フィル・ヒューズ

2014年9月21日、フィル・ヒューズ自身が語る「フルカウントで3割打たれ、26四球を与えていたダメ投手が、被打率.143、10与四球のエースに変身できた理由」と、ラリー・ロスチャイルドの無能さ。
2013年8月9日、MLBで三振を数多くとっているピッチャーたちは「2球目にボール球を投げていることも、けっこう多い」という調査。
2013年6月15日、本当に「初球はストライクがいい」のか。打者を追い込むだけで決めきれないフィル・ヒューズの例で知る「初球ストライク率が高いからといって、 必ずしも防御率は下がらず、好投手にはなれない」という事実。

September 22, 2014

今はミネソタのエースになっているフィル・ヒューズがまだヤンキースにいた2013年に、こんな記事を書いて彼の才能の無駄遣いを惜しんだ。

フィル・ヒューズはア・リーグで「最も初球ストライク率の高いピッチャー」で、同時にまた「カウント0-2に追い込む率が最も高い投手」である。
にもかかわらず、どういうわけか「打者ひとりあたり、最も多くの球数を投げるピッチャーのひとり」でもある。(2013年6月14日現在)

要するにフィル・ヒューズは、「初球に必ずといっていいほどストライクを投げる」し、「バッターを追い込むのが、誰よりも上手い」が、同時に、「どんなバッターにも、必ず4球以上投げてしまう」という、勝負どころで真っ向勝負に行けない、典型的な「ひとり相撲」タイプのピッチャーだということだ。

ヒューズは打者を追い込んむところまではいいが、そこからがダラダラ、だらだら、やたらと長い。バッターを追い込んだら、彼は、必ずといっていいほどアウトコース低めあたりに「釣り球のつもりの変化球」、シンカーやスライダーを投げたがる。
ところが、この釣り球、まるで効果がなくて、バッターは余裕で見逃してくる。だから、せっかくカウント0-2にしたのにボールばかり増えて、うっかりすると、0-2からフルカウントにしてしまうことも、けして少なくない。

引用元:2013年6月15日、本当に「初球はストライクがいい」のか。打者を追い込むだけで決めきれないフィル・ヒューズの例で知る「初球ストライク率が高いからといって、 必ずしも防御率は下がらず、好投手にはなれない」という事実。 | Damejima's HARDBALL


そのフィル・ヒューズ、ミネソタに移籍してからは見違えるようにピッチング内容が良くなっているわけだが、その「変身理由」を彼自身がFangraphに語っている。
Phil Hughes Finally Found the Right Breaking Balls | FanGraphs Baseball

非常に面白い記事なので具体的な部分は元記事を読んでもらうとして、要点を箇条書きにしてみる。
●「ストライクゾーンで勝負する」と、自分に言い聞かせて投げている
●投げ方を変えた4シームが垂れなくなったことによって、ライジング・ファストボールともいうべき、威力あるストレートに変わった
●しっくりいってなかったスライダーを投げるのをやめた
●カーブのリリースポイントを変えて威力を高め、試合で多用
●カットボールを使うカウントを変え、決め球に使う

記事を見たらビックリすると思う。ボールの握り方から、球種を使うカウントに至るまで、「自分の手の内」をかなり具体的にさらけだしたインタビューだからだ。
MLBの先発投手が、まだシーズンが終わったわけでもないのにこれほどまでに自分のピッチングの具体的な部分を喋るのは、とても珍しい。ヒューズはよほど今の自分に自信があるのだろう。


2013年に書いた記事で最も重要な指摘は、「フィル・ヒューズは、初球からストライクを積極的に投げ込んで打者を2ストライクの状態に追い込むという点だけは、ア・リーグトップの才能のある先発投手だが、同時に、彼は残念ながら『せっかく追い込んだ打者をまるでアウトにできないダメ投手』でもある」という点だった。

こうした意味不明なことが起きていた原因は主に、「2ストライクと追い込んだ後に、最初からボールとわかっている球(特にスライダー)を連投して、自分でカウントを悪くすること」にあった。ヤンキース時代のヒューズのアウトコースの釣り球は、打者に常に余裕で見逃されていた。

ちょっと2013年、2014年のカウント別データ(被打率、与四球数、K/BB)を見て比較してもらおう。

まず、2013年。本来フルカウントというのは投手有利、打者不利のカウントのひとつだが、2013年のフィル・ヒューズは、2ストライク後の被打率がどれもこれも高すぎた。フルカウントでの被打率などは「3割」に届きそうな、ありえない数字になっている。
フィル・ヒューズ 2013年
After 0-2 .245 8四球 K/BB 8.63
After 1-2 .276 15四球 K/BB 4.87
After 2-2 .273 22四球 K/BB 2.36
full count .292 26四球 K/BB 0.58
Phil Hughes 2013 Pitching Splits | Baseball-Reference.com

こんどは同じデータを、ミネソタ移籍後の2014年でみてみる。あらゆる点で、2014年のフィル・ヒューズが「2013年とは別人」なのがわかる(笑)

フィル・ヒューズ 2014年9月21日現在
After 0-2 .175 2四球 K/BB 53.00
After 1-2 .197 5四球 K/BB 21.80
After 2-2 .197 8四球 K/BB 6.13
full count .143 10四球 K/BB 1.30
Phil Hughes 2014 Pitching Splits | Baseball-Reference.com


次に、ヒューズの使っている球種を2013年と2014年で比べてみる。以下のごとく、今年のヒューズはスライダーをまったく投げなくなり、チェンジアップも減り、かわりにカットボールが増えていて、まさに彼がFangraphのインタビューで語ったとおりの内容になっている。
かつてシアトル時代のダメ捕手城島もそうだったが、「打者を追い込んで、後は、アウトコース低めのスライダーをボールゾーンに投げてさえいれば打者はうちとれる、などというような低脳でワンパターンな配球など、MLBでは通用しないのである。
Pitch Type(球種)
2013 FB 61.5% SL 23.8% CU 8.6% CH 5.4%
2014 FB 64.2% CT 21.0% CU 14.6%

Pitch Value(球種ごとの効果)
2013 FB -13.4 SL -4.8 CH -5.1
2014 FB 11.6 CT 1.3 CB -2.3 -2.2
Phil Hughes » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball


フィル・ヒューズの使う球種を過去にさかのぼると、彼がスライダーを多投するようになったのは2013年のことだが、「スライダー多投」は彼のピッチングを悪化させただけに終わっている。
2014年のヒューズを変身に導いたピッチングの改善が、果たして彼単独の判断によるものなのか、それとも、ミネソタのピッチングコーチの助力によるよるものなのかは、このインタビューだけではわからない。

ただ、まぎれもない事実としていえることは、ヤンキース時代にフィル・ヒューズが長年抱えてきたピッチングの『あからさまな欠点』を、ヤンキースのスタッフではいつまでたっても修正できなかったのに、他チームに移籍したら、1シーズンもかからずに修正できた、ということだ。
このことからわかるのは、2010年11月からヤンキースのピッチングコーチをつとめてきたラリー・ロスチャイルドがどれほど「無能な投手コーチ」であるか、そして、ただでさえ数が少ないヤンキースはえぬきのプロスペクトの才能も欠点も、その修正方法も見抜けないまま、安易に他チームに放り出してしまうGMブライアン・キャッシュマンが「見る目のないマヌケなGM」だ、ということだ。

damejima at 10:13

August 10, 2013

SB Nationに掲載されたJon Roegeleという人の「三振をとる配球」についての記事が、なかなか面白い。
Strikeout pitch sequences, by location - Beyond the Box Score


ただ、最初にことわっておきたいと思うのは、この記事がちょっとした見どころがあるのは確かだが、だからといって「必ず三振をとれる配球を発見した」などというようなシロモノではないことだ。
この程度の数のサンプルで「野球の法則性の発見」と思い込むのは馬鹿げている。頭の片隅にでも置いておいて、何か類似した研究結果なりが出てきたとき思い出せれば、それでいい。


この記事は、「三振」という現象が起きたときに、どういう配球プロセスで起きていたかを、初球から3球目の「コース」を集中的に調べて、図に起こす、という手法で書かれているのだが、調査手法が大雑把過ぎて、狙いとする「三振をとるための配球エッセンス」がうまく記事として表現されていないのが、ちょっともったいない。

サンプル数の少なさより、はるかに決定的ミスだと思うのは、この記事が「左投手と右投手を分けて考えていないこと。左と右を分けて図示することを忘れていること」だ。
こうしたミスが起きる根本理由は、おそらくMLBのストライクゾーンが左バッターと右バッターでかなり異なっていることを、そもそも考慮に入れてないことにある。

これまで数かぎりなく書いてきたように、MLBのストライクゾーンは、左バッターと右バッターとでは全く違っている。基本的に、左バッターのゾーンは、「アウトコースのみが非常に広く、インコースは狭い」。他方、右バッターは、「内外のゾーンが均等の広さ」で判定されることが多い。
だから、「三振」という現象がどういうシチュエーションで起きたのか考えるにあたっては、最低でも、「左投手と右投手で分けて考える」必要があると思うし、さらに、できることなら「左バッターと右バッター」で分けてデータ化したほうが、ずっとエキサイティングな記事になただろうと思う。


例えばだが、左投手の場合、「持ち球」によってストライクの取り方はまるっきり変わる。
クロスファイヤーの得意なサイドスロー気味の左投手なら、左バッターのアウトコースのさらに外に「ボールになるスライダー」を投げて空振りさせたいだろうし、カットボールの得意な左投手なら、左バッターのインコースに「腰が引けるような球」を投げて、見逃しストライクをとりたいだろう。また、カーブやチェンジアップのコントロールに自信のある左投手なら、右バッターのインコース低めに「打者の目がついていけないブレーキングボール」を落として空振りさせる。
さらに言えば、投手の「性格」によって、安全なアウトコースで「安全な三振」をとりたがる性格の投手もいれば、逆にインコースに不意打ちを食らわすのが得意という強気な性格の投手だっている。

ストライクをとる方法は、「投手が左か右か」、投手の「持ち球」や「フォーム」、対戦するのが「右打者か左打者か」など、さまざまな条件によって大きく違ってくるわけだが、そうした各種の条件の中でも、投手が左か右かはやはり基本条件として、分けて考えるべきだと思う。

結局のところ、この記事は「それぞれの三振には、それぞれ固有の理由とプロセスがある」ことを考慮にいれてない。
だから、この記事を読んだだけで、「ダルビッシュがやっているように、初球、2球目と、アウトコース低めに投げるのが、最も効率的な三振の取りだ」などと決めつけられても困る。「そんな決めつけ、何の意味もない」としか言いようがない。(彼がアウトコース低めの変化球を使いたがることは、ある部分で日本の野球文化の悪影響だと思う)


前置きはさておき、この記事が発見したことで、一番面白いと感じたのは、「三振を数多くとっている投手が、特に2球目にボール球を投げている」ことだ。

ちょっと前に、ヤンキースのフィル・ヒューズが、「ア・リーグで最も初球にストライクを投げている投手」であること、また彼が「初球にストライクを多投する投手であり、打者を2ストライクに追い込むことにも成功しているにもかかわらず、追い込んでから打者をうちとれない典型的なピッチャー」であることを書いた。
Damejima's HARDBALL:2013年6月15日、本当に「初球はストライクがいい」のか。打者を追い込むだけで決めきれないフィル・ヒューズの例で知る「初球ストライク率が高いからといって、 必ずしも防御率は下がらず、好投手にはなれない」という事実。

また別の記事で、マリアーノ・リベラが「典型的なボール球を振らせるタイプのピッチャー」であり、クリフ・リーが「徹底的にストライクで押すタイプのピッチャー」であること、ヒューズとフェルプスのようなヤンキースの若手ピッチャーの投げる「ボール球」が、「打者が手を出してくれないボール球」であることを書いた。
Damejima's HARDBALL:2013年7月8日、グラフひとつでわかる「ボール球を振らせる投球哲学」と、「ストライクにこだわりぬく投球哲学」 常識に縛られることなく投球術の両極を目指すマリアーノ・リベラと、クリフ・リー。


「三振をとる」という仕事にとって、クリフ・リー(あるいは最近のマックス・シャーザー)のような特別な才能のあるピッチャーででもない限り、「バッターが手を出してくれるボール球を持つ」ことは、好投手であり続けるための必須条件であるのは確かだ。

だが残念なことに、フィル・ヒューズは、いわば「初球も2球目もストライクを投げたがるピッチャー」ではあっても、困ったことに、追い込んだ後に投げる球がない。だから、しかたなく「アウトコース低めに、誰の目にも明らかにボールとわかるスライダー」ばかり投げて、カウントを自ら悪くしてしまう。(こういう知恵の無いピッチングスタイルがどれだけピッチャーをダメにするかは、『城島問題』でも明らかだ)

ヒューズに奪三振王になれ、などとは思わないが、彼やフェルプスが本当にピッチャーとして開花したいと思うなら、「変化球を磨きなおすことに加えて、根本的に配球方針を変えないとダメなんだぜ」と言ってやりたいと、この記事を読んで思ったりしたのだ。

そういう意味でも、これからのヤンキースには、いい投手の指導者が必要だ。

damejima at 02:16

June 16, 2013

ヤンキースのフィル・ヒューズは、不思議なピッチャーである。そしてまた、わかりやすいピッチャーでもある。


というのは、彼が
ア・リーグで「最も初球ストライク率の高いピッチャー」で、同時にまた「カウント0-2に追い込む率が最も高い投手」であるにもかかわらず、どういうわけか
打者ひとりあたり、最も多くの球数を投げるピッチャーのひとり」でもある、からだ。
(2013年6月14日現在。以下データ採集日も同じ)


「初球ストライク率」が70%を超えるピッチャーなんて、ア・リーグでは彼ひとりだけだ。ナ・リーグをみても、たった2人しかいない。(ミルウォーキーのカイル・ローズと、アリゾナのパトリック・コルビン)
また「打者をカウント0-2に追い込む率」(Baseball Referenceでいう「02%」)は、38%。これも35%を超えるピッチャーなんて、ア・リーグにはスコット・カズミアーとアニバル・サンチェスくらいしかいない。バーランダーでさえ34%だ。

問題なのは、これだけストライクを投げているというのに、彼の「打者ひとりあたりに投げる球数」(P/PA=投球数÷打席数)は、4.10と、4を超えてしまっていることだ。P/PAが4.10を超えるローテーションピッチャーなんて、ア・リーグでたった5人しかいない。(クリス・ティルマン、ヘクター・サンチアゴなど)

本当にヒューズは不可思議なピッチャーだ。


要するに
フィル・ヒューズは、「初球に必ずといっていいほどストライクを投げる」し、「バッターを追い込むのが誰より上手い」が、同時に、「どんなバッターにも、必ず4球以上投げてしまう」という、勝負どころで真っ向勝負に行けない、典型的な「ひとり相撲」タイプのピッチャーだ
ということだ。(この傾向は、実はサバシアや黒田にもある)


ヤンキースのゲームをいつも見ている人には説明するまでもないことだが、ヒューズは打者を追い込んむところまではいいが、そこからがダラダラ、だらだら、やたらと長い
バッターを追い込んだら、彼は、必ずといっていいほどアウトコース低めあたりに「釣り球のつもりの変化球」、シンカーやスライダーを投げたがる。
ところが、この釣り球、まるで効果がなくて、バッターは余裕で見逃してくる。だから、せっかくカウント0-2にしたのにボールばかり増えて、うっかりすると、0-2からフルカウントにしてしまうことも、けして少なくない。

要するに、ヒューズはピッチングの組み立てが滅茶苦茶にワンパターンで、しかも追い込んだ打者にさらに強気の勝負を挑んで、たたみこめないタイプなのだ。


「初球ストライク率」の高いピッチャー(2013AL)

「初球ストライク率」の高いピッチャー(2013AL)
2013 American League Pitching Pitches - Baseball-Reference.com generated 2013/06/15


打者ひとりあたりの投球数の少ないピッチャー(2013AL)

打者ひとりあたりの投球数の少ないピッチャー(2013AL)
資料:同上


では、ヒューズには名投手になれる可能性はないのだろうか?

いや、むしろ、彼が「バッターを噛み殺さんばかりの勝負への気迫」やクレバーな配球術さえ持てば、名投手への道も開けると思う。下記の2つの表を見てもらいたい。


これらは、上の2つの図で「リストA両方に出ているピッチャー」と、「リストB下の図だけに出てくるピッチャー」を並べてみたものだ。

リストA:エース級が多い。サイ・ヤンガータイプ
初球ストライクが入り、かつ、球数も少ないピッチャー
バートロ・コロン 2.92 66%
デビッド・プライス
岩隈久志 1.79 66%
CCサバシア
アーヴィン・サンタナ 2.74 66%
ジョー・ブラントン
ジェレミー・ガスリー 3.60 64%
(名前の後の数字は防御率と初球ストライク率。
 数字のいい投手のみ添付)

リストB:軟投の技巧派が多い。
初球ストライク率が低いにもかかわらず
球数が少ないピッチャー

ジェローム・ウィリアムズ 3.15 61%
アンディ・ペティット 3.95 61%
ジェイソン・バルガス 3.74 58%
ニック・ぺティッシュ
ケビン・コレイア 3.97 58%
ジャスティン・マスターソン 3.52 61%
ブランドン・マウアー
ダン・ストレイリー
ジャスティン・グリム
ジャロッド・パーカー
ジョー・ソーンダース
バッド・ノリス 3.47 65%


かつて初球からどんどンストライクをとっていたジェイソン・バルガスを知っている立場からいうと、今年の数字には、ちょっと驚かされる。今シーズンの彼は初球ストライク率がなんと「58%」しかない。昔と組み立てを変え、今は初球に無理にストライクを取りにいくのを止めているのだろう。
彼本来の良さは、コントロールが抜群に良いことだが、かつてはクリフ・リー譲りの攻めの配球を信条としてもいたから、シアトル時代は初球から何の迷いもなく、積極的にストライクを取りにいっていた。
だが、いかんせん彼は大学時代の怪我でスピードはない。相手チームにパターンを覚えられるとストライクを狙い打たれる。だから、今年はたぶんバッターに狙いを絞らせない意味で配球コンセプトを変え、「初球から無理にストライクをとらなくても、球数は少なく抑えられる」そういうピッチングを心がけているのだろう。本当に稀有なピッチャーだ。

かたや、「初球ストライクは入るが、決めきれず、球数の多いピッチャー」のひとり、フィル・ヒューズの防御率は、現在のところ4.89。似たタイプのジェイク・ピービ―もERA4.30であり、概してこういう「初球にストライクを多投するが、どういうわけか球数自体は増えるタイプ」のピッチャーのERAは平均して高い。
バートロ・コロンのような「初球にストライクが入り、しかも、球数も少ないピッチャー」と、「単に初球にストライクが入るだけで、球数は多い」のヒューズとの違いは何だろう。
せめてヒューズに、打者とガチンコ勝負する心臓の強さ(もっと言えば、勝負どころで使えるキレのいい変化球、クレバーで大胆な配球も欲しいところだが)があれば、せっかくのストライクがもっと生きて、不動のエース級ピッチャーになる道も開けるだろうに。もったいない。


今の時代はやたらと出塁率を重んじるセイバーの影響などもあって、バッターが非常に球を見てくる(ないしはベンチがやたらと見逃しを指示してくる)確率が高くなっている時代だから、ピッチャーが初球ストライクを決めること自体は、たぶんかつてほど難しくない。
だが、いくら初球ストライクを決めたとしても、球を見てくるバッターばかりになってきた今の時代、追い込んだ後でアウトコースにしみったれた変化球ばかり連投するようなワンパターン配球を繰り返していても、強いチームの好打者はそうそう簡単に凡退してくれなくなっている。


かつて、ダメ捕手城島がシアトルにいた時代には、「初球にはストライクを投げるべきだ。それがいいピッチャーの条件だ」なんて、紋切型なことをもの知り顔で言いたがる人間をよく見かけたものだ。
だが、「初球にストライクを決めておいて、後はアウトコース低めを連投」なんていうワンパターン配球だけで世の中渡っていけるなら、誰でもサイ・ヤング賞投手になれる。

MLBのピッチャーにはさまざまなスタイルがある。「MLBでは必ず初球にストライクを決めてくる」だの、「初球にストライクを必ず投げるべきだ」だのと知ったかぶりに主張するのは、勘違いもはなはだしい。
初球にストライクを決めることばかりが、いいピッチャーになる条件なわけがない。
もしそれが本当なら、「他の誰より、初球にストライクを決められるフィル・ヒューズ」が、他の誰より先にア・リーグのサイ・ヤング賞投手になれたはずだ。

いくら初球ストライク率が高くても、追い込んだバッターとの勝負にいかなければ、必ずしもいい投手にはなれない。


参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年5月13日、「打者を追い込むところまで」で終わりの投球術と、「打者を最終的にうちとる」投球術の落差  (1)打者を追い込んだ後のヘルナンデスの不可思議な「逆追い込まれ現象」

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