この球団にやれることは、トカゲの尻尾を切るように出来の悪い新米監督とロブ・ジョンソンに責任を押し付けるくらいのことが関の山だろう。
Mariners' problems lie at the top, not in the manager's office
この記事の翻訳:Go Mariners! シアトル・マリナーズ最新ニュース from SeattlePI.com:マリナーズの問題は、監督ではなくトップだ



40人ロスターの選手は、7月末までのノンウェーバー・トレードでならウェイバーなしでもトレードできるが、それ以降の8月末までにトレードを行う場合は、ウェーバー通過が必要になる。
8月末までのウェーバー・トレードでは、交換相手の選手が40人ロスターに入っている場合、その選手もウェーバー通さないとトレード出来ない。そのため、マイナーリーガーや、PTBNL(後日発表選手)が交換要員に充てられることも多い。また複数球団からクレームがあった場合、順位の低い球団、同じリーグの球団など、交渉の優先順位があらかじめ決められている。また7月末までのトレードにない特徴として、ウェーバー公示した球団は1度だけウェーバー自体を取り消すことができる。


ウェーバー期間に他チームからクレーム(Claim、譲渡申し込み)があった場合、次のような3つの道がある。
1)元の球団がウェーバー自体を取り消す
2)クレームしてきた球団と48時間以内にトレードを成立させる
3)元の球団がクレームしてきた球団にその選手を放棄する。この場合、クレームしてきた球団はその選手の残りの契約金全額を引き継がなくてはならない。

クレームが無く、選手がウェーバーを通過すると、初めてチームは選手を自由にトレードできるようになる。マイナー降格させるなり(ベテラン選手は選手の同意が必要)、保有権を放棄するなり、他チームへトレードするなりの行為ができる。


さて、スポーツイラストレイテッドのジョン・ヘイマンが、ウェーバー・トレード候補に挙がるのではないか、という選手31人を名指しする記事を書いたのは、8月初め。
その記事のトップに挙げられていたのが、ほかでもない「使えないチビ、ショーン・フィギンズ」である。ほかにもシアトルでは、ミルトン・ブラッドリーケイシー・コッチマンの名前も挙げられていた。
Chone Figgins, Barry Zito among those who could still be traded - Jon Heyman - SI.com

1. Chone Figgins, Mariners 2B. He's in the first year of a four-year, $36 million contract, and for whatever reason, Seattle doesn't appear to be the perfect match it seemed to be. He recently had a dispute that became public with manager Don Wakamatsu. Someone may still remember his productivity from his days with the Angels and see him as a potential igniter atop a lineup.

27. Milton Bradley, Mariners OF. With $16 million to go through next year, no chance anyone claims him. But does anyone want him, either?

28. Casey Kotchman, Mariners 1B. Looks like strictly a defender now. No one should claim him with $1.5 million to go.


ジョン・ヘイマンが移籍候補に挙げた31人のうち、実際にトレードされたのは、8月18日にマイナーの投手3人との交換でカブスからアトランタ・ブレーブスに移籍したデレク・リーくらいだが、カブスがデレク・リーを放出したがっていることは、7月にはカブスとエンゼルスの間で合意していたことで周知の話なわけで、デレク・リーのトレードを先読みするくらいのことは別に難しくない。
それだけに、この記事はもともとかなりの部分、記者個人の好みで書かれた割としょうもない記事だったともいえる。

だが、それにしたって、チームの現場責任者である監督に公衆の面前で歯向かうような真似をした選手を、まるで「何もなかった」かのように処分できない弱腰のチームだ、「使えないチビ ショーン・フィギンズ」を8月末までにトレード、なんていう、1本スジの通った骨っぽい芸当が、この「常に腰砕けのシアトル」に実行できるわけがない。

もしこのチームにそんな甲斐性があれば、とっくにもっとマシな球団になっている。






damejima at 03:57

August 18, 2010

「守れるチーム」を作るとか高言していたはずの「守るしか勝つ方法がない」シアトルは、いまや「ア・リーグで最もエラーの多いチームのひとつ」だ。情けない。
2009年にチームUZRがメジャー断トツの1位だったのが、まるで幻だったかのように、シアトルの守備はダメになった。 (たぶん、このチームの関係者は2009年に城島をスタメンマスクから干して先発投手がようやくマトモに機能するようになって勝率が大幅に改善できた理由の根本をわかっていない。わかってないまま、いじくり倒して2010年に失敗した。その最大の失敗がフィギンズ。)

そしてチームの負けパターンは、春と、どこも、何も、変わってない。それはそうだ。原因をきちんと対策できてない。対策できないから、この勝率なのだ。
いくら先発投手と外野守備だけよくても、打てない、守れない内野手と、ブルペン投手がそのままでは、いくらロブ・ジョンソンに理由のない責任をかぶせても勝率は上がってこない。

8月15日クリーブランド戦では、ア・リーグで最も下手なセカンドの「使えないチビ」フィギンズの「いつものエラー」から、満塁ホームランを打たれて、いつものように負けた。
8月16日のボルチモア戦は、クローザーのストレートばかり投げたがるデイビッド・アーズマの「いつものひとり相撲」「いつもの四球連発」から、9回裏に同点に追いつかれ、いつものように延長でブルペン投手でサヨナラ負けした。

負けるなら負けるで、ドラフト1位獲得の権利を獲得できるところまで潔く負ければいいのだが、かつての城島恒例の「秋の帳尻打撃」のように、最下位が確定した夏を過ぎる頃からしか打てない帳尻ダメ選手たちの意味不明の帳尻ヒットのせいで、意味のない勝ち星を中途半端に挙げてくるから、よけいに始末が悪い。

たぶん、このチームに再建は無理だ。
再建ということのMLB的な意味も方法もわかってない。


もちろん、ゴールドグラブ賞の選考がエラー数だけで受賞者を決めるような単純すぎる決め方をしているのを批判して、セイバー派の人たちがFielding Bible賞を創設した話のように、エラー数の多さだけをあげつらって守備批判するのは意味がない。

だが、フィギンズのセカンド守備は、むしろ逆だ。
エラー数だけあげてフィギンズのセカンド守備の下手さ加減を批判するのでは、むしろ批判そのものが甘くなって、フィギンズに有利になるほどだ。
それほどフィギンズのセカンド守備は、エラー数がア・リーグで最も多いばかりか、「エラーと記録されないミス」があまりにも多い。エラー数のような見かけのデータでなく、シアトルの毎日のゲームを見慣れている人たちはわかっていることだ。
正面をついた強い当たりはグラブからこぼす、グラブが触っていても捕れない、他チームの上手いセカンドなら捕れている軽いイレギュラーは捕れない、よしダブルプレーというプレー場面でランナーのスライディングをかわすのが下手で1塁に送球できない、ライト前に上がったポップフライを追いすぎてテキサスヒットにする。などなど。例を挙げればキリがない。

フィギンズの場合、データに現れる守備の下手さ、データに現れない守備の下手さ、その両方があまりに多いから、彼のエラーの多さだけ挙げても、むしろ批判が足りないくらいであって、彼のセカンド守備の下手さぶりはエラー数だけでも十分にわかる、というのが正しいのである。

セカンドに好打者で守備も上手い選手が揃う今の時代のMLBにおいて、「左打席ではマトモに打てず、スイッチヒッターとは名ばかりで、守備においてもア・リーグ最低クラスのセカンド」それがフィギンズだ。来期いくら打撃が上向こうが、セカンド守備は突然改善できたりはしないだろう。


今シーズンのシアトルの最大の失敗は、チーム編成にあるのは誰の目にも明らかだ。守備のチームとして成功したのは、「ようやくネックだった城島を干すことに成功した2009年」であって、2010年ではない。
ロスターの打順と守備位置をどう構成するかはチームマネジメントの最大の仕事だが、「最大のポイントだったフィギンズのセカンドコンバートと打順2番固定が大失敗に終わったこと」が、攻守両面にわたって大打撃になって、想定したチームコンセプトが完全に崩壊しているのは明らかだ。
にもかかわらず、無能なズレンシックは、結局、監督コーチをクビにして、選手を数人いれかえただけで、さらにクリフ・リーのトレードにも大失敗しておいて、攻守のネックの何人かと自分自身については何の責任もとらせていない。

P 8 8位タイ
C 9 4位タイ
1B 3 12位
2B 14 1位タイ
3B 19 2位タイ
SS 19 2位タイ
LF 6 3位タイ
CF 0 13位タイ
RF 3 9位

これは今シーズンのシアトルのポジション別エラー数と、リーグ内でのエラーランキングだ(8月17日までだが、急いで書き写しているので多少数値に間違いがあるかもしれない)フィギンズはア・リーグの二塁手で最もエラーするプレーヤーのひとりだ。

フィギンズは、今シーズン、ア・リーグで最も出場ゲームの多いセカンドプレーヤーだが、守備の良さを表す指標のひとつであるレンジ・ファクター(RF)でみると、RF/9(9イニングあたりのRF)、RF/G(ゲームあたりのRF)でみて、出場100ゲームを超える5人ほどのセカンドプレーヤーの中で最も数値が悪い。また50ゲームを超える選手10数人の中でも、タンパベイの2人を除けば、最も低い。


ちなみにサードのホセ・ロペスについてだが、「ロペスのサード守備は、フィギンズ並みに酷い」と思いこんでいるシアトルファンは多い。

だが、それはおそらく間違いだ。

たとえば同じ三塁手で守備には定評があるエイドリアン・ベルトレと比較してみると、ベルトレのボストンでのエラー数はホセ・ロペスと同じ16で、RFはロペスのほうがいい。マイケル・ヤングや、ミゲル・テハダもエラー数そのものはロペスとかわりない。ロペスの問題は、彼らほど打てないことであって、エラー数ではない。(だからこそ、ロペスの安易なトレードに、ブログ主は賛成していない)
またシアトル在籍時代のベルトレは、当時の打撃の酷さはともかく守備に関してだけは多くのシアトルファンも認めていたわけだが、それでも1シーズン最低14のエラーを記録していて、多い年には18のエラーを記録している。つまり、シアトルだけしか知らないファンが守備の名手と「思い込んでいる」ベルトレは、ミネソタやデトロイトの三塁手のように、シーズンを1ケタのエラー数で終われるような三塁手ではなかった、ということ。
だから2010年のロペスのエラー数16が、これからの50試合足らずで20もエラーするのでもないかぎり、シアトル時代のベルトレと比べて飛びぬけて多すぎるとはいえない。
シアトルファンは、ちょっとロペスの守備のハードルを上げ過ぎている。

それどころか、100ゲームを越えてサードを守ったア・リーグの今シーズンの三塁手の中で、最もRF関連の数値がいいプレーヤーがホセ・ロペスだったりするのを忘れて彼の守備を批判してもらっては困る。

ベルトレの過去の守備スタッツ
Adrian Beltre Stats, News, Photos - Boston Red Sox - ESPN

規定ゲーム数に達しているア・リーグ三塁手の守備スタッツ

2010 Regular Season MLB Baseball 3B Fielding Statistics - Major League Baseball - ESPN



つい話がフィギンズのセカンド守備の下手さからそれてしまった。守備指標はいろいろあるわけだが、RFでなく(結果はしれているが念のため)UZR(アルティメット・ゾーン・レイディング)でみるとどうだろう。

シアトルのチーム全体の数値はリーグ4位。
勘違いしてはいけないのは、2009年シアトルのチームUZRは85.3で、メジャー断トツの1位であったこと。2010年にチームを意味もなくいじりすぎて、これでもチームのUZRはかなり下がったのである。
「守るしか勝つ方法がない」シアトルのUZRがなんとか4位にもちこたえたのは、たぶん外野守備の良さが大きく効いている。外野手全体のUZRがいいのは言うまでもない(リーグ3位)が、ただ、フランクリン・グティエレスの数値は、2009年の31.0から大きく下がって、2010年は7.5しかない。チーム内UZR1位は今年はイチローの10.0だ。もちろん今年のゴールドグラブも間違いない。
まるで打てず、どうみても来年は必要ないとブログ主が思っているコッチマンだが、見てないが、守備数値だけはたぶんいいはず。ブログ主は別にコッチマンの守備がとりわけいいとは思わない。1、2塁間を抜けていく当たりに弱すぎるし、そもそも守備位置が悪い。ただ無難にこなしてエラーをしてないだけの話。ランガーハンズで十分に代役ができる。
またショートでは、多くの人が守備の名手と「思い込んでいる」ジャック・ウィルソンのUZRは「マイナス」で、-1.4。その一方で多くの人が「エラーばかりしていると思い込んでいる」ジョシュ・ウィルソンは「プラス」で、0.3。(これには日頃からジョシュ・ウィルソンを使い続けるべきと言っていたブログ主は納得)
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball

ところが、セカンドだけを見るとシアトルは大きくマイナスで、LAAについで悪い。RFだけでなく、UZRでみても、フィギンズのセカンド守備がいかにダメかがわかる。LAAの数値が悪いのはケンドリックの-10.8が酷すぎるためだが、もちろんシアトルの数値を大きくマイナスに引き下げているのは、フィギンズの-9.1。(ちなみにサードをやっていたLAA時代のフィギンズのUZRは、たとえば2009年に16.6と、2ケタのプラス)
いかに二塁手フィギンズが「処理できるはずの打球を処理できていないか」わかる。やはりフィギンズは、「目に見えるエラー数だけが多いわけではない」のだ。


フィギンズ -9.1(1047イニング)
トゥイアソソーポ -0.8(8イニング)
ジョシュ・ウィルソン 0.5(13イニング)
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball

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RF(レンジ・ファクター)と同様、サードについてもUZRを参照してみると、ロペスはプラス数値(UZRはプラス数値なら、リーグ平均以上の守備であることを示す)で、リーグ6位。やはり「ロペスのサード守備は、フィギンズのセカンド守備と同じくらい酷い」というのは、単なるいいがかりでしかないことがわかる。
American League Teams ≫ 2010 ≫ Fielders ≫ Fielding Statistics | FanGraphs Baseball


監督ワカマツがクビになったのは当然のことだが、それにしたって「打撃も守備もダメで打順降格にされそうになって、監督にベンチで歯向かったフィギンズを何も処分しない」のは、MLBの鉄則に反する。
無能な監督がそれをやったから選手を処分しなくていいとか、そういう問題ではない。審判に手を出したプレーヤーが退場になるのと同じで、それは「ケジメ」である。
「スイッチヒッターとは名ばかりで、ア・リーグ最低の守備しかできない」フィギンズを打順降格にするくらいの処分は当たり前の行為であって、むしろ処分方針として甘いくらいだ。

このまま今後も「使えないチビ」フィギンズになんの処分もしないのなら「シアトルはケジメのつけられない、選手に舐められっぱなしの球団」というレッテルは、永遠にはがせないだろう。






damejima at 17:24

December 09, 2009

ショーン・フィギンズの加入で沸き返るシアトルファンだが、誰しも気になる来シーズンの打順、あと守備位置について、フィギンズ自身のインタビューで、彼自身の口から「2番、セカンド」という言葉が出たらしい。
フィギンズのサードがないってことは、ベルトレ、ロペス、ビル・ホール、ハナハンなどの、内野手たちの処遇がいったいどうなるのか。フィギンズはこれでぐっすり眠れるだろうが、これでしばらくシアトルファンはゆっくり眠れない(笑)

詳しくは下記のリンクへ。

Mariners Blog | Chone Figgins ready to bat second and play second if he has to | Seattle Times Newspaper

Figgins: 'I'd be honored hitting behind Ichiro'


それにしても、フィギンズ、血液検査の結果が出て正式にマリナーズの一員になる前の晩、気になって眠れなかったらしい。かわいいやつ(笑)
"It was pretty nervewracking last night to try to sleep and have to get on a plane the next day and not be able to get on the phone with anybody to get the results,'' Figgins said.

フィギンズはイチローの後の2番という仕事について、a little more patient at the plateと、patient(忍耐)という言葉を使って説明している。城島、セクソン、ベタンコートはじめ、何も考えずにバットを振っているかつてのダメダメ扇風機ばかりだったバベシ時代の打者たちと違って、よく野球全体が見えている。
さすが、知将ソーシアに鍛えられたクレバーな選手だけはある。






damejima at 19:43

December 05, 2009

Figgins, Mariners close to deal | MLB.com: News

LAAのショーン・フィギンズとシアトルが契約間近らしい。
(彼の名前表記だが、Chone Figgins Stats, Bio, Photos, Highlights | Mariners.com: Teamに、pronounced 'Shawn'と明記されている。「チョーン」・フィギンズではない)
天才イチロー快足フィギンズの1、2番・・・。誰だってワクワクしないわけにはいかない。城島がいなくなって、ようやくシアトルも厄払いしたなと、本当に思える補強がやっときた感じ。シアトルがやっと「正常化」していく。
これもコネ捕手が日本に逃げ帰ってくれて、無駄なカネを本当に意味のあることに使えるようになったきたおかげ。補強だけでなく、来シーズンは、投手陣全体にも「シアトル正常化効果」は、「ERA向上」みたいな形で恩恵がもたらされることだろう。

もともと「打てない、守れない、走れないコネ捕手城島は日本に帰れ派」なだけでなく、
「打てない、サラリー高すぎのショート、ジャック・ウィルソン要らない派」
「打てないのにレギュラーユーティリティ、ビル・ホール要らない派」
「守れない、たいして打てない、グリフィー要らない派」

これらを全部兼ねている(笑)自分としては、打てて、守れて(ショートも、サードも守れる)、走れるショーン・フィギンズあたり獲れるのなら、なぜ最初にそっちから手をつけないのだ、と、ちょっとイライラはするが、うれしいニュースだ。
フィギンズはなんせ、走れて、サード、ショート、セカンドはじめ、内外野、あちこち守れる。おまけにシアトルに欠けていたスイッチヒッターでもある。シアトルが欲しかったプレー要素を、ひとりでいくつも兼ね備えているわけだ。
ショーン・フィギンズ - Wikipedia

サラリーは4年3600万ドルくらいだそうだが、こういう欲しい要素をあわせもったプレーヤーにカネをかけるのは、非常に納得がいく。フィギンズの契約を3年あたりで計算すると、3年2700万ドルくらいなのだろうが、あのコネ捕手がコネで獲得したのが3年2400万ドルの契約だから、いかに異常だったかがわかる。

守備だけしかできないプレーヤーに500万ドルとか、セカンドに送球するくらいしか能の無い捕手に800万ドルとか、フル出場できないDHしかできない元スターに200万ドル、300万ドルとか、ほんとうに意味がない。






damejima at 07:57
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