2010年ロスターの歪み、グリフィー引退

センチメンタルなフロリダ・ドライブのための音楽。
2010年6月2日、グリフィー引退に贈るイチローのサヨナラヒット!!
2010年6月2日、ケン・グリフィーJr.、引退。
2010年5月30日、びっくりするほど「的外れ」な、このチームのマネジメント。よせばいいのに投手を増やすのではなく、キャッチャーを連れてきて、全く同じ「サヨナラホームラン」負け。
2009年5月18日、シアトルのアンバランスすぎる現状(3) WHIPランキングのベスト5に2人もシアトルの先発投手が入っているにもかかわらず、投手に勝ちがつかず、チームは最下位。
2009年5月18日、シアトルのアンバランスすぎる現状(2) イチローがチームのヒットの20%を生産している2010シーズン。
2010年5月17日、シアトルのアンバランスすぎる現状(1) チーム防御率は3点台でリーグ3位、チーム得点数はリーグ最低。

June 04, 2010

アムトラック シルバーサービスLynyrd Skynyrd レイナード・スキナードというフロリダ出身のサザン・ロックのバンドがある。フロリダ北東部のジャクソンビルで育った幼馴染が集まって1964年に結成された。創設メンバーの多くが1977年の不幸な飛行機事故で亡くなっていることでも音楽ファンの間では有名なバンドだが、一般にはあまり馴染みがないのかもしれない。


レイナード・スキナードの故郷ジャクソンビルは、マイアミタンパオーランドなどに次ぐフロリダの中核都市のひとつで、フットボールがさかんな街だ。

タンパはフロリダ第2の都市だが、タンバベイ・レイズの本拠スタジアムのトロピカーナ・フィールドはタンパにあるわけではなくて、タンパに近いセントピーターズバーグにある。タンパやセントピーターズバーグ、クリアウォーターといった街が形成する都市圏が「タンバ・ベイエリア」なのである。

レイナード・スキナードの先輩格のバンドに、1958年結成(バンド名は1968年から)のCreedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル 略称CCR)があるが、彼らのバンド名の「クリアウォーター」は、なにせサザンロックの先駆者でもあることだし、フロリダ出身のバンド、レイナード・スキナードと同じように、タンパ・ベイエリアの街のひとつフロリダ州クリアウォーターの出身であることに由来するのか、と思うと、彼らはサンフランシスコのバンドで、フロリダ州ではない。

どちらもちょっとややこしい。



オーランドは、フロリダ中央部の都市で、引退したケン・グリフィー・ジュニアの自宅がここにある。NBAオーランド・マジックの本拠地で、また長距離鉄道アムトラック Amtrakの駅がある。
フロリダ州のアムトラックというと、マイアミとニューヨークを結ぶシルバーサービスという路線以外に、かつてはオーランドとロサンゼルスを結ぶサンセット・リミテッドという路線があったのだが、今はハリケーンの影響のために路線が短縮され、オーランドまで来なくなってしまった。
Amtrak - Routes - Northeast - Auto Train
Amtrak - Routes - Northeast - Silver Service / Palmetto
ニューヨークを出発してフロリダを目指すアムトラックは、レイナード・スキナードの出身地、北東部のジャクソンビルを通り、ケン・グリフィー・ジュニアの自宅のある中央部のオーランドを経由して、マイアミを目指し、南へ南へと下る。
ジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は無鉄砲な若者3人がニューヨークから、クリーブランドを経てフロリダを目指すという素晴らしい出来栄えのロード・ムービーだが、彼らはアムトラックではなく、車を使って憧れのフロリダを目指した。


現役引退をチームに電話で知らせた後、グリフィーは、すぐにフロリダ州オーランドの自宅へ車で向かったらしい。
このドライブはアメリカの左の上、つまり北西の端から、右の下、南東の端まで斜めに大陸を横断するのだから、その距離はもう、果てしなく遠い。日本を北海道から九州まで走るのより遠い。
いったい彼がどういう気持ちでこの長い長いドライブのステアリングを握っていたのかはわからないが、とても音楽を聴きたいような気分ではなかったかもしれない。考えごとでもしながら家族の待つホームタウン、オーランドを目指したのだろうか。


やがて彼はシアトルに、選手としてではなく、別の立場で戻る日が来るという。シアトルに彼が戻る長い長いドライブのための音楽として、グリフィーの好きな音楽かどうかはわからないが、フロリダ出身のレイナード・スキナードの曲を、すすめておこうと思う。サザン・ロックの傑作だ。
この曲がかつて、アメリカ南部の文化というものについて物議をかもした曲だということは承知している。レイナード・スキナードがフロリダで生まれ、また、かつて人種差別で苦しんだグリフィーの自宅が、北のニューヨークや西のロサンゼルスといった都会にではなく、南部フロリダにあるのだから、アメリカ文化というものはなかなかこれで複雑で、けしてフラットではないのである。

レイナード・スキナード
Sweet Home Alabama(1974)
レイナード・スキナード Second Helping






damejima at 12:17

June 03, 2010

胸が熱くなるゲーム。
野球ファンで本当によかった。

2010年6月2日 イチロー サヨナラヒット

珍しく1試合で3つも三振したイチロー。スイングを見るかぎり、第一打席からずっと明らかにホームラン狙いに見えた。そして延長に入ってドラマが待っていた。まるでWBCの決勝のように。
やはり、イチローは「持ってる」。

MLB公式動画
Baseball Video Highlights & Clips | MIN@SEA: Lee hustles to field a bunt perfectly - Video | MLB.com: Multimedia

Junior moment: Ichiro wins one for Griffey
Minnesota Twins at Seattle Mariners - June 2, 2010 | MLB.com Wrap

MLB公式サイトの今日のゲームの記事タイトルは、Junior moment: Ichiro wins one for Griffey 「グリフィーの花道:グリフィーのためにイチローが勝利をもたらした」と、そのドラマチックなゲームを形容した。

Mariners win on Ichiro's walk-off single | Mariners.com: News
Seattle lost one of its icons Wednesday, but another delivered.
「水曜シアトルはシンボルのひとつを失った。だが、もうひとつのシンボルがもたらされた。」

Minnesota Twins at Seattle Mariners - June 2, 2010 | MLB.com Gameday

06/02 2010 イチロー サヨナラヒット‐ニコニコ動画(9)


2010年6月2日 イチローサヨナラヒット グリフィー引退ゲームイチロー サヨナラヒット
全11球


初球から4球目まで
ストレートはすべて見逃して、スライダーのみを2球スイングしている。あきらかに変化球狙い。

5球目から10球目まで
ミネソタバッテリーがイチローが狙いを絞って打席に立っていることに気づいたのだろう、6球続けてストレートばかり投げてきた。それに対してイチローは、全ての球を三塁側スタンドにファウルしてカットしてみせた。かなりバットが遅れて出ているのは、明らかに変化球にあわせてスイングのタイミングを遅らせているためだろう。素晴らしい技術。

11球目
イチローにあまりにもストレートをカットされ続けたので、ついに痺れを切らしたミネソタバッテリーが投げてきた運命の11球目が、「スライダー」。イチロー、すかさずピッチャー返し、打球はセンター方向に。セカンドがかろうじて追いついて、膝をついたままトスするが、セーフ。イチロー、4度目のサヨナラ打。
まるであのWBC決勝の再現のようだった。

「(気持ちの)整理もできないまま、混乱した状態でゲームしていました」「去年の春(第2回WBC)の最後の打席は僕の野球人生で最も雑念の多かった打席と言いましたが、その次に雑念の多い打席と言えるでしょうね」
イチロー「いろんなことがよぎった」 - MLB - SANSPO.COM



それにしても今日のヒーローは、イチローの神バッティングもさることながら、ミルトン・ブラッドリーを忘れてはならない。

彼はかねてからグリフィーJr.が自分にとっての憧れのアイドルと公言してきたわけで、今日のゲーム前、スタジアムにグリフィーの映像が流されると、ブラッドリーはこらえきれず、ダグアウトのベンチでタオルで目をぬぐいつつ、人目をはばからず泣いた。

今日のゲームはスコアからわかるように投手戦で、シアトル先発クリフ・リーが本当に素晴らしいピッチングをみせたが、ミネソタの先発スローウィーも好投で打ちあぐねた。

5回表、先頭打者ブラッドリーがシングルヒットで出塁する。
ここで彼の驚くべきファイトが炸裂する。ロペスの打席で2盗、コッチマンの打席で3盗と、2つの盗塁を続けて成功させてみせて、さらにコッチマンの外野フライで生還してみせたのである。
Baseball Video Highlights & Clips | MIN@SEA: Kotchman plates Bradley with a sac fly - Video | MLB.com: Multimedia

9回までにシアトルの得点はこの得点のみ。まさに、ブラッドリーがこの特別な日のために、まるで乾ききった雑巾を絞るように搾り出してくれた得点だった。

"I hit left-handed because of Griffey. I wanted to play baseball, be an outfielder, make diving catches, style on a home run, because of Griffey. Guys like him don't come around every day. He's just as magical off the field as on it."
-----Milton Bradley






damejima at 14:17
ケン・グリフィー・ジュニアが引退を表明した。


たまたまツイッターをいじっていたのだが、Griffey is retiring とあまりにも短いコメントを書いた人(シャノン・ドライアー)がいた。本当かな?と、ちょっとスルー気味に思いつつ、ツイッターの編集作業を続けていたら、グリフィー引退がメディアに流れはじめて、それが事実なのだとわかった。
既にシアトルのアクティブ・ロスターにはグリフィーの名前はない。25人いるべきアクティブ・ロスターのリストに、今は24人分の名前しかない。ちなみにこの「24」という数字はグリフィーの背番号と同じだ。
Active Roster | Mariners.com: Team
スタジアムではいま試合前のウオームアップ中だ。マイク・スウィニーが悲痛な表情でインタビューに応えている。ブラッドリーはスタジアムに流されているグリフィーのビデオを見ながらダグアウトでタオルで涙をぬぐっている。有名な「イチ・メーターの人」も今日はグリフィーに対するメッセージボードを持っている。セカンドベースの後ろ側には、「24」の文字が書かれている。
以下は球団を通じて発表されたグリフィーのステートメント。

"I've come to a decision today to retire from Major League Baseball as an active player.

This has been on my mind recently, but it's not an easy decision to come by. I am extremely thankful for the opportunity to have played Major League Baseball for so long and thankful for all of the friendships I have made, while also being proud of my accomplishments.

I'd like to thank my family for all of the sacrifices they have made all of these years for me. I'd like to thank the Seattle Mariners organization for allowing me to finish my playing career where it started. I look forward to a continued, meaningful relationship with them for many years to come.

While I feel I am still able to make a contribution on the field, and nobody in the Mariners front office has asked me to retire, I told the Mariners when I met with them prior to the 2009 season and was invited back, that I will never allow myself to become a distraction. I feel that without enough occasional starts to be sharper coming off the bench, my continued presence as a player would be an unfair distraction to my teammates, and their success as team is what the ultimate goal should be.

My hope is that my teammates can focus on baseball and win a championship for themselves and for the great fans of Seattle, who so very much deserve one. Thanks to all of you for welcoming me back, and thanks again to everyone over the years who has played a part in the success of my career."


MLB Trade Rumors
Ken Griffey Jr. Announces Retirement: MLB Rumors - MLBTradeRumors.com

ABC News
Ken Griffey Jr. Retiring at Age 40 - ABC News

USA Today
Ken Griffey Jr. announces retirement - Daily Pitch: MLB News, Standings, Schedules & More - USATODAY.com

ロイター通信
Mariners' Griffey retires after 22 seasons | Reuters

TSN
Ken Griffey Jr. announces his retirement

SI.com
Ken Griffey Jr. retiring at age 40 - MLB - SI.com

Seattle Times
Mariners Blog | Griffey announces retirement --- Read Griffey's statement | Seattle Times Newspaper

The News Tribune
Griffey retires: He's the best we've ever had | Seattle Mariners - The News Tribune

MLB公式
Griffey Jr. announces his retirement from game | Mariners.com: Official Info

グリフィー引退について語るズレンシック
Baseball Video Highlights & Clips | MIN@SEA: Kotchman plates Bradley with a sac fly - Video | MLB.com: Multimedia


ブログ主が最初にグリフィー引退のソースを見たのはシャノン・ドライアーのツイッター。それから10分ほどしてシアトルタイムズのベイカーのツイッターにも出た。

Shannon Drayer (shannondrayer) on Twitter
Griffey is retiring

Geoff Baker (gbakermariners) on Twitter
Ken Griffey Jr. has retired.


そして今日もゲームが始まった。

(6月3日追記)
Seattle Mariners Insider - The News Tribune






damejima at 09:06

May 31, 2010

本当に腹が立つ。

今日は指名で罵倒させてもらうことにする。
ズレンシック。あんたはどうしてそう、モノを見る目がないのだ? ワカマツについては、もはや何も言いたくない。

2ゲーム連続でブルペン投手がサヨナラホームランを浴び、LAAに連敗。
あまりにも不調だった打線が、打撃コーチを変え、もはや現役でいる理由のないグリフィーをスタメンからはずしたことなどをきっかけに復調をみせてきて、このカードは敵地スイープできる可能性すらあった。

だが。またも「サヨナラ地獄」に逆戻りだ。
この「城島問題」を長年放置してきた合理性の無さ過ぎるチームが負け続けることにすら耐性ができていたはずのブログ主ですら、昨日今日の「原因のわかりすぎた悲惨な負けっぷり」には、ひさびさに顔が紅潮するほどアタマにきた。
Seattle Mariners at Los Angeles Angels - May 30, 2010 | MLB.com Gameday


メジャーのベンチ入り枠、ロスターについてちょっと説明しておこうと思う。
こんな基本的な話、わかりきっているのは重々承知だ。だが、こんなことでも書いてなけりゃ、とてもじゃないがイライラして、今日の最悪なゲームのことなど語ることはできない。
それほど酷いゲームだった。


開幕時はアクティブ・ロスター(25人)
MLBのチームで、開幕ベンチに入れてゲームに出られる人数は25人。アクティブ・ロスター Active Rosterと呼ばれ、この25人で開幕から8月31日までのシーズンを戦う。チームとメジャー契約できるのは40人だが、この40人全員がアクティブ・ロスターになれるのではない。
日本のメジャーファンはよく会話の中で短縮して「ロスター」と表現するが、9月以降でもないかぎり、普通はこの25人枠、アクティブ・ロスターのことを指す。(ちなみに日本のプロ野球では28人がベンチに入れて、出場できるのは25人)


「ロスター」のカタカナ表記の間違い
rosterはアメリカ英語でもともと「名簿」という意味で、野球でいうなら「1軍選手の登録名簿」とでもいう意味あいになる。
このrosterという言葉、どういうものか、日本語のカタカナ表記するときに、「ロスター」と書くのでなく、「ロスター」と、音引き(=カタカナなどで音を伸ばして発音するのを、メディア用語でこう言う)を間に挟みこんで書く人がたくさんいる。
だが、「ロスター」では、「(コーヒー豆などを)炒る」roasterという意味になってしまう。
ロースターとロスターでは、意味もスペルも違うし、発音も違う。実際、下のリンクをクリックして、自分の耳で実際に聞きくらべて確かめてみたらいい。
roster ロスター
roaster ロースター


ロスターの発音が耳で聞けるサイト
Pronunciation of roster - how to pronounce roster correctly.
ロースターの発音が耳で聞けるサイト
Pronunciation of roaster - how to pronounce roaster correctly.


9月以降は「40人ロスター」
ポストシーズン(プレーオフ)を控えた秋9月に入ると、開幕時には25人に限られていたベンチ入り選手枠が拡大され、40人枠の選手がベンチ入りできるようになる。「9月」を意味する単語を使って「セプテンバー・コールアップ September Call Up」という。
(ただしポストシーズンに出場できるのは、8月31日時点でアクティブ・ロスターだった選手のみ。25人枠に登録されていなければ出られない)
9月になるとポストシーズン出場が既に絶望的なチームなどがマイナーから有望選手を上げてきて試合に起用したりするのは、このロスター拡大制度を利用して、翌年のシーズンに向けてテストしたり、経験を積ませたりするわけだ。


オプション、ウェーバー、ルール5、故障者リスト
ただ、地区下位に低迷するチームがアクティブ・ロスターを入れ替えることでチームの現状を打開したいと考えたとしても、制度の制約もあることから、まるっきり好きなように選手を入れ替えてチーム改造できるわけではない。

たとえばウェーバーという制度がある。
25人枠の不調な選手をマイナーに落とすといっても、40人枠の外へ移動するような場合、ウェーバーを通さなくてはならない。
これは「公示期間に他球団に獲得意思があれば、その選手を獲得できてしまう」という公示制度だから、「今は絶不調だとしても、後で復調したら使いたいとチームが考える選手」の場合、「ウェーバーにかける」わけにはいかない。
また逆に、いま40人枠の外にビックリするほど絶好調な若手がいたとしても、彼をメジャーのベンチに入れて使うためには、40人枠の誰かをウェーバーにかけるリスクを負わなくてはならない。

またベンチ入り選手の入れ替えにとって、「オプション切れ」も壁になることがある。
マイナーオプションは、チームが3シーズンの間、選手をアクティブ・ロスターと40人ロスターの間を自由に行ったり来たりさせることのできる権利だが、「オプションが切れた」選手は25人枠から40人枠に移動させるには、ウェーバーを通さなければならない。
また40人枠からはずすときにはルール5ドラフト Rule 5 draftが適用されるため、チームはその選手を失う可能性がでてくる。

例えば、いま不調の先発投手ローランドスミスをベンチに置いたまま、飼い殺しのような状態になっているのも、このオプション切れの問題からきている。
彼はオプションが切れているため、チームは仮に彼をマイナーで調整させて復調させたいとしても、下には落とせない。オプションの切れた選手の場合、25人枠から40人枠に移すにはウェーバーにかけなければならないからだ。(オプションが残っていれば移せる)
かといって、シアトルはローランドスミスをブルペン投手として使いつつ調整させる方法をとるのか、というと、そうでもない。
彼を先発投手として大成させたいという思惑がある今の首脳陣たちにしてみれば、むやみに彼をブルペン投手として酷使してダメにするわけにはいかないと考えているような感じがある。
だからローランドスミスは、いちおう建前としてはブルペン投手としてベンチにはいるものの、他のリリーフほど頻繁すぎる登板は課せられていない。困ったものだ。今日のゲームでも彼は投げていない。

こうした制度上の制約をすりぬけるための方法として、DL、つまり故障者リスト制度を上手に使う、という手もあるわけだが、馬鹿正直なのかなんなのか、シアトルは故障者リストを積極的に活用しようとしない。


ベンチにぶらさがったままのローランドスミス以上に今のブルペンの状況を悪化させた悪政のひとつが、ブラッドリーが例のカウンセリングから復帰してきたときに、チームがとった選手選択だ。
何度も説明し、日本のシアトルファンの多くが呆れていることだが、このチームは野手のブラッドリー復帰にあたって、ダブついた野手を25人枠からはずすのではなく、ただでさえ火の車なブルペンから、投手のショーン・ホワイトをマイナー送りにしてしまったのである。

さらには、ベンチには不調というより、肉体的な衰えからいまや代打要員でしかなくなったグリフィーがいる。彼がベンチにいることで、ロスター枠は一人分無駄になっている。DH要員はマイク・スウィニーと、ブラッドリーと、2人いるだけでも多いのに、3人もいるのである。


「もともとブルペン投手の数が足りないし、左右も偏っていた。また、いいブルペン投手がいない。そのくせ、リリーフもクローザーも酷使して、不調のまま使い続いている。その結果、リリーフがゲームの中盤を支えきれないし、クローザーはしょっちゅうサヨナラ負けを喫し続けている」
目の前にそういう根本的な問題があるにもかかわらず、チームのやったことといえば、どうだ。
「新しいキャッチャーを連れてくる」
開いたクチがふさがらない。

この際だからはっきりしておこう。

今日の先発捕手はアルフォンゾとかいう新しい選手だったが、今のチームの低迷ぶりは、アメリカのヒステリックで偏見だらけなブロガーの言うように、別にロブ・ジョンソンの打撃のせいでも、彼のパスボールの多さのせいでもない。彼は守備型のキャッチャーであり、チーム防御率はそれほど悪化などしていない。
ロブ・ジョンソンをスケープゴートにしても、チームの低迷は改善できるわけがない。それくらい、今日のゲームを見てわからないものか?



改善すべき点のプライオリティはもっと他にある。

ダブついた野手をロスターからはずし、足りない投手を増やし、不調の投手たちには時間と調整の場所を与えて復調させるべき。(例えばケリーを一時的にクローザーにするとか)そういうごく平凡な対策を、なぜ普通にやれないのか。
ロスターを再編するといっても、いくつかの点で制度や契約上の制約があるのはわかる。だが、もうそんなことを言ってる場合ではないだろう。
シアトルはいい加減、硬直しきったロスター構成のゆがみを正すべきだ。対策に着手するのがいつもいつも遅すぎるし、手をつけるポイントが、いつもあまりにも的を外れている。






damejima at 13:13

May 19, 2010

前の記事にひき続いて、某巨大掲示板の興味深いデータをもうひとつ記録に残そうと思う。
これもまた、今シーズンのシアトルのアンバランスすぎる不合理なチーム状態を示すデータ、ということになる。

989 名前:名無しさん@実況は実況板で[] 投稿日:2010/05/19(水) 17:59:26 ID:cDazFpUJ [38/39]

1. Fister SEA 0.94(3勝1敗)
2. Braden OAK 0.96
3. Marcum TOR 0.97
4. Hughes NYY 0.98
4. Vargas SEA 0.98(3勝2敗)

ESPN 2010年ア・リーグWHIPランキング
(2010年5月18日現在 ブログ側で添付)

ア・リーグWHIPランキング(2010年5月18日現在)

WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)というデータは、「投手が与えた四球と被安打数の、イニングあたりの数」。デッドボールやエラーによる出塁は含まれない。2009シーズンにウオッシュバーンがMLB全体のWHIPランキングのトップを走っていた時期があり、このブログでも何度も挙げた。
WHIP (野球) - Wikipedia

2010年WHIPランキング(ESPN)
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月23日、ウオッシュバーン、ついにWHIPア・リーグトップに立つ。7回QS、4連勝の8勝目でERAは2.71に上昇。ゲーム後、彼は初めて自らハッキリと「チームに残りたい」と強く意思表明した。ロブ・ジョンソンは先発ゲーム8連勝。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年8月4日、ウオッシュバーン、7月のア・リーグPitcher of Month受賞!ロブ・ジョンソンは6月ヘルナンデスに続き2ヶ月連続で月間最優秀投手を輩出、キャッチャーとしての揺るぎない優秀さを証明した。


現在のWHIPランキングでベスト5に入った投手たちのうち、シアトル以外の投手たちの横顔をみてみる。

WHIPランキング2位のダラス・ブレイデンは、もちろん、この5月9日にメジャー17人目の完全試合を達成したオークランドの主力左腕。
WHIPの数値が素晴らしいにもかかわらず、ERAは3.50と、WHIP上位5人の中で最も悪い。完全試合の前の試合も、後の試合も負け投手になっているように、好不調の波が大きいタイプだ。
K/BBは4.13で、5人の投手の中ではひとり抜けている。とにかく四球を出さないことが、彼のWHIPの高さにつながっているようだ。
だからブレイデンは、ハラデイリンスカムのような、勝ちだけを積み重ねてサイ・ヤング賞を争うような大投手タイプではない。むしろ、12勝10敗とか、13勝11敗とかの成績でシーズンを乗り切ってくれる典型的なイニング・イーターだ。チームにとってはありがたい存在である。
Dallas Braden Stats, News, Photos - Oakland Athletics - ESPN

WHIP上位5投手のERA
Doug Fister 1.72
Dallas Braden 3.50
Shaun Marcum 2.61
Phil Hughes 2.25
Jason Vargas 2.93


WHIPランキング3位のショーン・マーカムは、トロント・ブルージェイズの技巧派の右腕で、開幕投手。トロントのエースだった大投手ロイ・ハラデイがフィリーズに移籍したことで、今年の開幕投手を務めた。5月に入って味方のRS(Run Support Average)も上がってきて、現在3連勝中と、ノッてきている。
Shaun Marcum Stats, News, Photos - Toronto Blue Jays - ESPN

WHIPランキング4位のフィル・ヒューズは、ヤンキース期待の若手右腕で、まだ23歳。デビュー以来どうも良いのか悪いのかパッとしないシーズンが続いていたが、今シーズンは見違えるほどいい。開幕から5連勝、負けなし。
とにかく今シーズンのピッチングにはキレがある。(「投手コーチのアドバイスでオフからチェンジアップに取り組み、それが自信を持って使えるようになり、投球の幅を広げることができた」フィル・ヒューズ)
加えて、彼の登板時の味方のRS(Run Support Average)が凄まじい。RS 11.05は、ア・リーグのトップ5に入る数値。これだけ点もとってもらえば負けないわけだ。今秋には最多勝をチームメイトのサバシアあたりと競うシーンもあるかもしれない。
ヤンキースというと、ペドロイア、エルズベリー、レスターなど新人をスタメンに育てあげた実績の多いボストンに比べて若手育成が上手くないというイメージも強かったわけだが、カノー、ヒューズ、チェンバレン、ガードナー、セルベリ、テムズなど、最近のヤンキースは若手育成が非常に上手く機能しだしている。(記事例:スポーツナビ | 野球|コラム好調のヤンキースを支える「ホームグロウン選手」たち
Phil Hughes Stats, News, Photos - New York Yankees - ESPN


RS(Run Support Average ラン・サポート)というデータは、その投手の登板時に味方がどれだけ点をとってくれたか、という数値なわけだが、WHIP上位の5投手のRSはこんなふうになっている。

WHIP上位5投手のERAとRS
Doug Fister 1.72 4.79
Dallas Braden 3.50 4.67
Shaun Marcum 2.61 6.97
Phil Hughes 2.25 11.05
Jason Vargas 2.93 4.50

WHIP3位マーカムと、4位ヒューズには、かなりのRSがあることがわかる。
一方で、残りの3人は4点台。RSは9イニングの数値だから、自分がもし勝ち星をゲットしようと思えば、失点を3点以内に抑えるしかない。つまり、毎試合のようにQSすることが求められるわけである。

これは結構きつい。

カンザスシティのグレインキーも防御率2.72、WHIPが1.07でありながら、打線ラン・サポートが3.92しかなく、いまだに1勝4敗で、毎シーズンのことながら気の毒になるが、シアトルには、ある意味、「フィスター、バルガスと、グレインキーが2人いる」ようなものだ。

特に、WHIP第1位で、防御率も1.72と素晴らしいダグ・フィスターは、打線次第でもっと勝ちを増やせたはず。
例えば5月2日のセーフコでのテキサス戦。フィスターが無四球無失点で8回を投げぬいて、1−0でリードして最終回を迎えながら、9回表にアーズマが打たれ、同点になり、延長12回で負けた。
こうした例はフィスターだけでない。今シーズン、シアトルのどの先発投手にもある。ともかく先発投手が勝ちに恵まれていなさすぎる。
Doug Fister Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

Jason Vargas Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

フィスターだけに限らず、味方がちゃんと点をとっていさえすれば、今年のシアトルの先発投手にはもっと勝ちがついているのは間違いない。






damejima at 21:11
某巨大掲示板にこんなデータがあった。

見ていて気が滅入るようなデータでもあるが、マスメディアでは誰も作らないような個性があるデータ、つまり、魅力的なデータだと思う。このまま埋もれさせてしまうには惜しいので、転載し、貴重な記録としてサイト上に残しておくことにした。
今年のシアトルが、いかにアンバランスかということが、哀しいくらいによくわかる。
(書き込みをしたID:nKKUN3Ke氏に感謝を申し上げたい。なお、元の書き込みから、ラベル部分を一部訂正してある。というのも、ブログというのはカラム幅に制約があるからである。左右の幅を少し狭くし、見やすくしてある)


523 名前:名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2010/05/18(火) 15:30:30 ID:nKKUN3Ke

01チーム安打1637(2) イチロー安打242(14.78%)
02チーム安打1531(4) イチロー安打208(13.58%)
03チーム安打1509(9) イチロー安打212(14.04%)
04チーム安打1544(6) イチロー安打262(16.96%)
05チーム安打1408(27) イチロー安打206(14.63%)
06チーム安打1549(10) イチロー安打224(14.46%)
07チーム安打1629(3) イチロー安打238(14.61%)
08チーム安打1498(10) イチロー安打213(14.21%)
09チーム安打1430(20) イチロー安打225(15.73%)
10チーム安打281(28) イチロー安打56(19.92%)←(38試合消化時点)

ブログ側注
左より、チーム総安打数、チーム総安打数の30球団における順位、イチローの総安打数、イチローの安打数がチーム安打数に占めるパーセンテージ


面白いことに、イチローが打つヒット数というのは、ほぼチームの安打数の15%前後という数値におさまっていてきている、ということが、まず面白い。

上のデータでシアトルのチームヒット数のMLBランキングを見てもわかるとおり、シアトルがいつもいつも貧打のチームだったわけではない。どんなチームでもそうだろうが、打てるシーズン、打てないシーズン、いろいろなシーズンがある。
同じように、イチローにも、2004年のような超爆発するシーズンもあれば、ほどほどのシーズン(もちろん、それでも200本打ってしまうわけだが)もあり、いろいろである。

では、チームがものすごく打てるシーズンは、イチローのヒット数も多くなるという傾向にあるか? というと、完全に比例関係にあるとまで言えるほどの関連性はない。シーズンごとのイチローの好不調の波は、けしてチームの好不調とは一致しない。

にもかかわらず、どういうわけかメジャー移籍以降のイチローの安打数はいつも、チームの総安打数の15%前後という範囲におさまってきた。


ところが、だ。

今年2010年にかぎっては、
いまのところイチローがチームの安打数の約20%を占めている。こんなシーズンはこれまでになかった。イチローがチームの安打の5本に1本を打っているのである。

試合サンプル数が少ないという意見もあると思うが、現状の傾向や、打者の調子の推移をおおまかに見る限り、今後、イチロー以外の選手においてヒット数が大きく増えていく傾向が見られるかというと、残念ながら、そんな気配はまるっきりみられないので、いまの傾向、つまり、「イチローがチーム内で例年にない割合のヒット数を記録してしまう可能性」は大きい、と言わざるをえない。

2001年から2009年にかけて、さまざまな選手がやってきて、去っていき、監督もGMも何人か変わったが、これほどアンバランスな状態になったのは、今年2010年が初めてなのである。






damejima at 19:58

May 18, 2010

以下に、ア・リーグのチーム防御率ランキングを挙げてみた。シアトルは3.58で、リーグ3位である。

ダメ捕手城島が正捕手をはずれてからというもの、シアトルのチーム防御率は、リーグの五本指に入るどころか、常にトップクラスにある。
城島在籍時にはいい投手がいなかったなどという、馬鹿馬鹿しい言い訳はあたらない。ヘルナンデスはダメ捕手がいなくなったとたんにサイ・ヤング賞を争ったし、城島とばかり組まされていたフィスターは、今シーズンは見違えるほど成長した姿を見せている。
かつてのエースモイヤーはいまだにナ・リーグ優勝チームのローテ投手だし、あの弱弱しかったピネイロも、アナハイムのローテ投手としてメジャーで生き残っている。あのシルバですら、他チームでは意味不明の復活を遂げている。
自分を、ではなく、投手を生かす術を知らないキャッチャーはメジャーでも日本でも、同じように投手をダメにする。

ア・リーグ チーム防御率(2010年5月16日)ア・リーグ
チーム防御率ランキング
2010年5月16日現在

ア・リーグでチーム防御率が4点を切っているチームは、シアトル以外に、わずか3チームしかない。
タンパベイ(26勝11敗)
ヤンクス(24勝13敗)
ミネソタ(23勝14敗)
この防御率のいい3チームのすべてが、例外なく、貯金を10程度以上積み重ねていて、それぞれ地区首位あたりを快調に走っている。チーム防御率は、やはり、チームの順位と連動性をもつ。

ところが、だ。
シアトル「だけ」は、14勝23敗と、まったく逆なのだ。

この異常事態の原因はハッキリしている。
打力の無さが投手の足を引っ張っている。

ア・リーグ チーム総得点 (2010年5月16日)ア・リーグ
チーム総得点ランキング
2010年5月16日

さきほどあげたチーム防御率のいい3チームは、この総得点ランキングでも、ヤンクス1位、タンパベイ3位、ミネソタ5位と、上位を占めている。要は、投打に渡ってバランスがとれている。

ひるがえって、シアトルは総得点14位と、最下位。

チームの勝率が上がってこないのは、打線が投手の足を引っ張っている、というような言い方をしたとが、もっと正確な言い方をすべきだろう。

先発投手に問題はない。クリフ・リーベダードがいなかった苦しい台所を、フィスター、バルガスと、シーズン前には頼りにならないと思われた2人の投手が支えてくれた。
前の記事でも言ったことだが、問題は、ロスターにおけるセットアッパーの人数と、無駄にベンチに入れている「打てない野手」の人数とのアンバランスさ、もともと打てない打者に好打順を打たせていること、などなど、本質的にはチームマネジメントの問題である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年5月16日、クリフ・リーの「完投敗戦」にみるシアトルのチームマネジメントの責任。プレーヤー配置のアンバランスさが、ゲーム終盤の逆転劇の原因なのは明らか。

つまり、突き詰めて言うと、
チームとして施策に「合理性」がまるで無い。

欧米だから合理性など、あって当たり前、という一般論は、ことシアトルだけに関しては通用しない。不合理きわまりないこと、リクツに合わない話が、シアトルでだけは、堂々と、我が物顔でまかり通っている。
これまでも、右打者に圧倒的に不利なホームスタジアムなのに、右打者を大量に獲ってきてしまう不合理さ。ダメ捕手城島に高額の3年契約をくれてやるような不合理さ。あらゆる不合理なことが、このチームでは起きてきた。

打てない選手を2番と4番と5番に並べ、ベンチにはDHの予備はいても代走や代打も出しにくいほどアンバランスな選手構成、左のセットアッパーはひとりもいない。そんな不合理な現状を、もうこれ以上チームは続けるべきではない。






damejima at 10:16
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