BAL ダン・デュケット バック・ショーウォルター

2018年10月3日、バック・ショーウォルター辞任を、2013年7月の自軍投手の大量放出の失敗と、翌8月の投手コーチ辞任から振り返る。
2013年6月23日、2013カレッジ・ワールドシリーズ決勝は、UCLA対ミシシッピ州立。
2013年5月21日、 ジラルディの「忍耐」と、ショーウォルターの「先読み」が作り出したビューティフル・ゲーム。野球の面白さを堪能させてくれた両軍監督の選手起用の応酬。
2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (2)ジェイソン・ハメルはどこがどう変わったのか?
2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (1)ボルチモアはどこがどう変わったのか?
2011年12月20日、テオ・エプスタイン一派の「談合的人事」をバド・セリグが拒絶。それを尻目に、ボストンからスタッフを引き抜いた元ボストンGMダン・デュケットの抜け目なさ。
2011年12月2日、マット・ウィータースのバックアップとして、テキサスからテイラー・ティーガーデンを獲得したバーズのダン・デュケットに、「ボストンやタンパベイとは、ちょっと違う野球」を期待する。
2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。
2011年6月2日、3回という早いイニングで敬遠したバック・ショーウォルターの慎重な「イチロー対策」。ジェレミー・ガスリーの被ホームランの多さ。
2010年9月20日、投手の投球テンポの早さを支えるのは「コントロール」だと、今日のボルチモアの"ルパン"上原を見てつくづく思った話。
2010年9月12日、元シアトルの右腕クリス・ティルマンがデトロイトを1安打に抑えて好投中。なんとミゲル・カブレラを2三振。
2010年9月10日、「例の」ピーター・ギャモンズがショーウォルターとオリオールズについて、ちょっといい記事を書いたので、困った、という話。
2010年8月31日、ショーウォルターの「オーガスト・マジック」、ボストンを撃破。8月はついに17勝11敗で、チーム勝率は7月の2倍に跳ね上がる。うらやましすぎるボルチモアの熱。
2010年8月29日、投手陣を劇的に建て直した「ショーウォルターのオーガスト・マジック」で、ボルチモアが「エンゼルス敵地スイープ」達成。成功しつつある「攻守のアンバランスさからの脱出」。
2010年8月29日、地元紙さえびっくりするボルチモアの8月快進撃。ちょっとした「記録」のかかった今日のボルチモア対エンゼルス第3戦。一方で、監督解任後8勝9敗のシアトルの迷走ぶり。
2010年8月21日、ボルチモアのカムデンヤーズは、セーフコのお手本になった「新古典主義建築のボールパーク」。80年代のクッキーカッター・スタジアムさながらの問題を抱える「日本のスタジアム」。
2010年8月18日、ショーウォルター監督のみせる「父親の走り」の素晴らしさ。

October 04, 2018

バック・ショーウォルターがボルチモアを去ることになった。

彼と彼のスタッフが2010年代初期のボルチモアで実践した「バランスの整ったチームづくり」は、長年にわたって投守打のバランスを欠いた雑な野球ばかりして低迷し続けたこのチームにとって、とても意味のある仕事だったと思う。


だが、残念なことに、「2013年あたり以降のボルチモア」は、それまでの野球を忘れたかのように、ネルソン・クルーズクリフ・デービスなどのステロイダー(ブログ主はマニー・マチャドもそのひとりだと思っている)に依存するチームになってしまい、かつてのような「投手はまったくもって酷いものだが、強力な打線に依存して、なんとか帳尻つける」という、昔の「雑なパワー野球」に戻ってしまった。


2010年〜2012年あたりまで、ブログ主はこのチームについて熱心に記事を書いた記憶があるが、2013年以降はどういうものか、あまり関心をもてなくなっていき、記事を書くこともめっきりなくなった。

2012年に以下の2つの記事を書いているが、今読みかえしてみても、当時のボルチモアの「バランスのとれたチームづくりにかける熱意」を感じさせる、意味のある記事だった。

今のボルチモアに、そのはまったくない。

参考記事:
2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (1)ボルチモアはどこがどう変わったのか? | Damejima's HARDBALL

2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (2)ジェイソン・ハメルはどこがどう変わったのか? | Damejima's HARDBALL


上の2つは、投打のバランスを長年欠き、長打重視の雑な野球ばかりして低迷を続けたボルチモアが、なぜバック・ショーウォルター監督以降に投打のバランスが整ってきたのかについて、当時のピッチングコーチ、リック・アデアが、冴えないエースだったジェレミー・ギャスリーをようやくトレードしてコロラドから獲得したジェイソン・ハメルに2シームを習得させた話を中心に、「ボルチモアの投手陣整備」を眺めた記事だ。

リック・アデアがコメントした、シアトルでピッチングコーチだった時代に育てたダグ・フィスターと、ハメルが似ているという話など、いま読むと、とても懐かしい。シアトル時代のブランドン・モローにカーブを投げるよう勧めたのも、リック・アデアだ。(だが、そのアイデアは実現しなかった)



そのリック・アデア、2013年に突如としてボルチモアのピッチングコーチを辞めている。理由は、当時の記事を検索しても、英語版Wikiをみても、なぜかほとんどわからない。

O's pitching coach Rick Adair takes personal leave of absence | Baltimore Orioles



これはあくまでMLBファンとしてのブログ主の想像だが、細かい事情はともかく、「2013年以降のボルチモア」は「2010年〜2012年あたりのボルチモア」と何かが大きく違ってきてしまい、投手の粘り強い育成にチカラを入れようとしなくなった、あるいは、有能なピッチングコーチを必要としなくなって、そのことが投手を育てることに熱心なリック・アデアを呆れさせ、ボルチモアを離れる理由になったのではないか、と思っているのである。


そんなことを思う理由はいくつかあるが、最大の根拠は「2013年7月の自軍投手の放出トレード失敗による戦力低下」だ。

2013年7月、ボルチモアはジェイク・アリエッタペドロ・ストロップジョシュ・へイダーと、自軍の若い才能ある投手陣をベイト(=英語でいう「餌」「エサ」)にして、カブスからスコット・フェルドマン、ヒューストンからバド・ノリスを獲得した。
結果的に、この「2013年7月の駆け込みトレードでの若手投手放出」は、それまでのボルチモアの投手育成の努力を「台無し」にし、ボルチモア投手陣の極端な劣化につながったと、ブログ主は見る。


ジェイク・アリエッタは、移籍先のカブスで2年連続ノーヒットノーランをやり、いまはフィラデルフィアで3年75Mもの高額契約を得て将来を確約されているわけだが、かつては2007ドラフト5位で入団し、数年にわたってボルチモアのマイナーが欠点を我慢しながら育ててきたたボルチモアの生え抜きプロスペクトだった。(2010年6月にメジャーデビューして、翌2011年に10勝。その後ヒジの手術で戦列を離れたが、2012年の開幕投手になっている)

ペドロ・ストロップは、2013WBCドミニカ代表で、いまはカブスで年間70試合弱を投げる優秀なブルペンピッチャーに育っている。

同じく、いまはミルウォーキーの堂々たるブルペン投手になっているジョシュ・へイダーは、ヒューストンのバド・ノリス獲得のために放出された。



アリエッタにストロップまでつけて獲得したスコット・フェルドマンだが、ボルチモアではまったく使い物にならなかった。いまは故障を抱えながらチームを渡り歩くジャーニーマンに過ぎない。
バド・ノリスにしても、良かったのは2014年だけ。フェルドマンと同じく、ジャーニーマンとしてMLBにぶら下がっているだけの投手に過ぎない。


リック・アデアが、まるで若者が突然無断欠勤して会社を辞めるように、突然として職を離れた理由は、おそらくはアデアが、「2013年7月の一連の駆け込みトレードによる、自軍投手放出」に、責任あるピッチングコーチとして断固反対したのにもかかわらず、GMダン・デュケットがトレードを強行したからではないかと、ブログ主は想像する。

なぜなら、アデアの辞職が、「2013年7月の駆け込みトレード」直後の、「2013年8月」だからだ。

もし自分が高いプライドをもってコーチ業をやってきて、ようやく若手が育ってチームの明るい未来を思い描けるようになってきたとしたら、こんなトレードには断固反対する。

それはそうだ。

ボルチモアのマイナーは時間をかけて、「これから長い活躍が見込める、若くて、健康で投手たち」をズラリと揃えたのだ。
にもかかわらず、プロのピッチングコーチとして、あの投手はステロイドで成績をもたせているだけだろう、とか、投げ方がおかしいとか、この投手のコントロールはどうやっても直せないとか、きっと故障を抱えているに違いない、などと感じる「将来性の乏しい中堅投手」を、その場かぎりの目的で獲得するだけのために、「これから長期に活躍できそうになってきた若手たち」を次々と放出させられたら、コーチとして、たまったものじゃない。



ボルチモアは、この「2013年7月の駆け込みトレード」の後、さらにマニー・マチャドジョナサン・スクープといった野手も失って、ネルソン・クルーズやクリス・デービスといったステロイド系打者に依存する姿が顕著になる。
ステロイドが疑われるマチャドはともかく、もし「2013年7月の駆け込みトレード」の失敗によって投手陣が崩壊することなく、ボルチモアがずっと優勝争いに常時加われるチームだったら、ジョナサン・スクープがチームに残ってくれる可能性があったかもしれない。


長い話になった。
かつてあれほど強いボルチモアの再建に熱心だったダン・デュケットは、これほど酷い成績に終わった2018年も、まったくといっていいほど何もしないまま、チームの惨状を放置した。
おそらくはこのシーズンが終わったらボルチモアを去って、どこかのチームに行く腹積もりじゃないかと想像する。酷い話だ。


もしブログ主の想像があまり間違っていないとしたら、だが、こんな悪い流れの中で監督をやらされていたバック・ショーウォルターには、責任はない。ぜひ来シーズンには違うチームで指揮をとってもらいたい。

damejima at 11:26

June 24, 2013

UCLA Bruins logoUCLA Bruins
NCAAランキング15位(Baseball)

Mississippi State Bulldogs logoMississippi State Bulldogs
NCAAランキング10位(Baseball)

2013カレッジ・ワールドシリーズの組み合わせが決まった。
Pac-12のUCLA Bruins(2度目の決勝出場)と、SEC(Southeastern Conference)のMississippi State Bulldogs(決勝は初出場)だ。どちらが勝っても初優勝となる。
2013 NCAA Baseball Tournament DI - NCAA.com

個人的には、ここ数年続いてきたカレッジベースボールにおける大西洋岸の隆盛から、西海岸カリフォルニアに野球の覇権を取り戻す意味で、是が非でもUCLAに勝ってもらいたい
参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年6月21日、今月末に決まる2011カレッジ・ワールドシリーズの行方と、近年のカレッジ・ベースボールの勢力地図の「大西洋岸シフト」。


UCLA Bruins

言うまでもなく、ジャッキー・ロビンソンの出身校。他に、チェイス・アトリー、「ブロンクス・ズー」の一員で、シアトルの打撃コーチだったクリス・チャンブリスジェフ・コーナイン、ミッチェル・レポートに名前のあるトロイ・グロースなどのMLBプレーヤーを輩出してきた。(via University of California, Los Angeles Baseball Players - Baseball-Reference.com
CWSでは1969年、1997年、2010年、2012年、2013年と、5度の出場歴があり、2012年にはランキング1位も記録していて、いつCWS優勝してもおかしくない状態にある。
2010年にはついに決勝に駒を進めたが、Ray Tunner率いるSouth Carolinaに敗れ、Runner-up(準優勝)に甘んじた。(South Carolinaは翌2011年も優勝、2012年にも準優勝 参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年4月25日、「2月のサウスカロライナ、父と息子のキャッチボール」。February in South Carolina, a father and his son played catch.

Jackie Robinson Stadium
Jackie Robinson Stadium
ホームグラウンドは、ロサンゼルスのJackie Robinson Stadium。1981年に出来たスタジアムだが、観客収容数が1820しかなく、カンファレンスで最も小さな球場。正直いって、ミシシッピ州立大学の立派なスタジアムとあまりにも対照的(苦笑)


Mississippi State

ボルチモアの監督バック・ショーウォルター、フィリーズのクローザー、ジョナサン・パペルボン、テキサスの一塁手ミッチ・モアランド、アトランタのポール・マホーラム、ステロイダーのラファエル・パルメイロ、などの出身校。(via Mississippi State University Baseball Players - Baseball-Reference.com
これまで9回のCWS出場歴があるが、一度も優勝経験はない。この「出場9回で優勝未経験」というのは、CWSの歴史上、5位の記録なだけに、今回は是が非でも優勝したいと思っているはず。

Dudy Noble Field, Polk-DeMent Stadium
Dudy Noble Field, Polk-DeMent Stadium
ホームグラウンドのDudy Noble Field, Polk-DeMent Stadium(ミシシッピ州スタークビル)は、NCAA屈指のスタジアムで、収容観客数15,000人を誇る。
かつて1989年の対フロリダ大学戦で14,991人を集めたことがあり、これはNCAAのシングルゲームでの観客動員レコードで、現在も破られていない。



UCLAは、2013カレッジ・ワールドシリーズで、LSU、North Carolina St.、North Carolinaと、ランキング上位の優勝候補を次々となぎ倒しての決勝進出だけに、組み合わせに恵まれてIndianaとOregon St.に勝っただけで決勝進出したMississippi St.より経験値は遥かに高いはず。
個人的に、UCLAの優勝は堅いと思っている。

チャンピオンシップ・シリーズは、6月24日・25日。
College World Series - Wikipedia, the free encyclopedia

damejima at 12:02

May 22, 2013

New York Yankees at Baltimore Orioles - May 20, 2013 | MLB.com Box

シーズンハイとなる11本ものヒットを打たれながらも、なんとか4失点に抑えたCCサバシア
6回をわずか3安打に抑えたが、そのうち2本がソロホームランで、先取点を許したフレディ・ガルシア

サバシアは6回1/3で102球もの球数を投げ、
ガルシアはわずか6回66球しか投げていない。

2人のヴェテランの好対照な投球内容だが、
どちらをより優れていると考えるかは、好みによる。
少なくとも味方の守備時間の長さにおいては、
ガルシアのほうが短いとは言える。


しかし、それぞれの投球数には、それぞれの意味がある。
ヤンキース監督ジョー・ジラルディは、いつもサバシアを我慢して我慢して使う。
他方、オリオールズ監督バック・ショーウォルターは、今のガルシアで「使えるところのみ」を切り取って、持ち味を最大限発揮させようとしている。


去年、「ヤンキースの先発ピッチャーは、6回または7回を4失点で終わる」と書いたことがあるわけだが、「最近の」サバシアは、いつ大量失点してもおかしくない。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2012年9月15日、ヤンキースが「3対6で負け」、「3対2で勝つ」理由。
というのも、サバシアのストレートの球威が失われてしまい、どうしても「変化球」に頼らざるをえなくなっているからだ。さらに悪いことに、かつて得意だった「右バッターのインコースにストンと決まって、見逃し三振をとるカーブ」も、どういうものか、投げきることができない。
だから今のサバシアの配球は、どうしても「外のスライダーか、シンカーばかり」になってしまう。このことは相手打線もわかってゲームに臨んでいるから、どうしても狙い打ちにあう。


かつてのボルチモアは、早打ち打線とジェレミー・ガスリー(今は移籍先で大復活)に代表される弱体な投手陣が特徴の大味なチームで、ア・リーグ東地区ではヤンキースやボストン、タンパベイといった上位チームにとっては「単なる、おいしいお客さん」でしかなかった。
だが、GMとして2000年代ボストンの黄金期を準備した本当の立役者ダン・デュケットがGMに、そしてチーム立て直しに定評のあるバック・ショーウォルターが監督になったことで、すっかり体質が変わり、いまやア・リーグ東地区のポストシーズン常連チームとなりかけている。
このゲームでも、ボルチモア打線は、明らかにサバシアのボールになる変化球をしっかり見極めつつ、アウトコースにストライクをとりにくる変化球に狙いを絞って、ヒット量産に成功している。さしものサバシアも、今はボルチモアの上位打線だけでなく、下位打線にも四苦八苦させられる。
ボルチモアはもう昔のような「お客さん」ではない。


他方、フレディ・ガルシア。
2004年6月までシアトルの主力投手だった彼だが、ヴェテランになってからは「つかまりそうで、つかまらない変化球投手」という持ち味の技巧派になり、たしか去年の中心球種は「スライダー」だったと記憶しているが、このゲームでの中心球種は「シンカー」で、そこに「スプリット」「カーブ」「スライダー」を適度に混ぜて、2本のソロホームランを除けば、ヤンキース打線に芯でとらえたバッティングをさせなかった。
ガルシアは、去年まで2シーズン、ヤンキースに在籍していたわだが、2012年オフにヤンキースは再契約を提示しなかった。というのも、2012シーズン終盤にヤンキースが地区優勝争いで、2位ボルチモアに激しく追い上げられて最悪に苦んだ時期、ガルシアはどうしても勝ちたいゲームで、ちょうど今サバシアがやっているのと同じように、「カウントを悪くして、苦しまぎれに外一杯のコースに置きにいった変化球を、狙い打たれてばかりいる」という悪循環を繰り返して、ボルチモアに追い上げを食らったシーズン最終盤にはとうとうローテーションから外されているからだ。

つまり、2012年終盤のガルシアは、「つかまりそうで、つかまらない」どころか、「つかまりそうで、予想通り、つかまってしまう投手」だったわけで、ヤンキースに残れなかったのは当然だった。

もちろん、ガルシアがアウトコース低めのスライダーばかり投げて打たれていたのには、当時のヤンキースのキャッチャー、ラッセル・マーティンがアウトコースのスライダーばかり使いたがって単調なサインを出していた、というのも大きく影響している。(だからこそ、ガルシア同様にマーティンにも再契約を打診しなかったのだと思う)
参考記事:Damejima's HARDBALL:2012年8月20日、アウトコースの球で逃げようとする癖がついてしまっているヤンキースバッテリー。不器用な打者が「腕を伸ばしたままフルスイングできるアウトコース」だけ待っているホワイトソックス。

しかし、今日のゲームのガルシアの変化球は、けして「アウトコースのスライダー」一辺倒ではない。シンカーこそ甘い球も多かったが、それでもスプリットやチェンジアップを含め、さまざまな変化球を、それもさまざまなコースに投げわけることで、ヤンキース打線に的を絞らせなかった。特に、ヤンキース2巡目以降に多投した「チェンジアップ」は効果的で、ほとんど誰もつかまえることができなかった。


2013年のガルシアは、一度サンディエゴとマイナー契約したが、スプリング・トレーニングが終わる3月末にリリースされてしまい、その後投手不足に悩むボルチモアにマイナー契約で拾われ、5月以降に4度先発している。そして、理由は知らないが、どの登板も70球程度しか投げていない。
だが、その「ボルチモアで、投球数を限定して使われているガルシア」は、WHIPが1.075と、近年では一番いい数字になっている。確かなことはわからないが、ガルシアの肩の衰えを承知した上で、フレディ・ガルシアのいいところだけを使おうという、バック・ショーウォルター流(あるいはリック・アデア流)のクレバーな選手起用のように思う。


それにしてもこのゲーム、
両チームの監督の選手起用の応酬が面白かった。

6回まで2-2ながら、サバシアの調子の悪さを見越したショーウォルターは、調子の良かったガルシアを6回で早めにマウンドから降ろし、7回からはリリーフをどんどん投入して、ゲーム終盤の勝ち逃げを図った。そして、かたやジラルディは、ランナーを出し続けて苦しむサバシアを7回まで引っ張ろうとした。

ショーウォルターの「継投」は、ガルシアが抑えていたライル・オーバーベイに勝ち越しホームラン(スコア3-2)を打たれ、ジラルディのサバシア「続投」は、サバシアが例によって例のごとしの単調なアウトコースの変化球を狙い打たれて連打され、逆転を許して失敗してしまう(スコア3-4)。
結果だけいうと、ショーウォルターの「継投」策も、ジラルディの「続投」策も、両方とも失敗ではあるが、形勢としては、ややボルチモアの狙う「勝ち逃げ」にやや分があった。


ジラルディは、それでも「我慢」を選んだ。
これが功を奏した。

というのも、1点差を追いかける8回表に、コロラドから来たばかりのショート、ブリニャックに代打バーノン・ウェルズを出したため、その裏、8回裏に、ウェルズがそのままレフト守備につかせるのと同時に、代打を出したショートの守備にジェイソン・ニックスを入れなければならなくなったわけだが、ここでジラルディは、このところ打撃いまひとつだったイチローの打順にニックスを入れて、外野を左からウェルズ、ガードナー、グランダーソンにするのではなくて、センターのガードナーをニックスと交代させ、外野をウェルズ、グランダーソン、イチローの3人にしたからだ。(だから、グランダーソンは慣れないライトではなく、長年慣れているセンターを守れた。ヤンキースの外野でダブついているのは、正確に言えば「外野手」ではなく、「センター」なのだ)


結果的に、このイチローをラインナップに残したジラルディの忍耐を貫く戦術が、延長10回表、先頭バッターのイチローのノーアウトからの二塁打と、その後の勝ち越しに繋がった。(もちろん、逆転を許した直後、今年チャンスに異常に強いクリス・デービスを敬遠して勝負を避け、今シーズンは打者としてそれほど怖くないマット・ウィータースとの勝負を選んだ采配も、なかなかだった)バーノン・ウェルズのタイムリーで生還するイチロー(20130519)


ジラルディの忍耐。
ショーウォルターの先読み。

両監督の戦術の応酬は、とても見ごたえがあった。ひさしぶりに野球というものの面白さを見せてくれた両軍監督に拍手を贈りたい。

damejima at 02:18

April 30, 2012

今シーズンのボルチモアがどう変わったのかについて書いた前記事に続き、こんどは、コロラドでは「防御率4点台後半の、パッとしない先発ピッチャー」でしかなかったジェイソン・ハメルが、ボルチモアでどう変わったのかについて、キャッチャーのマット・ウィータースと、ピッチングコーチのリック・アデア、そしてハメル本人の具体的なコメントを見てみる。


ポイントは3つ。

● かつて投げていたが、やめていた2シームを
  移籍後のスプリングトレーニングでモノにできた
● グラウンドボール・ピッチャーへの変身
● コーチ、投手、キャッチャーの意思疎通


以下は、ジェイソン・ハメルが4月初旬に8回までノーヒッターを続けたゲーム後のインタビューだ。
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
まず、キャッチャーのマット・ウィータースのコメント。
(原文より関係個所を抜粋。以下同様)
"In spring training, you could tell he had good stuff, but you are always constantly working on things. He did a great job of pitching to his strengths and getting a lot of groundballs. "
「スプリングトレーニングで、彼にいい持ち球があることはわかってたといっていいと思うけど、彼は絶えず努力もしてた。今日は彼の強みをより生かすピッチングができてたから、たくさんのゴロを打たせることができた。」


次に、ピッチングコーチのリック・アデア
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
Did you think the two-seamer would be a big factor for him when the club acquired him after the trade?
"Never thought about it because he threw some four-seamers that actually had two-seam action. With some other things he's done, he's got the ability to get on top of the ball a little easier now. Just going to the two-seamer, it worked out and he's pretty excited about it."
彼をトレードで獲得したとき、2シームが彼の活躍の大きなカギになると思いましたか?
「まるっきり思わなかった。彼は既に2シーム的な動きをする4シームも投げてたわけでね。彼にはもともと楽に2シームを使いこなせるだけの能力が備わってたんだ。だから2シーム使いになろうと決めるだけで、それを実現できたことに、彼はとても興奮してたね。」

What did you see that led you to think you could tweak some things with Hammel to improve his two-seamer?
"Probably the first thing I thought about is he reminded me a lot of Doug Fister. And some things that were done with Doug (when he was his pitching coach in Seattle in 2009-10). It's worked out pretty well with Fister until he pulled his oblique yesterday. But, yeah, they reminded me a lot of each other."
なんらかの調整によってハメルの2シームを改善できると思ったきっかけは何でしたか?
「たしか最初に思ったことというと、ハメルを見てダグ・フィスターを思い出したってことじゃなかったかな。(シアトルのピッチングコーチ時代の2009年から2010年にかけて)ダグとやってたことと似てるんだ。昨日フィスターは筋肉を傷めちゃったけど、彼の場合、かなりいい結果がでてるわけだしね。ハメルとフィスターには強い共通点を感じるよ。



で、これらのことについて、当のジェイソン・ハメルがどう言っているか。
Steve Melewski: Jason Hammel talks about his no-hit bid against Minnesota
"Two-seamer is something I just started using again in spring training. "
「2シームは、(移籍後の)スプリング・トレーニングからまた使い始めた球種なんだ。」
Battled through a couple of control problems for a little bit but the two-seamer helped me out a lot getting sinker, ground ball and quick outs. "
「(今日のピッチングは)コンロトールに若干問題があって苦労もしたけど、2シームが僕を助けてくれたから、低めに球を集めて、ゴロと早いカウントでうちとっていくピッチングができた」
"That is definitely the most of my career," Hammel said of the 16 ground outs."
16個のゴロアウトについて、「間違いなくキャリア最多だろうね」とハメルは言う。
"Just small, small adjustments I made with Rick in my windup and delivery. He said 'I bet you can throw a two-seamer now.' I told him I had pretty much put it in my back pocket in Colorado.
「ワインドアップと投球フォームについて僕が(投手コーチの)リックとやったことは、ちょっとした、そう、ほんのちょっとした調整にすぎなかった。リックが言うには『(こんな、ほんのちょっとの調整で)君は2シームをすぐに投げられるよ。保証する』って言うんだ。だから僕は彼に『(トレードされる前に所属していた)コロラドでは(2シームを)お尻のポケットにすっかりしまいこんでた、それだけさ』って言ったのさ」


上のコメントで特に印象深いのは、2つ。
ひとつは、ピッチングコーチのリック・アデアが、ジェイソン・ハメルのプライドを傷つけないように、むしろ、彼のプライドをくすぐるように配慮しながら、結果的には、ジェイソン・ハメルが自分で「あれは微調整だ」と思っている以上に、彼のピッチングスタイルを大きく改善・変更することに成功していること。
そして、かつて在籍していたシアトルでコーチしたダグ・フィスターの名前を挙げつつ、ジェイソン・ハメルのスプリングトレーニングでの成果について、「かつてダグ・フィスター(との間で成し遂げた成果)を、大いに思い起こさせるものがあった」と述べていることだ。


フィスターの大成がリック・アデアの功績だったかどうかについては、本人の努力や、クリフ・リーという「教師」の存在、デトロイトのコーチの貢献をさしおいて、「移籍先のデトロイトでのダグ・フィスターの活躍は、元はといえば、オレがシアトルで彼を育て上げていたからだ」といわんばかりの自慢話には、多少の違和感というか、我田引水的な贔屓の引き倒しを感じないでもないが、事実、シアトル時代にストレート一辺倒だったブランドン・モローのピッチングを改善しようと、モローにカーブをもっと投げさせようと提案したのは、ほかならぬリック・アデアだったことは、過去のシアトル地元記事からも事実だ。
だから、人によってリック・アデアの評価に差はあっても、ダグ・フィスターのピッチングの幅を広げるにあたってのリック・アデアの貢献を多少なりとも認めるとすれば、ジェイソン・ハメルとのコミュニケーションにおいても、リック・アデアらしいソフトなコミュニケーション能力が生きた、ということが言える。(だからといって、リック・アデアをコーチングの天才と崇めたいわけではない)


要は、普通に対策をして、普通に物事を改善していけば、中にはビックリするほど良化、開花できる素材がある、ということだ。シアトルのように単調な指導ばかりしていれば、どんな好素材も、いずれ役立たずになる。

damejima at 10:19
これまでこのブログで最も多くの記事を書いたシアトルとイチロー以外のチームや選手というと、たぶん、ロイ・ハラデイクリフ・リーが筆頭で、それ以外では、テキサスデレク・ホランドボルチモアバック・ショーウォルターあたりだろうと思う。


まだ4月で、そのうち息切れするとはいえ、ボルチモアが開幕ダッシュを決め、ア・リーグ東地区首位に立つとは誰も予想してなかっただろう(笑)

これまでのボルチモアといえば、早いカウントでの無造作で大振りなバッティング、エラーの多発する守備、ホームランを打たれてばかりの先発投手に象徴されるような、「大いに勢いはあるものの、結局のところ、どこまで行っても雑すぎる野球」だった。

だが、2010年にバック・ショーウォルターを監督に迎え、さらに翌2011年末には、元ボストンGMのダン・デュケットを3年契約でGMに迎えるなど、ボルチモアは着々とこれまでの大雑把過ぎたチーム体質の改善に着手してきた。
その効果は、ついにここにきて目に見える形として現れ始めており、ボルチモアは長年の課題だった投手陣再建にメドをつけつつある。


ボルチモアがチーム改革のために手をつけたポイントは多い。逆にいうと、ここまできちんと手を打たないと投手陣、ひいてはチームなんてものは生き返らないということでもある。

● GMと監督のテコ入れ
● 的確な選手評価のできるスカウト確保
● ピッチングコーチのテコ入れ
● トレードによる先発投手の入れ替え
● 投手の再教育による防御率改善
● キャッチャー、マット・ウィータースの成長
● 配球や持ち球の見直し コミュニケーションの改善
● グラウンドボールピッチャーの育成



GM ダン・デュケット
2011年11月〜
元ボストンGM。ボストンが2004年ワールドシリーズ制覇したチームの人材のほとんどが、このダン・デュケットの手がけた選手たちで、去年までボストンGMだったテオ・エプスタインの手腕など、ほとんど関係ないこと、そして「マネーボール」という映画のくだらなさ(笑)については、既に詳しく書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「デュケット」を含む記事


監督 バック・ショーウォルター
2010年7月〜
以下の記事参照。これまで何度も書いてきたので省略。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「バック・ショーウォルター」に関する記事


ピッチングコーチ
リック・アデア Rick Adair
2011年6月就任。
言うまでもなく、2008年から2010年までドン・ワカマツ監督時代の元シアトル・マリナーズのピッチング・コーチをつとめ、ダグ・フィスターブランドン・モロージェイソン・バルガスなどの育成に関わった。2011年以降はボルチモアでブルペンコーチをしていたが、前任者辞任のため昇格。
(ちなみに前任者Mark Connorは、2008年8月にテキサスのピッチングコーチをクビになり、その後就任したボルチモアのピッチングコーチも2011年6月辞任)
Mark Connor Resigns | Orioles pitching coach Mark Connor resigns - Baltimore Sun


talent evaluator
ダニー・ハース Danny Haas
2011年にボルチモアのGMになったダン・デュケットが、就任直後の12月に古巣ボストンから引き抜いてきた。元アトランタのファーム監督だった父親Eddie Haasも、talent evaluator。
この人材がその後のローテ投手のトレード成功にどの程度生きているのかは不明だが、少なくとも、今シーズンのボルチモアのローテーション・ピッチャーがこれまでとはひと味違うのは確か。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年12月20日、テオ・エプスタイン一派の「談合的人事」をバド・セリグが拒絶。それを尻目に、ボストンからスタッフを引き抜いた元ボストンGMダン・デュケットの抜け目なさ。


右腕 ジェイソン・ハメル
3勝0敗 ERA1.73
GO/AO 2.06
2012年2月にコロラド・ロッキーズからトレードで獲得。
放出したのは、2007年から2011年までボルチモアに在籍し、いちおうエース格だった「被ホームラン王」ジェレミー・ガスリー。ハメルの活躍を見るかぎり、コロラドのピッチングコーチはもしかすると無能なのかもしれない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月2日、3回という早いイニングで敬遠したバック・ショーウォルターの慎重な「イチロー対策」。ジェレミー・ガスリーの被ホームランの多さ。
ボルチモア移籍後のハメルは、.194の驚異的な被打率。前年2011年のWHIPが1.427と酷いのに対して、2012年のWHIPは、なんと1.000(4月28日現在)。この変身ぶりにはちょっと驚かされる。コロラド時代、QS%が60%を超えたことは一度もないが、ボルチモア移籍後はなんと75%。
この背景にあるのは、2シームを覚えたことによるグラウンドボール・ピッチャーへの転身
Jason Hammel Pitching Statistics and History - Baseball-Reference.com


左腕 チェン・ウェイン
2勝0敗 ERA2.22
GO/AO 0.50
日本の中日ドラゴンズからFA移籍。現状フライボール・ピッチャーなのが気になるし、1.315というWHIPも、ほめられた数字ではないが、それでも、ERA2.22にまとめてくるあたりが、かつて投手王国中日ドラゴンズの主力投手だった経験の豊かさを感じさせる。
もし故障で絶望の和田毅が、MLBで多少なりとも使えるピッチャーだったとしたら、今シーズンのボルチモアの先発投手陣は凄いことになっていたかもしれない。
Wei-Yin Chen Statistics and History - Baseball-Reference.com


正捕手 マット・ウィータース
打率.274 13打点 6ホームラン
2007年のドラフト1位。有望な素質に恵まれ、ベースボール・アメリカのマイナーリーグ年間最優秀選手賞を受賞。2009年5月29日にメジャー昇格したが、期待されたほどの活躍をしたとはいえなかった。
しかし、バック・ショーウォルター監督就任後の2011年は、守備面の大幅な改善、あるいは投手とのコミュニケーションの大きな改善がみられ、セイバー系のうるさ型が選ぶFielding Bible賞を、この賞常連のヤディア・モリーナを抑えて受賞。2012年は、もともと期待され続けてきた打撃面の開花も、可能性が見え始めている。


ここに挙げたボルチモア投手陣再建ポイントのうち、最も大きいと思うのは、「チーム全体のシステムが整ったこと」
もっと具体的にいえば

やたらとホームランを打たれまくり、ア・リーグの被ホームラン王ベスト3に入っていたジェレミー・ガスリーに見切りをつけたこと。

ガスリーとのトレードで誰を獲得するかについて、きちんとした目付け、発掘ができていること。

コロラドから獲得してきたWHIPもERAもけしてよくなかったジェイソン・ハメルを、きちんと再教育し、持ち球や配球を改善したこと。キャッチャーのマット・ウィータースも再教育して、投手とキャッチャーとの間の良いコミュニケーションをキープさせたこと。



こういう作業は、言葉で言うのは簡単だが、ボルチモアがそれを実現するためには、ここまで書いてきたように、目標の見直しと、かなりの数の人材の入れ替えと、再教育が必要。
ボルチモアがやっているのは、「大金かけて良い選手を獲得してくること」でも、「明らかな成績を残した若い選手を放出し、かわりに、欲しい選手を交換してくるような、わかりきったトレード」でもない。
そんなこと、誰でもできて当たり前だ。

「超守備的」だの「育成」だのと称して、貴重な先発投手を放出しまくるのだけが大好きな無能なGMが既に大失敗しているのにもかかわらず、それをクビにもせず、無能な腰ぎんちゃくの監督が、自分の連れてきたピッチングコーチと馴れ合った中途半端なゲームで、スカウティングもできないゲームばかりやって、ホームランを打たれまくり、1番打者が適任のレジェンドには3番を打たせる意味不明の起用を押し付けて3000本安打の大記録さえ故意に遠ざけるような異常なチームとは、ボルチモアは根本的に違う。

何を目的にしているのか、ボルチモアの「テコ入れ」には、周囲からも目指すものがわかりやすく見えている。
(この記事の続編で、リック・アデアやマット・ウィータースの証言から、「ジェイソン・ハメルが、コロラド時代とはどう変わったのか」を具体的に書く予定)

damejima at 09:25

December 21, 2011

以下のESPN Bostonの記事、最近書き続けている「数字野球批判」にもちょっと関係するし、日本の野球には存在しないタイプのエピソードだと思うので、後々のためにメモを残しておこう。
Source: Theo can't hire from Sox for 3 years - Boston Red Sox Blog - ESPN Boston


知ってのとおり、2011年シーズンの最後の最後に悲惨な3位陥落劇を演じたボストンを「クビになった」というか「抜け目なくカブスに脱出した」テオ・エプスタインだが、5年契約でカブスのプレジデント、つまり「GMより偉い立場」に抜擢された。

この、日本ではほとんど例のない「GMの他チーム移籍」については、どうもボストンとカブスの間で、「ボストン側が、FA選手獲得の場合と同じように、エプスタインの人的補償として、カブスからプロスペクトを獲得する」という合意が成立していたらしい。
この「ボストンのGMとプロスペクトの交換」についてESPN Bostonのローカル記事は、making a killing、「ボロ儲け」と表現して、不快感を露わにしている。
だが、この取引、「ボストン側だけが、ボロ儲けできる仕組み」だったわけではなくて、テオ・エプスタイン側もボストンから「自分の息のかかったスタッフ」をカブスにさらっていく合意をあらかじめ取り付けているという、ある種の「バーター取引」になっている。



つまり、要は「テオ・エプスタインのカブス移籍」には、もともとある種の「談合の空気」があったのである。
テオ・エプスタインは、カブス移籍にあたって、緊密な連絡をとりあっていた他チーム(レッドソックス、パドレス)の親しいGMやスタッフを、自分のカブス移籍にあわせて次々に引き抜いていった
例えば、パドレスからは、GMのジェド・ホイヤーを引き抜いてカブスのGMに就任させたばかりか、GM補佐のジェイソン・マクロードまで引き抜いた。(この引き抜きがご破算になるかどうかまでは、上の記事ではわからない)
またボストンからは、エリア・スカウトを務めていたMatt Doreyをカブスに引き抜いて、national cross-checker(=「分析責任者」とでも訳せばいいか)に抜擢しようとした。(この引き抜きはセリグの「待った」によってご破算になる)
加えて、ボストンの後任GMに決まったベン・チェリントンは、もともとボストンのGM補佐としてテオ・エプスタインの腹心の部下だった人物であり、また、なんとパドレスの後任GMのジョシュ・バーンズも、かつてテオ・エプスタインの部下だった経歴をもつ。


こうした、レッドソックス、パドレス、カブスの3チームをまたいで、ある種の「セイバーメトリクス関連の人物による、談合的、馴れ合い的、人材のやりとり」が生まれつつある空気は、MLBのチーム同士の健全な独立性を著しく損なう行為であり、ブログ主も常に不快に思っていた。(それは、シアトルでいうなら、ジャック・ズレンシックが、元いたミルウォーキーと当時の人脈から、まるで廃品回収業者のように、いらなくなった選手ばかりをシアトルに回収して貯め込んでいく背任行為に似ている)



しかし、新天地カブスに、息のかかった一味(いちみ)を集合させようともくろんだテオ・エプスタインと、エプスタインの談合的人事の流れに乗じてカブスからプロスペクトをタダでガメようとしたボストンとの間で合意されていた「談合的馴れ合い人事」は、MLBコミッショナーのバド・セリグによって「拒絶された」。それが上のESPNの記事の主旨だ。

結果、ボストンは「エプスタインのカブス移籍に関して、一切の人的補償を受けられない」ことになった。(ブログ注:記事に明確には書かれていないが、今後MLBで似た事案が発生すれば、同じ判断が下されることになるだろう)
また、エプスタイン側に対しては、「今後3年間に渡り、ボストンから一切の人材獲得を禁止する」という判断が下された。
Epstein, who this week hired an area scout from the Red Sox, Matt Dorey, and promoted him to national cross-checker, will be prohibited from adding anyone else from the Red Sox for a period of three years


正直、ザマミロ、である。


そんなゴタゴタをボストンとテオ・エプスタインが引きずっている間に、ボルチモアの編成責任者に就任した元ボストンGMのダン・デュケットは、ボストンのtalent evaluator(これもまぁ分析の専門家のひとつだが、日本語にしにくい)のDanny Haasを、ボルチモアに引き抜いた。ダン・デュケット、抜け目ない男である(笑) 
Danny Haasは、デュケットがボストンGMだった時代の1997年ドラフトで18巡目で指名してボストンに入団させた選手だが、Dannyの父親、Eddie Haasは、かつてアトランタ・ブレーブスのファームの監督を長くやった人物だが、ダン・デュケットがボストンGM時代に最も信頼していたtalent evaluatorだったらしく、親子2代でのスタッフ起用になる。
こうした思わぬ人材流出は、バド・セリグに思惑を封じられたボストンにとっては、もちろん痛手。そこも、ダン・デュケットにしてみれば、してやったり、だろう。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

damejima at 09:34

December 03, 2011

もともとシーズンオフのトレード騒ぎや噂話には、ほとんど興味がない。
春になってシーズンが始まったら、そのときにいる人間が誰かをチェックすれば、そのほうがよほど手っ取り早い。実現しもしない馬鹿なライターの飛ばし記事や、決まるかどうかもわからない噂話を毎日追っかけて貴重な時間をムダにするくらいなら、書きたいことは他に山ほどある。


ちょうど全く別の記事を準備していたところなのだが、ボルチモアの編成責任者(日本のスポーツ紙などはGMと呼称しているが、実際の肩書はExecutive Vice-President of Baseball Operationsで、GMではない。だが、実権の内容からGMとして扱われる、というのは、MLBではよくある。日本の記者もそういうことには慣れているので、めんどくさいからGMと呼んでいるわけだ)に就任した元ボストンGMのダン・デュケットによるテキサスの若いキャッチャー、テイラー・ティーガーデン獲得のニュースを聞いた。(テキサスGMジョン・ダニエルズのトレード後のコメントでは、ティーガーデンには数チームが関心を寄せていた、とのこと)
どうやら、ティーガーデンはマット・ウィータースのバックアップをつとめることになるらしい。まさかこの2人がチームメイトになるとはねぇ。さすがにこれはメモを残さねば。

ちょっと興味深いニュースだ。ブログの性格上、キャッチャーに関する話題を多く扱ってきたこともあるし、この2人、所属地区は違うが、デビュー以来ずっと出世を競いあってきた同世代のキャッチャーでもある。
Rangers send catcher Taylor Teagarden to Orioles for right-hander | Texas Rangers | Texas Ran...


この2人がデビューした2008年〜2009年頃は、まだシアトルが「城島問題」の渦中にあった時代だったから、この2人のキャッチャーのことも何度か触れた記憶がある。
テキサス大学出身で、2005カレッジ・ワールドシリーズ優勝経験をもつテイラー・ティーガーデンは、同世代に有名キャッチャーの揃った1983年生まれで、出身地テキサスの地元プレーヤーとして2008年7月デビューした。
大西洋岸のジャスティン・スモークと同じ高校の出身で、ACCで主に打撃面で有名だったマット・ウィータースは、1986年生まれで、2009年5月デビュー。
ティーガーデンはウィータースより3つ年上だが、デビューは1年しか違わない。ティーガーデンは、例の「1983年世代」に属している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「1983年世代」、MLBキャッチャー世代論
1982年生まれ
ヤディア・モリーナ

1983年生まれ
ジョー・マウアーカートスズキラッセル・マーティンジェフ・マシステイラー・ティーガーデンロブ・ジョンソンミゲル・モンテーロクリス・アイアネッタ

1984年生まれ
ブライアン・マッキャン


この2人の若いキャッチャーは、かつてのジェフ・クレメントと同じように、少なくとも地元ファンからはずっと次世代のメインキャッチャーと期待され、チームに大事に育てられてきた。
2008年当時のテキサス地元記事:Baseball Time in Arlington: A Texas Rangers Blog - Home - The BBTiA Top 25 Prospect Rankings: Fall '08 Edition
(それにしても、2008年のテキサスのプロスペクトは壮観のひとこと。当時のプロスペクトのうち、今もテキサスに残っているのは、デレク・ホランドネフタリ・フェリースエルビス・アンドラスミッチ・モアランドなど。そしてトレードで出したのは、トミー・ハンター、ジャスティン・スモーク、ブレイク・ビーバンなど。
テキサスがこの数年でチームに残した若手のその後の活躍ぶりとワールドシリーズ進出、そして、トレードで外に出した若手の「その後」を比較すれば、テキサスが、将来に期待できる若手はけしてトレードせず、チームに残してゲームで使いつつ手塩にかけて育ててきた育成方針の確かさと、難のある選手を思い切りよく切ってきたトレード巧者ぶりは一目瞭然。ジョン・ダニエルズと、無能なジャック・ズレンシックでは、役者が違いすぎる)

両者のデビュー当時の評価は、最初から大差があったわけではない。むしろ、カレッジ・ワールドシリーズ優勝経験をもつだけに、ティーガーデンのほうが高評価だった気がする。(これにはティーガーデンのメジャー初ヒットがホームランで、多少華々しかったせいもある。2008年7月20日ミネソタのスコット・ベイカーから)
一方のウィータースは、かつて日本のMLBファンから「多少打てるけれども、守るほうはまるでたいしたことない。トータルにみれば非常に平凡なキャッチャー」と、もっぱら思われてきた。
同世代のキャッチャーには、ジョー・マウアーやヤディア・モリーナ、ブライアン・マッキャンがいて、彼らは既にオールスターにファン投票で選出されるほどのスターであり、MLBを代表するキャッチャーになっているわけだが、彼らに比べると、ウィータースとティーガーデンの2人は「出世の遅れたキャッチャー」だったわけだ。
実際、デビュー後1年か2年が経つ頃には、両者とも「たいして打てないし、守りもたいしたことはない」という低評価しか与えられなくなっていた。

だが、結果的に言うと、2011シーズンに年の若いウィータースのほうが急速な変身を遂げ、年上のティーガーデンを大きく抜き去った。
2011シーズンは139ゲームに出場し、ホームラン22本、打率.278で、一時は打率が3割に迫っていた。最近ジョー・マウアーが故障だらけになったこともあって、オールスターにも初選出。また、従来たいしたことがないと思われていた守備面でも、2011年にFielding Bible賞とゴールドグラブを同時初受賞した。
特に、Fielding Bible賞受賞は、MLB全体でたったひとりしか選ばれない賞であることと、例年この賞の常連になっている典型的な守備型キャッチャーで、ワールドシリーズ優勝のヤディア・モリーナを抑えての初受賞だから非常に価値が高いし、ゴールドグラブとの同時受賞にも意味がある。


MLBでのウィータースの評価が非常に高まったことは、いくら彼を評価してこなかったボンクラな日本のファンでも理解できるようになったことだろうが(笑)、むしろそんなどうでもいいことより、気になるのは、元ボストンGMで、2000年代の強いボストンを実質的に用意した、あの慧眼のダン・デュケットが、ボルチモアでの初仕事として、攻守に成長著しいウィータースのバックアップに、トレード巧者のテキサスが見限ったテイラー・ティーガーデンを選んだことの「意味」だ。
ダン・デュケット(あるいは、元テキサス監督で、ティーガーデンをデビュー時からよく知るショーウォルター)にいわせると、「ティーガーデンにはまだまだ伸びしろがある」ということなのか? もしくは、守備の評価は良くなかったマット・ウィータースの開花に成功したボルチモアには、よほど有能なキャッチャー育成スタッフが揃っているのか。 この点が非常に気になる。

バーズに詳しいボルチモアのローカルサイトも、ボルチモアのキャッチャーの陣容は常に「若いウィータースに、ベテランのバックアップをつけるというパターン」だったのが、今回、若いティーガーデンを控えにしたということに驚いている。ボルチモアのファンにしても、ちょっと意外なトレードだったらしい。
O's trade for Teagarden


ボルチモアというチームが面白いなと思うのは、明らかにセイバー的な手法に染まりきっている今のボストンやタンパベイといった同地区のチームと一線を引いているように見えるところだ。
例えば打線は、まるっきり待球せず、初球からガンガン打ってくる。これは待球を奨励して、やたらと四球を増やしたがるボストン、タンパベイにはない非常に大きな特徴で、ボルチモアはヴェテラン監督ショーウォルター就任後も、これを変えようとしていない。

ボルチモアの監督が、「ちょっと前」のヤンキースやテキサスの監督だったバック・ショーウォルター、そしてGMが、「ちょっと前」のボストンのGMだったダン・デュケットと、「ちょっと前の野球」を築いたコンビになったところをみても、ボルチモアにはどこか「ウチは、近年のボストンやタンパベイとは、『ちょっと違う野球』をやりたい」という強い意思を感じるのが、非常に面白いのである。

バーズには是非、セイバー的な手法に染まりきったチームとはまったく別の方向性の野球を目指してもらいたい。



それにしても、ア・リーグ西地区の来シーズンのキャッチャーは面白い。テキサスだけが着々とチームに手を入れ続けて、戦力アップをはかっている(笑)
テキサスは、とうとう若いティーガーデンに見切りをつけ(トレードの見返りは投手)、元LAAのマイク・ナポリと、元シアトル・元コロラドのヨービット・トレアルバの、2人のワールドシリーズ経験者。たぶんノーラン・ライアンは、来シーズンもポストシーズン進出は固いと思っているのだろう。
ジェフ・マシスに賭けて失敗したエンゼルスのマイク・ソーシアは、来シーズンどうするつもりなのだろうか。
シアトルは、先日タンバベイが放り出した若いジョン・ジェイソを獲得したが、無能なロジャー・ハンセンに育てられるわけはない。そのタンパベイは、というと、さっそくトロントからFAになっていたベテランのホセ・モリーナを獲得した。たぶんタンパベイはまったく予定通りの行動だったのだろう。いつもどおり無能なズレンシックは、ここでもタンパベイの廃品回収を行う無能ぶりを発揮した(笑)
オークランドは、カート・スズキで変わりなし。なんの変化も見えない。

damejima at 09:14

November 09, 2011

2002年に新しいオーナーの決めた新しいGMとして、弱冠20代のテオ・エプスタインがやってくる前に、1994年から2002年までボストンGMだったダン・デュケットが、ボルチモアの編成責任者として3年契約したらしい。
なんで今ごろこんな映画をやるのか、まるで意味がわからない「マネーボール」とやら(笑)が日本で封切りになることでもあるし、色褪せつつあるビル・ジェームスやボストンのこの10年間の足跡の「過大評価」を、もうちょっとマトモに、というか、大きく下方修正する良い機会だろう。


テオ・エプスタインは最近ボストンのGMから、5年契約でシカゴ・カブスのGMに就任したばかりだが、彼のwikiには、誰が書いたのか知らないが(笑)、こんなことが書かれている。
レッドソックスは客観的データに基づく統計学であるセイバーメトリクスを重視する方針を打ち出し、セイバーメトリクスの産みの親であるビル・ジェームスをアドバイザーとして招聘する。この結果、2003年にはメジャーチーム最高得点を叩き出し、チーム長打率4割8分9厘はブロンクス・ボンバーズと恐れられた1927年のヤンキース打線を上回る結果となった。
2004年のシーズン中にはチームの人気者であったノマー・ガルシアパーラ遊撃手を放出してまで守備力、走塁力の強化に力を入れ、周囲から大変な非難を浴びた。しかし、結果的にはこのトレードで獲得したオルランド・カブレラ遊撃手、ダグ・ミントケイビッチ一塁手、デイブ・ロバーツ外野手はチーム86年ぶりのワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。この成果からボストンでは一躍人気者となった。


これだけを読むと、あたかも「テオ・エプスタインとビル・ジェームスが敏腕だったために、素晴らしい選手が集結し、それで2004年ワールドシリーズを制覇できた」と言わんばかりの持ち上げぶりだが(笑)、いやはや、馬鹿馬鹿しい(笑)


そもそも、上の引用文中で名前を挙げられているカブレラ以下の3選手は、ワールドシリーズ制覇した2004年シーズンに50ゲーム前後しか出場してないわけで、控え選手の彼らのおかげで優勝できた、などという記述は、明らかに妄言。言い過ぎ。ウソ八百。守備要員として彼らを獲得したのかなにか知らないが、出塁率にやたらとうるさいセイバー球団にしては、この3選手、出塁率もまるでたいしたことがない。
だいたい、そもそもこれらの控え選手を獲得できたのは、ボストン側に交換ピースとして、ダン・デュケットがボストンGMに就任した94年のドラフトで1位指名したノマー・ガルシアパーラがいたからにすぎない。

同じような話は他にもある。
ボストンがフロリダ・マーリンズから、現在も主力先発投手のひとりであるジョシュ・ベケットと、サードの名手マイク・ローウェルを獲得できたのも、ダン・デュケット時代の2000年に国際FAで獲得したハンリー・ラミレスという交換ピースが手元にあったからだ。
ハンリー・ラミレス獲得については当時、相場に合わない高額すぎる契約としてデュケット批判を招き、デュケットをクビにする理由のひとつにされてしまうわけだが、あらためて振り返れば、結果的にハンリー・ラミレスと交換にベケットとローウェルを手に入れ、2000年代の10年を戦っていく骨組みを作るコストだったと思えば、ムダ金使いやがってという当時の批判は、今となっては的はずれだ。


まぁ、言いたいのはつまり、2004年のワールドシリーズ制覇はじめ、2000年代のボストンで「最も太い基本骨格として投打に機能した選手たち」の大半は「ダン・デュケット時代に獲得した選手」であること、そして、その「太い基本骨格」の肉付けとなった控え選手でさえ、デュケット時代の有名プレーヤーを交換ピースに獲得して成立したチームなのだから、「テオ・エプスタインの手腕など、2004年のワールドシリーズ制覇とほとんど関係ない」ということだ。
2004 Boston Red Sox Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com
「太い骨格」となった主力選手は、投手で言えば、ペドロ・マルチネス(97年モントリオールから獲得)、ティム・ウェイクフィールド(95年ピッツバーグから獲得)、デレク・ロウ(97年シアトルから獲得)。(エースのカート・シリング獲得にしても、交換ピースになったのはケイシー・フォッサムホルヘ・デラロサといったデュケット時代に獲得していた投手たちである)
野手でいえば、ジェイソン・バリテック(97年シアトルから獲得)、マニー・ラミレス(2001年FAで獲得)、ジョニー・デーモン(2001年FAで獲得)、ケビン・ユーキリス(2001年ドラフト)。(他にも、デュケット時代の獲得野手は、アダム・エベレット、デビッド・エクスタインなどがいる)
こうして名前を並べていけば、2007年に松坂大輔投手がボストンに入団したあたりで、日本で広く知られるようになり人気も出たボストンの投打のヒーローたちの大半は、ダン・デュケット時代末期の2000年代初期には既にピースとして出そろっていて、そこに後からドラフト組のペドロイアエルズベリーバックホルツなどが加わっただけだという、ボストンの近年の「選手構造」が一目瞭然にわかるはず。
テオ・エプスタインとビル・ジェームスはダン・デュケット時代に蓄えられていた遺産を継承し食い潰しただけ、と整理したほうが、よほど脳内がスッキリする。


2011年シーズン終盤のポストシーズン進出失敗の歴史的大失態があって、テオ・エプスタインとテリー・フランコーナがボストンを去ったのをいい機会に、この2人、特にエプスタインの業績については、シカゴ・カブスがエプスタインの何をどう評価して5年もの長期契約を与えたのか知らないが、評価を大きく下方修正するのが妥当というものだ。
エプスタインになってからのトレードといえば、ミッチェル報告でステロイダーとして名指しされたのがわかっていたはずのエリック・ガニエ獲得のために、デビッド・マーフィーなどをテキサスに手放したことなどは十分すぎる汚点といってよく、デビッド・オルティーズの薬物使用に関する処分の甘さ軽さといい、どうもボストンはステロイドに寛容すぎるきらいがあるのがどうも好きになれない。
他に、エドガー・レンテリア、フリオ・ルーゴ、松坂、J.D. ドリュー、マイク・キャメロン、ジョン・ラッキー(2011オフにTJ手術予定)、カール・クロフォード。エプスタインがGMとして獲得してきたFA選手は地雷だらけ(笑)


マネーボール」という映画にしても、既に知られているように、この映画の企画が最初に持ち上がってから紆余曲折がありすぎたことが原因で、とっくに旬が過ぎている。映画として封切られるまでに「マネーボール」という話題そのものの賞味期限が終わってしまっているのは明らかだ。
ブラッド・ピット自体は大好きな俳優のひとりで、「ファイトクラブ」なんてのはマジにお気に入りの1本だが、こと野球に関しては安易に譲るわけにはいかない。野球をほとんど知らないとか、興味がないとか公言する映画監督と主演俳優が、旬の過ぎた題材を映画にしたとしても、ブログ主はまったく関心が湧かない。

知らんがな。古臭い。
とだけ、言わせてもらおう。


むしろ今の今、ボストンとマネーボール(さらにオークランドのビリー・ビーンも含めて)に関して、最もリアルでコンテンポラリーなアプローチと言えるのは、「セイバーの再評価」だろう。今のヨーロッパの財政危機における国債の格付けの変動になぞらえていうなら、セイバーの評価の「格下げ」、「ダウングレード」だ。



damejima at 11:57

June 03, 2011

5月31日のボルチモア戦3回表に、ボルチモアの監督バック・ショーウォルターが2死2塁の場面でイチローを敬遠したとき、イチローの熱心なファンであるブログ主ですら、正直いって「いくら元テキサスの監督でイチローをよく知っているからといっても、3回という早いイニングで、敬遠? いくらなんでも警戒しすぎでしょうに」などと、思ったものだ。

だが。
試合結果からいうと、
正しかったのは、MLB監督として最優秀監督賞も受賞しているショーウォルターで、浅はかなブログ主ではなかった。


試合後にショーウォルターはこんな風にゲームを振り返った。
“It’s the type of game where you look back on the opportunities you had, and just realize there was no margin for error,”
Where were you? Mariners stun Orioles before record-low crowd | Seattle Mariners blog - seattlepi.com
「あとから振り返ってみると、ああ、今日のゲームはわずかなミスすら許されない、そんなゲームだったとわかることって、あるものだ。
でもね。後からわかって後悔してるんじゃ、遅いんだ。そこの甘ちゃんなキミ、わかってるのかい?」
と、ショーウォルターは厳しく言ってのけているわけだ。

実際、このところバットの湿ってきたジャスティン・スモークの劇的な逆転3ランで決まったこのゲームについて書かれたボルチモア側の記事で、トップに掲げられている動画は、スモークの3ランのシーンではなくて、イチローの出塁なのである。
このなにげない出塁がいかにゲームを動かしたか?を知っているのは、スモークのホームランで浮かれているシアトルのメディアでも、試合の機微をまるで伝えようとしない日本のメディアでもなくて、対戦相手のボルチモア側なのだ。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - May 31, 2011 | MLB.com BAL Recap

Orioles Insider: Error dooms Orioles in eighth - Baltimore Orioles: Schedule, news, analysis and opinion on baseball at Camden Yards - baltimoresun.com
"Quick runner. You have to get rid of the ball," Scott said. "That’s a tough play to make as a pitcher because he’s running, focusing on the throw and then he’s got to touch the bag at the same time. ... I just tried to get it to him as fast as I could. It was a tough play. Jeremy is very athletic. He's made plays, he’s made tremendous plays before. I led him maybe two or three inches too far."

(「俊足のランナーだしね・・・」と、イチローの足を意識するあまりのエラーだったことを認めるルーク・スコットのコメント)


ボルチモアのセットアッパー、上原投手も最近始めたというツイッター上でこんな風に言っている。
「負けるとキツいって思うけど、今日のは更にキツいと感じる負けやわ。ガスリーが頑張ってたんやけど、一つのプレーで流れが変わってしまったよね。野球って難しいσ(^_^;) その流れを変えたのは、イチローさんの足だと思う。速いっていいよなぁ(^^;; 」

https://twitter.com/#!/TeamUehara

ガスリー自身のツイートはこんな感じ。
「自責点ゼロで、負けちゃうんだからねぇ・・・(野球はむつかしいよ)」とでもいうところで、凹んでいた。
Accomplished something difficult tonight. Pitched a complete game allowing 0 ER & lost. #SweetFace

https://twitter.com/#!/jguthrie46
だが、6月2日のツイートでは、It is a brisk morning in Seattle. Still tough a loss to swallow but gonna 'recharge' & be ready next start. と気持ちを切り替えているから、ご安心を。


これはもう、3回表なのにイチローを敬遠したショーウォルターの見識に対して、謝るしかない。ごめんなさい。
Baltimore Orioles at Seattle Mariners - May 31, 2011 | MLB.com Classic


ここからは余談だ。

8回裏のイチローの出塁にからむボルチモアのプレーヤーは3人いる。ピッチャーのジェレミー・ガスリー、この日筋肉の張りからゲームを休んだ本来の1塁手で、過去に3回ゴールドグラバーになっているデレク・リー、この日の臨時の1塁手ルーク・スコット
あのエラーについて、ショーウォルターは「ガスリーは毎年ゴールドグラブの候補に挙がるくらい守備はうまいのだから」とガスリーの守備の良さを認めていることを示した上で、ルーク・スコットの送球があの場面では強すぎたと、ガスリーの肩を持った。


ジェレミー・ガスリーは、母親が日本語を話さない日系3世の日系4世カート・スズキはマウイ島出身だが、ガスリーはオアフ島のホノルル出身。好物は母親が作ってくれるエビの天ぷらで、食べるのはもっぱら白米。(といって、ガスリーがアメリカ人ぽくないわけではなく、バック・ストリート・ボーイズに心酔する、ごく普通のアメリカ人でもある)
asahi.com(朝日新聞社):信頼集める「ど根性」 ジェレミー・ガスリー(オリオールズ) - スポーツ人物館 日系大リーガー編 - スポーツ
Japanese-Americans (Nisei and Sansei, Yonsei and Happa) playing (or played) in the Major League Baseball
Jeremy Guthrie Statistics and History - Baseball-Reference.com

ジェレミーは、最初ブリガムヤング大学の所属だったが、後に野球のさかんなスタンフォード大学に移って、そこでエースになった。
2001年のカレッジ・ワールドシリーズでは、Pac-10カンファレンスの代表として決勝にまで行ったが、そこで残念ながら、マイアミ大学に1-12と惨敗している。
2001 College World Series - Wikipedia, the free encyclopedia
2002年のドラフトでクリーブランドに1位指名(全体22位)されて入団したが、クリーブランドでは芽が出ず、DFAされてウェーバーにかかって、2007年1月27日にボルチモアに拾われた。
1st Round of the 2002 MLB June Amateur Draft - Baseball-Reference.com
ちなみに、いまシアトルでピッチング・コーチをしているCarl Willisは、2003年から2009年までクリーブランドのピッチング・コーチだったから、ジェレミー・ガスリーのことはよく知っているはず。また、いまガスリーのいるボルチモアのブルペン・コーチは、去年までシアトルのピッチング・コーチだったRick Adair

ボルチモアに移籍してからのジェレミーは、よほど水があったのか、2007年にいきなりWHIPランキング9位の1.209を記録してブレイク。とうとうメジャー定着を果たした。
オリオール

2009年の第2回WBCでは、アメリカ代表のになり、3月11日の第1ラウンド・ベネズエラ戦ではセットアッパーとして、第2ラウンド3月18日のベネズエラ戦では先発投手として登板したが、いずれも負け投手になっている。
2001年カレッジ・ワールドシリーズ決勝といい、どういうわけか、ガスリーは大きなゲームに縁がない。
2009 ワールド・ベースボール・クラシック 2組 - Wikipedia

実力がないわけではない。
いや、むしろ、素質も実力もある。だが負けてしまう。
なぜなのだろう?

今年の防御率は3.24だが、それで2勝7敗では、ちょっと気の毒だ。BB/9、つまり9イニングあたりの四球率などは、この記事を書いている時点で1.320、ア・リーグ1位と、素晴らしい数字を残してもいる。
キーマン、イチローの出塁を許したルーク・スコットのエラーで負けたようなシアトル戦の内容も、実に素晴らしいものだったが、それでも逆転3ランを打たれ負けてしまうあたりに、ガスリー独特の「運の無さ」がある。

ツキの無い原因。
よくわからないが、ホームランかもしれない。
ガスリーは2009年にア・リーグ1位の17敗しているわけだが、その原因のひとつが被ホームランの多さ。2009年の35本はア・リーグ1位で、それ以降も被ホームラン数はずっと多いまま。
たぶん、よほど負けん気の強いピッチャーなのだろうと思う。


ガスリーのキャリアを追っていくと、野球選手がもつべき「目に見えない何か」、野球選手が翻弄される「目に見えない何か」というものの不思議さを感じる。
ガスリーと同じ日系アメリカ人であるブランドン・リーグについて、日系だからといって容赦することなく日頃厳しいことばかり書いているブログ主だが、ジェレミー・ガスリーについても、日系だから応援するという気持ちからではなく (そういう贔屓は、あまり好きではない)、せっかくもって生まれた才能をもっと上手に生かす道さえ見つかれば、もっともっと大成できる優れたプレーヤーなのに、もったいない、という意味で、応援したくなる選手ではある。


才能はある。
あるのに、負けてしまう選手が星の数ほどいる。
本当に野球は難しい。

10何年も負けないでやってこれたイチロー。
天才でないわけがない。

どういうわけで、ガスリー登板試合に限って3度ゴールドグラブを獲得してもいるデレク・リーが休みで、ルーク・スコットが1塁にいるのか。そういうときに、イチローの打球がそこに転がるのか。
「負ける」という現象が、どこで、どういう風に起きるのか。
バック・ショーウォルターが、ゲームがまだスコアレスなのにイチローを警戒したのはたぶん、「何かもっている選手に、何も仕事させないままゲームを終われるようにすることが、自分の仕事」と心得ているからだが、それでも「何かもっている選手」は、それすら乗り越えて仕事してしまう。

才気と才気が、なんの遠慮もなくぶつかりあうMLB。
厳しく激しい斬り合いの、サムライ世界である。






damejima at 02:44

September 21, 2010

ルパン・上原のもみあげ「なんじゃ、このおかしなモミアゲ・・・・」と最初は思っていても、軽く打者をひねる名クローザーぶりを見続けているうちに、いつのまにか「もしかすると、これ・・カッコええんちゃうか・・・?」と思えてくる魔法のモミアゲ、"ルパン"上原(笑)
いま日本人で最もブサ・カッコいいメジャー・リーガーだ(笑)
ルパン三世


いまや、ア・リーグ東地区最強チームに化けてしまったボルチモアが、今日も松坂先発のア・リーグ3位ボストンを軽くひねりつぶした。ルパン・上原も、快調にセーブを稼いだ。
Baltimore Orioles at Boston Red Sox - September 20, 2010 | MLB.com Gameday


シアトル在籍時に、クリフ・リージェイソン・バルガスにアドバイスしたことのひとつは「テンポよく投げろ。打者に考える時間を与えるな」だった。
では、「テンポよく投げる」ためには、どうしたらいいか。その答えが今日のボルチモア戦の上原のピッチングにある。

コントロールの良さ」、である。(あとは少しばかりの度胸)


いま絶好調の上原は「テンポが速い」。
一方で、毎試合四球を連発し、チンタラチンタラ4失点以上を続ける松坂は「とてもメジャーの投手とは思えないほど、テンポが遅い」。
では、松坂に「テンポを上げなさい」と言葉で言って、テンポを速くできるか? できるわけがない。
それはそうだ。コントロールの悪い松坂がテンポよくボール球ばかり投げたのでは、あっという間に満塁になってしまう(笑)


「テンポよく投球して、打者がなぜ打ち取れるのか」といえば、「ストライクが入る」「球にキレがあって、打者がまともにハードヒットできない」「ピッチャーとキャッチャーの呼吸があっている」など、いろいろ前提が必要だが、最も大事なのは「投手のコントロールがいいこと」だということを、今日の上原は非常にわかりやすく教えてくれた。


クリフ・リーも、何度もこのブログに書いているように、「異常にストライク率の高いピッチャー」であり、もちろんコントロールがいい。だからこそ、彼はテンポのいいピッチングをできる。
ストレートがそれほど早いわけではないクリフ・リーのコントロールが松坂並みだったら、とてもサイ・ヤング賞投手にはなれなかった。(注:腰痛が治ってきた彼のストレートはかなりスピードアップしている)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月7日、クリフ・リー、シアトルが苦手とするアーリントンのテキサス戦で貫禄の107球無四球完投、4勝目。フィギンズの打順降格で、次に着手すべきなのは「監督ワカマツの解雇」

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月23日、クリフ・リー「鳥肌モノ」の115球、4試合連続無四球で6勝目。「ストレートのかわりにカットボールでカウントを作って、変化球で仕留める」クリフ・リーの「東地区っぽいピッチング・スタイル」は、実は、2010年シアトルモデル。






damejima at 11:48

September 13, 2010

今年初めてタンパベイとの対戦を勝ち越し、さらに記念すべきヤンキースタジアムでの敵地スイープをもうすこしで達成しそうになった絶好調ボルチモアは、デトロイトのコメリカ・パークで、ビジターとして2006年ア・リーグ新人王ジャスティン・バーランダー先発のタイガースと対戦し、デトロイトの敵地スイープにチャレンジ中。

ボルチモアの先発は、ベダードとのトレードでアダム・ジョーンズとか、ジョージ・シェリルと一緒に移籍していったライトハンダー、クリス・ティルマンなんだが、これが、デトロイト打線を7回2アウトまで、たったブランドン・インジの1安打に抑える好投をみせている。三振は4つしかないが、そのうち2つは、あのア・リーグ三冠王候補筆頭のミゲル・カブレラなのだから価値が高い。

四球が多すぎるのはいただけないが、頑張れティルマン。
(四球多発の原因は、今日ウィータースのかわりにマスクをかぶったフォックスが、打者を追い込んでからのシチュエーションで無駄なボール球のサインを出しすぎるせいかもしれない、とみている。フォックスのサインはどうも単調すぎる)

結局、107球投げて、7回無失点のまま、勝ち投手の権利をもって降板。1安打無失点は素晴らしいが、58ストライク、ストライク率54.2%ではあまりにも少ない。次回登板へ課題が残った。
Baltimore Orioles at Detroit Tigers - September 12, 2010 | MLB.com Gameday

クリス・ティルマンの今シーズンのゲームログ
Chris Tillman Game Log | orioles.com: Stats


クリス・ティルマンは、最近好調のブライアン・マットゥースや、ブラッド・バーゲセン(彼も、スプリング・トレーニングの時期に、チームのCM撮影中にウオームアップが足りずに投げて、肩を痛め、開幕に出遅れた)とともに今年ローテ確実なんて言われながら、ソファでうたた寝をしていて首を寝違えたとかいう、つまらない理由で開幕に出遅れていた。
しかし、4月にマイナーでノーヒット・ノーランを達成したりなどして、メジャーでの活躍がチームからもファンからも心待ちにされていた。

いやー。もう、ね。
ボルチモアの若手投手、全開モードになってきた。

やばいね。やばい。ピエは盗塁するわ、フォックスはトリプル打つわ。
これは数年後にボルチモア全盛期、来るかもしれないな。

(と、思ってたら、8回裏にセットアッパーがやらかした。ミゲル・カブレラに3点タイムリー打たれ、インジには2ラン打たれ。気の弱いやつらだ 苦笑。やっぱり敵地スイープ達成寸前の緊張があんのかね? もしくはデーゲームのカード最終戦はキャッチャー変わるから、それがいけないのかもしれない。バック・ショーウォルターを新監督に迎えてから、「投手がやたらと打者に対してビビる『ボルチモア病』」はすっかり影をひそめていたのに、今日のセットアッパーには『ボルチモア病』が再発していた。)






damejima at 03:40

September 11, 2010

うーん。困ったなぁ(笑)どうしよか(笑)
これ、とてもいい記事なんだ。ショーウォルターに関して、ここを読みたかったっていう部分が書かれてる。

でも、さ。書いたのが、
「例の」ピーター・ギャモンズじいさんなんだわ。
まぁ、だから人に読むのは是非すすめたいんだけど、ちょっと心情的には「困ったな」と(笑)思うわけ。彼のことは別に持ち上げたくないが、この記事自体は読んでほしい記事なわけね。
Buck making young Orioles believe again | orioles.com: News


ピーター・ギャモンズは、ついこのあいだツイッターで「イチローがボビー・バレンタインをマリナーズ次期監督に就任させるようにオーナーに要請した」たらなんたら、嘘八百を書いて、イチローを超激怒させた、まさに、その人なわけでねぇ(苦笑)

ギャモンズじいさんは、元はボストン・グローブの新聞記者からキャリア始めて、今ではアメリカのWikiにも長々と経歴が紹介されるほどのアメリカの超有名スポーツ記者のひとりで、1945年生まれの65歳。Peter Gammons - Wikipedia, the free encyclopedia
あの日本野球史上の偉人イチローをもってして「僕でも顔と名前を知っているような影響力の大きな人」とまで言わせるおヒトなわけです。(もちろん、日本ではギャモンズはただの無名のジジイですけどね(笑))

スポーツ・イラストレイテッドでカバーストーリー書いたとか、全米向けのスポーツ番組にしこたま出たとか、ESPNでブログもってるとか、2005年7月に野球記者殿堂入りを果たしたとか、経歴について書き出せばキリがないくらいの人なわけだけど、一番大きいキャリアはたぶん1988年にESPNに入ったこと、だろうね。
ESPNの看板をしょってるだからこそ、彼は『ベースボール・トゥナイト』とか、『スポーツセンター』とか、そういう全米向け超有名スポーツ番組に長年出演できてたわけで。まぁ、アメリカのスポーツ好きにしてみたら「毎日顔と名前を見るスポーツ系有名人」だったわけ。
ただ、彼がベースボール・トゥナイトでやってた仕事そのものは、噂話を扱うInside Pitchというコーナーで、彼の立ち位置は「アナリスト」ではなく、一段低い「レポーター」なわけです。だからまぁ、ときに根も葉もない噂rumorを流したりもする程度のランク、くらいに考えたほうがイライラしないですむと思う。

で、ショーウォルターの記事。
これ、ギャモンズの肩書きを注目してもらうと、MLB.com Columnistとなってます。ここポイントです(笑)彼がMLBのコラムニストに「なっちゃった」経緯はアメリカのWikiにも書いてある。要は、彼は去年、20年もいたESPNを「辞めた」わけです。
After 20 years with ESPN, on December 8, 2009, Gammons announced that he would leave ESPN to pursue "new challenges" and a "less demanding schedule.
Peter Gammons - Wikipedia, the free encyclopedia
なぜ彼が辞めたのか? んー・・・。自分から辞めたのか、辞めさせられたのか、ちょっとわからないなぁ。定年みたいなものなのかな?と最初思ったけども、正直どうでもいいことなんで、だからくわしく調べてない(笑)
ピーター・ギャモンズがESPNを辞めたときの
ESPN側のなんともそっけない記事

Peter Gammons leaving ESPN baseball after 20 years - ESPN


ピーター・ギャモンズのボルチモアに関する記事が「いい記事」だと思うのは、
「バック・ショーウォルターがボルチモア・オリオールズの何を、どうやって変えたのか?」という、誰もが知りたい点に、きちんとフォーカスしてることがひとつ。ありそうでいて、こういう記事、探すと無かったんですよ。
もうひとつは、「ヤンキースとの3連戦で、あえて勝った最初の2ゲームではなくて、ウィータースがホームランを打ったが逆転負けした第3戦の『チームの将来にとっての意味の重要さ』にフォーカスした
この2点で、この記事を推薦したいわけです。


マット・ウィータースは、このブログにとっても実は忘れられない、いつもどこかで気にかけてる選手のひとりです。
このブログは主に「キャッチャーの仕事」、つまり「投手と捕手の関係性」「野球にとってのキャッチャーの仕事の意味」にフォーカスして書いてるわけですが、「城島問題」が起こってた時期に、ちょうど、「1983年生まれ世代」のカート・スズキロブ・ジョンソンなんかよりさらに下の世代の、マット・ウィータースとか、テイラー・ティーガーデンのようなキャッチャーたちがデビューしはじめていて、彼らがデビューしたてのプレーぶりは、このブログではほとんど記事にはしないけども、いつも視野に入ってるプレーヤーたちなわけです。
それと、マット・ウィータースのルックスとバッティングフォーム、チームでの立ち位置が、シアトルのマイケル・ソーンダースに似てると思えてしかたがない(笑) いつも「ああ、この2人、顔も背丈も、スイングも、チーム内の立場も似てるなぁ」と思ってゲームを見てるわけです。

だから、ピーター・ギャモンズがボルチモア対ヤンキースの第3戦をとりあげて、
「負けは、した。
 負けはしたけど、そんなこと、どうでもいい。
 マット・ウィータースがホームランを打った。そのことがでかいんじゃないか。先発ブラッド・バーゲセンが、ヤンキースみたいな強打のチームに全投球の69.3%ものストライクを投げこんだ。このチームの将来を背負う選手が自信を持てた。そのことがでかいんじゃねぇか!!
 これがボルチモアなんだあああ、ボケぇええええええええ!!!」
とか、叫ぶのを聞くと、ですね
ブログ主としては、「そうだ、そうだぁああああ」とか思って、思わずコブシを突き上げてしまうわけです(笑)

そう。
そのとおりなんですよ。ボルチモアは負けるのが不思議なくらい才能ある選手が揃ってる。
マット・ウィータースにも、ニック・マーケイキスにも、ブライアン・ロバーツアダム・ジョーンズブライアン・マットゥースケビン・ミルウッドにも、足りなかったのは、技術でも、体力でもなくて、「自信」だったんですね。(でも、イズトゥーリス君は、もっと守備を練習しましょうね)

オトナ、特に過去に一度自信を持ってた人は、けっこう一度自信を失うと取り戻せないもんです。それで病院に通うハメになる人は、MLBにも、ザック・グレインキー、ミルトン・ブラッドリーほか、いっぱいいます。
そういう人に「自信を取り戻させる能力」なんて誰にでもあるわけじゃあないんですよ。監督は精神科医じゃないですからね。
どうみても、バック・ショーウォルターの「自信を取り戻させる能力」は「彼だけがもつ特殊能力」なわけなんですが、知りたかったのは、
そのショーウィルターが「選手に、いつ、どこで、どういう風に声をかけているか」でした。
それが、この記事にはしっかりと、しかも簡潔に書かれているんですよ。

だからギャモンズ、困ったジジイではありますけど、
いい記事なんです。

Wieters gets a green light and hits a huge Yankee Stadium homer. Markakis remembers he is one of the best players in the league. Bergesen throws strikes. Oh, those are the Orioles.
by Peter Gammons






damejima at 05:58

September 01, 2010

こんなに読んでいてウキウキしてくる野球記事も珍しい。
このところ絶好調のルーク・スコットが、生え抜きの中心選手マーケイキスが、高揚したコメントを発している。ボルチモアのボルテージはますます上がってきているようだ。野球ファンでなくても読むことをおすすめしたい。
Matusz's solid outing carries O's past Boston | orioles.com: News
このまま勝ちすぎてしまうと、ボルチモア(49勝83敗、ア・リーグ最低勝率)は来年のドラフト1位指名権を得られなくなるかもしれないが、彼らはいまドラフト1位指名権などよりずっと価値のあるものを手にしつつあるのだから、その程度のことなど気にしないだろう。
ブログ注:メジャーにあまり詳しくない方への解説
メジャーのドラフトは前年の勝率の低いチームから順に指名していく。例えばジョー・マウアーは2001年の全米ドラフト1位だが、指名したミネソタは前年2000年の成績が69勝93敗、勝率.426で最下位だったから指名できた。2000 Minnesota Twins Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com
全米ドラフト1位の選手はこれまでも大スターになる実力の高い選手が続出していて、ドラフト1位指名権は非常に貴重。だから、プレーオフ進出の可能性が最初からないような成績の悪すぎるチームは、有力選手を放出しつつ若い選手中心のスタメンに切り替えるなどして「負け数が増えるように」故意に誘導し、全米ドラフト1位選手の獲得を目指したりすることがある。そこまでする目的はもちろん「チームの根本的再建」。90年代に一度も優勝したことのないミネソタはマウアー獲得の後、2002年から3年連続地区優勝し、今ではア・リーグ中地区で毎年優勝を争える有力チームに変身している)


ルーク・スコット
「みんなで野球やるって、マジ、楽しいぜ」
"Guys [in the lineup] are really working together to protect each other," said Scott, who was followed two outs later by Felix Pie's solo blast. "To do that together as a group, it really has been fun."

マーケイキス
「僕らにはまだ一ヶ月、戦う時間が残されてるんだ。頑張ってもっともっといいプレーをしたいと思う。」
"I've said all along we have great guys, a great clubhouse, great talent. It's just a matter of putting it together," Markakis said of an Orioles squad that has guaranteed its first winning home record against Boston since 1998.
"Over the past month, we've finally been able to do that. ... We got a lot of injured guys earlier in the year. We've got a lot of them back now. It's just adding on and it's fun. We've still got a month left to play, and we're going to go out there and get better."


そう。これなんだ。これ。
日頃、数字を操ってリクツばかりこねているように思われているかもしれないこのブログだけど、僕はシアトルにずっとこれを待っていたのさ。もう何年も。ちょっともう諦めたけど、さ。

野球はチームスポーツだ。野球が本当に熱を帯びるのは、WBCではないけれどもチームが全体として熱くなったとき、ホットになれたときなんだ。
今のボルチモアがまさにその「ホット」だ。「やれば出来るんだっっっ!」っていう強い連帯感が、投手陣はじめ、選手全員が感じてプレーしはじめている。
だからプレーヤーにインタビューすると、だれもかれも、どいつもこいつも、言葉の端々(はしばし)に、togetherとか、each otherとか、そういう単語を出してくる。誰から言われたわけじゃないと思う。自然とクチをついて出て来る言葉なんだと思う。


ああ。ほんとにうらやましいぞ、ボルチモア。
なんでシアトルはいつまでたってもこういう風にならないんだろう。



今日先発したのは2年目のBrian Matusz(ブライアン・マットゥース? 彼の名前の発音についてはボルチモアの地元ファンの間でもとまどいがあるようで、人によってはマトゥーズ、などと発音するらしい。大半の意見は「Matt-us」マットゥース、らしい。)。
ボルチモアの2008年のドラフト1位指名選手(全体4位)だが、MLBの公式サイトのトッププロスペクト50でも、20番目の選手として紹介されている期待の左投手だ。
Brian Matusz Top 50 Prospects Profile | MLB.com: Minors


人間ってのはやっぱり、気分がふさいでいると力が出ないが、嬉しいと、眠っていた力が甦ってハツラツとプレーできるものなんだ。

8月のマットゥースは今日の勝利で、月間4勝1敗。素晴らしい成績だ。
Brian Matusz Split Statistics | orioles.com: Stats
勝った相手も、エンゼルス、テキサス、ホワイトソックス、ボストンと、打撃系の有力チームばかり。ここまでの全体成績が7勝12敗 防御率4.72と冴えないから、この8月の復活ぶりがどれだけ驚異的か、わかる。
マットゥースの5月は成績が特に酷くて、0勝4敗 防御率7.50だが、かえってもっと酷いのは、6月の0勝4敗 防御率3.69だろう。ある意味、5月よりずっと悲惨だ。
Brian Matusz Game Log | orioles.com: Stats

なぜって、マットゥースが7点台だった防御率を3点台にするには色々と努力もしたに違いないのだが、それでも4敗してしまったのである。たぶん、チーム状況が相当悪かったに違いない。実際、5月から6月にかけてボルチモアは10連敗していて、今シーズンのマットゥースへのRS(ラン・サポート)はたった3.7しかない。
経験の少ない若い選手にしてみれば、「結局、頑張っても頑張らなくても、オレたちは負けるんだ」というゲームが続けば、やり場のない脱力感にまみれてしまう。
この「脱力感」というやつがチーム全体に蔓延したら、おしまいだ。
頑張って負けただけなら、まだ「明日」がある。だが、頑張っても、頑張らなくても負けて心を折られると、脱力感にまみれてしまい、人間は頑張らなくなる。だから脱力感の蔓延したチームの負けには、明日への出口がみつからなくなる。

いいときに登板したものだ。チームがいいときに登板する。勝つ。なにより、「勝てる」という気持ちを掴める。勝ったときの気分が自分のカラダに浸み込んでいく。それが若い選手には大きい。

幸せな男である。

若い選手にはやはり、チームがノリノリなとき、いいときにプレーさせてやりたいという想いがある。重すぎる期待、重すぎる責任、そんなものばかり背負わされてプレーしたんじゃ、若い選手は潰れてしまう。
例えば、チームの惨状を救う救世主になるにはまだまだ早いのにローテ投手として使われまくって、結局トミージョン手術を受けることになったストラスバーグには、本当に同情してしまう。


さて、ブライアン・マットゥースがインタビューの中で引用している今年初めのケビン・ミルウッドの言葉がある。

先日の記事で今年ボルチモアに期待されて移籍しながら、成績が酷いミルウッドのことを「大戦犯」などと書いてしまった。
だが、マットゥースによれば、彼はベテランの彼なりに、移籍する前から弱体なのがわかっているボルチモアの投手陣を牽引していこうと、若い投手と色々とコミュニケーションを図ったりして、このチームをなんとかしようと頑張ってきていたようだ。
マットぅースのような若い先発投手が、チーム全体が沈み込み暗いムードのときにいくらあがいても勝てないことはよくあることだが、同じように、いくらベテラン投手だって、どうあがいても悪いチーム状況はひとりだけではどうしようもないし、勝てもしない。

投手陣のリーダーとしてもがきながら戦ってきたミルウッドには、この場を借りて、先日の酷い言葉を謝りたい。

"[Kevin] Millwood said it at the beginning of the year, that's how the rotation needs to be," Matusz said of the Orioles' starters feeding off each successive outing. "We need to be pushing each other each and every start, and I feel like that's what we are doing now."






damejima at 18:45

August 30, 2010

ボルチモアが4安打完封で、同地区のシアトルですら一度もやったことがない「エンゼルスの敵地スイープ」を達成した。ボルチモアは積年の課題である「攻守のアンバランスさ」に解決の糸口を見いだしつつあるのかもしれない。

昨日の第2戦は、ここまで2勝13敗だった大戦犯ケビン・ミルウッドが8回を無失点に抑えて勝ってしまったわけだが、今日の第3戦では、去年リーグでワーストの17敗(10勝)もしておいて、今年も防御率はかろうじて3点台ながら7勝13敗と冴えない成績だったジェレミー・ガスリーが8回1/3を投げきってしまうのだから、「ショーウォルターのオーガスト・マジック」はとどまるところを知らない。
Baltimore Orioles at Los Angeles Angels - August 29, 2010 | MLB.com Wrap

このボルチモアの8月の快進撃の原動力はハッキリしている。「投手陣の再生」だ
先発投手として使われたが、イマイチで、その後テキサスからケビン・ミルウッドが来たことでセットアッパーに回されてしまっていた「ルパン」上原ですら、クローザーに転用してセーブさせてしまうのだから、「ショーウォルターのオーガスト・マジック」の投手陣に対する効き目は凄まじい。

ボルチモアの月別ERA
4月 4.62 12位(5勝18敗)
5月 4.68 12位(10勝18敗)
6月 5.72 14位(9勝17敗)
7月 5.60 13位(8勝19敗)
8月 3.57 3位(16勝11敗)

これまで常にリーグ最下位あたりに低迷していたボルチモアのチームERA(防御率)だが、ここへきてリーグ3位に急浮上している。これだけみれば十分で、細かいデータなどいらない。いかに監督を変えて以降のボルチモアが「変われつつあること」がひと目でわかる。
ボルチモアがもともと持っているチームとしての欠陥は「打撃はいいが、投手があまりにもダメなこと」なのは、MLBファンなら誰もがわかりきってわけだが、その問題点である「チームバランスの悪さ、つまり、攻守のアンバランスさ」を、逃げずにきちんと矯正しようとしているらしいことが、ボルチモアのこの「劇的なチーム再生」につながりつつある。うらやましいかぎりだ。

ア・リーグ8月 チーム別ERA
2010 MLB Team Pitching Stats - Major League Baseball - ESPN

ア・リーグ8月 チーム別ERAベスト5
(8月29日現在)
オークランド 2.32
シアトル 3.49
ボルチモア 3.57
ミネソタ 3.65
タンパベイ 3.69
ボストン 3.81

8月のチームERAで、3点台以下を記録したのは6チームだが、そのうち、月間勝ち越しを達成しそうなのは、3位のボルチモア以下、6位ボストンまでの4チームで、どれも「打てるチーム」ばかり。それにひきかえ、1位のオークランドと2位のシアトルの「打てない2チーム」は、8月を負け越すか、勝ち負け同数くらいにとどまる。
なかでもミネソタは8月にたくさんの貯金をつくったが、これも、打撃が月間チーム打率が3割を越えるようなハイ・アベレージで、なおかつ、チーム防御率ア・リーグ4位と、ハイレベルで「チームの攻守のバランス」を達成しているからこそできる芸当。

ボルチモアがきちんと自分のチームの攻守のアンバランスさという弱点に向き合って解決をはかって、勝率を大きく改善しつつあるのに対して、シアトルがいつまでたっても「先発投手はまぁいいが、あとはまるでダメ」「守備重視の野球をするはずが、守備が下手で、しかも打てない選手がスタメンに居座り続ける」という「あまりにも酷いチームのアンバランスさ」に対して、きちんと打開する対策をほとんどとっていないのだから、当然の結果だ。






damejima at 11:14
今シーズンはもう新監督バック・ショーウォルター率いる新生ボルチモアの記事を何度も書いてきたわけだが、8月のボルチモアはとうとうあと2試合(エンゼルス最終戦とボストン初戦)を残して、15勝11敗と、4つも勝ち越している。
2010 Orioles Schedule | orioles.com: Schedule

地元紙ボルチモア・サンによると、もしオリオールズがエンゼルスとの第3戦に勝って月間の貯金を5とすると、「2008年6月以来の月間5勝以上の勝ち越し」になるらしい。
Orioles claim winning August with 5-0 victory over Angels - baltimoresun.com

ちなみに、シアトルはエンゼルスをビジターでスイープしたことが一度もないと思う。たしか2009年5月に先発オルソン、捕手キロスの相性最悪バッテリーで、せっかくの「敵地スイープのチャンス」を逃した苦い記憶があるのだが、当時シアトルの地元紙で「敵地スイープはしたことがない」という報道があったような記憶がある。
今日のアナハイムでは、エンゼルスと同地区のシアトルですら一度も達成してない「アナハイムでのエンゼルスのスイープ」にボルチモアがチャレンジするのだから、もし達成しようものなら、これはシアトルファンにとっても、ちょっとした「事件」である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。

2009年5月31日のシアトル対エンゼルス戦の公式記事
Game Wrapup | Mariners.com: News

2009年5月のシアトルのスケジュール
2009 Mariners Schedule | Mariners.com: Schedule


昨日8月28日のボルチモアとアナハイムの第2戦では、あろうことか、ここまで2勝13敗と最悪の成績で、今シーズンの大戦犯である元テキサスのヴェテラン投手ケビン・ミルウッドが、なんと右打者を並べたエンゼルス打線を8回無失点に抑えて勝ち投手になった。
昨日までの彼の登板ゲームは8連敗で、全部がミルウッドに負けがついたわけではないが、それでも8試合のうち6ゲームで彼に負けがついていて、8ゲーム合計の失点は31点もある。
地元紙ボルチモア・サンは、その大戦犯ミルウッドが「これまで先発登板した16ゲームのうち、12ものゲームで、初回に複数の失点をしていた」ことを紹介した上で、ミルウッドが「エンゼルスを初回無失点に抑えた」どころか、「8回まで無失点に抑えて、無事にマウンドを降りた」そのことに、かえって驚いていた。

地元紙さえ驚くのも無理もない。

シーズン前にボルチモアがミルウッド獲得を発表したときメディアでは「打者有利のアーリントンで投げてまずまずの成績をおさめていたヴェテラン投手だけに、カムデンヤーズでならそこそこの好成績をおさめてくれるに違いない」なんていう甘い論評が多かった。
だが、実際にフタを開けてみれば、ミルウッドは防御率5.34で、2勝13敗と最悪。既に26本もホームランを打たれて、これは既に彼自身のキャリアワースト・タイ記録になっている。
期待を裏切ったミルウッドのこの酷い成績が今シーズンのボルチモアの低迷の大きな要因のひとつになったわけだが、このミルウッドにさえもひと仕事させるとは、ショーウォルターはどんな魔法を使ったのだろう。それとも今シーズンのエンゼルス打線がよほど酷いだけなのだろうか。
Kevin Millwood Stats, News, Photos - Baltimore Orioles - ESPN


いずれにしても今日のボルチモアのゲームは、ちょっとした「記録のかかったゲーム」なのだ。


ちなみに。

監督ワカマツのクビを切ったシアトルは、9日にワカマツ解任した後は8勝9敗と、勝率は5割を越えていない。(8月はここまで11勝13敗)
また、8月21日からの8ゲームは特に1勝7敗と、わずか1勝しかしていない。
2010 Mariners Schedule | Mariners.com: Schedule

監督を変えて成績が向上したボルチモアに対して、監督をクビにしても新監督が決まらず、臨時の代行監督でお茶を濁して、しかも成績低迷に変化の少ないシアトル。
もちろんワカマツは解任されるのが当然の能力不足の監督だと思う。だが、その後の成績をみればわかるように、シアトルの病巣がワカマツだけなわけがないのは、火を見るより明らかである。






damejima at 04:28

August 22, 2010

空からみたカムデンヤーズ左右非対称で新古典主義建築の魅力溢れるカムデンヤーズ。ライト後方に19世紀のレンガ造りの倉庫があり、ボールパークのデザインも倉庫に調和するようにつくられた。

先日ボルチモアの新監督ショーウォルターさんの記事を書いたばかりだが、1992年に建設されたボルチモアのホームカムデンヤーズ(Oriole Park at Camden Yards)は、95年に建設が決定し99年に開場したシアトルのセーフコ・フィールドと色々な意味で非常によく似ている。
それもそのはず、セーフコをはじめとする近年建設されたネオ・クラシカル、つまり「新古典主義建築を取り入れたといわれるボールパーク群」のお手本になったのがカムデンヤーズだから当然のことなのだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月18日、ショーウォルター監督のみせる「父親の走り」の素晴らしさ。
参考資料:
Clem's Baseball ~ Stadium dimensions
Wapedia - Wiki: 野球場


大昔、野球黎明期のアメリカの専用ボールパークは「広い土地の手に入らない、もともと手狭(てぜま)な大都市で空き地を活用して」作られた。
ただでさえ土地がない都市の空き地は、もともと変則的な形をしていたり、周辺にさまざまな事情を抱えていることも少なくないわけだが、初期のボールパークはそれぞれの「空き地の抱える諸事情」にあわせて作られたため、「左右が非対称で、いびつな形」をしていることが多いのは、都市部の限られた土地を有効利用して建設されたことも理由になっている。(例えばブルックリン・ドジャースの本拠地エベッツ・フィールドは元はゴミ捨て場、旧ヤンキースタジアムは元は材木置き場でライト場外に鉄道があり、フェンウェイ・パークは沼地に建てられ、レフト場外には直線道路と建物がある)
だが、その「いびつさ」は野球の歴史の中でかえってアンティークの家具のように「味のある変形具合」と評価され、初期のボールパークは通いやすい都市の中心部に立地した都市機能の一部として、それぞれの球場がそこにしかない独特のクラシカル雰囲気をかもしだしながら観客に愛され、野球を隆盛に導いた。

初期のボールパークそれぞれの平面図の比較
資料:Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

Polo Groundsポロ・グラウンズ
元はポロ競技場。センターは147m以上あるのに、両翼はわずか80m前後。おそらく野球史上最もいびつな形の球場のひとつ。1920年ベーブ・ルースがボストンから移籍してきた時、ヤンキースはここを西海岸移転前のニューヨーク・ジャイアンツと共用でホームにしていた。

旧ヤンキースタジアム旧ヤンキースタジアム
1923年開場。場外に鉄道があるライト側が異様につぶれた特殊な形。ジャイアンツからポロ・グラウンズの使用を拒否されたヤンキースがハーレム・リバーを挟んで反対側の材木置き場に建設した。


しかし1960年代中盤から80年代にかけて、球場の老朽化やマーケティング上の理由からボールパーク(野球場)に「多目的スタジアム Multi-purpose stadium」としての機能を求める時代が来て、特にアメリカンフットボールのスタジアムとの兼用化を狙って、新しいスタジアム建設が進んだ。(いまの日本の球場のかなりの部分は、東京ドームが82年建設のメトロドームを手本にしたように、いまだに30年前のアメリカの状態にある。また、日本の大多数のサッカースタジアムも陸上競技場との兼用施設になっており、欧州の非常に美しいサッカー専用スタジアムとはまるで比べ物にならないくらい劣悪な観戦環境にある)
多目的スタジアム時代の球場の大半は、名称に「スタジアム」か「ドーム」という言葉がつく。
セーフコができる前のシアトルがフランチャイズにしていたキングドーム(2000年に解体)も、かつてはプロフットボールチームであるシアトル・シーホークスとの共用スタジアムだった。キングドームは北米3大プロスポーツ(NFL、MLB、NBA)全てのオールスターゲームを開催した史上唯一のスタジアムだが、これも要はキングドームがいかに80年代特有の「なんでもありスタジアム」のひとつだったか、ということの証である。

クッキーカッタークッキーカッター

こうした「なんでもありスタジアム」は、英語では、cookie-cutter stadiums(クッキーカッター・スタジアム)、とか、concrete donuts(コンクリート・ドーナツ。単にドーナツ・スタジアムと呼ばれることもある)とか呼ばれていて、いまではかつての「大失敗」として評価が定着している。
クッキーカッターというのは、平らに伸ばしたクッキー生地から「同じ形」のクッキーをくりぬくための「ぬき型」のことだが、80年代までの多目的スタジアム群がどれもこれも「あまりにもそっくりの、まるで特徴の無いスタジアム」だったことから、こう呼ばれることになった。

実際どのクッキーカッター・スタジアムも、スタジアム全体の形が円形でお互いに似ているだけでなく、立地やグラウンドの作りも似ていて、郊外の高速道路のインターチェンジの近くなどに建設されているためにスタジアム周囲があまりにも殺風景で、都市中心部から離れているため交通の便が悪く、グラウンドは選手の故障をまねく固すぎる人工芝で、観客とフィールドの距離が離れすぎてしまって、臨場感に乏しい可動式の客席など、ほとんどあらゆる面で選手と観客の両方から不評をかった。
Multi-purpose stadium - Wikipedia, the free encyclopedia

クッキーカッター・スタジアムの平面図の比較
資料:Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

アストロドームアストロドーム
1965年開場。かつてのヒューストン・アストロズのホーム(現在はミニッツメイド・パークに移転)フットボール兼用で、典型的なクッキーカッター。Clem's Baseball ~ Astrodome

リバーフロント・スタジアムリバーフロント・スタジアム
1970年開場。かつてのシンシナティ・レッズのホーム(現在はグレート・アメリカン・ボールパークに移転)やはりフットボール兼用で、レイアウトがアストロドームとまったく見分けがつかない。Clem's Baseball ~ Riverfront Stadium


1992年にクッキーカッター・スタジアムからの脱却をめざして建設されたのが、新古典主義風のボールパークの元祖と呼ばれるカムデンヤーズだ。(そもそも古い球場は、「○○○・スタジアム」という呼称ではなくて、「○○○・パーク」とか「○○○・フィールド」と呼ばれることが多い。最近新設されたボールパークで「スタジアム」と名乗ったのは、かつてクッキーカッターとして悪名高かったセントルイスのブッシュ・スタジアムのみ)
カムデンヤーズは、ロサンゼルスに移転する前のブルックリン・ドジャースがホームにしていたエベッツ・フィールド(Ebbets Field )をお手本にしているといわれる。
クッキーカッター・スタジアムが「円」を基本モチーフにデザインされ、球場全体が球形、フィールドが左右対称、外野フェンスもなめらかな弧を描いているのに対し、カムデンヤーズのデザインモチーフは「非対称」「直線」と、大きく違う。
カムデンヤーズはフィールド全体が「左右非対称」で、また、外野フェンスが直線のみで構成されたデザインになっている。また球場全体の雰囲気作りには、ライト側の19世紀に建設された倉庫とマッチするレンガと鉄骨のクラシカルなデザインファクターが上手に取り入れられていて、直線的だからといって冷ややかなイメージではなく、むしろ古き良き時代を思わせる「懐かしく、暖かい印象の直線」に仕上げられている。

新古典主義ボールパークの平面図の比較
Clem's Baseball ~ Stadiums by Class

オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズオリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ
右中間が左中間より約10フィート広く、ライト側に高さ25フィートのフェンス。そのため左打者にはホームランが出にくい。右打者不利といわれるセーフコ・フィールドと好対照なつくり。Clem's Baseball ~ Oriole Park at Camden Yards

エベッツ・フィールドエベッツ・フィールド
1913年開場。カムデンヤーズのモデルにもなったブルックリン・ドジャースのホーム。エベッツは当時のオーナーの名前。Clem's Baseball ~ Ebbets Field


昔のボールパークのクラシカルな雰囲気の良さを取り入れた「ライトが広い」カムデンヤーズは都市中心部に近く、海沿いの倉庫街にあって、すぐ横を鉄道や高速道路が走るが、「レフトが広い」セーフコ・フィールドも同じように、海沿いの倉庫街の鉄道沿いに立地していて、いかにセーフコがカムデンヤーズそっくりかがよくわかる。
カムデンヤーズの横を走る鉄道のすぐ外側はもう大西洋に続く湾だが、セーフコ・フィールドの外を走る鉄道のすぐ外も海であり、この2つのボールパークは「双子」といってもいいくらいに地勢がそっくりなのだが、それだけでなくボルチモアとシアトル両方の都市そのものがロケーション的にかなり似ている。
そもそもメリーランド州ボルチモアは、大西洋から東海岸に奥深く入り込んむチェサピーク湾(Chesapeake Bay)の奥にある港湾都市で、タバコの積み出し港として栄えたが、この「大洋が大陸の奥深くに入り込んだ湾の奥に位置している街」というロケーションは、太平洋がアメリカ北西の海岸に奥深く入り込んむピュージェット湾(ピュージェット・サウンド、Puget Sound)の奥に位置している商業都市ワシントン州シアトルと地勢的にそっくりなのだ。

ボルチモアの地勢大西洋と五大湖の中間に位置して、大西洋が北米東海岸に入り込む湾の奥にあるボルチモアは、太平洋岸のシアトルと地勢がそっくり。


そんな歴史的に意味のあるカムデンヤーズだが、建設直後の観客動員に対する効果は絶大だった。
91年までボルチモア・オリオールズの1試合あたりの観客数はおよそ3万人だったのだが、カムデンヤーズのできた92年以降は、1試合あたり45000人と、1.5倍にも膨れあがった。これだけ応援してくれるファンが多くなって、いつもボールパークが満員になることがプレーヤーに力を与えないわけはないのであって、97年にボルチモアは98勝64敗の好成績で地区優勝まで遂げている。まさにカムデンヤーズ効果である。
Baltimore Orioles Attendance, Stadiums, and Park Factors - Baseball-Reference.com


しかし残念なことに、東地区最下位に沈むようになった2008年以降は、カムデンヤーズ建設当時には年間350万人以上あった観客動員は、200万人を割り込むようにな状態になっている。

他のフランチャイズが次々にカムデンヤーズを模倣して新古典主義のボールパークを建設するようになって、カムデンヤーズの魅力が薄れたのか?

いや、そうではない、と思う。

いくらカムデンヤーズが変わらず魅力的なボールパークであっても、結局はチームがそれに甘えてしまっているのではダメだ。新しいスタイルのボールパークというだけで観客が来てくれる時代が終われば、やはり観客が見たいのは「ホームチームの勝利」なのは当然だ。
魅力的な打者があれだけ揃ったパワフル打線なのに、あれほど勝てないのはちょっとおかしいと思うし、実際に最近のショーウォルター就任後のゲームでは、LAAをスイープし、西地区首位のテキサスさえ圧倒している。
魅力的な新監督も来た来シーズンは、いまも魅力溢れるカムデンヤーズ、そしてパワフルなプレーヤー、ボルチモア本来の実力にふさわしい野球を見せて、新古典主義ボールパークの殿堂カムデンヤーズを満員の観客で沸かせてくれるのを期待したい。


それにしても、
このチームが勝てないことによるカムデンヤーズの観客減少という問題は、セーフコとシアトル・マリナーズの観客動員の関係についてもまったく同じ問題がある。「勝つ」ということの大事さを、無能なズレンシックはどう考えているのだろう。

また、60年代中盤から80年代に流行したアメリカの「クッキーカッター・スタジアム」の抱えていた数々の深刻な問題は、いまだにクッキーカッター・スタジアムっぽい人工芝ドーム球場だらけの日本のプロ野球や、陸上競技との兼用スタジアムだらけの日本のプロサッカーが、いまだに抱え続けている問題点だ。
ファウルグラウンドに臨場感のある観客席を作る程度でお茶を濁すのではなくて、日本のボールパークも、日本のサッカースタジアムも、もっともっと観客と選手を大事にした味のある競技施設に生まれ変わるべきだ。
MLBのボールパークがこれまでの歴史の中で解決してきた様々な問題は、とてもひとごとではない。






damejima at 16:03

August 19, 2010

子供の頃、夕暮れに家にあった斧で指に大怪我をしたことがある。

よく指先が飛ばなかったものだと今でも思う怪我だったが、そのときの最も覚えている記憶は指の痛みではなくて、父の「走り」だ。
父は出血し続けている指にタオルを巻きつけると、すぐに僕を背中に背負った。実家は住宅街にあるからタクシーが通りかかることはない。父はそのまま、街で大きめの病院まで一度も休むことなく走りぬいた。

近くの、といっても、数100mはある。地下鉄ひと駅分まではないが、普段は自転車で行くような距離の場所でもある。当時の自分の体重は、覚えてはいないが、小学校高学年ですでに身長が160センチ台後半にのるような子供だ、けして軽かったとは思えない。


父が走り出す前にどこかに電話をかけようとしていた記憶はまったくない。父は119番にもタクシー会社にもかけなかった。父がタオルを指に巻きつけたこと、父が走る背中、父が走りぬけた時間外の病院のロビーの薄暗さ。すべてを鮮明に覚えている。父は電話をかけることより、迷わず自分で走ることを選んでくれた。
いまは指はかすかに傷跡が残っただけで、機能はまったくなんともない。


Oriole Park at Camden YardsOriole Park at Camden Yards

成績不振で監督をクビにしたボルチモア・オリオールズの新監督になったバック・ショーウォルターさんの試合を何試合が見ることができたが、彼が本当に素晴らしい監督さんであることは、アンパイアに抗議に行くときの彼の「走り」ですぐにわかった。
このところのボルチモアの好調さの理由がここにある。本当に彼の「走り」は見る価値がある。

彼はまず、スタートダッシュに迷いがない。
気がついたときにはもうベンチから飛び出している。

そして、のろのろ歩いたりしない。せかせか、せかせか走る。
まっすぐアンパイアに向かう。迷わず走り寄っていく。

そしてなにより、けして背の高くない彼が「この事態をなんとかしてやらねば」と思いつつ懸命に走る、その切実な気持ちが、彼の態度の隅々にとてもよく表れていて、見ていてちょっと涙が出そうになった。



監督にもいろいろなタイプがいる。
ホワイトソックスのギーエンのような「気のいい兄(あん)ちゃん」もいれば、デトロイトのリーランドのような「厳格なおじいちゃん」もいる。

ショーウォルターさんは、さしずめ「父親」だ。
彼の走りっぷりが、まさしく「父親の走り」だからだ。

父親はいざとなったら無心で駆け出していく。もし子供が車にひかれそうになったら反射的に車道に飛び出していく。
「ショーウォルターは選手になにかあったら迷わず飛び出してくれる。」選手がそう確信できる人がベンチにいて自分のプレーを見守っていてくれると思えることが、どれだけ選手に戦う勇気を与えてくれることか。シンプルなことだが、ショーウォルターさんのような、「走り」で気持ちまで表現できる監督さんは、けして多くない。

判定がくつがえるかどうかはたいした問題ではない。ショーウォルターが走る、その「走り」が既に選手へのメッセージになっている。そのことが素晴らしい。
アダム・ジョーンズのサヨナラ・セフティーバントなど、ちょっと以前の大雑把なボルチモアならありえなかったし、以前なら諦めて投げてくれた負けゲームの終盤でも、今の彼らは諦めてはくれない。


シアトルは幸いにしてボルチモアとの3連戦を勝ち越すことができたが、そんなことよりショーウォルターさんの「走り」を見れたことで非常に満足。
もしあれを見逃したMLBファンがいたら、それはそれはご愁傷さま、あんないいものを、君の一生は本当にツキがないね、といいたい。あの「走り」を見たいがためにわざわざカムデンヤーズに通う観客が増えることは間違いない、そう思っている。

これからのボルチモアは楽しみだ。もともといい打者の揃っているチームだが、これからのボルチモアのゲームはアンパイアが誤審をしてくれないと、もったいない。
なぜって、ショーウォルター監督がベンチを光の速度で飛び出して、せかせか、せかせか駆けていくあの姿を見るだけで、高い入場料を払う価値が十分あるからだ。

それくらい、彼の「走り」は素晴らしい。






damejima at 14:01
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