「投手の時代」

2014年10月21日、1ゲームあたり投球数が両チーム合計300球に達するSelective野球時代であっても、「球数」は単なる「負担」ではなく、「ゲーム支配力」、「精度」であり、「面白さ」ですらある。
2013年7月8日、グラフひとつでわかる「ボール球を振らせる投球哲学」と、「ストライクにこだわりぬく投球哲学」 常識に縛られることなく投球術の両極を目指すマリアーノ・リベラと、クリフ・リー。
2012年5月7日、ダグ・フィスター、7回を73球無失点でDLから無事復帰。それにしても深刻な「MLB全体のクローザー不足」。
2012年5月6日、「投手の時代」と、2008年に社長に就任したノーラン・ライアンのテキサス改革。時代の変化が見えていない2000年代末のシアトル、クリーブランドの没落。
2012年5月4日、エリック・ウェッジの無能さを証明する、選手育成部長ジョン・ファレル流出後のクリーブランド・インディアンス没落。
2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (2)ジェイソン・ハメルはどこがどう変わったのか?
2012年4月29日、長年の課題だった投手陣再建を短期で実現しア・リーグ東地区首位に立つボルチモア (1)ボルチモアはどこがどう変わったのか?
2012年2月22日、無能なズレンシックが毎年放出し続けてきた先発投手たちのみで作った 「2012年マリナーズ開幕ローテーション」。
2012年1月20日、ESPNの主筆ジェイソン・スタークが、MLBにおけるピネダ放出を疑問視する声、ズレンシックのトレード手法の「狭量さ」に対する他チームGMの不快感、モンテーロの慢心ぶりへの関係者の不快感を記事にした。
2012年1月18日、打者より投手。そういう時代。
2011年7月30日、自分の買ってきたガラクタは後生大事に抱えこみながら、チームの強みである先発投手は毎年のように安売りしてきたズレンシックの馬鹿げたトレード遊びはもはや「背任レベル」。
2010年10月13日、今年のポスト・シーズンに有名投手がズラリと揃った理由。多発する「曖昧なプレー状態」。

October 22, 2014

2012シーズンを最後に引退したMLBアンパイアTim Tschidaが、引退理由のひとつとして、近年のアンパイアの仕事が激務になってきていること、自らの体力面に不安があることを挙げ、「1試合あたりの投球数が昔より激増し、両軍あわせて『300球』にも達している」ことを指摘していたのを、ふとしたことで思い出した。

When I came in, the average number of pitches in a major league game was 200. Today, it's 300.
「俺がメジャーのアンパイアになったときは、1ゲームあたりの平均投球数は200だった。今じゃアンタ、300さ。」

Former umpire Tim Tschida 'having a ball' as prep assistant coach - TwinCities.com

もちろん、投球数激増の原因は、野球のオフェンスが非常にSelectiveになったことにある。

つまり、「ステロイド使用の抑制でホームラン数が激減する一方、セイバーメトリクスなどデータ分析の普及が進んだことによって、四球や出塁率の評価が高くなった、というより、『無意味なほど過大評価されだした』ことで、各チームはバッターにやたらと無駄なスイングの抑制や、球を見極めるバッティングを要求しだした」のである。

データ野球にはいまだに未成熟、未完成な部分が多々ある。そのことも理解しないまま、データ分析手法を「生半可に導入した」チームが増えれば、OPSのような「デタラメな古い価値基準」で選手の価値を評価したり、四球の価値を実際よりはるかに過大評価するハメになる。
ときどき思い出したようにホームランを打って、あとは四球になるのを待つだけ、ただそれだけの「アダム・ダン的、超低打率パワー系ヒッター」が過剰増殖する結果を生んだのも、当然の結果というものだ。

それは、野球本来の面白さではない。

関連記事:2014年10月20日、やがて悲しきアダム・ダン。ポスト・ステロイド時代のホームランバッター評価の鍵は、やはり「打率」。 | Damejima's HARDBALL


野球のオフェンスが 「本当に得点効率向上に貢献するのかどうかわからないほど、あまりにも過剰にSelectiveになった」 結果、「投手が打者ひとりあたりに投げる球数」は多くなり、「先発投手の投げるイニング数」は短くなり、セットアッパーの負担と責任も重くなった
それだけではない。 試合をさばくアンパイアの負担も非常に増え、さらには、ゲーム進行が遅くなったり、試合時間が長くなったりしたことで観戦するファンの負担も増やした可能性もある。

(ちなみに今シーズンから始まったインスタント・リプレイの適用範囲拡大も、試合時間を長くする要素にはなっている。だが、MLBファンはそれを受け入れており、『ファンにとって試合時間は短ければ短いほどいい』とは、けして断定できない。ヤンキースやレッドソックスの試合進行が遅すぎるという批判が100年前から既にあったことからもわかるように、ゲーム進行スピードの議論は今に始まったことじゃない。
参考記事:2011年7月5日、ゲームの進行が遅いとクレームをつけた最年長ベテランアンパイア、ジョー・ウエストに、ジョナサン・パペルボンが放った"Go Home"の一言。 | Damejima's HARDBALL


過去をふりかえると、「先発投手が125球以上投げた試合」は、1990年代には「のべ100数十試合」もあった。だが2000年代以降に激減。近年では20を切るシーズンも珍しくない。
先発投手が完投しないのはもはや当たり前。先発、セットアッパー、クローザーと、投手分業システムが確立した一方で、「長いイニングを投げられる、タフで怪我の少ない先発投手」も激減した。

そして、投げられるイニング数が短くなっているだけではなく、先発投手が長期DL入りや肘や肩の手術なしに、健康な状態で投げられる期間も、ますます短くなろうとしている。

1チーム1試合あたりの平均投球数
The average number of pitches thrown per game is rising ≫ Baseball-Reference Blog ≫ Blog Archive
1980年代末以降の投球数の増加 via Baseball Reference

1試合で125球以上投げた先発投手の「のべ人数」
(1996-2007)

125球以上投げた先発投手のべ人数1996-2007
引用元:
Count on it - MLB - Yahoo! Sports Data by Jeff Passan, Yahoo! Sports 2006

1試合あたり105球以上投げた先発投手の顔ぶれ(2008-2012)
1試合平均105球以上投げる先発投手の数 2008―2012


1チームの平均投球数「約150球」のうち、先発投手の投球数はだいたい84球から100球いかないくらいで、「平均92球前後」くらいらしいが、先発投手のP/IP(=1イニングあたりの投球数)が、良い投手で「14から15」、そこそこの投手で「16から17」であることを考えると、「92球」という球数は、だいたい「6イニング」という計算になる。
となると、総投球数「150球」から「先発投手の6イニングの総投球数、90ちょっと」を引いた「50から60球前後、3イニング」はブルペンに頼ることになる。
1チームあたりの平均総投球数=150球程度
先発投手90球ちょっと(=約6イニング)
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引き算によるセットアッパー+クローザーの負担
=50〜60球
=約3イニング
=2人の勝ちゲームのセットアッパー+1人の優秀なクローザー
=6回までにリードしておける攻撃態勢

「ブルペンが50球〜60球で、3イニングを消化する」ということは、「1イニングあたり、17〜19球で終わりたい」という意味になるから、計算上「セットアッパーが、バッター1人当たりに投げてもよいと考えられる球数」は、理想的には「4球以内」、「5球」なら普通で、多くても「6球」まで、「7球」では投げ過ぎ、ということになる。フルカウントなんて、もってのほかだ。

クリフ・リーが打者にストライクをやたらと投げるピッチャーであることや、フィル・ヒューズがヤンキース時代には「打者を追い込んでからの勝負があまりに遅いダメ・ピッチャー」だったのが、ミネソタ移籍後「勝負の早いピッチャー」に変身したことでエースとして大躍進を遂げたのには、やはりこの「過剰にSelectiveな現代野球」を生き残る戦略として、大きな意味があるわけだ。

せっかく打者を追い込んだのに、その後、ボールになる変化球(例えば、アウトコース低めのボールになるスライダーやシンカー。いわゆる釣り球)ばかり、だらだら投げ続けて、自らカウントを悪くするようなワンパターンな配球は、(例えばアダム・ジョーンズや、調子の悪いときのジョシュ・ハミルトンのように、追い込んでアウトローさえ投げておけば簡単に凡退がとれるタイプの打者との対戦を除くと)今のMLBでは意味がない。
ヤンキースが典型だが、投手陣を見ていて「勝負の遅いピッチャーだらけだ」と感じるということは、そのチームの投手コーチに現代野球の目指すべきベクトルを感じ取る嗅覚がない、という意味でもある。

関連記事:
2014年9月21日、フィル・ヒューズ自身が語る「フルカウントで3割打たれ、26四球を与えていたダメ投手が、被打率.143、10与四球のエースに変身できた理由」と、ラリー・ロスチャイルドの無能さ。 | Damejima's HARDBALL

カテゴリー:クリフ・リー (ビクター・マルチネス関連含む) │ Damejima's HARDBALL

だが、いうまでもなく現実の野球は計算どおりになどいかない。
近年の野球のオフェンスが、非常にSelective、つまり、やたら「球を見る」ようになってきていて、ひとりのバッターをうちとるのに昔より多くの球数が必要になってきているにしても、人材不足の昨今、優秀なブルペンを3人揃えてチームに囲い込んでおくことは容易ではない。
少ない球数でサクッとイニングを終わらせてくれるような、頼りになるセットアッパー2人と優秀なクローザーを揃えておかなければならないことくらい、どこのチームでもわかっている。
そういう投手はどこのチームだって欲しいわけだが、実際には不完全なブルペンのまま戦わなければならないチームも多い。


そういえば最近、ローテーションを6人体制にして中4日より長い登板間隔にすべきだ、なんて議論があるが、賛成するにしても反対するにしても、「先発投手の負担軽減」だけしか議論しないのは根本的に間違っている。

なぜって、「先発投手の負担」が従来より重くなっている原因のひとつが、投球数そのものが昔の1.5倍にも増加したことだとしたら、その影響が及ぶ範囲は、先発投手だけでなく、ブルペン、アンパイア、ファンに至るまで、「野球全体に及ぶ問題」だからだ。
バッテリーが早い勝負を心がけた戦略的な配球をするような攻撃的ディフェンスへの戦術転換の必要性、技術的進歩の必要度は、ますます高まっているはずなのに、今後のゲーム戦略を何も議論せず、また、アンパイアの疲労軽減対策や、ゲームの無駄な部分を省き、中身を濃くしてファンをより楽しませていく手法の検討もせず、ただローテ投手に必要な休養の長さだけを議論するのでは、意味がない。


ブログ主は無駄に球数を投げる雑な野球が心の底から嫌いだ。

「球数」が野球というゲームの構造に対して持つ「意味」は深い。「球数」は、「ゲーム支配力」であり、「プレー精度の証」であり、「ゲームとしての面白さ」そのものを決定づける要因のひとつでもある
それを考えもせず、先発投手の負担軽減だ、怪我防止だ、そんなことばかりしゃべっても、野球は面白くならない。

近年、球数の多さを生み出してきたのは、たしかに野球自身の責任だ。だが、クリフ・リーや最近のフィル・ヒューズのように、過剰にSelectiveなオフェンスの打破を目指してピッチングを改善している投手もいる。
いまこそ「過剰にSelectiveな今の野球が、本当に得点効率向上につながっているのかどうか」について、きちんと検証しなおし、ベースボールの進むべき方向性そのものも考え直すべきときにも来ているはずだ。
そうした技術的な進歩、ゲーム戦略の改善について検討しもしないで、選手の待遇向上ばかり話すのが野球の仕事じゃない。野球選手はバケーションを楽しむためにスタジアムにいるのではないのだ。

damejima at 07:31

July 09, 2013

打者を追い込んだ。

ならば、次はどうするか。
ボール球を振らせるのか。
あくまでストライクを投げ抜くのか。

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追い込んだ場面に限らず、バッターをうちとるために、「ボール球で釣る」のか、そうではなく、「ストライクでねじふせるのか」という手法の差には、その投手の投球哲学のあり方が如実に反映される。

実は、好投手といわれる投手でも、そのほとんどは常識の域を出ない。ほどほどのストライク。そして、ほどほどの釣り球。

なぜなら、なにも哲学なんてもの持たなくてもバッターはうちとれるからだ。彼らを平凡な投手から隔てる差は、たいていの場合、追い込んだ後に投げるボール球をどれほど打者が振ってくれるか、にかかっている。カウントを整えて、釣り球。ファウルさせて、釣り球。その繰り返し。常識から完全に抜け出して固有の哲学をもとうとする投手は、ほんのわずかしかいない。

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だが、野球の歴史に名前を残すのが誰か、
となると、話は違ってくる。

歴史に名前を残すのはいつも、哲学、投球フォームなど、「他の投手に無い独自のスタイル」を追求し、なおかつ、並外れた結果も残すことに成功したピッチャーのほうだ。

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バッターを追い込んだあと、誰がみても最初からボールとわかる軌道のアウトローの変化球ばかり投げて、カウントを自分から悪くしてしまい、自滅していくピッチャーは、それこそ掃いて捨てるほどいる。そういうワンパターンなサインばかり出したがるキャッチャーも数かぎりなくいる。
そういう選手たちが観客に見せられるのは、結局のところ、平凡すぎる打たれることへの恐怖心だけで、天賦の才や常識を超えた哲学を追求するどころか、配球常識すら欠けている。無駄に増える球数。無駄に長い野手の守備時間。見ているファンの欠伸。何もいいことはない。

ヤンキースでいえば、悪いときのフィル・ヒューズもそうだ。
彼本来の能力には非凡な才能の片鱗がみられる。常識にとらわれない稀有なピッチャーを目指せる可能性もある。なんせ、ア・リーグで最も初球にストライクを投げられるようなピッチャーだ。才能がないわけがない。
だが、どうしたものか、彼の投球数はけして少なくならない。

ヒューズには、打者を追い込んだあとに彼が世界にアピールすべき「自分だけの哲学」がどういう形なのかが、まだ見えていないからだ。彼が自分だけの哲学を見つけてキャリアを終えることができるかどうかは、まだ誰にもわからない。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年6月15日、本当に「初球はストライクがいい」のか。打者を追い込むだけで決めきれないフィル・ヒューズの例で知る「初球ストライク率が高いからといって、 必ずしも防御率は下がらず、好投手にはなれない」という事実。

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そのピッチャーが、どのくらい非凡なピッチャーなのか、それを知るのに何をしたらいいだろう。
登板そのものを見てわかる人は、それでいい。だが、目で見てわかる才能の無い人は、「数字」を見る必要がある。

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以下に、「マリアーノ・リベラクリフ・リーの投球哲学が、いかに特別なものか」を示すグラフを作ってみた。

このグラフは、「ボール球を振らせている率」の高い投手が、いったい「どれくらいの割合でストライクゾーンに投げているか」を示している。
ア・リーグで「ボール球を振らせている率」の高い20人の投手、マリアーノ・リベラとクリフ・リー、ついでにヤンキースの投手数人をマッピングしてある。(© damejima)

O-Swing%とZone%

X軸:O-Swing%(ボール球を振らせる率)
Y軸:Zone%(ストライクゾーンに投げる率)
青い点:O-Swing率の高いア・リーグ先発投手ベスト20
ソース:Fangraph(データ採集日:2013年7月5日)

なかなか面白い。こんなことがわかる。
青い点、すなわち、2013ア・リーグで「ボール球を振らせる率の高い投手ベスト20」のほとんど全員は、「非常に狭いエリア」に固まって存在している。そして、その大半は「ア・リーグ奪三振ランキングベスト20」とダブっている。

一部例外を除き、大半の投手の数値は似たり寄ったりであり、全投球に占めるストライクは42〜46%、「32〜35%前後のボール球」をバッターに振らせている。
つまり「ボール球を振らせることのできる率の高い優秀な投手」のほとんどは、「奪三振数の多い投手」でもあり、しかも彼らの投げるストライクとボールの比率はかなり共通した数値になる。

この数字と事実は覚えておいて損はないと思う。投球術を考える上でたいへん興味深い。MLBにおける先発投手のストライクとボールの模範的な比率は「2:1」だが、それは「ストライクゾーンに投げている球が66パーセントを占める」という意味ではないのである。

ただし、これが役に立つのはごく常識的な投球術の模範回答を知る、という意味においてだ。これが達成できたとしても、天才にはなれない。

このグラフは、とりわけ「打者から多くの三振をとる」という行為を目指すピッチャーにとって、「ボール球を振らせること」がいかに重要かを示している可能性があるわけだが、それだけでなく、もしかすると、彼らのような奪三振系ピッチャーの投球術には、実は思ったほど相互に差異はなく、似たり寄ったりであることを示唆している可能性がある。
つまり、好投手になれるかどうかは、単に「ボールになる変化球を振らせる」というような「常識的な投球術」を実際に実行できる能力だけで決まってしまうかもしれない、ということだ。(もちろん、「模範解答が実行できる」ことだけでも十分に「秀才」だ。だがそれだけでは「天才」と呼ぶことはできない)

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ところが、まるで常識にあてはまらないピッチャーが
MLBには常に存在する。


例えば、マリアーノ・リベラというと、登板時の天衣無縫なイメージから「他の投手に真似のできない特別な変化をする独特のカットボールで、どんどんストライクをとっていく真っ正直なピッチャー」であるかのように思われやすいが、実際には違う。

いくら一流の奪三振王といわれる投手たちでも、ボール球を振らせる率はほぼ「33%前後」と、一定の数字に収まることがほとんどだ。しかし、リベラだけはこれが「44%」もあって、他のどんなピッチャーより高い。
なのに、どういうわけか、ストライクゾーンに投げる率は、データ上、わずか「41.3%」しかないのである。(他の投手は44%前後)
つまり、「数字で見るマリアーノ・リベラ」は、「どんな一流投手より多くの『ボール球』を投げ、しかも、誰よりも多く『ボール球』を振らせているピッチャー」なのだ。


また、グラフのはるか上のほうに名前があるクリフ・リーだが、彼はボールを振らせる率こそ人並みだが、ストライクゾーンに投げる率が、なんと「56.6%」にも達している。キャリア通算でみても、「58.3%」とずば抜けている。これは凄い。
つまり、クリフ・リーは、リベラとは180度正反対の方向性のピッチャーで、「鬼のようにストライクばかり投げこむピッチングを信条としているピッチャーであり、打者がボール球を振って凡退してくれることなど、最初からまるで期待していない投手だ」ということだ。
実際にマウンドに立つクリフ・リーは「心臓に毛のはえたような強気の投手」というイメージだが、これは彼のデータに見事に合致する。数字からみた彼は「3球に2球はストライクゾーンに投げる」ほど、ストライクに固執している。

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ボール球を振らせて凡退させるマリアーノ・リベラ。
ストライクで強引にねじふせるクリフ・リー。

平凡な選手が嫌いなブログ主としては、どちらも好みのピッチャーだが、では、このところ好投をみせつつあるフィル・ヒューズデビッド・ロバートソンといったヤンキースの若手投手は、いったい何を目指しているのだろう。


2人に共通の特徴がある。
ボール球をスイングさせる率の低さ」だ。

これは、一流投手になるための条件として、致命的だ。奪三振数ランキング・ベスト20の投手たちに比べ、数ポイントは低い。どうりで彼らのピッチングがいつも苦しいわけだ。
つまり、ヒューズとロバートソンの投げるボール球は、「バッターが振ってくれないボール球」なわけだ。

同じボール球でも、ボールを振らせる魔王マリアーノ・リベラや、奪三振率の高いピッチャーたちが投げるボール球は、「バッターが振ってくれるボール球」であり、当然ながら両者のピッチングには非常に大きな差が出る。

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フィル・ヒューズは、一度書いたように、「ア・リーグで最も初球にストライクを投げてくるピッチャーだが、今回作成したグラフ上でみると、実はサイヤング賞投手バートロ・コロンにかなり特性が近い。
バートロ・コロンは、クリフ・リー型の「ストライクにこだわる投球哲学を持った投手」で、だからこそ、コロンとクリフ・リーの2人が、サイ・ヤング賞投手になれたわけだが、データでコロンに近い数値をたたきだしているヒューズが、「常識にそわない自分だけのストライクを多投するピッチングスタイルを追求しつつ、日々マウンドに上がり続けていること」は明白だ。

ならば、これから彼の選ぶべき道は、「2つ」。

ヒューズがもし将来コロンになりたいのなら、ストライクを増やすことよりも、もう少し「ボール球を振ってもらえるようにする工夫」をすべきだし、彼がもしクリフ・リーになりたいのなら、「なにがなんでもストライクだけを投げぬける強いハートを持て」という話になる。
彼の課題は「彼自身が今後、誰を目指したいか」によって、かなり変わってくる。


他方、ロバートソン。
彼には2つ、特徴がある。第一に「あまりストライクを投げない」。そして第二に、奪三振数の多い先発ピッチャーたちに比べ、「ボール球を振ってもらえてない」。彼はピッチングのとき、いつも眉間に皺が寄っているが、原因はこんなところにある。ストライクは投げないわ、ボール球を振ってもらえないわでは、なんだか気の毒にさえなる。

彼は2012年にはカットボールばかり投げたがっていた。たぶん当時の彼は、コロンにタイプが似ている「ストライク・マニア」フィル・ヒューズが目指しているものとは全く違い、「カットボールでボール球を振らせて凡退させるマリアーノ・リベラ」を目指していたのだろう。だから、あえて彼はストライクを投げないで、カットボールを多投するピッチングスタイルをとってきたのではないか、そう思うわけだ。

だが、どうだろう。
ロバートソンがリベラになれるだろうか?

つい最近の彼が、カーブを多投するようになって大変身を遂げつつあることは、誰の人生にも必要な、素晴らしい「あきらめ」だと思う。マリアーノ・リベラのような、あれだけボール球を振らせることができるピッチャーは、彼の背番号と同じで、たぶんもう現れない。
ロバートソンはリベラにはなれない。もっとストライクを積極的にとっていき、球種も増やしていくほうが、彼のためだ。

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こうやって考えていくと、野球というのは本当に興味が尽きない。

「ボール球を振らせることのできる投手」と簡単にいうが、その多くは「ゾーンにストライクを数多く投げ、ゾーン内で勝負する投手」なのだろうか。それともストライク率とは無関係なのか。そして、ストライクゾーンで勝負してくる投手のストライクは、どれくらい打たれているのか。

ついでだから、「ストライクゾーンに投げる率であるZone率」と、「ストライクゾーンに投げた球をバットに当てられる率であるZ-Contact率」の関係をちょっと調べてみた。(青い点が、ストライク率の高いア・リーグ投手ベスト20)

ZONE%とZ-Contact%


このグラフでも、いろいろな投手たちのピッチングスタイルの違いがわかる。

例えば、マックス・シャーザーと、ジェレミー・ガスリーの2人は、ストライク率が似た投手だが、ガスリーのほうがはるかにコンタクト率が高い。つまり、同じストライクでも、シャーザーのストライクはバットに非常に当てにくく、他方、ガスリーのストライクは当てやすい、ということだ。
これは、かつてボルチモア時代のガスリーの被ホームラン率がア・リーグで3本指に入るほど高かった事実にピタリと一致する。かつての彼の欠点は、ストライクを投げることではなく、「ストライクにキレがないことだった」ということがわかる仕組みになっている。

このガスリーと同じ「ストライクを多投し、同時にストライクのコンタクト率が異常に高い」という特徴をもつのが、ミネソタのスコット・ダイアモンドだ。
2012年に防御率3.54で12勝9敗と、飛躍が期待されたが、2013年は防御率5.52、5勝8敗と低迷。2013年のHR/9は1.5で、リーグ平均の1.1よりずっと高い。つまり、ただほどほどのストライクを投げる常識的な投球術を続けているだけで活躍し続けられるほど、MLBは甘くない、ということだ。


2つ目のグラフにおいても、クリフ・リーのストライク率の異常な高さと、マリアーノ・リベラのストライク率の異様な低さは、群を抜いている。
いかに彼らが、他の投手とはまったく違うピッチング哲学を持った投手であることかが、このグラフからもよくわかる。
リベラのZ-Contact%、つまり、ストライクのコンタクト率は、マックス・シャーザー並みに低い。上で「リベラは、たくさんのボール球を投げ、そのボール球を振らせている特殊な投手だ」と書いたが、ストライクにしても、打者にやすやすとコンタクトされる安っぽいストライクではない、ということだ。
クリフ・リーのストライクにしても、あれだけ数多くのストライクばかり投げているのに、このコンタクト率で済んでいることは、彼のストライクが並みのレベルではない質の高いストライクであることを示している。

damejima at 13:33

May 08, 2012

今シーズン初登板の4月7日ボストン戦で脇腹を痛めてDL入りしていたダグ・フィスターが戦列復帰。古巣シアトルを7回73球、被安打4で抑えて終えた。全く危なげなかった。
Detroit Tigers at Seattle Mariners - May 7, 2012 | MLB.com Classic


今日のフィスターの投球内容は、2シーム41%、カーブとチェンジアップがそれぞれ22%ずつで、合計85%。記録上は大半の球種が変化するボールで、なんとわずか2球しか4シームを投げていない
打者の手元で動く球を多投した結果、ゴロアウト10に対して、フライアウト4と、何度も繰り返し書いてきたように、完全にいつもの「見事なグラウンドボール・ピッチャー」ぶり。
もしシアトルの打者がフィスターに対して、シアトル時代の4シームばかり投げていたイメージで打席に入っていたとしたら、打てるわけもない。

イチローとの対戦では、第1打席に右中間にライナーの二塁打を放ったイチローが、かつでの同僚に貫録を見せたが、これも打ったのは、2シーム


なおゲームは9回裏にリリーフしたオクタビオ・ドーテルがせっかくのゲームをぶち壊して、シアトルがサヨナラ勝ち。なにか、シアトル時代のフィスターを思い出させるようで、笑うに笑えない。
8回裏に登板したセットアッパー、フィル・コークの出来が完璧だっただけに、デトロイト監督ジム・リーランドの「勝ち運の無さ」も、ここまでくると重症だ。
デトロイトが大金はたいてプリンス・フィルダーを獲得しながら、勝率で5割近辺をウロウロしている原因のひとつは、バッティングが多少湿ってきていることもないではないが、それ以上に、勝ち切れないブルペン投手。(マックス・シャーザーは多少よくなってきている)
アレハンドロ・バルベルデといい、ドーテルといい、先発投手の作る勝ちゲームをキープするだけの力が、今のデトロイトのブルペンにはない。

去年ポストシーズンで大失態を続けたバルベルデだが、ERA5.68、被打率.300、WHIP1.82、セーブ率71.4%というスタッツは、とてもとても、コンテンダーのクローザーと呼べる数値ではない
デトロイトがいつになったら、この図体がデカいだけの軟弱なクローザーにこだわるのを止めるのか知らないが、他地区で優勝の可能性の無いチーム(例えば、WHIP1.000のミネソタのマット・キャップスでも、宝の持ち腐れになっているサンディエゴのヒューストン・ストリートでも誰でもいい)から、さっさとクローザーを引っこ抜いて補強したほうが、チーム勝率アップにつながって、誰もが幸せになれるのは間違いない。



MLBのクローザー不足」は、MLB現地記事を読んでいる人ならわかるように、アメリカのスポーツメディアが「優秀なキャッチャーの不足」とともに、最近繰り返し記事にしている話題で、なにもデトロイトだけに限ったことではない。
今シーズン前のストーブリーグで、フィリーズがボストンのクローザー、ジョナサン・パペルボンに、クローザーとしてはありえない大金をはたいたのを見て、「馬鹿なことをするもんだ」と思っていたが、認識を少しは改めるべきかもしれない。(とはいえ、パペルボンのサラリーはやはり高すぎる)

セーブ数の多いクローザー
(セーブ数/登板数、セーブ%)
クリス・ぺレス      CLE  11/14 91.7%
フェルナンド・ロドニー  TBR  9/15 100%
ジョナサン・パペルボン PHI  9/12 100%
クレイグ・キンブレル   ATL  9/11 90%
フランク・フランシスコ   NYM 9/14 88.9%
ジム・ジョンソン      BAL  8/12 100%
ジャビー・グエラ      LAD  8/14 72.7%

クリーブランド、タンパベイ、ボルチモアと、好調チームのクローザーが見事に並んでいる。やはり、信頼できるクローザーがいるチームは確実に勝率をアップできる。
MLB Baseball Best Closers of 2012 - Major League Baseball - ESPN

セーブ数の少ないクローザー
(セーブ数/登板数、セーブ%)
スコット・ダウンズ     LAA 2/11 50%
フランシスコ・コルデロ  TOR 2/11 50%
ラファエル・ドリス     CHC 2/15 66.7%
ヒース・ベル        MIA 3/11 42.9%
ジェイソン・モット     STL  4/11 80.0%
ヒューストン・ストリート  SD  4/10 100%
ヘクター・サンチアゴ   CHW 4/10 66.7%

こちらのリストには、LAAやMIAのように、「下馬評が高かったのに、順位が低いチーム」がズラリと顔を揃えている(笑)


シアトルのブルペンで言うと、既にツイートしたように、スティーブン・デラバーがクローザーとして使える感じがあり、彼のストレートにもう少しコントロールつけばクローザーとして使えそうなので、この夏はブランドン・リーグ高値で売り払う大きなチャンスだと思う。





damejima at 14:26

May 07, 2012

ノーラン・ライアンがテキサス・レンジャーズ社長に就任したのは、2008年2月。さらに2010年1月にライアンは共同経営者になっている。
ライアンらの投資グループは、かつて大統領選出馬のための資金が必要になったジョージ・ブッシュから250M(=2億5千万ドル)でレンジャーズを買い取ったトム・ヒックスから、チームを買い取ったわけだが、その金額は元値の倍、500M(=5億ドル)以上といわれている。そしてテキサスは2010年に11年ぶりの地区優勝を成し遂げることになる。


以下に、2000年以降の10年間のア・リーグ全チームの平均ERAと、テキサス・レンジャーズのチームERA(防御率)の変遷を、グラフにしてみた。2つの事実を見るためだ。

1) 2000年代終盤のア・リーグ平均ERAは、全体として改善されていく傾向にあり、「投手の時代」に向かっていることが明確になっていた。

2) テキサスのチームERAは、2000年代中期までは常にリーグ平均より遥かに悪い数値だったが、ノーラン・ライアンが社長就任した2008年シーズンを境にして、劇的に改善されていき、ついにはア・リーグの改善トレンドを越え、リーグ平均より良い数値にまで到達した。

横軸: 時間軸(1=2001年 2=2002年・・・11=2011年)
青い折れ線: テキサスのチームERA
赤い折れ線: ア・リーグ全チームの平均ERA
曲線: それぞれの近似曲線(3次)
リーグとテキサスのERAの変遷比較

なお、上のグラフだけでは、「2000年代終盤のア・リーグ全体のERAは、かなり改善傾向を示していた」という点がわかりにくいと思うので、縦軸を縦方向に大きく引き延ばし、変化をより強調したグラフを作ってみた。
変化を強調したこちらのグラフで見れば、いかに「ア・リーグが、2008年以降変わっていっていたか」が、よりわかりやすく見えてくると思う。

赤い折れ線: ア・リーグ全チームの平均ERA
曲線: 近似曲線(3次)
リーグERAの変遷


これらのグラフを見るときに、頭の隅に入れておかなければならないことがいくつかあるのだが、最も大きなファクターのひとつが、ヤンキース移籍後のアレックス・ロドリゲスに対するテキサスの年棒負担の問題だ。

テキサスは2001年にシアトルから、10年総額252M(2億5200万ドル)でA・ロッドを獲得した。(これはなんと、かつてトム・ヒックスがジョージ・ブッシュに払ったチーム買い取り金額と、ほぼ同額の大金)
だがテキサスのチームERA変遷グラフからわかる通り、2000年初頭〜中期のテキサスの防御率は酷いものであり、いくらA・ロッドがステロイドを使用してホームランを打ちまくろうが焼石に水で、チーム低迷は改善できなかった。
そのため、やがてテキサスはA・ロッドをヤンキースに手放さざるをえなくなるのだが、このときテキサス側は、A・ロッドの残り年棒179Mのうち、約3分の1、67Mを引き続き負担しなければならなかった。
この重い金銭負担が、2000年代中期のレンジャーズのチーム再建に大変な足かせとなった

The Rangers also agreed to pay $67 million of the $179 million left on Rodriguez's contract.
Alex Rodriguez - Wikipedia, the free encyclopedia



なにも、2000年代終盤にテキサスだけがチームERAを改善していたわけではなく、ア・リーグ全体としてERAは改善傾向にあった。
だが、問題なのは、投手の時代に向かう動きが、1シーズン限りではなく、潮流の変動であることに早くから気づいて、「意図的に」チームカラー変更に着手できたかどうかだ。
2000年代末のア・リーグに、こうした時代の変化について「チーム方針として」きちんと対応しきれたチームが多かったとは、全く思わない。


例えば「シアトル」だ。

たしかに、2009年以降のシアトルのチームERAが、テキサスのチームERAが2009年以降改善されていったのと同じように、2009年にが1点近く劇的に改善されているため、シアトルのチーム方針が投手の時代に向かいつつあったと勘違いする人もいるだろう。
参考:シアトルのチームERA
2007 4.73
2008 4.73
2009 3.87
2010 3.93
2011 3.90

だが、2009年のシアトルのチームERAの変化は、チームが意図した変化でもなければ、ポジティブな変化でもない。まして、時代の変化を先取りしたチーム側が、チームコンセプトを変えたためでもない
2009年のシアトルの変化は「ネガティブな変化」、つまり、ただ単にチームがチームを腐敗させつつあった「城島問題」に、何も対策しないどころか、むしろチームと城島が優遇契約を交わすという腐った対応をしたことに業を煮やしたローテ投手3人が、自主的にダメ捕手城島とのバッテリーを全面拒否したことで、ダメ捕手がようやく正捕手からはずされ、対応が遅れに遅れ、間違った対応だけが続けられてきた「城島問題」にようやくケリがつけられた、それだけのことだ。
あのあまりにも馬鹿げた「城島問題」の処理が、もっと早く、それもチーム主導でできていたなら、もっとマトモなチームになるチャンスがあった。
チームに頼らない選手自身の手による解決という、前代未聞の方法で解決された城島問題」後のシアトルは、「もともと優秀だったローテ投手たちのERAが、本来の数値レンジに戻っただけ」であり、無能GMズレンシックが潮流の変化に気づいてチーム方針を転換したからでもなんでもない。

当のシアトルとズレンシックが、時代の変化を先取りするどころか、変化をまるで理解していなかった証拠に、GMズレンシックは、チーム本来のストロング・ポイントであり、また2010年代以降の時代のニーズでもある「ローテーション投手」(ウオッシュバーン、クリフ・リー、ブランドン・モロー、ダグ・フィスター、マイケル・ピネダなど)を同一リーグのコンテンダーに安売り、切り売りする馬鹿トレードを毎年のように実行しては、毎年のようにフィギンズ、ブラッドリー、グリフィー、バーンズ、ジャック・ウェイルソン、グティエレス、スモーク、ライアン、ウェルズ、モンテーロと、野手に投資しては、自分たちのお気に入り選手ばかり重用し、失敗した野手投資の後処理すらマトモにできないGMと監督であるにもかかわらず、時代の読めない地元メディアと日米の一部ファンとがそれを毎年追認して、挙句にはチームの得点力が足りないからというわけのわからない屁理屈で3000本安打という大記録達成を目指し盗塁もできる稀代の1番打者イチローに3番を押し付ける愚行までしている、のである。

ズレンシックが掲げて大失敗した「超守備的」というわけのわからないチームコンセプトにしたところで、あんなものは「単なる机上の思い付き」に過ぎず、「投手の時代」とは全く関係ない。また野手のひとりやふたり程度が多少の成功をおさめようが、愚鈍さと愚行が救われるわけでもなんでもない。
また近年の「育成モード」も、本当の意味でのチーム再建でもなんでもなく、単にかつてズレンシックの獲ってきた野手があまりにも使いものにならなくて店(=観客動員)が閑散としてきたので、あわててマイナーの選手をごっそり上げてきて店頭に並べているだけに過ぎない。


同じことは、先日記事にした2000年代クリーブランドの失態にも言える。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年5月4日、エリック・ウェッジの無能さを証明する、選手育成部長ジョン・ファレル流出後のクリーブランド・インディアンス没落。
ア・リーグ全体がひそかに「投手の時代」に向かって進んでいた2000年代中期に、クリーブランドはせっかくの分厚い選手層を抱えながら、「投手というものをまるで理解する能力の無い、投手起用の超下手クソな監督」エリック・ウェッジを起用し続けて大失敗を犯し、CC・サバシアクリフ・リーの生え抜きローテ投手2本柱を失って、他の多くのチームのERAが改善されていった2009年に、クリーブランドはチームERAを5点台にまで悪化させている。
たとえクリーブランドが近年になってようやくデレク・ロウウバルド・ヒメネスといったFA先発投手に投資することで、かつての馬鹿げたチームマネジメントの大失態からやや立ち直り、「投打のかみあったチームを目指すという常識」を取り戻しつつあるとはいえ、時代への対応に数シーズンは立ち遅れたクリーブランドが「ERA3点台の時代」「投手の時代」に追いつくまでの時間に、既に先行投資を追えたテキサスやデトロイトが時代をリードし、ボルチモアやトロント、タンパベイなどもチーム改革に取り組んで十分な成果を挙げはじめているとあっては、もうなまやさしいことではア・リーグ制覇はできない。

ちなみに、
クリーブランドは2010年に1試合あたりの観客動員数23,357人で、MLB最少観客動員数の球団だった(ホーム、アウェイの合計)。そして2012年5月7日現在、地区首位であるにもかかわらず、17,164人と、またもやMLBで最も観客動員の少ない球団になっている。1試合あたり2万人を切ったのは、2005年以降では、クリーブランドのみ。
2012 MLB Attendance - Major League Baseball - ESPN


社長に就任して以降のノーラン・ライアンのチーム改革の詳細な中身はあまりわからない。
だが、それにしたって、外から見ているだけでもデレク・ホランドトミー・ハンターネフタリ・フェリースを育て、CJウィルソンスコット・フェルドマンなどを大成させてもきた最近のテキサス・レンジャーズのローテ投手たちの選手層の厚さを見れば、ノーラン・ライアンが2008年の社長就任後から確実に進めてきたチーム改革事業の歩みの重さがわかろうというものだ。ダルビッシュ獲得も、そうしたノーラン・ライアンの敷いたレールの上にある。


やはり「変化」というものは、
時間がたってから気づくのでは、遅すぎるのだ。







damejima at 02:32

May 04, 2012

トロントのブランドン・モローがエンゼルスをわずか102球で完封して、3勝目。ヴェテランのダン・ヘイレンとの投げ合いだったが、一歩も引かないどころか、ワンランク上を行くピッチングをみせたのだから、たいしたものだ。
Toronto Blue Jays at Los Angeles Angels - May 3, 2012 | MLB.com Classic

モローについて前回書いた記事で、今シーズンのモローの配球の特徴について「シアトル時代には配球の70%以上がストレートで、ストレートばかり投げては狙い打たれていたが、今はわずか50数%しか4シームを投げていない」と、近年のモローの変化球多用について書いたわけだが、今日はなんと前の登板とガラリと変わって、全投球の74%、つまり4球のうち3球で4シームを投げ、ほぼストレートのみで知将マイク・ソーシアの裏をかいて、エンゼルスを押しつぶしてみせるという離れ業をみせた。(だからといって、シーズンスタッツで、モローのストレート率が急上昇したわけではない)

いやはや、エンゼルスのような、「三度のメシより分析が好きなチーム」を相手に、得意のスカウティングを不発に終わらせ、バッターに的を絞らせない工夫をしてくるとは。おそれいった。前回登板でイチローにスプリットまで投げていた投手とは、とても思えない。
クリーブランドでも、ボストンでも、選手を育てる手腕の高さで名をはせたジョン・ファレルが監督をしているだけのことはある。
参考記事:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年4月28日、「アウトローにストレートが最も手堅い」などというダメ捕手発想など通用しないのがMLB。エドウィン・エンカルナシオンの初球満塁ホームラン。


トロント・ブルージェイズの現在の監督ジョン・ファレルは、かつてクリーブランドでエリック・ウェッジが監督になる2年も前から、選手育成ディレクター (director of player development)をやっていて、CC・サバシアクリフ・リービクター・マルティネスグレイディ・サイズモアなど、クリーブランド生え抜き選手の大成に深くかかわった。

その後、腕を見込まれて2007年からボストンでピッチングコーチに就任。ジョシュ・ベケットジョン・レスタークレイ・バックホルツを育て上げつつ、就任1年目にしてボストンのチーム防御率を前年から1点以上改善してア・リーグ1位の投手陣に押し上げ、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。そして2010年10月トロントで、ついに「監督の座」を射止めた。
ボストンのチーム防御率
2006年 5.09
2007年 4.06 ジョン・ファレル Pコーチ就任(WS優勝)
2008年 4.28
2009年 4.54
2010年 4.59 ジョン・ファレル、トロントの監督に
2011年 4.55 
2012年 5.54



ジョン・ファレルとエリック・ウェッジの関係で、特に皮肉なドラマと言えるのは、2007年のア・リーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)だ。
十分な戦力をもちながら、なかなか地区優勝できないエリック・ウェッジのクリーブランドは、サバシアとカルモナ*1の2投手が19勝ずつすることで、ようやく6年ぶりの地区優勝にこぎつけたのだが、リーグチャンピオンシップで、前年までクリーブランドの選手育成ディレクターだったファレルがピッチングコーチに就任したボストンと対戦するものの、1勝3敗から逆転を許して劇的に敗退。
ボストンは勢いそのままにワールドシリーズ制覇を遂げために、ファレルはチャンピオンリングを手に入れたのだが、エリック・ウェッジはその後の2年間の不振から、クリーブランド監督をクビになった。
*1 在籍時期の重なりが少ないカルモナには、ジョン・ファレルはあまり関わっていない


シアトルが、他チームをクビになった人間をを監督に採用したのは、おそらく 「ウェッジは若手育成のうまい監督だから」 なんていうわけのわからない理由だったのだろうが、人を見る目がないにも程がある
かつてのボストンの躍進に関してテオ・エプスタインの手腕を評価している人間と同じで、シアトルは、2000年代のクリーブランドで、「誰が本当のキーマンだったか」を見抜きもしないまま、チームの運命をまかせっきりにしたのだから、おそれいる。

例えば、
クリーブランドのファームシステムが高く評価されていた2003年、監督ウェッジは就任1年目でまだ何もしておらず、ファームを整備していたのは、既に2001年から選手育成ディレクターをしていたファレルなどの功績であり、ウェッジではない。
During Farrell's time in Cleveland, the Indians received Organization of the Year honours from USA Today (2003-04) and their farm system was ranked No. 1 by Baseball America (2003).
Blue Jays name Farrell new manager | bluejays.com: News



以下に挙げたのは、2001年からの約10年間のクリーブランド・インディアンスのウェッジ、ファレル、主力選手それぞれの在籍期間とチーム勝率を重ね合わせたグラフ。(クリックすると別窓で大きなグラフが開く)

クリーブランドの勝率変遷とジョン・ファレル

CCサバシア、クリフ・リーと、2人のサイ・ヤング賞投手に加えて、好調時のカルモナと、最強クラスのローテ投手を抱えながら、7年間ものエリック・ウェッジ在任時代に、クリーブランドはたった1度しか地区優勝(2007)していない

それどころか、ウェッジの監督在任中、これほどの戦力がありながら、チーム勝率が5割を超えたことは、たったの2度しかない

当時のクリーブランドが、才能溢れる選手たちが集まっていたから多少は勝てたものの、それでも、十二分に彼らの才能を引き出せる指導者に恵まれてはいなかったことが、10年単位で振り返ると、よくわかる。
シアトルにおいても選手起用、特に投手起用に常に最悪の采配を見せ続けている監督ウェッジの手腕が、実はクリーブランド時代から最悪なものだったことが、上にまとめた図からよくわかるというものだ。
もしウェッジの采配が本当に素晴らしいものだったなら、クリーブランドは長く続く黄金時代を迎えることができ、クリフ・リーやサバシアといったMLBを代表するような名投手たちを次々に手放すようなハメにならずに済んだだろう。

エリック・ウェッジがクリーブランドをクビになった理由の一端については、以下の記事を参照 ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月21日、エリック・ウェッジが2009年にクリーブランド監督をクビになった原因は、2011年シアトルでやってきたチーム運営の問題点の数々とほとんどダブっているという事実。

2000年代クリーブランドの、ほんのわずかな好調期を演出したのは、無能なエリック・ウェッジの奇をてらった采配や、片寄った選手起用によるものではなく、選手育成部長ジョン・ファレルの用意した選手層の厚さである。
このことは、選手育成部長ジョン・ファレルのボストン移籍以降、クリーブランドのチーム勝率が急激に右肩下がりにV字降下し、2009年にはわずか4割程度になって、有力選手の大半を放出せざるをえなくなって、監督エリック・ウェッジが問答無用にクビにされた事実で、十分過ぎるほど、証明されている。



ちなみに、以前、2000年代の10年間にボストンで活躍した豊富過ぎるほどの人材を用意したのが、元GMテオ・エプスタインではなく、エプスタインの前任者ダン・デュケットであって、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、さらにはビリー・ビーン、マネーボールなどの評価を、「格下げ」、「ダウングレード」する必要があることについて書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

この「2000年代のボストンの選手層の厚さ」について、ダン・デュケットの「選手獲得」の手腕と功績の再評価が必要なのと同様に、ジョン・ファレルが、ダン・デュケット時代の選手たちを「育成」したことの手腕と功績の再評価も必要だろう。
そのことは同時に、テオ・エプスタインと、その周辺のセイバー関係者の「上げ底評価」を、さらにもう一段下げる必要があることも意味している。

damejima at 23:42

April 30, 2012

今シーズンのボルチモアがどう変わったのかについて書いた前記事に続き、こんどは、コロラドでは「防御率4点台後半の、パッとしない先発ピッチャー」でしかなかったジェイソン・ハメルが、ボルチモアでどう変わったのかについて、キャッチャーのマット・ウィータースと、ピッチングコーチのリック・アデア、そしてハメル本人の具体的なコメントを見てみる。


ポイントは3つ。

● かつて投げていたが、やめていた2シームを
  移籍後のスプリングトレーニングでモノにできた
● グラウンドボール・ピッチャーへの変身
● コーチ、投手、キャッチャーの意思疎通


以下は、ジェイソン・ハメルが4月初旬に8回までノーヒッターを続けたゲーム後のインタビューだ。
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
まず、キャッチャーのマット・ウィータースのコメント。
(原文より関係個所を抜粋。以下同様)
"In spring training, you could tell he had good stuff, but you are always constantly working on things. He did a great job of pitching to his strengths and getting a lot of groundballs. "
「スプリングトレーニングで、彼にいい持ち球があることはわかってたといっていいと思うけど、彼は絶えず努力もしてた。今日は彼の強みをより生かすピッチングができてたから、たくさんのゴロを打たせることができた。」


次に、ピッチングコーチのリック・アデア
Steve Melewski: Matt Wieters and Rick Adair talk about Jason Hammel
Did you think the two-seamer would be a big factor for him when the club acquired him after the trade?
"Never thought about it because he threw some four-seamers that actually had two-seam action. With some other things he's done, he's got the ability to get on top of the ball a little easier now. Just going to the two-seamer, it worked out and he's pretty excited about it."
彼をトレードで獲得したとき、2シームが彼の活躍の大きなカギになると思いましたか?
「まるっきり思わなかった。彼は既に2シーム的な動きをする4シームも投げてたわけでね。彼にはもともと楽に2シームを使いこなせるだけの能力が備わってたんだ。だから2シーム使いになろうと決めるだけで、それを実現できたことに、彼はとても興奮してたね。」

What did you see that led you to think you could tweak some things with Hammel to improve his two-seamer?
"Probably the first thing I thought about is he reminded me a lot of Doug Fister. And some things that were done with Doug (when he was his pitching coach in Seattle in 2009-10). It's worked out pretty well with Fister until he pulled his oblique yesterday. But, yeah, they reminded me a lot of each other."
なんらかの調整によってハメルの2シームを改善できると思ったきっかけは何でしたか?
「たしか最初に思ったことというと、ハメルを見てダグ・フィスターを思い出したってことじゃなかったかな。(シアトルのピッチングコーチ時代の2009年から2010年にかけて)ダグとやってたことと似てるんだ。昨日フィスターは筋肉を傷めちゃったけど、彼の場合、かなりいい結果がでてるわけだしね。ハメルとフィスターには強い共通点を感じるよ。



で、これらのことについて、当のジェイソン・ハメルがどう言っているか。
Steve Melewski: Jason Hammel talks about his no-hit bid against Minnesota
"Two-seamer is something I just started using again in spring training. "
「2シームは、(移籍後の)スプリング・トレーニングからまた使い始めた球種なんだ。」
Battled through a couple of control problems for a little bit but the two-seamer helped me out a lot getting sinker, ground ball and quick outs. "
「(今日のピッチングは)コンロトールに若干問題があって苦労もしたけど、2シームが僕を助けてくれたから、低めに球を集めて、ゴロと早いカウントでうちとっていくピッチングができた」
"That is definitely the most of my career," Hammel said of the 16 ground outs."
16個のゴロアウトについて、「間違いなくキャリア最多だろうね」とハメルは言う。
"Just small, small adjustments I made with Rick in my windup and delivery. He said 'I bet you can throw a two-seamer now.' I told him I had pretty much put it in my back pocket in Colorado.
「ワインドアップと投球フォームについて僕が(投手コーチの)リックとやったことは、ちょっとした、そう、ほんのちょっとした調整にすぎなかった。リックが言うには『(こんな、ほんのちょっとの調整で)君は2シームをすぐに投げられるよ。保証する』って言うんだ。だから僕は彼に『(トレードされる前に所属していた)コロラドでは(2シームを)お尻のポケットにすっかりしまいこんでた、それだけさ』って言ったのさ」


上のコメントで特に印象深いのは、2つ。
ひとつは、ピッチングコーチのリック・アデアが、ジェイソン・ハメルのプライドを傷つけないように、むしろ、彼のプライドをくすぐるように配慮しながら、結果的には、ジェイソン・ハメルが自分で「あれは微調整だ」と思っている以上に、彼のピッチングスタイルを大きく改善・変更することに成功していること。
そして、かつて在籍していたシアトルでコーチしたダグ・フィスターの名前を挙げつつ、ジェイソン・ハメルのスプリングトレーニングでの成果について、「かつてダグ・フィスター(との間で成し遂げた成果)を、大いに思い起こさせるものがあった」と述べていることだ。


フィスターの大成がリック・アデアの功績だったかどうかについては、本人の努力や、クリフ・リーという「教師」の存在、デトロイトのコーチの貢献をさしおいて、「移籍先のデトロイトでのダグ・フィスターの活躍は、元はといえば、オレがシアトルで彼を育て上げていたからだ」といわんばかりの自慢話には、多少の違和感というか、我田引水的な贔屓の引き倒しを感じないでもないが、事実、シアトル時代にストレート一辺倒だったブランドン・モローのピッチングを改善しようと、モローにカーブをもっと投げさせようと提案したのは、ほかならぬリック・アデアだったことは、過去のシアトル地元記事からも事実だ。
だから、人によってリック・アデアの評価に差はあっても、ダグ・フィスターのピッチングの幅を広げるにあたってのリック・アデアの貢献を多少なりとも認めるとすれば、ジェイソン・ハメルとのコミュニケーションにおいても、リック・アデアらしいソフトなコミュニケーション能力が生きた、ということが言える。(だからといって、リック・アデアをコーチングの天才と崇めたいわけではない)


要は、普通に対策をして、普通に物事を改善していけば、中にはビックリするほど良化、開花できる素材がある、ということだ。シアトルのように単調な指導ばかりしていれば、どんな好素材も、いずれ役立たずになる。

damejima at 10:19
これまでこのブログで最も多くの記事を書いたシアトルとイチロー以外のチームや選手というと、たぶん、ロイ・ハラデイクリフ・リーが筆頭で、それ以外では、テキサスデレク・ホランドボルチモアバック・ショーウォルターあたりだろうと思う。


まだ4月で、そのうち息切れするとはいえ、ボルチモアが開幕ダッシュを決め、ア・リーグ東地区首位に立つとは誰も予想してなかっただろう(笑)

これまでのボルチモアといえば、早いカウントでの無造作で大振りなバッティング、エラーの多発する守備、ホームランを打たれてばかりの先発投手に象徴されるような、「大いに勢いはあるものの、結局のところ、どこまで行っても雑すぎる野球」だった。

だが、2010年にバック・ショーウォルターを監督に迎え、さらに翌2011年末には、元ボストンGMのダン・デュケットを3年契約でGMに迎えるなど、ボルチモアは着々とこれまでの大雑把過ぎたチーム体質の改善に着手してきた。
その効果は、ついにここにきて目に見える形として現れ始めており、ボルチモアは長年の課題だった投手陣再建にメドをつけつつある。


ボルチモアがチーム改革のために手をつけたポイントは多い。逆にいうと、ここまできちんと手を打たないと投手陣、ひいてはチームなんてものは生き返らないということでもある。

● GMと監督のテコ入れ
● 的確な選手評価のできるスカウト確保
● ピッチングコーチのテコ入れ
● トレードによる先発投手の入れ替え
● 投手の再教育による防御率改善
● キャッチャー、マット・ウィータースの成長
● 配球や持ち球の見直し コミュニケーションの改善
● グラウンドボールピッチャーの育成



GM ダン・デュケット
2011年11月〜
元ボストンGM。ボストンが2004年ワールドシリーズ制覇したチームの人材のほとんどが、このダン・デュケットの手がけた選手たちで、去年までボストンGMだったテオ・エプスタインの手腕など、ほとんど関係ないこと、そして「マネーボール」という映画のくだらなさ(笑)については、既に詳しく書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「デュケット」を含む記事


監督 バック・ショーウォルター
2010年7月〜
以下の記事参照。これまで何度も書いてきたので省略。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「バック・ショーウォルター」に関する記事


ピッチングコーチ
リック・アデア Rick Adair
2011年6月就任。
言うまでもなく、2008年から2010年までドン・ワカマツ監督時代の元シアトル・マリナーズのピッチング・コーチをつとめ、ダグ・フィスターブランドン・モロージェイソン・バルガスなどの育成に関わった。2011年以降はボルチモアでブルペンコーチをしていたが、前任者辞任のため昇格。
(ちなみに前任者Mark Connorは、2008年8月にテキサスのピッチングコーチをクビになり、その後就任したボルチモアのピッチングコーチも2011年6月辞任)
Mark Connor Resigns | Orioles pitching coach Mark Connor resigns - Baltimore Sun


talent evaluator
ダニー・ハース Danny Haas
2011年にボルチモアのGMになったダン・デュケットが、就任直後の12月に古巣ボストンから引き抜いてきた。元アトランタのファーム監督だった父親Eddie Haasも、talent evaluator。
この人材がその後のローテ投手のトレード成功にどの程度生きているのかは不明だが、少なくとも、今シーズンのボルチモアのローテーション・ピッチャーがこれまでとはひと味違うのは確か。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年12月20日、テオ・エプスタイン一派の「談合的人事」をバド・セリグが拒絶。それを尻目に、ボストンからスタッフを引き抜いた元ボストンGMダン・デュケットの抜け目なさ。


右腕 ジェイソン・ハメル
3勝0敗 ERA1.73
GO/AO 2.06
2012年2月にコロラド・ロッキーズからトレードで獲得。
放出したのは、2007年から2011年までボルチモアに在籍し、いちおうエース格だった「被ホームラン王」ジェレミー・ガスリー。ハメルの活躍を見るかぎり、コロラドのピッチングコーチはもしかすると無能なのかもしれない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年6月2日、3回という早いイニングで敬遠したバック・ショーウォルターの慎重な「イチロー対策」。ジェレミー・ガスリーの被ホームランの多さ。
ボルチモア移籍後のハメルは、.194の驚異的な被打率。前年2011年のWHIPが1.427と酷いのに対して、2012年のWHIPは、なんと1.000(4月28日現在)。この変身ぶりにはちょっと驚かされる。コロラド時代、QS%が60%を超えたことは一度もないが、ボルチモア移籍後はなんと75%。
この背景にあるのは、2シームを覚えたことによるグラウンドボール・ピッチャーへの転身
Jason Hammel Pitching Statistics and History - Baseball-Reference.com


左腕 チェン・ウェイン
2勝0敗 ERA2.22
GO/AO 0.50
日本の中日ドラゴンズからFA移籍。現状フライボール・ピッチャーなのが気になるし、1.315というWHIPも、ほめられた数字ではないが、それでも、ERA2.22にまとめてくるあたりが、かつて投手王国中日ドラゴンズの主力投手だった経験の豊かさを感じさせる。
もし故障で絶望の和田毅が、MLBで多少なりとも使えるピッチャーだったとしたら、今シーズンのボルチモアの先発投手陣は凄いことになっていたかもしれない。
Wei-Yin Chen Statistics and History - Baseball-Reference.com


正捕手 マット・ウィータース
打率.274 13打点 6ホームラン
2007年のドラフト1位。有望な素質に恵まれ、ベースボール・アメリカのマイナーリーグ年間最優秀選手賞を受賞。2009年5月29日にメジャー昇格したが、期待されたほどの活躍をしたとはいえなかった。
しかし、バック・ショーウォルター監督就任後の2011年は、守備面の大幅な改善、あるいは投手とのコミュニケーションの大きな改善がみられ、セイバー系のうるさ型が選ぶFielding Bible賞を、この賞常連のヤディア・モリーナを抑えて受賞。2012年は、もともと期待され続けてきた打撃面の開花も、可能性が見え始めている。


ここに挙げたボルチモア投手陣再建ポイントのうち、最も大きいと思うのは、「チーム全体のシステムが整ったこと」
もっと具体的にいえば

やたらとホームランを打たれまくり、ア・リーグの被ホームラン王ベスト3に入っていたジェレミー・ガスリーに見切りをつけたこと。

ガスリーとのトレードで誰を獲得するかについて、きちんとした目付け、発掘ができていること。

コロラドから獲得してきたWHIPもERAもけしてよくなかったジェイソン・ハメルを、きちんと再教育し、持ち球や配球を改善したこと。キャッチャーのマット・ウィータースも再教育して、投手とキャッチャーとの間の良いコミュニケーションをキープさせたこと。



こういう作業は、言葉で言うのは簡単だが、ボルチモアがそれを実現するためには、ここまで書いてきたように、目標の見直しと、かなりの数の人材の入れ替えと、再教育が必要。
ボルチモアがやっているのは、「大金かけて良い選手を獲得してくること」でも、「明らかな成績を残した若い選手を放出し、かわりに、欲しい選手を交換してくるような、わかりきったトレード」でもない。
そんなこと、誰でもできて当たり前だ。

「超守備的」だの「育成」だのと称して、貴重な先発投手を放出しまくるのだけが大好きな無能なGMが既に大失敗しているのにもかかわらず、それをクビにもせず、無能な腰ぎんちゃくの監督が、自分の連れてきたピッチングコーチと馴れ合った中途半端なゲームで、スカウティングもできないゲームばかりやって、ホームランを打たれまくり、1番打者が適任のレジェンドには3番を打たせる意味不明の起用を押し付けて3000本安打の大記録さえ故意に遠ざけるような異常なチームとは、ボルチモアは根本的に違う。

何を目的にしているのか、ボルチモアの「テコ入れ」には、周囲からも目指すものがわかりやすく見えている。
(この記事の続編で、リック・アデアやマット・ウィータースの証言から、「ジェイソン・ハメルが、コロラド時代とはどう変わったのか」を具体的に書く予定)

damejima at 09:25

February 23, 2012

毎年先発投手を放出するチームはいくらでもある。
ダメな選手はクビになるのが、プロとして、当たり前である。

(ただ、1年も怪我で休んで、足の屈伸どころか、プロレベルの運動能力そのものが失われつつある控え捕手が、「マトモにこなせるはずもない守備位置、それも、やったことすらないポジションを、あたかもこなせるかのように見せかける見世物」を公衆の面前でやり、さらに開幕で本来の守備位置のプレーヤーを押しのけてまでしてポジションを横取りする、そういう選手に日本円で20億もの給料を払う野球チームが、地球上のどこかに存在するとも聞く。
だが、それ空想だろ? と他人から嘲笑されて当り前の、そんなわけのわからない話が、現実のプロの野球チームで実行されつつあるはずはない。だからマトモに論じる気にすらならない。いくら地球が広いからといって、そんな草野球以下の話が、現実であるはずはない)


だが、チームの優秀な3本柱のうちの一人を毎年のように放出し続けて、先発投手陣を故意に弱体化し続ける野球チームが、どこにあるだろう?


あるんだな、これが。

シアトル・マリナーズ。

ジャロッド・ウオッシュバーン
ブランドン・モロー
クリフ・リー
ダグ・フィスター
マイケル・ピネダ(放出順)

この数年に放出された5人の先発投手が、これだ。この5人を仮に先発ローテーションとみたてて、2012年の予想ローテーションと比べてみるといい。

2012年予想ローテーション
ヘルナンデス
バルガス
ミルウッド、岩隈、ベバン、ノエシ、ファーブッシュのうち、3人


(ウオッシュバーンが今投げると仮定するには年齢的な問題があるにしても)2つのローテーションのどちらが優秀か。比べて考える必要すら、ない。
最初に挙げた5人なら、かなりの数のイニングを投げ抜いてくれる。フィスターとピネダの給料が、彼らの能力に対して抜群に安くて済むから、あとはヘルナンデスを売り払った金で、気のきいた打者を揃えてくるだけだ。(それが本来の「再建」というものだ)
逆に言えば、フィスターやピネダのようなコストパフォーマンスのいい若くて安いローテーション投手をやすやすと放出する馬鹿なチームなど、シアトルの他には無い。


ジャロッド・ウオッシュバーン
2009年7月31日 デトロイトと交換トレード
交換相手:Luke French、Mauricio Robles
フレンチは結局使い物にならずに、その後FAになった。2012年1月ミネソタと契約。ロブレスは、2011年にシアトルのAAAで、WHIP1.853。まるで使い物になりそうにない。

ブランドン・モロー
2009年12月23日 トロントと交換トレード
交換相手:Brandon League、Johermyn Chavez
モローは移籍先での活躍が認められ、このほどトロントと3年21Mで契約長した。契約は2014年まで。2015年はチームオプション。
ブランドン・リーグはたしかに現クローザーだが、先発投手とブルペン投手の交換がフィフティ・フィフティのトレードだなんて馬鹿げた話は、メジャーではありえないので、そういう馬鹿げた話に耳を貸す必要などない。チャベスは2Aで打率.216。まるで使い物にならない。

クリフ・リー(+現金)
マーク・ロウ
2010年7月9日 テキサスと交換トレード
交換相手:Justin Smoak、Blake Beavan、Josh Lueke、Matthew Lawson
このトレードについて、選手だけが交換されたように見せかけたいのか何か知らないが、「クリフ・リーとスモークのトレードはWIN-WIN」とか、意味のわからないことを大言壮語したがるアホウをよく見かけるが、このトレードでシアトルはテキサスに現金を支払ってもいる。
クリフ・リークラスの先発投手を放出するというのに、放出する側がキャッシュをつけるなんざ、馬鹿のやることだ。
サイ・ヤング賞クラスの先発投手と、守備能力がなく低めの変化球に致命的弱点のある扇風機の、どこをどう比べると、同じ価値だとか考えられるのか、ミドリムシレベルの脳で考えることは、やはり想像を超えている。
ジョシュ・ルークも投手としては使い者にならなかった。だがそれでも2011年11月27日にタンパベイのキャッチャーJohn Jasoとトレードできた。使えない選手を処理できただけマシといえる。
というのも、ズレンシックは、失敗トレードの連続でチームにドンドンたまっていく「使えない選手を放置する癖」があるからだ。
FAになってミネソタと契約したルーク・フレンチや、同じくFAになってヤンキースと契約したデイビッド・アーズマのように、ズレンシックは自分が犯したトレードの失敗でチーム内でくすぶったまま残留している選手を処分せずい放置しておくものだから、彼らを多くのケースでむざむざフリーエージェントにさせてしまい、結局、ズレンシックの失敗トレードの数々の大半は、後処理を何も施さないまま放置されて、チームにまったく何のメリットも残らない。
こういう馬鹿げたトレード後の残骸処理を、ズレンシックは非常によくやる。なのに、逆にフィギンズは、干しておけばいいだけのことなのに(売れるものなら、とっくに売れている)、いまさら1番起用だなんて、いったいこのオッサン、何がしたいのか。意味がわからない。
だが、使えないジョシュ・ルークでジョン・ジェイソが獲得できたからといって、これまで取り柄が何も無いキャッチャーの起用に使い果たしてきた無駄な時間は戻ってはこない。ロブ・ジョンソンをサンディエゴに追いやっておいて、無能コーチ ロジャー・ハンセンのお気に入りキャッチャー、アダム・ムーアを重用して時間をムダにしたように、ムーアだの、ジメネスだの、アルフォンゾだの、わけのわからないキャッチャーばかり使って負け続けた無意味な時間は、結局誰ひとりとしてマトモなキャッチャーを育てなかった。で、ムーアも結局お払い箱。
くだらないにも程がある。

ダグ・フィスター
デビッド・ポーリー
2011年7月30日 デトロイトと交換トレード
交換相手:Charlie Furbush、Casper Wells、Chance Ruffin、Francisco Martine
チャーリー・ファーブッシュは2011年、3勝7敗 ERA6.62。この防御率ではメジャーでマトモに投げられるレベルではない。ブルペン投手としてすら使い物にならない。チャンス・ラフィンが2011年に投げたのは、たったの14.0イニングだが、ERA3.86と、まぁまぁ。スカウティングされれば終わりのキャスパー・ウェルズは、さらに謎の病気持ちであることまで判明。マトモにシーズン通して使えるレベルにない。

マイケル・ピネダ
Jose Campos
2012年1月23日 ヤンキースと交換トレード
交換相手:Jesus Montero、Hector Noesi
ヘスス・モンテーロは、下記の資料でわかるように、ヤンキースにとっては「やっかい者」で、トレードの駒にして処分したがっていた。そしてモンテーロのキャッチャーとしての仕事になど、メジャーの誰も期待してないことも、資料から明らか。
他方、ピネダには、球種の少なさや配球の単調さなど課題もあったが、伸びしろは十分あった。下記の記事で挙げたように、他球団のGMですら、ピネダをトレードの駒にしたズレンシックの異常な行為に「驚いた」と語っているように、このクラスのピッチャー、つまり実力があるのにまだ給料の安い若いローテ投手を放出するなど、普通ありえない。だがズレンシックは、フィスターに続いてピネダを放出し、ありえないトレードを2度も続けて自分のチームのローテーションを弱体化させているのである。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年1月20日、ESPNの主筆ジェイソン・スタークが、MLBにおけるピネダ放出を疑問視する声、ズレンシックのトレード手法の「狭量さ」に対する他チームGMの不快感、モンテーロの慢心ぶりへの関係者の不快感を記事にした。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年1月29日、 「ヘスス・モンテーロが将来ヤンキースのキャッチャーになると思ったことは、まったくない」 ヤンキースにとってモンテーロが最初からトレードの駒にすぎなかったことを示すボストン新監督ボビー・バレンタインのコメント。

モンテーロは、キャッチャーとは名ばかりであり、実際の守備ポジションはせいぜいDH兼1塁手といったところでしかない。だから、ジャスティン・スモークとモンテーロは、チームにおける機能がかぶっている。
同じタイプの選手をチームに2人ずつ置く悪癖が、なぜこのGMはいつまでたっても治らないのだろう?

この「同じ役割の選手がチームに2人存在する」というダブり現象は、言わずと知れた無能GMズレンシックの、いつもの「選手をダブって確保する癖」だ。
ショートに既にジャック・ウィルソンがいるのにブレンダン・ライアンを獲ってきたり、ケン・グリフィー・ジュニアマイク・スウィニーの2人のDHを併用してロスター枠をムダにしてしまい、その結果ブルペン投手が足りなくなったり、アダム・ケネディ、ラッセル・ブラニヤン、スモークなどファーストを守る選手ばかり集めてしまって、にっちもさっちもいかなくなって結局手放したり、とにかく「ズレンシックのダブり癖」による失敗は毎年恒例の行事。
たぶん、ズレンシック本人がこの悪癖に気づくことは、永遠にない。



この数シーズン、この無能ジェネラル・マネージャーがやってきたことは、細かい部分を捨象して考えてみるとわかることだが、「結果を残し、将来性も約束された貴重なローテーション投手を即座に安くタタキ売って、かわりに、若い選手、特に守備の苦手な、まだ実績も将来性も約束されているわけではない打撃系の野手を獲ってくること」、たったそれだけでしかない。

ズレンシックのこうした行動は、オークランドをつまらない球団にしたビリー・ビーンと、まるでかわり映えしない。
貿易にたとえれば、「良い国内製品(将来性のある投手)を安値で輸出ばかりして、たいしたことのない外国製品(将来壊れるかもしれない将来性未知数の扇風機型野手)を輸入ばかりしてきた」わけだ。MLBのGMの仕事は、貿易を行って黒字をチームに貯めこんでいくことだが、こんなことばかりしていれば、そりゃ貿易黒字が溜まるわけがない。

シアトル・マリナーズというチームは、「バッティングは(イチロー除いて)最低レベルだが、投手は最高」と言われ続けてきたわけだが、ズレンシックがやってきたことは、そのチームの財産である先発投手を毎年競売にかけてタタキ売ってきた結果にすぎない。
そのタタキ売りの結果が「投手力は毎年のように下がり続けているのに、投手の犠牲と引き換えに作り上げようとした打撃は、メジャーでも歴史的にドン底レベルの貧打のまま」なわけだから、躊躇なく、ズレンシックは無能だと、言わせてもらう。

ズレンシックがローテーション投手を、交渉相手に足元を見られながら競売にかけて安く売り飛ばし、そのトレード対価として相手に売りつけられた野手(あるいは投手)は、シアトルのロスターに、こんなにもたくさんいる。どうせ大半の選手はモノにならない。最初に挙げた先発投手陣がチームに揃っていたほうが、どれだけチームの先行きに期待がもてたことか。
1B スモーク
DH モンテーロ
OF ウェルズ
P ベバンノエシリーグファーブッシュラフィン


イチローに3番適性があるかどうかなんてわけのわからない議論を、論じる気はさらさらない。3番適性があるとかないとか、そういうスジ違いの論議を始める以前に、メジャーの歴史でも歴代屈指のリードオフマンの打順を弄らざるを得なくなるような貧打のチームを作っておいて、イチローに3番強要などありえない、ということをまず確認しておかなければ話は何も始まらない。


バベシの時代からずっとそうだが、このチームはスジの通らないことを、あまりにもやり過ぎる。


ハッキリ言っておこう。

無能なズレンシックよ。そして腰ぎんちゃくの小判鮫エリック・ウェッジよ。
これまで積み重ねてきたおまえたちの失敗の尻拭いをイチローにさせようとしてるようにしか見えないぜ、おまえら。
どうにもならなくなって不良債権化したフィギンズを、いまさら売れるモノに仕立てあげたいのか何か知らないが、スジの通らないことばかりやりやがって、イチローの3000本安打の偉業を邪魔するんじゃねぇ。

damejima at 10:19

January 21, 2012

かつて2008年に、ダメ捕手城島を「ア・リーグ年間ワーストプレーヤー」に選ぶことで「ダメ出し(笑)」してくれたESPNのシニアライター、ジェイソン・スターク, Jason Stark は、全米スポーツメディアでも一目置かれるポジションにあるライターだが、マイケル・ピネダヘスス・モンテーロのトレードについて、ピネダのような若い主戦投手をトレードしてしまうことへの他チーム関係者の疑問符、ズレンシックの市場原理に基づかない狭量なトレード手法に関する他チームGMの不快感などを紹介した、彼ならではの記事を書いてくれた。
(この記事の本題は、十字靭帯を痛めたビクター・マルチネスには代わりになる選手などいない、それほど優れた選手だよ、という話なわけだが、中段にマイケル・ピネダ放出について書かれた部分があり、ピネダとモンテーロ、2人のプレーヤーとしての今後の課題にも触れている。ちなみに、2011シーズン終盤に突如としてという感じでピネダの球速が落ちたことは、ブログ主も当時すぐに気付いた。ピネダには他にも、球種の少なさやスタミナなど、課題は多いことはわかりきっているが、これらの課題の存在は、日米のMLBファンはじめ、ブログ主にも既にわかっている話ばかりであり、ジェイソン・スタークが取り上げたからといって、とりたてて重い意味はない)

この記事でちょっと驚くのは、シアトルGMズレンシックが、ちょっと前にブログ主がTwitterで紹介したばかりの、マイアミのあの攻守に優れた若い強打者マイク・スタントンを獲りにいっていたことだ。
damejimadamejima
でも、どういうプレー結果か、なんとなくわかりきってるヴェテランより、今のマーリンズで最も興味深いのは、マイク・スタントン。高校卒業時にNFLシアトルシーホークスの現ヘッドコーチ、ピート・キャロルがUSCのコーチ時代にスカウトしようとしたほど、あらゆるスポーツができた逸材中の逸材。

もしピネダの交換相手がマイク・スタントンだったら、いくらズレンシック嫌いのブログ主だって、そりゃさすがに脱帽ものだが、そんなことはまったく起こりえないことなので、心配ない(笑)
それこそ、マイアミの将来を背負って立つマイク・スタントンをトレードの駒にしたりすれば、かえって他チームのGMたちが「よく、まぁ、あのクラスの選手を放出したもんだ」と、ひっくり返って驚く。

下記の記事でピネダ放出というズレンシックの判断が他チーム関係者に疑問符をつけられたり、冷笑されるのは、ピネダの価値が「マイアミがスタントンを放出するレベルのありえなさ」かどうかは別にして、ピネダのような主力投手を放出する行為が、他チームのGMにしてみれば「ありえない行動」だからだ。(ましてシアトルはイチローと投手力しか長所がない。かたやヤンキースには、モンテーロを放出しても痛くも痒くもないだけの豊富なチーム力と人材があり、無能なプロスペクトマニアから見れば有望なはずのモンテーロを、実はヤンキース自身は煙たがっていた理由もハッキリあったことは、下記の記事に書かれているとおり)
メジャー1000打席で56ホームランの強打者にして強肩外野手でもあるマイク・スタントンは、メジャーでまだ100打席も打っておらず、守備能力のない慢心が噂されるDHモンテーロとは、モノがまるで違う。(というか、以下の記事で、ヘスス・モンテーロが完全にDH扱いされていることも、よく目を凝らして読むべきことのひとつ)スタントンとモンテーロを比べること自体、まったく意味がない。


この記事によって、ピネダ放出が他チームのGMや幹部、スカウトに冷笑されているのが、哀れな無能GMズレンシックの実態だということに、ひとつ確証が得られた。
ジャック・ズレンシックの小心で、市場原理に基づかない無意味なトレードぶりは、実はMLBの内部で好感されていない。他球団からすればズレンシックが「いかに、おいしい選手を安売りしてくれる、ありがたい、見る目の無いジェネラル・マネージャーであるか」が、この記事からよくわかる。


このブログにおける過去のJason Starkに関する記事
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年7月12日、城島はESPNのMLB専門記者Jason Starkの選ぶ上半期ワーストプレーヤーに選ばれた。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年9月28日、ESPNのJason Starkは城島をア・リーグ年間ワーストプレーヤー、「LVP」に選んだ。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年10月3日、かつて2008年に城島が選ばれた「ESPN上半期LVP」と「年間LVP」をほぼ同時受賞したといえるショーン・フィギンズ。そして、「シーズン最悪の非貢献者」と名指しされたも同然のズレンシック。

(以下Jason Starkの記事と粗訳。
 太字はブログ側による。)

Detroit Tigers challenged with replacing Victor Martinez - ESPN

• Here's a question several teams asked this week: "How come we never knew that Michael Pineda was available?" Interesting issue.
今週、いくつかのチームからこんな質問を受けた。「マイケル・ピネダがトレード可能だってことが、なんで我々にはちっともわかんなかったんだ?」 興味深い話だ。

"I bet I've had a dozen conversations with [the Mariners] this winter," said an official of one club. "Never brought him up. I guess we didn't have what they were looking for."
「この冬(マリナーズ関係者とは)非常に頻繁に話したんだけどもね」と、あるクラブの関係者。「ピネダのトレードを議論の俎上にのせることはできなかったな。まぁ、たぶん、彼らの求めていたものを我々が持っていなかったからだろうけど。」

And that, it appears, is exactly what went on here. Mariners GM Jack Zduriencik clearly targeted a very select group of young, controllable, impact bats -- Jesus Montero, Mike Stanton, Logan Morrison, etc.-- and dangled Pineda only to those teams, for those hitters. Eventually, it turned out to be the Yankees who said yes.
たしかにその話はどうも当たっているようだ。マリナーズGMのジャック・ズレンシックは、ヘスス・モンテーロ、マイク・スタントン、ローガン・モリソンなど、若く、バットコントロールもいい強打者にはっきりターゲットを絞っていて、それらのチームやバッターに対してのみ、ピネダとのトレードをちらつかせていたらしい。話に応じたのが、結局ヤンキースだった、というわけだ。

But what if Zduriencik had made it more widely known that he'd talk about Pineda, the way the A's did with Gio Gonzalez and Trevor Cahill, the way the Padres did with Mat Latos? Would he, or could he, have gotten more than Montero and Hector Noesi?
しかし、アスレチックスがジオ・ゴンザレスやトレバー・ケイヒルに、もしくは、パドレスがマット・ラトスについてそうしたように、もしズレンシックが、ピネダがトレード可能であることを、もっとオープンにしていたらどうだっただろう? モンテーロやヘクター・ノエシ以上の獲物をゲットできただろうか?
=ブログ注:市場価値が高いとわかっている選手のトレードで最大限の収穫が得られるように、アスレチックスやパドレスが主戦クラスのローテ投手のトレードをオープンにしたように、ズレンシックがピネダのトレード話をオープンにしていれば、シアトルは、DHモンテーロなどではなくて、もっと大きな収穫を得られた可能性があったかもしれない、という意味

"We were blown away when this deal went down," said one GM. "I can't believe they would trade that kind of player. I'm not sure how you do that and not contact everybody. I'm sure Jack likes the deal he made. But even if you don't match up, you never know what you might be able to get if you open it up to start exploring three-team deals."
「我々はこのトレードの話を聞いて、ぶっ飛ぶんださ。」と、あるGM。
「私は、彼らがあのクラスのプレーヤーをトレードしたことにビックリしたんだ。なんでそうするのかわからないけど、他の全チームに接触することなくトレードしたんだからね。よくわからない話さ。たぶんジャックは、ああいうやり方が好きなんだろうな。
でも、たとえお互い求めてるものが一致してなくても、情報がオープンにされてれば、複数チーム間のトレードで欲しい選手が得られるかどうか模索できるわけだけど、情報がオープンじゃないんだから、欲しい選手が得られるかどうかなんて、あれじゃわかりっこないよ。」
=ブログ注:ピネダクラスの投手ならウチだって欲しいんだから、言ってさえくれれてれば、もし自分のチームにシアトルの欲しい選手がいなかったにしても、第3のチームを巻き込んで、シアトルがモンテーロ以上に欲しい選手を提示することができたかもしれないが、情報がオープンじゃないなら何もできっこない、という話

• After any trade like this, a swap of two young players who appear bound for stardom, people start reading all sorts of ulterior motives into it. So let's get to conspiracy theory No. 1 -- that something is up with Pineda.
こういう、これからスターダムに乗ってきそうな2人の若いプレーヤーのトレードの後では、そこに隠されたトレードの裏話が探られるものだ。ピネダに関する謎解きは、こうだ。

"I saw him in September, and he was throwing 87-91 [mph]," said one exec. "I'm sorry. You just don't trade [young, controllable] premium top-of-the-rotation starters unless something ain't right. I just find it strange [to] trade a front-line starter for a DH."
「僕は9月に彼を見てる。87マイルから91マイルを投げていたね。」と、あるチームの幹部。
「申し訳ない言い方になるけど、なにかよほどの問題があるのでもない限り、プレミアムのついた(つまり、若くて、コントロールもいい)主戦クラスのローテーションピッチャーをトレードするなんて、ありえない。まして、ローテの軸になる投手をDHとトレードだなんて、おかしなことをするもんだとしか言いようがないよ。」

Now the common wisdom on Pineda is that he just slammed into a wall after hitting his innings limit. And no one else we surveyed was alarmed by his fading velocity down the stretch. But it's something to watch, because the facts back this up. For the record, here are Pineda's four-seam fastball velocities through the season, according to Pitch F/X:
ピネダについては、彼がいわゆる「イニングの壁」にぶちあたって打たれる、ということが共通認識になっているが、我々が調べた範囲の関係者では、2011シーズン最後になって彼の球速が落ちたことに警鐘を鳴らす人は、誰ひとりいなかった。だが(ピネダの球速低下を)裏付ける事実もあるので、それは一応見ておくべきだろう。Pitch F/Xの記録によれば、ピネダの4シームの球速は、シーズン通して以下のようになっている。

April 5 (first start of the year): 94-98
June 1: 94-97
Aug. 9: 95-97
Sept. 21 (last start of the year): 91-93


• Now here's conspiracy theory No. 2 -- that there were below-the-surface issues with Montero that caused the Yankees to dangle him in several major deals over the last year and a half.
次に、2つめの謎解き。モンテーロにまつわる水面下の問題だ。それは、ヤンキースが1年半以上もの長きにわたって、いくつかの大きなトレード話にモンテーロ放出をちらつかせる原因になった。

The Yankees obviously insist otherwise. They're deep in catchers. And they just scored the second-most runs in baseball. So their take is simply that they dealt from strength, and the Mariners were doing exactly the same thing.
ヤンキース自身はきっと違う主張をするだろうが、彼らはキャッチャーを多数抱え込んでいる一方で、彼らはMLBで二番目に多い得点をできるチームでもある。だから彼らが望むのは、シンプルに彼らの(選手層の)強みを生かしたトレードであり、また(投手に強みをもつ)マリナーズもまた全く同じことをしようとした。
=ブログ注:つまり、スタークが言いたいのは、ヤンキースにはキャッチャーならいくらでもいて、得点力にも問題がないのだから、モンテーロくらい、いなくなっても別に痛くないんだよ、ということ

But we've written in Rumblings before that there are teams out there that have been wary of Montero despite his undeniable talents. And what turned them off was their perception that he showed signs of "big league-itis" before he ever reached the big leagues.
しかし我々は、以前、モンテーロには否定しようのない才能がある反面で、いくつかの不満からモンテーロ獲得に及び腰になるチームがあることを記事にした。それらのチームのモンテーロ獲得意欲を萎えさせたのは、モンテーロがメジャーに上がる前にみせた『大リーグ病』の兆候だ。

"I'm just not sure about his makeup," said one scout who covers the Yankees' system. "I don't like that he looked bored, at 21, playing professional baseball in Triple-A. Yeah, he'd had some success. But he acted like he'd won five batting titles in the big leagues. … I will say, though, that I saw signs of growth in the last year. I thought Jorge Posada had an effect on him last year in spring training. So hopefully, he got the message. And hopefully, it was just immaturity."
「彼の気質について、確かなことを言えるわけじゃないけど」と、ヤンキースの育成システムに精通する、あるスカウトは言う。
「まだ21歳の彼が、プロとしてトリプルAでプレーすることに飽き飽きしてるように見えたことが、気に入らないね。
たしかに、彼はちょっとばかり成功を納めたさ。でも、まるでメジャーの5つのバッティングタイトルを獲得したかのように振舞うって、ちょっとどうかと思うよ。言わせてもらえば、去年で今後の成長についての前兆を見た、とでもいうかさ・・・。
去年のスプリング・トレーニングではホルヘ・ポサダの存在が、彼に影響を与えてたと思う。だから、モンテーロがそこから何かメッセージを受け取っていることを願うばかりだね。単にまだ未熟だからだけなら、いいんだけどもね。」
=ブログ注:去年のスプリング・トレーニングでは、大先輩で、お目付け役でもあるホルヘ・ポサダの存在があって、モンテーロのわがままを抑制することもできたが、ポサダのような存在がなくなったら、どうなるかわからないよ? という意味


damejima at 09:18

January 19, 2012

ちょっとした理由があって、奥歯にモノがはさまったような言い方をするのに飽きたから、何事もハッキリ書いておく。


ついさっきダルビッシュの契約がようやくまとまったニュースが野球関連のツイッターを駆け巡ったばかりだが、シアトルのローカルコラムニスト、デビッド・キャメロン
「もし、プリンス・フィルダー、ジョシュ・ハミルトン、ダルビッシュの3人のうち、2人をとっていいと言われたら、オレなら迷わずフィルダーとハミルトンを選ぶ」なんて回りくどいことをツイートしている。
d_a_cameronDavid Cameron
If someone told me I could pick two of three between Fielder, Hamilton, and Darvish, I'd pick the first two. Pretty easily, too.

シアトルが興味を示しているとかどうとか「飛ばし」くさい報道の続いているフィルダーを引き合いに出すのは、まぁご愛嬌だが、どこをどう話をねじ曲げるとハミルトンの話になるのか、わけがわからない。シアトルの話じゃなく、テキサスがフィルダーとハミルトン、両方獲れるかどうかなんて話題なら、もう話にならない。シアトルローカルが他チームの議論をして何になる。
この人、さっきからずっと、ダルビッシュのテキサスとの交渉を、チクチク、チクチクと、ツイッターでこねまわすような言い方の揶揄を続けているわけだが、なんてまわりくどい男なんだと思いつつ、ツイッターを読んでいた。

もしキャメロンが、いつ再建が軌道に乗るのかすら見えてこない今の白色矮星シアトルにフィルダーのような金額の打者が絶対に必要だと本気で思うのなら、ハッキリそう書いて恥をかけばいいだけのことだ。まぎらわしいことばかりグダグダ書いてないで、言いたいことがあるなら、ハッキリ書けばいい。
「金のあるチームの番記者がうらやましい」でも、「本当のことをいうと、夢のあるテキサスに引っ越したい」でもいいし、「本当のことを言うと、オレは野球をやったことはないけどホームランだけが死ぬほど好きなんだ」でも、「オレは日本人が嫌いだ」でも、「FOXのローゼンタールみたいな全米メディアのメジャーな記者より才能のあるオレが、なんでシアトルローカルに埋もれて人生を終わらなきゃいけないんだ」でも、なんでも、好きなことを好きなだけ書けばいいのだ。
別に意見を言うだけなら、タダだし、無害だ。こちらは痛くも痒くもない。なんとでも書けばいい。回りくどいことを、クドクド言う必要などない。


テキサス・レンジャーズが、メジャー実績の全くない未知数の日本人投手ダルビッシュとの交渉を、満を持してFAになったメジャーを代表するホームランバッターのひとりプリンス・フィルダーとの交渉より優先したこと。これは事実であり、動かせない。
もしキャメロンが、テキサスがメジャー実績のない非アメリカ人選手との交渉を、メジャーで実績を積んできたメジャーの打者との交渉より優先したことがどうしても気にいらないのなら、「ツイッターでグダグダ言ってないで、テキサスの球団事務所に直接電話しろ」と言いたい。


だが実績主義を持ち出して議論する輩(やから)に限って、まだメジャーでたった18ゲームしかプレーしてない未知数のヘスス・モンテーロを持ち上げるダブルスタンダードだから、始末が悪い。69打席で17三振もした、守備のできない、狭いヤンキースタジアムの扇風機が広いセーフコでプレーしても、まるでアルバート・プーホールズジョー・マウアーにでもなれるかのように持ち上げたがる。

ウザいこと、このうえない。

そもそも、長年ヤンキースのキャッチャーをつとめてきて、最近はDHに退いていたホルヘ・ポサダが引退して、キャッチャーが手薄になったというのに、ヤンキースが同ポジションのトップ・プロスペクト、ヘスス・モンテーロを放出したってことは、ヤンキースがモンテーロの将来性を既に見限ったということだ、ということくらい、気づくべきだ。ヤンキースだって馬鹿じゃない。


そもそも、選手層の厚いテキサスにチーム力で大差がつけられただけでなく、高額な放映権を手にしたことで、今シーズン以降、好きなように選手層を分厚くできる予算が毎年得られることが確定したLAAにも覆しようのない大差をつけられた弱体化球団シアトル・マリナーズが、いまさらフィルダーを獲る意味なんてものは、「ジャック・ズレンシックが大失敗を続けて、今年さらに落ち込むのが確実の観客動員をなんとか食い止めるための客寄せパンダ」程度の意味しかない。
そんなものは「キングスコートとかいう、ヘルナンデスをダシにした悪ふざけ」と同じ程度の悪あがきだ。くだらないにも程がある。
そんな程度のマーケティングで、ズレンシックがあまりにも無能であることに気づいて逃げ出したシアトルの地元民がスタジアムに戻ってくるわけがない。



OPSのデタラメさを書いたシリーズ
(あれはこれからの野球を見る上で重要な記事だから、全ての人に目を通してもらいたい)で言いたかった裏の意図のひとつは、「もう指標詐欺のハンパ打者に大金をはたく時代は終わる」ということだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:指標のデタラメさ(OPS、SLG、パークファクターなど)
(ダメ捕手城島や引退寸前の松井はともかく、フィルダーの打撃スタッツはさすがに指標詐欺とは言わないが、フィルダーが果たしてライアン・ブラウンと同じようなドーピングをしてないとは、まだ言い切れない)

今年から始まるヒト成長ホルモン検出のための血液検査。去年の暮れに発覚したライアン・ブラウンのドーピング問題。メープルバットの規制問題。こんな時代なのに、まだ「当分は再建モードが続くチームに、プリンス・フィルダーが必要だ」とか、わけのわからないことを主張し続けている人間がいること自体、理解できない。

まして、セーフコは投手有利のピッチャーズパークだ。
ヤンキースタジアムやアーリントンのような打者有利のヒッターズパークで、それも100打席にも満たない少ないわずかな打席数で、ちょっと見栄えのする打撃スタッツを残したからといって、将来のあるローテ投手を放出する犠牲まで払って、バッターをピッチャーズパークに連れてくるくらい、馬鹿馬鹿しいトレードはない。
ヒッターズパークからピッチャーズパークに移籍しても、打撃成績がまったく落ちないくらい飛びぬけた天性に恵まれているのならともかく、セーフコに来る打者の打撃成績は、下がって当たり前。

クリフ・リーを出してまで獲ったジャスティン・スモークが、2011シーズンのプレー結果で、左打席では低めの変化球をまるで打てないばかりか、守備が下手(2011年のUZRマイナス0.8)なことまで確定して、守れるのは1BとDHくらいでモンテーロとかぶり、しかも、オリーボにまだ契約が残っているというのに、キャッチャーのジョン・ジェイソを獲ってしまい、ただでさえ、またもやキャッチャーがダブつき状態だというのに、ダグ・フィスターの安売りに続いてマイケル・ピネダまで出して、ほぼDHでしか使えないヘスス・モンテーロを獲り、それでも飽き足らず、スモークとも、モンテーロとも守備位置のかぶるフィルダー?


笑わせるなっての(笑)馬鹿。


コンテンダー、たとえばフィリーズが、大投手ロイ・ハラデイクリフ・リーを手中にしたことで、往年のブレーブスのように安定してポストシーズンに進出し続けていること。贅沢税に怯えているはずのヤンキースだが、それでも、単年ではあるにせよ黒田と高額で契約する一方で、マイケル・ピネダを確保したこと。テキサスがフィルダーより優先でメジャー実績のないダルビッシュに長期契約を提示し、契約したこと。覇権奪回を目指すLAAがライバルのテキサスから5年75Mの契約でCJウィルソンを奪いとったこと。

要は、「打者よりも投手」の時代なのである。

OPSのようなデタラメ指標に保護され、甘やかされてきた打者より、長い期間優れた成績を残せるホンモノの投手を優遇する時代なのである。OPSみたいなデタラメ数字を信じて野球をやっているのは、タンパベイくらいのものだ。


フィルダーですら実は売り先がみつからないで困っているというのに(たぶん彼はコンテンダーには行けないだろう)、守備のできないDH専用のハンパ打者に大金を与える(または手持ちの有望投手と交換する)などという行為は、これからの時代にはまるで無意味だ。
(もちろん、DHとはいえど、エドガー・マルチネスは別格。彼は殿堂入りしてもおかしくない。現役で言うならデトロイトのビクター・マルチネス。だが、2人のマルチネスのレベルの打者ででもない限り、DH専用打者と高額サラリーで契約などありえない。ビクター・マルチネスは先日靭帯を断裂して今シーズンは絶望らしいが、2011シーズンのクレバーなバッティングが素晴らしかっただけに、非常に残念だ)
サードピッチの習得、配球の単調さの改善、スタミナの上積みなど、課題は山積していたが、まだ伸びしろのあったマイケル・ピネダを、2011年7月のフィスター放出同様にトレードしてしまい、かわりに、海のものとも山のものともつかず、DHにしか使いようがないヘスス・モンテーロを獲ってきてしまうシアトルの「先の時代の見えてない野球」を議論するなんてことは、時間の無駄。


スティーブ・ジョブズは言っている。
今日やるべきことは、本当に心からやりたいことか
考えろよ。と。

ズレンシックの馬鹿げた「タイトルだけしか書かれておらず、肝心の中身は白紙の企画書」みたいな野球マネジメントや、シアトルの地元メディアのくだらない戯言(ざれごと)につきあわされるのは、まっぴら。シアトルが要りもしないフィルダーを獲るかどうかだの、どうせそのうちズレンシックが下手すぎるトレードを繰り返した挙句、手駒が足りなくなりトレードの駒にしてしまうのがオチのスモークやモンテーロの将来性だの、そんな無意味な議論で時間をムダにするくらいなら、来年に90年代の超大物ステロイダー(バリー・ボンズマーク・マクガイアサミー・ソーサラファエル・パルメイロロジャー・クレメンスなど)がズラリと顔を揃え、その一方で、ステロイドと無縁だった名選手たち(どうみても誰よりも先に殿堂入り当確のグレッグ・マダックスと、クレイグ・ビジオなど)が、一斉に投票にかけられる2013年の野球殿堂入り投票のことでも考えるか、野球を忘れて温泉にでも行ったほうが、はるかにマシ。
2013 Potential Hall of Fame Ballot - Baseball-Reference.com


ダルビッシュについて語るノーラン・ライアン(動画)
今は球団社長とはいえ、もともと名投手のライアンだけに、ダルビッシュの投手としての特徴を、「低めに決まる変化球がいいね」とか、それはもう、明確に喋っている。
Baseball Video Highlights & Clips | Emily Jones talks with Nolan Ryan about Yu Darvish - Video | MLB.com: Multimedia

damejima at 08:05

July 31, 2011

たとえばノートパソコン事業では黒字のコンピューターメーカーのCEOが、不動産投資で失敗し、巨額の赤字を出した、とする。
シアトル・マリナーズで「安売り王ズレンシック」が先発投手を次々に売り払おうとする行為は、無謀な不動産投資の失敗がまねいた大損を言い訳するために、本業である黒字のノートパソコン事業を外国に売却するのと、意味的にはかわりない。
他社や他国に対し、唯一優位に立っている事業を売り払ってしまった後で、その企業がどこをどうすると黒字転換できるというのか。



ここ数日、ベダードフィスターバルガスといったシアトルのローテーション・ピッチャーにトレードの噂が出ていたが、たぶんやらかすだろうと思っていた「安売り王ズレンシック」が、予想通り、やらかした。
ようやく今年モノになったダグ・フィスターと、ロングリリーフのできる唯一のブルペン投手デビッド・ポーリーの2人を、デトロイトにタダ同然でくれてやって、そのかわりに「バベシ時代の失敗で、セーフコにはまるで必要のないことがわかっている、右のフリースインガー」、それも「選手がダブついている外野手」を獲得してきたのである。
これはかつて2009年7月末にズレンシックがウオッシュバーンを安売りしたのと、まったく同じパターンだ。あのときも、投手陣は精神的支柱を失ってガタガタになり、シーズン100敗の主原因になった。


このGM、わざとシアトルの資産を他チームに流出させ続けて、他チームを潤す目的でシアトルにやってきた「スパイ」か?(笑)


事業経営になぞらえると、ズレンシックがやっているのは「失敗続きの野手買い」で、巨額の累積赤字を出し、なおかつ、その赤字事業を整理・清算もできないうちに、「自軍の黒字分野の売却、つまり、先発投手の放出によって、慌てて埋め合わせようとする背任行為」だ。

「守りをコンセプトにしたチーム」? 「育成」?
若い成長株の、それもギャラが安くてイニングを食ってくれる先発投手を安売りしといて、どこが「育成」だよ。馬鹿いうな。

人を育てている最中のチームだというなら、どうしてフィスターのような若くて安価な才能を売り払ったりするのか
投手有利なパークファクターをもつチームが持つべきチーム特性である「先発投手」を安売りするズレンシックは、ただの「経営能力の無い馬鹿」だ。

「安売り王ズレンシック」は、トレードにおける「買い」事業で、使い物にならないガラクタを高額で買い続けてきた。
そんなことをしていれば、そりゃ早晩チームは破産する。当然だ。

ブログ主は、「安売り王ズレンシック」のトレードは、企業活動で言えば、普通に「背任」にあたると思って見ている。(「背任」という言葉の意味がわからない人は、自分で調べてもらいたい)
「投手を含む、守りをコンセプトに選手を集め続けてきたはずのチーム」が、ガラクタ野手の能力不足という赤字事業の補填のために、自社のなけなしの資産である「先発投手」を安売りする、なんて行為が、組織マネジメントの上でどれほど背任行為か。


シアトルは今、芽が出た選手をバンバン売り飛ばし続けるトレードを繰り返してきたオークランドが、ファンから見放されて不人気球団になっていったプロセスとまったく「同じ轍(てつ)」を踏んでいる
だが、日米ともマスメディアはぬるくて馬鹿だから、きちんとそれを批判することすらしない。
シアトルの地元メディアごときは、もうどうでもいい。野球通のような顔をしたがる人間が多いが、結局のところ、物事を根底からきちんと理解して批判していく能力など、彼らには存在しない。まぁ、モノを見る目のない馬鹿は好きなだけ「チームの提灯持ち」をやっていればいい。


バベシ時代の負の遺産で、予算の硬直化をまねき、チーム再編成の足枷になっていた高額複数年契約のガラクタ、シルババティスタなどを何シーズンも我慢した末にようやく処分し終えたことで、チーム向上時代に向かうはずだったシアトルは、ズレンシックの政策的破綻を放置することで、ポジションのダブった大量の売れない不良在庫野手を抱え、結局また、高額複数年契約のガラクタがチームの予算とロスターを硬直化する「バベシ時代とまるで同じ、身動きのとれない時代」へと舞い戻ってしまった。
ガラクタをとっかえひっかえ使いながら、「守備専の野手」に気前よくくれてやった高額契約のツケを毎年負担し続けているのが、今の貧打のシアトルだ。

「ガラクタ野手買いでの失敗」「守備専用野手への無駄な高額投資」は、当然のことながら、「守備的なチームカラーのはずなのに、かえってガラクタ野手の守備のミスやポカが頻発する矛盾」と、「チームバッティングの数値の大幅な低下」をもたらした。特に後者は、チーム勝率の大幅な低下につながった。
その結果、チームの勝率は、投手の疲労がたまる時期に一気に低下し、毎年のようにペナントレースから脱落するハメになる。


「安売り王ズレンシック」の「悪いクセ」のひとつは、まるで100円ショップで買ってきた安物が所狭しと並んでいる家のように、自分の買ってきたガラクタをまったく手放すことができない、という点だ。
たとえばショートは、メジャー最低年俸のロニー・セデーニョをパイレーツに放出して得たジャック・ウィルソンを高額の複数年契約で抱え込んだまま、次のショート(ブレンダン・ライアン)を獲得してきた。
レフトにいたっては、バーンズブラッドリーと問題児ばかり買ってきたはいいが、続けて大失敗し、レフトにかけられる資金そのものが無くなってしまい、金がなくなったと言い訳するのがカッコ悪いので、こんどは「育成」と称して雑なプレーしかできあいペゲーロを執拗に起用し続けて、さらに大きく墓穴を掘った。
今は、これからどの程度やれるのかわからないカープに頼るありさまだったわけだが、カープがちょっと打ち出すと、こんどは実力がついてきた矢先の先発投手フィスターを放り出してまでして、ダブつきはじめている外野手をデトロイトくんだりから調達してくるのだから、始末に終えない。
無能にも程がある。問題児バーンズ、ブラッドリーを獲ってきて失敗した責任も、スカウティングされて打てなっているペゲーロをしつこく使い続けてチーム勝率を下げた責任も、カープを上げたり下げたりしている腰のすわらなさも、誰も、何も、責任をとっていない。

ヒゲの1本や2本剃ったくらいで、責任をとったつもりか。
愚かな。


予算に余裕がないために、「何かを買いたければ、何かを売るしかないハメに陥っている」のが、今のシアトル・マリナーズだ。メジャーで最も貧打のチームが「野手の穴」を埋めるべきなのは誰でもわかっているが、ズレンシックには金がない。
なぜなら、破綻したコンセプトであることがとっくに確定している「守備的チーム」とやらを作り上げるために、大金を払った守備専用野手フランクリン・グティエレスやジャック・ウィルソン、セーフコでは使いものにならないことが確定したショーン・フィギンズ、さらにはもはや大投手とはいえないフェリックス・ヘルナンデスに高額の長期契約を与えてしまって、とっくの昔に予算は硬直化してしまっているからだ。
彼らのような高額の守備系プレーヤーを処分するのが、予算の硬直化を解決する早道だが、ズレンシックには、自分の失敗を認めることになる彼らの処分に踏み切る考えがみられない。
だから、金のないズレンシックは、唯一の資産である先発投手を意味もなく売っぱらった後でさえ、予算に余裕を生み出せず、結局若手を使うしか他に手がない。
こんな堂々巡りは「再建」でも、「育成」でもない。


デトロイトから獲得したのは、主にライトを守っていた外野手のCasper Wellsという右打者をメインピースに、今年メジャーデビューしたばかりの左投手Charlie Furbush、メジャー経験の無い三塁手Francisco Martinez、だそうだ。
Casper Wells Statistics and History - Baseball-Reference.com

Charlie Furbush Statistics and History - Baseball-Reference.com

Francisco Martinez Minor League Statistics & History - Baseball-Reference.com

シアトルにはイチローグティエレスという複数年契約のある外野手が2人いるのだから、当然キャスパー・ウェルズはレフトを守るということになる。おまけに、キャスパー・ウェルズは、セーフコで不利なのがわかっている右のフリースインガーだ。
レフトは、ズレンシックがやってきてから、一度も安定したことがない。バーンズ、ブラッドリー、ペゲーロ、ホールマン、カープ、そして、キャスパー・ウェルズ。
レフトのポジションだけをみても、どれだけチームの勝率と資金を犠牲にして、くだらない模索ばかりきたことか。これが他にも、DH、セカンド、ショート、ファースト、センター、キャッチャーと、それぞれに問題点を抱えているのだから、笑っちまう。


これほど選手をいれかえても、まるでチーム力が向上しないのは、ひとえに「安売り王ズレンシック」が、チーム編成と、チームの連続的運営、チーム再建にまったく才の欠けた、無能なGMだからだ。






damejima at 17:44

October 15, 2010

2010ポストシーズンも既に4チームだけが残っているわけだが、選手層が薄いのに、ただ打つだけ、ただ投げるだけの放任主義の野球しかできないチームは敗退し、「やれることは、なんでもする」アグレッシブなチームだけが生き残った、という気がしている。

ケン・バーンズがなぜ"The Tenth Inning"で、「ポスト・ステロイド時代」といえる2001年以降のMLBにおいて、打って、守って、走れるイチローの存在意義を重要視して描いたかを、痛いほど痛感するシーンが非常に目立つ。



このポストシーズンでは、打てないチームが多い。
と、いうのも、今年のポストシーズンは「真の意味での好投手」が揃っていて、レギュラーシーズン以上の激しい「投高打低」になったからだ。

「有名ピッチャーがポストシーズンにズラリと顔を揃えられるようになった」のにはハッキリした理由がある。
かつてトロントにいたロイ・ハラデイや、クリーブランドにいたクリフ・リーC.C.サバシアのような「地区優勝できそうもない下位チームで頑張っていた真の意味で2000年代を代表する名投手たち」が、続々と「常に優勝争いするチーム」に移籍して、いまや常勝チームの投手陣の大黒柱となったからだ。
もし将来、今年のポストシーズンに進出していないチームに属する有力投手、例えばフェリックス・ヘルナンデスウバルド・ヒメネスザック・グレインキーなどが将来、毎年優勝争いできるチームに移籍することがあれば、こうしたポストシーズンの投高打低傾向はさらに高まるだろう。
また、有力チームの若手ピッチャーの急成長も、投高打低に拍車をかけた。タンパベイのメジャー3年目デビッド・プライス、ヤンキースのフィル・ヒューズ、他にも(ポストシーズンには進出できなかったが)ボストンのバックホルツレスターなどもリーグの顔になりつつある。
もう、いつまでもステロイダーのロジャー・クレメンスのようなプレーヤーがポストシーズンの主役を張る時代ではない。


そんなわけで2010ポストシーズンのチーム打率は非常に低い。(ヤンキースを除く)
化け物的なチーム打率(.314)のヤンキースと、まあまあなテキサス(.254)を除けば、残り6チームの打率は軒並み.220以下で、アトランタなどは.175で、ハラデイにノーヒット・ノーランを食らったシンシナティにいたっては、たった.124しか打率を残せなかった。
出塁率にしても、ヤンキース(.354)と、フィラデルフィア(.301)が3割を越しているだけで、他のチームは軒並み2割台後半。出塁率でもアトランタは.214、シンシナティにいたっては,160しかなく、これでは勝てるわけがなかった。

レギュラーシーズンは、ぶっちゃけ、強豪チームは弱小チームとの対戦で楽勝を続けられることも多い。

だが、有名投手がズラリと揃うようになったポストシーズンでは、打者はもう好きに打たせてはもらえない。言い方をかえれば、ポスト・ステロイド時代で、有名投手が揃い踏みする投高打低のポストシーズンにおいては、もはやバッティングは、ある意味「水物」であり、「運」でしかない


だからポストシーズンを勝ち抜こうと思ったら、(ヤンキースのようなチームは除いて)もうバットに頼るだけでは足りない。必要なら、エンドラン、盗塁、四球、バント、やれることはなんでもやらないと勝てないと思うし、また逆に、相手チームの「なんでもあり攻撃」を封じ込めるフィールディング(守備)の重要性も非常に高いことが、このポストシーズンで浮き彫りになりつつある、と思う。

例1)
「走塁」「盗塁」の重要性

足を使って勝ったテキサスのロン・ワシントン監督はゲーム後に
"Baserunning. It's always been important to us. That's our style of baseball."と、「走塁を重視するのがレンジャーズの野球スタイル」と語ったが、対戦相手の監督ジョン・マドン
"That's three runs right there that's typically the kind of runs we score,"
「あの3失点は、まさにウチがやってきた典型的得点スタイル」と、タンパベイもテキサス同様に、走塁で得点を増やして勝ってきたチームであることを語っている。

例2)
「失われつつある芸術」、外野手の強肩

先取点が重い意味をもつ投高打低のポストシーズンの割には、ランナーがセカンドにいるときの外野フライで、外野手が雑なバックホームをして、あっさり犠牲フライにしてしまうシーンをよく見かける。
(たしかテキサスのセンター、ハミルトンだったかと思うが)バックホームを大暴投したゲームがあったが、ああいうのこそ、アウトにしていたらファンも大喜びなのに、本当にもったいない。「これがイチローなら・・・」と、つい思わずにいられない。

イチローの強肩については、デンバー・ポスト紙のジム・アームストロングがこんなことを言っている。
「(外野手の強肩は)もはや失われた芸術だ。だがシアトルのイチローにはそれがある
強肩でコントロールもいい優秀な外野手が減ったことで、バックホームでセカンドランナーを刺せる時代は本当にもう終わってしまうのだろうか。それはともかく、「金のとれるスローイング」のできる強肩外野手の存在が、ポストシーズン進出チームにとって、ひとつの武器になることには変わりない。

例3)
投手の守備力

どのゲームか、ちょっと忘れたが、打たれた直後の投手がボーっと突っ立ったままでいて、バックホームのカバーリングが遅れて失点するシーンがあった。
極端な投高打低のポストシーズンでは、守備側は、送りバントの成功阻止、内野安打の阻止、きわどいダブルプレーの完成など、攻撃側の「足を生かした進塁や得点」をできるだけ封じこめる必要がある。
だからインフィールドでのゴロの処理やカバーリングは非常に大事であり、その意味では、投手の守備責任もけして軽くない。

例4)
監督の選手起用の無駄

選手起用で、ひとつ気になったことがある。それは「選手層が薄いチームほど『やたらと選手交代すること』」だ。
例えばボビー・コックスのアトランタなどは、DHのないナ・リーグのチームだから、代走、代打、投手交代、選手を数多く代えていくわけだが、どうも見ていて「選手を代えたことで得られる効果」が低く見えてしかたなかった。
この現象は敗退チームに共通してみられる特徴のような気がした。

うまく説明できる「たとえ」が見つからないのだが、例えば、ゲーム終盤に、3打席凡退している打率2割ちょっとの下位のバッターに、ほとんど同じ打率の打者を代打に出す、とする。だが、その代打は、だいたい凡退に終わる。
ブログ主の発想としては、ただでさえ緊張するポストシーズンのゲーム終盤で起用され、さらに勝ちゲームに登板するブルペン投手といきなり対戦させられて、ポンとヒットが打てる控え選手など元々ベンチにいるはずもない、と考える。むしろスタメンで出ていた選手のほうが、それまで3打席凡退していても、4打席目にようやくヒットを打つか、四球を選んでくれる可能性があるかもしれない。
また、ブルペンの選手層が薄いチームが、防御率のたいして変わらないブルペン投手を、それこそ片っ端から投入するシーンも見たが、むしろブルペンの層が薄いチームこそ、もっと疲労の蓄積を考慮して投手を起用していかないと、登板過多で「ブルペン投手全体の疲労蓄積」は、あっという間に起こり、ゲーム終盤に逆転負けするパターンから抜け出せなくなる。



テキサスを見て、「これは強い」と感じた。
彼らは、必要だと思えば初回から平気でバントをする。盗塁もできる。走塁も抜け目ない。必要ならホームランも打てる。守備がいい。つまり、打撃、守備、走塁、どれをとっても、そのとき、そのときのシチュエーションに応じて、必要なプレーを自分で考え選択できる判断力や、イレギュラーな事態に即座に対応できる柔軟性があって、なおかつ難易度の高いプレーを実行できる高い技術も兼ね備えた選手がたくさんいる。

負けるチームは往々にして、狙い球も特に決めず、ただ漫然とスタメン打者に自由にバットを振り回させて、四球も選ばず、無得点イニングをダラダラ、ダラダラと積み重ねる。そして、あれよあれよという間にゲームは終盤になる。そこではじめて焦った監督、代打、代走、代打、代走。選手をやたらと代える。気がつくと、ベンチは空っぽ。最終回のフィールドに立っているのは控え選手ばかり。そういう雑な戦略では、この「投高打低のポストシーズン時代」を勝ち抜けるわけがない。


もう一度言うと、このポストシーズンが象徴するのは、なんといえばいいか、「ただ打つだけ」「ただ投げるだけ」の時代は終わった、ということだ。

「やれることはなんでもやらなければ勝てないゲーム」の中では、「明らかなヒット」、「明らかなアウト」だけが発生するわけではない。バント、エンドラン、盗塁、けん制、カバーリング、挟殺プレー、バックホーム、タッチアップ、とにかくなんでもありなのだから、目の前に来たゴロやフライを捕って送球していれば済まされる、そんな単純なゲーム展開ではない。、
むしろ「ヒットかアウトか、どちらとも決まらない曖昧な打球」、「アウトかセーフか、やってみなければわからない曖昧なプレー」など、「中間的で、曖昧なインプレー状態」が多発する。
こうした「曖昧なプレー状態」においては、守備側が好プレーをすれば「アウト」に、攻撃側が良いプレーをすれば「ヒット(または進塁や得点)」になる

どちらに結果が転ぶかは、プレー次第なのだ。

こうした「曖昧なプレー状態」は当然、プレーヤーの小さなミスを誘発するわけだから、「中間的なプレー状態」は、さらにその枝葉として、さまざまな予測もつかないイレギュラーなプレーを発生させてくる。


こうした「『曖昧なプレー状態』が多発し、プレーの結果がどう出るか予測しにくい、なんでもありゲーム」でプレーする選手は、監督の指示どおり動くだけでは足りない。
その場、その場での「自主的判断」によって、「ひとつでも多くの塁を奪い、ひとつでも多くのアウトを相手から取る」必要がある。
だから、イチローのような、自分の頭で判断できて、打てて、守れて、走れるプレーヤーが必要になるわけだが、そういうことのできる選手は、実際にはそう多くは育っていないのが今のMLBだということは、今年のポストシーズンを見ていると、嫌というほどよくわかる。






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