ダルビッシュ・田中将

2017年5月22日、まるで面白くない「田中将大の不調をめぐる記事」。
2015年4月6日、2013年日本シリーズ第6戦で巨人に「パターンを読まれた」時点からすでに始まっていた田中将大の「試練」。
2014年8月25日、ネガティブ・リストとポジティブ・リストの違いから説き起こす、「点差の開いたゲーム終盤での盗塁の是非」についてのダルビッシュの容認発言の根本的誤り。
2014年7月10日、田中将投手の使う球種の大きな変化。「ストレートとスプリッター中心だった4月・5月」と、「変化球中心に変わった7月」で、実際のデータを検証してみる。
2014年7月8日、ニック・スウィッシャーが試合後 「追い込んで、変化球でしとめる」と田中将の投球パターンを語った、クリーブランドの研究ぶり。さらに、「なぜMLBでは7月までスカウティングが厳しくないのか」について。
2014年3月6日、田中将大が「Fastball Countで、定石どおりのストレートを投げたこと」の意味。
2013年8月12日、テキサス対ヒューストン戦6回裏ジョナサン・ヴィラーの打席での「球審Ron Kulpaの4球目・5球目の判定」を、事後検定する。
2012年4月9日、やはり「ビッシュ・ツイスト」に戻らなかったダルビッシュの「松阪風サード側蹴り出し」フォーム。
2012年3月16日、上半身と下半身の動きが揃ってしまい、「ビッシュ・ツイスト」しないクリーブランド戦のダルビッシュのフォーム。
2011年12月19日、「数字を見る前に、野球を見る」 ただそれだけで予測できるテキサスのダルビッシュ落札。
2011年3月25日、ノーラン・ライアンを思わせる「前ステップ」をみせる大阪ガスの松永昂大投手。高校からプロになった投手と、大学を経由した投手とのフォームの違い。
2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。
2011年3月18日、いま野球選手だって、ストレスまみれ。だからこそ、イノチの野球を晴れたグラウンドでやるんだ。
2009年3月17日、韓国戦、槙原は「球が揃いすぎ。コーナーを狙いすぎ」と批判した。そして城島退場。
2009年2月20日、ダルビッシュも田中も、城島には呆れ顔。

May 22, 2017

田中将大がタンパベイ戦でこっぴどく打たれたために、膨大な記事が書かれている。見たくなくても関連記事を見かけるので、ほんとウンザリだが、主旨のハッキリしない、薄味のくだらない記事ばかりで、「面白い記事」など、どこにも落ちてない。
これだから日本のメディア記事だの他人のブログだのをマトモに読む気になどならない。


例えば、「2017年の田中がスプリットを投げてないこと」くらい、タンパベイのコーリー・ディッカーソンなどにホームラン3本を打たれた打席の投球球種をみるだけで、誰にでもわかる。

にもかかわらず、例えば豊浦某(https://news.yahoo.co.jp/byline/toyorashotaro/20170522-00071202/)などは、たった1行、「スプリットを封印した田中には、決め球がない。」とでも書けば済む中身のない内容を、Fangraphのデータをわざわざ引用して、ダラダラ、ダラダラひきのばして書いている。くだらない。中身なんてまるでない。Fangraphを引用するとセイバーメトリクスっぽくなるとでも思っているのか。アホか。と、いいたい。

日本のスポーツ紙メディアにしても、「好調ならベタ褒め、不調ならクソミソ」程度の低レベルな文章技術しかない三流タブロイドメディアのニューヨーク・ポストが書いたこきおろし記事を受け売りして、翻訳掲載し、無駄に三流タブロイド紙を儲けさせている。くだらないにも程がある。


田中が春先にホームランを打たれまくったのは、
なにも「今年が初めて」ではない。
参考記事:2014年7月10日、田中将投手の使う球種の大きな変化。「ストレートとスプリッター中心だった4月・5月」と、「変化球中心に変わった7月」で、実際のデータを検証してみる。 | Damejima's HARDBALL
参考記事:2015年4月6日、2013年日本シリーズ第6戦で巨人に「パターンを読まれた」時点からすでに始まっていた田中将大の「試練」。 | Damejima's HARDBALL

むしろ、渡米後すぐ、2014年に右肘靭帯部分断裂して、翌2015年春にはすでにホームランをボコボコ打たれだしている
だから2015年春の野球記事を検索すれば、さまざまな角度から書かれた「なぜ田中はホームランを打たれるのかというテーマの記事」がいくらでも見つかるし、中には中身のある記事もある。

例えば「対戦相手に球種が読まれているのではないか」という、よくある疑念については、例えば2015年4月にカート・シリングが「ストレート系と変化球で、腕の角度が違う」と言っている。(このコメントは「怪我から復帰した後」の話なので現在でも読む意味はある)
Harper: Tanaka takes small step, but not yet up to speed - NY Daily News
またフォームの変化については、2015年に筑波大学硬式野球部監督でもある川村卓准教授が、怪我のあとのフォームの変化と課題を指摘していて、「上半身、たとえばトップの位置は変わったが、下半身の動きは変わってない」という主旨のことを言っている。
田中将大の投球フォーム ヒジの故障によって変わった「トップの位置」 | ベースボールチャンネル(BaseBall Channel)


田中の不調の原因を記事として明確に指摘できる「材料」は他にもある。


例えば、タンパベイ戦で田中は、誰からの指示かは知らないが(たぶん無能な投手コーチのロスチャイルドだろうし、監督ジラルディも同意見だと思われる)、わざわざ「プレートの三塁側」を踏んで投げるように指示されている。

「右投手」が、「三塁側」を踏んで、「右バッターのインコース」に、「シンカー」を投げこんで、それが「ホームランという結果」しか生まなかったというのだから、そのことの「意味」は、「シンカー」という球種の性格をちょっと考えれば、その「意味」が誰しもわかりそうなものだ。
なのに、誰も指摘してないのだから呆れかえるしかない。おまえ、ボール握ったことがないのか?と、言いたくなる。


ちなみに、シーズン20億円以上もらっている先発投手が「プレートのどこを踏むか、他人から指示される」なんてことは、「ブログ主の常識」には、まったくない。
そういうたぐいの「調整」は「誰よりも自分をわかっている自分自身が試すべきこと」であって、それができる投手だけが20億もらうべきだ。
そういう基本が自分でできないのなら、20億もらう価値のない選手であることを自分で証明していることになる。それがブログ主の考える「プロ」だ。いったい何年かかったら「田中の調整」は終わるんだ?と言いたい。


まぁ、興味がある人はPitch F/Xとかで、田中投手の「変化球、速球それぞれのリリースポイント」とか、「変化球の変化の大きさ」など調べてみると面白いことがわかると思うし、登板日の写真の「下半身の踏み出し幅の、異様なほどの大きさ」についても、ちょっと考えてみるとなかなか奥が深いとも思う。

でも自分ではやらない。

なぜなら、自分にとって田中将大は、そういう「めんどくさいこと」を時間をかけてわざわざしたいと思うほどの選手ではないからだ。
彼はクリフ・リーでも、ロイ・ハラデイでもない。時間をかけて田中について書くくらいなら、むしろ、大学時代の怪我で速球派から技巧派に転じたジェイソン・バルガスの「遠い過去から現在にいたる、紆余曲折の長い道のり」について時間をかけて書いてみたい。


いずれにしても「面白いMLB記事」なんてものに本当に出会わなくなった。
根本原因はたぶん、本当の意味で「面白いと思える選手」がいなくなってしまったことにあるのだろう。
飛びすぎるボール。ストライクゾーンの変更。ホームラン激増。突然ホームランを量産しだす若い選手の登場。ドーピングの蔓延などなど。どれもこれも、別に面白くも、なんともない。細かく分析しようとも思わない。わかりきったことばかりで、考えて長い記事を書いても時間の無駄だし、MLBへの興味が薄れる原因にすらなっている。

damejima at 15:49

April 07, 2015

草野球にスカウティングはある意味必要ない。なぜなら、カーブの打ち方ができていない人に「次はカーブだ」と教えたとしても、技術そのものがないなら意味がないからだ。

だが世界最高の才能集団であるMLBのバッターは違う。

どんなに速かろうが、どんなに凄い変化球だろうが、ワンバウンドだろうが、「次の球の球種とコースさえわかれば、たいていどんな球でもヒットにできてしまう」のである。(さらに天才イチローは誰も予想しないワンバウンドですらヒットにした)

いいかえると、
「誰にも絶対ヒットにできない球」「誰にも打てない投手」なんてものは、MLBには存在しない。

だからこそMLBにおいては、スカウティングに重要な意味がある。決定的な弱点は必ず発見され、きちんと改善しない限り、その選手のキャリアは短命に終わる。



この数年でみると田中将大のピッチングには「3パターン」ある。

パターン1ストレートとスプリットだけで押し切ろうとするピッチング
パターン2カットボールやシンカーを混ぜ、相手の狙いをかわそうとするピッチング
パターン32シーム中心にシフトし、相手の狙いをかわそうとするピッチング

ブログ注:
注意してもらいたいのは、どんなピッチングパターンに変わろうと、どんなに肘に負担がかかろうと、田中投手はスプリットをまったく投げないわけにはいかない、ということだ。なぜなら、彼の生命線が「スプリット」にあるからだ。


楽天対巨人で行われた2013年の日本シリーズ、2勝3敗でエース田中将大先発の第6戦を迎え、土俵際まで追い込まれた巨人は、それでも「ストレートとスプリットだけの田中将大(=パターン1)」を打ち崩すことに成功した。

巨人が当時無敗のエースだった田中を打ち崩すことに成功したことは、日本でこれまであまりにも発達しなさすぎていた「他チームをスカウティングする能力」にまがりなりにも進歩のきざしがあることを意味していた。
またこれは、日本シリーズ後のオフに巨額契約でのMLB移籍が確実視されていた田中投手の「MLB移籍後に解決すべき課題の大きさ」を感じさせる事件だった。

あのときブログではこんなことを書いた。
田中投手が今後、緩急もつけられるピッチャーに変身できるのか、カーブを有効活用するために必要な投球術を自分のものにできるか、というと、彼の「腕の振りのワンパターンさ」を見るかぎり、カーブを投げようとしたときのフォームの変化があまりにも大きくなりすぎてしまって、打者に球種を見切られそうな感じがする。それに、ある年齢に達した人間というものは、そうそう簡単に「新しい自分」に変われないものだ。

むしろ、田中投手には、今までと同じように腕を振る速度を変えないまま、違う球種を投げわけるピッチングスタイルを今後も続けられる、という意味で、2シーム、カットボール、チェンジアップなどを増やすことのほうが向いている気がする。
ただ、どうしても元アトランタのカットボール投手・川上憲伸の例を思い出してしまう。緩急の少ないタイプのアジアの投手のカットボールは、MLBで思ったほど成功を収めていないことが、どうしても気になる。また、2シームと4シームを使い分ける芸当は、どうも日本人投手に向いてない気がするし、そもそも田中投手がいま投げている2シームは、「変化の大きさ」、「キレ」、どちらをとっても「MLBでいう2シーム」ではない
だから、彼がこれからモノにするなら「チェンジアップ」がいいような気がする。
出典:2013年11月3日、楽天の日本一における嶋捕手の配球の切れ味。田中投手の「球速の緩急をあえてつけないスプリット」の意味と、MLB移籍の課題。 | Damejima's HARDBALL


その後田中投手は2014年にMLBデビューを飾る。
この年の配球パターンの推移は、簡単に要約すればパターン1」で開幕し、「パターン2」で夏を乗り切ろうとした、という感じだった。

このときは以下のような記事を書いた。簡単にいえば、スカウティングの発達しているMLBでは、田中の配球スタイルが読み切られるのに半年かからない、ということだ。

春先に田中投手の使った球種は、ストレートとスプリッター中心の構成だった。(中略)

「7月のクリーブランド戦で田中投手の投げる球種が大きく変わっている」ことは、一目瞭然だ。
  1)ストレートが大きく減少
  2)カットボール、シンカーが一気に増加
「4番目に高い球種であるスライダー」について、わずか26.7%しかスイングしてくれなくなっている。つまり、「田中投手に対する狙いが、ある程度しぼられてきている」のである。

ストレートを痛打された痛い経験のせいなのかどうなのか、詳しいことまではわからないが、田中投手(あるいはヤンキースのバッテリーコーチ、あるいは、正捕手ブライアン・マッキャン)の側が、田中投手の球種からストレートを引っ込めた理由は何なのだろう。
何度か書いてきたように、例えば田中投手にはチェンジアップがない。いうまでもなく、チェンジアップやカーブ、あるいは、キレのある2シームといった、4シーム以外の「何か」を持たない投手が、「ストレートを引っ込める」ということは、MLBの場合、打者に狙いをさらに絞られることを意味するほかない。

「打たれたから、引っ込めました」、
それだけが理由では困るのである。

出典:2014年7月10日、田中将投手の使う球種の大きな変化。「ストレートとスプリッター中心だった4月・5月」と、「変化球中心に変わった7月」で、実際のデータを検証してみる。 | Damejima's HARDBALL

2014シーズンの田中投手の、MLBにおけるスタンスを最も典型的に示した事件は、7月のクリーブランド戦でニック・スウィッシャーに「追い込んだ後にいつも投げている決め球のスプリット」を読み切られ、決勝打を浴びたことだ。
スウィッシャーは試合後のインタビューで「あのカウントで変化球がくることは、わかっていた」と、やけに誇らしげに答えていたものだ。


そして、2015シーズンのスプリングトレーニング。
田中投手がパターン1、パターン2を捨てて、2シーム主体のピッチング、つまり パターン3 に切り替えようとしていることは明白だった。

パンク寸前の肘をかかえているために、ストレートを全力投球する能力が失なわれ、さらに肘に負担のかかるスプリットも多投できなくなって、こんどは2シームに頼ろうというわけだが、2シームを投げるピッチャーが山ほどいるMLBでは、バッターたちは2シームの球筋には慣れきっている。付け焼刃程度の2シームでは、実際のゲームには通用しない。


それに、どうにも気にいらないのが、
彼の投球フォームだ。

かつて松坂投手のフォームについて書いたことの半分くらいと内容が重複するのだが、今の田中投手は横を向いたままステップしている。これでは、落ちた球速をコントロールの良さで補おうとしても、そのコントロール自体がおぼつかない。始末が悪い。

トミー・ジョン手術を受ける前の、ノーコン時代のボストン松坂大輔と、「左足の向き」を比べてみるといい。2人の投手の左足つま先は、ホームプレートではなく、「サード方向」を向いている。

2015開幕時の田中将大

ボストン松坂大輔投手のフォームボストン時代の松坂大輔

トレバー・ホフマンの「ビッシュ・ツイスト」田中投手との比較のために、名クローザー、トレバー・ホフマンのフォームをあげてみた。
「左足つま先」が完全にホームプレート方向を向き、顔もホームプレートに対してまっすぐ向いているため、ストライクゾーンをまっすぐ見て投げることができる。コントロールがつきやすいのは当然だろう。
また上半身は骨盤に対してまっすぐ直立した状態をキープしているため、ぐらつきが少ない。


遠からず田中投手はトミー・ジョン手術を受け、長期休養することになるだろう。
もう彼のスピードボールはもう90マイル後半を記録することはないかもしれない。同じスピードで来るボールが、ストレートだったり、スプリットだったりして、打者を幻惑することこそが彼の配球の持ち味だったわけだが、ストレートが死ねば、スプリットの威力も落ちる。

こういうパンク寸前の投手を開幕投手として投げさせるニューヨーク・ヤンキースは、本当に合理的な判断のかけらもないチームだ。まぁ、こんなチームは地区下位にあえぎながらアレックス・ロドリゲスのような薄汚いステロイダーの嘘臭い記録とじゃれあっているのがお似合いというものだ。

damejima at 15:58

August 26, 2014

MLBには「Unwritten Rules(アンリトゥン・ルール)」というものがある。

日本語でいうなら「不文律」、文字に書かれない暗黙のルールのことだ。

それは例えば、「点差が開いて試合の趨勢が決まったゲームの終盤では、勝っているほうのチームのランナーは盗塁を試みてはならない」などというような、紳士協定的な約束事だけではなくて、一度ブログに書いたことがあるが、「マウンドはピッチャーの聖地である。凡退したバッターがダグアウトに戻るとき、近道のためにマウンドを横切ることは聖地であるマウンドを汚す行為であり、絶対許されない」なんてものまで、実にさまざまな種類がある。
(かつてAロッドがオークランド戦で、ファウルの帰塁の際に故意にマウンドを横切って、ダラス・ブレイデン投手と大ゲンカしたことがある 資料: 2011年7月6日、「MLBでは不文律を絶対に破らない」という不文律は、「どこにも無い」。 | Damejima's HARDBALL


さて、「点差の開いたゲームでの終盤の盗塁」について、ダルビッシュが以下のような発言をしているのを見た。
この発言は、「法の論議」としても、「論理学の論議」としても、あらゆる点で根本的な間違いを犯している。




例を挙げて話をしてみる。

かつてスポーツのアンチ・ドーピング、つまりドーピングの取り締まりのルールにおいては、「ネガティブ・リスト」によって取り締まる時代が長く続いた。
だがネガティブ・リストでは次から次に登場する新しいドーピング薬物の進化にとてもついていけないので、近年ではアンチ・ドーピングのルールは「ポジティブ・リスト」が加えられ、大きく変更されている。
この「ポジティブ・リスト」というルール決めの方法は、農業分野での薬物規制などでも行われているルールで、要するに「禁止薬物を羅列するのではなくて、逆に、許可薬物を羅列して示すようなやり方」に変わった、ということだ。

ネガティブ・リスト
禁止条件を羅列するようなルールづくりのやり方

ポジティブ・リスト
許可条件を羅列するようなルールづくりのやり方


いちいち書かなくてもわかると思うが、いちおう書いておく。
脱法ドラッグなどとまったく同じで、ネガティブ・リストの考え方だけで作られた薬物ルールでは、ドーピング規制が現実についていけず、いわゆる「ザル法」になってしまう。
というのは、「『まだ禁止薬物リストにのっていないドーピング薬物』が次から次へと開発されてくるのが現実だというのに、『ネガティブ・リストで作られたルールにリストアップされている薬物だけがドーピングだ』というのなら、『まだリストに書かれていない、新しい薬物を使うこと』はドーピングにならない」という屁理屈が成り立ってしまい、ドーピング蔓延に打つ手がなくなってしまうからだ。
(そして実際に、ネガティブ・リストでドーピング規制していたかつてのスポーツ界では、あらゆるドーピングが蔓延していた)

これではルールを決める意味がない。

これに対し、ポジティブ・リストの考え方でできたドーピングルールでは、「使ってよい許可薬物」が羅列される。だから、たとえドーピング薬物リストに書かれていない全く新しいドーピング薬物が次々に開発され、使用されたとしても、それらをドーピングとして摘発し、厳しく処罰することが可能になったのである。



この簡単なドーピング規制の例からわかることは、「ルールに書かれていない全てのことは、やっても許される」という論理が成り立つためには、その前提として、「全体を拘束しているルールが、ネガティブ・リストの考え方で作られている」という条件が必須だ、ということだ。
(だが、たいていの場合、こうしたことは誰も思いつかないし、気がつかない。なのに、ロジックに弱い人間に限って、気軽に「ルールに書かれてないことは、やっていいんだ」などと、根拠のない戯言をクチにする)

別の例:
コンピューターのルーターのフィルター設定
インターネットの接続先が「1番から100番まで」100個だと仮定して、あるルーターに「1番から10番までの接続先は接続禁止」というルールのみを設定してみる、とする。
すると、このルールの存在によって結果的に「11番から100番までの接続先、あるいは未知の接続先など、ルールで禁止されていない接続先になら、自由に接続してよい」という、「裏ルール」ともいうべきものがネガティブに成立することになる。
だが、それはあくまで裏ルールでしかない。子供でもわかることだが、元の「1番から10番までの接続先は許可」という明示されたルールを取り消すと、「禁止された接続先以外なら、あらゆる接続先に自由に接続してよい」という明示されない裏ルールも同時に消滅する。



だが、普通のルールの場合、「禁止事項のみが書かれていること」など、ほとんどない。

現に、MLBのルール、そして日本の野球のルールを見てもらいたい。それらには「やってよいこと」も、「やってはいけない」ことも、混合して書かれている

それは、論理学的観点からいうと、野球という世界のルールにおいては、やってよいこと、禁止されること、その両方とも書かれている以上、「ルールに書かれていないこと」についても、やってよいこと、やるべきでないこと、両方が含まれていて、「ルールに書かれてないことはやってもよい」というロジックは全く成立しない、ということを意味する。


繰り返す。
ありえないことだが、もし野球のルールが「禁止事項だけで作られている」としたら、それは確かに論理学的にいえば「ルールに書かれていないことは、やってもいい」というロジックも成り立ちうる。

だが、実際にはそうではない。
まったく違う。


もう一度繰り返す。
野球のルールには、許可事項もあれば、禁止事項も、両方が存在している。禁止と許可の両方がある以上、「野球のルールに書かれていないことは、許可されるべきだ」なんていう、わけのわからない屁理屈はまったく成り立たない。
野球の場合、『正式なルールに書かれていないこと』の中には、「やっていいこと」も、「やるべきでないこと」も、両方が存在しており、「正式ルールに書かれてないことは、何をやってもいい」わけではない。

それは、倫理でもなければ、安っぽいヒューマニズムでもない。
「純粋な論理」として、そうなのだ。


以上、点差の開いたゲームの終盤での盗塁に関するダルビッシュの発言の論理が、論理学的に根本的に間違っていることを「証明」した。影響力のある男なのだから、少しは頭を使ってモノを言ってもらいたい。


アンタさ、アタマが古いよ。ダルビッシュ。

付則:
たとえもし仮に、野球の正式ルールの枠外のルールである「アンリトゥン・ルール」という一種の「ルール」が、「禁止事項」だけがリスト化されたネガティブ・リストだったとしても、それらは、「野球の正式ルールに書かれていない、枠外の数限りない事項のうちの、ごく一部分」に過ぎない。だから、たとえアンリトゥンルールがネガティブ・リストだったとしても、論理的に野球の正式ルールはそのことによって影響は全く受けない。




damejima at 16:37

July 11, 2014

7月のクリーブランド戦で田中将大投手が使った球種について、春先の登板ゲームの球種と比較しつつ、少しデータを追加しておきたい。以下のデータにおいて、球種の略号は以下のとおり。
FA(Fastball)
SI(Sinker)
SL(Slider)
CU(Curveball)
FC(Cutter)
FS(Splitter)
CH(Changeup)
(ちなみに球種の分類結果は、あまり厳密にとらえないでもらいたい。例えば、2シームという球種はよく使われる球種のひとつだが、これをどこに分類するかはアメリカのMLB関連サイトでも異なっていることがあるし、また、日米で分類が異なる球種などもある)

「ストレートとスプリッター中心の配球」で始まった
田中将大の2014シーズン


春先に田中投手の使った球種は、ストレートとスプリッターを中心の構成だった
そのことを示す例として以下に、ア・リーグ、ナ・リーグ各1試合ずつ、ビジター2試合のデータを挙げてみた。この2試合は、まったく同じ試合のデータかと勘違いしかねないほど、投球内容が「びっくりするほど似ている」。そのことは、データからすぐにわかってもらえると思う。

言い方を変えれば、2本塁打を浴びて、ちょっとファンをヒヤヒヤさせたゲームだろうと、完璧といえる素晴らしい内容で完封勝ちしたゲームだろうと、実は、投球内容そのものは「ほとんど同じ」であることも、あわせてわかっていただけると幸いだ。
よくいわれることだが、勝った負けたと短絡的に大騒ぎするファンはともかく、プレーヤーにしてみると、試合結果が勝ちか負けかは、単純に時の運であることがいかに多いかが、本当によくわかるデータでもあるのだ。

ここで留意しておかなくてはならないのは、ボストンにしても、メッツにしてもそうだが、対戦相手が「スプリッターを最も多くスイングしてきている」ことだ。(もうちょっと詳しく書くと、田中投手の持ち球がまだわからない開幕直後4月のボストン打線はあらゆる球種について40%以上のレートでスイングしてきているが、5月のメッツ打線になると、はやくもストレートとスプリッターにある程度照準を絞ってスイングする傾向が見えはじめている)

「田中将がスプリッターを多投する投手であること」は、当然ながら、開幕前から情報として誰の耳にも入っている。ただ、情報としていくら知ってはいても、打席に入って実際に打つのは勝手が違うわけで、最初はバットが空を切り続けるわけだ。

4月22日 ボストン戦
7回1/3 被安打7 四死球なし 自責点2 勝ち

FA 36球(24ストライク/66.7%)17スイング(47.2%)
FS 23球(16ストライク/69.6%)15スイング(65.2%
SL 22球(16ストライク/72.7%)10スイング(45.5%)
SI 14球(12ストライク/85.7%)6スイング(42.9%)
出典:BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool

5月14日 メッツ戦
9回完封勝ち 被安打4 四死球なし 自責点ゼロ

FA 37球(24ストライク/64.9%)17スイング(45.9%)
FS 28球(16ストライク/57.1%)15スイング(53.6%
SL 20球(15ストライク/75.0%)7スイング(35.0%)
SI 14球(7ストライク/50.0%)5スイング(35.7%)
出典:BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool



ストレートが影をひそめ
「スプリッターなど変化球中心」になった7月


最初に挙げた2試合のデータと比べてもらうと、「7月のクリーブランド戦で田中投手の投げる球種が大きく変わっている」ことは、一目瞭然だ。
1)ストレートが大きく減少
2)カットボール、シンカーが一気に増加

これに対し、打つ側はどうかというと、クリーブランドの打者が、田中投手が投げる割合の高いスプリッター、カットボール、シンカーの3つの球種を、特にスイングしてきていたことが、以下のデータの赤色部分からハッキリわかる。

ここでいうシンカーとは、平均速度92.4マイル (最高95.6マイル)の球のことで、いわゆる「高速シンカー」にあたり、またカットボールが平均89.9マイル (最高91.5マイル)、スプリッターが87.4マイル(最高90.3マイル)だから、要するに、クリーブランド打線は「田中投手の90マイル前後の変化球を目の色を変えてスイングしてきた」のであり、平均94マイルのスピードボールも、スピードを抑えた平均83マイルのスライダーも、田中投手自身がもはや多投しなくなっているし、また、クリーブランド打線も狙ってスイングしてはいないのである。

7月8日 クリーブランド戦
6回2/3 被安打10 四死球1 自責点5

FS 27球(17ストライク/63.0%)16スイング(59.3%
FC 20球(14ストライク/70.0%)12スイング(60.0%
SI 19球(14ストライク/73.7%)13スイング(68.4%
SL 15球(13ストライク/86.7%)4スイング(26.7%)
FA 12球(3ストライク/25.0%)3スイング(25.0%)

出典:BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool


クリーブランド打線が試合開始時点では田中投手のストレートやスライダーをほとんど振ってこないのは、「投手があまり投げない球種だから、打者がスイングする率が低い」のではない。「打者側で、投手があまり投げてこないのが最初からわかっているから、その球種を捨ててかかっている」のである。
例えば、4月・5月の2ゲームのスイング率で見ると、春先は「田中投手が投げる割合が4番目に高い球種」でも「40%前後」もの割合でスイングしてくれていた。つまり、漫然とスイングしてくれる春先ならではの現象として、各チームのバッターは田中投手の使うさまざまな球種に、それこそ「まんべんなく手を出してくれていた」のだ。

だが、7月のクリーブランド戦では違う。
「4番目に高い球種であるスライダー」について、わずか26.7%しかスイングしてくれなくなっている。つまり、「田中投手に対する狙いが、ある程度しぼられてきている」のである。

これでは、投手に「逃げ場がない」。

たとえ、たまに遊びを増やす意味で球速の遅いカーブやスライダーを投げていたとしても、打者はあまり反応してくれないし、そもそも「90マイル前後の変化球を狙う」というターゲットを変更して、ブレてはくれない。

こうして90マイル前後のスプリッターを打ちこまれた後の田中投手は、次にスライダーを置きにいき、再びホームランを浴びた。明らかにこれは打者に「逃げ先を先読みされて、追い打ちを食らっている」のである。


ストレートを痛打された痛い経験のせいなのかどうなのか、詳しいことまではわからないが、田中投手(あるいはヤンキースのバッテリーコーチ、あるいは、正捕手ブライアン・マッキャン)の側が、田中投手の球種からストレートを引っ込めた理由は何なのだろう。
何度か書いてきたように、例えば田中投手にはチェンジアップがない。いうまでもなく、チェンジアップやカーブ、あるいは、キレのある2シームといった、4シーム以外の「何か」を持たない投手が、「ストレートを引っ込める」ということは、MLBの場合、打者に狙いをさらに絞られることを意味するほかない。

「打たれたから、引っ込めました」、
それだけが理由では困るのである。

例えば、引退したばかりのマリアーノ・リベラにカットボールがあり、大学当時は速球派だったジェイソン・バルガスが肩を壊してチェンジアップを覚え、サイ・ヤング賞投手クリフ・リーがカーブを持ち球のひとつにし、ブライアン・マッカーシーがオークランドで2シームを修正されて飛躍し、デビュー当時4シームばかり投げたがっていたフェリックス・ヘルナンデスがそのストレートを打たれまくって高速シンカーを決め球のひとつに加えたように、それぞれ持ち球に変化を加えるのには、先発ピッチャーとしてMLBで長くやっていくための方策として、やはり大きな意味があるのである。

damejima at 08:27

July 09, 2014

試合をひっくり返した2ランを打ったのは、ヤンキースから鳴り物入りでクリーブランドに移ったのはいいが、打率1割台と、打撃絶不調に泣くニック・スウィッシャーだった(笑)
試合後に、「(田中将大とは)初対戦だし、ビデオで研究したら、追い込んでから変化球でしとめるのが好きみたいね」とコメントしたと、日本のメディアの記事にある。


この試合中にツイートしたことをあらためて振り返ってみる。

まず、以下の3つのツイートだが、これらはすべて「クリーブランドの逆転が実現する前のツイート」だ。明らかに、クリーブランド打線は何かを執拗に狙ってきていた

そして、その「何か」とは、主に「田中将大のスプリット」だったと思う。

ゲームが終わってだいぶ経ってから考えると、クリーブランドが「田中将大がスプリットを投げるときのクセ」を完全に見抜いていたとまで断言できかどうかは、いまのところ保留しておくにしても、少なくとも正直者のニック・スウィッシャーが手の内を明かしてくれたように、クリーブランド打線は「田中将大がスプリットを投げる典型的なカウントのパターン」は把握できていた、とみるべきだろう。
でなければ、これまであれだけMLBの打者をキリキリ舞いさせてきたスプリット(これは彼の生命線でもある変化球だ)に限ってフルスイングしてくるようなマネができるとも思えない。









「クリーブランド打線は、田中のスプリットを狙い打ちにきている」という「予感」は、その後「確信」に変わることになった。






その「仕上げ」にあたる「事件」が、マイケル・ブラントリーに「アウトコース低めのスプリット」を狙い打たれたタイムリー・ツーベースだった。

こうなると、もう間違いない。「アウトコース低めのスプリット」をレフト線にタイムリーの長打を打たれる、なんてことは、この球が先発投手としての生命線のひとつである田中将大にとっては、間違いなく「事件」だ。



あとは、スプリットに対する自信が揺らいでしまい、スライダーで逃げようしたところを、チゼンホールにシングルヒットされ、同じくスライダーをニック・スウィッシャーにスタンドに放り込まれることになる。
これでスプリットを失い、スライダーも打たれた田中は、茫然自失状態になってしまい、自分の投げるべき球、投げるべきコースを見失ったまま、ストレートをど真ん中に置きにいってしまい、マイケル・ブラントリーに追い打ちのホームランを浴びることになった。




まさに、このゲームこそ、田中将大が「MLBで長くやっていくとは、どういうことなのか」を考えるべきゲームになったと思う。







「7月になるまでスカウティングというものがあまり活用されない理由」は、ハッキリしたことまではわからないが、MLBでポストシーズンに出られそうなチームと、そうでないチームが、ハッキリ色分けされるのが、7月という季節なのだということがあるのは、おそらく間違いないと思う。

この季節、首位争いをしていて、秋のポストシーズンに高い確率で出られそうなチームは、他から選手をさらに買い集める、つまり、BUYの側に立つ。
そして、既に下位に沈み、ポストシーズン進出の望みを断たれているチームは、チーム解体に走り、選手を売る、つまり、SELLの側に立つ。
こうした「BUY or SELL」の図式がハッキリする、つまり、自分のチームがポストシーズンに向けてカネを使う意味があるかどうか、まだ決まらない前に、MLB球団が大金を払ってまでして外部の分析専門会社からスカウティング、つまり、今シーズンの分析データを買ったりしないだろう、というのが、ブログ主の「読み」である。(もちろん、今シーズンのデータを分析するのに一定の時間がかかるということもあるし、また、スカウティング会社がデータを夏に販売するという記事をどこかで読んだ記憶もある)

それは、7月になる前の打者の行き当たりばったりのバッティングぶりからして、「MLBでは7月になるまでは、それほどスカウティングがはっきりと活用されてはいない」と感じる理由のひとつでもある。

damejima at 19:35

March 07, 2014

スプリングトレーニングで田中将大がフィリー戦で初先発してホームランを打たれたと人から聞いて、その人にちょっと聞き返してみた。

打たれたカウントは?
3-1。」

なるほど。
「球種はまちがいなく、ストレートだな。」と、思った。


ホームランを打たれたこと自体はどうでもいい。誰だって、たまには打たれる。
早くメジャーに上がりたいマイナーの若い野手は、昇格アピールのために早めに仕上げてスプリングトレーニングに来ているわけだし、まだ仕上がっているわけではないメジャー契約の投手がいきなり長打を打たれることも、ある意味しかたがない。
なんせ、まだスプリングトレーニングだから、メジャーの投手のストレートにはまだ十分な球威がない。他方、打者は、まだ練習のためのゲームだから、ボールを選んでくるのではなくて、どんどん積極的にスイングしてもくる。特にストレートは狙われやすい。


むしろ、このホームランでブログ主が関心をもったのは、もっと別の点だ。

1.「田中が、まるでキャッチャーのサインどおり投げてしまっていた」ように聞こえたこと

2.「ストレートを投げざるを得ないカウントで、好きなように打たれてしまわないだけの球威のあるストレートが、田中にあるのか、ないのか」それがまだ未知数なこと


日本でなら、かつて来日当時の阪神ブラゼルが日米の野球の違いとしてコメントしていたように、たとえカウントが3-1だろうと、変化球を投げることも多い。

だがMLBでは、このブログで何度となく説明してきたように、「fastball counts」、つまり2-0とか、3-0とか、投手不利なカウントでは、MLBのキャッチャーは問答無用に「ストレートのサイン」を出してくる。そして、投手の側もそれがわかっているから、多くの投手がサインどおりにストレートを投げる。それが「MLBにおける配球のお約束」になっている。(もちろん例外もある)
だからバッターは、「fastball counts」ではストレートだけを狙ってフルスイングしてくる。そして、これもMLBのお約束のひとつだ。

記事例:2010年10月24日、メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」damejimaノート(11) なぜライアン・ハワードは9回裏フルカウントでスイングできなかったのか? フィリーズ打線に対する"Fastball Count"スカウティング。 | Damejima's HARDBALL

記事例:2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。 | Damejima's HARDBALL


監督ジラルディは、この日の田中について、こんなことを言った。
(We) get him comfortable with our catchers.


どうも意味深に聞こえる。

イチローのヤンキース移籍後の1シーズン半でわかったことは、ジラルディという人間が「コメントをあまり信用できないタイプで、結局のところは『自分のやり方』にとことんこだわりぬく頑固オヤジ」だということだ。
ジラルディは、メディアにどんな柔らかいコメントをしようが、実際には「自分のやり方」にのみ、しつこくしつこくこだわる。そして、たとえ間違いを犯しても、最後まで自分の方法論を変えないし、修正するゆとりを持とうとはしない。

だから、MLBでルーキーでしかない田中にジラルディが求めるのは「おまえはまだ新人だ。だからMLBのキャッチャーのスタイルに従ってくれ」という一点張りになる可能性はけして低くないと、ブログ主は考える。


また、田中の球を受けることになるブライアン・マッキャンの田中評にしても、ブログ主は、どこか上の空な感じ上から目線という印象を受けた。

彼は田中のピッチングについて、こんな表現をした。
as good as advertised
前評判どおりだね


このコメント、あなたなら、どう解釈するだろう。
この例を見てもらいたい。

"Looking at their defense, they are as good as advertised," Manning said.
「彼らのディフェンス見たよ。まぁ評判どおりじゃないのかな。」
Manning: Seahawks defense 'as good as advertised'

これは、第48回スーパーボウルを戦う直前の1月末に、リーグ最強オフェンスを誇るデンバー・ブロンコスのクォーターバック、ペイトン・マニングが、「対戦相手シーホークスのリーグ最強ディフェンス」についてUSA Todayにコメントしたものだ。

今年のスーパーボウルの「試合前予想」では、いうまでもなく、2月の本番でシーホークスがあれほどの大差で圧勝するとは、誰も思っていなかった。
だから、既にスーパーボウルで優勝し、MVP獲得経験のあるマニングにしてみれば、as good as advertisedという表現にこめたニュアンスは、「とりあえず『評判通り』くらいは言っておくけど、まぁ、最後に勝つのは俺しかありえないぜ」という意味の「自信の表れ」であり、as good as advertisedという表現の実際の意味は、「まぁまぁだね。せいぜい頑張んなよな」程度の上から目線のニュアンスであって、「結果が出る前の、決まり文句」、「試合前のリップサービス」でしかない。
(それに、そもそも英語の 'good' という表現には「高く評価する」とか、「非常に優秀だ」とかいうニュアンスはない。「まぁまぁだね」と訳すくらいで、ちょうどいい)


球種の多いダルビッシュもさんざん手を焼いた点ではあるだろうが、田中将大がどのくらい「MLBのキャッチャーと組んだときにに、『オレ流』を貫けるのか」、そこが問題だと思う。

ヤンキースはテキサスよりも遥かに「内部の規律」が硬直的だし、また、田中投手はダルビッシュと違って、どうも性格的に自分から折れてしまいそうな気もする。監督の指示やキャッチャーのサインにただただ従って、打たれた後でストレスを溜めるようなケースが多発するのでは、結局マトモなシーズンにはならない。

damejima at 13:44

August 13, 2013

MLBのアンパイアの「ストライクゾーンにまつわる判定の是非」を後から議論するにあたっては、必ず理解していなくてはならないことが、いくつかある。

何度も書いてきたことだが、MLBのストライクゾーンは、「ルールブック上のストライクゾーン」ではなく、不文律としての「MLBにおける基本的なストライクゾーン」があって、さらには、「右バッターと左バッター、それぞれに異なる慣例的ストライクゾーンがある」のだ。
そして、困ったことに、最終判定に決定的な影響を及ぼすのは、ルールブックでも、バッターの左右で異なるMLBの基本ゾーンでもなくて、「球審ごとに存在する個人差」、つまり、「その球審だけに特有のストライクゾーン」だ。(そして、さらにやっかいなことに、同じ球審でもゲームごとに判定傾向が異なることは往々にしてある)

1)MLBにおける左打者、右打者それぞれの
  基本的なストライクゾーン
2)その球審特有のストライクゾーンのパターン
3)その日だけのストライクゾーンの傾向


ダルビッシュが登板し、ノーヒットノーランかと騒がれた今日のテキサス対ヒューストン戦の6回裏、ジョナサン・ヴィラーの打席の判定で、球審Ron Kulpaのボール判定を不服として抗議したキャッチャーのピアジンスキーが退場処分になったが、このRon Kulpaの判定を、「事後判定」してみることにする。

GameDay
Texas Rangers at Houston Astros - August 12, 2013 | MLB.com Classic

2013年8月12日TEX vs HOU 6回裏 Jonattan Villar

ピアジンスキーが問題にしたのは、4球目の「アウトコースのストレート」と、5球目の「真ん中低めのスライダー」だろう。2球続けて、きわどいコースではある。

これら2つの投球は、以下に挙げたPitch f/xデータで見る限り、「ボール」である。
その意味は2つある。「ルールブック上のストライクゾーンからみると、論議の余地の全くないボール」であり、また、「アウトコースが非常に広い、というMLBの慣例的な左バッターのストライクゾーンからみても、きわどいが、疑いなくボール」なのである。

BrooksBaseball Pitchf/x
BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool

2013年8月12日 TEX vs HOU 6回裏 Jonattan Villar PitchF/X


6回裏 Jonattan Villarへの「4球目」
BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
破線は、「MLBでの慣例的な左バッターのアウトコースのストライクゾーン」だが、4球目は、わずかにアウトコースに外れている
2013年8月12日 TEX vs HOU 6回裏 Villarの4球目


とはいえ、MLBでのストライク判定を決めるのは、最後は球審の「個人差」だ。
もし、球審Ron Kulpaが「左バッターのアウトコースが通常では考えられないほど広い球審」であるなら、問題の4球目が「ストライク判定」になっていた可能性はある。だから彼のこれまでの判定傾向を確かめないと、何もいえない。
ちなみに、左バッターのアウトコースにあたる「レフト側」が広い球審、というと、過去のデータ上、Derryl Cousins、Tim Timmons、Laz Diaz、Ed Hickox、Bill Miller、Bill Werke、Lance Barksdale、Doug Eddingsなどがいる。ただ、今回問題になった「4球目」をストライク判定するほどレフト側が広い球審は、そのうちでも半分足らず、3人か4人しかいない。

このゲームで球審をつとめたRon Kulpaの判定傾向はどうかというと、彼の過去の判定傾向によると、彼のレフト側のゾーンは確かに「広め」ではあるが、かといって、問題の4球目をストライク判定するほど、広くはない
また、この試合を通しての判定傾向は、左バッターのアウトコースを極端に広くとっていたわけではないし、また、6回裏のジョナサン・ヴィラーの打席に限って判定傾向が大きく変わった、とはいえない。
そして、彼はもともと判定の正確なアンパイアのひとりである。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年6月2日、まるで「記録達成」を阻止したいのかとでも疑りたくなるような、今シーズンのイチローに対するアウトコースのストライクゾーン。(1)

球審Ron Kulpaの例年の判定傾向
(元資料:Hardball Times)
赤い線:「ルールブック上のストライクゾーン」
青い線:「Ron Kulpaの判定傾向」

Ron Kulpaのストライクゾーン


ここまでの検証によって、今回の「Ron Kulpaの判定」に対する事後検定というか、二次的な判定は、「4球目」、「5球目」、いずれも、「ボール判定」でさしつかえない」、となる。ジョナサン・ヴィラーの4球目、5球目は、いずれも「ボール」だ。

ちなみに、スポーツにおける退場処分を専門に扱うユニークなサイト、Close Call Sportsがこの判定をどう判断したのか、確かめてみると、彼らはこのRon Kulpaの判定に関してcorrect、つまり、球審Ron Kulpaの判断が「正しい」と断定している。

Close Call Sportsによる判断
MLB Ejection 129: Ron Kulpa (1; AJ Pierzynski) | Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League

damejima at 11:54

April 10, 2012

 
2012年4月9日 デビュー登板のダルビッシュのフォーム

これは、メジャー初登板時のダルビッシュのピッチングフォーム。初回に2番アックリーを三振に仕留めた場面。
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@TEX: Darvish records his first career strikeout - Video | MLB.com: Multimedia(MLB公式動画)

左から2番目の写真
明らかに、このブログでいう「蹴り出し動作」をやっている。

一番右の写真
ホームプレートに踏み出した左足が「まっすぐホームプレート方向を向くのではなく、サード側に向いたまま」、「横向きに踏み出し」ている。これは「横ステップ」であって、2011年のフォームである「ビッシュ・ツイスト」の特徴のひとつである「前ステップ」ではない。上半身のひねりの効果が薄い。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。


MLBのレジェンドとして新人に格の違いを見せつけた
イチローの3安打

http://wapc.mlb.com/play?content_id=20494261



今年3月半ばに、ダルビッシュの渡米以降の投球フォームが「ビッシュ・ツイスト」しないフォームであることを指摘したが、あの段階からフォームがほとんど変化していない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年3月16日、上半身と下半身の動きが揃ってしまい、「ビッシュ・ツイスト」しないクリーブランド戦のダルビッシュのフォーム。
松坂投手そっくりの、左足のサード側への「蹴り出し動作」が、ハッキリと見てとれるが、蹴り出し動作の際に、不自然に爪先を曲げているのが、なんとも不恰好だ。
フォームもピッチング内容も、四球を連発してランナーを貯めては、タイムリーを打たれる松坂投手の悪いときにそっくり。これではいけないと思う。


より細かいことで言えば、左バッターへの配球が単調すぎる。アウトコースよりの2シームが来ることは、ほとんどの左バッターがわかって狙っていたはず。
また、ストレート系が得意なカイル・シーガーに2シームをタイムリーされた次の打席でも2シームを打たれるようなことも、いただけない。

ツイッターでも言ったことだが、投手が配球の主導権を握るMLBでは、投手に学習能力や打者のスカウティング能力がないと生き残れない。

せっかく2011年に、日本のプロ野球に在籍していながらメジャー仕様(=「ビッシュツイスト」)に改造することに成功していたダルビッシュの投球フォームは、テキサスに移籍したとたん、なぜか逆に、「MLB仕様に改造する前の、プロ野球風の日本式フォーム」に回帰してしまっている。これでは、逆戻りだ。
なぜこういう「先祖帰り」が起きるのか、理解に苦しむ。まるで、「外国に憧れて海外旅行に行ったにもかかわらず、海外に行ったら、どういうわけか日本食ばかり食べている気弱な旅行者」みたいな感じだ。


日本での蹴り出し動作「あり」のダルビッシュ(下)と、
蹴り出し動作「なし」のダルビッシュ(上)


ダルビッシュ分解写真(改)


松坂投手のフォーム(足をショート側に向ける瞬間)松坂投手の特徴のひとつである
「サード側への蹴り出し動作」


ダルビッシュが日ハム在籍時にメジャー仕様フォームとして開拓したと思われる「ビッシュ・ツイスト」においては、上半身は打者に背番号が向くほどひねっている状態なのに、下半身はホームプレートにまっすぐ「前ステップ」できていた。
以下、一番上の日本ハム時代のMLBスタイルの「ビッシュ・ツイスト」と、残り3枚の写真をよく見比べてもらいたい。今のダルビッシュが、いかに力感とまとまりがないか、わかると思う。


日本ハム時代の「ビッシュ・ツイスト
踏み出した左足のつま先が、綺麗にホームプレート方向を向いている。だが、上半身は後ろにわずかに体重を残しつつ、ひねったままを維持しているため、ここから腕を思い切り振ってボールを投げると、非常に大きなパワーが生み出される。

日本ハム時代の「ビッシュ・ツイスト」


渡米直後のブルペン

「ビッシュ・ツイスト」してないダルビッシュ(ブルペン)


3月13日 スプリング・トレーニング インディアンス戦

「ビッシュ・ツイスト」してないダルビッシュ(インディアンス戦)


4月9日 MLBデビュー登板 シアトル戦 in アーリントン

2012年4月9日 MLBデビュー登板のダルビッシュ


damejima at 14:47

March 17, 2012

先日ツイッターで、「ダルビッシュのフォームが崩れている」という主旨のことを書いたが、そのことをちょっと詳しく書いて、後々のためのメモを残しておきたい。


ちょうど去年の今頃、MLBに移籍する前のダルビッシュのフォームについて、こんなことを書いた。
特徴的なのは、「左足」をホームプレート方向に踏み出しているのにもかかわらず、「上半身」が、「左足の向きとはまさに正反対」なこと。つまり、ダルビッシュは「プレートに背中を向けた状態を保ったまま、左足をホームプレート方向に踏み出せる」のである。
おそらく体を「故意に、強烈に、よじっている」のだ。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。

指摘したかったメジャー移籍前のダルビッシュのフォームの特徴のひとつは、「上半身を強くよじったままの状態」を保って投球するフォーム、別の言い方をすれば、「上半身を、下半身より常に遅らせて動作するフォーム」だという点だ。

たとえていうなら、ねじったドーナツである「ツイスト」だ。

Twist Donut



ついでだから、このブログでは、便宜的にメジャー移籍前のダルビッシュのフォームを、誰もが「ダル」と呼ぶダルビッシュのことをWBCで冗談まじりに「ビッシュ」と呼んだイチローにならって、「ビッシュ・ツイスト」と呼ぶことにする(笑)

ビッシュ・ツイスト」では、「カラダに強いひねりを加える」目的で、「上半身を、下半身よりわざと遅らせて動作する」のがポイントのひとつだ。
バッター側から見ると、ダルビッシュの下半身がホームプレートをまっすぐ向くのが見えるにもかかわらず、背番号がまだ見えているような、「カラダのねじれ」、つまりこのブログのいう「ビッシュ・ツイスト」状態が作り出される。
この「ねじれ」たカラダを瞬時に反対向きにひねることで、ひねりから発生するチカラでボールに威力が加わるだけでなく、フォーム全体を「速く、しかも安定した状態で終了する」ことができる。
そして、この一連の動作のためには、松阪投手や岩隈投手がやっているような、このブログでいうところの「蹴り出し動作」は必要ないし、無いほうがいい。(そもそも「蹴り出し動作」のある投球フォームと、蹴り出しの無い「ビッシュ・ツイスト」はメカニズムと体のバランスが根本的に違う。ダルビッシュも昔はこの「蹴り出し動作」をやっていた。 ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。


「ピッチャーが投球動作全体を早く動作することのメリット」については一度書いた。以下の記事で引用した、Eduardo PerezがBaseball Tonightで行ったクリフ・リーのフォームについての指摘を参照してもらいたい。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月26日、クリフ・リーの投球フォームが打ちづらい理由。「構えてから投げるまでが早くできている」メジャーの投球フォーム。メジャー移籍後のイチローが日本とはバッティングフォームを変えた理由。

また、松坂投手、岩隈投手の「蹴り出し動作」、プレートに対して横向きに踏み出す動作、ノーラン・ライアンとの比較などについては、下記の記事を参照してもらいたい。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月25日、ノーラン・ライアンを思わせる「前ステップ」をみせる大阪ガスの松永昂大投手。高校からプロになった投手と、大学を経由した投手とのフォームの違い。



さて、テキサスに移籍して以降のダルビッシュだが、どんどん「ビッシュ・ツイスト」から離れて行っている印象があった。渡米直後の初ブルペンからこの傾向があって、3月13日のインディアンス戦でますます酷くなった感がある。

わかりやすい話として、「踏み出された左足の、つま先の向き」(あるいは膝の向き)に注目して下記の写真を見てみてもらいたい。



MLB移籍前

投球動作のかなり速い段階で、「左足つま先」がホームプレート方向を向いているのがわかる。
つま先がプレート方向をまっすぐ向くくらいだから、当然のことながら、「左足の膝」もしっかりホームプレート方向を向いている。つまり、左足のつま先と膝の向きから明らかなことは、下半身全体が、投球動作のかなり早い段階でしっかりプレート方向に向いていること、である。(だからリリース時にも左足位置は全くズレない)

だが、上半身は、というと、バッターにダルビッシュの背番号が見えるほど、ひねった状態をキープしている。これがまさに「ビッシュ・ツイスト」だ。

WBCにおける「ビッシュ・ツイスト」

日本ハム時代の「ビッシュ・ツイスト」



MLB移籍後

しかし、テキサスに移籍してからのダルビッシュの「左足のつま先」は、明らかにプレート方向を向くのが日本にいるときよりも遅い(下記の写真の赤い線で四角く囲った「左足のつま先」部分)。
左足の膝もサード側を向いたままだ。
つま先も、膝も、日本時代よりサード側を向いて投げているということは、「左足をまっすぐ、大きくプレート方向に踏み出していない」こと、「下半身をプレート方向にまっすぐ向けて投げていない」こと、を意味する。
また、細かく言えば、松阪投手風の「蹴り出し」動作も多少復活してしまっているために投球動作全体がやや遅くなり、バッターがタイミングを合わせやすくなってしまっている。

「ビッシュ・ツイスト」してないダルビッシュ(ブルペン)渡米直後の
ブルペン

「ビッシュ・ツイスト」してないダルビッシュ(インディアンス戦)3月13日
スプリング・トレーニング インディアンス戦


「下半身全体がプレート方向をまっすぐ向かないまま」踏み出しすと、投球動作は一瞬の出来事なのだから、上半身の動作はすぐに下半身に追いついてしまい、上半身と下半身は同時にボールのリリース動作に入っていってしまう。そして腕の振りは速度が速いため、すぐに下半身の時系列的変化を追い越してしまう。

このことで起こるのは
上半身と下半身の動作が揃ってしまう」ことだ。


これはマズい。
というのは、上半身と下半身が同じタイミングで動いたのでは、「カラダ全体に独特のヒネリが加わわらない」、つまり、ビッシュ・ツイスト」が起らないないまま投げることになってしまう、からだ。


本来の「ビッシュ・ツイスト」では、プレート方向に大きく、しかも「まっすぐ」踏み出した左足でまず地面をしっかりと踏みしめる。(ここで、あらかじめまっすぐ踏み出しておくからこそ、ボールをリリースする瞬間に、左足の位置、特に踵の位置を直す必要がなくなり、コントロールが安定する)
それから、かなり遅れて上半身がかぶさってきて、ボールを強くリリースする仕組みのはずだ。
だが、「上半身と下半身の動作が揃ってしまう」と、こうした「上半身と下半身の動作を故意にずらして、カラダにヒネリを生みだし、ヒネリからパワーを発生させるメカニズム」そのものが消えて無くなってしまう。

まぁ、そんなむつかしいことを言うよりなにより、下半身と上半身が同時にプレート方向を向くと、なんともいえず力感の無いというか、ぶっちゃけ「ブサイクな投球フォーム」になってしまう。(下記の写真の状態。明らかに下半身の動きを上半身が追い越してしまっている)
見た目に「ブサイク」なフォームというのは、たいていどこかに欠陥があるものだ。

3月13日インディアンス戦 手投げのダルビッシュ



どうして「ビッシュ・ツイスト」の本来の形が崩れたのだろう。

ひとつ考えられるのは、左足の「ふみ出し幅」を、MLBのマウンドに合わせて「故意に小さくしよう」としたことではないか、と推測する。

もともと「ビッシュ・ツイスト」では、まっすぐ、しかも、大きく、プレート方向に踏み出していたわけだが、もし、左足の踏み出しを小さくすると、下半身の動作が中途半端なタイミングで、しかも予定しているタイミングより早く終わってしまい、遅らせて動作するはずの上半身が、プレート方向に前のめりに突っ込んでいくような感覚とタイミングでリリースに進んでいくために、上半身と下半身の動作のズレが発生しなくなり、結果的に下半身と上半身の動きが揃ってしまって、カラダのヒネリの効果が失われてしまう。

あと、細かい点でいうと、(「蹴り出し動作」の復活もあって)最初からプレート方向にまっすぐ踏み出さないせいで、ボールのリリース時に、カラダを支えている左足の踵(かかと)が横に「ズリッ」と横ズレする現象まで起きはじめてしまう。(MLB移籍後の動画で、ダルビッシュの投球動作を後ろから見ると、この「左足スベリ現象」がわかると思う)
参考:MLB公式サイトのビデオ(以下の動画で、15秒目、23秒目、30秒目あたり。ボールリリース時に左足が「ズリッ」っと横にズレるのがよくわかる。また、46秒目などは左足のカカト側に体重があるためズレないが、ズレるときと、ズレないときがバラバラあるのも良くはない)
Baseball Video Highlights & Clips | TEX@CLE: Darvish yields two runs in three innings - Video | MLB.com: Multimedia
この状態だと左足がかなり「つま先立ちの状態」になっていて、しかも投げる瞬間に横にズレて投げていると思われるわけで、これではコントロールは安定しないのも当然だろう。


だが、まぁ、なんやかんやいっても、頭がよく柔軟性のある彼のことだから、すぐに修正してくると思う。心配いらないだろう。早く万全な状態での登板が見たいものだし、開幕以降の彼のピッチングが楽しみでならない。
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damejima at 15:57

December 20, 2011

ダルビッシュのポスティング額は、51.7M(=5170万ドル。契約の話題で「M」といえば、「100万ドル」の意味。)で、俗説のいうトロントではなく、テキサス。まったくもって、予想通り。

この件についてのツイート:https://twitter.com/#!/damejima/status/148846518319853568

ダルビッシュの交渉先がどのチームか、やたらと話題になってる。個人的には、そんなのテキサスに決まってるだろと予測してる。2011シーズンのダルのフォームは、どうみてもノーラン・ライアンのフォームからヒント得たはずMon Dec 19 19:25:50



With Record Bid of $51.7 Million, Rangers Win Right to Negotiate With Darvish - NYTimes.com


テキサスの社長ノーラン・ライアンは、押しも押されぬ名投手であると同時に、1989年に「ノーコン」でモントリオールにいられなくなってシアトルに来たばかりのランディ・ジョンソンの「酷いノーコン」を矯正したことでも有名なように、ピッチャーの指導システムを確立した人物としても有名。

先日亡くなられた日本の野球界の巨星西本幸雄さんが「試合を指揮する監督」として優れていただけでなく、野球というスポーツの練習システムそのものの近代化(今では当たり前になっているウェイトトレーニングの導入や、バッティングゲージ横のファウルグラウンドでノック、ランニング、キャッチボールなどの基礎練習を行うグラウンドの有効活用術、いずれも西本さん発案によるものらしい)、さらに、野球指導者そのものの育成に非常に優れた手腕を発揮したのにも似て、ノーラン・ライアンは、名投手であると同時に、投手の育成者として非常に優れた足跡を残している。
そのライアンと、1985年にテキサスの投手コーチに就任し、80年代のノーラン・ライアンを甦らせたといわれているトム・ハウスとの共著による名著Nolan Ryan's Pitcher's Bibleは、何度も書いているように、メジャーの投手たちの文字通り「ピッチング・バイブル」になっている。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年1月6日、豪球ノーコン列伝 ランディ・ジョンソンのノーコンを矯正したノーラン・ライアン。 ノーラン・ライアンのノーコンを矯正した捕手ジェフ・トーボーグ。 捕手トーボーグが投球術を学んだサンディ・コーファクス。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月26日、クリフ・リーの投球フォームが打ちづらい理由。「構えてから投げるまでが早くできている」メジャーの投球フォーム。メジャー移籍後のイチローが日本とはバッティングフォームを変えた理由。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月25日、ノーラン・ライアンを思わせる「前ステップ」をみせる大阪ガスの松永昂大投手。高校からプロになった投手と、大学を経由した投手とのフォームの違い。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。


2011シーズンのダルビッシュの投球フォームが、「三塁側に一度足を蹴り出すことなく、ホームプレートに真っ直ぐステップしていくメジャー風の投球フォーム」になり、また、上半身の強いひねりを加えることで生み出される「球の重さ」に磨きがかかったことは、「三塁側に一度足を蹴り出してから投げる典型的なフォーム」の松坂投手と対比させながら何度も書いてきた。
松坂投手には申し訳なかったが(苦笑)、何度も比較対象として登場してもらったのは、「三塁側に一度足を蹴り出してから投げる」松坂投手のフォームが非常に「日本的」であるために、昔は松坂と同じように三塁に足を蹴り出す日本風フォームで投げていたダルビッシュが、2011シーズンの前にフォームを根幹から変え、「いかにメジャー風フォームに変更して、2011シーズンを迎えようとしているか」を指摘するのに、非常に都合が良かったからだ。


だから、このブログでは、かつて「メジャーには行かない」と常に公言していたダルビッシュについて、もう1年も前から「ダルビッシュは間違いなくメジャーに行く」という前提で、投球フォームの変化について記事を書いてきた。

移籍交渉先球団がどこになるかについても、明らかにダルビッシュがフォーム改造において参考にしたに違いないノーラン・ライアン(指導方法。あるいはノーラン・ライアン自身のフォームや、投球メカニズム)が社長を務めるテキサス・レンジャーズになることは、十分予測可能だった。
もし、何十年かして、ダルビッシュから今回のメジャー移籍について、「実は2010年オフに、テキサスのコーチ(ノーラン・ライアン自身の指導を受けたのだったら、むしろ凄いことだが)から直接フォームについての指導を受けていて、2011年オフにはメジャー(たぶんテキサス)に移籍することは決まっていたんですよ」と裏話が明かされたとしても、ブログ主はまったく驚かない。
(いちおう誤解を避けるために書いておくと、オフに他チームの指導を受けることは、シアトル在籍時代のランディ・ジョンソンがシーズンオフに他チームであるテキサスのノーラン・ライアンに公の場所で指導を受けていることからわかるように、何の問題もない。それは「タンパリング」ではない)

こうした簡単なことが予測できないのは、いま日米問わず、野球の世界に数字ばかり見て、野球を見ない(あるいは、そもそも野球を見る能力がない)、そういう人間があまりにも増え過ぎているからだ。
シアトルの無能なズレンシック。チームの御用聞きのような記事しか書けないクセに、レジェンドであるイチローには失礼きわまりない記事を書くシアトル地元メディアの記者。選手としてもコーチとしても何の実績も無いのに球団取締役にまで成り上がり、暴言で杉内を怒らせて取締役をクビになった元投手の小林至(このアホウ、小久保選手のFA時に、選手本人を前に「自分を特別視していませんか?」と言ってのけたという噂があるらしい。ソース不詳)。 巨人をクビになった元記者の清武
そして、OPSとかいうデタラメ数字を相変わらず信じこんだまま野球を語っている世間の野球ファン、ブロガー、三流ライター、MLBマニアきどりの大学教授。


まず見るべきは、数字(契約金額やスタッツ数値)ではなく、野球(プレーやフォーム)そのもの。

野球をやるのは、選手であり、数字に手足が生えて走りまわるわけではない。


なぜこんな簡単な、当たり前のことがわからなくなっているのか。どいつもこいつも、数字だけしかわからないやつは、西本幸雄さんに謝れ。

damejima at 19:25

March 26, 2011

最近のダルビッシュのフォームが、松坂投手のように、まず「蹴り出し動作」(=上げた左足を、いったん後方に蹴り出す投球動作。右投手の松坂はおおむねショートの守備位置方向)をまず行った後に、自分の左横の方向にホームプレートを見るイメージで、プレート方向へ横ステップして体重移動していく、「未完成なやじろべえ的 横ステップスタイル」ではなくて、「上げた左足を、そのままスッと下に降ろし」、「自分の上半身のひねりは、十分すぎるほど保ったまま」、「ホームプレートを自分のより正面に見るイメージで、いきなり踏み込んでいく」ような「ノーランライアン風、前ステップスタイル」に近づいてきていることについて、ちょっと書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年3月23日、昔のダルビッシュと、今のダルビッシュ、どこが、どういう意味で違うのか。ノーラン・ライアン、松坂と比べながら、考える。


日本の投手で、ノーラン・ライアンや、今のダルビッシュばりに、「蹴り出し動作が少なく、プレート方向にスッと足を下ろすフォーム」の投手がいないものかと、ネット上の画像をいろいろ探していたら、ちょうどよさそうな例がひとり見つかった。

松永昂大(まつなが たかひろ)投手。大阪ガス。

高松商業、関西国際大学の出身で、大学3年のときに阪神大学野球の2季連続MVPを獲得。プロ入りが期待されながら、ご本人の希望で社会人の大阪ガスに行った逸材。

写真で見比べてみてもらいたい。
ノーラン・ライアンは、6フィート2インチ(約188cm)ある背の高い右腕だが(とはいっても、最近のMLBでは2m以上ある投手がゴロゴロいたりするわけが)、松永昂大投手は173cm70kgの小柄な左腕で、2人の体格に違いはある。だが、ホームプレートに踏み込んでいくときの姿形はそっくりだ。
サイドスロー気味に投げる松永投手は、関西の学校出身の左腕ということもあって、元阪神の左腕のセットアッパーで、左バッターに投げるクロスファイアーで一世を風靡したジェフ・ウィリアムスの再来などとも言われるようだ。

彼の将来についてブログ主は、フォームが日本での指導で小さくまとまっていってしまい、プロ野球でセットアッパーとして酷使されていくより、いっそ、メジャーに直接チャレンジして、もっと上半身のひねりをきかせるか、胸の張りをもっときかせた躍動感のあるフォームにチャレンジしてみてはどうだろうか、などと思う。

松永昂大投手(大阪ガス)松永昂大投手(大阪ガス)の大学時代の投球フォーム

出典:【硬式野球部】松永昂大投手が2季連続MVP(阪神大学野球秋季リーグ)|関西国際大学

ノーラン・ライアンの投球フォームノーラン・ライアンの
投球フォーム

松永投手は、肩関節の柔軟性が足りないのかもしれないが、もう少し両肘を高くすると、もっとノーラン・ライアン風になる。やはり見比べると、ノーラン・ライアンのほうがずっと躍動感がある。


ちなみに、日本人投手のうち、「蹴り出し動作」があまりみられない投手というと、関西国際大学出身の松永昂大投手のほかに、たとえば斉藤隆投手(東北高校→東北福祉大学)、黒田博樹投手(上宮高校→専修大学)がいて、いずれもMLBの現役投手だ。NPBでは、藤井秀悟投手(今治西高校→早稲田大学)が、比較的蹴り出しが少ないようにみえる。

逆に、「蹴り出し動作」が非常に強くみられるのは、なんといっても、今後MLB移籍を目指すと思われる楽天の岩隈久志投手(堀越高校出身)が筆頭だろう。岩隈投手は松坂投手以上に、誰よりも強い「蹴り出し動作」がみられる独特のフォームで投げる。
ほかに田中将大投手(駒大附属苫小牧高校出身)、前田健太投手(PL学園出身)などにも、岩隈ほどではないが、「蹴り出し動作」がみられる。

岩隈投手のフォームクーニンスポーツさんから拝借し、加工。
これほどハッキリ後方に足を蹴り出す投手はそうそういない。


いくつか例を眺めてみると、大学出身の投手たちに「蹴り出し動作」があまりみられないのに対して、高校卒業後すぐにプロになった投手たちには「蹴り出し動作」が強くみられる、という傾向があるようにも見える。
これが日本の野球選手全体にいえるのかどうか、正確なことはわからないが、もしかすると日本の野球指導者の中で、とりわけ高校野球の指導者が投手をコーチするときのベースになっているピッチング・フォームが、「後方への蹴り出し動作」や、プレートに対して体を横に向けたまま倒していくイメージの体重移動を基本にしているために、こうした、高校を卒業してすぐにプロになった投手と、大学出身の投手との投球フォームの違い、という現象が起きている要因なのかもしれない。

前にステップする松永昂大投手プレート方向に「前ステップ」する松永昂大投手。
両肩を結んだラインが水平をキープ。人体の「やじろべえ」の形状に傾斜をつけない水平なフォームなだけに安定しているだろう。ただ、クリフ・リーのように大きく胸を張ってないし、ダルビッシュのような「上半身の強烈なひねり」も加わってない平凡な前ステップだけに、球威に問題があるかもしれない。


横にステップする松坂投手「蹴り出し動作」の後、
横ステップ」する松坂投手。
人体の「やじろべえ」形状を大きく傾斜させ、両肩を結ぶラインは地面に対して大きく傾斜する。体が大きくセカンド方向に傾く分だけ、重心位置がわずかながら上昇するから、力学的には不安定要素は増えやすい(その分だけ、体全体を回転させる運動は容易になる) そのため、ボールを持った右手とグラブを持った左手、両腕を左右に大きく広げることで、「やじろべえ」でいうと「腕を長くする」ような安定化対策なども必要になる。また、グラブを少し重いものにしてみるのも、もしかしたら「やじろべえ」のバランスを安定させる効果があるかもしれない。


と、なると、東北高校を卒業してプロに入ったダルビッシュが、自分の投球フォームから「蹴り出し」を無くしていったのは、プロになったばかりの時期にあった「高校生特有の投球フォーム」、つまり「後方への蹴り出しの強い、高校からプロに入った投手たち特有のフォーム」を、この数年で改造し、より進化させていっている、とでもいうことになる。
さすがダルビッシュ。






damejima at 06:03

March 24, 2011

工夫のない人ばかりが集まって、もめてばかりいる日本のプロ野球セ・リーグ開幕時期の問題について、もうちょっと書きたい気持ちがあって、いろいろと情報を追っていたのだが、馬鹿馬鹿しい主張ばかり聞かされて疲れきってしまった。

好きな野球のことなら、いくら考えても疲れない。むしろ、データを集めるにしてもなんにしても、むしろ楽しいくらいだが、こういう理屈の言い合いは別だ。
原因は、わかっている。お役所の大臣たち、球団オーナー、選手会、それぞれの発言は、細かくみていくと、それぞれがミスを犯しているからだ。
野球というビジネスの経済原理にそぐわないことを自粛という大義名分で平然と押し付けようとする大臣、本来は自分たちも被害者なのに世論を味方につけるのに失敗したまま自己主張しようとして二重に失敗しているオーナー、ガキくさい感傷的なことを平気で言い、水も電気もない真夏の厳しさを想定もせずダブルヘッダーも辞さないとかいってカッコつける選手会。
もうちょっとしたらまとめてはみるが、それぞれが、それぞれに自分の発言の落ち度を反省しなくてはいけない。

こういう出来の悪い屁理屈のコレクションから一度離れて、好きな野球の話に戻りたくなった。ちょっとダルビッシュの投球フォームのことでも書いて、気ばらししてみよう。

ダルビッシュ 体のヒネリ「ガニ股」豪腕
ダルビッシュ

これは最近のダルビッシュの投球フォーム。なんとまぁ、素晴らしく力強いフォームだろう。惚れ惚れする。
特徴的なのは、「左足」をホームプレート方向に踏み出しているのにもかかわらず、「上半身」が、「左足の向きとはまさに正反対」なこと。つまり、ダルビッシュは「プレートに背中を向けた状態を保ったまま、左足をホームプレート方向に踏み出せる」のである。
おそらく体を「故意に、強烈に、よじっている」のだ。


「左足の角度」だが、左膝の向きから察するに、ダルビッシュの左足のつま先はすでにプレート方向に向いて、両足の向きは多少「ガニ股っぽく」なっている。これは、一度、クリフ・リーと松坂投手の比較をしたとき引用したノーラン・ライアンに近い。

ノーラン・ライアンの投球フォームノーラン・ライアンの左足の角度
「ガニ股」な踏み出しで、
プレート方向を向いている

ボールを持った手は既にかなり高い位置にある

ホームプレートに踏み出すときノーラン・ライアンは、股関節を大きく開いて、はっきり「ガニ股」で踏み出していく。そのため、右足はサードを向いたままなのに、左足だけはホームプレートを向く。だから、左足と右足のつくる角度は、ちょうどアルファベットのTの字のように、90度の角度にかなり早い段階で開く。これは想像でしかないが、ノーラン・ライアンにとってのホームプレートは、普通の投手よりもずっと「自分の正面方向にプレートをイメージできる感じ」になっているはずだ。


ボストン松坂大輔投手のフォーム松坂投手の左足の角度
「内股」な踏み出しで、
三塁方向を向いている

ボールを持った手は、腰より下で「タメ」ている

一方、松坂投手は、写真のとおり、むしろ多少「内股な感じ」で踏み出していく。右足と左足がつくる角度は、カタカナのハの字程度というか、平行に近い。ボールへの体重の乗せ方は、ダルビッシュやノーラン・ライアンのように「ひねる」というより、蟹のように自分の体の横方向に向かって行う体重移動から発生する。横に向かって踏み出していくイメージだから、「やじろべえ」の原理よろしく、ボールを握った右手をあらかじめかなり低い位置に垂らして「タメ」をつくっておく必要があり、その下げた右肩を上げていきながら体重移動しつつ、ボールを握った手を上げていき、ボールに遠心力をつける。結局、松坂投手にとってのホームプレートは、ノーラン・ライアンと違って、「自分の左横方向にプレートがあるイメージ」になる、と思う。



こうしたダルビッシュ特有のフォームについては、こんな風に評論なさっている方がおられた。

「ダルビッシュのフォームには一つだけ欠点が有る。それはグラブ腕がフォロースルーで背中側に引かれる事だ。藤川球児のようにグラブ腕は最後まで胸の前に残らなければならない。グラブ腕が背中側に引かれるのは、投球腕を振る反作用がかかっているためで、言い換えれば、その反作用に抗しきれていない事を意味する。根本的な原因は脚の上げ方にあるのかも知れない。ダルビッシュの脚の上げ型は藤川球児より松坂に近い。」
トップハンド・トルク:ピッチング・守備

この「グラブ腕がフォロースルーで背中側に引かれる」という点について、ブログ主は、こんな風に考えてみた。

右投手が左足をプレートに向かってまっすぐスッと踏み下ろす、単にそれだけでは、ボールにまるでパワーが乗らず、球威が足りない。だから、ダルビッシュやノーラン・ライアンのように、「プレートにまっすぐ踏み出すが、それでも球威がある」という相反する事象を成立させるためには、「体をひねる」ことでボールにパワーを注入する必要がある
ノーラン・ライアンのフォームに「ひねる」という言葉をあてはめるならば、ダルビッシュのそれには「よじる」という言葉がふさわしい。
ダルビッシュがプレート方向に左足を踏み出した後も、打者側からはたぶんダルビッシュの背中が、かなりの長時間見えているのではないだろうか。それほど、彼のフォームには「強いひねり」が加わっている。
だから、その「ひねり」の結果として、「グラブを持ったほうの腕が、フォロースルーで背中側に強く引かれている」のだと思うのだ。

これはこれで、しかたがない、彼の個性だ。つまりあらかじめ上半身を強くねじっておき、投球動作の中で上体を強くひねり戻すプロセスで、グラブ側の腕が強く引かれることは、ダルビッシュの球威を生むメカニズムのひとつ、と、ブログ主は考える。
よほど体幹が強く、体が柔らかいのだろう。感心する。簡単に真似できることではない。


ダルビッシュが昔から、こういう「上半身にひねりを加えながら、まっすぐ踏み出す」フォームだったかというと、どうもそうではないようだ。その証拠を、とあるブログから拝借させていただいた。

ダルビッシュ分解写真(改)野球サイトPA日記:「Stop the World」 連続写真更新(と、コマの切り方)より引用

上の5コマと、下の5コマは、別々の日のダルビッシュ(たぶん下のほうが、より昔のフォーム)で、フォームが違う。違いは、上の画像で赤い線で囲った左から2コマ目の上下の画像(A)(B)にある。
上の左から2コマ目、(A)では、「上げた左足は、スッと下に降ろされている」のに対して、下の左から2コマ目(B)では、「上げた足は、一度後ろ(セカンド方向)に蹴りだしてから、前に伸びてくる」のである。
つまり昔のダルビッシュ(B)には「上げた足を、後ろに蹴り出す動作」が存在した

この昔のダルビッシュの「上げた足を、一度後ろに蹴り出してから、前に伸びてくる、昔のフォームの特徴」は、、これは、まさしく下記の記事で一度書いた松坂投手のフォームそのものである。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月26日、クリフ・リーの投球フォームが打ちづらい理由。「構えてから投げるまでが早くできている」メジャーの投球フォーム。メジャー移籍後のイチローが日本とはバッティングフォームを変えた理由。

松坂投手のフォーム(足をショート側に向ける瞬間)松坂投手は、左足を、ホームプレート方向に踏み出す前に、一度、自分の斜め後ろにあたる三遊間方向に向かって伸ばしている(左写真)
クリフ・リーにはこの「蹴り出し動作」が全くない。


前述のブログ(トップハンド・トルク:ピッチング・守備)の方も、
「ダルビッシュの脚の上げかたは、藤川球児より、松坂に近い。」
と、明確に指摘されておられる。
この記事の書かれたのは2009年3月だから、たぶんこの記事で指摘なさったのは、上の分解写真でいうところの「下の5コマ」、つまり「ちょっと前のダルビッシュ」だろう。
ならば、「松坂に近い足の動作をしていた、昔のダルビッシュ」、分解写真の指摘するダルビッシュのフォームの変化、このブログで松坂投手をクリフ・リーと比べた記事、すべてがツジツマがあう。


そんなわけで、ダルビッシュのフォームの変遷をちょっとまとめてみる。

かつてのダルビッシュの「上げた足の下ろし方」は、かつては、松坂投手そっくりの「後方蹴り出し型」だった。
それを近年「上げた足を、プレート方向にガニ股風にスッと下ろすノーラン・ライアン風」に修正し、その一方で、ダルビッシュ特有の「強くよじっておいて、打者にずっと背中を向けたままリリース動作に入るようなトルネード風のねじる上半身」がより強化され、球威を加えていった。


イチローのバッティングフォームが年々変わっていくことは有名だが、やはりプロの野球選手はたゆまぬ研鑽と変化がないと、一流でいつづけることは難しいのだ。

イチローのフォームの変遷MLBデビュー以降イチローのフォームの変遷
画像内に「今年」とあるのは、たぶん「2009年」の意味。画像はかつて某巨大掲示板でかつて流通していたものを拝借。


やっぱり野球のことを語るほうが、屁理屈こねるより、ぜんぜん楽しい(笑)いくら書いても疲れない。

いい加減、プロ野球を取り巻くおかしな屁理屈の山がマトモになって、盛大な開幕を迎えてほしいものだ。

damejima at 14:51

March 19, 2011

音楽がなくても死にはしないなら、じゃあ、いったいなんのために音楽家や画家が存在しているのか。
なんとなくはわかっていても、そんなこと、ひとことで言えるくらいなら、ブログ主は寺の坊主にでもなれるかもしれないが、そんな才能はないので、いつものように長々と書くしかない(笑)


日本のプロ野球を開催すべきかどうか、について、非常にトゲトゲしい議論が交わされている。
ある者は「節電しなければならないこんなときに、ナイターなど、とんでもない!」と怒り、ある者は「経済が沈没してしまったら、日本全体が沈没してしまう。そんなことにならないためにも、野球を開催しろ!」と主張する。また、ある者は「故郷が災害にやられ、知人の消息もわからない今、とてもプレーする気分になどなれない・・・」と肩を落とす。

どれも、ちょっとみると、真っ当な意見っぽく見えないこともない。
だが、真っ当っぽいが、どれもこれもそれぞれの立場にそって感想を言っているだけで、まなじりが釣り上がり、肩に思い切りチカラが入っている割りには、中身はない。
発言している誰もが、大きな震災のストレスによる緊張に満ちて発言しているのが、よくわかる。


それではダメだ。


東京では「余震で揺れているわけでもないのに、カラダが揺れている」と感じながら毎日を送っている人が、非常にたくさんいる。
公衆道徳を説くCMが繰り返されるだけのテレビを見て、いつ止まるかわからない電車で出かけ、マトモに動いていない会社で仕事して、いつ計画停電に出くわすかもしれない家に帰り、次にいつ買えるかわからないコメを食べる。クチには出さなくても原発に恐怖を感じ、そして日本の行く末にも多少の不安を感じている。

これでストレスを感じないわけがない。

被災しているのは東北の被災地の人だけではない。
日本の誰もが、ストレスを感じている。
このストレスは十分に災害だ。



ブログ主は2つ、言いたいことがある。

ひとつは、
いつまで心が折れたままでいるんだ、気分を切り替ろ、
ということ。
2つめは、
「平凡でない人生を送る道を選ぶ」にあたって必要な心構え。


野球選手、野球関係者、官庁の人。いまストレスのたまりきった状態の人たちが「絶対にやるべきでない」「いや、絶対にやるべき」と、堅苦しい議論をしている。

ブログ主は、両方とも、どうでもいい。
どうしたらできるか? 考えて、可能にすればいい。それだけだ。
なにもナイターの公式戦を毎晩やれ、なんて思わない。デーゲームでいい。ホームグラウンドでなくてもいい(ホームでないほうが、地方の人を元気にできるし、野球の啓蒙にもなるしで、そのほうがいいくらいだ)もしデーゲームですらできないのなら、晴れた日に、晴れたグラウンドに集まって、チャリティー・ゲームをやったっていい。別になんの問題ない。


大事なのは、「こういう不安定な日本が当分の間、続く」ことに、腹をくくらないとダメだ、ということだと思う。
「地震の恐怖心と、故郷が壊れた悲しみで心が折れて、いつまでたっても気持ちが沈んだまま、気持ちが切り替わっていかない人間」同士が、まなじり釣り上げて必死に議論しても、野球も人生もリスタート、再開できない。なんでもかんでも節約するべきだ、なんて極端で、貧しくて、暗い、工夫のない意見に、ブログ主は賛成しない。



昔から、歌舞伎役者、碁打ちなど、特定の職業では「親の死に目に会えない」と言われてきた。
その言葉が比喩かどうか、それはわからない。人を楽しませるような特殊な仕事についたことで、普通の人と同じ穏やかな人生を全うすることは難しいのか、それも知らない。
だが、ブログ主は「コメを作るのでもなく、魚を獲るのでもなく、野球選手のような、特殊な形で他人様から大金を頂戴して生きていける道を選んだ人は、自分は親の死に目には会えない、それくらい腹をくくって、振り返らずに自分の仕事にあたるべきだ」と、これまで思ってきた。

芥川龍之介は、『杜子春』という作品で、痛めつけられる親の姿を見て、思わず「お母さん」と叫んで現実に引き戻される男を描いたわけだが、「親の死に目にも会えないような仕事」においては、自分の天職を中断して「お母さん」と叫びながら病院に駆け込むことが許されない、そんなふうに思うのである。

たしかに、ダルビッシュの言うように、今回のような大災害は、「ボールを投げ、バットを振り回している場合じゃない」と思えるほどの緊急事態である。
だが、ブログ主が思うのは、こういう未曾有の事態のときにさえ、ボールを投げ、バットを振り回して、人に勇気を与えなければならない、そういうキツい立場なのが、プロの野球選手だ、ということである。

もちろん、シンディ・ローパーのようなミュージシャンも、何も薬のない荒野で診療を続ける医師や、放射能に満ちた現場に向かうレスキューや自衛隊員のような特殊な仕事でも、同じだ。彼らは、程度の差こそあれ、非常時には、進むか退くか、腹をくくらねばならない。臆病なことを言っていては、日本は壊れてしまう。


平凡には生きられない、特別な道を選ぶ人がいる。
そういう人は、平凡な人にとっての支えになることもある。また、邪魔になることもある。
いずれにしても、平凡でない道を選ぶ以上、腹をくくらなければ、平凡でない人生を生きる人間に「道」はない。
平凡な道を歩む人と、そうでない人、その両方がいて、世界ははじめて、まがりくねった困難な道、ビートルズの言うロング・アンド・ワインディング・ロードを前に進むことができる。



いまテレビで、詩人金子みすゞ(かねこ みすず)さんの書いた詩の一片が、災害時の道徳教育でもするかのように、一日に何百回と流されている。
だが、この「金子みすゞさん」が、26歳という短い一生を、どれほど過酷で、どれほどどうしようもない状況の人生を送らなければならなかった人だったか、まったくメディアは知らせていない。知らせもせずに、メディアは彼女の珠玉の詩から勝手に、こういう災害時に耳ざわりのいい道徳的教訓だけを勝手に引き出して、のほほんと流し続けている。詩人など普段は無視しているくせに、都合のいいときだけ作品をもってきているのである。
やはり詩人も、平凡でない道を歩むしかない孤高な仕事である。
リンク:金子みすゞ記念館

金子みすず金子みすゞ
1903年(明治36年)4月11日生
1930年(昭和5年)3月10日没
26歳



野球を、やるべきだ、やるべきでない。両方の意見がある。
でも、それは単なる「べき論」、単なる「意見」にすぎない。覚悟をともなった「工夫」ではない。

工夫すれば、原発の暴走は止まる。
ならば、だ。
工夫すれば、野球くらい、できる。
野球くらいできる工夫ができなくて、この難局をどうする。


悲観的になるばかりでは、何も乗り越えられっこない、というのがブログ主の意見だ。
悲しい気持ちになって、心が折れるのは、わかる。
だが、ストレスに負けている意見など聞きたくない。

なぜ工夫しようと思わないのか。
ストレスで、頭が固くなっているだけではないのか。


いま、最も野球が必要なのは、心をひどく痛めつけられた野球選手そのものかもしれない。ある種の腹のくくれない野球関係者が、いま最も感じているストレスは「いったいなんのために野球なんてものがあるんだろう?」という弱々しい疑問なのかもしれない。
時代が平穏なら考えないような疑問を突きつきられ、考えさせられるのが、非常時というものだが、自分がきちんと解答を示せないでストレスばかりがたまるのは、自分が腹をくくれてないからだ。



こんなときだからこそ、野球選手は
目をつぶって深呼吸するべきだ。

そして目をあけたら考えてほしい。
自分が、誰のために野球という場所を保証され、生きているのか。
寄付さえすれば、野球選手なのか。

寄付するのは、お金さえあれば誰でもできる。
だが、野球で人間を充電できるのは、プロの野球選手だけだ。


コメをつくってくれ、魚を獲ってくれ、とは誰も言わない。、
畑も、漁船も、ほっといてくれていいから、火の出るような熱いボールを投げ、ボールをたたきつぶすようなスイングでバットをうならせて、ぼくらに、ちょっとだけ現実を忘れて、おかしな体の揺れをとるお手伝いをしてくれれば、ぼくらにはまた、荒れた大地を耕しなおすチカラが湧いてくる。


野球がなぜ存在しているのか、
そんなことをデスクの前で考えているのは、
野球選手らしくない。
グラウンドに出ず、家にひきこもっていてはダメだ。

グラウンドで汗を流して、君らの給料のもとになっているファンと触れ合ってもないのに、その答えが自分の頭の中にみつかる、なんて思うのは、
不遜な考えもいいところだ。


グラウンドに出ろ。
汗を流せ。


野球の仕事は、グラウンドにある。

damejima at 18:23

March 18, 2009

2次予選の韓国戦である。ちょっとリアルタイム実況中継風に書いてみよう。

1回裏 ダルビッシュ3点を失う
ランナーが出て初球を盗塁された。城島の送球が高い。意表を突かれたのである。(注:試合直後、解説の佐々木は敗戦要因のひとつとして「この盗塁が大きかった」と語った)そのあと、たたみかけられて3失点。解説の槙原は「球が揃いすぎ。コーナーを狙いすぎ」と語る。ストレートの連投から入ったのはいいが、ランナーが出てからは、同じ変化球、同じコースを連投、連投。例によってスライダーである。

2回表 2死1塁で城島ライトフライ
前のキューバの後半の2打席で既に予兆が出ていたが、あえて書かなかった。要はバットでボールをすくい上げにかかっているのである。わかるだろうか。もうコツンコツン当てているバッティングではないのである。「日本では今、一番当たっている」などとアナウンサーは言っているが、どこを見ているのか。右の腕の使い方が全く1次予選とは違ってきている。

2回裏 3者三振
3人とも三振に切り取ったダルビッシュの行動が傑作だった。最後の三振の球を落球して慌てている城島を、まったく振り向きもせずにベンチに帰るダルビッシュ。よほど、リードが合わないのだろう。
トップバッターの8番をストレートで三振にとったが、城島の球の捕り方がいかにもおかしい。捕手の構えた位置にズバリと来たストレートなのに、ミットをやや上に上げ、それからまた降ろして捕球している。要はダルビッシュの球の回転と球筋、特にストレート系がキャッチャーの城島は実は見えていないのである。どうりでポロポロとこぼすわけだし、ストレート系をしっかりと要求しないわけだ。
失点してはじめて、最初に本来やるべきだったこと、今日の先発投手の持ち球の、どれが一番キレがあるかに気がついて、遅まきながらパターンを変える。いつもの失敗しないとわからない城島だ。

3回裏 1塁ゴロ3つ

2番右打者 すべてアウトロー 1塁ゴロ
3番左打者 すべてインコース 1塁ゴロ
4番右打者 4球目の抜け球を除いて全部アウトコース レフト前ヒット
5番左打者 すべてインコース 1塁ゴロ
なんだこれ(失笑)左打者にはすべてインコースを投げ、右打者にはアウトコースだけ。4番にはあいかわらずスライダー連投でヒットを打たれた。1塁ゴロを3つとったのが予定どおりとでも言いたいのか何か知らないが、こんな馬鹿馬鹿しい組み立てがどこにあるというのだ。球が揃いすぎも何も、自ら「揃えて」いるのである。シアトルでのシーズン中に本当によく見る光景である。

4回裏 3者凡退
3人目のバッターが初球のカットボールを振ってきたのには理由がある。前の2人の打者に対して初球から2球続けてスライダーを続けたからである。だからこそ、3人目のバッターは初球の変化球を狙っていたわけだ。半分は読まれていたが、スライダーではなく、カットボールだったためにヒットされずに済んだ。
アウトコースに変化球、糞ワンパターンな城島ならではの入り方である。

6回裏 渡辺俊、連続フォアボール
投手がかわっても、要求するものが変わらなければ、ゲームの流れは変わりようがない。アウトローのコーナーをつく変化球ばかりを渡辺俊に要求し続けて、連続フォアボール。この捕手ときたら、つける薬がない(笑)2死1,2塁の後、ストライクをとりにいった2球目は、打ち損じてくれたものの、ホームランボールだった。

7回表 城島、退場処分
もう、ね(笑)馬鹿だな、こいつ。もう言わせてもらおうか。
馬鹿か。
ひとりで野球をしているつもりか?


8回裏 フォアボール連発、そして押し出し
城島退場の後、当然のことだが、アンパイアはきわどいコースをとってはくれない。韓国は待球に出た。
城島は試合、ひいては、この大会での日本チームを壊したことはわかっているのか。
2死満塁から、韓国、押し出しで得点。

9回表 無死1塁から一塁線のライナーを好捕され、
    最後は岩村ハーフスイングに三振判定。

この回、2点差なら牽制球への対応のために一塁手はベースに張り付いている。しかし3点差になって、一塁手はラインぎわを締めていた。そこへ福留のライナー性のゴロ。流れの悪いゲームとはこんなものだ。前のイニングの押し出しの1点が大きいのである。
最後の岩村もよく粘ったが、ハーフスイングをストライク判定、ゲームセット。もちろん、岩村の三振判定にも、城島の意味のない退場が響いたことは言うまでもない。



damejima at 12:42

February 24, 2009

この記事を読む前に、1週間ほど前にさかのぼっていただこう。
2009年2月13日のスポーツ紙で城島はこんなことを言っている。

http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/baseball/20081016-4822204/news/20090113-OHT1T00084.htm
WBC日本代表候補に選ばれているマリナーズ・城島健司捕手(32)が、趣味のマージャンを生かして侍ジャパンの若手投手陣と親交を図る計画を明かした。(中略)連覇のキーマンが自ら後輩に歩み寄り、チームの結束を深める。
(中略)「投手全員とマージャンするのが一番。マージャンをしたら性格が分かるしね」(中略)未知の投手を把握するため、雀卓を囲むことで心の距離を縮め、呼吸を合わせる狙いだ。
(中略)「核になっていく投手には僕の方から電話をかけたい。受け取り方(電話の応対)を聞くだけでも、性格をつかむ一つのきっかけになる」日本ハム・ダルビッシュや西武・涌井になりふり構わずアプローチをかけるつもりでいる。

で、わずか1週間後には、これだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/4029918/

ダルビッシュ(22)に城島と麻雀をやったかと尋ねると「麻雀? できないっす」と、ひと言。20歳の田中も「城島さんからは何も言われてません。やったことは? ボク、麻雀できないんで。野球の話は少しはしますけど」とのこと。大卒3年目の岸(24)にいたっては、「城島さんから『やろう』と誘われたんですけど、ルールが……。銀仁朗(西武・捕手)が城島さんに『岸さんはできます』って言っちゃったんですけど、どうすればいいのか……」と、困惑顔。


まぁ、どこまでも空気の読めないお年寄りに、何を言っても始まらない。
日本ですら浮きまくってしまう、何の方法論も持たない加齢臭オヤジ、それがこのダメ捕手である。まして、アメリカ? メジャー? 肌があうとか、あわないとか、もう、そういう議論ですら必要ない。
このWBC麻雀シカト事件で、この男のコミュニケーション能力の無さくらいわからないようでは、現代日本人とはいえない。そりゃあ投手陣から総スカンくらうわけだ。

いまどきテレビを見ず、タバコも吸わない、なんていう若者くらい、そこらにゴロゴロいる。コスプレが趣味のK-1ファイターだっている。会社は当然、禁煙だ。大学の周りでは雀荘はバカスカ潰れている。

麻雀でコミュニケーション・・・? どこまでニブいのか、このオヤジ、そのうち磯釣りでコミュニケーションを図る、とか言い出すつもりだろうか。
こういうタイプの阿呆は、かつてアメリカツアー挑戦に失敗したオッサン・プロゴルファーと同じで、アメリカなど、最初から向いてないのだから馬鹿な夢を見るなと言いたい。

そのうちヘルナンデスにも、麻雀を教えるといい。
教えられるものなら。



damejima at 05:47
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