Fielding Bible

2011年8月17日、 「フライボール・ピッチャーの防御率は、実は、チームの守備力とは無関係」という、ユニークなコラム。
2010年11月1日、イチロー2年連続3度目のFielding Bible賞に輝く。ろくにゲームに出てないジャック・ウィルソンの高評価には大いに疑問。
2010年3月26日、The Fielding Bible Awards選考委員で、2007年CASEY Awardを受賞しているスポーツ・イラストレイテッドのJoe Posnanskiがイチローを絶賛した記事の翻訳を読んでみる。
2009年12月26日、Fielding Bibleが2008年までの過去6年間、および過去3年間について「メジャー最低」と酷評した「城島の守備」。盗塁阻止は「並」で、Earned Runs Savedは「メジャー最低」。
2009年12月20日、セイバーメトリクスで始まった「捕手の守備評価の新基準」。ロブ・ジョンソン、Defensive Run Saved キャッチャー部門でメジャー1位の評価を受ける。
2009年11月11日、ナ・リーグのゴールドグラブ発表。ア・リーグ同様、2人がFielding Bible賞と同時受賞。結局、センター以外を守る外野手でゴールドグラブに選ばれたのは、イチロー、ただひとり。
2009年11月10日、イチロー9年連続ゴールドグラブ受賞。Fielding Bible賞との同時受賞は、イチローと完全試合男マーク・バーリーの2人のみという快挙。
2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。

August 19, 2011

とある日本のセイバー系サイトで、ちょっと面白いコラムをみかけた。
投手を4タイプに分け、それぞれにチームの守備力との相関を計算したところ、「フライボール・ピッチャーの防御率は、チームの守備力とは、ほとんど何の関係ない」というのだ。
もしこれが本当だとすると、例年フライボールピッチャーばかり集めてきたチームのクセに、守備に大金をかけてきた無能GMズレンシックのチーム編成戦略は「実は、そもそも無意味だった」ということになる(爆笑)
セイバーメトリクス 野球データ分析コラム|SMRベースボールLab


ただ、残念なことにこの仮説、実は
すぐに妥当といいきれるものでもない。

まずは、この著者が導き出した仮説から引用。
DERから導かれた結論
三振型の投手は守備力の影響を受けにくい
フライ型の投手は守備力が低いと成績が悪くなりやすい
ゴロ型の投手は守備力が高い場合成績が良くなりやすい
投手の成績と守備力の関連について〜DERを用いて - セイバーメトリクス 野球データ分析コラム|SMRベースボールLab

UZRから導かれた結論
三振型の投手は外野の守備力が高いほど防御率が低い
フライ型の投手は守備力との関係は認められなかった
ゴロ型の投手は内野の守備力が高いほど防御率が低い
投手の成績と守備力の関連について−UZRを用いてPart1 - セイバーメトリクス 野球データ分析コラム|SMRベースボールLab


読めばすぐにわかるように、著者は、DER(Defense Efficiency Ratio)とUZR(Ultimate Zone Rating)、2種類の守備系指標から2種類の考察を行い、2つの多少異なった仮説を導きだしていている。
たとえばフライボール・ピッチャーの防御率については、DERからの考察では「守備力が低い場合、成績が悪くなりやすい」と相関を肯定しているのに対して、UZRからの考察では「チームの守備力と関係はない」と相関を否定し、2つの違う仮説を導き出している。
そして、困ったことに、著者はDERとUZRで、なぜ結論が変わってくるのか?という点について、十分な説明をしていない。


DERUZRで違う仮説が導きだされる原因は何だろう?
計算間違いとか、仮説の構造にもともと無理があるとか、そういう単純ミスでもない限り、普通は、DERとUZR、2つの指標の本性というか、2つの指標の性質の違いに原因があると考えるのが自然だが、著者は、DERとUZRが高い相関関係にあるとは書いているものの、「DERとUZRの違い、相関性と、投手の防御率に与える影響の差」について十分説明を尽くしているとはいえない。

著者の挙げた数値を見る限り、「DERとUZRの相関度の計算において、DERと内野のUZRの係数と、DERと外野のUZRの係数で大きく違いがあるので、「DERとの相関がより強いのは、内野のUZRである」ようにも見えるのだが、どういうものか、著者はその点について特に何も強調はしてない。

もし「DERとの共通性が強いと言えるのは、主に内野のUZRである」と仮定していいのなら、「投手の防御率と、チームの守備力とのかかわり」については、「内野守備については、DER、UZR、どちらの指標を使ってもほぼ同じ結論が出せる」ことになる。
そして「外野守備については、DERとUZRでは指標の個性の違いが際立ってしまう」のだと仮定すると、「投手の防御率と、チームの外野守備力の相関については、使う指標によって導かれる仮説が異なってしまう」のは当然のことになるわけだが、そのことについて、著者は残念ながら特に言及していない。


しかしまぁ、始まったばかりの議論にそんな細かいことを言っていても始まらない。DERでもUZRでも同じ方向性の仮説にたどりついている部分だけをつまみ食いしてみる。

グラウンドボール・ピッチャーの防御率について筆者は、DERからの考察では「守備力が高い場合、成績が良くなりやすい」、UZRからの考察では「内野の守備力が高いほど、防御率が低い」と、似たような結論が導かれている。
別の言い方をすると、グラウンドボール・ピッチャーの防御率は、DERからみても、内野のUZRからみても、チームの守備力と強い相関関係にある、ということらしい。ちなみに著者は、内野のうち、守備で最も投手の防御率に関係するのは、サードとショートであるとしている。

三振型のピッチャーの防御率については、DERでみると相関は見られないが、UZRおよび外野のUZRの2つとは強い相関関係がある、としている。つまり、「三振をたくさんとれる投手にとって大事なのは、外野のゾーン的な守備力である」ということらしい。まぁ「長打になりそうなボールを捕球してアウトにするとか、三塁打を二塁打に、二塁打を単打にできる、守備チカラの高い外野手が必要」とでもいう意味にとっておくことにする。

最後にフライボール・ピッチャーの防御率は、DER、UZRの両方と、ほとんど相関関係がないらしい。つまり、ここから「フライボールピッチャーの防御率は、チームの守備力とは、実は、ほとんど相関関係がない」という話につながっていくわけで、ズレンシックの守備に大金をかける戦略の無意味さの証明になるわけだ(笑)
もちろん、上で既に書いたように、DERとUZRの指標の個性と投手の防御率の関係にほとんど言及が無い以上、この仮説はまだ十分に議論が尽くされているとは言えないと思うが、なかなか興味深い話だ。
投手の成績と守備力の関連について−UZRを用いてPart1 - セイバーメトリクス 野球データ分析コラム|SMRベースボールLab


まぁ、細かいことを抜きにまとめておこう。
こういうことになる。
●三振を数多くとれるピッチャーには
 良質の外野手が必要。
●グラウンドボール・ピッチャーには
 良い内野手、特に、優れたサードとショートが必要。
●フライボール・ピッチャーは守備とあまり関係がなく
 必ずしも守備に大金をかける必要はない。

残念すぎる守備マニア、ズレンシック(爆笑)






damejima at 10:46

November 02, 2010

The 2010 Fielding Bible Awardsが決まった。栄えある受賞者は以下の9人。カール・クロフォード(86ポイント/2位)、アルバート・プーホールズ(76ポイント/2位)が落選したりで、去年とは6人が入れ替わり、顔ぶれが変わった。

1B Daric Barton, Oakland
2B Chase Utley, Philadelphia
3B Evan Longoria, Tampa Bay
SS Troy Tulowitzki, Colorado
LF Brett Gardner, New York
CF Michael Bourn, Houston
RF Ichiro Suzuki, Seattle
C  Yadier Molina, St. Louis
P  Mark Buehrle, Chicago White Sox


Fielding Bible Award 2010 受賞者リスト

Fielding Bible Award 2010 全投票者と、その投票内容


参考までに、これが2009年の受賞者。
太字の3人が2010年の連続受賞

The 2009 Fielding Bible Awards

1B Albert Pujols, St. Louis
2B Aaron Hill, Toronto
3B Ryan Zimmerman, Washington
SS Jack Wilson, Pittsburgh and Seattle
LF Carl Crawford, Tampa Bay
CF Franklin Gutierrez, Seattle
RF Ichiro Suzuki, Seattle(93ポイント)
C  Yadier Molina, St. Louis
P  Mark Buehrle, Chicago


ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。


イチローの受賞は、2006年、2009年に続き、今年2010年の受賞で、2年連続3度目
調べてないが、たぶん3回受賞しているのは、受賞が当たり前のようになっているヤディア・モリーナ以外に、クロフォード、プーホールズ、イチローくらいだと思う。
この賞は、各リーグから一人ずつ選ばれるゴールドグラブと違って、ひとつのポジションについて両リーグで1人しか選ばれないだけに、価値ある受賞である。基本的に前年受賞したからといって翌年の受賞が保証されるわけでもなんでもないから、3度受賞するのは容易なことではない。この賞が創設されて今年で5年。その5年間で3回受賞しているのが、イチローである。
この賞は毎年10票の投票(=9人の投票者とデータ)で決められるが、2009年にイチローが獲得した1位票は5票だったが、今年は6人がイチローに1位票を入れており、1人増えた。
Winning his second consecutive Fielding Bible Award, third career win, Suzuki made three home-run-saving catches last year, saving five runs for the Mariners.(受賞者へのコメントより)


それにしても、去年受賞したシアトルのジャック・ウィルソンが、今年あれだけケガで休んでばかりいたにもかかわらず、今年もショート部門5位(39ポイント)に入っているのが、まったくもって意味不明だと思う。
例えばセイバー親父の大御所Bill Jamesなどは、ジャック・ウィルソンをショートの2位に、守備に関してはセイバー親父の親玉といえるJohn Dewanも3位に挙げているが、どうも何か勘違いしているとしか思えない。(他の投票者は全員が6位以下か、下手をすると10位以下の圏外)

Fielding Bible派がゴールドグラブを批判する場合に、よく「毎年のように同じようなメンバーが慣例で選ばれがち」というような意味の批判をするわけだが、ゲームにたいして出てもいないジャック・ウィルソンに高評価を与えているようでは、そういう批判は絵空事になるし、Fielding Bible Awardの名も上がらない。
賞の創設時の意義からいって、この賞は過去の実績の年功より、それぞれの年の守備貢献度だけをデータ的に計測などして目に見えやすい形で選ばれるべき賞であって、「お年寄りが、長年の自分のお気に入りプレーヤーに自分で投票して、その結果を人に見せて喜ぶ自己満足の見せびらかし、ではない」はずである。賞を創設してたった5年で腐るようなことでは彼らの批判するゴールドグラブと変わりない。
同じような意味で、フランクリン・グティエレスも、今年はセンター部門の2位(75ポイント)だったが、あの2010年の並以下のバッティング内容で受賞していたら、「Fielding Bible Awardも、ちょっと、な」、と考えただろう。


これからのFielding Bibleは、出場試合数が多くなく、バッティングが最悪な守備要員でも、ただ守備さえよければ賞の上位に選出してしまうつもりなのか。賞として、選考基準にちょっと今後に課題を残した感じがしないではない。






damejima at 12:14

March 27, 2010

スポーツ・イラストレイテッド MLB

1983年に始まったCASEY Awardは、ベースボールにまつわる最も優れた著作に贈られる賞で、1986年にはあのセイバーメトリクスの親玉のビル・ジェームズ親父も“The Bill James Historical Abstract”で受賞している。

Joe Posnanskiは、スポーツ・イラストレイテッドのライターとしては、2009年に寄稿者になっているのだから、まったくの新顔だが、ベースボールライターとしてはもう十分すぎる実績を積んでいる。
既に2003年と2005年に、AP通信の選ぶアメリカのベスト・スポーツコラムニストに選ばれ、さらに2007年には“The Soul of Baseball”で、CASEY Awardも受賞していて、なんというか、威風堂々スポーツ・イラストレイテッドに乗り込んだ、という感じの風情のスポイラ入りなのだ。
The Soul of Baseball
List of Sports Illustrated writers - Wikipedia, the free encyclopedia

さらにいえば、Joe Posnanskiは、昨年ロブ・ジョンソンが、Defensive Run Savedでメジャー第1位、2009年キャッチャー部門の第9位に選ばれた、あのThe Fielding Bible Awardsの選考者の一人でもある。
つまり、Fielding Bibleが大きく評価するフランクリン・グティエレスジャック・ウィルソンロブ・ジョンソンといった守備評価の高いプレーヤーが集結した今のシアトル・マリナーズというチームを、非常に興味深い目で見ているはずのセイバーメトリクス親父グループのひとりというわけで、こんなガイジンさん知らないよ、というマリナーズファンも、実はとっくに、しかも何度もお世話になった、彼らの話題に触れたことがある、というわけだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:セイバーメトリクスにおける守備評価、Fielding Bibleに関する関連記事

Fielding Bible2009 投票者と投票内容の詳細

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月20日、セイバーメトリクスで始まった「捕手の守備評価の新基準」。ロブ・ジョンソン、Defensive Run Saved キャッチャー部門でメジャー1位の評価を受ける。


まぁ、そんなことより、面白いのは、Joe Posnanskiが例のカンザスシティ・スター紙の出身だ、ということだ。

カンザスシティ・スター紙については、たった一度だが、このブログで触れたことがある。覚えている方もほとんどいないだろう。この記事だ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月27日、Kansas City Starは、ヘルナンデスとグレインキーのシーズンスタッツを補正した上で比較して、「勝負は五分五分」と語った。
Greinke vs Hernandez: My Vote | Upon Further Review

ヘルナンデスとグレインキーのサイ・ヤング賞争いの行方を占った記事について書いたのだが、元ネタになったカンザスシティ・スターの記事を書いたのは、Joe Posnanskiではなく、別のライターなのだが、地元ロイヤルズのグレインキーと、シアトルのヘルナンデスのサイ・ヤング賞争いを、実に丁寧に、そして身内の贔屓が過ぎることもなく、さまざまな角度から分析していて、とても感心させられたのをよく覚えている。
特に、見た目の勝ち星で判断するのではなくて、理由のある、他人も納得させられる補正を加えてから判断しているところが、今流のライターらしい。
古い考えのライターなら、例えば、エラー数が少ないプレーヤーは補正もせずにそれだけでゴールド・グラブとか、そういう単純なモノの見方で賞を選んでしまうわけだが、カンザスシティ・スターは一貫してそういう考えをとっていないらしい。

こうしたフェアで、しかもきちんと分析し。他人からも評価に値する文章をモノにできる視点をもったライターがたくさん育つ環境がカンザスシティ・スターにはあって、その環境がJoe Posnanskiのようなローカルライターから、全国紙のライターへと押し上げる土壌になっているのだろうと思う。素晴らしいことだ。
カンザスシティ・スター出身のライターには他に、Foxsports.comのライターであり、ESPNなどにも寄稿するJason Whitlock、かつてホール・オブ・フェイムの投票者だったJoe McGuff(故人)などがいる。


この近年バリバリに売り出し中の気鋭のライターJoe Posnanskiがスポーツ・イラストレイテッドに書いた、日本人としてちょっと恥ずかしくなるくらい熱狂的な「イチロー評」の日本語訳が以下のサイトに出ている。
イチロー最大級の評価に浴す:MikSの浅横日記:So-net blog

元記事はこれ。さすがにJoe PosnanskiはThe Fielding Bible Awardsの選考委員らしく、ジョージ・シスラーは、たしかにバッティングだけ見ればイチローと比肩しうる数字を残した。だが、イチローの守備、強肩、スタイル、その全てのユニークさを考えたら、「彼のようなプレーヤーを見たことがないし、彼のようなプレーヤーをこれから見られるだろうとも思わない。」と、ハッキリ意見を述べている。
プレーヤーをあらゆる角度から数値に帰して分析するThe Fielding Bible Awardsの選考委員である彼が、これほど熱心に理屈抜きに誉めるのだから、激賞といっていい。
Seattle Mariners' Ichiro Suzuki is one-of-a-kind player - Joe Posnanski - SI.com
電子版スポーツ・イラストレイテッドのMLBコーナーのトップ記事でもある。
MLB news, scores, stats, fantasy - Baseball - SI.com


翻訳が正しいかどうかとか、元の記事のJoe Posnanskiのプレーヤーごとの判断が正しいかどうかとか、そういう細かいことは、この際、どうでもいい。要は、Joe Posnanskiのこの文章に尽きる。

I don't think there has ever been a player in baseball history quite like Ichiro Suzuki.
私はこれまでの野球史において、イチローに似たプレーヤーがいたとは全く思わない。

誰にも似ていない、ということは、ユニークだということの、最も簡単な証明である。Baseball Referenceに、そのプレーヤーの成績と似た成績をもつ過去現役のプレーヤーという項目があり、似ているパーセンテージも表示されているが、イチローについては、似た選手が無理矢理挙げてある程度で、まったく似たプレーヤーがいないことがデータからも実証されている。


同じ時代に生まれてよかった、と思える選手は数えるほどしかいないものだ。スポーツ・イラストレイテッドの表紙を飾った回数でいうと、こんなふうになっている。マイケル・ジョーダンがいかにスーパースターだったのか、よくわかる。

マイケル・ジョーダン 56回
モハメド・アリ 38回
タイガー・ウッズ 30回
カーリム・アブドゥルジャバー 22回
マジック・ジョンソン 22回
ジャック・ニクラウス 22回

マイケル・ジョーダンの本当に凄かった何年かのシーズン、「空中を歩く」プレーぶりを目の前で見ることのできた幸福なバスケットボールのファンと同じように、イチローの現役のプレーを見られるのは、Joe Posnanskiが言うように、たしかに自分の孫に語って聞かせてやりたい出来事である。






damejima at 02:27

December 27, 2009

2009年12月20日のこのブログで、2009年版Fielding Bibleのキャッチャー部門におけるDefensive Runs Savedランキングが記されたウェブ記事を紹介し、我らがロブ・ジョンソンが見事にメジャー1位に輝いたことを記事にした。
だが、この元記事のDefensive Runs Savedランキングで、コネ捕手城島が「プラス4」評価だったことについて、低レベルな読み替えを試みるとんでもない輩がいる。
Fielding Bibleに掲載された2008年までのデータを実際に読んでいる人がほとんどいないのをいいことに、「城島のメジャーにおける守備評価は、2009シーズンにFielding Bibleによる守備評価がプラス数値だったように、シアトル入団以来高く評価されていた」とか、真っ赤な嘘を並べだしたのである。

とんでもないメガトン級の勘違いである。

真実はこうだ。

Fielding Bibleによる2008年までの城島の守備評価は、
「過去3年でメジャー最低」
「過去6年でメジャー最低」
という、地に這いつくばるような最低評価
なのである。
MLB公式サイトやESPN、FOX、Baseball Reference、CBS、SI等のオープンなデータ、つまり、ウェブ上で世間に広く公開されている各種のスタッツや記録などと違い、Fielding Bibleのデータの詳細は書籍化されているクローズドなデータであるだけに、ここでその明細を書くわけにはいかないが、城島のメジャーにおける守備評価は「メジャー最低のキャッチャー」というものである。勘違いしないことだ。

ソース
Fielding Bible Volume 兇砲ける
Earned Runs Savedランキング
およびDefensive Runs Savedランキング

元記事
Catcher Pickoff Leaders : ACTA Sports(記事中に、2009年版Defensive Runs Savedのキャッチャー部門の数値あり
ブログ記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月20日、セイバーメトリクスで始まった「捕手の守備評価の新基準」。ロブ・ジョンソン、Defensive Run Saved キャッチャー部門でメジャー1位の評価を受ける。


2006年〜2008年における
3年間通算Defensive Runs Savedランキング

メジャー最下位:城島

城島の守備を「NPB時代の昔ばなし、それもデータからではなく、ただの印象のみで語り続けようとする馬鹿」は、ファンのみならず、NPBしか知らない野球評論家、ライター、新聞記者にも、いまだに掃いて捨てるほどいる。
だがFielding BibleのDefensive Runs Savedにおける評価でいうと、コネ捕手城島は、2006年〜2008年の3年間通算、つまり、シアトル入団以来ずっと、メジャー最低数字を記録し、盗塁阻止を含めて守備を高く評価されたことなど、一度たりともない。各年度データにおいてもろくでもない数字しか残していない。
評論家、ライター、新聞記者、ファン。誰も彼も、Fielding Bibleの元データすら知らないで城島の守備を語っているのを見かけたら、これからは、せせら笑っておくといい。

城島の守備がこうしたメジャー最低評価を受けるに至った主原因はもちろん、Defensive Runs Savedを決定するために集められた基礎データ数値の低さにある。
そうしたデータ数値のひとつが
(1)Earned Runs Savedにおける「メジャー最低」評価であり、
(2)Stolen Bases、盗塁阻止の評価の低さである。


(1)Earned Runs Savedにおける
「メジャー最低キャッチャー」評価

Fielding BibleDefensive Runs Savedというデータは、Earned Runs Saved、Stolen Basesなどの各ジャンルのデータを集積し、ジャンルごとにプラスマイナスで数値化。最終的にすべてのプラスマイナスをトータルすることで表現されている。
The Fielding Bible Volume IIは、近年のMLBキャッチャーのAdjusted Earned Runs Savedの評価を検討する特集記事で、城島を「メジャー最低キャッチャー」と名指ししている
この指摘はもちろん、1シーズン単位、つまり単年の評価の低さについて言われているわけではない。
過去6年、および、過去3年の、2つの通年ランキングで「メジャー最低数値」だから、「城島は過去6年、および過去3年で、最も守備評価の低いキャッチャー」と名指ししているのである。

6年間、および3年間の
Adjusted Earned Runs Saved

(Fielding Bible Volume 兇2009年2月の発行なため、2008年までの数値となる)

2003年〜2008年までの6年間
最下位:城島

2006年〜2008年までの3年間
最下位:城島



(2)Stolen Bases(盗塁阻止)における
低評価

よく城島のことを称して「メジャーでは何も通用しなかったが、肩、つまり盗塁阻止だけはトップクラスだった」などと勘違いして、人前で得々と語ったりする人がいる。そういうアホウは、アマチュアのファンならばともかく、元野球選手の評論家や、スポーツライターなどにもいたりするが、ひとつひとつのプレーの価値を、ファクターでアジャストしながら集積し、数値化していくFielding Bibleでは、そんな表記もデータも、どこを探してもない。
むしろFielding BibleにおけるStolen Basesの3年間(2006〜2008)の評価において、城島の盗塁阻止に関する評価数値はほんとどゼロに近い。「可もなく不可もなく」という、どこにでもいるメジャーにおける中クラス程度の評価でしかない。

なぜこうした認識のズレ、勘違いが起きるか、というと、おそらくは「防げる盗塁など、いくら阻止しようと、高い評価には値しない」ということがわかっていないからだろう。釣りでたとえるなら「釣って当たり前の小魚をいくら数多く釣っても、トーナメントで優勝だの、ランキング入りだの とんでもない。勘違いするな」ということだ。

ちなみに、盗塁阻止で最も高い評価を得ているのはヤディア・モリーナだが、Fielding Bibleにおける彼の評価は「Earned Runs Savedでの評価はイマイチだが、Stolen Basesで最高評価を得ている」キャッチャー、つまり盗塁阻止を評価されているキャッチャーである。
その強肩で評価を高めているヤディア・モリーナが2009年キャッチャー部門のFielding Bible賞を受賞していることは、Fielding Bibleのキャッチャーの守備能力判定基準が盗塁阻止数値を過小評価したり、軽視しているわけでもなんでもないことを証明している。(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。)単に城島個人の盗塁阻止の平凡な中身が「高評価やランキングになど値しない」と指摘されているだけのことだ。

2006年から2008年までの3年間
Stolen Basesの評価

城島 プラス1(=メジャーでは「並」程度

2006年のStolen Basesの評価
城島 ゼロ(=人並み)

2007年のStolen Basesの評価
城島 わずかなプラス(=人並み)

2006年のStolen Basesの評価
城島 わずかなマイナス(=人並み)






damejima at 14:00

December 21, 2009

スポーツデータ分析会社スタッツ社の元・社長であるJohn Dewan氏は、野球における守備力を測るための指標のひとつであるプラス・マイナス・システムの考案者で、Fielding Bibleの発行や、MLBの守備をゴールドグラブとはまた違った視点から評価するFielding Bible賞も主催する、守備系セイバーメトリクス親父の代表的人物だ。

プラス・マイナス・システム - Wikipedia

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。

書籍としてのThe Fielding Bibleは、2009年2月にVolume IIが発行されたわけだが、Volume 気犯罎戮襪藩諭垢焚善がみられた、といわれている。
なかでも注目されているリニュアルのひとつが、捕手のディフェンス能力の評価だ。
ゴールドグラブに異を唱える形でThe Fielding Bible賞を設けたように、John Dewan氏が目指すのは、単にエラー数と盗塁阻止数を数えて順番に並べる、といった単純な話ではない。彼らが目指すのは、CERAなど各種のデータを元に投手をリードするキャッチャーの能力すら数値化しようという、大胆な「キャッチャーの守備能力の数値化」の試みである。
長年コネ捕手オタと、日本の一部のダメライター・一部の野球評論家が無理にでも無視しようと必死になってきたCERAだが、ここでは必要十分な評価が与えられ、キャッチャーの能力の評価基準のひとつとして、普通に機能している。
ACTA Sports
The Fielding Bible Volume IIでは、ピックオフ数などが評価項目に導入されたりするなど、評価のベースになる数値の発展が図られているが、今後とも刷新がさらに図られて、評価は重層化していくことだろう。
数値の扱いや評価方法の細部をどう評価するかについては、できたばかりのセクションもあることであり、今後も改善がなされていくことだろうから置いておくとして、「メジャーの野球では、捕手は壁で、まったくリードはしないのが常識」「メジャーでは投手の能力と捕手の力には関係は無いと考えられている」などと、どこで聞いてきたのかわからない馬鹿のひとつ覚えのセリフが、ここにきて、完全な間違いであることさえわかれば、とりあえず十分だろう。(もちろん、そういうことが日本の野球解説者や、頑迷で無能なスポーツライターに普及するのには時間がかかるだろうから、当分の間、MLBファンはそういう人々の失笑ものの発言や記事を目にすることになる)


Catcher Pickoff Leaders : ACTA Sports(記事中に、2009年版Defensive Runs Savedのキャッチャー部門の数値あり

この記事によれば、キャッチャーのDefensive Runs Savedは、版をあらためたThe Fielding Bible Volume IIで、多くの時間と労力が割かれた部分らしい。
「新たにピックオフプレーを、キャッチャーの守備評価のための対象データとして取り上げることにした」とコメントがあるが、Fielding Bibleがキャッチャーの守備評価の「数値化」と、キャッチャーというポジションの評価に関する新たなスタンダードづくりに、並々ならぬ意気込みと情熱を持っていることが感じられる。

The Fielding Bible―Volume II, we spent a considerable amount of time and effort on translating catcher defense into Defensive Runs Saved. We are now adding catcher pickoffs as an additional element.


さて、上に挙げた記事はThe Fielding Bible Volume IIがキャッチャー部門の評価について新たにピックオフプレーの評価を取り入れたということを報じる記事だが、その中に、2009年版Fielding Bibleのキャッチャー部門におけるDefensive Runs Savedランキングが記されており、我らがロブ・ジョンソンが見事にメジャー1位に輝いた。
Fielding Bible賞2009のキャッチャー部門で圧倒的な1位に輝いた、あのヤディア・モリーナ以上の評価なのだから、これはなかなかたいしたものである。
ちなみに、Fielding Bible賞2009キャッチャー部門の投票において、Fielding Bible主宰のJohn Dewanは、Defensive Runs Saved キャッチャー部門メジャー1位のロブ・ジョンソンには全く点を入れていないのだから、面白いものだ。(2009年のロブ・ジョンソンの守備能力を最も評価しているのは、セイバーメトリクスの創始者ビル・ジェームズなど)

Fielding Bible2009受賞者

Fielding Bible2009 投票者と投票内容、投票対象プレーヤー


Defensive Runs Saved Leaders―Catchers
(2009 through September 10)
Player   Runs Saved
Koyie Hill 8
Rob Johnson 8

Koyie Hillは、今シーズンカブスで83試合に出場したプレーヤー。CERAは3.69(キャリア、4.23)と、優秀な数字を残していて、明らかにFielding Bibleが捕手のDefensive Runs Saved Leadersの選定を行うにあたって、CERAを考慮していることを示している。
Koyie Hill Statistics and History - Baseball-Reference.com

ロブ・ジョンソンは、ある意味で、メジャーのキャッチャーの評価基準をかえつつあるプレーヤーなのである。それは、言い換えると、こういうことだ。

「投手の成績というものは、キャッチャーの能力によって影響を受ける部分がある」「キャッチャーは、投手の球を受ける単なる『壁』ではない」「キャッチャーの守備能力は、単にエラー数や盗塁阻止数などで測定できたりはしない」「CERAは立派に、キャッチャーの能力を判定する重要な基準のひとつだ」






damejima at 20:49

November 12, 2009

ア・リーグに続いて、ナ・リーグのゴールドグラブが発表になった。

2009年ナ・リーグ ゴールドグラブ賞
名前の後のカッコ内は、Fielding Bible賞における選出順位
Phils, Cards, LA each take two Gold Gloves | MLB.com: News

C  Yadier Molina (1位)
1B Adrian Gonzalez (3位)
2B Orlando Hudson (5位)
3B Ryan Zimmerman (1位)
SS Jimmy Rollins (8位)
OF Shane Victorino (センター部門12位)
OF Michael Bourn (センター部門5位)
OF Matt Kemp (センター部門13位)
P  Adam Wainwright (14位)

ナ・リーグのゴールドグラブも、ア・リーグ同様にFielding Bible賞と比較してみると、同時受賞しているのは、キャッチャーのヤディア・モリーナと、三塁手のライアン・ジマーマンの2人。
この2人に、ア・リーグで同時受賞したイチローマーク・バーリーを合わせると、Fielding Bible賞2009の受賞者9人のうち、4人のプレーヤーがゴールドグラブを同時受賞したことになる。
つまり、要するに、もらうべき人は、どんな賞だろうと、もらう、ということ。2つの賞がまったく違うプレーヤーを9人選ぶようなことは起こりえない。

2つの賞で、最も評価にズレが起きるのは、ア・リーグでは「ショート」「外野手」の2部門だったが、ナ・リーグでも、「ショート」「外野手」「投手」と、傾向はほぼ同じだった。
もしかすると、ゴールドグラブを選出する現場の監督・コーチが期待することと、Fielding Bibleのような分析家が期待することに、最も大きなズレが生じやすいポジションが、「ショート」「外野手」なのかもしれない。

また、ア・リーグ、ナ・リーグで、外野手としてゴールドグラブを獲得した合計6人の外野手のうち、センタープレーヤーが5人選ばれたため、イチローだけが「センターでない外野手」として唯一、2009年ゴールドグラブを獲得した。
いかにイチローの卓越した守備能力がメジャーで、監督・コーチ、分析家、立場を問わず、高い評価を受けているかが、このことからもわかる。


2009年Fielding Bible賞
赤字は、2009ゴールドグラブ受賞者。
Fielding Bible

C  Yadier Molina
1B Albert Pujols
2B Aaron Hill
3B Ryan Zimmerman
SS Jack Wilson
LF Carl Crawford
CF Franklin Gutierrez
RF Ichiro Suzuki
P  Mark Buehrle



ゴールドグラブ初受賞のRyan Zimmerman

2008年にシアトルの監督をやっていたリグルマンが監督をつとめるワシントン・ナショナルズ(リグルマンは就任当初は監督代行だったが、ナショナルズが正式に監督として雇った Riggleman hired as Nationals manager | nationals.com: News)の三塁手ライアン・ジマーマンは、例の1983年世代ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:MLBキャッチャー世代論、「1983年世代」)のひとりで、メジャー5年目の25歳と若い。2005年のセプテンバー・コールアップでメジャー昇格。2006年の新人王争いでは、ハンリー・ラミレスにわずか4ポイント及ばず、2位になった。イチローが新人王になった2001年にデビューしたCC.サバシアのような立場である。
ナショナルズは今はまだ年間100敗もする弱体ぶりではあるが、ジマーマン、ストラスバーグと、将来有望な若手が揃いだしている。

ジマーマンのプレー動画(MLB公式)

ジマーマンは、ジャック・ウィルソンのようなディフェンスのスペシャリストではなく、イチロー同様に、「ハイレベルで打てて、ハイレベルで守れる」プレーヤー。リグルマンのように将来30-30を期待している人もいるくらい、足も速い。
2009シーズンは33ホーマー106打点、SLG.525を記録し、スラッガーとして本格化してきて、オールスター初出場、そしてゴールドグラブ初受賞。攻守ともに非常にレベルが高く、これからのメジャーを背負う選手であるのはもう確定ずみ。25歳にして、すでにチームと5年の大型契約を結んでいるが、将来FAになろうものなら、あらゆるチームが欲しがるだろう。

今回のゴールドグラブ初受賞について彼自身は、こんなことをいっている。
When I got drafted in 2005, I think defense was my claim to fame and I developed into an offensive player. Defense has always been a big part of my game.
「2005年にドラフトされたとき、僕は守備が「売り」の選手だった。あとから攻撃型のプレーヤーに進化した、と思ってるんだ。守備はいつもゲームで大きな位置を占めているよ」

デビューイヤーにいきなり20ホーマー100打点をマークして世間を驚かせた強打のジマーマンだが、守備についてのプライドも、相当もっている。
今年ゴールドグラブとFielding Bible賞を同時受賞したことで、守備のほうの評価も確定。おそらく今後のゴールドグラブのナ・リーグ三塁手部門では、常に名前がでてくることになるだろう。
今はまだ左投手がやや苦手なようだが、そのうち克服してくれるはず。打者としても活躍して、将来同じ右投右打のホール・オブ・フェーマー三塁手、マイク・シュミットのようなプレーヤーに育ってもらいたいものだ。
ライアン・ジマーマンのスタッツ
Ryan Zimmerman Stats, News, Photos - Washington Nationals - ESPN






damejima at 10:05

November 11, 2009

2009年ア・リーグのゴールドグラブ賞が発表になった。
Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News

Ichiro adds to his legacy with No. 9 | MLB.com: News

イチローはこれでメジャーデビュー以来、9年連続ゴールドグラブ受賞。今シーズンも素晴らしい守備を披露し続けたから当然といえば当然だが、めでたいことだ。
9年連続ゴールドグラブ獲得プレーヤーは、メジャーでもグリフィー・ジュニア含めて7人だけしかいない。83補殺(Outfield Assists=外野手補殺)は、2001年以降ではメジャー最多。
またマリナーズの23シーズン連続のゴールドグラバー輩出は、メジャー・レコードらしい。ア・リーグ最多の観客動員数を記録した2001年以降の数年、いかにシアトルに多彩な才能が集まり、勢いがあったかわかる。

シアトル・マリナーズが23シーズン連続で輩出した
ゴールドグラバーのリスト

1987 Mark Langston, LHP
1988 Mark Langston, LHP Harold Reynolds, 2B
1989 Harold Reynolds, 2B
1990 Ken Griffey Jr., OF Harold Reynolds, 2B
1991 Ken Griffey Jr., OF
1992 Ken Griffey Jr., OF
1993 Ken Griffey Jr., OF Omar Vizquel, SS
1994 Ken Griffey Jr., OF
1995 Ken Griffey Jr., OF
1996 Ken Griffey Jr., OF Jay Buhner, OF
1997 Ken Griffey Jr., OF
1998 Ken Griffey Jr., OF
1999 Ken Griffey Jr., OF
2000 John Olerud, 1B
2001 Ichiro Suzuki, OF Mike Cameron, OF
2002 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B John Olerud, 1B
2003 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B Mike Cameron, OF John Olerud, 1B
2004 Ichiro Suzuki, OF Bret Boone, 2B
2005 Ichiro Suzuki, OF
2006 Ichiro Suzuki, OF
2007 Ichiro Suzuki, OF Adrian Beltre, 3B
2008 Ichiro Suzuki, OF Adrian Beltre, 3B
2009 Ichiro Suzuki, OF
元データIchiro wins record ninth straight Gold Glove

先日すでに発表になっている2009年Fielding Bible賞は、サイバーメトリクス系の人々による独自の守備系ベストナインで、MLB全体から各ポジション1人だけを選ぶが、ゴールドグラブはベースボールのプロであるメジャー各チームの監督・コーチの投票によって選出され、リーグごとに各ポジション1人が選ばれる。
(プロが選ぶメジャーと、素人である新聞記者が選ぶ日本のプロ野球のゴール「デン」グラブは、方式がそもそも違う。2つを混同して語る人が多すぎる)

選出スタンスに違いがあるゴールドグラブ、Fielding Bible賞の2つを同時受賞したのは、イチローと、完全試合男、シカゴ・ホワイトソックスのマーク・バーリー、わずか2人だけである。


ゴールドグラブとFielding Bible賞、2つの賞の差

2つの賞の受賞者を比べるかぎり、その差はゴールドグラバーがFielding Bible賞では4位になる程度の「微妙な差」で、プレーヤーの順位がまるで違ってくるかというと、大半のポジションでは、それほどめちゃくちゃな差があるわけではない。
(素人記者が選出することで、日本のプロ野球におけるゴール「デン」グラブに対しては様々な批判があるが、その日本での論点を、そっくりそのままメジャーのゴールドグラブに対する批判に流用して展開しているアホウがいるが、日米の選出方式がまったく違う以上、意味がない。プロである監督・コーチが選出するメジャーのゴールドグラブは、「素人の思いつき」で決定されているわけではない。)

ところが、2つの賞で選手評価に大差が現れるポジションもある。2009年でいえば、「ショート」と「外野手」だ。この2つのポジションでは、ゴールドグラバーがFielding Bible賞では20位だったりする。
Fielding Bibleはジーターの守備をまったく評価していない。シアトルのショート、ジャック・ジョンソンがFielding Bible賞を受賞できたのには、実はそういう背景がある。
外野手部門も2つの賞で評価の差の激しいポジションだが、イチローは、両方の基準を満たし、最高評価を得た。どんな基準で判定しようと、今年も文句なくメジャーの守備の達人として認められているのである。イチローはバッティングのみならず、守備タイトルの面でも、そろそろMLBの歴史的領域に達しつつある。
歴代ゴールドグラブ受賞者(英語) American League Gold Glove Award Winners - Baseball-Reference.com

歴代ゴールドグラブ受賞者(日本語) - Wikipedia

2009年ア・リーグ ゴールドグラブ賞
(カッコ内はFielding Bible賞2009における順位。外野手は2つの賞で選定基準が異なる)
Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News
C  Joe Mauer (3位)
1B Mark Teixeira (4位)
2B Placido Polanco (6位)
3B Evan Longoria (4位)
SS Derek Jeter (17位)
OF Torii Hunter (センター部門9位)
OF Adam Jones (センター部門21位)
OF Ichiro Suzuki (ライト部門1位)
P  Mark Buehrle (1位)



2009年Fielding Bible賞
Fielding Bible
C  Yadier Molina
1B Albert Pujols
2B Aaron Hill
3B Ryan Zimmerman
SS Jack Wilson
LF Carl Crawford
CF Franklin Gutierrez
RF Ichiro Suzuki
P  Mark Buehrle


ゴールドグラブがリーグごとに守備のベストナインを選出するのに対して、Fielding Bible賞はメジャー全体からポジションに対して1人だけを選ぶ。(だからといって、Fielding Bible賞のほうがエライ、という単純に言い切れるものでもない。いくら守備指標がいいからといって、ジャック・ウィルソンを選んでもしょうがない)Fielding Bible賞の成り立ちについては、下の記事に多少書いたので参照してもらいたい。
2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。

ゴールドグラブはバッティング成績やネームバリューを加味しすぎると批判があるわけだが、今回の両方の賞の受賞者をポジションごとに見比べてみるのはなかなか面白い。


ゴールド・グラバーになれなかった
アーロン・ヒル


キャッチャーのジョー・マウアー(2年連続2回目のGG受賞)はFielding Bible賞2009でも3位だし、テシェイラ(GG3回目、Fielding Bible賞4位)の守備がいいのもわかっているから問題ない。ジーター(GG4回目)を選んでしまうのはゴールドグラブの悪い癖だから、あきらめるしかない(笑)

だが、クビをひねる選考は二塁手だ。
先日「2009年11月5日、「強打の二塁手」〜今年最も記憶に残ったプレーヤー、最も注目すべきポジション。」という記事で書いたように、ESPNなど全米スポーツメディアが選ぶ今年のベストナインでは、二塁手にはアーロン・ヒル、ベン・ゾブリスト、イアン・キンズラーといった、打撃のいい選手たちの名前がズラリとあがっていた。
なかでもアーロン・ヒルは2009シーズン、打撃で素晴らしい数字を残しただけでなく、守備でも今年Fielding Bible賞を受賞していて、守備面の評価も高い。打撃面も加味されやすいと噂されるゴールドグラブでは、なおさら攻守のバランスの素晴らしいアーロン・ヒルが文句無く選ばれると思っていたわけだが、どういうわけか、二塁手には2007年に一度受賞しているプラシド・ポランコが選出されている。
どういうわけで、いまポランコなのか?
イマイチ、理解に苦しむ(苦笑)


サイズモアを脇においやった
グティエレスとアダム・ジョーンズ


ゴールドグラブの外野手部門は、クリーブランドのセンター、グレイディ・サイズモアが、2007年、2008年と連続受賞していたわけだが、WBCで怪我をした2009年は106ゲームの出場、打率.248に留まり、その座を元シアトルで、今はボルチモアのセンターを守るアダム・ジョーンズに譲った。まったくトレード要員にするなど、惜しいことをしたものだ。
アダム・ジョーンズのGG受賞について、MLB公式サイトでは、まるで守備が出来すぎるイチローの存在がジョーンズなどシアトルの若手外野手の成長にフタをしてきたような誤った書き方をしているが、他にマトモに外野を守れる人材がいなかった当時のチーム事情のためにイチローがセンターに回っていただけのことだから、イチローに非はない。単なる誤解である。またイチローはセンターでもゴールドグラバーである。
Jones' inclusion is ironic in one significant sense: For two seasons he was one of the young Seattle outfielders whose path was blocked by Ichiro. Ichiro, Hunter win ninth Gold Gloves | MLB.com: News

ゴールドグラブに選出された外野手3人のうち、イチロー以外の2人はセンタープレーヤーで、トリー・ハンターアダム・ジョーンズだが、Fielding Bible賞の選んだメジャー1センターは、現シアトルのフランクリン・グティエレスだった。
グティエレスはシアトルに移籍することで正センターとして定着できてFielding Bible賞も受賞したのだから、イチローの高すぎる才能が若手外野手のフタをしているわけがない。要は、誰が上にいようと上手くなればいい。それだけのことだ。

グティエレスは、元はといえば、クリーブランド時代、正センターのサイズモアの控えだったわけで、ある意味、アダム・ジョーンズとグティエレスの2人がかりで、サイズモアを脇役においやった形にはなった。

ではグティエレスとアダム・ジョーンズ、どちらの守備がいいか。
これは比較基準をどこに置くかによるだろう。(外野手部門では、ゴールドグラブとFielding Bibleとでは、選ぶ選手はかなり異なる。2つの賞で受賞できる守備でも天才のイチローは例外)
グティエレスは打球判断や落下点への到達スピードなど、捕球に高い才能があり、アダム・ジョーンズはグティエレスより肩がマシなのと、打撃スタッツが上回っている。

グティエレスが、イチローやバーリーのように、ゴールドグラブであろうと、Fielding Bible賞であろうと、誰からもケチのつけどころのないセンターになるには、もう少し遠投の肩の強さ、スローイングコントロールをつけることと、バッティングスタッツをもう少し改善する必要があるようには思うが、どうだろう。






damejima at 11:53

November 01, 2009

シアトルの地元紙Seattle Times紙がこの数年おいかけているサイトに、Fielding Bibleがある。「守備の殿堂」、とでも訳せばいいだろうか。
このFielding Bibleが、「Fielding Bible賞2009」を発表したことを、Seattle Times紙で知った。ありがとう、Seattle Times。

2009年の「Fielding Bible賞」は以下のとおりになった。シアトルから3人も、この「守備のベストナイン」に選ばれている。

1B Albert Pujols, St. Louis
2B Aaron Hill, Toronto
3B Ryan Zimmerman, Washington
SS Jack Wilson, Pittsburgh and Seattle
LF Carl Crawford, Tampa Bay
CF Franklin Gutierrez, Seattle
RF Ichiro Suzuki, Seattle
C  Yadier Molina, St. Louis
P  Mark Buehrle, Chicago


Mariners Blog | Mariners clean up in 2009 Fielding Bible Awards | Seattle Times Newspaper

Fielding Bible ホーム

Fielding Bible賞2009 全投票者と、その投票内容

なのに、あのマイナスの得失点差というのだから、いかにコネ捕手城島の存在が多くの失点を招く最悪なものだったか。そしてシアトルのチーム・オフェンスがいかに無力だったか。痛感させられる。
どんなに投手や守備に金をかけようと、城島がいては「ザル」だった。本当に日本に帰ってくれてよかった。2009年「Fielding Bible賞」捕手ランキングには、城島は名前すら存在しない。

さて、コネ捕手城島がメジャーから去らなければならなくなった一方で、ロブ・ジョンソンは、キャッチャー部門でトータル17ポイントを獲得し、9位にランクインした。とりわけロブ・ジョンソンを大きく評価したのは、サイバーメトリクス創始者として有名なビル・ジェームスで、彼はロブ・ジョンソンに全体6位と評価し、投票者の中で最高の評価点を与えた。


日本の至宝イチローは既に2006年に受賞していているが、今回2度目の受賞(93ポイント)。フランクリン・グティエレスは、2008年にライトのポジションで受賞していて、こんどはセンターで2年連続の受賞(97ポイント)。ジャック・ウィルソンは初(86ポイント)。

ベスト10外では、ホセ・ロペスが二塁手部門18位、エイドリアン・ベルトレが三塁手部門2位、フェリックス・ヘルナンデス投手部門11位となっている。


守備に対する賞といえば「ローリングス・ゴールドグラブ賞」、いわゆるゴールドグラブがあって、リーグごとに1人ずつ選ばれるわけだが、Fielding Bibleがわざわざ自前で両リーグ全チームからたった1人だけを選び出して、守備のベストナインともいうべき「Fielding Bible賞」を作って発表しているのには、もちろん理由がある。
そのへんの理由とFielding Bibleの成り立ちについて、Seattle Timesでは以下の訳出のように説明している。もちろんFielding Bible自身もサイトで、なぜこういう試みが必要だったのか、どういう手法とプロセスによって「Fielding Bible賞」が選考されているか、明確に記している。
Fielding Bible自身によるFielding Bibleの成り立ちの説明

Seattle Timesより
Many of the Gold Glove voters only see certain players a handful of time per year, and also tend to use more traditional defensive stats like errors or fielding percentage (or simply go off memory alone) to pick a winner.
ゴールドグラブ投票者の多くは、どのシーズンでも、ある一握りのプレーヤーしか見ていないし、受賞者を選択するにあたって、エラーする率のような、伝統的な守備スタッツばかり使う(もしくは、単に記憶だけに頼って行動する)傾向もある。

The Fielding Bible is an authoritative book on defense published by John Dewan, a leading researcher in the field of baseball data. Dewan is the founder of Baseball Info Solutions (BIS) has come up with a number of defensive ratings systems over the years with data compiled by the research staff he employs in Philadelphia. According to his Defensive Runs Saved system, which we wrote about during spring training, the Mariners were the top defensive team in baseball this past season with 109 defensive runs saved.
Fielding Bibleは、野球の守備データのトップリサーチャーである、ジョン・ドゥーエンによって出版されている権威ある書物である。ドゥーエンは、彼がフィラデルフィアで彼が採用したリサーチスタッフによって長年収集されている守備格付けシステムを考案した、ベースボール・インフォ・ソリューションズ(BIS)の創設者だ。
彼のDefensive Runs Saved system(守備によって防がれた失点システム)によると、スプリング・トレーニング中に書いたように、マリナーズは109点ものディフェンシブ・ラン・セーブ、守備による失点防止が行われたことによって、この前のシーズン、MLB最高の守備的チームだった。

The Fielding Bible Awards are selected by a panel of 10 experts, including Dewan, baseball columnists Peter Gammons and Joe Posnanski and sabermetric guru Bill James.
「Fielding Bible賞」は、10人のエキスパートの選定委員会によって選出される。選考委員には、野球コラムニスPeter Gammons、Joe Posnanskiと、セイバー・メトリクスの教祖、Bill Jamesが含まれる。

参考)Mariners Blog | M's defense was "above average'' in 2008 | Seattle Times Newspaper Blog



Peter Gammonsは、ESPNの有名野球番組「ベースボール・トゥナイト」のアナリスト。Joe Posnanskiは、アメリカの有名スポーツメディアであるスポーツ・イラストレイテッド、および、カンザスシティ・スターの記者・コラムニスト。Bill Jamesはいわずとしれたセイバー・メトリクス提唱者である。

カンザスシティ・スターは、先日このブログでも取り上げた記事がある。(2009年10月27日、Kansas City Starは、ヘルナンデスとグレインキーのシーズンスタッツを補正した上で比較して、「勝負は五分五分」と語った。)この記事のライターはJoe Posnanskiではないのだが、単純に表向きの勝ち負け数だけで比較せず、なんらかの補正を加えてから比較しているあたり、カンザスシティ・スターには、「Fielding Bible賞」選考委員のJoe Posnanskiの目が行き届いている、と感じられる記事になっている。

Peter Gammons News, Videos, Photos, and PodCasts - ESPN
Joe Posnanski - Wikipedia, the free encyclopedia


全ポジションの受賞者それぞれに言いたいことはあるので機会があれば書いてみたいが、とりあえずキャッチャーとして受賞したヤディア・モリーナについて書いてみる。
Fielding Bibleがサイトにヤディアの表彰理由を書いているのだが、今年から測定しはじめたというワイルドピッチやパスボールをを防ぐ能力についてわざわざ言及しているのが、たいへん興味深い。現代的なキャッチャーの能力評価がどこにあるか、という点について新しい方向性を示したものといえる。

Yadier was the third “most popular” vote getter in 2009. He was named first on eight ballots, finishing with 96 points. Everyone knows about Molina’s incredible throwing arm. (中略)But one thing that hasn’t been measured until recently is a catcher’s ability to prevent bad pitches from getting past him, allowing baserunners to move up. We measured this stat this year and shared it with our voters. No surprise, Yadier is one of the best.
ヤディアは、2009年に3度目の受賞で、これまでの最多受賞者となった。8人が1位投票し、96ポイントを得た。誰もが「モリーナ一族」の脅威の強肩を知っている。(中略)しかしまずい投球をキャッチャーが後逸しランナーが進塁するのを防ぐ能力は、最近まで測定されていなかったデータのひとつだ。私たちは今年この統計を測定し、投票者間で共有した。当然のことだが、ヤディアは最良のプレーヤーのひとりだった。
太字はブログによる)






damejima at 07:00
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