ポストシーズン、他チーム

2018年10月6日、ALDS Game 2 CLE vs HOU、勝敗を分けたアレックス・ブレグマンの四球。
2018年4月1日、大谷に「一番最初に野球を始めてマウンドに行くときのような気持ち」にさせたマイク・ソーシアはやはり名監督だと思う。
2017年11月2日、ワールドシリーズ第7戦最終回に代打に「立たされた」チェイス・アトリーの3球三振。
2015年2月10日、2015年MLB球団全体の戦力強化傾向は「ヴェテランへのシフト」か。
2015年2月7日、「陰謀論愛好家」を公言してしまい、ちょっと火傷してしまったチッパー・ジョーンズ。
2014年10月31日、PARADE !
2014年10月7日、 「カーブ」で笑ったマット・アダムス、「カーブ」で泣いたクレイトン・カーショー。「投手が打たれる仕組み」。
2013年10月9日、2013ポストシーズンにおける「待球型チーム vs 積極スイングチーム」の勝負のゆくえ。
2013年7月16日、ヤシエル・プイグは、これから経験するMLBの「スカウティング包囲網」をくぐりぬけられるか?
2013年7月15日、40代プレーヤーとして驚異的なホームラン数を残しつつあるラウル・イバニェス。
2012年6月8日、2死ランナー無し、カウント1-2から1球の判定で崩れたヨハン・サンタナにとっての「インコース勝負」。
2012年6月1日、怪我との苦闘を乗り越えて。ヨハン・サンタナ、ノーヒット・ノーラン達成。
2012年5月24日、マイアミ・マーリンズのキャッチャー受難史。
2012年1月28日、イチローファンだというスコット・マシソンのキャリアハイライト、第1回WBCカナダ対アメリカ戦から見た彼のピッチングの特徴。
2011年12月20日、テオ・エプスタイン一派の「談合的人事」をバド・セリグが拒絶。それを尻目に、ボストンからスタッフを引き抜いた元ボストンGMダン・デュケットの抜け目なさ。
2011年10月23日、WS Game 4で成長をみせたデレク・ホランドから、「ピッチャーにとって必要な経験とは何か」を定義する。
2011年10月13日、ALCS Game 5で「4人の打者による『ナチュラル・サイクル』」という珍記録。
2011年10月4日、NLDSでまたしてもアンパイアJerry Mealsの誤判定。
2011年10月4日、ALDS Game 4、テキサスのALCS進出を決めたエイドリアン・ベルトレの「ストレート狙い」。
2011年10月3日、ALDS Game 3、7回になってようやくデビッド・プライスの2シーム攻略に成功するテキサスのゲーム運びの生温さ。
2011年10月2日、ALDS Game 2 ストレートで押すピッチャーと、ストレートを待つバッターと。ポストシーズン、ストレート勝負のゆくえ。
2011年7月5日、ゲームの進行が遅いとクレームをつけた最年長ベテランアンパイア、ジョー・ウエストに、ジョナサン・パペルボンが放った"Go Home"の一言。
2011年7月1日、「イニング別の打率」からみえてくるシアトルの打撃の「エンジンのかかりの遅さ」、「諦めの早さ」。
2011年5月15日、例によってベタンコートの低出塁率に手を焼くミルウォーキー。
2011年4月13日、ジョシュ・ハミルトンの不幸な怪我。
2011年2月25日、エイドリアン・ベルトレの怪我で、ますますこじれるマイケル・ヤングの移籍問題。
2010年10月25日、東西を2分する2010ワールドシリーズの優勝チーム予想。
2010年10月19日、やっぱりデレク・ホランドは、いい。ALCS Game 4。
2010年10月18日、クリフ・リー毎回の13奪三振! フェリースも100マイルピッチ連発で2三振を奪い、ヤンキースから合計15三振、テキサス圧勝!
2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。
2010年10月8日、東地区投手の多用するカットボール配球をまるで研究してないかのようなミネソタ打線の哀しさ。
2010年10月7日、ディヴィジョン・シリーズ第2戦で退場させられたミネソタの監督ロン・ガーデンハイアーと、球審Hunter Wendelstedtとの間にかねてからあった軋轢。
2010年10月6日、クリフ・リー、タンパベイを10三振に切ってとり、ポストシーズンまず1勝。フィラデルフィアでもみせた大舞台でのさすがの安定感。
2010年10月6日、長年の念願をかなえポスト・シーズン初登板のロイ・ハラデイが、いきなりノーヒット・ノーラン達成!
2009年6月8日、ドラフト史上最高額ルーキーのストラスバーグ、デビュー戦でさっそく100マイルのスピードボールを記録。
2009年11月12日、速報イチロー、3度目のシルバースラッガー賞受賞! 注目のアーロン・ヒル、ライアン・ジマーマンが初受賞。

October 07, 2018

CLE対HOUのALDS Game 2がたいへん面白かった。


あとからデータだけを見た人は、12三振を奪ったヒューストン先発ゲリット・コールのピッチングのほうが圧倒的で、6安打を打たれたクリーブランドのカラスコはヨレヨレだった、と思うかもしれない。

だが、実際の「5回までの展開」はまったく異なる。

例えば、5回までの投球数

毎回のようにシングルヒットを打たれるカラスコのほうが、むしろ三振をバカみたいにとったゲリット・コールよりたしか「15球ほど少ない」。

これは、ストライクを積極的に投げて三振をとろうとするコールと対照的に、この日のカラスコは打ち気にはやるヒューストンに、ボール球から入って、ヒットにできない球を振らせ、結果的に球数をセーブするピッチングができていたからだ。(ちなみに、カラスコは2017年に226三振を記録しているように、三振をとれないピッチャーではまったくない。なので、球威がないからこういう投球をしたわけではない)


5回までの四球数が両軍ゼロだったことをみても、同じことがいえる。

三振の山を築いたクリーブランドが四球どころではなかったのに対し、打ち気にはやるヒューストンが早いカウントからボール球をひっかけてカラスコを助けたために、結果的に、両方のチームに「四球を選ぶ余裕」がなかった。

ゲリット・コールが相手をチカラでねじふせたて圧倒したのに対して、カラスコは相手のはやる気持ちを利用したのである。



5回が終わっても、ヒューストンは、毎回のようにシングルヒットが出るものの、「ランナーを貯める場面」がまったくなく、長打も出ないまま、無得点に終わっていた。
他方、クリーブランドは、たった2安打で三振の山。だが3回、フランシスコ・リンドアが偶発的なソロホームランを打ち、この1点のリードを死守する。

投球数は、カラスコが60ちょっとで、コールが80球に近づきつつあり、5回終了時点では、圧巻のピッチングをしたゲリット・コールがむしろ先に降板し、ヒットを打たれ続けたカラスコが無失点のまま7回まで投げてしまうという逆転現象が起こる雰囲気にあった。


この日のカラスコのピッチングが最も効果的だったのは、次のシーン。

3回表に超劣勢のクリーブランドが1点勝ち越して、その裏にすぐヒューストンは1死1、3塁と、絶好のチャンスを作った。打席には、今年膝痛に悩まされたホセ・アルテューべ

ここは外野フライでも、ボテボテの内野ゴロでも、同点になるはずの場面だが、アルテューべは最初の2つのボール球に手を出して追い込まれ、4球目のチェンジアップを引っかけてサードゴロ、ダブルプレーと最悪の展開。ヒューストンにとって、試合の流れは一気に悪くなった。

2018ALDS Game 2 CLE vs HOU 3rd inn. Altuve DP初球 Slider Foul
2球目 Changeup Foul Bant
3球目 4seam Ball
4球目 Changeup 併殺

ソース:Indians vs. Astros Play By Play | 10/07/18



流れが変わるのは、6回裏だ。

先頭アルテューべがまたもやアウトコースの変化球に手を出し続けた挙げ句、サード前にゆるいゴロ。これが内野安打になって、打者はアレックス・ブレグマン

ここまでのパターンなら、ここでブレグマンがカラスコのボール球に我慢ができずに手を出して併殺とか、ランナーが入れ替わるだけの凡打に終わるところだっただろうが、ブレグマンは最初の2球のボールを見逃したのである。この「見逃し」が試合を変えた。

2018ALDS Game 2 CLE vs HOU 6th inn. Bregman walk初球 2seam Ball
2球目 changeup Ball
3球目 4seam Called Strike
4球目 Slider Foul
5球目 Slider Ball
6球目 Slider Foul
7球目 4seam walk



このブレグマンの打席を少し詳しく見てみる。

初球。
右打者ブレグマンのインコースに2シーム。あとの球がすべてアウトコースだから、外で勝負することを最初から決めていて、初球だけ故意にインコースをえぐったことは明らか。

2球目。
初球が見せ球だったから、ここは当然ながら外の球。この日のカラスコの全体像からいえば、このチェンジアップは、ある意味で勝負球。3回にアルテューべを併殺打に仕留めたのも、この球。もしブレグマンがひっかけて内野ゴロ、併殺なら、この日のヒューストンの勝ちはなかった。
だが、ブレグマンは振らない。ブレグマン、かなり優勢。

3球目。
無死1塁で、カウント2-0。カラスコはどうしてもストライクが欲しい。高めに4シーム。ブレグマンは自重。この打席の7球のうち、ハッキリとしたストライクはこの1球のみ。

4球目〜6球目
カウント2-1から、3球つづけて外のスライダー。カラスコにしてみれば、5球目か6球目をひっかけて内野ゴロがベストだったが、そうはならなかった。フルカウントが続く。

7球目。
歩かせていい場面ではない。だがハッキリしたボール球が行って、フォアボール。


次打者グリエルがライナーを打ったのを見て、フランコーナは、カラスコをミラーにスイッチする。

だが、それこそがヒューストンにとって「最高の結果」ではあった。「打ち崩せそうなのに、打ち崩せないカラスコ」を、まだ100球いってもいないのに引きずり下せたからだ。ブレグマンの四球の功績である。ブレグマンは7回にもこの試合を決定づけるソロホームランを打っている。
マス・メディアはとかく2点タイムリーを打ったゴンザレスに注目するだろうが、実際にゲームを動かしたのはブレグマンだ。


試合後、なぜカラスコをあの場面でかえたのか、テリー・フランコーナに質問が殺到した。フランコーナは意外にも「4回とか、もっと早いイニングでかえようか、とも思っていた」らしい。
フランコーナにとって、この日のカラスコのピッチングが「意図的なボール球で、かわすピッチング」ではなく、単に「ハラハラするピッチング」に見えていたとしたら、それは監督としてどうなんだ、という気がする。

damejima at 17:38

April 02, 2018



メジャー初登板の大谷が3ランを打たれたとき、マイク・ソーシアは『ここから抑えれば何も問題ないから』と声をかけ、まだMLBに慣れていない若者を落ち着かせた。

初登板をなんとかホームランの3失点だけで乗りきった大谷が、試合後「野球を始めて、はじめてマウンドに行くときのような気持ち」で楽しかったとコメントしたと聞いて、マイク・ソーシアの「度量」の大きさを感じた。


ソーシアが、『ここから抑えれば何も問題ないから』とあっさり言える理由はハッキリしている。

「ショウヘイ。ウチのチームは、だな。あのマイク・トラウトも、アルバート・プーホールズもいるチームなんだぜ。心配しなくてもヤツラがそのうち逆転してくれるさ。だからオマエは自分の仕事さえしてくれれば、それでいいんだ。』

もっと短く言うなら、
「オマエはひとりで野球やってるわけじゃない。心配すんな。」
ということだ。



「ひとりじゃない」という意味の言葉が「ある特別なタイミング」で耳に入れば、ヒトの傷んだココロを一瞬で救える魔法の言葉になることは、わかる人にはわかると思う。


うがち過ぎの推測かもしれないが、日本にいるときの大谷は、エースでクリーンアップとでもいうような「1人2役」的な立場にあったわけだから、いってみれば、「ひとりで野球やっているような感じ」がぬぐえなかったのではないかと、この話を聞いて思った。

大谷という選手は、他人から「2刀流という自分独自のスタイルばかり追い求めている」とみなされることが、たぶん多い。
けれど、だからといって、彼は「ひとりで野球やりたい」と思って野球をやっているわけでもなければ、「ひとりでできるのが野球というスポーツだと、心の中で思っている」わけでも、おそらくない。

もしかすると、大谷は2刀流がやりたくてアメリカに渡ったばかりではなく、「ひとり野球がつまらなくて」アメリカに渡ったのかもしれないのである。

ならば、マイク・ソーシアに「肩のチカラを抜いて」もらって、長年たまっていた「ひとりで野球やっている感」から「解放」してもらえば、そりゃ野球が楽しいに決まっている。そして、「選手に楽しく野球をやらせることができる監督」は、「指導者として一流」に決まっている。



ちなみに、このオフの話題の中心だった大谷とジャンカルロ・スタントン、どちらがシーズンが進むにつれて成績を残すか、といえば、たぶん大谷のほうだろうと思う。

投手としての大谷は、これからMLBの環境や打者データへの順応がますます進んでいく立場にある。つまり、「のびしろがある」わけだ。
対してスタントンは逆に、2017シーズン前半しか活躍できず後半に大きく失速したアーロン・ジャッジと同じで、これからスカウティング好きなア・リーグ東地区各チームの研究対象になって、「のびしろがどんどんなくなっていく立場」にある。

だから、スタントンが、投手がまだスタントンの十分なデータを得られない春から夏にかけて、あの狭いヤンキースタジアムのホームゲームでいくらホームランを量産したとしても、それは単に「想定内」の出来事にすぎない。
他方、投手・大谷が春先に打たれる場面が多くみられたとしても、それもまた想定内の出来事にすぎない。いくらオークランドの新人君たちが「オオタニからホームランを量産できる自信があるぜ」と(笑)オオグチたたいてみせても、春先に1本や2本ホームランを打てるかもしれないが、長期的にはほとんど何の意味もないのである。


たかがスプリングトレーニングや、春先の投手有利なゲームの中で、新聞を売りたいだけのせっかちなメディアがどんなことを書こうと、短気なファンが「大谷はマイナースタートが似合い」とツイートしまくろうと、そういう「余計なお世話」など、何の意味もない。そんなことくらい、長年監督をやってきたソーシア自身が誰よりもわかっているのである。

damejima at 18:56

November 03, 2017

2017年ワールドシリーズの最終第7戦の9回裏に、先頭打者として「代打」に立ったのは、チェイス・アトリーだった。結果は3球三振。これで彼の2017年ポストシーズンは、8試合出場、14打数ノーヒットと、酷い結果に終わった。ジャスティン・バーランダーを讃える多くの声にかきけされるように、ヴェテラン二塁手はドジャースタジアムからひっそりと去った。


2017年のポストシーズンに彼がスターターとして出場したのは、アリゾナとのNLDS第3戦、カブスとのNLCS第3戦、ヒューストンとのワールドシリーズ第2戦だが、打撃面で結果をまったく残せなかった。
3試合の相手投手が、ザック・グレインキーカイル・ヘンドリックスジャスティン・バーランダーと、すべて右投手ばかりだったことをみれば、ドジャース監督デーブ・ロバーツがチェイス・アトリーを「右投手先発時専用の臨時セカンド」として起用したことがわかる。ワールドシリーズ第7戦の代打のときの投手も、右のチャーリー・モートンだった。


ロバーツが2017ポストシーズンに起用したメインの二塁手は、2017年1月にタンパベイから獲得したローガン・フォーサイスで、46打席で11安打9四球を獲得、.435もの高い出塁率を残した。2017レギュラーシーズンに119試合出場したフォーサイスは、うち76試合でセカンドを守ったが、セカンド出場時が打率.274で、最もいい。
Logan Forsythe 2017 Batting Splits | Baseball-Reference.com

このワールドシリーズの打席結果で「フォーサイスはシュア打者」という印象をもった人もいるかもしれないが、どういうものか彼には「右投手がまったく打てない」という致命的な欠点がある。



ドジャースのセカンドといえば、かつてはディー・ゴードンの定位置だったわけだが、ゴードンも、ゴードンがマイアミに去った後の後継者のハウィー・ケンドリックも、右も左も関係なく打てた。そのため、ちょっと前のドジャースは二塁手をツープラトンにする必要がなかった。

だが、ケンドリックの後釜になるはずだったアトリーは、残念ながら違った。2016年に138試合も出場させてもらいながら、どうしたわけか左投手がまったく打てなくなってしまった。フィラデルフィア時代の彼は、左に多少苦手意識があったにしても、全然ダメというわけでもなかっただけに、原因はよくわからない。とにかくドジャースは年齢の高いアトリーにフルシーズンまかせるのをすぐに諦めた。

そこで2017年1月にタンパベイからトレードしてきたのが、かつてサンディエゴの2008年ドラフト1位だったフォーサイスで、たしかにフォーサイスの2016年のスタッツだけみれば、右投手に100個もの三振をさせられているとはいえ、「左も右も、そこそこなら打てる打者」であるようにみえた。
Logan Forsythe 2016 Batting Splits | Baseball-Reference.com

ところが、こんどはそのフォーサイス、ドジャース移籍以降「右投手がまったく打てない」のである。
おまけに、悪いことに、2016年から指揮をとりだした監督デーブ・ロバーツは、ヤンキースを実質クビになったジョー・ジラルディ同様の、非常に悪性の「左右病患者」ときた。


そんなわけで、2017年ドジャースのセカンドは、投手が左なら右打者フォーサイス、右なら左打者アトリー、と、「典型的なツープラトン体制」にあった。

この「重症の左右病患者デーブ・ロバーツのツープラトン」がどういう結果を招いたかといえば、以下の記事にみるとおり、選手に非常に難しいコンディショニングを強いることになったと、ブログ主はみる。
とりわけ、さすがに体力の衰えが隠せないチェイスは、何試合かおきに先発するような、断片的な出場のもとでは、実力を発揮することが難しかっただろう。
イチローの苦悩がわかる。アトリーが語る「代打で試合に出る難しさ」|MLB|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva


では、2017年のチェイス・アトリーは何も足跡を残さなかったか。

そうではない。

かつて以下の記事で「二塁打を数多く打てる打者の意味」を少しだけ書いたことがある。
2012年1月3日、率と期待値を足し算している「OPSのデタラメさ」 (4)実例にみる「四球数の、長打力イメージへのすりかえ」。数字に甘やかされたハンパなスラッガーたちのOPSの本当の中身。 | Damejima's HARDBALL
アトリーは、2017年のレギュラーシーズンに「353打席」という限られた打席数の中で、「20本の二塁打」を打ってみせている。これはけして少なくはない。
この「レギュラーシーズン、二塁打20本」の意味するところは、「まだまだチェイス・アトリーはやれる」という意味だとブログ主は考えたし、ポストシーズンにも、彼のワールドシリーズ経験をもっと生かすべきだった。
Chase Utley 2017 Batting Splits | Baseball-Reference.com


だが、なにも「デーブ・ロバーツはポストシーズン全試合で、フォーサイスではなく、アトリーを使うべきだった」と言いたいわけではない。
言いたいのは、少なくともロバーツは、短期決戦のポストシーズンではツープラトンなどという中途半端で無意味な戦術はやめ、「どちらの二塁手と心中するのか」ハッキリ決めて、フォーサイスかアトリーのどちらかを「しっかり使いきる」べきだった、ということだ。
きちんと決め打ちしないから、コンディションのよくないアトリーがたまに起用されては打線を寸断する原因になったりする悪循環に陥るのである。


ドジャースは打線がまったく機能しなかった試合が多かったわけだが、ダルビッシュの第7戦先発を含め、「ロバーツの選手起用の下手さ」はワールドシリーズの明暗を分けた。

第7戦のアトリーの代打起用にしても、いくら右投手がマウンドにいるからといっても、試合の趨勢が決まってしまった9回裏に、それまで13打数ノーヒットのチェイス・アトリーを打席に立たせる必然性など、どこにもない
もしワールドシリーズ制覇をあきらめていないのなら、無意味なツープラトンでコンディションを崩していたチェイス・アトリーを打席に送るのではなく、他の誰かでよかったはずだ。最後の1球まで試合を諦めるべきではないことなど、ワールドシリーズでは言うまでもないことだ。



それにしても、2012年12月にフィリーズの2年契約オファーをイチローが受けていたら、3000安打ももっと早く達成できていただろうし、「1番イチロー、2番マイケル・ヤング、3番チェイス・アトリー、先発クリフ・リー」だったのに、などと、2017年になっても、いまだに思っているブログ主ではあった(笑)
2015年2月26日、「1番イチロー、2番マイケル・ヤング、3番チェイス・アトリー、先発クリフ・リー」なんてスタメンがありえた「夢の2013年フィリーズ」。イチローへの2年14Mのオファーを懐かしむPhilliedelphia.com | Damejima's HARDBALL

damejima at 17:00

February 11, 2015

SB NationでGrant Brisbeeという投稿者が、MLB各チームの戦力をマトリクスにしている。どうやら去年もやっているらしいが、見るのは今年が初めてだ。

2014年2月版:Baseball teams and the windows that define them - SBNation.com

2015年2月版:The win-now and win-later windows around baseball - SBNation.com

オリジナルの図をちらっと見たが、単年だけ見ても、大変申し訳ないけれど、正直いって「個人の感想の域」を出ていないから、ちっとも楽しめない(笑)
なので、ちょっと手を加えてみた(笑)2014年と2015年の図を重ね合わせて、「動態」として観察することにしたわけだ。うっすら見えているのが「2014年2月の評価」、濃く見えているのが「2015年2月の評価」。矢印はもちろん「位置移動の方向と大きさ」を示す。

せめてこのくらいは「手間」をかけてくれないと、個人の思いつきなんてものが「情報」に変わることはないだろう。

2014年〜2015年にかけての戦力強化傾向 via SB Nation


ハッキリ言うのは失礼かもしれないが(笑)、SB Nation自体は個人的な思い込みの延長にあるメディアであるわけで、元データに何か科学的根拠や絶対的な信頼性があるわけではない。だから、専門スポーツメディアが既に書いているストーブリーグ評価と重ね合わせて、「眺めて楽しむ」程度にするとちょうどいい。


矢印の「向き」は、おおまかに分けると3種類ある。

そのうち、「矢印が、より右方向を向いていること」が、「コンテンダーとして、より戦力アップしたこと」を意味するわけだが、「右を向いた矢印」をもつチームの矢印のかなりの部分が「右上方向を向いている」ことがわかる。(例:SF、TOR、BAL、LAA、SD、MIA)
また前のシーズンと戦力が変わっていないチームでも、セントルイス、ピッツバーグ、シアトルが、よりヴェテラン重視に傾いたと、元記事のデータは評価している。(注:ブログ主が「そう思う」のではない。元データが「そうなっている」と書いているのだ。間違えてほしくない)

元データの信頼性うんぬんをとりあえず置いといて言うなら、元記事がいわんとする「このストーブリーグの動きの特徴」は、全体として「若い選手からヴェテランへのシフトによって戦力を高めたチームが多かった」、ということになる。

て、ことは・・・、老朽化ヤンキースは「最先端のチーム強化戦略をとってるチーム」ってことだな(笑)可哀想な田中(笑)

damejima at 14:00

February 08, 2015

チッパー・ジョーンズは、ほんとカッコいい選手だったし、大好きな選手のひとりでもあったんでねぇ・・・。書くかどうか、ほんと迷った。けど、書くことにした(笑)
なにも好青年のチッパーのやらかした「うっかり」を批判とか擁護とかしたいんじゃなく(笑)、彼と同じ趣味を持っている人たちは少なくとも「オバマとウォルマートの関係」の意味についてきちんと認識するべきだと思うし、それに、ブログ主自身の日頃の行動にもチッパーを笑えない部分がないではないという自覚もあるからだ(笑)
ま。これも、世界を知るためのひとつの方法論ということで。


チッパーがやらかしたのは(温厚な彼のことだから悪気はないと思いたいが)コネティカットで起きた2012年のサンディフック小学校銃乱射事件について、「それ、つくり話じゃん!」って、ツイッターに書いちまったこと。
たぶん、寝る前に怪しい雑誌でも読んだか、酒でも飲みすぎたかなんかだろうけどね・・・。もちろん後で削除して謝罪もしたんだけど、ちょっとやりすぎ(苦笑)
Chipper Jones Is Now A Sandy Hook Truther (UPDATED)
彼の筆がすべった原因はたぶん、「陰謀論 (=Conspiracy theory 陰謀説と表現する人もいる)の読みすぎ」ってやつだ。
ほら、「アポロは本当は月には行ってない」とかね。いろいろあるでしょ。あれ。正直いえば、自分も興味本位で「ルイ14世・替え玉説」とか読んでたりするんで、チッパーのこと笑えない(笑)


「サンディフック小学校銃乱射事件」っていうのは、2012年にコネティカットの小学校であった銃乱射事件。もちろん「実際にあった現実の事件」だ。小学生20人を含む26人もの尊い命が犠牲になった。犯人はニューハンプシャー生まれの前科のない20歳の若者で、事件を起こした後、自殺している。
事件後、『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』って映画に出てたジム・キャリーが、映画における暴力シーンの存在に疑問を感じたって理由でプロモーションへの出演をやめちまった、なんて後日談もあった。
この『キックアス』ってシリーズも、これまたブログ主の大好きな作品だったりすんだよね、困ったことに。チッパーも好きかもしれない(笑)
Sandy Hook Elementary School shooting - Wikipedia, the free encyclopedia


念のため、あえて繰り返すけど、サンディフック事件は「架空の事件」じゃない。なのに、陰謀論を振りかざす人があとを断たない。だから、問題なのは、陰謀論を振りかざす人がたくさん出現する「原因」だ。


サンディフック事件に陰謀論がささやかれた原因は、合衆国憲法修正第二条「武器を携帯する権利」の是非に関係がある。
「サンディフック事件=陰謀」論を信じてる人たちがいわんとする「ストーリー」は、「この事件の後、アメリカの民主党オバマ政権が銃規制を推進しようとした。なぜって、この事件自体が、銃規制を強引に進めたい政府が仕組んだ『やらせ事件』だったからだ」っていう、「強引すぎる邪推」なのだ。

チッパー・ジョーンズも、こういう陰謀論の存在をどこかで興味本位に知って、この事件に対する認識が歪んだままになってたんだろうと思う。だから彼は、ツイッターで事件に関する書き込みを見て反射的に「ヤラセじゃん」と、ついつい書きこんでしまったんじゃないか、と推測する。


でもね。

「政府が銃規制を強引に達成するために、ありもしない乱射事件を捏造した」とか妄想してる人たちは、少なくともコーヒーでもいれて、現実に存在する「オバマ大統領とウォルマートの関係の深さ」くらい考慮する時間を作るべきだと思う。


たしかにオバマ大統領はサンディフック事件に涙した後で、「銃規制法案」を議会に提出している。

だが、結果は、銃規制どころか、真逆になった。
皮肉なことに、全米のウォルマートで規制対象にされたセミ・オートマ銃が無茶苦茶に売れまくってソールドアウト状態になって、2013年2月に全米のウォルマートで「1日に購入できる弾は、1人当たり3箱まで」とか制限されたくらい、そのくらい売れまくった。

つまり、オバマさんの提出した銃規制法案をきっかけに「むしろ全米で銃の総数は増えた」わけ。そして例によって、アメリカの銃規制論議は、一時的に議論として沸騰しても、実際には全米での銃規制は実現してないわけ。

つまりサンディフック事件でのオバマさんの対応手法と手腕は、「銃規制実現につながる見込みなんて最初からまったくありえない程度のもの」であって、しかも、事件をきっかけに銃の数は増えてるしで、「サンディフック事件は、銃規制を絶対に実現するための『ヤラセ』だ」なんて妄想は、やはり妄想でしかない。

むしろ、「オバマとウォルマートの関係」をちゃんと理解してる人なら、「オバマ大統領は、以前から関係の深いウォルマートを儲けさせるためにサンディフック事件を捏造した」なんて、「別種の陰謀論」(笑)でも作ったほうが、よほど現実世界に即してるかもしれない(笑) もちろん、いうまでないけど、そんな与太話も絶対にありえない(笑)


ともかく言えることは、「陰謀論愛好家」は個人の場でひそかに楽しむのならともかく、本来なら遺族と悲しみを共有すべき陰惨な事件をネタに自分の妄想を公式の場で披露するような不謹慎な行為は、心して慎むべきだ、ということ。


オバマさんとウォルマートの関係は、先日ツイートしたいくつかの事実でわかるように、とても深い。彼自分自身がウォルマートから支援を受けているだけでなく、奥さんもウォルマート関連会社出身。また、「中国との関係」について、オバマさんとウォルマートは多くの共通の利害をもつ抜き差しならない関係にある。









こうした「オバマさんとウォルマート」、そして「その両者と、中国との関係」は現実の話だから、それをきちんと考慮に入れれば、「サンディフック事件はやらせ」と主張する陰謀論は「ただの妄想」だっていうことは明らかになる。
2度離婚しているチッパー・ジョーンズが3度目の結婚をしたかどうかは知らないけど、もしまだ結婚してないなら、前の奥さんの子供にでも会って、キュラメルマキアートでも飲みながら、よーく叱ってもらうといいだろうな(笑)

damejima at 12:18

November 01, 2014

damejima at 08:43

October 08, 2014

勝負って、怖いねぇ。ほんと。
怖い。

2014NLDSは、ドジャース不動のエース、クレイトン・カーショーが、4点リードで迎えた7回に大量8失点の原因を作って負けた第1戦に続き、第4戦でもまったく同じ「ドジャースの勝ちが見えた7回」に、カーズの若い一塁手マット・アダムスこの日多投していた「カーブ」を狙い打たれてしまい、逆転3ラン。この一投、この一発だけで、試合が決まってしまった。
大金かけてメンバーをズラリと揃え、ワールドシリーズ制覇を狙い続けるドジャースだが、今年もポストシーズン敗退。
Los Angeles Dodgers at St. Louis Cardinals - October 7, 2014 | MLB.com Box

カーショーがカーブを打たれたことの背景について、ブログ主がちんたらログを打っていたら、鬼のような光速で分析記事をアップロードしたのが、SB NationのGrant Brisbeeだ。
彼はハッキリ書いている。
"Adams watched him dominate with his curve all day long." 「アダムスは今日ずっとカーショーのカーブを狙い続けていた」
この長文記事、逆転3ラン発生直後に挙がっているところをみると、「マット・アダムスがカーショーのカーブを狙っている」という記事のエッセンス部分は、逆転3ランが生まれるよりずっと前から、既にGrant Brisbeeの頭にイメージされていたに違いない。そうでなければ、こんな超絶的なスピードで、これほど的確な長文は書けない。
たいしたスピードだ。拍手。


ブログ主がツイートに上げておいたのは、マット・アダムスの「2014年のカーブに関するHot Zone」だ。ゾーンが赤い部分が彼の「得意コース」、青い部分が「苦手コース」だ。

データから、たしかに彼は「左投手がまったく打てない打者」だ。
だが、同時に彼は、「カーブ(あるいはチェンジアップなど、「球速の遅い変化球」)を得意球種にしているバッター」でもある。


この逆転3ラン直後、いくつかのMLBアカウントが、「マット・アダムスはまったく左ピッチャーが打てない打者なのに、今年のサイ・ヤング賞をとることがほぼ決まっている名左腕カーショーからホームランを打った。世界の7不思議的事件だ」という意味のツイートを、マット・アダムスの貧弱な対左投手スタッツとともにアップしている。

しかし、「左打者は左投手を打てない」程度の、小学生でも言えそうなレベルの視点だけからプロスポーツの「局面」というものについて解説を加えようとすることは、あまりにも幼稚だし、根拠が薄すぎる。そもそも野球というゲームの複雑さをまるで説明できてない。


まずは大量失点した2014NLDS第1戦の7回に、カーショーがが打たれた球種を見てもらいたい。



第1戦でカーショーは、ランナーがいてもいなくてもスピードのある4シームでぐいぐい押すピッチングをしたが、ランナーがたまって得点圏にも進み、重大なピンチともなると、変化球、このゲームの場合は「スライダー」を多投して、セントルイスの粘り強い打者たちに連続タイムリーを浴びてしまっている。
この第1戦の大量失点のケースでは、マット・アダムスも無死満塁で登場し、左投手カーショーの「スライダー」をタイムリーしているのだから、「左打者マット・アダムスは、左投手をまったく打てない」などという過去のデータは、第1戦の時点で既に通用していないのである。


そして第4戦。
逆転3ランを打つ7回裏のひとつ前、5回裏の打席でマット・アダムスは、先頭打者として登場。初球カーブ(見逃しストライク)、2球目4シーム(ボール)のあと、3球目のカーブでセンターフライに倒れている。
つまり、アダムスは5回の打席で「2度にわたってカーショーのカーブの軌道を見ている」わけだ。
SB NationのGrant Brisbeeによれば、カーショーは第1戦でカーブを「13球」投げたが、第4戦では逆転される7回にたどり着く前、6回までに、既に「28球」も投げている。この「カーブ多投」は、もちろんBrisbee氏が「マット・アダムスはカーショーのカーブを狙っていた」と断定する根拠のひとつになっている。


たぶんカーショーは、第1戦で肝心なピンチの場面で「スライダー」に逃げて痛打されて試合を壊したために、疲労が抜けず球速が出ない可能性が高い中3日で臨んだ第4戦の登板では、あえてスライダーを封印したのだろう。
だが、こんどは「カーブを狙い打ちされて、ふたたび撃沈した」というわけだ。


カーショーがカーブを多投した原因は、ドジャース監督で元ヤンキースのドン・マッティングリーの起用にも原因がある。
なんといったって、第4戦でヤシエル・プイグをスタメンから外したのも、往年のキレのないカール・クロフォードを2番に起用して得点力を低下させたのも、中3日の「疲労が抜けていないカーショー」を第4戦で登板させ、6回まで無失点に抑えてくれたというのに、欲張って7回も引っ張って投げさせたのも、原因はこのマッティングリー、その人なのだ。
そりゃ、中3日の疲労で4シームの球速の出ないカーショーが、いつものような4シームで抑え込むピッチングができず、ゆるいカーブを多用したピッチングに切り替えざるをえなかったのも、うなづける、というものだ。
そのカーショーを「まだ7回もいける」と判断したのは、明らかに「欲張り過ぎ」だ。
マッティングリーは、左投手を苦手どころか、むしろ得意にしている左打者イチローをまったく左投手先発ゲームで起用しようとせず、2014年のポストシーズン進出をむざむざ逃した無能なジョー・ジラルディともども、「左打者は左投手を打てない」などという単純な図式、過去の古びたカビ臭い常識にとらわれた、頭の硬い監督ということもいえる。


投手が打たれる仕組み、それは
配球だけが全てなのではない。

damejima at 10:09

October 10, 2013

Peter Gammonsの名前を冠したGammons Dailyと、Baseball Analyticsという2つのブログに、まったく同じ10月9日付けで、この2013シーズンにおいて「最も待球している打者ランキング」と、「最もスイングしてくる打者ランキング」が別々の2つの記事として掲載された。
これら2つのサイトは姉妹サイトみたいなものなわけだが、もし2つの記事が意図的に作成されたものなら、むしろ、2つのランキングをひとつの記事の中に併記し、それについて見解を述べる「ひとつの記事」を書くはずだから、たまたま2つのランキングが「別々の意図から、別々の記事に」作られたのだろう。

それにしても、この2つのランキング、並べて眺めると、なかなか面白い。なぜって、2つを同時に眺めることでしか気がつかない点がたくさんあるからだ。

2013年ポストシーズン
待球打者ランキング ベスト15
(数字は左から、打率、wOBA、P/PA)

Daniel Nava (BOS) .200 .334 6.14
Jon Jay (STL) .154 .248 5.25
Brian McCann (ATL) .000 .135 5.00
Josh Reddick (OAK) .200 .273 4.81
Brandon Moss (OAK) .133 .278 4.72
Stephen Vogt (OAK) .231 .291 4.57
Justin Upton (ATL) .143 .279 4.56
Jarrod Saltalamacchia (BOS) .300 .342 4.55
David DeJesus (TB) .231 .329 4.50
Wil Myers (TB) .100 .120 4.48
Carlos Beltran (STL) .286 .482 4.47
Yoenis Cespedes (OAK) .389 .464 4.44
Evan Gattis (ATL) .357 .371 4.44
Austin Jackson (DET) .133 .179 4.44
Seth Smith (OAK) .417 .462 4.38

元資料:Article by Daniel Bailey Patience in the postseason; Daniel Nava leads the way - GammonsDaily.com

2013年ポストシーズン
スイング率の高い打者ランキング ベスト15
(数字は左から、Swing%、打率)

Delmon Young (TB) 70.6% .333
Juan Uribe (LAD) 65.2% .333
Stephen Vogt (OAK) 63.9% .143
Prince Fielder (DET) 61.5% .125
Jose Iglesias (DET) 61.3% .538
Evan Gattis (ATL) 59.6% .500
Yoenis Cespedes (OAK) 58.8% .500
Torii Hunter (DET) 58.3% .143
Jacoby Ellsbury (BOS) 57.1% .556
Justin Morneau (PIT) 56.7% .294
Freddie Freeman (ATL) 56.4% .333
Marlon Byrd (PIT) 54.9% .333
Chris Johnson (ATL) 54.5% .333
Starling Marte (PIT) 53.9% .188

元資料:Article by Bill Chuck - Managing Editor | Baseball Analytics Postseason Batting - It's Hanley and Everyone Else - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics


2つのリストの比較
上の図で太字で示したのは、2013ポストシーズンにおいて「打率が.300を越えているバッター」だ。
明らかに、「スイング率ランキングの打者」のほうが、「待球打者ランキングの打者」より、打率において優れている
もちろん、短期決戦においては、たとえ打率が低くても、決定的な場面でピンポイントに出塁した打者や、決定的なタイムリーやホームランを打ってくれたバッターにも価値が認められるわけだが、2つのランキングを見ればわかるとおり、サヨナラホームランや逆転タイムリーを打ったような「劇的な打者」の数は、明らかに「待球する打者」より「スイングする打者」のほうが、はるかに多い。
まさに、このブログのスローガン通り、「スイングしなけりゃ意味がねぇ」といえそうなのが、2013ポストシーズンなのだ。

ひたすら待球するOAK
両方のリストに同時に名前が載っているのは、ステファン・ボグト、ヨエニス・セスペデス、エヴァン・ギャティスの3人だけだが、うち2人がオークランドの選手なのは、どうやら偶然ではなさそうだ。なぜなら、「待球打者ランキング」になんと全チーム最多の「5人」ものオークランドのプレーヤーの名前があるからだ。
2013ポストシーズンを戦うにあたって、オークランドが「待球する」というチーム方針を明確に打ち出しているかどうかは正確にはわからないが、少なくとも数字上からはそういう傾向がハッキリ垣間見える。
これだけチーム全体に待球傾向が強く出ているオークランドのバッターの中で、待球しながら高い打撃数字も残しているセスペデスの才能は、やはり並外れたものがある。
そうなると、ALDS第4戦、オークランド1点ビハインドの8回表、無死満塁のチャンスで、「待球打者ランキング第4位」であるはずのジョシュ・レディックが押し出しのかかったフルカウントで、リリーフ登板でコントロールが最悪だったマックス・シャーザーの投げた「インコースの明らかなボールの変化球」にうっかり手を出して空振り三振し、ゲームの流れをデトロイトに完全にもっていかれてしまったのは、明らかにチーム方針に反したミスだ、ということになる。



特徴のないSTL
「待球打者ランキング」にのみ、ジョン・ジェイ、カルロス・ベルトランの2人の選手の名前があり、「スイング率ランキング」には誰の名前もない。よくいえば、普段どおりの野球をやっている、といえるし、悪くいうと、戦略面での驚きがみられない。いつも通りのカーズである。

やたらとスイングしたがるDETPIT
「待球傾向」の強いオークランドとまったく逆で、「フリースインガー傾向」が明確なのが、デトロイトとピッツバーグだ。特に、デトロイトのギャップは酷い。
デトロイトでは、「待球ランキング」にはオースティン・ジャクソンの名前だけしかないが、「スイング率ランキング」の上位には、フィルダー、イグレシアス、ハンターと3人もの名前が挙がっている。いかにデトロイト打線がやみくもに空振りし続けているか、そして、いかに上位打線のバットが湿っているか、数字の上からもハッキリわかる。
それに、やたらと待球しているらしいジャクソンにしても、そもそも待球型打者ではなく、早いカウントからインコースを狙い打って数字を残してきたバッターなのだし、このポストシーズンに限ってあえて待球を増やさせるような指示をしたことで大スランプに陥っているフシがある。
ピッツバーグも、デトロイト同様の傾向がある。「待球ランキング」には誰も載っていないが、「スイング率ランキング」にはモーノー、バード、マルテと、3人の名前がある。モーノーがやたらとスイングしたがる打者だった記憶はないわけが、ピッツバーグは今後も彼を4番で使い続けるだろうから、彼のバッティングが浮上するか沈没するかは、チームの明暗を分けることになる。

予想外にも待球しないBOS
ア・リーグで、「チーム方針として、最も待球を野手全員に徹底しているチーム」といえば、いうまでもなくボストンだ。チーム全体のP/PAが4を越えるようなチームは、ボストン以外にありえない。
だが、2013ポストシーズンにおける「待球打者ランキング」では、ダニエル・ナバを除けば、ボストンの主軸打者たちの名前は全くない。
これは非常に面白い。なぜなら、あれだけレギュラーシーズンで待球しているチームなわけだし、「2013ポストシーズンで、これほど早いカウントからでも打ってきている」という事実は、ボストンの内部に対戦相手に関するよほどのデータ的な裏付けと確信がなければやらない戦略だろう、と思うからだ。

イラついて自分を見失ったATL
例年どおり、地区シリーズで早くも敗退したアトランタだが、「待球打者ランキング」に、ブライアン・マッキャン、ジャスティン・アップトン、ギャティス、3人の名前がある一方、「スイング率ランキング」に、ギャティス、クリス・ジョンソンの名前がある。
マッキャンとアップトンのポストシーズンでの不振は、明らかにアトランタ敗退を招いた原因のひとつだが、ポストシーズンのゲーム中のマッキャンの「イライラぶり」を思い出してみると、マッキャンとアップトンがポストシーズンでの球審の「ゾーン」や「判定」に納得できず、イラついてばかりいたことが想像できる。
だが、ゾーンに納得がいかないからといって自分のバッティングを見失ってしまっては、元も子もない。来季に向けたヤンキースの獲得リストにマッキャンを入れたがる人が多いが、同意しない。そんなに打てるバッターとも思えないし、そもそもリードにもキャッチングにも冴えがない。

勢いを殺さないのが秘訣のLAD
LADでは、「スイング率ランキング」第2位に、たったひとり、NLDS第4戦で逆転2ランを打ったホアン・ウリーベの名前があるだけだ。
彼がどれだけ「打ちたがりな性格」なのか考えると、アトランタとのNLDS第4戦、1点リードされた8回の無死2塁の打席で、監督ドン・マッティングリーはウリーベに2度も送りバントさせようとしたわけだが(2度とも失敗)、この采配がどれだけウリーベの「性格と適性」にあっていないかが、彼のスイング率データの高さからわかる。
2度バントをミスったウリーベがヒッティングに切り替えて、カウント2-2から高めのストレートを思いっきりひっぱたいたときの姿は、明らかに「無死2塁のチャンスだというのに、むいてないのがわかりきってるバントなんてものをやらされたウリーベが『鬱憤』を晴らす鼻息の荒さと大量のアドレナリン」が見てとれた(笑)




damejima at 02:15

July 17, 2013

ヤシエル・プイグ2013打率・全投手・全球種Yasiel Puig Hot Zones - ESPN
data generated in 07/16/2013


これは6月にデビューしたドジャースの新星ヤシエル・プイグの、2013シーズン、全投手全球種のホットゾーンだ。これでは投手は投げるコースがない。いわゆるPlate Coverageはパーフェクトに近い。
資料:Miguel Cabrera’s Ridiculous Plate Coverage | FanGraphs Baseball

だが、そんな彼でも、ちょっと詳しく見ていくと、「特徴」はすぐに見つかる。彼が圧倒的に強いのは、「インコース」と「スピードボール」なのだ。

特にインコースの強さはずば抜けている。たとえ内側に少々食い込み過ぎた球でも、それを長打やヒットにできる能力が彼にはある。

1)長打のほとんどは、「インコース」が多く、「真ん中」も打てる。アウトコースの長打は少ない

2)得意球種はスピードボール。特に苦手だろうと推測できる球種は見当たらないが、外のボールになる変化球に多少苦手意識がある可能性はある

ヤシエル・プイグ2013長打・全投手・全球種2013シーズン長打
全投手・全球種のHotzone

さすがにアウトコース低めを長打にすることはできないらしい。アウトコースの得意なボルチモアのマニー・マチャドとはタイプがまったく異なる。


ヤシエル・プイグ2013速球打率・全投手2013シーズン打率
全投手・スピードボールのHotzone

この選手は、速球に本当に強い。速球に関しては、選球眼もある。これでは、ピッチャーはたとえ低めに速球を集めたつもりでも、やられてしまう。
どうしてもストレートを投げたければ、高めの釣り球でも投げるしかないのだろうが、コントロールをミスるだけでやられる怖さがあるから、なかなか投げにくい。「投げにくいなぁ、怖いなぁと、ビビりつつ置きにいった高めの釣り球」なんてものは、コントロール・ミスしやすいし、スピードがなくて垂れてストライクになった日には、目も当てられない。


最近10試合のデータがこちら。
急激にホットゾーンが減少したのがハッキリわかる。

ヤシエル・プイグ最近10試合・全投手・全球種最近10試合の打率
全投手・全球種のHotzone

あいかわらず打てているのは、「インコースのボール球」と「アウトロー」で、内と外の両極端なコースに分かれている。
バッティングデータが揃ってきて、相手投手にもともと苦手意識のあったアウトローを攻められるようになってきて、なにくそ、関係ねぇぜとばかりに、そのアウトローを集中的に打ち返そうとしている間に、調子全体を落としつつあること」が、よくわかる

実は、7月のプイグは、54打数15安打で、二塁打3本、ホームラン1本と、普通の「いい打者」になり、さらにオールスターブレイク前の4試合に限ると、16打数4安打で、長打は1本も打てていない。
Yasiel Puig 2013 Batting Splits - Baseball-Reference.com

ボルチモアのマニー・マチャドは、プレートから離れて立って、アウトコースの球に踏み込むことで二塁打量産に成功したが、同じようにプレートから離れたスタンスで構えるヤシエル・プイグは、あえて踏み込まずに、どうやらそのままの位置でスイングすることでインコースを打ち、長打を量産したようだ。

少なくとも、プイグが長打に関して「インコースを狙い打ちしている」ということがわかった以上、ヤシエル・プイグが6月のような驚異的な長打量産ができなくなるのは、おそらく間違いないと思う。

damejima at 04:37

July 16, 2013

イチローの出ないオールスターにまるで興味がわかない。
たまには冷たいカフェオレでも飲みながら、古巣シアトルに戻ったラウル・イバニェスの凄い記録の話でも書こう。


1972年6月2日生まれのイバニェスは、今年41歳。前半戦で24本のホームランを打っている。凄まじい記録だ。

何度も書いているように、去年2012年のヤンキースがかろうじて地区優勝できたのは、Aロッドグランダーソンがスタメンすら外されるほど全く打てなくなり、スウィッシャーも下降線、テシェイラは8月27日を最後にDL入りで9月は不在、怪我を押して頑張ってくれていた最後の頼みの綱のジーターすら欠場してしまうという非常事態の中、イバニェスとイチローの神がかり的なバッティングがあったからだ。
その功労者イバニェスと再契約せず手放して、では外野手は獲得しないのか、と思えば、LAAでくすぶっていたバーノン・ウェルズなんぞを獲得してきてしまうのが、ヤンキースGMブライアン・キャッシュマンという男なのだが、イバニェスが鬱憤を晴らすように打ちまくり始めたのは、2013年5月以降のことだ。


41歳のシーズン、前半戦だけで24本のホームランというのが、どのくらい凄い記録かは、以下の図を見るとわかる。
バリー・ボンズの名前がランキング内にチラホラある。だが、ステロイダーの記録をマトモに扱う必要を感じないから、こういう扱いにしてある。以下の記述では、バリー・ボンズという選手の記録は「無いもの」として記述していることを了解されたい。


39歳以上のシーズンホームラン歴代記録
39歳以上のシーズンホームラン歴代記録
data generated in 07/14/2013 via Batting Split Finder - Baseball-Reference.com(以下同じ)

39歳以上のメジャーリーガーで、最も多くのホームランを打ったのは、MLB記録755本をもつハンク・アーロンの「45本」だ。
アーロンは、最後に40本を打った「39歳」の1973年と、翌1974年の2シーズンは外野守備についているが、ミルウォーキー・ブリュワーズに移籍した1975年以降は、ほぼDHで、ホームラン数も20本以下に落ちている。だから、「39歳での40本」が、ホームラン・キングとしての彼の「最後の輝き」といえる。


さて、ラウル・イバニェスだ。
41歳の今年、前半戦だけで「24本」のホームランを打った。

守備負担のないDHだったエドガー・マルチネスが、キャリアの曲がり角である「39歳」以降に打った最多のホームラン数は、2003年40歳での「24本」だから、守備も曲がりなりにこなしつつ、同じホームラン数を打った41歳のイバニェスは、既にエドガー晩年を超えている。
Edgar Martinez Statistics and History - Baseball-Reference.com
ちなみにイバニェスは、ヤンキースでの2012年後半戦に、シアトルでの2013年前半を加えると、「32本」のホームランを打っている(図でのLast 365daysという項目がそれにあたる。シーズンをまたいだ数字だから参考記録ではある)。これはテッド・ウィリアムズウィリー・メイズの晩年を超えた数になっている。

このランキングを、「40歳以上」、「41歳以上」と、さらに年齢を限定していくと、41歳で24本のホームランを打つことの意味がより鮮明になってくる。

40歳以上のシーズンホームラン歴代記録
40歳以上のシーズンホームラン歴代記録


41歳以上のシーズンホームラン歴代記録
41歳以上のシーズンホームラン歴代記録


数字を眺めた結果、41歳ラウル・イバニェスの2013シーズン後半の大目標が、次のような極めて具体的で、数少ないターゲットであることがわかってくる。今シーズンが彼の輝かしい勲章のひとつになることは、おそらく間違いない。

ラウル・イバニェス 2013年 41歳 24本(前半戦終了時)
Raul Ibanez Statistics and History - Baseball-Reference.com
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Ted Williams 1960年 41歳 29本
Ted Williams Statistics and History - Baseball-Reference.com
Darrell Evans 1987年 40歳 34本
Darrell Evans Statistics and History - Baseball-Reference.com
Hank Aaron 1973年 39歳 40本
Hank Aaron Statistics and History - Baseball-Reference.com


damejima at 23:49

June 09, 2012

注意してほしいのは、以下に示す話が、アンパイアの判定がいかにいい加減でブレるか、というサンプルを残す目的で書くのではないことだ。肩を壊して球速の落ちたメッツ出身のジェイソン・バルガスもそうだが、様々な理由によって球威が失われたピッチャーにとって、「バッターのインコースを突く」こと、そしてコントロールが、いかに生命線であるかを示しておきたいだけのことだ。


サブウェイシリーズは、もちろん今でこそインターリーグのヤンキース対メッツ戦をさすわけだが、歴史的にみるなら、かつてニューヨークに本拠地を置いていたチームといえば、1958年に西海岸に移転したドジャース、またはジャイアンツなわけで、細かいことを言わせてもらえば、本来のニューヨーク対決は、ドジャースかジャイアンツがかつての故郷ニューヨークに戻ってきてヤンキースとゲームをやることのほうが、よほど由緒がある、という部分がなくもない。(現実には、黒田とラッセル・マーティンの元ドジャースコンビが、ヤンキース側のバッテリーだったりした)
特に、20世紀初頭にヤンキースとの間で本拠地ポロ・グラウンズの使用をめぐるイザコザのあったジャイアンツが、ニューヨークに戻ってきてゲームをやるのは、なにか1世紀にもわたる因縁試合じみていて面白い(笑)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年3月21日、1958年ドジャース、ジャイアンツ西海岸移転に始まる「ボールパーク・ドミノ」  (1)エベッツ・フィールド、ポロ・グラウンズの閉場
まぁ、そんな話はともかく。


シティ・フィールドでの前の登板でノーヒット・ノーランを達成し、サブウェイシリーズに臨んだメッツ先発ヨハン・サンタナは、2回にロビンソン・カノーに2ランを浴びてリードを許したものの、3回には立ち直って先頭打者カーティス・グランダーソンをインコースのストレートで見逃し三振、次のマーク・テシェイラも同じくインコースの球で内野ゴロにしとめ、3人目のアレックス・ロドリゲスを1-2と追い込んで、またもやインコース一杯に90マイルのストレートを投げて、自信があったのだろう、ダグアウトに帰りかけた。
New York Mets at New York Yankees - June 8, 2012 | MLB.com Classic

2012年6月8日サブウェイシリーズ ヨハン・サンタナ対Aロッド

だが球審Chris Guccione(クリス・グッチョーネ。同名のオーストラリア人のテニスプレーヤーとは別人)の判定は、「ボール」。

MLBの右バッターの典型的なストライクゾーンは、インコース、アウトコースともに、ルールブック上のゾーンからボール1個分くらい広いわけだが、毎度おなじみBrooks Baseballのデータでみると、たしかにこの球、ほんのわずかだが、内側に外れている。
2012年6月8日サンタナのAロッド4球目PitchFXデータ
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool
だが、上の図で、赤い円をつけて示した部分を見てもらうと、緑色の▲(サンタナの投球のうち、見逃された球で「ボール」判定の球)がゾーン内、あるいはゾーンぎりぎりに点在していることでわかるように、今日の球審Chris Guccioneのストライクゾーンは、ストライクゾーン一杯の球はほとんとストライクコールしなかった。(同様に、ヤンキース先発黒田の左バッターのアウトコース一杯のストライクとも思えるギリギリ球も、ほとんど「ボール判定」されていた)


4球目のギリギリの球をボール判定され、カウントが2-2になって、サンタナはどうしたか。
4シームをもう少しインコースに寄せて、ゾーン内に決まるストライクを投げたのである。

結果、Aロッドはシングルヒット。

サンタナはその後、
カノーに2本目の2ランを打たれて崩れた。
ニック・スウィッシャー、ソロホームラン。
アンドリュー・ジョーンズ、ソロホームラン。

たった1球。されど1球。
怖いものだ。
特に、スウィッシャーに打たれたホームランは、インコースの「ルールブック上のストライクゾーン一杯」に4シームを投げて打たれたホームランだけに、悲哀がある。

だが、たとえ、インコース一杯に自信をもって投げた球を、ストライクゾーンの狭い球審にボール判定されてしまったからといって、怪我で球速が失われているヴェテラン投手としては、バッターをかわすために、勇気を振り絞ってインコースに投げこまないわけにはいかないのである。
いわば「インコースへの義務感」である。
ノーヒット・ノーランなどの大記録の後の登板は、えてして打たれまくるとか、そんなくだらない通俗的な話はどうでもいい。

きわどいところをとってくれない球審に当たったジェイソン・バルガスが打たれまくるときと、まったく同じ現象を見るようで、繰り返しホームランを打たれては、息を大きく吐いて自分を落ち着かせようとするサンタナを見るのはなかなかに辛いわけだが、これも今のサンタナの置かれた現状としてはしょうがないのである。ここでアウトコースに逃げるようでは、この先の彼のキャリアは先細ってしまう。


どんな辛いときでも、仕事に出かけていく。
それが「父ちゃん」というものだ。

次回の登板でも、そしらぬ顔をしてバッターのインコースをガンガン突きまくるヨハン・サンタナを見たい。

damejima at 11:39

June 02, 2012

ノーヒット・ノーラン達成の歓声に応えるヨハン・サンタナ

メッツのヨハン・サンタナが、セントルイス相手にノーヒット・ノーラン達成。これは1962年のメッツ創設以来、半世紀を経て、初の快挙 (8020試合での達成)
これまでメッツでは、1975年にメッツ在籍時のトム・シーバーがノーヒットを維持したまま9回まで行ったことはあったらしいが、そのときは達成できなかった。 (その後トム・シーバーは1978年に、メッツでなくシンシナティでノーヒット・ノーラン達成。奇しくも、サンタナと同じセントルイス戦)

動画(MLB公式):St. Louis Cardinals at New York Mets - June 1, 2012 | MLB.com Video

St. Louis Cardinals at New York Mets - June 1, 2012 | MLB.com Wrap

サンタナの快挙は、長い長い怪我での休養から復帰して、4シームが88マイルしか出ない中、4シームとパラシュート・チェンジアップを駆使して134球もの球数を投げる中での偉業であり、心からおめでとうと言いたい。
この歴史的なゲームを見ていた人はわかったと思うが、この快挙は、ゲーム終盤、右バッターのインコースを果敢に攻めまくった結果だ。

やはり、バッターから逃げていては、快挙は達成できない。

ESPNのジェイソン・スタークによれば、134球でのノーヒット・ノーラン達成は、2010年6月25日タンパベイ戦で達成したアリゾナのエドウィン・ジャクソンの149球に次いで、史上2番目の球数の多さらしい。
June 25, 2010 Arizona Diamondbacks at Tampa Bay Rays Play by Play and Box Score - Baseball-Reference.com



この「134球を投げてのノーヒット・ノーラン達成」という球数の多さが、いかにヨハン・サンタナが故障に苦しんできたかという証でもあるだけに、かえって「誇らしい数字」と、彼の偉業をたたえたくなる。

サンタナは、もともとジャスティン・バーランダーのような100マイルを投げられる速球派ではなく、4シームとチェンジアップの緩急でかわしていくタイプだが、それでも、サイ・ヤング賞を2度獲ったミネソタ時代には93マイル程度のスピードボールは投げていた。
だが、メッツ移籍以降は、膝、肘、肩と、絶え間ない故障に悩まされて、2011年などは一度も投げられず、このゲームでも、4シームのスピードは88マイルしかなかった。

それだけに、今回の快挙には涙が出る。



ニューヨーク・メッツ創設は、1962年。
既に書いたように、例の「1958年のドジャースとジャイアンツ西海岸移転」で、ニューヨークに存在する球団がヤンキースだけになってしまったとき、急遽つくられた球団だ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「1958年の西海岸」 特別な年、特別な場所。

メッツ創設に尽力したのは、弁護士ウィリアム・A・シェイで、1964年に本拠地ができたときには、シェイ・スタジアムと、彼の名前がつけられた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年3月21日、1958年ドジャース、ジャイアンツ西海岸移転に始まる「ボールパーク・ドミノ」  (3)キャンドルスティック・パーク、ドジャー・スタジアム、シェイ・スタジアムの開場
メッツのチームカラーのうち、青はドジャース、黒とオレンジはジャイアンツのチームカラーから取った、という有名なエピソードも、要するに、「ニューヨークから去ったドジャースとジャイアンツのファンを、新球団メッツのファン層として取り込みたいというマーケティング的な思惑」からきたものだ。

1962年の創設以降、しばらくお荷物球団と言われたメッツだが、ミラクルメッツと呼ばれるようになったのは、1967年に入団し1977年まで在籍、メッツでサイ・ヤング賞を3回も受賞した殿堂入り右腕トム・シーバーや、シーバーと同じ67年に入団し78年まで在籍した左腕ジェリー・クーズマンの活躍による。

トム・シーバーは、1978年6月16日に、ヨハン・サンタナと同じセントルイス戦でキャリア唯一のノーヒットノーランを達成しているが、このときシーバーは1977年に移籍していたシンシナティの所属選手で、メッツでの達成ではない。
(ちなみに、トム・シーバーがノーヒッター達成した時のシンシナティのラインナップは、1番ピート・ローズ、2番ケン・グリフィー・シニア、3番ジョー・モーガン、など、錚々たる顔ぶれ)
June 16, 1978 St. Louis Cardinals at Cincinnati Reds Play by Play and Box Score - Baseball-Reference.com


怪我を乗り越え、88マイルしか出ないスピードボールとチェンジアップだけで達成したノーヒット・ノーラン。

ヨハン・サンタナに心からの拍手を贈りたい。

damejima at 12:29

May 25, 2012

マイアミ・マーリンズのキャッチャー、ブレット・ヘイズは以下にみるように、マーリンズのキャッチャー受難史を乗り越えてマスクをかぶっている期待の星「だった」わけだが、今日も今日とて、記録上はワイルドピッチの実質パスボールや、三本間の挟殺プレーでサードランナーを追いすぎてセーフにしてしまったりと、なんともいえない未熟ぶり。やれやれ(苦笑)
San Francisco Giants at Miami Marlins - May 24, 2012 | MLB.com Gameday

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ジョン・ベイカー John Baker
2002年ドラフト4巡目指名。2008年メジャー昇格。
2009年、2010年と、ロニー・パウリーノと併用された。相手先発が右投手の場合は左バッターのベイカーが先発し、左投手の場合は右バッターのパウリーノが先発した。
2010年に肩を負傷し、シーズン終盤にトミージョン手術を受ける。後にサンディエゴにトレード。

ロニー・パウリーノ Ronny Paulino
2009年3月にサンフランシスコからトレード。
当初ベイカーと併用されていたが、ベイカーの肩の怪我によるDL入りにより、単独で正捕手になる。しかし、2010年8月20日に薬物違反による50試合の出場停止処分を受けてしまい、チームにメジャークラスの捕手がいなくなる非常事態の発端を築いた。後にFAでメッツ移籍。
Paulino suspended for positive PED test | MLB.com: News

ブレット・ヘイズ Brett Hayes
メジャー昇格前は、ベイカー、パウリーノの後を継ぐべき将来の正捕手候補と嘱望され、大事に育てられていた。
2010年夏に、ベイカーの怪我を受けて単独正捕手になったパウリーノが薬物問題で出場停止という緊急事態が発生すると、2010年8月20日以降、経験の浅いヘイズがマーリンズの正捕手を務めることになった。
だが、そのヘイズも、正捕手になってわずか10日ばかりたった8月31日のナショナルズ戦で、外野手ナイジェル・モーガンにタックルされて左肩を脱臼、シーズンを棒に振ってしまうことになる。
チーム内には、ただでさえ足りない貴重なキャッチャーを壊したモーガンに対する憤りが渦巻いた。



Brett Hayes 2010 Batting Gamelogs - Baseball-Reference.com

参考)
ブレット・ヘイズの怪我に対する報復事件
2010年9月1日 ナショナルズ対マーリンズ戦
ブレット・ヘイズが肩を脱臼した翌日のゲームは、ナショナルズが3-14の大量リードを奪われていたが、4回表、マーリンズ先発クリス・ヴォルスタッドが、ナイジェル・モーガンにデッドボール。明らかに、前日のゲームで自軍キャッチャーの肩を脱臼させられたマーリンズ側の、モーガンに対する「報復死球」とみられた。ここから報復合戦が始まる。
ぶつけられて出塁したモーガンは、「大量点差の状況では、盗塁はしない」という「MLBの不文律」を故意に破り、二盗、三盗を立て続けに決め、「報復死球」に対して、さらに「不文律に反する盗塁、それも、2連続の盗塁」で報復した。
6回表、モーガンが再び打席に立つ。すると、マーリンズ先発ヴォルスタッドは、再びモーガンの背中側を通過する球を投じた。モーガンは即座に血相を変えてマウンドに駆け寄ると、拳(こぶし)でヴォルスタッドを殴ったため、両軍ベンチが空っぽになるほどの乱闘に発展。4人の退場者が出た。


さらに7回裏、こんどはナショナルズのピッチャー、ダグ・スレイトンが、6回の乱闘時にモーガンを最初に地面に抑えつけたマーリンズ一塁手ゲイビー・サンチェスに「報復の報復の報復」となるデッドボール。これによってスレイトンとナショナルズ監督リグルマンが退場処分となり、退場者は合計6人を数えた。
Washington Nationals at Miami Marlins - September 1, 2010 | MLB.com Wrap

2011年7月6日、「MLBでは不文律を絶対に破らない」という不文律は、「どこにも無い」。 | Damejima's HARDBALL

参考)バスター・ポージーの大怪我
2011年05月25日マーリンズ対ジャイアンツ戦
延長12回1死1、3塁の場面、浅いセンターフライでマーリンズのサードランナー、スコット・カズンズがタッチアップ。ジャイアンツの期待の新鋭、捕手のバスター・ポージーは完全にホームをブロックしていなかったにもかかわらず、カズンズはタックルを敢行。
ポージーは左下腿腓骨骨折と左足首靱帯断裂の重傷を負い、シーズン絶望となり、一時は選手生命も危ぶまれると言われたが、2012年復帰。
Miami Marlins at San Francisco Giants - May 25, 2011 | MLB.com Wrap

ブラッド・デイビス Brad Davis
ジェイソン・バルガスと同じカリフォルニア大学ロングビーチ校の出身。2004年ドラフト5巡目指名。
2010年7月21日メジャー初昇格したものの、マイナーに戻されたが、8月になってパウリーノの薬物問題による出場停止という緊急事態が起きたことで、メジャーに緊急昇格、ブレット・ヘイズの控え捕手となった。
そして8月31日にヘイズの肩の脱臼というさらなる緊急事態が発生したために、2010シーズン終盤のマーリンズは、本来メジャーの選手とはいえないこのブラッド・デイビスが33ゲームでマスクをかぶるという「非常事態を越える非常事態」に陥ってしまう。翌年2011年6月に戦力外。
Brad Davis 2010 Batting Gamelogs - Baseball-Reference.com

クリス・ハッチャー Chris Hatcher
2006年にマーリンズが5巡目指名。
2010年9月にメジャーデビューしているが、これはもちろん、いわゆるセプテンバー・コールアップによる昇格ではなく、ベイカーの肩の怪我、パウリーノの出場停止、ヘイズの脱臼、マイナーのデイビスの緊急正捕手で、控えキャッチャーですらいなくなるという緊急事態に伴った措置。4試合にキャッチャーとして出場した。
後に、肩の強さを見込まれ、投手に転向。2011年7月16日にリグレー・フィールドで投手デビューを果たす。捕手の投手転向は、1936年ボストン・ブレーブスのアート・ドール以来、75年ぶりの珍事。
Chris Hatcher 2010 Batting Gamelogs - Baseball-Reference.com

ジョン・バック John Buck
2010年トロントで、打率.281、ホームラン20本と、まとまった打撃成績をおさめたことで、2011年11月18日にマーリンズとの間で総額1,800万ドルの3年契約を得た。
打撃面でも期待された3年契約ではあったわけだが、1年目の2012年はここまで124打数18安打、打率.173という不振ぶり。
John Buck 2012 Batting Gamelogs - Baseball-Reference.com

damejima at 13:40

January 29, 2012

フィリーズから巨人に入団するらしいバンクーバー生まれのスコット・マシソンイチローファンだというのでうれしくなったという、たったそれだけの理由(笑)で、軽く調べてみることにした(笑)


カナダのバンクーバーは、シアトルからインターステイト5号線を120マイルちょっと北上してカナダ国境を越え、カナダの99号線(HWY-99)で約30マイル。所要時間は2時間40分から3時間ほど。シアトルとバンクーバーは「住みやすさ」という点で共通している。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月19日、野球大好きなパール・ジャムがデビューアルバムのセッションをしたLondon Bridge Studioは、セーフコから5号線を北に16マイル。


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彼のキャリアハイライトは今のところ、彼の公式ウェブサイトに書かれているとおり、2006年3月の第1回WBC予選第1ラウンドで、カナダ代表として1イニング登板し無失点だったアメリカ戦だろう。(2006年3月8日 WBC Pool B Game 3 CAN:USA アリゾナ チェースフィールド)
ScottMathieson.com • Biography

このゲームでカナダは、当時のMLBオールスタークラスの現役選手を揃えたアメリカチームを、8-6で破る金星を挙げている。(ちなみにカナダ先発Adam Loewenは、かつてボルチモアのトッププロスペクトだった左腕。3回2/3を投げ勝ち投手になったが、後に外野手に転向)
World Baseball Classic: Box Score: Canada vs USA March 08, 2006

このゲームのアメリカチーム、なかなかのメンバーだ。(よくWBCにおけるアメリカチームは辞退者続出のせいもあって手抜きをした、本気じゃないとワケ知り顔で語る人がいるが(笑)、どこをどう勘違いしているのだろう。調整不足はともかくとして、メンバー的には十分、本気だ)

1B マーク・テシェイラ
2B マイケル・ヤング(→チェイス・アトリー)
3B アレックス・ロドリゲス
SS デレク・ジーター
RF バーノン・ウェルズ(→ジェフ・フランコーア)
CF ケン・グリフィー・ジュニア
LF マット・ホリデイ
DH デレク・リー
C  ジェイソン・バリテック
P ドントレル・ウィリス、マーク・レスター、ゲイリー・マジュースキー、ブライアン・フエンテス、ジェイミー・シールズ、ヒューストン・ストリート
2006World Baseball Classic: United States: Rosters

2006年第1回WBC予選第1ラウンド カナダ対アメリカ


このゲームでマシソンは、カナダ2点リードの8回裏にリリーフし、なんとか無失点でイニングを終えて、いちおうチームの勝利に貢献したが、1イニングで四球を2つも出している。
20球投げて、ストライク11に対し、ボール9。どうやらマシソンというピッチャー、コントロールが悪いらしい。彼のメジャーでのWHIPは1.886と酷い数字なのだが、WBCでの登板も、残念ながら、まさにスタッツどおりの内容だ。
彼のコントロールの悪さは、フィリーズ在籍当時のスカウティングレポートでもかなり手厳しく指摘されている。(下記リンクはPECOTAのような専門シンクタンクの分析ではないことに注意。あくまで参考程度)
3rd & Longenhagen: MLB Prospect Scouting Report: Scott Mathieson
ストレート系
That velocity is great but the fastball is very flat. It has no sink.(速度自体は素晴らしいのだが、棒球。沈まない)
カーブ
Mathieson threw a handful of good ones but he doesn’t often know where it’s going and it’s flat.(数多く投げるものの、コントロールが悪いし、単調だ)
スプリッター
it sure looked nasty enough to be an effective major league pitch.(なかなか素晴らしい。十分メジャーで通用)


ストレート系を評価するときに、「ボールが微妙に動くかどうか」を問題にするあたりが、とてもMLBらしい。たとえストレート系であっても、2シームやカットボールのようにどれだけボールが打者の手元で動くかが、MLBでの投手評価のポイントになっていることが、よくわかる。単調なストレートしか投げられない投手ばかり生産したがるシアトルのマイナーのコーチに、この話を聞かせたいものだ。
スコット・マシソンの評価は他に、スロースターターだと言われていたのがブルペン投手としてどうなんだろうとは思うし、また、肘に故障を抱えているらしいのも気になる点だが、それなりに早い球が投げられて、スプリッターが切れるらしいし、まぁコントロールが多少マトモになって、イチローファンの彼に良い結果が残ることを一応期待しておきたい。


ちなみに、スコット・マシソンがかつてMLBにドラフトされる前に所属していたブリティッシュ・コロンビア州のユースチームLangley Blazeは、スコットの父親、ダグ・マシソン, Doug Mathiesonが作ったチーム。ダグ・マシソンは、カナダ球界でよく知られた存在で、「ブリティッシュ・コロンビア州で最も影響力のある野球人100人」にも選ばれている。
このユースチームには、かつて2009年12月のクリフ・リーがフィリーズに移籍した複数球団間トレードで、シアトルがPhillippe Aumontなどとともにフィラデルフィアに放出したTyson Gilliesも所属していた。
Baseball BC - Top 100 Influential Canadians in Baseball

Lawrie, Mathieson top Canucks in minors | Baseball | Sports | Toronto Sun

damejima at 11:16

December 21, 2011

以下のESPN Bostonの記事、最近書き続けている「数字野球批判」にもちょっと関係するし、日本の野球には存在しないタイプのエピソードだと思うので、後々のためにメモを残しておこう。
Source: Theo can't hire from Sox for 3 years - Boston Red Sox Blog - ESPN Boston


知ってのとおり、2011年シーズンの最後の最後に悲惨な3位陥落劇を演じたボストンを「クビになった」というか「抜け目なくカブスに脱出した」テオ・エプスタインだが、5年契約でカブスのプレジデント、つまり「GMより偉い立場」に抜擢された。

この、日本ではほとんど例のない「GMの他チーム移籍」については、どうもボストンとカブスの間で、「ボストン側が、FA選手獲得の場合と同じように、エプスタインの人的補償として、カブスからプロスペクトを獲得する」という合意が成立していたらしい。
この「ボストンのGMとプロスペクトの交換」についてESPN Bostonのローカル記事は、making a killing、「ボロ儲け」と表現して、不快感を露わにしている。
だが、この取引、「ボストン側だけが、ボロ儲けできる仕組み」だったわけではなくて、テオ・エプスタイン側もボストンから「自分の息のかかったスタッフ」をカブスにさらっていく合意をあらかじめ取り付けているという、ある種の「バーター取引」になっている。



つまり、要は「テオ・エプスタインのカブス移籍」には、もともとある種の「談合の空気」があったのである。
テオ・エプスタインは、カブス移籍にあたって、緊密な連絡をとりあっていた他チーム(レッドソックス、パドレス)の親しいGMやスタッフを、自分のカブス移籍にあわせて次々に引き抜いていった
例えば、パドレスからは、GMのジェド・ホイヤーを引き抜いてカブスのGMに就任させたばかりか、GM補佐のジェイソン・マクロードまで引き抜いた。(この引き抜きがご破算になるかどうかまでは、上の記事ではわからない)
またボストンからは、エリア・スカウトを務めていたMatt Doreyをカブスに引き抜いて、national cross-checker(=「分析責任者」とでも訳せばいいか)に抜擢しようとした。(この引き抜きはセリグの「待った」によってご破算になる)
加えて、ボストンの後任GMに決まったベン・チェリントンは、もともとボストンのGM補佐としてテオ・エプスタインの腹心の部下だった人物であり、また、なんとパドレスの後任GMのジョシュ・バーンズも、かつてテオ・エプスタインの部下だった経歴をもつ。


こうした、レッドソックス、パドレス、カブスの3チームをまたいで、ある種の「セイバーメトリクス関連の人物による、談合的、馴れ合い的、人材のやりとり」が生まれつつある空気は、MLBのチーム同士の健全な独立性を著しく損なう行為であり、ブログ主も常に不快に思っていた。(それは、シアトルでいうなら、ジャック・ズレンシックが、元いたミルウォーキーと当時の人脈から、まるで廃品回収業者のように、いらなくなった選手ばかりをシアトルに回収して貯め込んでいく背任行為に似ている)



しかし、新天地カブスに、息のかかった一味(いちみ)を集合させようともくろんだテオ・エプスタインと、エプスタインの談合的人事の流れに乗じてカブスからプロスペクトをタダでガメようとしたボストンとの間で合意されていた「談合的馴れ合い人事」は、MLBコミッショナーのバド・セリグによって「拒絶された」。それが上のESPNの記事の主旨だ。

結果、ボストンは「エプスタインのカブス移籍に関して、一切の人的補償を受けられない」ことになった。(ブログ注:記事に明確には書かれていないが、今後MLBで似た事案が発生すれば、同じ判断が下されることになるだろう)
また、エプスタイン側に対しては、「今後3年間に渡り、ボストンから一切の人材獲得を禁止する」という判断が下された。
Epstein, who this week hired an area scout from the Red Sox, Matt Dorey, and promoted him to national cross-checker, will be prohibited from adding anyone else from the Red Sox for a period of three years


正直、ザマミロ、である。


そんなゴタゴタをボストンとテオ・エプスタインが引きずっている間に、ボルチモアの編成責任者に就任した元ボストンGMのダン・デュケットは、ボストンのtalent evaluator(これもまぁ分析の専門家のひとつだが、日本語にしにくい)のDanny Haasを、ボルチモアに引き抜いた。ダン・デュケット、抜け目ない男である(笑) 
Danny Haasは、デュケットがボストンGMだった時代の1997年ドラフトで18巡目で指名してボストンに入団させた選手だが、Dannyの父親、Eddie Haasは、かつてアトランタ・ブレーブスのファームの監督を長くやった人物だが、ダン・デュケットがボストンGM時代に最も信頼していたtalent evaluatorだったらしく、親子2代でのスタッフ起用になる。
こうした思わぬ人材流出は、バド・セリグに思惑を封じられたボストンにとっては、もちろん痛手。そこも、ダン・デュケットにしてみれば、してやったり、だろう。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

damejima at 09:34

October 24, 2011

童顔のくせに、あまり似合わないヒゲ(笑)をたくわえたデレク・ホランドが、ワールドシリーズ Game 4で素晴らしいピッチングを見せた。(9回も投げたが、1死から次のバッターを四球にしてしまい、降板。まだゲームは続いている その後、テキサスが勝利)
St. Louis Cardinals at Texas Rangers - October 23, 2011 | MLB.com Classic
この日のホランドの勝因は、「ストレートに頼らず、キレのある変化球を決め球にした」こと。(これは同時に、前日のストレートをホームランされまくったテキサスの敗因でもある。いい加減テキサスの投手コーチは頭を使うべき)
例えば、7回表2死で、この日唯一ヒットを打たれているランス・バークマンを見逃し三振に切ったインコース一杯の85マイルの抜いたスライダー。高速スライダーではなく、むしろ、チェンジアップかと思うような軌道で、曲がりながらフワリと落ちるスライダーに、見ていて本当に惚れ惚れしたものだ。


今年のポストシーズンが始まった10月初旬に、「このポストシーズンでは、ストレートで押す先発投手、ストレート待ちをする打者が目立つ」と書いた。
ワールドシリーズにしても、ホームランの打ち合いになったGame 3 などは、投手が誰も彼もアタマに血が上ってしまい、ストレートで押そうとしてはホームランを食らうという、プロ意識に欠けた、つまらない展開だった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年10月2日、ストレートで押すピッチャーと、ストレートを待つバッターと。ポストシーズン、ストレート勝負のゆくえ。

デレク・ホランド自身、ストレートで押せるピッチャーでもあるが、今日のホランドはまるで技巧派のヴェテランのようなピッチングをみせた。
インコースにボールになる見せ球を投げつつ、アウトコース一杯の球でバッターを追い込んでは、抜いたボールを振らせるという基本パターンで、Game 3の乱打戦で火がついたかに見えたセントルイス打線を、文字どおり撫で斬りにした。
テキサスの投手が「自慢のストレートで押そうとするピッチング」は、セントルイス打線にとっては「カモ」なわけだが、ホランドは非常に落ち着いて、まったくパワーに走らず、緩急を忘れなかった。


2010年のワールドシリーズを見ていた人は、このホランドの「落着き」を支えているのが何か、言わなくてもわかると思う。

「大舞台での失敗」だ。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月19日、やっぱりデレク・ホランドは、いい。ALCS Game 4。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月28日、得点圏のピンチで、いつもインコースから入って大失敗するダレン・オリバーとマット・トレーナーのコンビ。ALCS Game 1とまったく同じ継投ミスをしでかしたロン・ワシントン。


2010年ポストシーズンの「ヒゲのないホランド」は、ALDSはよかったものの、サンフランシスコとのワールドシリーズではいいところがなかった。
だが、その失敗を経験に変えて、翌シーズン、こんな素晴らしいピッチングを見せてくれるのだから、野球というのは本当に面白い。


投手の経験にとって「経験」が必要だとはよくある言い方だが、では、「いい投手に必要なのは、どういう経験か?」は、あまり語られない。今日のデレク・ホランドを見てハッキリわかった。「経験の定義」を書きとめておこう。

投手にとって「糧になる経験」とは、ただひたすら惨めに打たれまくることを言うのではない。大舞台、それも、できればワールドシリーズのような最高の舞台で喫した失敗や成功こそ、「好投手になるための経験」と呼ぶことができる。

今日の経験でデレク・ホランドはさらにいい投手になれるのは、間違いない。もっともっと成長して、ア・リーグの貴重なスター・プレーヤーのひとりになってもらいたい。


2011 WS Game 4 6回裏 マイク・ナポリ 3ランホームラン

上は、試合を決めたマイク・ナポリの3ラン。何が素晴らしいって、「初球」を狙ったことだ。

2011ワールドシリーズのテキサスは、たぶん去年ワールドチャンピオンになりそこねて、今年どうしても勝ちたいからだろうが、バッティングの基本方針として「出来る限りボールを見て、早打ちしないこと」を、チームの約束事にして、このワールドシリーズに臨んているような気がしてならない。
だが、ボストンのように、もともとレギュラーシーズンからバッターに待球を習慣づけている「待球型打線」ならそれでもいいが、同じ強打のチームとはいえ、テキサスの場合には「待球」は合わない気がする。テキサスはむしろ調子に乗ってくると手がつけられない打線の「ノリ」が売りのチームだし、あまりにも「ボールを見てばかりいる」と、打線が湿ってきてしまう気がするからだ。
特に、イアン・キンズラージョシュ・ハミルトンなどは初球の甘い球を見逃すことが多く、そのことでセントルイスのピッチャーにカウント的に追い込まれやすくなって、低めの落ちる変化球で凡退させられる原因になっている。

だが、この打席でのマイク・ナポリは違った。初球のインハイのストレートを、彼は明らかに「狙って打った」。

打ったのは、投手交代直後のインハイのボール球のストレート。打ったナポリは「エドウィン・ジャクソンが、自分をダブルプレーに仕留めようとして投げてくるのはわかっていた」と言い、また、打たれたエドウィン・ジャクソンは「ストレートを狙われたようだ」と話した。
よく指導者は「バッターは体を開いて打ってはいけない」というものだが、この場合に限っては、たとえ身体が開かなくても、強引に引っ張ることでヘッドが回り過ぎていたら、打球は左に切れてファウルになっていただろう。
だが、打球はほとんど切れなかった。このあたりをナポリは試合後、こう話した。
「若い頃を思い出してみると常に、俺はパワーヒッターだ、ホームラン打たなきゃって、そんなことばかり考えていたものだったけど、今シーズンは違う。コンパクトに構えて、きちんとミートするためにボールをよく見ることを、ずっと心がけてきた。もうホームランばかり狙ってるわけじゃないんだ
"This year," he said, "I've just been shortening up and just seeing the ball to contact, really. I'm not trying to hit a home run every time. I think back when I was younger, I was always thinking I was a power hitter and had to hit a home run. Now I know it's all right to hit a ball the other way through second and first."

要は、ナポリが言いたいのは、「全力でバットを振り回して打ったホームランじゃないんだよ」ということだ。


この日のナポリのプレーについては、試合を決めたシュアなバッティングだけでなく、バッテリーワークも称賛の対象になった。
デレク・ホランドも、"chemistry"(相性、親和性)という単語を使って、バッテリーワークの良さを褒め称えているし、また、ロン・ワシントンもナポリのリードを絶賛した。
よく「メジャーのキャッチャーはただの『ボールを受けるだけの壁』」などと、いまだに知ったかぶりで発言している馬鹿を見かけることがあるが、こういうインタビューをしっかり目に焼き付けたら、もう二度と人前にしゃしゃり出てこないことだ。
"We have a very strong chemistry with each other," Holland said. "We hang out off the field, on the field. We talk all the time and pick each other's brains and talk about our approach to certain hitters and what to do. He does a really good job of controlling my emotions, making sure I don't get ahead of myself. You probably saw a couple times tonight he was telling me to square up. Especially in-between innings, there were a couple times I'd throw the ball and I wasn't throwing it right where I wanted to. So he was keeping me in check, basically."
Rangers catcher Mike Napoli delivers crushing blow to Cards | texasrangers.com: News


Baseball Video Highlights & Clips | WS2011 Gm4: Holland on his chemistry with Napoli - Video | MLB.com: Multimedia

St. Louis Cardinals at Texas Rangers - October 23, 2011 | MLB.com TEX Recap



damejima at 12:05

October 14, 2011

ALCS Game 5 は、デトロイトの監督ジム・リーランドが、点をとられてばかりいる「劇場型クローザー」ホセ・バルベルデを使わないことを試合前に宣言していたゲームだったが、けして調子のよくない「雨男」ジャスティン・バーランダーが、100球を大幅に越え133球も投げて、7回1/3を粘り抜き、さらに残りの1回2/3イニングを、宣言どおりバルベルデではなくフィル・コークに投げさせて試合を締めるという「苦肉の策」を使い、やっとの思いでシリーズ2勝目を手にした。
Texas Rangers at Detroit Tigers - October 13, 2011 | MLB.com Classic
"It had been a battle all day."
---Justin Verlander
'Baseball' lives up to its name as Justin Verlander, Tigers beat Rangers in ALCS Game 5 - Joe Lemire - SI.com


このゲームの6回裏の攻撃で、デトロイト打線は珍しい記録を達成した。「連続した4人の打者による『ナチュラル・サイクル』」だ。
ライアン・レイバーン シングル
ミゲル・カブレラ ダブル
ビクター・マルチネス トリプル
デルモン・ヤング ホームラン(2ラン)

これは知らなかったのだが、サイクルヒットの中でも、「シングル、ダブル、トリプル、ホームラン」という順序、つまり「より長打になる順序で打ったサイクルヒット」のことを、「ナチュラル・サイクル(hit for the natural cycle)」というらしい。これまで1,319試合あったポストシーズンのゲームで『ナチュラル・サイクル』が達成されるのは史上初。
(注:4人の打者によって達成されたサイクルヒットのことを「ナチュラル・サイクル」と呼ぶのではないので注意。また「サイクルヒット」という言葉は和製英語であり、英語ではHitting for the cycleとなる)

これまでのMLBの歴史で、「ナチュラル・サイクル」の達成者は、両リーグ7人ずつの、計14人。(日本では1950年の藤村富美男さんが最初で、合計5人)
Hitting for the Cycle Records by Baseball Almanac

2000年代に入って以降、「ナチュラル・サイクル」を達成している打者は3人いるようだが、そのひとりが、モントリオール・エクスポズ在籍時代のブラッド・ウィルカーソン。2003年6月23日ピッツバーグ戦で達成した。
SI.com - Baseball - Wilkerson hits for natural cycle in Expos' win - Tuesday June 24, 2003 06:44 PM
2003年当時のウィルカーソンは、メジャーデビュー2年目の2002年にいきなり20ホームランを打った翌年で、スラッガーとしての将来を期待され、エクスポズのクリンアップを打つようになっていた。
Brad Wilkerson Statistics and History - Baseball-Reference.com
ウィルカーソンの「ナチュラル・サイクル」が達成されたゲームのエクスポズは、4番が、2007年2008年とシアトルでDHとしてプレーしたホセ・ビドロ、先発は大家友和投手。


後にウィルカーソンは、エリック・ベダード獲得のためにセンターのドラフト1位選手、アダム・ジョーンズを放出したことで新たな外野手を必要としていたシアトルに2008年にFA移籍した。ライトを守るウィルカーソン加入でセンターに回ったイチローは、センターでもゴールドグラブを獲得した。



damejima at 09:53

October 05, 2011

フィラデルフィアとアトランタのNLDS(ナ・リーグ ディヴィジョン・シリーズ)Game 3は、コール・ハメルズが好投したフィラデルフィアが3-2で辛くも勝ってNLCS進出に王手をかけたが、またしてもアンパイアJerry Mealsの判定を巡るトラブルがあった。

フィラデルフィアが2点リードの9回表、1死1塁で、バッターのカルロス・ルイーズが、センターへライナーを放った。
セントルイスのセンター、スキップ・シューメーカーはこの打球を見事にダイビングキャッチしてみせたのだが、ライト線審Jerry Mealsはこのファインプレーを「ワンバウンドでのキャッチ」と、ヒットと判定した。
だが、審判団は協議した後、一度出された判定を「アウト」に覆した
のである。

スコア
Philadelphia Phillies at St. Louis Cardinals - October 4, 2011 | MLB.com Gameday
動画
Baseball Video Highlights & Clips | PHI@STL Gm3: Schumaker's terrific play ruled a catch - Video | MLB.com: Multimedia
記事
Umpires overturn Skip Schumaker non-catch | MLB.com: News


さかのぼる2011年7月26日に起きた「球審Jerry Mealsのホームプレートでのタッチプレイ誤審によるサヨナラ事件」は、明らかにJerry Mealsの誤審だった。(というか、うっかりすると、「八百長」と言われかねない、あからさますぎるミス。疲労は言い訳にはできない。疲れて判定ができないのなら、アンパイアをやめて故郷に帰るべき)
ファンの誰もが怒り、数多くのメディアが「ベースボール始まって以来の劣悪な判定」と非常に厳しい批判を展開、そしてMLB機構もJerry Meals自身も「誤審」を認めるに至った。
メディアの批判記事例:FOX
Baseball's biggest blown call keeps happening - MLB News | FOX Sports on MSN
注)blownという単語
元来は「暴風や爆発で、ぶっ飛ぶこと」だが、俗語として「失敗する、台無しにする」という意味があり、また「麻薬を吸引することで、ぶっ飛ぶ」という意味もある。
だから、この単語が使われるのは、単純ミスという程度の「軽い意味」ではなく、日本の掲示板の野球俗語(笑)でも、「ありえねぇミスだぞ、このボケカスは!」とか、「マジ、とんでもねぇな、こいつぅ」「ラリってんじゃねぇぞ、コノヤロ」とか、「お下品発言」をするときの、「ありえねぇ」「トンデモない」「ラリってる」などにあたる強調言葉として、ちょっとありえないような失敗を非常に強く叱責する、というニュアンスで使われる。
たとえばクローザーならblown save=「セーブ失敗」程度だが、これがミスの許されないアンパイアになると、blown callと使われれば、「マジありえない判定やらかした」、「麻薬でもやってんのか?と言いたくなる、トンデモない誤審だ」という意味になる(笑)
だから、MLBにもアンパイアの誤審は数々あるが、Jerry Mealsの犯した19回裏の誤審のように、あらゆるマスメディアがこぞってblownという単語を使ったミスは、他に類をみない。blownという単語のみをGoogleで検索すると、Jerry Mealsの誤審の記事が検索結果のトップページに出てくるほどだ。
それほど「世紀の大誤審」なのである。

「誤審」を認めたMLB機構
MLB acknowledges Jerry Meals' missed call after Pittsburgh Pirates file complaint over 19-inning loss - ESPN
「誤審」を認めたJerry Meals
Meals: 'I was incorrect' in blown call as Pirates move on - USATODAY.com

だが、もしかすると、NLDSでの「シューメーカーのキャッチング誤審」の是非は人によっては多少意見が分かれるかもしれない。
なぜなら、このプレーはスロービデオで見ると100パーセント間違いなく「アウト」であり、事実として間違いなく「シューメーカーのファインプレー」なのだが、これをノーマルスピードで見ると、捕球した瞬間にシューメーカーのグラブがわずかにバウンドして見える錯覚のせいか、あたかも「ワンバウンドでのキャッチ」に見えてしまう可能性がわずかながらあるからだ。

まぁ、判定の是非については、動画がMLB公式にあることでもあるし、何度でも好きなだけ見て、自分自身の目で確かめるといいと思う。


だが、その場にいなかった人間の目にどう見えるかとか、人間の目には錯覚の問題がある、とかは、この誤審の本筋ではない。シューメーカーは間違いなく捕球しており、Jerry Mealsの判定が間違っていたのは歴然とした事実だ。
一度「ワンバウントしている」とされた判定が覆る結果になった原因は、審判団の協議において、このプレーを他の位置から見ていたJerry Meals以外のアンパイアから、「明らかにあれはアウトだ。捕球している。判定を覆すべきだ」と強い意見があったからに他ならない。
つまり、問題は「他の審判でも容易に下せた判定」を、「最も近くで見ていたはずのJerry Mealsが、間違えたこと」なのだ


判定が正しいほうに覆ったこと自体は非常に喜ばしいことだ。
だが、その決着のしかたは、10月2日に球審Jerry Mealsのコールぶりを批判して罰金を払わされることになったトニー・ラルーサの溜飲が下がるようなものではなかった。
この判定は覆ったとはいえ、「奇妙な形」で決着しているからだ。


捕球できたことに自信があったシューメーカーは、もちろんJerry Mealsの誤審にすぐに気がつき、抗議した。ベンチからもトニー・ラルーサも飛び出してきていた。
「奇妙な形の決着」というのは、6人の審判団が協議した結果、センターライナーを打ったルイーズだけがアウトになり、ファーストランナーで、ライナー性の当たりに飛び出していたポランコはアウトにならず、1塁に戻され、ダブルプレーとして決着しなかったからだ

当然ながら、もしJerry Mealsが「シューメーカーがライナーをキャッチした」と正しく判定できていたら、シューメーカーはボールを即座にファーストに投げ返したわけだから、塁を飛び出していた1塁ランナー、ポランコもアウトになり、ダブルプレーが成立していたはずだ。Jerry Mealsのせいで、セントルイスはとれたはずのアウトをひとつ損したことになる。
誤審の曖昧な決着の直後、次のバッターが三振してチェンジになったから、結果的に「ダブルプレーの消滅」は問題にならなかったが、もし次のバッターがタイムリーでも打っていたとしたら、とんでもないことになるところだった。


2011年7月26日のJerry Meals誤審サヨナラ勝ち事件」と勝手に名づけた(笑)事件は、今年7月26日のピッツバーグ対アトランタ戦、延長19回裏に起きた。

まずは下の写真を見てもらいたい。
誰がどう見たってアウトだ。しかし、こんな簡単な判定を「延長19回裏に、セーフと誤審できるアンパイア」がいる。
Jerry Mealsだ。

2011年7月26日 Jerry Mealsの「19回裏 誤審サヨナラ」

2011年7月26日 Jerry Mealsの「19回裏 誤審サヨナラ」別角度

3-3の同点のまま膠着したこのゲームは、なんと延長19回まで続いたのだが、19回裏のアトランタの攻撃、1死2、3塁の場面で、サードゴロで三塁走者フリオ・ルーゴがホームに突入した。
写真と動画を見てもらうとハッキリわかるように、ホームプレートの2メートルは手前でタッチアウトだった。
なのに、球審Jerry Mealsがなんとこれを「セーフ」とコール。そのままアトランタのサヨナラ勝ちが決まってしまった。

きわどいプレーの判定ならいざ知らず、これだけはっきりアウトだったプレーだけに、もちろん大問題になった。どうやらJerry Mealsのオハイオ州にある自宅には、生死にかかわる物騒な電話が、それもかなりの数かかってきたようだ。
この件は後になって、MLB機構も、Jerry Meals自身も、誤審だったことを認めている。

動画
Baseball Video Highlights & Clips | Meals talks about his contentious 19th-inning call - Video | MLB.com: Multimedia
物騒な電話についての記事
Umpire Jerry Meals' family receives death threats over call - MorningJournalNews.com | News, Sports, Jobs, Lisbon, Ohio - The Morning Journal
記事
Youngstown News, Salem grad and umpire Meals says he missed call in Pittsburgh loss

What they’re saying about the Jerry Meals call | HardballTalk
"home plate umpire Jerry Meals made one of the worst calls you’ll ever see in a baseball game"


トニー・ラルーサの罰金の顛末は、こうだ。
10月2日のNLDSをフィリーズと戦っている最中のラルーサが、MLBでゲーム中によくある監督インタビューで、"two different strike zones" (今日のゲームでは、2つのストライクゾーンがある)と、球審Jerry Mealsのコールがフィラデルフィア側に有利になっている、という趣旨の批判をクチにした。

記事
La Russa fined for remarks about strike zone | cardinals.com: News
動画
NLDS: Cardinals vs. Phillies, Game 2 | STL@PHI Gm2: La Russa disagrees with ump's zone - Video | cardinals.com: Multimedia

球審の判定ぶりと、ルールブック上のストライクゾーンとのズレを知るには、いつものBrooks Baseballを見てみるのが早い。

10月2日の球審Jerry Mealsのコールは、データ上で見るかぎりでは、右バッターのインコースとアウトコース高めのコールにやや問題はあるものの、それらはどれも「むしろフィラデルフィアの投手の不利になる判定」であり、この日の球審Jerry Mealsのコールについて「セントルイス側に大きく不利になるような判定の歪み」は確認できない。
今日のシューメーカーのファインプレーは明らかにJerry Mealsの誤審だが、10月2日の球審としてのコールに関しては、ラルーサの勘違いといえそうだ。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool
ちなみに、このサイトのデータは通常、「6つの図」で構成されているのだが、このゲームに限っては、最も上に、典型的な右バッターのゾーン、典型的な左バッターのゾーンを明示した、2つの図が追加され、「8つの図」で構成されている。これは異例のことだ。
NLDSという大事な場面での「ストライクゾーンによる贔屓についてのラルーサ発言」があっただけに、なにかサイトへの大きな反響があったか、サイトの運営側がこの件に配慮してより正確なデータを付記したのかもしれない。



アンパイアと監督・プレーヤーの確執というと、ミネソタの監督ロン・ガーデンハイアーHunter Wendelstedtジェイソン・バルガスSam Holbrookジョナサン・パペルボンJoe Westをすぐに思い出すのだが(笑)、トニー・ラルーサとJerry Mealsの関係は今後どうなるだろう。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月7日、ディヴィジョン・シリーズ第2戦で退場させられたミネソタの監督ロン・ガーデンハイアーと、球審Hunter Wendelstedtとの間にかねてからあった軋轢。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月5日、ゲームの進行が遅いとクレームをつけた最年長ベテランアンパイアに、ジョナサン・パペルボンが放った"Go Home"の一言。



damejima at 15:37
なんとも恥ずかしい負け方である。

テキサスとタンパベイのALDS Game 4は、ホームラン4発でテキサスが勝利。
うち3本は、エイドリアン・ベルトレのホームランだが、打った球種はすべて「4シーム」。

このところ毎日「このポストシーズンは、先発投手はストレートで押そうとし、打者はストレートを狙いにきている」と、投手と打者の「ストレート勝負の様相」を書いているわけだが、タンパベイの監督ジョン・マドンは、結局のところ、何もわかってなかった。せっかく劇的な展開でボストンを逆転してポストシーズンに出てきたというのに、これではもったいなさすぎる。マドンは、マトモに分析もせず、行き当たりばったりな野球をやっているのだろうか。
タンパベイの主力投手ジェームズ・シールズが、ああいう「スカウティングとは無縁の、出たとこ勝負なピッチングばかりしている投手」に育ちつつあるのは、結局のところ、タンパベイ・レイズの「分析やスカウティングを重視しないチーム体質」に原因があることが、つくづくよくわかった。、
Texas Rangers at Tampa Bay Rays - October 4, 2011 | MLB.com Gameday



もちろん、今日のベルトレの3本のホームランの伏線は、昨日のGame 3、7回表に、2シームばかり投げていたのにテキサスが狙いをきちんと絞らないために打たれずにすんでいたデビッド・プライスの「初球の2シーム」を、いきなりヒットにしたことだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年10月3日、ALDS Game 3、7回になってようやくデビッド・プライスの2シーム攻略に成功するテキサスのゲーム運びの生温さ。

ベルトレがこのポストシーズンに入ってからずっと「ストレート狙い」をしてきたとは思わないし、また、テキサスが打線全体に「ストレート狙いを指示している」ようにも見えない。
ベルトレ個人が、Game 3の試合終盤になってベンチで突然「ストレート狙いをしてみよう!」とひらめいたのか、神のお告げか(笑)、なんなのか、それはまったくわからないが、とにかくGame 3の7回のベルトレのバッティングは「何かが違った」のである。
あの打席のベルトレは明らかに「初球から2シームを狙って」いて、そしてそのシングルヒットが、次のGame 4での3本のホームランにつながるのである。

Game 4でのベルトレの「ストレート狙い」がハッキリ確定できるのは、4回表の第2打席の3球目。シアトル在籍時代から「振りたがりの打者」で有名なベルトレが、ど真ん中のチェンジアップをまったくスイングしなかったのである。そして、次の球が、アウトコースの「4シーム」。狙いすまして、ライトスタンドへ。この日2本目のソロ・ホームランだ。

1本目のホームランは2球目の4シーム、3本目のホームランなどは初球の4シームをスタンドインしているのだから、明らかにベルトレは「ストレートに狙いを絞れていた」のである。(だからこそ、次の試合で打てるとは限らない、という意味でもある 笑)

2011年10月4日 テキサス対タンパベイ 4回表 ベルトレ ホームラン




damejima at 07:46

October 04, 2011

正直、3000本安打の記事の続きを書いている途中なので、そっちを優先して早くまとめたいのだが、ポストシーズンのゲームのメモも残しておかないと後々困ることになるので、しかたがない。

テキサス対タンパベイの、なにやら生温くて雑なALDS Game 3だ。
Texas Rangers at Tampa Bay Rays - October 3, 2011 | MLB.com Gameday


前の記事で、このポストシーズンは、ストレート系で押すピッチング、ストレート系を待つ打者が目立つ、と、書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年10月2日、ストレートで押すピッチャーと、ストレートを待つバッターと。ポストシーズン、ストレート勝負のゆくえ。

そういう意味では、テキサス対タンパベイのALDS Game 3は、ぬるいゲームでつまらない。
というのも、テキサス先発コルビー・ルイスが投球の60%弱、およそ3球に2球、4シームを投げていて、タンパベイ先発のデビッド・プライスの投げているのは、やはり60%程度2シームを投げている。
ストレート系が来る(特に初球)ことが、これほどハッキリわかりきっているゲームなのに、両チームとも狙いを絞るのに時間がかかり過ぎなのが、このゲームの6回までを非常につまらなくしている原因だ。

わかっていてもピッチャーのストレートがキレすぎていて、ヒットがまるで打てない、というのなら文句など言わない。だが、このゲームの両投手の出来はそれほどでもない。なのに、7回に至るまで点が入れられないのだから、凡戦としか言いようがない。


初球の真ん中のストレートを見逃して、難しい変化球に手を出すようなバッティングで無駄に凡退を繰り返して6回まで0-1と負けていたテキサスが、7回表に4点を入れることができた経緯はとても簡単だ。

7回先頭のエイドリアン・ベルトレが、デビッド・プライスの初球をシングルヒットにしたのだが、これが6回までテキサスが打てなかった「2シーム」だったから、タンパベイバッテリーはなにやら慌てたのである。

2011年10月3日 テキサス対タンパベイ 7回表 ベルトレ ヒット7回表 ベルトレ
シングル


どういうわけか知らないが、タンパベイバッテリーはかなり泡を食って、用心しだした。
もしかすると、バッテリーは、プライスの2シームだけでこのゲームを乗り切れると、甘く考えていたのかもしれないし、また、キャッチャーのジョン・ジェイソの経験不足が原因なのかもしれない。今日のGame 3、タンパベイの監督ジョン・マドンはベテランキャッチャーのケリー・ショパックではなく、若いジェイソを起用したからだ。
John Jaso Statistics and History - Baseball-Reference.com

ノーアウト1塁になって、次打者はマイク・ナポリ

ここでプライスは、2シームを狙われはじめたのにビックリしたからなのか、あれほど多投し続けていた2シームを投げる勇気を失った。これが打たれた原因。指が慣れていない変化球を連投したせいか、コントロールも乱れて、ワイルドピッチも犯し、ランナーはセカンドへ。
そうこうするうちにチェンジアップとスライダーをカットされて投げる球がなくなり、しかたなく、おそるおそる2シームを投げたところ、マイク・ナポリに「待ってました」とばかりに強振され、逆転2ラン。
わかりやすい話だ。

2011年10月3日 テキサス対タンパベイ 7回表 ナポリ 逆転2ラン7回表 ナポリ
逆転2ラン



結果からいえば、どういう理由でここまで時間がかかったのかわからないが、7回になってようやくテキサスは「2シームに狙いを絞った」わけで、タンパベイ側は、ベルトレに初球を打たれたことで慌てている間に4点をとられた。


見ている側からいうと、お互いの先発投手が初球から多投する球種をしっかり積極的に振っていかないのは非常につまらない。別に、このポストシーズンに執拗にストレートを狙い打ちしているヤンキースを見習えとは言わないが、もう少し、なんというか、頭を使った「狙いのハッキリしたゲーム」を「早いイニングから」やってもらいたいと思う。



damejima at 09:59

October 03, 2011

デトロイト対ヤンキースのALDS(ア・リーグ ディヴィジョン・シリーズ)Game 2は、デトロイトのクローザー、ホセ・バルベルデが、2失点と、ヨレヨレの情けないピッチングでようやく9回を投げ切って、デトロイトがタイに持ち込んだ。

9回裏2死1、2塁の場面で、Game 1で満塁ホームラン含む6打点と当たっているロビンソン・カノーを迎えたバルベルデは、ド真ん中に続けて3球もストレートを投げた。
よくまぁ、サヨナラ3ランを食らわなかったものだ(笑) あの場面、カノーがどれもこれもファウルにしてしまって打ち損じていなければ、バルベルデはサヨナラホームランを食らって負け投手になっていてもまったくおかしくない投球内容だった。
Detroit Tigers at New York Yankees - October 2, 2011 | MLB.com Classic


2チームの打線の狙いは対象的で、Game 1に続いてストレート狙いのヤンキースと、外のスライダー系狙いがデトロイト。Game 2終盤で出たヤンキースのソロホームランは、いずれもストレートだ。
クローザーは誰もが速いストレートを多投するから置いておくとして、このポストシーズンでは、ストレートで押す先発投手、ストレート待ちをする打者が目立つ
(ちなみに、フィラデルフィア対セントルイス Game 2に先発し12安打を打たれて負け投手になったクリフ・リーが、4回と6回に、ライアン・テリオに打たれた2本の二塁打、ジョン・ジェイに打たれた2本のタイムリーは、すべてカットボールとストレート。得意のカーブのコントロールが定まらない日のクリフ・リーが打たれる典型的なパターン)


デトロイト対ヤンキースGame 1は、本来は今年のサイ・ヤング賞間違いなしのジャスティン・バーランダー先発だったが、悪天候のために2009年のルール改正が史上初めて適用されて1回終了時降雨サスペンデッドになり、ダグ・フィスターが2イニング目以降を引き継いで、実質的にGame 1先発になった。
結果的に自責点6と打たれたフィスターだが、レギュラーシーズンではあれほどバランスよく変化球を投げて打者を封じ込めていたのに、どういうわけかポストシーズンの初登板ではやたらとストレートで押そうとして、ヤンキース打線のストレート狙いに嵌っている自分を最後まで修正できなかった
フィスターはポストシーズンでの登板経験が無いだけに、ちょっと舞い上がってしまったのかもしれない。いい反省材料にして、次回の登板では期待したい。

Game 1でフィスターの投げたストレート系は、4シーム20%、2シーム39%で、合計59%。率全体を見るだけでは、ストレート系の率そのものはレギュラーシーズンよりやや高い程度に見える。

しかし、細部を細かく見ていくと、かなり実態は違う。
2回裏に無死2、3塁の大ピンチを招いたラッセル・マーティンの二塁打、5回裏に打たれたロビンソン・カノーのタイムリー、大量失点の口火を切った6回裏のマーク・テシェイラの二塁打、同じ回の2死1塁で打たれたデレク・ジーターのシングル。
ゲームの要所で痛いヒットを打たれたこれらの打席では、フィスターは珍しくすべてストレート系だけしか投げていない。要所での単調な配球が裏目に出ているわけだ。(だから逆にいうと、本来の配球バランスと、二度目以降の登板で本来の落着きが取り戻せれば、ピッチングは変わるだろう。そういう意味で、心配はしてない)
特に、大量失点した6回裏の2死1塁の場面で、ジーターをもっと丁寧な配球で打ち取れてさえいれば、大ケガにならなかったかもしれないだけに、もったいなかった。
Doug Fister » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

かたやデトロイトのGame 2先発の速球派、マックス・シャーザーは、6イニングを2安打と好投。
アリゾナにいた頃は、70%どころか75%くらいストレートを投げていた投手なわけだから、このゲームのストレート率63%は、レギュラーシーズンの61.4%よりやや高い程度で、彼にしてみたらまだ低いストレート率といえる。
それでも、負ければ王手をかけられてしまう大事なゲームで、ストレートを待っている打者も多いヤンキース打線に対して、力で押して6イニングを2安打と牛耳ったのだから、なかなか度胸が据わっている。
Max Scherzer » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

フィスターのほうは、もともとコントロールのいいグラウンドボール・ピッチャーという位置づけの投手で、けしてストレートでグイグイ押すタイプというわけではない。かたやシャーザーは元々4シームで押す速球派なのだから、ストレートで押す、といっても、この2人の投手ではニュアンスが全く違う。やはり慣れないことはするものじゃない。


速球派といえば、タンパベイにGame 1で大敗を喫して先行きが危ぶまれたテキサスのGame 2に先発したデレク・ホランドが、5回1失点とまずまずの好投をみせて、テキサスが戦績をタイにもちこんだ。
Derek Holland » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball

Tampa Bay Rays at Texas Rangers - October 1, 2011 | MLB.com Gameday

デレク・ホランドは、レギュラーシーズン16勝5敗。
去年のALCS Game 4のヤンキース戦で好投したときに「ア・リーグ西地区のゲームを見るとき、ちょっと名前を覚えておいてほしい投手のひとり」と書いたように、今後に期待するピッチャーのひとりだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月19日、やっぱりデレク・ホランドは、いい。ALCS Game 4。
ただ、16勝5敗という今年の好成績がうれしくないわけでもないのだが、コルビー・ルイスもそうだが、テキサスの先発の成績は打線に助けられたにすぎない部分が多々ある。ホランドの好成績も、やたらとラン・サポートをもらった結果でもあって、手放しに喜べる結果でもない。
去年のポストシーズン、ホランドは、ALCSはともかく、ワールドシリーズでは良くなかったということもあるし、ボストンを逆転してポストシーズン出場を決めて意気上がるタンパベイとの対戦ではどうかなと思っていたら、5回1失点と、まずまずの結果。去年のワールドシリーズ登板がいい経験になっているのかもしれない。
2010 World Series - San Francisco Giants over Texas Rangers (4-1) - Baseball-Reference.com

ただ、テキサスというチームには、常にロン・ワシントンという「不安要素」がつきまとう(笑) この監督は舞い上がったら、ワールドシリーズでみせた、あの無様すぎる継投のようなことをしでかす人物だけに、切羽詰まって何をしでかすかわかったものじゃない。ビジターでは安心はできない(笑)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月28日、得点圏のピンチで、いつもインコースから入って大失敗するダレン・オリバーとマット・トレーナーのコンビ。ALCS Game 1とまったく同じ継投ミスをしでかしたロン・ワシントン。


同じ試合で、タンパベイのジェームズ・シールズが5回を7失点。
一度書いているように、シールズはどうも打者のスカウティングを全く参考にせず、自由気ままに投げる投手に見えてしかたがない投手で、ボルチモアの被ホームラン王、ジェレミー・ガスリーや、コルビー・ルイスと並んで、ア・リーグで最もホームランを打たれやすい投手のひとりでもある。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月3日、打者のスカウティングを全く頭に入れてなさそうに見えるタンパベイのJames Shields。
シールズは、速球派のシャーザーやホランドと違って、チェンジアップやカーブを多投するピッチャーだが、テキサスからはキャリアで5勝2敗と、対戦成績は悪くはないはずだったが、今回はテキサスの強力打線をかわしきれなかった。
それでも、投げた球種はいつものように、ストレート、チェンジアップを3分の1ずつ、あとの3分の1はカーブとスライダー。どんな状況のゲームであってもマイペースの配球をするのが、いかにもシールズらしい。
James Shields » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball


やはり、大舞台となると投手は自分の力を試してみたくなるものだろうし、ストレートでグイグイ押してみたいとか、はやる気持ち(それは同時に舞い上がっている証拠でもあるが)も、わからないでもない。
打者のほうも、追い込まれるまでは、変化球の甘いストライクに目もくれず、ストレート1本に絞って強振してくる打者も多くみかける。
始まったばかりのポストシーズンは、ある意味、例年どおりのチカラ勝負で始まったようだ。

だが、この状態がずっと続くとは限らない。

2010年のNLCSでは、サンフランシスコがフィラデルフィアにわざと「ストレートで勝負しない作戦」をとることで、ワールドシリーズ連覇に向けてはやる気持ちを抑えられないフィリーズに見事に勝利を収めている。
こうしてみると、あのときの「ストレートで勝負しない」という戦略が、気持ちの高ぶりがちなポストシーズン専用の戦略としては、かなり大胆かつクレバーだったことが、よくわかる。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート(11) なぜライアン・ハワードは9回裏フルカウントでスイングできなかったのか? フィリーズ打線に対する"Fastball Count"スカウティング。


最後までポストシーズンを牛耳るカギは、シャーザー、ホランド、バルベルデにみられる「ストレート」か。それとも「変化球」か。


damejima at 10:28

July 06, 2011

よくMLBについて、アンリトゥン・ルール (明文化されないルール。不文律。英語ではunspoken ruleとか、unwritten ruleと表現されることが多い。また"Baseball Code"と、「ダヴィンチ・コード」風の表現もある)がある、なんてことを言う人がいる。たとえば「審判を批判するのはタブー」とか、そういうたぐいの話だ。
また、MLBと日本のプロ野球の違いについても、「MLBは、これこれである」 とか、いつのまにかまかり通っている「日本でのMLB常識」みたいなものがある。たとえば「MLBの試合進行は、いつも速い」とか、そういう話だ。


だが、本当にそうなのか。


2010年春に、MLBの最年長アンパイアとしてよく知られている1952年生まれのベテラン ジョー・ウエスト が、ヤンキースとレッドソックスのゲームについて「試合進行が遅すぎる」という意味の発言をして物議をかもした。
Umpire Joe West blasts Boston Red Sox, New York Yankees for slow play - ESPN
この件に関してはMLBコミッショナー、セリグ氏もコメントを求められたりして対応に苦慮されたようで、ジョー・ウエストは制裁こそされなかったものの、後に機構側に発言の不用意さをたしなめられたらしい。
West was not fined by Major League Baseball for his comments, but was "admonished firmly",

Joe West (umpire) - Wikipedia, the free encyclopedia



いちおう注釈をつけておくと、MLBのゲーム進行のスピードには「さまざまなタイプ」がある。いつもゲームを見ている人には説明の必要はないだろうが、例えばボストンの松坂登板試合などは、それはもう、嫌になるほど長い(笑)。一方で、どんなチームであれ、ダブルヘッダーの第一試合は、信じられないほどの超高速でゲームが終わってしまう。
つまり、一概にMLBのゲームは早いとばかり言い切れない。中には遅いゲームもある。

ボストンだけについて言うと、ゲーム進行がノロいと感じるのは、別にヤンキース戦だけに限らない、という印象がある人が多いはず。ブログ主もボストンのゲームは、どんなカードであれ基本的に試合が「ゆっくりだ」とは感じる。また、ヤンキースよりボストンのほうがずっと「ゆっくりだ」と感じる。
以前何度か書いたように、ボストンの打者はア・リーグで最も待球してくる。なんせ、ア・リーグで唯一「P/PA=1打席あたりのピッチャーの平均投球数」が4球を越えるわけだし、またそれと同時に、よく打ち、よく走って、繋がる打線なわけだから、どうしても攻撃時間が長く感じるに決まっている。
ただ、まぁ、待球の多さとヒット数だけで「試合進行を遅いと感じる原因になるか?」というと、それは別問題で、それだけで説明がつくものでもない。そのくらい、ボストンのゲームには「スローには感じる部分」がある。


アメリカには、なんというか度はずれて熱心な人というのがいて、このジョー・ウエストの発言を受けて、ヤンキースとレッドソックスの実際のゲームを測定し、「実際のゲームで、どの選手の間が長いか?」を調べた人まで出現した(笑)
たぶんストップウオッチかなんかで細かく計測したのだろうが、なんという粘り強さだ。とても真似できない(苦笑)
ちなみに、その人の計測結果によると、野手ではヤンキースではデレク・ジーター、ボストンではダスティン・ペドロイアが、いわゆる「間の長いプレーヤー」らしい。
Sabermetric Research: Why are Yankees/Red Sox games so slow?


また、ヤンキースの試合進行のスピードについても言うと、100年くらい前、1905年6月の古いNew York Timesに、「ヤンキースとカブスの試合をブルックリンに見に行ったんだが、あれじゃ試合時間が長すぎる。もっと短くしてくれ」という意見を書いた記事があって、ヤンキースのゲームに「ノロい」とクレームがつくのは今に始まったことでもないようだ。
TOO SLOW BASEBALL. - Complaint of a Patron of the National Game. - Letter - NYTimes.com

ゲーム進行の遅さを嘆く1905年のニューヨーク・タイムズ紙記事

20世紀に入る前後の時代のベースボールは、まだルールを固めていっている最中なだけに、たぶん試合進行も今とはかなり違っていただろう。
例えば「フォアボール」だが、1876年にMLBが出来た当初はまだ「ナインボール」で、9つのボールを選ばないと打者は出塁できなかった。だが、試合のスピードアップが求められることで徐々に短くされ、1889年に「フォアボール」、日本でいう「四球」というルールになった。
だから1905年に試合を見た人ですら「試合進行が遅い」と感じたからには、九球が四球になった1900年代でも、まだ「ゲーム進行がテキパキしてない」と感じさせるさまざまなシークエンスが、当時のゲームにあったわけだ。


とにかくいえるのは、MLBにまるで関心のない日本の野球ファンは「MLBのゲームはなんでもかんでもスピーディーで、テキパキと展開するのが常識」とか思っているかもしれないが、現実はそうでもない、ということ。
最初に挙げたESPNの記事でも、2009年ワールドシリーズで、ヤンキースのキャッチャーホルヘ・ポサダが、「1イニングに8回」もマウンドのCCサバシアのところに行った、なんていう例を挙げている。
イチローがランナーに出た、というだけで、5回以上牽制球を投げてくる投手だっているくらいだ。「ノロいゲーム」は、実際ある。


話がひどく横道に逸れた。
ジョー・ウエストの「ヤンキースとレッドソックスは試合進行がノロい発言」に、当時、ヤンキースとボストンの選手たちは血相変えて噛み付いた。
例えば、当時ボストンにいたジョナサン・パペルボンは、こんな強烈なことを言っている。(ちなみに、パペルボンの名誉のためにいっておくと、この件についてはヤンキースのクローザーリベラも、彼なりの強い調子でコメントしている)
"Have you ever gone to watch a movie and thought, 'Man, this movie is so good I wish it would have never ended.' That's like a Red Sox-Yankees game. Why would you want it to end?"
He added: "If you don't want to be there, don't be there. Go home. Why are you complaining. I'm not going to sit somewhere I don't want to be. If you go to a movie or any entertainment event and you like it, you're going to stay and watch and you're not going to want it to end. If you don't, then you won't. Why is it such a big deal?"

意訳:「いい映画を見てると、『終わってほしくない』って思うだろ? ヤンキースとウチのゲームも、まさにそれだよ。嫌なら、スタジアムにいることない。とっとと家に帰れよ!
Umpire Joe West blasts Boston Red Sox, New York Yankees for slow play - ESPN


いやはや。
Go home発言ですよ。ダンナ。
ヤンキースとボストンは「特別だ」と思ってるわけですよ、彼ら。



もしも、ですね。仮定の話として。
日本人であるイチローが、これ、発言してたら
どういうことになるか。考えてみたら、怖い怖い(笑)
アンパイアに向かって、Go Home! だもん。

もしも、こういう発言をしても許されるような道理がイチロー側にあったとしても、また、仮にイチローがヤンキースかボストンの中心選手のひとりであったとしても、審判に向かって Go home なんて言い放ったりした日には、たぶん、もう、信じられないくらいアメリカでバッシングを受けると思う。(もちろん、聡明な彼はこういう汚い言葉を使って他人を罵倒したりするわけがない。当然です。ここでいっているのは、あくまで仮の話。)



つまり言いたいのは、
「審判を批判すること」は最終的なタブーではないってこと。
ほんとのタブーはですね、もっと別のところにあるわけです。はい。


ほんとの意味でアメリカの「メジャーな、メジャー記録」をゴボウ抜きしてくって仕事はね、大変な仕事なわけです。いろんな意味でね。

damejima at 20:44

July 02, 2011

今日のフィラデルフィア・フィリーズはローテの谷間的な日だったが、9回表に2点入れて逆転し、トロントに勝っている。ほんとうにこのチームは「負けないチーム」だ。


MLBファンは良く知っていることだが、フィリーズ打線はいつもゲーム終盤に得点を入れている印象がある。勝っていれば「追加点」「ダメ押し点」、負けていても「逆転」「サヨナラ」があるような気にさせられる。
気になったので、フィリーズのイニング別打率を調べてグラフにしてみた。いやー、予想はしていたが、いくつか他チームにはみられない特徴がある。

2011 Philadelphia Phillies Batting Splits - Baseball-Reference.com

フィラデルフィア
2011 Philadelphia Philliesのイニング別打率(2011年7月1日)


イニング別の打率で特に特徴的な点を挙げてみた。
これを読む上で気をつけてほしいのは、リーグ全体のイニング別打率なんていうものは1日ごとに大きく変化することがある、ということ。だから、あくまで今シーズンに限った話題だ、くらいに読んだほうがいいだろう。

1)普通は、9回の打率は、他のイニングに比べて下がるが、フィリーズはむしろ「打率が上がる」
2)3回、6回、9回と、「3の倍数のイニング」の打率が高い
3)普通2回の打率はどこのチームでも下がるが、フィリーズでは落ち込みが激しい。

イニング別の打率について、いくつか頭にいれておくべきことをメモしておこう。

まず、リーグ間の比較について。
いくつか勘違いしてはいけないポイントがある。

DH制のあるア・リーグのバッティングはいかにも「どのイニングでも穴が少なく、どのイニングにも打率が高そう」に思え、また、ナ・リーグは「投手に打順が回るのだから、イニング間の得点力にかなり凸凹がある」と思いがちだ。
だが、2つのリーグにそれほど差はない。
DH制の有無は、イニングごとの攻撃力についてだけ言えば、思ったほど影響を与えているように見えない。両リーグとも、全体の傾向は似ていて、「2回に打率が下がり、試合中盤は2割6分程度の打率で横ばいに推移し、ゲーム終盤には.240程度に下降する」。


両リーグのイニング別打率で、違いが出る可能性があるのは、「7回以降の打率」だろう。
ア・リーグでは、7回を過ぎるとチーム打率は明らかにガクンと降下していく。対してナ・リーグでは、9回に大きく下がりはするものの、7回、8回は、ア・リーグほど急激に降下しない。
いいかえると、「ゲーム終盤の打率では、ナ・リーグがわずかながら優勢」なのである。
そういえば、去年のワールドシリーズでテキサスがゲーム終盤でサンフランシスコに毎試合のように逆転負けをくらっていたのを、まざまざと思い出す。


次にフィラデルフィア独自のイニング別の打率傾向の特徴を見てみる。

どういうわけか「3の倍数のイニング」、3回、6回、9回に、打率が高いイニングが繰り返し現れる。
必ずしも「3の倍数のイニング」にだけ上位打線に打順が回ってくるとは限らないわけで、理由は他にあるだろう。
3イニングごと、という点から考えると、打順が一巡するたびに相手投手の傾向を把握して、しっかりと「バッターの狙い」が定まっていっているのではないかと推測するのだが、どうだろう。
あとで、ア・リーグのシアトルとボストンのイニング別打率データを挙げてみるので、比較してみてもらいたい。

フィラデルフィアのイニング別打率の最も強い特徴のひとつは「9回の打率の異常な高さ」だ。
ア・リーグであれ、ナ・リーグであれ、2回がそうであるように、「9回は、チーム打率が下がるのが普通というイニング」だが、フィリーズは違う。9回のイニング打率は.271もある。
いま、ナ・リーグで最もチーム打率が高いのはチーム打率.270を誇る中地区2位のセントルイス・カージナルスだが、セントルイスもやはり9回の打率が.281もある。
セントルイス
2011 St. Louis Cardinalsのイニング別打率(2011年7月1日)


強いチーム、といっても、いろいろな強さがある。
フィリーズの「3の倍数のイニングの打撃力、特に9回の粘り強さ」は、ヤンキースのような「破壊力」とは違う。
たぶん彼らの日頃のスカウティング能力の高さ、研究心は、チームとして相当鍛えられているのではないだろうか。「試合序盤のエンジンのかかりの早さ」、「ゲーム中にでも相手投手を研究する探究心」、「ゲーム中でも相手投手に対応していく即応力」、「ゲーム終盤でも得点を諦めない、しつこさ」。

よくまぁ、ジェイソン・バルガスはこんなねばっこいチームを完封できたものだ。


ナ・リーグの強豪のゲーム終盤の粘り強さには、「代打の起用度、活躍度の差」もあるかもしれない。
ナ・リーグでは、ゲーム終盤に投手や、ヒットの期待できない打者に打順が回った場合、監督は躊躇なく代打を起用するため、ゲーム終盤になっても打率改善が期待できる。
ア・リーグでは、ゲーム終盤に打てない打者に打順が回ってきてしまっても、監督はほとんど代打を出さない。
この「代打の活用度の違い」は結果的に、「ア・リーグの監督は、どういうわけかゲーム終盤に低打率の打者が自動的に凡退するのを放置している」と言えなくもないような気がする。


比較の意味で、最後にシアトルとボストン、ア・リーグの2チームを挙げておこう。たぶんシアトルのグラフを見て、驚かれる人が多いと思う。

シアトル
2011 Seattle Marinersのイニング別打率

ボストン
2011 Boston Red Soxのイニング別打率(2011年6月30日)


あれこれ説明する必要はないだろうが、シアトルのグラフの形状が、あまりにも他のチームと異なっている。特に違っている点を列挙しておく。

1)シアトルの打者は、試合序盤の打率が低すぎる
2)シアトルの打者は、試合終盤の諦めが早すぎる


シアトルの打者の打撃成績があまりにも低く、チームの打撃成績が全体としても悲惨であることは誰でもわかっていることだが、どこが悪いのかがわかっていないことが多い。
このイニング別打率データでわかることのひとつは、シアトルの打者はけして「才能が無いから、バッティングが悪いのではない」ということだろう。

フィラデルフィアやセントルイス、ボストンといったチームは、初回や3回といった「早いイニング」からチームの打撃力の「地力」が出せる
対して、シアトルの打線は、明らかに、エンジンのかかりがあまりにも遅く、諦めが早い
このことの原因はいくつもあるだろうが、打率が低いとか、ホームランが少ないとか、そういう漠然としたことばかり言っているだけでは、いつまでたっても対策は立たない。

エンジンのかかりの遅さ」は、つまり、相手投手の傾向をつかまえるタイミングが他のチームよりかなり遅くて、打順の3巡目くらいにならないと、相手投手をつかまえることができないために、相手チームに先取点をとられてゲームの主導権を失いやすいということだ。
これは、打者として才能がある」とか、ないとか、そういう問題とは別の問題もあるのではないか。

よく、球技では「ゲームに入れる」とか「ゲームに入れない」という言い方をするわけだが、シアトルの野手は、どういうわけか、「なかなかゲームに入れない選手が多い」のではないだろうか。
もしもその原因が、スタメンをコロコロ変えることにあるのだとしたら、監督エリック・ウェッジは、対策として、意味もなくスタメンを変え続けるのをそろそろ止めて、スタメン固定を考えるべきだ。
また、相手チームの投手を早くつかまえるために、野手はスカウティングをもっと打席に生かすべきかもしれない。さらに、自分の得意な球ばかり打っているようでは、早いイニングで相手投手をつかまえることなどできない、ということも言えるかもしれない。
また、ゲーム終盤の打率の低さを補う意味では、「代打」をもっと活用して、打てない選手をゲーム終盤で打席に無意味に送り出すのを止めるべきかもしれない。


とにかく言いたいのは、頭を使わず、ただ漠然と嘆いているだけでは、解決の糸口はつかめてこない、ということだ。






damejima at 21:32

May 16, 2011

オフに、ミルウォーキーのGMダグ・メルビン(かつてシアトルの監督だったのは、ボブ・メルビンで別人)が09年サイヤング賞投手ザック・グレインキー、去年トロントで13勝したショーン・マーカム、ヤンキースなどからもオファーのあった斎藤隆をごっそり獲得してきて、今シーズンに投打とも万全の体勢で臨んだはずのミルウォーキーだが、なんやかんやで結局のところ、勝率が5割に届かず、借金は3(笑)。
チームに合計4人も3割バッターがいるこの状況で、この順位は恥ずかしいだろう。明らかに戦力の劣るパイレーツと勝率が並んでしまっている。

プリンス・フィルダーライアン・ブラウンといった不動のビッグネーム。大学時代2003年にゴールデン・スパイク賞を受賞して守備は下手だが打撃のいい二塁手リッキー・ウィークス(2003年ドラフト1位、全体2位)。去年メジャーデビューしてシーズン後半には正捕手に座り、今年も大活躍中の2年目キャッチャー、Jonathan Lucroyジョナサン・ルクロイ 2007年ドラフト3位、全体101位)も打撃好調。

常に人材不足のシアトルからしたら、誰か1人でいいから寄こせ、と言いたくなるだろう(笑)
(下記は、去年ローランドスミスが、ルーキーのジョナサン・ルクロイに3ランを打たれたときの記事)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月25日、ストレートに球威もコントロールも無いのに、要所で突然ストレートを投げたがる「脳内剛速球投手」ローランドスミスのワンパターンな「ストレート病」。ホームラン2発で、試合は壊れた。
ジョナサン・ルクロイ
Jonathan Lucroy Statistics and History - Baseball-Reference.com
リッキー・ウィークス
Rickie Weeks Statistics and History - Baseball-Reference.com

そのミルウォーキーの監督Ron Roenickeロン・ローニック)は、カンザスシティからグレインキーの「おまけ」みたいに獲得した元マリナーズのユニスキー・ベタンコートのあまりの低出塁率にはやはり手を焼いているようで、記者から聞かれてこんな発言をした。

Can't Brewers coaches ask Betancourt to try taking some pitches?
"They have before, and he gets defensive and his at-bats aren't as good," Roenicke said. "That was the problem in Seattle; they approached him that way. Last year [in Kansas City], they didn't and he had a very good offensive year. They let him be himself."
Brewers sticking by Gomez and Betancourt | brewers.com: News

「もう少しベタンコートに待球でもするように、コーチから指導できないのか?」と聞かれたRon Roenickeが言うのは、こういう意味のことだ。
「アイツは、ほら、根っからの攻撃的スインガーだろ? あれこれ言って守りに入らせようとしたんじゃ、バットが湿っちまって、うまくいかないのさ。シアトルでは、それで失敗したわけだろ?
去年までいたカンザスシティは、シアトルとは違う指導方針で臨んで、ベタンコートには好きにやらせて、その結果、バッティングが再生したわけ。
もともと打撃のいい選手だから。まぁ、ちょっと時間かけてみていくしかないね。(俺だって、手を焼いてるのさ)」


うーむ・・・・・ぅ。
まぁ、まったくそのとおりだ。そのとおりではあるが、だ。
人から言われると、なんかむかつく(笑)反論できないのも悔しいので、ひとこと書いておく。


今年これだけの戦力を揃えたミルウォーキー。
もはやナ・リーグ中地区首位のシンシナティや、強豪アトランタにスイープされても、「しかたない」と言ってすませることは、もはや許される立場ではないことくらいは自覚すべきだろう。
まして、戦力がまだ十分でないワシントン・ナショナルズにすら、謎のスイープを食らっているようでは、とてもとても強いシンシナティやセントルイスを追い抜いて地区優勝、どころではない。

まるで、「ベタンコートが出塁しないから、ウチは勝てないのだ」とでもいわんばかりの「言い訳記事」は、恥ずかしいかぎりですぜ、ミルウォーキー。

C Jonathan Lucroy
1B Prince Fielder
2B Rickie Weeks
SS Yuniesky Betancour
3B Casey McGehee
LF Ryan Braun
CF Carlos Gomez
RF Mark Kotsay
2011 Milwaukee Brewers Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com

それにしても、ジョナサン・ルクロイかぁ・・・。最近好調のマット・ウィータースより大物感ある感じだし、できたらシアトルにくれないもんかね。くれないよな(苦笑)ヤンキースに行ったラッセル・マーティンも、ドジャースでは貧打のキャッチャーのイメージだったが、ニューヨークに行ったとたんホームラン打ちまくりか。うらやましぃ・・・・・。
まぁ、MLBのキャッチャーの地図は、世代交代で大きく塗り変わる時期に来ているので、そのへんのことも近く記事にしてみるつもり。








damejima at 15:59

April 13, 2011

今日、テキサス・レンジャーズは、デトロイトとビジターで戦い、9回裏にサヨナラ負けをしてしまったばかりだが、このゲームで、好調のジョシュ・ハミルトンが、ホームでのヘッドスライディングで、右肩に全治6週間から8週間の怪我をし、60日間のDL入りしてしまった。(かわりにクリス・デイビスがロスターに入った)
Texas Rangers at Detroit Tigers - April 12, 2011 | MLB.com TEX Recap

Texas Rangers' Josh Hamilton headed to DL with broken arm - ESPN Dallas


1回表の出来事だった。
シーズン前に移籍問題で揉めたマイケル・ヤングが1死からセンター前ヒット。続くジョシュ・ハミルトンがさっそくライト線にスリーベースを打ち、マイケル・ヤングが幸先のいい先制点のホームを踏んだ。
続く、4番のエイドリアン・ベルトレは、サードのポップフライ。ここで問題のプレーが起きた。
このポップフライ、デトロイトのサード、ブランドン・インジと、今シーズンからデトロイトに加わったキャッチャーのビクター・マルチネスが同時に追ったため、一時的にホームプレートがガラ空きになった。

その瞬間に、なんと、ジョシュ・ハミルトンがタッチアップして、ホームに突入したのだ。

ファウルフライを捕ったのは、サードのインジで、ボールをビクター・マルチネスに転送。ジョシュ・ハミルトンはヘッドスライディングをして肩を痛めてしまった。


この件について、FOX SPORTSのJon Morosiは、ツイッター上で、ハミルトンのコメントとして、次のように伝えている。
Josh Hamilton's injury was caused by headfirst slide at home -- he says he didn't want to go on the play, but 3B coach told him to.
「ジョシュ・ハミルトンの怪我は、ホームベースへのヘッドスライディングで起きた。彼がいうには、自分ではホームに突入しようと思ってなかったが、サードベースコーチが、彼に「行け」と命じた
https://twitter.com/#!/jonmorosi

また、ダラスの地元メディア、Baseball Time in Arlingtonは、電子版でこんな記事をのせた。(この記事のほうがずっと詳しく書かれている)
Baseball Time in Arlington: A Texas Rangers Blog - The Clubhouse - Josh Hamilton Calls Out Third Base Coach Dave Anderson
ハミルトンによれば、3Bコーチのデイブ・アンダーソンが二度「ホームがガラ空きだ!」と叫んだ、と言っている。
“I listened to my third base coach,” Hamilton said. “That’s a little too aggressive. The whole time I was watching the play I was listening. [He said],’Nobody’s at home, nobody’s at home.’ I was like, ‘Dude, I don’t want to do this. Something’s going to happen.’ But I listened to my coach. And how to you avoid a tag the best, by going in headfirst and get out of the way and get in there. That’s what I did.”

一方、同じ記事で、アンダーソンのほうは「ここはヘッドスライディングが必要なシチュエーションじゃない。いつも彼(ハミルトン)には足からスライディングするように言ってある」と言い、彼がヘッドスライディングしたのがいけないんだ、というニュアンスの立場を主張している。
“There is no situation I wouldn’t want him to slide headfirst in,” Anderson said. “I always want him to slide feet first no matter what he does.


ふーむ。


テキサス・レンジャーズのサードベースコーチは、元ドジャースで1988年ワールドシリーズで代打ホームランを打ち、優勝を経験しているDave Andersonだ。
Dave Anderson (infielder) - Wikipedia, the free encyclopedia

なぜわざわざこの人のこと書いているかというと、Dave Andersonには去年もひとつ、走塁に関するトラブルがあったからだ。

テキサスは去年2010年9月5日にビジターのミネソタ戦を戦った。
9回の2死満塁からウラジミール・ゲレーロのタイムリーが出て、レンジャーズは6対5と、1点差まで迫った。
このとき、同点のランナーだったのはマイケル・ヤングだが、彼はサードをかなりのスピードで回りかけていたが、サードベースコーチに制止され、ホーム突入を自重した。

このときに、問題のコールがあった。

三塁塁審のAlfonso Marquezが、サードベースコーチのDave Andersonがマイケル・ヤングのホーム突入を制止した際に、ヤングの身体に触れた、とみなして、インターフェアランスによるアウトを宣言し、9回2アウトの場面だったために、ゲームが終わってしまった、のである。

マイケル・ヤングと、3Bコーチのデイブ・アンダーソン、監督ロン・ワシントンは猛烈に抗議したが、判定はもちろん覆らなかった。このゲームの球審はTim Timmonsで、今日ハミルトンがホーム突入でアウトを宣告したアンパイアでもある。
Texas Rangers at Minnesota Twins - September 5, 2010 | MLB.com Gameday

3B coach interferes for final out, Twins hold on - MLB - Yahoo! Sports

Rangers fall after Young gets touchy feely with third base coach - Big League Stew - MLB Blog - Yahoo! Sports

Top Plays | TEX@MIN: Twins win the game on disputed final out - Video | twinsbaseball.com: Multimedia








damejima at 07:31

February 26, 2011

以前から非常に心配しているテキサスのマイケル・ヤングの移籍問題が、さらに複雑なことになってきた。

もともとテキサスを愛してやまないマイケル・ヤングが、チームに対する失望や怒りを露わにする引き金になったのは、エイドリアン・ベルトレの獲得によるDHへのコンバート、さらにトレードの画策と、チームがこれまでチームの攻守の柱を務めてきたマイケル・ヤングを軽んじて扱ったことだが、皮肉なことに、そのベルトレが筋肉の張りを訴えてスプリングトレーニングを10日から2週間ほど休むことになったのだ。
果たして開幕にベルトレが間にあうのかどうか、この怪我が今シーズン以降のベルトレの守備にどのくらい影響があるかは、現時点では不明。

下記の関連記事では、セカンドのイアン・キンズラーも毎シーズンのように怪我でDL入りしていることだし、テキサスはマイケル・ヤングをチームに引き止めておいたほうがいいんじゃないの?的な気楽な書き方をしているわけだが、そんな失礼すぎる展開で残留を要請されても、マイケル・ヤングの心の傷が癒され、怒りがおさまるわけがない。
そもそも、チームのためにDHコンバートまで受け入れてチームに残ることを選んだのはマイケル・ヤングのほうなのであって、「ベルトレが怪我をしちゃいましたんで、三塁手がいなくなる可能性もあるんで、マイケル・ヤングさん、チームに残ってください」じゃ、マイケル・ヤングの怒りに油を注ぐようなものだということが、この記事を書いたライターはわかってない。選手はチームの道具じゃない。

マイケル・ヤングのファンとして、彼の行く末を非常に心配している。マイケル・ヤングのトレード拒否リストにのってないチームは8つほどあるが、どのチームも戦力補強はだいたい終わってしまっているわけだし、このままではこの稀代の好プレーヤーが宙ぶらりんになってしまう可能性がある。
Beltre injury shows Michael Young's value - Dallas Texas Rangers Blog - ESPN Dallas


今回のマイケル・ヤングの移籍騒動の背景をご存知でない方のために、彼がこれまで、いかにチームのためを思って度重なる守備位置のコンバートに応じてきたか、そして、なぜ今回の騒動でついにキレて、本格的なトレード志願にいたったか、経緯を軽くまとめておく。


2000年二塁手デビューと、2004年遊撃手転向
マイケル・ヤングが二塁手としてメジャーデビューしたのは、2000年。だが、この年は数試合しか出場していないため、二塁手としてプレーしたキャリアは実質2001年以降の3シーズンだ。
ヤングが204安打を放った2003年のシーズン終了後、当時テキサスの遊撃手だったA・ロッドがヤンキースに移籍するのにともなって、テキサスはヤンキースから二塁手アルフォンソ・ソリアーノを獲得した。そのためマイケル・ヤングは、チームのためならと、A・ロッドの抜けたショートに転向した。(なお、遊撃手としてゴールドグラブ級だったA・ロッドは、移籍先にデレク・ジーターがいたため、ヤンキースでは三塁手に転向した)

遊撃手としての成功とゴールドグラブ受賞
マイケル・ヤングは、2004年のシーズン開幕を前に4年1000万ドルの契約を結び、このシーズンから遊撃手としてプレーする。この年はオールスターに初出場し、球団記録を更新する216安打を記録する大活躍。2005年に球団史上初めて2年連続で200安打を達成すると、以降、5年連続で200安打を達成。この頃にはチームの攻守の要として、チームリーダー格になった。
2008年には、初のゴールドグラブを、遊撃手として受賞した。

2009年三塁手への転向
2008年オフ、テキサスはマイケル・ヤングに、若いエルビス・アンドラスにショートのポジションを譲って、三塁手に転向するよう打診する。マイケル・ヤングは当初は拒んでトレードも志願したが、やがて受け入れ、2009年以降は三塁手としてプレーしている。
Young will shift to third base | texasrangers.com: News


2010年オフの三塁手エイドリアン・ベルトレ獲得と
マイケル・ヤングのDHコンバート

2010年オフのマイケル・ヤングの本格的な移籍志願騒動の発端になったのは、球場の狭いボストンに移籍して打撃成績を回復させることに成功した元マリナーズのベルトレに、テキサスが5年8000万ドルもの大金をはたいて三塁手として三顧の礼で迎え入れたこと、にある。
このトレードによるDHへのコンバートについて、マイケル・ヤングは当初「チームのためなら」というスタンスで渋々受け入れていたことを、後にFOXのケン・ローゼンタールにあからさまに語った。
“I’ll be the first to admit that I was not particularly keen on the idea of being a DH. But I did agree to do it. I wanted to put the team first. I wanted to be a Ranger. But in light of events that happened in the process, I got pushed into a corner one too many times. I couldn’t take it anymore.”
「DH転向には乗り気じゃなかった。だけど意を決して同意したんだ。チームのことを優先して考えたかったし、ずっとレンジャーズの一員でいたかったから。なのに、その後に起きたいろいろな経緯を経て、僕はあまりにもたびたび窮地に追い込まれてきた。もう我慢も限界だ。」
Rosenthal: Michael Young Q&A - MLB News | FOX Sports on MSN
参考記事:
エイドリアン・ベルトレ、
給料もらい過ぎプレーヤーランキング12位に
Jayson Werth leads overpaid and Kerry Wood tops underpaid players - Jon Heyman - SI.com

マイク・ナポリ獲得による球団不信と
チームのヤング放出の画策発覚による決定的な亀裂

マイケル・ヤングがベルトレ獲得によるDH転向に渋々同意した矢先、2011年1月になって、テキサスはエンゼルスから、キャッチャーで1塁手やDHもこなすマイク・ナポリを獲得してきてしまう。
このことで、ただでさえ内心では、これまでの度重なる守備位置の変更の果てのDH転向を快くは思っていないマイケル・ヤングに、本当にチームは自分を必要としているのか?という疑心暗鬼が決定的になったと考えるむきもある。
だが、マイケル・ヤング自身はローゼンタールとのインタビューを読むかぎり、ナポリのトレードが決定的な亀裂を生んだという説については、表向き否定している。
むしろ、マイケル・ヤングとチームの間の亀裂が決定的になったのは、ナポリ獲得に前後して、テキサスが主にロッキーズを対象にマイケル・ヤング放出トレードを画策していたことが表沙汰になったことにあるようで、このトレード画策の発覚の後に、マイケル・ヤングは住み慣れたチームを出て行きたいと、トレード志願を公言した。


今回のトレード志願について、マイケル・ヤングはローゼンタールとのインタビューで、mislead「あざむく」、manipulate「(人心を)あやつる」という、きつい意味の単語を使って、こんな風に言っている。
Young said. “I asked for a trade because I’ve been misled and manipulated and I’m sick of it.
「トレードを志願したのは、僕がこれまで、欺かれ、操られてきて、もう、うんざりしたからだ。」

温厚な彼、マイケル・ヤングが、こんな厳しい言葉を使ってモノを言わなければならなくなった理由については、ここまで挙げてきたように、彼のメジャーリーガーとしてのキャリア全体において「守備位置をたびたび変更させられ続けてきたが、チームのことを思って受け入れてきたマイケル・ヤングの歴史」があったことを、彼の名誉のために理解してやってもらいたいと、切に願う。


何もなくて、こんなことを言い出す根性の曲がった男ではないのだ。






damejima at 06:15

October 26, 2010

2010WS ESPN ファンの優勝予想

2010ワールドシリーズいまESPNのサイトでは、2010ワールドシリーズの結果予想の投票を行っているのだが、その経過を見ると、これが見事に「東西を2分する結果」になっているのが面白い。
東海岸で、テキサスの優勝を予想していないのは、ディヴィジョンシリーズでテキサスに圧倒されてあっけなく敗れ去ったヤンキースの本拠地ニューヨーク州だというのも、ちょっと苦笑いさせられた(笑)
2010 World Series: Texas Rangers vs. San Francisco Giants - MLB Playoffs - ESPN



20世紀初頭のニューヨークにあった、あのポロ・グラウンズを本拠地にしていたジャイアンツが、グラウンドを貸していた店子(たなこ)のヤンキースに、フランチャイズのニューヨークを奪われるような形で西海岸に移転することになったいきさつについては、一度ちらっと書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月25日、セーフコ、カムデンヤーズと、ヤンキースタジアムを比較して、1920年代のポロ・グラウンズとベーブ・ルースに始まり、新旧2つのヤンキースタジアムにも継承された「ポール際のホームランの伝統」を考える。

一方で、レンジャーズは、もともとワシントンD.C.にあった(ワシントン・セネタース)。
だからこんどのワールドシリーズは、もともと東海岸にあった2チームの対戦になった。ブログ主としてはクリフ・リーのいるテキサスを応援している。と、いうのも、なんとなくフィラデルフィアとサンフランシスコのNLCSのときの、ジャイアンツの選手たちの印象がよくなかった。

2000年代以前のストライクゾーンに近いアウトコースのコールをすることで知られるJeff Nelsonが審判団に加わっていたせいか、きわどい球に対するアンパイアの判定が不安定すぎることに端を発して、両チームの間はいつになく不穏な雰囲気が漂ったままのNLCSだった。
パット・バレルが温厚なロイ・ハラデイに怒鳴り散らした事件は、当然ながら、今でもあれは退場にすべきだったと思っているし、またチェイス・アトリーが出塁したときにもジャイアンツ側のプレーヤーがイチャモンをつけたことで、両チームが揉めかけるなど、あちらこちらから選手を寄せ集めてきた今のジャイアンツにあまりいい印象を持てなかった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月21日、ちょっと心配になるロイ・ハラデイの「ひじ」と、「アンパイアのコール」。今日の球審は、今年8月、これまで一度も退場になったことのないニック・マーケイキスと、監督バック・ショーウォルターを退場にしたJeff Nelson。

damejima at 22:03

October 20, 2010

たぶんロン・ワシントン自身、打たれるのがわかっているトミー・ハンター先発のGame 4を楽勝できるとは思っていなかっただろう。
Texas Rangers at New York Yankees - October 19, 2010 | MLB.com Gameday


ALCSのGame 1で、(ALCS=ア・リーグのリーグ・チャンピオンシップ。ナ・リーグのチャンピオンシップはNLCSと略す)、テキサスが逆転負けした原因は、終盤にちょっとヤンキース打線に打たれたくらいで動揺した監督ロン・ワシントンの弱気にあった。
あのとき彼が投入しまくったブルペン投手はことごとく打たれていったが、たった一人だけ動揺してない投手がいた。

それがデレク・ホランド
今日のGame 4でも、実にいい感じ。

あれからロン・ワシントンは、ダレン・オリバーを勝ちゲームの最重要な場面で使わなくなった。また、Game 1でスタメンマスクだったキャッチャーのマット・トレイナーを使っていない。ロン・ワシントンは、Game 1の失敗ですぐに「頭を切り替えた」わけだ。


シアトルというチームをブログ主が嫌いなのは、「チームに何か致命傷になる欠陥が見えたとしても、シーズンが実質終わるまで、まるで対策しない」からだ。
たとえば、2010年の「打線の問題」がそうだ。バッティングに致命的な問題があることくらい、春にはわかっていたが、シアトルは何も手を打たなかった。
そして100敗しておいて、何かするのかと思えば、無能なGMが「どうだ、この俺がマイナーを充実させたんだぜ。すごいだろ。へへっ。」とか、馬鹿なことを言い出す始末。
まるで何をやらせても動きのニブい、太り過ぎのド田舎の公務員みたいなチームだ。


そんなどうでもいいことより
デレク・ホランドだ。

いつも彼にしてやられているシアトルファンはよくわかっているわけだが、ホランドは「クール」な印象がある。どこかクリフ・リーに通じる雰囲気がある。表情がとにかく変わらないのがいい。
Game 1の記事で、好投していたCJウィルソンの終盤のピンチで、投げさせるべきセットアッパーは、どうみてもダレン・オリバーダレン・オデイではなくて、ホランドだ」と言ったわけだが、それはデレク・ホランドの「クールさ」が理由だ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。

クールなホランドなら、Game 1の、あの酷く追い詰められた場面でも、それほど動揺はしないと予想できた。
今日のGame 4でも、ホランドはアテにできないのが最初からわかっている先発のトミー・ハンターをロングリリーフ(3回2/3)して、ヤンキース打線を見事に沈黙させた。十分すぎる仕事だ。テキサスの今日の勝ちは、デレク・ホランドのおかげである


デレク・ホランド
ア・リーグ西地区のゲームを見るとき、ちょっと名前を覚えておいてほしい投手のひとりである。






damejima at 13:30

October 19, 2010

心をへし折られたら、すぐさま相手の心を折り返せ!
まさに、そんなゲーム。

真打ちクリフ・リー、ア・リーグ・チャンピオンシップ(ALCS)初登場で、圧巻の13三振
13奪三振の動画(MLB公式)
2010 ALCS: Game 3 | ALCS Gm 3: Lee strikes out 13, earns the win - Video | MLB.com: Multimedia

13奪三振は彼のキャリア・ハイ・タイ。これまでに彼が13奪三振を記録したゲームは、クリフ・リーがテキサスに移籍して4ゲーム目の試合にあたる、今年2010年7月27日のオークランド戦がある。(Oakland Athletics at Texas Rangers - July 27, 2010 | MLB.com Gameday

クローザー、ネフタリ・フェリースも2三振を加え、2投手合計でなんと15三振。27アウトのうち、15三振だから、実に9分の5、半分以上のヤンキースのアウトが三振であることになる。(スタメンで三振しなかったのは、ロビンソン・カノーのみ
生馬アイザック風に言えば、まさに、これぞ「クリフ・リー・タイム」。ポストシーズンのチーム打率3割だったヤンキースを、それもヒッターズパークのヤンキースタジアムで、まさに「ねじふせた」。

クリフ・リーがタンバベイ相手に2回登板した関係で登板できなかったALCS Game 1でテキサスがかなり酷い逆転負けを喫したときには、どうなることやらと思ったが、いやはや、Game 2といい、テキサス、強い
ロン・ワシントンは、見事にALCS2勝目をモノにして、対戦成績を逆転した。
ちなみにMLB公式によると、ALCSが7試合制になった1985年以降、2勝1敗になった20チームのうち、15チームがALCSを制しているらしい。(2勝1敗になりながら負けた5チームの中の1チームが、1995年のマリナーズ)
今日のALCS Game 3
Texas Rangers at New York Yankees - October 18, 2010 | MLB.com Gameday


この勝利で、クリフ・リーはポスト・シーズン通算7勝で、まったく負けていない。(フィラデルフィア4勝、テキサス3勝)。また、リーグ・チャンピオンシップでも、2勝0敗(NLCS 1勝、ALCS 1勝)で、ERA 0.00。まだ1点も自責点がない。
加えて、この日の13三振でクリフ・リーは、タンパベイとのディヴィジョン・シリーズでの2登板21奪三振を含め、同年度のポストシーズンゲームで3試合連続の2ケタ奪三振。これはポストシーズン史上初
またポストシーズンERAは、前の登板までで1.44だったが、今日の8イニングで1.26にまで上昇。歴代1位のサンディ・コーファクス(0.95)、2位のクリスティ・マシューソン(1.06)、2人の殿堂入り投手のポストシーズンERA記録がいよいよ射程圏内に入ってきた。

ALCS Game 1の記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月15日、まさしく監督の経験の差が出たテキサスのリーグ・チャンピオンシップ第1戦。ロン・ワシントンの「乱心」。
クリフ・リーの前の登板
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月12日、クリフ・リー、無四球完投!「アウトコース高めいっぱいのカーブ」を決め球に、11奪三振。テキサスがヤンキースとのリーグ・チャンピオンシップに進出。
クリフ・リーの2010シーズン全登板記録
Cliff Lee Game Log | texasrangers.com: Stats


今日のクリフ・リーのストライク率は、67.2%(122球82ストライク)。フェリックス・ヘルナンデスを含め、普通の投手にしてみれば十分高いストライク率だが、前の登板で75%もの超絶のストライク率をたたきだしているクリフ・リーにしてみれば、ストライクが少なかったゲームではある。だが、それでも四球はひとつしか出さず、13奪三振。たいした投手だ。
試合後のインタビューによれば、クリフ・リー自身は「良かったのはカットボール」と言っている。たしかにカーブは前のゲームよりもコントロールとキレがよくなかった。また、アンパイアも、前のゲームの素晴らしいアンパイアJeff Kelloggほど、きわどいコースを見極められる人ではなかった。
"I was just throwing strikes," Lee said. "The cutter was a really good pitch for me today."
Lee K's way into record books | MLB.com: News


8月に「今シーズンのサイ・ヤング賞に最もふさわしいのはクリフ・リーだ」と書いたが、やはり間違ってなかった。サイ・ヤング賞の投票自体はポストシーズン前に終わっているのだが、そんなこと、別にどうだっていい。
サイ・ヤング賞をとれようが、とれまいが、彼クリフ・リーこそ、
今年のア・リーグ最高の先発投手である。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月19日、CCサバシアには申し訳ないが、今シーズンのア・リーグのサイ・ヤング賞にふさわしいのは、さまざまなメジャー記録を更新しそうなクリフ・リーだと思う。
こんな素晴らしい大投手を、シアトルは、モノになるかどうかもわからないプロスペクト数人程度で交換してくれたのだから、テキサスは同地区のチームとして、さぞかし喜んでくれていることだろう。
ズレンシックが無能」なのは、とっくにこのブログでは遥か昔に「決定事項」だが、テキサスとのトレードをいまだにwin-winなどといっているシアトルファンと関連メディアは、馬鹿そのものとしか言いようがない。
クリフ・リー、そしてフェリックス・ヘルナンデス、2人のサイ・ヤング賞候補クラスの先発投手がいて、どこを、どうするとシーズン100敗できるのか。ズレンシックは、「マイナーが充実したから、俺は仕事した」とか小学生の作文より酷いレターを公開して言い訳してないで、一刻も早く辞任すべきだ
Hamilton, Lee honored as AL's best in June | MLB.com: News


それにしても、クリフ・リーも凄かったが、クローザーのネフタリ・フェリースも凄かった。8点リードしていても手抜きなどせず、100マイルの超スピードボールを、ジーターマーク・テシェイラに1球ずつお見舞いして、2人とも揃って三振に仕留め、綺麗に圧勝劇を締めくくった。
ちなみに、元テキサスのマーク・テシェイラは、ここまで無安打。古巣テキサスの投手にパーフェクトに抑えられている。「絶対にテシェにだけは打たせるものか」という、テキサスサイドの強い意志が感じられる。

フェリースがどのくらい凄かったかって?
こう言えばわかるだろう。

テキサスのキャッチャー、ベンジー・モリーナは、フェリースのストレートを受けるたびに、ボールをピッチャーに返した後で毎回毎回ミットのほうの手をブラブラと振って、手の激痛をこらえなければならなかった。つまり、ミットが意味をなさなくなるくらい、フェリースの豪速球はモリーナの左手を酷く痛めつけ続けたのである。
メジャーのバッターなども、デッドボールや、自打球が当たった場合でもあまり痛がるそぶりを見せないことはよく知られているが、キャッチャーがあれほどあからさまにミットの中の手の痛みを、しかもイニング中ずっと表現し続けるのはかなり珍しい。






damejima at 12:48

October 16, 2010

楽勝と思われたゲームを、監督のロン・ワシントンみずからが壊してしまい、テキサスが負けた。
特にテキサスのファンというわけではない自分ですら、あまりにも酷すぎる負け方を見て、気分が悪くなった。関係者なら、なおのこと心が折れるゲームだったに違いない。次のゲームに間違いなく影響が出るだろう。
勇気をもってチームを統率すべき監督の「小心さ」が、これほど露わになってしまっては、ゲームにならない。
こんなこと書きたくはないが、昨年7月にコカインの使用がバレた(レンジャーズ監督からコカイン陽性反応 - MLBニュース : nikkansports.com)この監督は、やはりそういうことでもやらないかぎり、大胆な采配をし、ベンチにドッカリと腰を据えていることのできない小心男かもしれない。
5-1と4点もリードして迎えた8回表に、ガードナーに内野安打、ジーターにタイムリーを打たれ、「失点したのに無死2塁のランナーがまだ残っている」と考えただけで、ロン・ワシントンは負ける恐怖に完全に我(われ)を見失った。
ブルペンでは自分の出番だろうと肩をつくりかけていたクローザーのフェリースが脱力したように椅子に座っていた。
New York Yankees at Texas Rangers - October 15, 2010 | MLB.com Gameday


いま見たばかりの酷い出来事を、
忘れないうちに要点だけ書きとめておくことにする。


1)監督の精神的パニックによる
  投手交代ミスの連続と、ブルペン投手の浪費

昨日の記事で、ボビー・コックスのアトランタを例に挙げて、こんなことを書いた。
選手層が薄いチームほど、やたらと選手交代する
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月13日、今年のポスト・シーズンに有名投手がズラリと揃った理由。多発する「曖昧なプレー状態」。
今日のロン・ワシントンは、まさに敗退したアトランタとそっくり同じミスを犯した。前の記事でも書いたが、監督がこれだけブルペンを無駄に注ぎ込んで負けたら、健康なブルペン投手がいなくなり、ブルペン全体に疲労が蓄積されて、これからゲーム終盤の逆転負けが多発する可能性が出てくる

そもそも先発で好投していたCJ・ウィルソンを、2点目を失点したくらいで代えるべきだったかどうか怪しいし、ウィルソンを続投させるか、あそこはダレン・オリバーではなく、クローザーのフェリースを投げさせるべきだと思った人も多いだろう。
また、レギュラーシーズンでホランドと対戦し、彼に苦もなくひねられ続けているシアトルファンにしてみれば、「代えるにしても、なぜダレン・オリバーではなく、ホランドを出さない?」と疑問に思った人もいると思う。(実際、今日のブルペン投手ではホランドが一番ヤンキースを「怖がらずに」「戦えて」いた)
要は、ロン・ワシントンはポストシーズンのチーム打率3割のヤンキースを舐めてかかって、ブルペン投手を節約しようとして打たれ、そしてパニくって、かえってブルペン投手を浪費した。

だが、まぁ、交代は交代でよしとしよう。
だがロン・ワシントンは8回表に、それまで好投していたウィルソンを代えたはいいが、ノーアウト満塁になって自分の首が絞まるまで、打者から逃げたくてしかたがないダレン・オリバーが無駄にボール球を投げ続けるのを、必死にヤセ我慢した。(というか、足がすくんで、投手の交代時期にベンチを出て行けなかった)
そのクセ、直後には「継投した直後の、初球のインコースをタイムリーされて、即、投手交代」というヘマを、なんと、2人も続けてやった。
この巨大な継投ミスでロン・ワシントンは、楽勝するつもりで元大統領とおしゃべりばかりしていたノーラン・ライアンの目の前で、せっかく選手がつくった好ゲームを、監督みずからの手で完全にぶち壊してしまった。

2−1)得点圏にランナーがいるのに、
    初球インコースのストライクから入り続けて
    打たれ続けるテキサスバッテリー

8回のテキサスのバッテリーの捕手は、マット・トレーナーだ。
サインをベンチが出したかどうかは定かではないが、プルヒッターだらけのヤンキースを相手にしているにもかかわらず、バッテリーは「四球直後も、投手交代直後も「初球にインコースを投げ続けた」わけだが、ちょっとこれ、ありえない配球ミスだと思う
彼らは、インコースを引っ張ろうと常に待ち構えている。センター方向に打ち返せる技術のあるバッターは、ロビンソン・カノーとか、だいたい決まっている。
その後マット・トレーナーに代打が出て、キャッチャーがベンジー・モリーナに変わってからは、初球はアウトコースになって、打者を比較的簡単に料理できたことを見ても、8回表の混乱ぶりはわかる。

2−2)「初球をタイムリーされ続ける」のは
    大量失点が起こる基本パターン

「四球直後の初球はストライクを取りにくるから、打て」は、セオリーだし、「投手交代直後の初球は非常に狙い目。特にランナーが貯まっているケースでは、打て」と考える人もいると思う。
いずれにしても「クロスゲームで四球をだすのが怖い」とか、「ここでストライクがどうしても欲しい」とか、失敗を怖れて視野が狭まったバッテリーが安易にストライクを欲しがって、あさはかな配球をしてくることが既に相手打者に予想され、バレているシチュエーションというのは、必ずあるものだ。
そうした「人間の無意識な怖れの感情が、自分の思考とプレーを束縛して、その結果、安易な配球がつくりだされるメカニズムの存在」に気がつかないキャッチャーは、馬鹿だ。

ホームランを打たれたわけでもないのに大量失点するイニングには、「発生の基本パターン、基本メカニズム」がある。そのひとつが「初球打ちタイムリーを、連続で打たれるパターン」だ。
かつてダメ捕手城島在籍時のシアトルでは、こういう大量失点が、それこそ、嫌というほど起きたものだ。

このシーズンオフには「カウント論」に再び手をつけようと思っているわけだが、打者が、打率が一番よく、ヒットの実数も多いのは、たいてい「0-1」「1-0」といった「早いカウント」であって、ボールを見極めながらヒットの実数が増える打者など、ほぼいない。
(四球が多いことで有名なボビー・アブレイユだって、追い込まれれば打率は下がっていく。また、「フルカウントからでも通算打率で3割打てるイチロー」など、例外中の例外。「カウントと無関係に打てる打者」など、普通は世の中に存在してない)


3)8回無死1塁での「意味不明なヒッティング」と、
  9回無死1塁での「意味不明なバスター」

せっかくの4点のリードをひっくり返されてしまったすぐ裏、テキサスは8回裏、9回裏と、2イニング続けてノーアウトの走者を出したのに、ロン・ワシントンは2度とも致命的なミスを犯した。

8回裏は、1点差の無死1塁で、打者マーフィーにバントさせなかった。この理由がまったくもってわからない。(結果は、ランナーのイアン・キンズラーがハンパにスタートを切ってしまい、牽制で挟殺)
9回裏も無死1塁となって、さすがにワシントンは次打者アンドラスの初球にバントのサインを出したわけだが、これもかえってわからない。
9回になればマリアーノ・リベラが出てくるのはわかっているのだから、その前に1点もぎとっておく必要がある。9回裏に気持ちが追い詰められてから必死にスリーバントするくらいなら、なぜ8回裏にバントさせて、まだ精神的にゆとりがあるうちに1点を獲りにいかないのか。意味がわからない。

それだけではない。
9回裏無死1塁、ロン・ワシントンは次打者アンドラスの初球にバントのサインを出したはいいが(結果は、バントしてファウル)、こんどは2球目にどうも「バスターさせようとした」らしく(もしかしたら、アンドラスのサイン見落としか、見違いかもしれないが)、アンドラスはバットを引いて打ちにいった。(結果は、見逃しストライク。この場面、真ん中近辺のストライクを見逃すこと自体がわけがわからない)
2球目に見逃した球がストライクになってしまったことで、アンドラスのカウントは追い込まれてしまい、結局ロン・ワシントンは、アンドラスにスリーバントというギャンブルをさせた(結果はスリーバント成功)
ギャンブルが成功したからいいようなものの、8回にはバントせず、追い詰められた9回には、バント、バスター、スリーバントという、苦しまぎれの展開。どれもこれも、わけがわからない。

そもそも、こんな大事な場面でスリーバントなんかさせることになった原因は、ロン・ワシントンの「迷い」にある。
監督が、走者をバントで送るのか、それとも意表をつく強打で行くのか、それすらハッキリと意思表示することもできないまま、ようやくスリーバントでランナーを得点圏に送った後では、いくらマイケル・ヤングが好打者でタイムリーを期待されて打席に入っても、打てるはずもない。なんというか、流れが悪すぎる。
マリアーノ・リベラの変化球に必死にくらいつきながらも、初球、2球目と打てる球を打ち損じて、結局は、外のボール球のストレートを振らされて三振したマイケル・ヤングが、なんとも言えず、哀れに映った。
あんな酷い流れの中で、「主軸なんだから打て」と言われても、そりゃ無理というものだ。

4)8回表、内外野の守備ミス連発
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月13日、今年のポスト・シーズンに有名投手がズラリと揃った理由。多発する「曖昧なプレー状態」。
この記事で、投高打低のポストシーズンだから、守備は大事。投手の守備も例外ではない、と書いたわけだが、8回表のテキサスの守備のうろたえぶりは、それはそれは酷かった。
・ファーストゴロで、投手のカバーが遅れる
・サード真正面の強襲ゴロが、レフト前タイムリー
・レフト前タイムリーのゴロを、レフトが捕り損ねる
・センター前ヒットをお手玉。無理なホーム突入ランナーが生還


このゲーム、どこがどう気持ちが悪かったか、なんとか多少はまとめてみた。見ていた人には当たり前のことばかりだが、こうでもしないことには、どうにも気分が優れない。
それほど今日のテキサスは「悪い気の迷い」に満ちていた。

迷っている人間のプレーほど、見ていて気持ちの悪いものはない。ほんとうに痛感した。スタジアムの5万人も同感だろう。






damejima at 15:40

October 09, 2010

気候が大きく異なる東海岸と西海岸とでは、ピッチャーの使う球種にも違いがあるかもしれない、という話を書いているところだが、ミネソタのターゲット・フィールドで行われた東地区ヤンキースと中地区ツインズのディビジョン・シリーズで、ヤンキースのアンディ・ペティットが、第2戦でこんな配球を多用していた。

まずストレートを投げる。続けて、まったく同じコースに、カットボールを投げる

要は、「同じコースに、同じフォーム、同じ球筋で、ストレートと、ちょっとだけ変化する球(ペティットの場合は、少しだけ沈める)を続けて投げて、打者にカットボールのほうを打ち損じさせる」という、典型的なカットボール配球なのだが、これがまた、ミネソタ打線が面白いようにひっかかってしまっているのが、見ていて、とてもモノ哀しい気持ちにさせられた。

ブログ主は別にミネソタの熱烈なファンというわけではないが、好きな選手もいないこともない。(自分でも理由がわからないが、モーノーがなぜか好きになれない。むしろドナルド・スパンとかジョナサン・クベルとかの無骨さがミネソタらしくていい。もちろんヤンキースにも、マーク・テシェイラなど、好きな選手はいる)

わかりきっている「東地区のチーム特有の配球」に引っかかり続ける、という不器用さ、対応力の無さが、どうにも見ていてイライラするのである。(実際、何度かゲームを見るのをやめた(笑)だが、試合結果が気になって、また見始める、を繰り返した)


かつて書いた記事で、「東地区の投手はカットボールを多用してくる」という特徴があることを書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「メジャーで最もストレートばかり投げる」シアトルのリリーフ陣。なんと「4球のうち、3球がストレート」。(ア・リーグ各地区ごとのピッチング・スタイルの差異についてのメモ)

ミネソタは、このところディビジョンシリーズに毎年のように出られるようになったのはいいが、ヤンキースにばかりやられ続けているのだから、ちょっとは東地区の投手の典型的配球くらい研究すればいいのに、と思わずにいられない。
監督のガーデンハイアーは、出来損ないのアンパイアに退場させられたのは気の毒に思うし、「あのアンパイアこそ、退場!」と思うが、こういうチームの操縦について柔軟性が無さ過ぎる点は、どうにかしないと、と思う。



上に挙げた記事でも書いたのだが、ミネソタというチームは、けっこう投手の配球も、頑固かつ特殊なところがある。

スライダー」という球種は、投手に負担がかかるという理由から、メジャーではあまり数多く投げさせないという常識があると思っているのだが、どういうものか、ミネソタでだけは、たしか配球の「20数%」もの「スライダー」を投げさせている。(資料はたぶんFangraph)
こんなことを続けていては投手が壊れてしまう。

これまでのミネソタのホームは、いまではメジャーでも数が少なくなったクッキーカッター・スタジアムであるメトロドームだったが、ようやく今年から、近代的なボールパークであるターゲット・フィールドになった。
クッキーカッター・スタジアムの
歴史的経緯についての説明記事

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月21日、ボルチモアのカムデンヤーズは、セーフコのお手本になった「新古典主義建築のボールパーク」。80年代のクッキーカッター・スタジアムさながらの問題を抱える「日本のスタジアム」。


メトロドームは、日本の東京ドームがお手本にした球場で、屋根を気圧で押し上げる特殊な方式の球場だった。(東京ドームの屋根も同じ方式)

メトロドームメトロドーム
左中間、右中間が狭い、という意味ではヤンキースタジアムとも共通点がある。

Clem's Baseball ~ Metrodome

それだけに、おそらくメトロドームには、この手のドーム球場の特殊な球場内部環境にしかない「気圧」、「湿度」、「風」などのメリット・デメリットの問題が必ずあったはずで、それが投手の配球にも影響が絶対にあったはずだ、と思っている。
湿度など気候が配球に与える影響に関する記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月8日、2010年10月5日、ブログ過去記事を参照しながら味わうドジャース黒田の興味深いコメント (2)西海岸と東海岸、気候の違いと「配球文化」の差。または「湿度が高いとボールが飛ばない」という誤解。


もしドーム球場特有の配球、なんてものが存在するのなら、せっかくメトロドームからターゲット・フィールドになった元年なのだから、ガーデンハイアーも今年以降は投手の配球に多少は配慮してスライダーの数を減らすなり、なんなり、野球スタイルに多少の変化をつけてくれているといいのだが、今年のミネソタのレギュラーシーズンの配球傾向がどうなっているか、心配だ(笑)
頑固なガーデンハイアーのことだから、やっぱり例年通りスライダーばっかり投げさせているような気もする(笑)

せっかくホームパークが変わったのだから、カットボール主体の東地区風の投手を数人つくればいいのにと思わないでもないが。どうだろう。






damejima at 06:48

October 08, 2010

いやー。これはちょっと酷い。

今日のディヴィジョンシリーズ、ヤンキース対ツインズの第2戦の7回表、ヤンキース先頭ポザダが四球で歩いて、そこからミネソタが2失点したのだが、フルカウントからのボール判定をめぐって、ミネソタ監督ロン・ガーデンハイアーが退場させられた。

見ていた人はわかると思うが、ガーデンハイアーが怒りに燃えたのは、なにもフルカウントからの1球だけではなく、左打者ポサダの打席でインコースいっぱいに決まった球がことごとく「ボール」判定されていたからだ。

後述するYahoo.comの記事(Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports)を読みながら比較するとわかるが、今日のゲームでは、基本的に「一塁側の球(特に左打者のインコースのストライク)をボール、三塁側の球(特に左打者のアウトコースのボール)をストライクとコールする判定傾向」があった。

さらに言えば、このゲームでは、そもそもミネソタとヤンキースのストライクゾーンが明らかに違っている。「ミネソタの投手が左打者に投げるときのストライクゾーンのズレ」が特に酷くて、ストライクゾーン自体が三塁側にボール1個分以上ズレている
ガーデンハイアーはミネソタの投手がヤンキースの左打者に投げるインコースいっぱいの「ストライク」だけが、多数「ボール」と判定され続けていることに怒ったのである

それに、なにも7回のガーデンハイアーは長時間の抗議を行ったわけではなく、ごく短時間抗議してダグアウトに引き上げようとしていた。だが、ガーデンハイアーが諦めてベンチに帰ろうとしているのに、球審は彼の退場をコールしたのである。(もちろん擦れ違うときにでも、ガーデンハイアーが短く何か言い、その言葉が球審の耳に入ったのだろうが、面と向かって言われたわけじゃあるまいし、その程度のことで大事なポストシーズンのゲームを壊す権利は、球審にはないと思う)

ガーデンハイアーが退場させられた7回のポサダの打席以外にも、右打者デレク・ジーターへのド真ん中、明らかに「ストライク」のカットボールが「ボール」判定されるなど、今日の球審は、10をはるかに越えるストライクを誤判定して「ボール」にしている。

ヤンキース対ミネソタ第2戦 7回表 ポサダ 四球2球目のアウトコースにはずれているように見えるシンカーを、球審は「ストライク」とコールしている。そのことからも、そもそも球審のストライクゾーンが三塁側に大きくズレていることがわかる。ゲームの重要なポイントで、ストライクゾーン自体をボール1個半も動かされたんじゃ、ゲームにならない。

3球目のインコースのストレート、6球目のインコースのシンカー、共に、ミネソタの投手の投げたインコースの球が「ボール」判定されていることに着目してもらいたい



アメリカのヤフーcomのJeff Passanは、とてもゲームが終わったばかりとは思えないスピードで、このゲームの「判定の酷さ」について、詳細なデータ画像入りの批判記事を出し、球審Hunter Wendelstedtのアンパイアの判定の酷さを批判した。
Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports

この記事の詳細なデータによると、やはり今日の球審のコール傾向には「大きな歪み」があった。

「ストライクゾーンが、2つのチームで著しく違っている」
「左打者のインコースのストライクの数多くを
 ボールとコールした」
「三塁側寄りにはずれるボール球のかなりの数を
 ストライクとコールした。
 とりわけミネソタの投手の投げた球の場合に顕著」



Yahoo.comのライターJeff Passanはこんな風に書いている。
the width is not some subjective determination. Home plate is home plate. It doesn’t move.
つまり、高低はともかく、ストライクゾーンの幅は、ホームプレートの幅が一定である以上、常に不変なのであって、そこがコロコロ変わるなどということは、「アンパイアの恥」であるはずなのである。

ダメなアンパイアに大事なポストシーズンのゲームを壊されれば、そりゃ怒りたくもなる。いくらインコースの判定が辛いメジャーとはいえ、ディヴィジョン・シリーズ第1戦を負けているミネソタからしたら、取り返しがつかないアンパイアのミスだ。去年もミネソタはポストシーズンでヤンキースに3連敗してポストシーズンを敗退しているだけに、なおさら怒りがおさまらないということもあるだろう。

ゲームを中継しているキャスターも、ガーデンハイアーに同調して、「エクセレント・ピッチ」とミネソタ先発のパヴァーノの球を褒めつつ、フルカウントからの左打者ポサダへのインコースの球を何度もスロー再生してみせた。
そのボールの軌道は、明らかに「ゾーンいっぱいに決まるストライク」。スローで違う角度の映像も見たが、明らかにストライクだった。
今日の球審が「いわくつきのアンパイア」なだけに、対戦相手のヤンキースから今シーズンはミネソタに移籍して17勝を挙げて大活躍だった先発パヴァーノと、ガーデンハイアーが気の毒になった。
New York Yankees at Minnesota Twins - October 7, 2010 | MLB.com Gameday


今日の球審の名は、Hunter Wendelstedt
実はこの人、父親も、1960年代から90年代にかけてナ・リーグのアンパイアで、親子2代にわたってのアンパイア。
そもそもHunter Wendelstedtは、ポストシーズンの経験が豊富なアンパイアではない。2009年10月1日のアリゾナとサンフランシスコ・ジャイアンツのゲームでは、こともあろうに、アリゾナの監督A. J. Hinch(史上最年少34歳でメジャーの監督になった)と、投手コーチのメル・ストットルマイアー・ジュニアの両方を同時に退場させる、などという「禍根の経歴」がある。
ちなみに退場させられたアリゾナの投手コーチメル・ストットルマイアー・ジュニアは、元ヤンキースの投手コーチで、2008年にシアトルの投手コーチも務めた、あのメル・ストットルマイアー・シニアの息子だ。


下記のブログによれば、Hunter Wendelstedtはこのシリーズが始まる前に、既にガーデンハイアーを合計4度も退場処分にしているらしい。
Gardenhire-Wendelstedt: A little history - Rivalry Central | Red Sox -- Yankees

親子でメジャーのアンパイアだから「なにかにつけて上から目線で判定を下す、居丈高なアンパイア」と決め付けるのは良くないかもしれない。だが、ガーデンハイアーは、かねてからトラブル続きの彼について、
Twins manager Ron Gardenhire last season said Wendelstedt believes “he’s God as umpires go,”(あいつはアンパイアが神様かなんかだと信じ込んでやがる)てな事を言っている。
Twins’ misgivings about umpire were justified - MLB - Yahoo! Sports


Yahoo.comで使われているデータの元ネタはBrooks Baseball · Home of the PitchFX Toolというサイトのデータである。元データから抜粋するときの細かいズレも多少あるように見えるが、記事の論調や結論に影響はあるほどではない。
Yahoo.comのグラフは、元データのうち、左バッター、右バッターのデータが混在したものから抜粋し作成されているが、元データでは、左バッターと右バッターで分けたグラフも挙げられており、「左打者と右打者でのストライクゾーンの違い」もわかるようになっている。
元データによれば「右バッターの場合のストライクゾーンは、ミネソタもヤンキースも変わらず、球審の判定の精度も高い。だが、なぜか左バッターになると、突然大きな差ができること」、あるいは「ミネソタの投手が投げた球に限って、左打者のアウトコースのボール球をストライク判定していること」「左打者のインコースのストライクの多くがボール判定されていること」などがわかるようになっている。

下記のYahoo.comのグラフが元資料にした元データ
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

ヤンキースVSミネソタ第2戦 ストライクとコールされたボール今日のゲームの
called strike

これは「コールド・ストライク」、つまり打者が見逃したストライクだけを図表にしたもの。スイング・ストライク、つまり、空振りは含まれない

2つのチームのストライクゾーンが明らかに違う。ミネソタの投手が投げる場合に限って、三塁側寄りにはずれたボール球の数多くが「ストライク」と判定されている。これでは、ミネソタ側に「ヤンキースとミネソタで、ストライクゾーンがズレている」と思われてもしかたがないし、また、両チームでゾーンが違っていることに気がつくのが遅れれば、守備と攻撃でちぐはぐさが出て大きなハンディになるのは当たり前。


ヤンキースVSミネソタ 第2戦 ボールとコールされた球「ボール」と誤判定されたストライクゾーン内の球だけを集めた図
左打者に対するインコースの球が大半を占める。

7回表の左打者ポサダの打席では、アウトコースにはずれるシンカーをストライク判定し、逆にインコースをことごとくボール判定していることから、あきらかにゲーム終盤、ミネソタの投手が投げるときのストライクゾーンだけが、ボール1個半以上、三塁側にズレていることがわかる。






damejima at 10:14

October 07, 2010

フィラデルフィアに移籍したロイ・ハラデイが104球でノーヒット・ノーラン達成なら、テキサスに移籍したクリフ・リーはまったく同じ104球で、タンパベイを10三振と翻弄し、幸先の良いポストシーズンのスタートを切った。
Texas Rangers at Tampa Bay Rays - October 6, 2010 | MLB.com Gameday

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年8月19日、CCサバシアには申し訳ないが、今シーズンのア・リーグのサイ・ヤング賞にふさわしいのは、さまざまなメジャー記録を更新しそうなクリフ・リーだと思う。


2人の名投手がまったく同じ104球でポストシーズン初日を終えたわけだが、ロイ・ハラデイが9回を完投したのに対し、クリフ・リーの投球回数が7回なのは、ハラデイとクリフ・リーのピッチングスタイルの違いだ。
ロイ・ハラデイは「驚異的に少ない投球数で打者を抑え、今の時代には珍しく、平気で8回9回と投げて完投してしまう」のに対して、クリフ・リーは、シアトル時代がそうだったように、「多少はシングルヒットを打たれランナーを出すが、四球は少なく、ランナーが出ても後続には絶対に打たせず、7回くらいのイニングをピシャリと締めるタイプ」だ。


だが、今日この2人に共通していたのは、ストライクの驚異的な高さ
ロイ・ハラデイが104球中79ストライクなら、クリフ・リーも、104球中76ストライク。2人のストライク率は73から75%、つまり、2人とも4球のうち3球をストライクを投げ込んでいる
これは驚異的なストライク率だ。

前にフェリックス・ヘルナンデスのストライク率とピッチングの安定感の関係を記事にしたことがあるが、もし、この70%を遥かに越える高いストライク率でフェリックス・ヘルナンデスが投げ込んだ場合、ここまでの安定感を発揮できるとは、ブログ主は思わない。
もちろんフェリックスもだいぶ進化しつつあるが、それは主に「それぞれの持ち球の、球のキレや安定感が上がったこと」を意味していており、無駄な四球などが無くなったわけでもない。ヘルナンデスのピッチングにおける投球術は、クリフ・リーや、ましてロイ・ハラデイには、まだまだ及ばない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年10月5日、ヘルナンデスのストライク率と四球数の関係を解き明かす。(ヘルナンデスの2009ストライク率グラフつき)

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年6月13日、「バランスの鬼」ヘルナンデス、8回2/3を2失点に抑え4勝目。輝きを取り戻しはじめたヘルナンデスの個性を、クリフ・リーとの「ストライク率の違い」から考える。ロブ・ジョンソン3安打。(2010年ヘルナンデス ストライク率表つき)






damejima at 18:35
これはもう、野球というより芸術だ。

なんと形容すればいいか、言葉が追いつかない。
なんという素晴らしいドラマ。MLBは本当に素晴らしい。
104球。79のストライク、8三振。1四球。


12シーズン所属したトロントを今年離れ、フィラデルフィアに移籍した"Doc"こと、ロイ・ハラデイ。いきなりレギュラーシーズンで250イニング登板して21勝を挙げ、完全試合も達成。2003年のア・リーグに続いて両リーグ受賞となるナ・リーグのサイ・ヤング賞は間違いない。(両リーグでサイ・ヤング賞投手になったのは、スピットボールで有名なゲイロード・ペリー、先日PBSの"The Tenth Inning"でも取り上げられていたペドロ・マルチネス、元シアトルのランディ・ジョンソン、ステロイダーのロジャー・クレメンス

そして今日10月6日は念願だったポスト・シーズンでの初登板だったが、なんと、いきなりシンシナティをノーヒット・ノーラン(というか、準完全試合)にしとめた。
ポストシーズンでのノーヒットノーランは、1956年ワールドシリーズで、ヤンキースのドン・ラーセンがドジャース相手に完全試合を達成して以来、54年ぶり2度目。

今年ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票で彼、大投手ロイ・ハラデイの名前を書かない記者など、ありえない。
間違いなく、いま、MLB最高の投手は、彼だ。
おめでとう、ドク。
Roy Halladay Postseason Statistics | phillies.com: Stats

Cincinnati Reds at Philadelphia Phillies - October 6, 2010 | MLB.com Gameday

27個のアウト全部が見られる動画
Doctober! No-no for Halladay in playoff debut | MLB.com: News

試合直後のインタビュー
試合直後のインタビューでロイ・ハラデイは、Dream comes true.とポストシーズンで初めて登板できた嬉しさを淡々と語ったほか、キャッチャーの Carlos Ruizの名前を挙げて、今日の偉業にとって、キャッチャーの強力なサポートが不可欠だったと褒めたたえた。Carlos Ruizは、1979年生まれで、フィリー生え抜きの5年目。今年初めて3割を打っている。
Baseball Video Highlights & Clips | CIN@PHI Gm 1: Halladay talks on-field about his no-no - Video | MLB.com: Multimedia


上に挙げた動画で、27のアウト全部、正確にいうと、27個のアウトと、たった1個のフォアボールを、5分間にわたって見ることができる。MLBの動画サービスはいつも素晴らしいが、全部のアウトを編集している動画は珍しい。
いかにロイ・ハラデイが「落ちる変化球で打者をしとめているか」が、非常によくわかる。メジャーの決め球は「アウトコース低め一杯のストレート」などではなく、「変化球」なのである。

この動画、注意して見ると、それぞれの打者に投げた配球を表す小さい画面が、全部の打者の分、映っている。「ひとりの打者を、ほんとうに少ない球数でしとめる」ロイ・ハラデイの特徴が、非常によくわかる。三振も、三球三振が少なくない。

いつぞや、トロント時代の2009年にボストンのオルティーズを三球三振にしとめた配球の素晴らしさを紹介したことがあった(ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』 序論:2009年9月30日、大投手ハラデイの「配球芸術」を鑑賞しながら考える日米の配球の違い)が、あのときと同じようにハーフハイトの球を使った美しい三球三振を、また今日も見られたのには感激した。

2009年9月30日 7回 ハラデイ、オルティスを3球三振2009年9月30日
トロント時代にオルティーズを三球三振にとった配球
2球目に変化球を低めに決めるのがポイント。

チェンジアップ
カットボール
カーブ

2010年10月6日 ロイ・ハラデイ ノーヒット・ノーラン時の配球2010年10月6日
ハーフハイトの球を使った
あまりにも美しい三球三振

ストレート
チェンジアップ
カットボール






damejima at 14:56

June 09, 2010

今シーズンから元マリナーズ監督のリグルマンが指揮をとるワシントン・ナショナルズがスティーブン・ストラスバーグをメジャーデビューさせた。いまちょうどゲームが始まったところだ。

対戦するのは岩村セデーニョクレメントが在籍するピッツバーグ。5番打者のデルウィン・ヤングに対する4球目で、ストラスバーグはやすやすと100マイルのストレートを投げてみせた。
やはりドラフト史上最高額の全米1位、ただのルーキーではない。

始まって2イニングで、既に4三振を奪っているが、三振はもっともっと増えるだろう。デビュー戦でいきなり2桁奪三振もありそうだ。
Pittsburgh Pirates at Washington Nationals - June 8, 2010 | MLB.com Gameday


ワシントン・ナショナルズは今年、いろいろと話題が多い。監督が元マリナーズ監督のリグルマンで、ベンチコーチも元マリナーズ監督のマクラーレン
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月17日、元マリナーズ監督マクラーレン、リグルマン監督率いるナショナルズのベンチコーチとして、厄払いの終わったメジャーの現場に復帰。

キャッチャーにイヴァン・ロドリゲス。1塁手は、ずっとこのブログで注目してきているライアン・ジマーマンである。ジマーマンは既にこのゲームでホームランを打っている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月12日、速報イチロー、3度目のシルバースラッガー賞受賞! 注目のアーロン・ヒル、ライアン・ジマーマンが初受賞。

イヴァン・ロドリゲスはもう終わった選手だとか思ってる人も多いのかもしれないが、それは間違いだ。今シーズンの彼は甦っている。OPSこそ.808と驚くほどの数字ではないが、打率.331と打ちまくっている。
要は、今シーズンの甦ったパッジはアベレージ・ヒッターになったのである。






damejima at 08:30

November 13, 2009

イチローが2009年のシルバースラッガー賞を受賞した。3度目の受賞。
これで守備の9年連続のゴールドグラブ、2回目のFielding Bible賞とあわせ、今年は攻守の賞をほとんど総なめにした。
打撃のシルバースラッガー賞、そして守備のゴールドグラブ、Fielding Bible賞と、3賞を全部受賞したのは、ア・リーグではイチロー、ただひとりである。今年のシルバースラッガー賞ではイチローが最も年上の選手なだけに、本当に素晴らしい。
ちなみに、ナ・リーグではライアン・ジマーマンのみが、ア・リーグのイチローと同様に、3つの賞を受賞している。
またブログで注目してきた2人のプレーヤー、アーロン・ヒル、ライアン・ジマーマンが初受賞したのも嬉しい。

ナ・リーグ シルバースラッガー賞
若い選手が多く選出されたことと、ゴールドグラブとの重複が少ないことに特徴がある。
1B Albert Pujols Fielding Bible賞
2B Chase Utley
3B Ryan Zimmerman 初 ゴールドグラブ、Fielding Bible賞
SS Hanley Ramirez
OF Ryan Braun
OF Matt Kemp 初 ゴールドグラブ
OF Andre Ethier 初
C  Brian McCann

ア・リーグ シルバースラッガー賞
攻守兼用のベテランが多い。イチローが最年長。
1B Mark Teixeira ゴールドグラブ
2B Aaron Hill 初 Fielding Bible賞
3B Derek Jeter  ゴールドグラブ
SS Evan Longoria 初 ゴールドグラブ
OF Ichiro 3回目 ゴールドグラブ、Fielding Bible賞
OF Torii Hunter 初 ゴールドグラブ
OF Jason Bay 初
C  Joe Mauer  ゴールドグラブ
DH Adam Lind 初

歴代受賞者
Silver Slugger Award - Wikipedia, the free encyclopedia

関連記事(MLB公式)
Silver Slugger winners being unveiled | MLB.com: News

Silver Sluggers a mix of old and new | MLB.com: News

Ichiro claims third Silver Slugger Award | Mariners.com: News

イチローの年度別成績
Ichiro Suzuki Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ナ・リーグのシルバースラッガー賞で、守備の賞を同時に受賞しているプレーヤーは、Albert Pujols、Ryan Zimmerman、Matt Kempの3人のみ。対してア・リーグで守備の賞を同時受賞しているのは、イチローはじめ、7人。このことだけでリーグの性格の違いをうんぬんするつもりはないが、面白い現象だ。
DH制のないナ・リーグでは打撃専用っぽいプレーヤーが多いといえば多いのに対して、DH制のあるア・リーグでは攻守に優れたプレーヤーが多く選ばれている。
またナ・リーグの受賞者は、30歳のチェイス・アトリーを除いて全員が20代の若い選手なのに対して、ア・リーグは30歳台が5人と、ベテランが多いのも特徴。


イチロー
新人王。首位打者2回。リーグMVP、盗塁王、オールスターMVP、各1回。MLBオールスター9年連続選出。シルバースラッガー賞3回。9年連続ゴールドグラブ。Fielding Bible賞2回。シーズン最多安打、9年連続200本安打。などなど。

アーロン・ヒル
1982年生まれ。いわゆるこのブログでいう、「1983年世代」にして、「強打の二塁手」
2009年オールスター初選出。2009年にシルバースラッガー賞、Fielding Bible賞を初受賞。
2009年11月5日、「強打の二塁手」〜今年最も記憶に残ったプレーヤー、最も注目すべきポジション。

2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。

ライアン・ジマーマン
1984年生まれ。いわゆるこのブログでいう、「1983年世代」
2009年オールスター初選出。2009年にシルバースラッガー賞、ゴールドグラブ、Fielding Bible賞を、それぞれ初受賞。
2009年11月11日、ナ・リーグのゴールドグラブ発表。ア・リーグ同様、2人がFielding Bible賞と同時受賞。結局、センター以外を守る外野手でゴールドグラブに選ばれたのは、イチロー、ただひとり。

2009年10月31日、2009年Fielding Bible賞にみる「キャッチャーに必要な能力の新スタンダード」。ロブ・ジョンソン、キャッチャー部門9位にランクイン。






damejima at 08:35
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  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
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  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



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