シアトル「ストレート王国の病」

2012年5月9日、ローテ投手が複数のピッチング・スタイルをもつ意義。ブランドン・モローの見事な4連勝。
2012年4月13日、「2シーム全盛時代」と、右投手の投げる左バッターのアウトコースへの2シーム。
2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差 (2)「ストレートを投げる恐怖」と「外の変化球への逃げ」が修正できないヘルナンデスの弱さ。
2010年10月5日、ブログ過去記事を参照しながら味わうドジャース黒田の興味深いコメント (1)黒田の発言からわかる山本昌のアメリカっぽさ、シアトルのカビ臭い日本っぽさ
2010年8月8日、ブランドン・リーグとの交換でトロントに移籍したブランドン・モローのここまでの好成績と、ダメ捕手城島のモローに対する配球の無能ぶりをあらためて振り返る。
2010年8月8日、トロントに移籍したブランドン・モロー、東地区2位のタンパベイ相手に9回2アウトまでノーヒット・ノーラン。17三振を奪う。
2010年6月19日、移籍後にストレートを投げる割合が83.1%から55.7%に突然下がり、シカゴ・カブスで別人になったカルロス・シルバの不可思議な変身。
2010年6月19日、意味なくダメ捕手城島が阻害していた「カーブ」を自由に使えるようになってピッチングの幅を広げ始めたブランドン・モロー。
2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)

May 10, 2012

4月28日のシアトル戦で、6回を9奪三振で無失点に抑えて勝った元シアトルのローテ投手ブランドン・モローは、その後5月3日のLAA戦(ビジター)でエンゼルスを完封して、見事に3連勝。
今日はホーム、トロントでオークランド戦に登板。こんどは4シーム中心の配球に切り替えて10三振を奪い、6回自責点1の十分過ぎるピッチングでオークランドを苦も無くひねり、無事に4連勝を飾った。
これで、モローは4月23日カンザスシティ戦2回裏に1失点して以降、今日5月9日の5回裏の1失点まで、4登板でおよそ20イニング以上、失点しなかった
Toronto Blue Jays at Oakland Athletics - May 9, 2012 | MLB.com Gameday

5月7日に脇腹痛から復帰したダグ・フィスターが、復帰登板で4シームをわずか2球しか投げず、ほぼ2シーム、カーブ、チェンジアップだけという「変わり身ぶり」を披露してシアトルを完璧に抑えこんだ話を書いたばかりだが、今日のブランドン・モローも、4月28日シアトル戦の配球とは全く違うピッチングを見せた。

以前の記事で、今シーズンのモローは「わずか50数%しかストレートを投げていない」と書いたわけだが、一転して、今日のオークランド戦のモローは一転して114球の投球のうち、71%、81球もの4シームを投げ、かつてのシアトル在籍時代を彷彿とさせる「速球投手ぶり」を、ひさびさに披露してみせた
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年5月7日、ダグ・フィスター、7回を73球無失点でDLから無事復帰。それにしても深刻な「MLB全体のクローザー不足」。


相手のプレーを「分析し、予測し、そして、先回りして叩き潰す」という行為は、MLBの基本中の基本だ。(行き当たりばったりのシアトルは別だが)

例えばダルビッシュだが、今年の成績によって、たとえサイ・ヤング賞を受賞しようと、20勝しようと、来年以降も同じピッチングができるわけはない。相手チームが研究してくる、からだ。ブログ主がダルビッシュについて、個々のゲームの勝ち負けをほとんど書かず、ピッチングフォームについてしか書かないのは、今年の成績なんてものはどうでもいいからだ。

イチローがかつて「3シーズン通用したら、それは通用したと言っていい」という意味のことを言ったが、これはまさに金言である。


現在のトロントの監督は、かつてクリーブランドの選手育成ディレクター、ボストンのピッチングコーチだったジョン・ファレルだが、まだ調べてはいないが、投手の育成に定評のある彼が、監督としてブランドン・モローのピッチングスタイルの幅を広げていく行為にどうかかわり、どう指導しているのかは、非常に気になる。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年5月4日、エリック・ウェッジの無能さを証明する、選手育成部長ジョン・ファレル流出後のクリーブランド・インディアンス没落。


対戦相手のスカウティングの網にひっかかってしまわないために、ローテ投手がいくつかのピッチングスタイルを持てるように、育て上げることは、それを、キャッチャーが助けるのであれ、投手コーチのアドバイスするのであれ、専任のスカウティング担当者がデータで示すのであれ、この「投手の時代」おいては非常に重要な仕事だ。
たったひとつしかスタイルがなければ、早晩、その投手は遠からず「つかまって」しまう。

今日の速球主体のピッチングでブランドン・モローが、かつての速球だけでグイグイ押していくピッチャーに戻るのではない。大事なのは、今のモローは、「相手チームを黙り込ませるだけのピッチングスタイルを、『複数』持っている」ということだ。
そうでなければ、成績を挙げたピッチャーが厳しくスカウティングされるMLBにおいて、内容のともなった4連勝を達成することはできない。


こういうピッチャーの幅を広げていく指導は、選手を育てる能力に欠け、ストレートのみで押していく単調なピッチャーだけしか育てられないシアトルでは、全く不可能だ。まして、ダメ捕手城島にそんな芸当ができるコミュニケーション能力など、昔も今も、まったく備わっていない。

damejima at 07:40

April 14, 2012

セーフコ開幕戦の球審は、アンパイアとしては若いTim Timmons (1967年生まれ 44歳)。

今日の彼の判定は、左バッターのアウトコースのゾーンがかなり広いイメージで、好機に見逃し三振をくらってヘルメットを投げたマイケル・ソーンダースなど、判定に不服そうな左バッターが続出した。たしかに、テレビ画面で見るとかなりアウトコースの判定が広い印象を受けるかもしれない。
Oakland Athletics at Seattle Mariners - April 13, 2012 | MLB.com Classic


球審Tim Timmonsの過去の判定傾向は以下の図の通り(2007 by Jonathan Hale: the Hardball Times)。メジャーで「高めをまったくとらないアンパイア」として3本指に入るアンパイアだ。(赤い線がルールブックのストライクゾーン。青い線が、Tim Timmonsのゾーン  。ただ、今日の判定は高さはごく普通の判定だった)

Tim Timmonsのストライクゾーン


高めのゾーンの狭いアンパイア ベスト10

Chuck Meriwether -8.53
Ed Rapuano -7.05
Tim Timmons -7.02
Jerry Layne -6.79
Larry Vanover -6.35
Brian Runge -5.68
Marty Foster -5.21
Chad Fairchild -5.04
Ed Montague -4.53
Mark Carlson -4.52
資料:The Hardball Times: A zone of their own



さて、今日のTim Timmonsの実際の判定ぶりは、データ上ではどうだったのだろう。いつものように、優れたアンパイアの判定データを提供しているBrooksBaseball.netStrikezone Mapを見てみる。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool: 2012_04_13_oak_sea

2012年4月13日 シアトル対オークランド戦 Tim Timmonsの判定


2つあるグラフのうち、上が左バッターに対する判定。下が右バッターに対する判定。黒い実線は「ルールブック上のストライクゾーン」、破線は「実際のMLBのアンパイアが判定するストライクゾーン」で、何度も書いてきたように、実際のMLBの球審の判定においては、左バッターと右バッターでは、まったくストライクゾーンが異なることに注意してもらいたい。
簡単にいうと、左バッターについては、インコースはルールブックどおりだが、アウトコースはボール2個くらいは平気で外に広い。右バッターについては、外も内も、ボール1個分くらい広い。(球審によって、もっと広い人、狭い人がいる)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。


かつてはBrooksBaseball.netStrikezone Mapも、この左右のバッターでのストライクゾーンの違いを、きちんと反映はしていたが、図中には書き込んではいなかった時代があったが、去年からだったか、グラフの中に左バッターと右バッターのゾーンをハッキリ書くように仕様が変わった。


今日のオークランド先発バートロ・コロンの持ち球は、若い頃はカーブを投げた時代もあったが、今ではまったく投げないし、またチェンジアップ系の割合もそれほど若い頃から増えてはいない。
彼の持ち球の特徴は、他のヴェテラン投手のように緩急にあまり頼ることがない点で、近年ではむしろ2シームを多投することで、ストレート系への依存率がかえって高まっている気さえする。
今日の彼の配球は、内・外への2シームが基本で、スライダーと、ときおり投げるチェンジアップがスパイスになっていた。
Bartolo Colon » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

コロンの持ち球といえば、アメリカのスカウティングサイトなどでも日本でも語られるのは、左バッターに対するfrontdoor 2-seam、つまり左バッターのインコースで、ボールゾーンからシュートしながらストライクになる2シームが特徴のひとつだったわけだが、今日のコロンは、球審のアウトコースのゾーンが広いことに早々と気がついて、左バッターのインコースではなく、「アウトコースで、ストライクゾーンから入ってボールゾーンに抜けて逃げていく2シーム」を多投して、左打者しかヒットを打てないシアトル打線を牛耳った。
こういう抜け目のなさ、対応の早さが、ヴェテランの味だ。
資料:60ft6in – Pitcher Scouting Reports - Is This Really Happening?: Bartolo Colon


この「左バッターのアウトコースにシュートしてストライクになる、右投手の2シーム」は、実際にバッターボックスに立っているプロのバッターですら判定に迷うくらいだから、テレビを見ている観客に、それがストライクかボールかを判定するのは難しい。

(ちなみに「backdoor, バックドア」の変化球は、「アウトコースの球で、ボールゾーンである外側から曲がってきて、最終的にストライクになる球」のこと。
MLBの投手がよく使う「バックドアの変化球」としてよく知られている変化球には、例えばbackdoor sliderがある。右投手が左バッターのアウトコースに(下の図のA)、あるいは、左投手が右バッターのアウトコースに(下の図のB)投げる。
この試合で右腕バートロ・コロンが左バッターのアウトコースに投げた2シームは、さらにひとつ下の図のCで、バックドアではない。)
front door と back door

左バッターのアウトコースをかすめる2シームの軌道



Tim Timmonsはもともとアウトコースのストライクゾーンの広い球審なだけに、左バッターに対するコロンの外の2シームをストライクと判定しやすい試合環境だった。
だが、データ上からみると、たしかに明らかなボールをストライクコールした例もいくつかはあったが、大半の見逃しについては、MLBの左打者に対するアウトコースの広さで説明のつくストライクだった。


左バッターのアウトコースに投げる、ストライク判定される2シーム」は、いま、右投手の左バッター対策として、非常に効果を挙げつつある。実際、どの試合を見ても、必ずといっていいほど多投されている感がある。

問題は、シアトルが、この「2シーム時代」にきちんとアップデートできているか? ということだ。

主に4シームしか投げられないようなブルペンピッチャー、2シームを打ち崩すバッティングを研究してないバッター、投手の投げる2シームを受け損なって失点につなげてしまうキャッチャー、2シームの判定に迷うバッター。

様々な意味で、現状のシアトルは「2シーム時代」についていけてないことが、今日ハッキリした。



だが、逆にいえば、チームとしての課題がこれほどハッキリ見えるゲームなんて、そうそうあるものじゃない。日々進歩することが今のシアトルの仕事だとしたら、ある意味、克服すべき課題、進歩すべき方向がこれだけハッキリ見えたことは、むしろラッキーとさえいえる。

そして、これだけはハッキリしている。
こういう「いい経験」をしても、進歩できない選手がいれば、その選手は変化する能力のない負け犬だし、チームが選手の技術の修正を指導できなければ、そのチームは、かたくななだけの負け犬になる。














damejima at 18:38

May 15, 2011

この記事は、下のリンクの続きだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (1)打者を追い込んだ後のヘルナンデスの不可思議な「逆追い込まれ現象」



ちょうど一ヶ月前。
カムデンヤーズへの遠征で、フェリックス・ヘルナンデスは、典型的な早打ちボルチモア打線につかまり、早いカウントのストレートを狙い打たれる形で、被安打7、四球3、自責点4。5回でマウンドを降りた。
ゲーム序盤の3失点くらいなら、ほとんどの場合、そのまま7回120球くらいまで平気で投げるヘルナンデスが「5回で降板させられた」のだから、いかに5月12日のカムデンヤーズでのピッチング内容が悪かったかがわかる。
Seattle Mariners at Baltimore Orioles - May 11, 2011 | MLB.com Classic

あのとき、こんなことを書いた。
ヘルナンデスには「投球術」が欠けている。
だからもう、ヘルナンデスのことを、「キング」と呼ぶのは、やめることにした。


あれから一ヶ月たって、6月18日。
ホームのフィリーズ戦で、ジミー・ロリンズシェイン・ビクトリーノに好きなように打たれまくるヘルナンデスを見ながら、5月のときの「感想」は、変わるどころか、より確信に近いものに変わった。
キングス・コート」とかいうチケット販売戦略は、まぁ、観客動員のためのギミックだから、それはそれでいい。好きなようにビール飲んで、仮装大会やって、お祭り騒ぎは好きに楽しめばいい。だが、ブログ主は、ヘルナンデスのことを「キング」と呼ぶつもりはない。


5月頃、日本のファンはヘルナンデスについて、「いつも5月がよくないから、しかたがない」だの、わかったようで実は何の根拠もないことをしきりに言っていたものだ。月別データを見ると、そういうテキトーすぎる意見が「二重の意味で」現実をわかっていない意見であることがわかる。

今年のヘルナンデスは、月別データだけでいうと、「いつも5月がよくないから、しかたがない」どころか、これでも5月が一番「マシ」なのだ。
   被打率 防御率
4月 .240   3.32
5月 .202   3.07
6月 .263   3.77

まぁ、こんなデータを見ると「5月は例年悪いわけだけど、今年に限っては、実は良かったんだな・・・。ヘルナンデス、さすが」(笑)などと、自分が二重に馬鹿なことを言っていることさえ気づかないで、早とちりしたことを言うアホウが必ず出てくるだろう。数字だけ見て、実際のゲームはほとんど見ずにモノを言っていても、恥をかかずに済むと思っているのだろうか。

ヘルナンデスの5月の全登板を見た人なら、データ上の良し悪しはともかく、「2011年5月のヘルナンデス」がかなりグダグダなピッチングぶりだったことをよく知っている。だからこそ、5月にボルチモアでメッタ打ちにあったのである。

そして「6月のヘルナンデス」は、5月の「数字では絶対にわからないグダグダ」が表面化してきて、被打率.263などという、とんでもないことになってきている。



Fangraphには、カウント別に、投手がどんな球種を投げたかが、おおまかにわかるデータが用意されている。
これと、Baseball Referenceのカウント別被打率とあわせて、今年のヘルナンデスが「どういうカウントで、どういう風に打者を攻め、そして打たれているか」、ちょっと簡単にシミュレーションしてみよう。
Felix Hernandez ≫ Splits ≫ 2011 ≫ Pitching | FanGraphs Baseball
Felix Hernandez 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com
注意してほしいのは、Fangraphの球種分類が「おおまか」であること。たとえば、最近のヘルナンデスは「シンカー」を多投するが、この「シンカー」という球種はFangraphの分類項目に無い。たぶん、どれか違う変化球のパーセンテージに含められて計算されてしまっている。だから以下の話で、変化球についてあまり厳密に書くことは、そもそもできない)



Baseball Referenceによれば、今年のヘルナンデスがもっとも打たれたカウントが、First Pitch、初球だ。まず、ここが問題の出発点である。
相当打たれている。被打率は.381。被長打率.540、被IOPS.930。数字の上だけでみても、かなり酷い。

他にも、ヘルナンデスが被打率3割以上打たれているカウントは、初球、1-0、2-0、0-1、1-1と、合計5つもある。要は「3球目までに打たれると、かなりの確率でヒットを打たれてしまっている」ということになる。

Fangraphで、「被打率3割以上の5つのカウント」で投げた球種を調べてみると、面白いことがわかる。

ヘルナンデスが打たれているカウントで投げている球種をみてみる。
初球 速球(確率71%)被打率.381
1-0 速球(70%)被打率.308
2-0 速球(94%)被打率.385
0-1 速球(33%)、カーブ(31%)被打率.324
1-1 速球(38%)、カーブ(25%)、チェンジアップ(24%)被打率.361
Felix Hernandez 2011 Pitching Splits - Baseball-Reference.com


もうおわかりだろう。簡単だ。
早いカウントではストレートを打たれ、遅いカウントになると、変化球を打たれる
これらの単純なデータ群からでさえ、ヘルナンデスが投球の3球以内で打たれるパターンが、簡単に分類できることがわかる。

もうちょっと詳しく書いてみる。

A)初球が打たれるケース(1通り)
A−1 初球のストレートを狙い打たれ、長打される

B)2球目が打たれるケース(2通り)
B−1 初球のストレートがボール判定。2球目にストレートを連投してストライクをとりにいって打たれる
B−2 初球のストレートがストライク判定。2球目にストレートか、カーブを投げ、打たれる

C)3球目が打たれるケース
C−1 初球、2球目でストレートを投げて、どちらもボール判定。3球目もストレートで、そこで打たれる
C−2 初球のストレートでストライク、2球目がストレートかカーブで、ボール。1-1となって、次の球(ストレート、カーブ、チェンジアップのどれか)を打たれる。
C−3 初球のストレートがボール、2球目もストレートで押して、こんどはストライク。1-1となって、次の球(たぶんアウトコースの変化球、それもシンカーかチェンジアップと推測)を打たれる。


同じことを、こんどは「バッター目線」から整理してみよう。
打者はどのカウントで、どの球種を打てばいいか?

初球の狙いかた
1)何も考えず、初球ストレートを思い切り強振。長打狙い。
2球目の狙いかた
2)初球ストレートがボール判定だった場合、2球目も高確率でストレートが来るので、ここは必ずヒッティングすべき。
3)初球、2球目が、続けてストレートのボール判定のカウント2-0。次は間違いなくストレート。狙い打ちしていい。(もし四球が必要な場面で、コントロールが荒れているケースなら、振らなくてもいい)
4)初球ストレートを強振して、空振りか、ファウルだったカウント0-1の場合。2球目がストレートである確率はかなり下がり、球種がバラつくため、ここは様子見。
5)初球ストレートがきわどいので見逃したカウント0-1の場合、もしその球がストライクだったら、2球目は球種が予測しづらい。ちょっと様子見。
3球目の狙いかた
6)初球ボールで、2球目をファウルしたら、3球目は、変化球かストレートか、狙う球種さえしっかり絞りきれれば、甘い球を狙い打てる。
7)初球ストレートがストライク、2球目がボールのカウント1-1なら、3球目は基本的に様子見だが、打ちたいなら、変化球かストレートか絞りきって、甘い球だけを打つ。
8)初球、2球目で、カウント2-0に追い込まれた場合。3球目のアウトコースの変化球は、ほぼ「釣り球」。見逃すべき。4球目も、ほぼ同じ。これでカウントを2-2まで戻せる。

ちょっと読みづらい書き方で申し訳なかったが、上に書いたことをもっと簡単に言うと、どういうことが起こっているのか。

早いカウントで投げたがる「ストレート」、遅いカウントになると投げたがる「変化球」、ヘルナンデスはその両方を打たれているのである。


初期症状で、ストレートへの自信と信頼が失われていき、さらに症状が進んだ後期症状では、せっかく打者を追い込んでも、その後はアウトコースのボールになる釣り球の変化球一辺倒になって、打者にピッチングの組み立て自体を見切られていく。その結果、球数はやたらとかかるようになり、2-2や、フルカウントがやたらと増えていく、というのが結論だ。


実際、今年のヘルナンデスのPitch Type Values(球種ごとの有効度)は、こうなっている。(カッコ内は2010年の数値)
ストレート    -1.8(2010年 25.5)
スライダー系  -0.7(6.1)
カーブ      3.2(2.4)
チェンジアップ 13.9(18.7)

早いカウントのストレートが打たれすぎたことで、配球システムの根本が崩れて、いざとなったらストレートに頼るピッチングが不可能になってきた」のである。
これがヘルナンデスのピッチングの根幹が崩壊してきた去年から既にあった「第一の問題点、初期症状」だ。


そして、ストレートを早いカウントで打たれすぎて、ピッチングの逃げ道がなくなってしまった彼が何に頼ったか。
外のシンカーやチェンジアップである。


最初の2球でなりふいかまわず打者を追い込んで、カウント0-2としたら、後は、外のシンカーやチェンジアップ。
ここからが「第二の問題点、後期症状」だ。
どうにかして打者を追い込んだにしても、あとに残されたのは、チェンジアップやシンカーくらいしかない。そういう球種をアウトコースのボールゾーンに釣り球として投げるのは、「打者への攻め」ではなくて、「単なる消去法」だ。ほかに選択肢がないから、それに決定しているだけである。
(本当はないこともないのだが、たとえキャッチャーがそれを要求しても、ヘルナンデスは首を横に振る。だから、カウントが煮詰まると、非常に高い頻度でバッテリーのサインがあわなくなって、テンポが遅くなる。そうするとビクター・マルチネスのような観察眼のある打者は「ヘルナンデスが首を振ったな。ああ、これは変化球、特にシンカーが来るな」と、わかるようになってくる)

だが、打者も馬鹿ではない。

ストレートを投げることに「ある種の恐怖心」を抱くようになってきているヘルナンデスの「弱腰ぶり」は、打者はもう十分すぎるほどわかっている。
ヘルナンデスのカウント0-2、あるいは、カウント1-2からは、たてつづけに「外の、ボールになる変化球が来ること」はわかっている。ならば、ボールなら黙って見逃せばいいし、ストライクなら、タイミングをあわせて狙い打つだけのことだ。

こうして、カウント2-2やフルカウントが多発するようになっていく。


こういうのを、
日本語では「見切られる」という。
先発投手は見切られたらオシマイだ。






damejima at 18:07

October 06, 2010

3年目に自己最多の11勝を挙げてドジャースでの3年契約を満了した元・広島の黒田のコメントが、かなり面白い。配球マニアでなくても、必見だろう。
悩める黒田 残りたい理由と戻りたい理由とは…(野球) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
このブログで過去に書いたことの数多くの話とも、かなり響きあうので、ちょっといくつか記事を書いてみることにした。


ただ、この黒田のコメントを読む上では、まず最初に注意を促しておかなければならないことがある。それは球種の呼び名だ。

球種の呼び方、特に変化球の呼称は、ときに日米間で大差がある場合もある。また投手ごとにも、多少違いがある。
日米間で特に呼び方の差が激しいと思う球種はシンカーやツーシームのような、いわゆる「動くボール」の類(たぐい)だと思う。日米で「シンカー」と呼ばれている球は、実際には両国で大きな違いがある。

またメディア間、選手間で「こう握って、こう変化すると、シンキング・ファーストボール」とか、「こう握って、こう変化すると、スクリューボール」とか、絶対的定義が取り決められているわけでもない。
アメリカでは、なんでもキッチリしたがる律儀すぎる日本人からしてみればルーズだと叱られそうな話だが(笑)、場合によっては「なんだかわからないものは全部『チェンジアップ』と呼んで済ましておこう。それでいいじゃん。そうだ、そうしよう」などという場合も多々ある(笑)

投手にしてみれば「いま投げたのはサークル・チェンジです。次の球はスクリューボールです。」と、記者の質問にいちいち答えるわけでもなんでもない。
だから、映像で試合を実況するスポーツキャスターが、スローVTRの再生動画をチラッと見て、握りがなんとなく「サークルチェンジ風」だから「サークルチェンジ」と呼んだとしても、当の投手本人に言わせれば「あれはシンカーだよ?何いってんの」とか、違うことを思っていることだって、よくある。


また日本のプロ野球でプレーしているのにアメリカ風の球種分類に沿って話のできる日本人投手やコメンテイターもいれば、逆に、せっかくアメリカでプレーしているのに、いつまでたっても日本風の球種分類でしかコメントできない日本人捕手(笑)・日本人投手も、いる。
例えば中日ドラゴンズの山本昌のことを「スクリューボール投手」などと紹介するサイトは数多くあるわけだが、山本昌本人は「自分の投げるシンカー系の球を、全部スクリューだと言っている」わけではない。(また本人は自分を「速球派」といっているのは有名)

実際、ある実際のゲーム後、山本昌は「打者Aにはスクリュー、打者Bにはシンカーを投げた」と、きちんとスクリューとシンカーを区別したコメントをしている
相手打者が右か左かによってボールをどちら側に曲げるかを決め、何種類かのシンカー系の球種を、しかも高低にコントロールして投げ分ける山本昌独特のピッチングスタイルは、むしろ非常にアメリカっぽい。彼のコメントのシンカーとスクリューボールの分類も、きちんとアメリカ的な分類に沿っていて、彼はコメントにおいても、この2つの球種が混同されることもない。
これはたぶん、山本昌が若い頃にドジャースのキャンプを経験していて、オマリー家の墓地で眠る故・アイク生原さんなどに変化球をたたき込まれたことが大きく影響しているに違いない。
山本昌はメジャーでの登板経験こそ投げないが、ピッチングスタイルにおいて非常にアメリカ的な部分があって、引き出しも多いヴェテランだけに、たぶんドジャース経験後の黒田と山本昌には通じ合う部分が多いに違いない。


黒田は、スカウンティングの発達により、すぐに研究されてしまうアメリカ野球を生き抜くために、たくさんの大投手たちに教えを請い、ピッチングのコツを教えてもらってきたようだ。投手王国・名門ドジャースならではの人脈も、彼に幸いしたのだろう。

黒田「メジャーはスカウティングシステムが発達していてすぐに研究されてしまう。だから常に進化していかないと、やられてしまう(中略)(だから、グレッグ・マダックスクリス・カーペンターに直接指導してもらうなどして)いろんな勉強をして引き出しをたくさんつくった。(中略)
日本では小さい頃からきれいなフォーシームを投げる練習をするけど、こっちはスタートから違う。もちろんフォーシームで結果を残す投手はたくさんいるけど、合わない投手もいる。僕が動くボールを見せることで違う方向に行けば、違った結果が出る可能性もあると気づいてもらえればいい
悩める黒田 残りたい理由と戻りたい理由とは…(野球) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース


黒田と山本昌、引き出しの多い職人気質のヴェテラン投手2人のピッチング談義があったら、ぜひじっくり見てみたいと思う。彼らのようなスタイルのヴェテランの話にこそ「メジャーでも通用する日本人投手の新しいピッチングスタイル」「日本野球のレベルを一段引き上げる日本の投手の新しいスタイル」が見えてくるかもしれないと思うからだ。



余談だが、この10年の長きにわたって、シアトルが投手の育成やトレード、バッテリーワークの構築において犯し続けてきた根本的な間違いも、たぶんこういうところにある。
シアトルが育ててきたのは、「4シームがちょっとばかり速いだけで、後は何もない投手」だが、彼らは、黒田投手の言葉を借りれば、『引き出しのまったく無い投手』ばかり」であって、スカウンティングが発達し、打者の対応技術も高いアメリカでは、そんな投手たちはすぐに何の役にも立たなくなる。

なのにシアトルは、誰が陰でこのチームを指揮してきたのか知らないが、「ストレートの速い投手ばかり並べて、日本人キャッチャーが決め球のストレートをアウトコースの低め一杯に決めさせる」なんていう思い込みひとつで、大金をかけてチームをがむしゃらに作り上げてきた。
そのセンスの、まぁ、老人臭いこと、カビ臭いこと。野球の世界にまだ球種自体が少なくて、速球投手全盛だった村山江夏の時代の日本野球じゃあるまいし。
誰がこのチームにクチを挟み続けてきたのか知らないが、この西海岸のチームだけは、広いメジャーの片隅で、こっそりと、そういうカビ臭い懐古趣味の実験を、10年もの間、続けてきたのだ

勝てるわけがない。






damejima at 21:16

August 09, 2010

今日の準ノーヒット・ノーランで今シーズンのブランドン・モローは9勝6敗。素晴らしい成績である。
ここまでチームが58勝52敗と、貯金6だったのを思えば、チームの貯金の半分はモローの登板ゲームで稼いだことになる。(残りの半分はショーン・マーカム)


ここまで消化したイニング127.1。ア・リーグで33位タイあたりの立派な数字で(ちなみにMLB1位は大投手ロイ・ハラデイ185.0。素晴らしいの一言。ア・リーグ1位はヘルナンデス174.1
チーム内でも、ここまで131.0イニングを消化して10勝5敗のエース格ショーン・マーカムに次いでの2位だから、十分にイニングを「食って」いて、チーム内ですでに準エースクラスになっている。

QS数も今日を含めてシーズン13に達して(トップはヘルナンデスの20)、これはリーグ22位タイ。マーク・バーリーマット・ガーザジョン・レスターなどといった好投手と肩を並べている。
QS%55%となかなかの数字で、マーカムの57%とほとんど変わらない。登板ゲームの半分ではQSできている。ア・リーグ全体では36位で、マーク・バーリーあたりと肩を並べている。
2010ア・リーグQS数ランキング
2010 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

また、今日までの奪三振数151は、ア・リーグ5位。毎年奪三振の多いフェリックス・ヘルナンデスと、今日の17奪三振で肩を並べた。投げたイニング数が比較的ランキング上位の投手たちと比べると少ないことから、イニングあたりの奪三振率がかなり高いことがわかる。

2010ア・リーグ奪三振数ランキング(画像)
2010 MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN
ウィーバー  171
リリアーノ  156
レスター   154
ヘルナンデス 152
モロー    151
バーランダー 140
シールズ   135
ルイス     134
サバシア   131
グレインキー 129

2010年8月8日 ア・リーグ奪三振数ランキング
2010年8月8日 ア・リーグ奪三振数ランキング

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スターターとしてケチのつけどころのない堂々たる好成績である。


以前、6月の記事で、今シーズンのモローのピッチング内容がシアトル時代とはまるで違っていて、「カーブが非常に増え、変化球を投げる割合が激増したこと」を指摘した。
その後2ヶ月たったが、この「カーブの割合を非常に増やした」という傾向はその後も変わっていない。
準ノーヒッター、17奪三振を記録した8月8日のゲームでも、かなりの数の変化球を投げている。特に、このゲームでは、カーブではなく、スプリッター(と記録された球)を非常に多く使い、強打で知られるタンパベイ打線を沈黙させることに成功した。

「投手有利なカウントにならないかぎり、モローにはカーブのサインを出さない」とか、わけのわからないリードをモローに押し付けていたダメ捕手城島のリードが、いかに馬鹿げたものだったか、意味の無いものだったか、よくわかる。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月19日、意味なくダメ捕手城島が阻害していた「カーブ」を自由に使えるようになってピッチングの幅を広げ始めたブランドン・モロー。

Brandon Morrow » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

「城島打ち合わせ無視事件」に関する記録と記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月22日、「投手コーチ・アデアとの打ち合わせを無視し、モローにカーブのサインを一切出さなかった城島」に関する記録。投手たち自身の「維新」による城島追放劇の舞台裏。

元データ:MyNorthwest.com シャノン・ドライアーのコラム
Joh Leaves the Mariners, What Now For Both - MyNorthwest.com

The real eye opener was in the game Brandon Morrow threw right before he was sent down. Don Wakamatsu had said in his post game press conference that it looked like Morrow's breaking ball was shaky the few times he threw it. When we asked Morrow about it he looked at us stunned and said that he didn't throw a breaking ball that game. The plan with Rick Adair and Joh going into the game was to incorporate the breaking ball, it was what he was working on but Joh never called one. His explanation, he couldn't get Brandon into a count where he could throw it.
本当にビックリしたのは、モローがマイナーに降格させられる直前のゲームである。監督ワカマツは試合後の記者会見で「今日のモローはブレーキング・ボールを何球か投げたが、どれも不安定に見えた」と話した。
私たち記者がモローにそれを尋ねると、彼は呆然と我々を見つめながら、「このゲームで僕はブレーキング・ボールなんて、1球も投げてないよ」と言ったのである。
なんでもリック・アデア投手コーチとジョーがゲーム前に立てたプランでは、ブレーキング・ボールを交えるはずだった。だが、ジョーはそれを一度もコールしなかったのである。ジョーの説明によると、モローがブレーキング・ボールを投げることのできるカウントに持ち込むことができなかったから、ということだった






damejima at 06:07
トロントは今ロジャースセンタ−でホームゲーム中だが、ブランドン・モローが先発で8回まで115球投げて、ストライクは82、ボールは33と、素晴らしいストライク率。そして奪った三振16、四球はわずか1。エラーなし。

これはエライことになってきた。

Morrow working on no-hitter vs. Rays | MLB.com: News

Tampa Bay Rays at Toronto Blue Jays - August 8, 2010 | MLB.com Gameday

ブランドン・モローのシーズンスタッツ
Brandon Morrow Career Statistics | bluejays.com: Stats

ブランドン・モローのゲームログ(試合ごとの投球内容)
Brandon Morrow Game Log | bluejays.com: Stats


8回表
フルカウントから先頭バッターを三振!
これで15三振

2番目のバッター、アップトン
2−2からストレートで三振!
16三振!!

3人目、センターフライ
とうとうあと3人だ。


最終回
先頭打者 バートレット
センターフライ

あと2人

2人目 ベン・ゾブリスト
四球・・・

3人目 カール・クロフォード
レフトフライ

あと1人

4人目 エヴァン・ロンゴリア
うああああ・・・
トロントの名セカンドアーロン・ヒルがグラブに当てるところまで追いついたのだが
・・・・ライト前ヒット・・・・・・・・・・

・・・・。うーん・・・。

5人目 三振!
17三振!!!
ただ・・・。ノーヒットノーランは逃した・・・・。

なんてこった。空気読め、ロンゴリア
というか、結局ゾブリストに四球を出してセットポジションになったのが痛かったな・・・。あの四球がなければクロフォードでノーヒットノーラン達成できていたかもしれない。残念。

だが、準ノーヒット・ノーラン、おめでとう、モロー。






damejima at 03:58

June 20, 2010

前の記事で、トロント移籍後のブランドン・モローの投げるストレートの割合が下がり、かわりにカーブを投げる割合が2倍になった、というような「シアトルから移籍した投手の球種の大きな変化」の話を書いたが、シカゴ・カブスに移籍したカルロス・シルバの球種はなにか変わったのだろうか。ちょっと気になって数字を覗いてみることにした。

カルロス・シルバの球種
(シーズン別 % 数字は左から
ファスト・ボール スライダー カーブ チェンジアップ)

2002 82.9 12.7  0  4.4 フィラデルフィア
2003 81.2 15.4 0.9  2.5 ミネソタ
2004 79.3 3.7  10.3 6.7 ミネソタ
2005 83.9 5.0  6.6  4.5 ミネソタ
2006 73.6 10.2 3.0  13.1 ミネソタ
2007 68.3 8.7  0   23.0 ミネソタ
2008 69.1 9.3  0.3  21.3 シアトル
2009 83.1 5.7  0   11.2 シアトル
2010 55.7 14.5 0   29.8 カブス
Carlos Silva » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

いやはや、なんだこれは。

記事を書いているブログ主自身ですら、2009年以前と2010年の数字があまりに違いすぎて、目の錯覚ではないかと何度もファングラフのページを見直したくらいだ。
言うまでもない。理由はよくわからないが
2009年以前のシルバと2010年のシルバは別人である。
別の面から言えば「投手は配球しだいで別人にもなれる」という言い方もできる。さらに言うなら「配球の違いは投手のアイデンティティに関わる一大事、生命線である」ともいえる。


2009年のシルバは、たった30イニングしか登板してないとはいえ、なんとストレート率が83.1%の超高率。なんと使う球種の5球に4球以上ストレートを投げる「ストレートの魔人」だったようだ。また、シアトルに移籍してきて153イニング投げた2008年のストレート率だって、シルバ自身の数値としては低いが、他の投手と比べればけして低くはない。むしろ2009年以前のストレート率はどれもこれも異常な高さである。
以前の記事で、シアトルのリリーフ陣が全体として73%もストレートを投げると批判したが、なんのことはない、シルバはそんな数字を遥かに超越していた(苦笑)

ところが、である。
2010年のシルバは、シアトルに来る以前からあれほど投げまくっていたストレートを異常に減らすと同時に、3球に1球チェンジアップを投げるという、ボストンの岡島ばりの「チェンジアップ・マシン」に変身している。
2009年は1勝3敗。防御率8.60。K/BBは0.91。2010年は、いま現在8勝2敗、防御率3.01。そしてK/BBは、なんと前年の0.91から4.07。
4.07? あまりの変身ぶりに本当にびっくりする。おまえは仮面ライダーか。


どうしてまた、こういうことが起きるのだろう。
理解に苦しむ。

彼が最も良いスタッツを残したのは、200イニング以上を投げ、14勝8敗をあげたミネソタ在籍時の2004年あたりだと思うが、シルバがやたらとストレートを投げたがる投手であること自体は、けして「ストレート王国」のシアトルに来たというのが理由ではなく、シルバが昔からそういう投手だったからだ。
だからモローのケースとは違い、シルバについては「ストレート王国」シアトルでストレートをやたらと投げさせられてピッチングスタイルが安定しなかった、壊れた、などと批判をするつもりはない。


むしろシルバの場合に問題なのは、2008年に彼がシアトルに移籍して来るまでの間、シルバが投げるストレートが、量も割合も年々減りつつあったことにシアトルが気がつかなかったこと、のように思えてならない。
つまり、言いたいのは、近年のシルバは何かフィジカルな理由で昔のようにストレートをビュンビュンほうれるだけのコンディションではなくなりつつあったのではないかということだ。
まぁ、端的に言えば、「ミネソタ時代にストレートを馬鹿みたいに投げすぎたせいか何かで、シアトルに来たときにはもう、昔のようにストレートばかり投げるのを難しくさせる持病のような故障が、身体のどこかにあったのではないか」という推測だ。


この推測、別にたいして自信があるわけではないが、もし仮定の話とはいえ多少は真実味があるとすると、チーム運営上、問題が3つほどある。(というか、3つもある)

1 故障持ちを、なぜ大金払ってまで獲得してきてしまうのか
2 故障持ちで、年々ストレートの威力が落ちてきている投手なのに、
  なぜストレートばかり投げさせたのか
3 故障持ちの選手であるにしても、より負担のかからない球種を中心にしたピッチングスタイルへの変更などで復活させる工夫やアイデアも実行せず、なぜあっさり放出ばかり繰り返すのか

近年のシアトルはどういうものか知らないが、故障持ちの選手に大金を払って獲得してきてしまい、後でお払い箱にする傾向がある。それはGMが、あの劣悪最低なバベシからズレンシックに変わったからといって、特に改善されたわけではないようだ。
やっかいもののシルバの放出の駒になってくれたミルトン・ブラッドリーはともかく、グリフィー・ジュニアだって、ジャック・ウィルソンだって、マイク・スウィニーだって、シーズン通しては働けない立派なスペランカーではある。

結果論だが、カブスはカルロス・シルバのコンディションにあったピッチングをさせて、有効に使いまわしているが、シアトルはシルバに合わないキャッチャーを押し付け、コンディションに合わないピッチングをさせて、無駄に金を払ったとしか思えない。
どうも最近のブルペン全体のかかっている「ストレート病」といい、シアトルの投手管理能力にはどこかに問題がありそうだ。一度コンディションが落ちてしまうと、なかなかどころか、元に戻せなくなることが多すぎる。


ちなみに、もちろんカルロス・シルバが使う球種に関してだって、シルバと城島の間に確執があったことは、ここでも何度か書いたし、地元メディアでも話題になった。メジャーにしては珍しく監督が両者を監督室に呼び出してわざわざミーティングを行って、2人の間の認識の溝を埋めようとしたくらいだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年5月24日、城島はシルバについての認識不足を露呈した。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年6月10日、シルバは城島の悪影響から脱し本来の調子を取り戻す。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年6月28日、クレメント先発のこの日、シルバは7連敗を脱出した。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年8月15日、投手破壊の天才城島はついにシルバを強制DLにした。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月8日、城島はシルバに4番モーノーの外角低めにシンカーを6連投させ、逆転負けした。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月、同じ失敗に懲りずにシルバにアウトコースのシンカー連投を要求する城島の1年前を振り返る。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年4月25日、シルバは2008年6月28日にクレメントを捕手に勝って以来302日ぶりに、ロブ・ジョンソンを捕手に勝利した。






damejima at 06:49
トロントに出されたブランドン・モローが最近4試合で連続してQS(クオリティ・スタート)を決めている。トロントでは既に13試合に投げているが、そのうち8試合でQSを決め、QS率は既に61.5%にも達している
61.5%のQS率というと、LAAのアーヴィン・サンタナや、カンザスシティのバニスター、タンパベイのマット・ガーザ(いずれも57%)より上で、今シーズンなかなかのボストンのバックホルツ(62%)に肩を並べつつある、という意味になる。
たいしたものだ。移籍直後にありがちな不安定さが消えていき、このところ立派に先発投手としてモノになりはじめたらしい。



モローが、移籍にあたってのインタビューで I was never really allowed to develop as a starter.「僕は(シアトルで)先発投手としての成長の機会をまるで与えられなかった」とチームの自分に対する間違った扱いをハッキリ非難したのをよく覚えている。
シアトル時代のモローの処遇はそれはそれは酷いものだった。
彼をマイナーから上げてきては、(彼だけでなく、どんな投手にでもそうだったが)投手の個性をより伸ばし生かす術などまるで持たないダメ捕手城島相手とばかりバッテリーを組まさせては(11ゲーム 29.2イニングで最多)、四球を出しては痛打され続けただけでなく、そうした一度や二度の失敗ですぐにマイナーに送り返す、というような、あまりにも馬鹿げた選手起用をとっていた。
(この辺のプロセスは2009年のバルガスもよく似ている。2009年にバルガスはローテに戻ってきてはダメ捕手のキロスとばかり組まされ、またマイナーに落とされたりしていたものだ)→参照:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」

トロント移籍後のモローは不安定さがすぐに消えたわけではないが、きちんと試合に使われ続けているうちにピッチングの質が変わってきたようだ。
彼が移籍したばかりの不安定だった時期に彼のピッチングを冷笑していたモノを見る目の無い城島オタクやシアトルファンには「ダメな人はどこまでいってもダメなんですねぇ。また皆さんの低脳ぶりが証明されてしまいましたね」と申し上げておきたい。
Brandon Morrow Game Log | bluejays.com: Stats


シアトル時代にモローに対して日本に逃げ帰ったダメ捕手城島が行った最悪最低の所業というのは、シアトルファンの間ではたいへんに有名な話だ。
簡単にいえば、投手コーチのリック・アデアがストレート偏重で単調になりがちなモローのピッチングの「質」を変えるために「モローにカーブを投げさせてみる」という打ち合わせを試合前のミーティングでしていたにもかかわらず、ダメ捕手の城島がなんと、「自分だけの一存」で「モローにカーブのサインを一切出さなかった」というものである。
くだらないにも程がある話である。思い出したくもない。

こうしてモローはメジャーに上がるチャンスをもらうたびにダメ捕手を押し付けられ、先発投手としての結果がなかなか出せないまま、いたずらにマイナーとメジャーの間を行ったり来たりさせられ、そして挙句の果てにはチームから出されてしまった。
その不幸なブランドン・モローのキャリアに、今年絶好調のフィスターやバルガスと同様、ダメ捕手と縁が切れたことで、ようやく陽の目が当たろうとしている。めでたい、めでたい。

「城島打ち合わせ無視事件」の記録
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年12月22日、「投手コーチ・アデアとの打ち合わせを無視し、モローにカーブのサインを一切出さなかった城島」に関する記録。投手たち自身の「維新」による城島追放劇の舞台裏。

元データ:MyNorthwest.com シャノン・ドライアーのコラム
Joh Leaves the Mariners, What Now For Both - MyNorthwest.com
The real eye opener was in the game Brandon Morrow threw right before he was sent down. Don Wakamatsu had said in his post game press conference that it looked like Morrow's breaking ball was shaky the few times he threw it. When we asked Morrow about it he looked at us stunned and said that he didn't throw a breaking ball that game. The plan with Rick Adair and Joh going into the game was to incorporate the breaking ball, it was what he was working on but Joh never called one. His explanation, he couldn't get Brandon into a count where he could throw it.
本当にビックリしたのは、モローがマイナーに降格させられる直前のゲームである。監督ワカマツは試合後の記者会見で「今日のモローはブレーキング・ボールを何球か投げたが、どれも不安定に見えた」と話した。
私たち記者がモローにそれを尋ねると、彼は呆然と我々を見つめながら、「このゲームで僕はブレーキング・ボールなんて、1球も投げてないよ」と言ったのである。
なんでもリック・アデア投手コーチとジョーがゲーム前に立てたプランでは、ブレーキング・ボールを交えるはずだった。だが、ジョーはそれを一度もコールしなかったのである。ジョーの説明によると、モローがブレーキング・ボールを投げることのできるカウントに持ち込むことができなかったから、ということだった。



さてトロントに移籍してからのブランドン・モローのピッチングで何がいったい変わったのだろう。

結論は簡単だ。「カーブ」である。
細かい部分はさておき、下記のデータを見てもらおう。

モローの使った球種
(シーズン別 % 数字は左から、ファスト・ボール スライダー カーブ チェンジアップ スプリット)
Brandon Morrow » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball
2007年 80.0 10.5 0 3.3 6.2
2008年 70.7 16.2 1.9 0.9 10.3
2009年 70.5 15.0 4.8 9.8 0
2010年 62.9 16.6 10.8 9.7 0

2009年と2010年で最も大きく変わったことは、上の数値でまるわかりだろう。
「ストレートが大きく減り、そして、カーブを多用にするようになった」
実は、配球にバランスが出てきたことは、ストレート自体の効果も増している。というのは、ストレートの割合が減ったことで、ストレートを打たれるパーセンテージ自体が5%ほど下がったのである。打者にストレートに狙いを絞られずに済むことからくる、いい意味の相乗効果だろう。


2009年までモローのストレート率は「70%」を毎シーズンあたりまえのように越えていた。この「ストレート率 70%」という数値は「メジャーではよくある話」なのか、どうか。
先日書いた下記の記事でわかるとおり、個々の投手はともかく、チームごとに言うなら「ストレートを投げる割合が70%を越えるようなストレート偏重の投手陣など、メジャーのどこを探しても、シアトル・マリナーズくらいしかない」。つまり、2009年までのモローは「メジャーでもシアトルにしかいない、異常なストレート偏重投手」のひとりでしかなかった。

日頃メジャーを見ていればわかることだが、100マイルの超高速ストレートを誇る投手ですら、打たれるときにはやすやすとスタンドに放り込まれ、メッタ打ちにもあうのが、世界から非凡な才能だけを集めたメジャーという場所の恐ろしさで、基本的にストレートオンリーではメジャーでは長くは通用しない。
ステファン・ストラスバーグのような超例外もあることにはあるが、彼のストレートにしたって、かつてフェリックス・ヘルナンデスもそうであったように、やがては打者につかまる時期が来る、そういうものだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。



実はトロントの先発投手陣はシアトルのリリーフ投手の対極にあり、「メジャーにおいて、先発投手陣が最もストレートを投げないチーム」だ。トロントのSP(先発投手)がストレートを投げるパーセンテージはヘタをすると50%を切るため、70数%もストレートを投げるシアトルのリリーフに比べ、20%も低い。
先日も書いたことだが、ア・リーグ東地区では「ストレートの割合を減らすかわりに、カットボールの多用でそれを補う」傾向が強くあり、トロントでも配球の10%程度がカットボールと、西地区、中地区のチームよりずっと多くのカットボールを使う。
American League Teams » 2010 » Starters » Pitch Type Statistics | FanGraphs Baseball

そんな中でみると、2010年6月18日現在のモローのストレート率62%という数字は、メジャーの先発ローテ投手のチーム別の数字においてみると「非常に平均的な数字」で、多すぎもせず、少なすぎもしない。つまり、「バランスがとれてきている」。
つまり、「移籍後のモローは、ストレートだけに頼らず、多少カーブを混ぜつつ、ピッチングにバランスがとれはじめている」。これだけでも、失意で移籍していくモローにくだらない罵声を浴びせた心無いクセに無能なシアトルファンを見返すには十分だろう。

だが単純なストレートを投げる割合を極端なまでに減らすトロントのローテーション投手としては、62%でもまだまだストレートの割合が高いほうだ。モローも今シーズンのオフにはカットボールでも覚えることになるかもしれない。
まぁ、いってみれば、トロントの投手コーチがやったことは
「ストレートに特徴のあるモローに、いきなりストレートを50%以上投げないように命じるのではなく、彼の個性を無理に壊さない範囲でカーブを混ぜさせていき、ピッチングの幅をゆるやかに広げていってやることに成功しはじめている」ということになる。


ダメ捕手の「壁」のないところでは、これほどスムーズに投手の改善がすすむのだから、ダメ捕手のいるシアトルから移籍した途端に活躍しはじめる投手が続出するのも無理はない






damejima at 01:01

June 14, 2010

6月13日現在でシアトルの防御率は4.14で、ア・リーグ5位と、まぁ、なんとかみられる数字にはなってはいるが、それでも「打たれまくっている」とかなんとか、ケチをつけたがる人がいる。

先発投手   3.85 リーグ3位
リリーフ投手 4.82 ワースト2位

数字で明らかなように、打たれすぎているのは主にリリーフ陣であって先発投手たちではないし、さらに言えば、先発投手の中でも打たれているのはローランドスミスとかイアン・スネルであって、他の投手たちはそれぞれの実力相応の素晴らしい数字を残している。
こうした、いい投手とダメな投手でギャップの大きい投手陣、という構図はヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードの3本柱の頑張りだけで勝ちを拾い続けた2009年とまるで変わってない。また、4番手投手、5番手投手でチームの借金を増やし続けるという悪い構図も、まったく代わり映えしない。


その打たれまくりのシアトルのリリーフ陣だが、投球の74.3%がストレートだというデータがある。なんと4球に3球ストレートを投げているわけだ。
もちろんデータなど見なくても、ストレートを投げる投手ばかり獲りたがるシアトルの歴史的なアホさ加減は十分知っているファンはたくさんいるわけだが、いくら速球投手大好き球団といったって、4球に3球の割合でストレートというのはいくらなんでも配球として多すぎると思うのは、ブログ主だけだろうか。
ちなみに、ストレートばかり投げたがるシアトル投手陣とはいえ、先発投手陣はここまでストレートばかり投げているわけではない。

チーム別スターターの球種
American League Teams » 2010 » Starters » Pitch Type Statistics | FanGraphs Baseball

チーム別リリーバーの球種
American League Teams » 2010 » Relievers » Pitch Type Statistics | FanGraphs Baseball


こういうことを言うと必ず「リリーフ投手の登板場面は走者のいる場面で投げることも多い。だから変化球は投げづらい」だの、なんだの、なんのことやらさっぱりわからない説明をする人が出てきそうなわけだが、数字をみてもらえばわかることだが、「リリーフ投手がこれほどストレートばっかり投げる球団」など、メジャーのどこにも見あたらない。
全30球団で、シアトルのリリーフが最も(というか、異常に)ストレートを投げる率が高いのである。

リリーフ投手がストレートを投げる率の低いベスト3
レイズ      50.2%
ブルージェイス  57.5%
ヤンキース    58.5%
ホワイトソックス 59.0%
エンジェルス   57.5%

リリーフ投手ストレート率の高いベスト3
マリナーズ    74.3%
インディアンス  67.9%
ロイヤルズ    66.8%
レンジャーズ   67.9%
レッドソックス  65.9%


「カットボール多用」のレイズおよび東地区
レイズのリリーバーは、他のチームにはない特徴がある。ストレートのかわりにカットボールを多用するといってもいいほどの極端なカットボール多用である。配球の24.8%がカットボールだから、4球投げたら「2球はストレート、1球がカットボール、残り1球が別の球」という配球ということになる。4球のうち3球がストレートのシアトルと比べると、その違いの大きさがわかる。
「カットボール多用」という傾向は、レイズほど極端ではないにしても、ストレートをあまり使わないチーム2位のブルージェイズ(11.9%)、3位のヤンキース(13.1%)にも同じようにある。つまり、いわば「カットボール多用は、ア・リーグ東地区のリリーバー共通のお約束配球」のようになっている。

「スライダー多用」のツインズ
レイズと東地区にカットボールをやたらと多用する傾向があるのと同じように、中地区のツインズには「スライダー多用」という特徴がある。
ツインズ以外のア・リーグ全球団が13〜16%におさまっているのに対し、ツインズだけが26.9%と、スライダーの割合がほぼ2倍になっている。多少ツインズに近い「スライダー多用リリーフ陣」は、他にオリオールズ(19.1%)くらいしかない。


西地区では、カットボールの多用される東地区と違って、チームごとにリリーバーの配球傾向が多少違う。

「カーブ多用」のエンジェルス ERA4.79
今シーズンは投手陣に難があるといわれていたエンジェルスだが、ストレート(59.2%)の比率が西地区で最も低い一方で、カーブ(16.3%)を多投してくる、という特徴がある。カーブ16.3%という数値はア・リーグでは飛びぬけて高い。また、メジャー30球団をみても、ナ・リーグに12%台のカージナルスやブレーブスがあるだけ。ア・リーグのチームはそもそも2桁パーセントにいかない球団がほとんどだ。
またカットボール9.3%で、西地区のリリーフで最もカットボールを使うのがこのエンジェルスだ。
本来なら、防御率を見るかぎりでは、こうした極端な配球が功を奏しているとは言えない・・・・・と、書きたいところだが、残念なことに、シアトルの貧打線には、ソーンダース、アルフォンゾ、不調時のグティエレス、ロペスなど、「縦に割れる外のカーブを非常に苦手にしている打者」が多く、ことマリナーズ戦に関してだけは「カーブ多用」が効果をあげているといわざるをえない。

エンジェルスにやや近い傾向のレンジャーズ ERA3.72
今シーズンのア・リーグ西地区で最もリリーフ陣が成功しているといえるレンジャーズの球種の傾向は比較的エンジェルスに近い。ストレート66.1%と、3球に2球がストレートで、残りがスライダー15.5、カーブ9.3などとなっている。
大きな特徴はないが、ややカーブの割合が多めな点に、エンジェルスに近いイメージがある。

「平均化して特徴を消している」アスレチックス ERA4.23
ストレート64.1、スライダー15.3、カットボール7.5、カーブ4.4、チェンジアップ8.7。どの球種の数字を見ても、リーグ平均に近い。打者に狙いを絞り込ませないように、あえて使う球種に際立った特徴をもたせないようにしているような感じがする。他の球団にみられない特徴をもつエンジェルスとは、全く逆のイメージである。


そんな西地区の中でマリナーズのリリーフ投手がカーブを投げる割合は、わずか2.6%しかない。その一方で、4球に3球ストレートを投げてくるのがわかっているのだから、打者としてはヤマを張りやすいのは間違いないだろう。
いくらなんでも、これでは打たれる。

もちろん、ロスター枠に野手が多すぎる問題などから投手の疲労度が高いことか、コントロールの悪さからカウントを悪くして、しかたなくストレートばかり投げてストライクを稼ぎに行く、という場面も多々あったとか、さまざまな理由が考えられることだろう。いずれにしても理由はどうでもあれ、打者にストレートにヤマを張られて打たれることに変わりはない。
例えば、まるでスカウティングが頭に入ってないアルフォンゾあたりのキャッチャーが、インコースのストレートくらいにしか強味のないバッター(例えば松井)あたりと対戦しているときに、いくらリリーフ投手が変化球のコントロールに自信がないから、疲れているからといって「ストレートのサイン」ばかり出し続けているようでは、いくらやってもダメなのである。

シアトルのリリーフ投手の極端なストレート偏重配球が、コントロールに自信のない投手側からの要求なのか、それとも、これまで速球派投手ばかり獲得してきたフロントの責任なのか、投手コーチのリック・アデアの戦略なのか、キャッチャーのリードのせいなのか、ピンチの場面ではベンチから投手に配球サインを出す監督ワカマツのミスなのかは、いまのところわからない。
年度別にみると、こうした「リリーフ投手のストレート偏重」傾向が始まったのはなにも今年が初めてではない。2006年までのシアトルのリリーフは、むしろア・リーグで最もストレートを投げない球団のひとつだった。転機になったのは2007年。いきなり急激にストレート偏重配球になり、さらに監督・投手コーチが変わった2009年以降にさらに拍車がかかった。
リリーフ投手がストレートを投げる率の
低い順に数えたシアトルの順位と、リリーフ陣のERA

2005年 61.7%(3番目)3.60
2006年 61.5%(3番目)4.04
2007年 65.3%(12番目)4.06
2008年 63.9%(7番目)4.14
2009年 73.4%(12番目)3.83
2010年 74.3%(12番目)4.96

だが誰の責任であれ、
もういい加減に方針転換しないとダメだと思う。






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  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



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