マリアーノ・リベラ

2017年1月26日、MLBアドバンスメディアのディレクター、Daren Willmanのデータから見た、リベラ、ゲレーロ、イチロー。
2013年9月27日、偉大な野球選手には最後のスピーチを、インタビューや会見場などではなく、スタジアムで語る機会を設けるべき。
2013年9月26日、#ExitSandman。
2013年6月25日、イチロー、同点の9回裏2死走者無しからキャリア2本目のサヨナラホームラン!!! 1本目はマリアーノ・リベラを負け投手にしたが、2本目は勝ち投手に。
2011年10月22日、野球ファンの「視線共有」の楽しみ 例:2009年9月18日のイチローのサヨナラ・2ランホームランを、スタジアムの角度別に楽しむ。
2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。
2010年1月16日、2009年9月にイチローが打った超劇的サヨナラ2ランで、ヘルナンデスが16勝目を挙げたNYY戦を、「カウント論」から振り返る。

January 23, 2017

いまのMLBでデータを最もカッコよくみせる技にたけているアナリストは、MLBアドバンスメディアのリサーチ&ディヴェロップメント部門ディレクターDaren Willmanだが、以下の図はその彼による「マリアーノ・リベラの投球コース」だ。(図はキャッチャー視点で描かれているから、右がファースト側、左がサード側)
ちなみにDaren Willmanはもともとbaseballsavant.comの創始者だが、今はサイトごとMLBに引き抜かれた形になっている。気鋭の「元・民間人」というわけだ。

以下の図から、いかにリベラが「ハーフハイトの使い手」で、また、コントロールのいい投手だったかがわかる。


ストライクゾーンの中間の高さ、ハーフハイト(half hight)の球を、MLBの投手がいかに上手に使っているかを、ロイ・ハラデイを例にして2009年の以下の記事にも書いた。
メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』 序論:2009年9月30日、大投手ハラデイの「配球芸術」を鑑賞しながら考える日米の配球の違い | Damejima's HARDBALL

上の記事は、「キャッチャーがピッチャーに対して、コーナーを突くきわどいボールを要求し続けることの、MLBにおける無意味さ」を理解させるために書いた。

過去のアンパイアの判定結果を集積したデータでみると、MLBアンパイアのストライクゾーンは「ルールブックどおりの四角形」ではなく、むしろ「円形」に近いことがわかっている。(下図)
それは、言い換えるなら、「MLBアンパイアは概してストライクゾーンのコーナーぎりぎりの球をそれほどストライク判定しない」という意味であり、また別の意味では「ハーフハイトの球については、左右を広くストライク判定する傾向」にあるという意味だ。

カウント0-3と、カウント0-2の、ストライクゾーンの違い

参考記事:2011年7月11日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (5)カウント3-0ではゾーンを広げて四球を避け、カウント0-2ではゾーンを狭めて三振を避ける。あらためて明らかになったアンパイアの「故意にゲームをつくる行為」。 | Damejima's HARDBALL

以上のような事実をアタマに入れておけば、「ストライクゾーンを横に広く使って、ハーフハイトのカットボールと4シームを投げわける」という「マリアーノ・リベラ特有の配球」は、「ストライクゾーンのコーナーぎりぎりを無理に突いて、アンパイアにボール判定されてイライラする」ことより、「MLBのアンパイアの判定の習性に沿っている」という意味で、はるかに理にかなっている。

左バッターに対して「カットボールと4シームを巧妙に混ぜつつ、インコースのハーフハイトを突くこと」が、マリアーノ・リベラ特有の投球術だったことは、2011年の以下の記事にも書いた。
参考記事:2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。 | Damejima's HARDBALL


2009年9月18日、1点ビハインドの9回裏にイチローがリベラの初球のカットボールを逆転サヨナラ2ランしたときの球は、もちろんリベラが最も得意としていた「ハーフハイトのカットボール」だ。

2009年9月18日イチロー、サヨナラ2ランfromマリアーノ・リベラ

ここまで挙げたデータのすべては、この「初球」が「マリアーノ・リベラの失投などではなく、むしろリベラが最も得意とする配球を、予定通りに投げた球」であることを示している。
ブログ主にとっては、そのこと自体は昔からわかっていたことのひとつにすぎないが、最初に挙げたDaren Willmanのデータであらためてその正しさが明らかになった。


ちなみに、イチローがホームランしたリベラのカットボールは「ボール球」だ。

右投手リベラは、キャリア通算の被打率では左打者.209、右打者.214と、打者の左右などほとんど苦にしないピッチャーだった。キャリア通算で71本打たれているホームラン(クローザーになって以降は59本)のうち、左打者には27本しか打たれていない。

左バッターのインコースのハーフハイトを突くことに絶対の自信を持っていたリベラが、1点差の9回2死2塁で、おそらく「様子見のため」に投げた初球のボール球を、イチローにいきなり逆転サヨナラ2ランされたのだ。
リベラが唖然としながらマウンドで、何度も何度も "No! No!" とわめいていたのを、いまでもよく覚えている。それほど、リベラにとってあれは「想定外の出来事」だった。

たぶんリベラは2球目に、同じインコースのハーフハイトに、こんどは「ストライクになる4シーム」を投げてカウントを稼ぐつもりだったはずだ。そして3球目にはインコースぎりぎりのストライクになるカットボールで、バットをへし折るセカンド方向の内野ゴロか、ファウルを打たせるという寸法だ。
初球、2球目、3球目と続く「ストーリー」に絶対の自信があるからこそ、初球に「わざとボールを投げる余裕」が生まれる。リベラはイチローは初球を振ってこないと踏んで、ボールになるカットボールで「2球目への布石」を打ったのである。


以下の図は、最初にあげたMLBアドバンスメディアのディレクターDaren Willmanがイチローについてツイートした別のデータだ。
彼が2008年から2011年の間にウラジミール・ゲレーロがボール球をヒットにした数が「279本」であり、そのヒット数は当時のMLBで「2番目」に多いことをツイートしたとき、あるファンが「じゃ、1位は誰? イチローかな?」と質問したのだが、Daren Willman自身が以下のように答えた。







上のデータから、ゲレーロとイチローが「インコースのボール球」を何回かホームランしていることがわかる。
ゲレーロも、ボール球でもヒットにしてしまうことでよく知られた「悪球打ち」だったわけだが、ゲレーロさえ上回る「2000年代最強のMLBナンバーワン悪球打ち打者」、それが2000年代のイチローだ。

こういう天才肌のバッターに「よく球を見ていけ」なんて愚劣な指示を出すのは、明らかに間違いだ。他人よりもよく球が見え、なおかつ苦手コースが存在しない天才バッターだからこそ「悪球打ち」が可能になるのであって、平凡なプレーヤーでしかなかった自分の狭い常識を天才に押し付けるような無能な打撃コーチは、イチローやゲレーロにはまったく必要ない。

damejima at 08:27

September 28, 2013

ホーム最終戦を終え、ヤンキースタジアムのダグアウト裏への階段を下りていくマリアーノ・リベラの後ろ姿を見ていて、「なにか、もの足りない」。そんなことを思った。

ホーム最終戦で彼に、インタビューでも会見でもなく、
スピーチする機会を設けてやるべきだ、と思ったからだ。


ルー・ゲーリッグの有名なスピーチは、「スタジアムの中」で行われた。彼の引退の言葉が長く語りつがれている理由は、実は語った言葉にあるのではなく、「語った場所」にあった。(ちなみに、スピーチが行われたのは1939年7月4日で、ファイナルゲームである4月30日ではない)

Lou Gehrig

ゲーリッグが、スタジアムの中で、マイクに向かって語ってくれたために、その言葉は「病いの中にあるゲーリッグが、ファンに差し出してくれた一葉の手紙」のようなものとしてファンのもとに直接届き、だからこそ、その「遺言のような言葉」をファンは胸の中に大事にしまいこむことができた。


マリアーノ・リベラのホーム最終戦では、ゲーリッグのようなスピーチスタイルをとらず、普段どおりインタビュアーがリベラにマイクを向けて英語で話かけ、リベラは「インタビュアーの問いに答える形」で「英語で」話したわけだが、正直、あれはない。
リベラとファンのための濃密な時間を、インタビュアーのマイクの前や、プレス相手のカンファレンスルームの中などではなく、フィールドの中で作るべきだった。
また、今の時代はアメリカ国内のスペイン系住民やカリブ海周辺のスペイン語圏にたくさんのMLBファンがいる時代なのだし、リベラがスペイン語で語る場面もファンに披露すべきだった。


9回の投手交代をジラルディ自身が告げに行くのではなく、マイナー時代から長年一緒にプレーしてきたペティットとジーターに行かせたことを、なんて素晴らしいアイデアだ、あれでもう十分だと思って涙した人や、リベラがマウンドのダートを両手ですくいとる姿で十分だ、他に何も必要ない、などと思った人がいたかもしれないが、ブログ主は、よくそんな淡泊な考えでいられるな、としか思わない。


本当に美味いものなら、その真髄を飽きるほど食い倒してこそ人生だ、と考えるのが、ブログ主の「真髄」である。


目の前のことばかり見て、将来を考えずに時間を過ごして、「次の時代をあらかじめ用意しておくこと」に失敗したヤンキースが、今シーズンを「終わっていくヤンキースの送別」のためだけに使い果たそうと決めたのなら、半端な若者など使わずに、とことん送別会をやり尽すべきなのであって、ジラルディを先頭に中途半端なことばかりしているのは、今の彼らが「旨いものの本当の食べ方を知らない」証拠である。
リベラはMLB史上の至宝であって、ヤンキースだけのものだとは思わないから言わせてもらうと、残念なことに、今のヤンキースは、リベラの最後の勇姿という素材を、本当の意味で上手に料理して、最高の形で客に出せた、とは、お世辞にもいえない。
(もちろん、リベラ自身がスピーチを固辞した可能性もあるわけだが、ルー・ゲーリッグだって周囲の要請に応える形ではじめて言葉を発したわけであって、うまく名場面をつくるのには周囲の努力が不可欠なのだ)


パラグラフの中で同じ言葉が繰り返されるのを嫌うのと同じように、ルー・ゲーリッグの形を踏襲することは、ゲーリッグとリベラ、2人の権威や彼らへの敬意を損なうから避けるべきだと考える人がいても、それはそれで不思議ではないが、ならば問いたい。

リベラがファンに語りかける場所、それが「マウンド」でなくて、他のどこなら彼にふさわしいのか。

ブログ主はまったく思いつかない。

damejima at 09:59

September 27, 2013

ホーム最終戦を終え去っていくマリアーノ・リベラ



damejima at 12:02

June 26, 2013



ヤンキース・黒田、テキサス・ダルビッシュの日本人先発投手対決ゲームで、イチローが、3対3の同点、9回裏2死走者無しの場面で、カウント1-2から右中間スタンドにサヨナラホームラン!!! 右投手からのホームランなのも、最高!!!
Texas Rangers at New York Yankees - June 25, 2013 | MLB.com NYY Recap

Texas Rangers at New York Yankees - June 25, 2013 | MLB.com Classic

イチロー サヨナラホームラン 2013年6月25日

イチロー サヨナラホームラン 2013年6月25日

2013年6月25日サヨナラホームラン




ピッチャーは、ヤンキース戦までERA0.95、5勝負けなし、速球を武器とする2009年テキサスのドラフト1位ルーキー、右腕のタナー・シェッパーズ。イチローは彼の97マイルのインコースをえぐる球を、ほんの少しバットヘッドを抑え込むような、パワフルなスイングで右中間に運んだ。今シーズンのイチローは対右投手のスタッツがやや低いが、これで右投手に対しても、まったく力負けしないことを証明した。

シェッパーズのコメント
"Wrong pitch at the time," Scheppers said. "He's a great hitter, and I probably showed him too many fastballs in that at-bat. I probably should have thrown him something different. He likes the ball down and in, and I kind of fed it to him."
「あの場面では、間違った投球をしてしまった。彼は偉大なバッターなわけだけど、あの打席では、僕が彼に速球ばかり投げ過ぎてたと思う。たぶんもっと違う球種をみせとくべきだった。彼はインコース低めが好きなのに、僕はご親切にも、彼の大好きなインローを投げてしまったんだからね。」
ソース:Texas Rangers at New York Yankees - June 25, 2013 | MLB.com TEX Recap

イチロー サヨナラホームラン 2013年6月25日打ったのは、インコースのハーフハイトの4シームと記録されているが、実際には少しシュート回転がかかっていた。

イチロー サヨナラホームラン Wrap


スタジアムにいた人たちの動画



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参考:シアトル在籍時代のサヨナラホームラン
(2009年9月 投手:マリアーノ・リベラ



Damejima's HARDBALL:2011年10月22日、野球ファンの「視線共有」の楽しみ 例:2009年9月18日のイチローのサヨナラ・2ランホームランを、スタジアムの角度別に楽しむ。

Damejima's HARDBALL:2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。

Ichiro's walk-off shot stuns Mariano, Yanks | MLB.com: News

damejima at 12:51

October 23, 2011

前の記事で、こんなことを書いた。

「残念なことに、野球ファンは、いくら最高の感動の場面でも、その出来事をあらゆる角度から眺めることはできない。このことは、誰もが経験からよくわかっている。
しかし、パソコンやインターネットのある時代だからこそ、誰かの知恵と他人の目線を借りつつ、お互いの情報を補完しあうことで、自分ひとりだけの経験では特定の角度からしか見えないゲームの全体像を、俯瞰的に再構築して、もっともっと全体像を楽しめたら、と望んでいる」



野球ファンがスタジアムで存在していられる場所は、人生と同じで、シートはたったひとつしか与えられない。だからかつては、自分に体験できることは「自分のいる位置での体験だけ」だと、「思われて」いた。

だが、今は違う。

例えば、別の場所で見ていたファンが撮った動画や写真、音声などのソースから、公式サイトの動画や新聞などのマス・メディアの写真とはまた違った、「現場の興奮ぶりのリアリティ」を追体験することができる。
また、出来上がりに時間がかかり、内容も試合結果中心の新聞系メディアの記事を翌日に眺めるだけでなく、チャットやツイッター、掲示板などを通じて、「その劇的な場面が誕生するのを見ることができた興奮」や「その劇的な場面が誕生できた理由についての意見」を、リアルタイムあるいはゲーム直後に検討したり、論議したりもできる。
さらに、ブログ記事などで、そうした「視線の共有」「意見の共有」の場所に「自分なりの視線」をアピールすることもできる。

こうした行為によって野球ファンは、ひとつの劇的な場面について何をしているのかというと、「さまざまな角度からの視線を、共有しあっている」わけだ。


以下に、野球を楽しむ「視線共有」の例として、2009年9月18日のイチローのサヨナラ・ホームランについて、Youtubeに寄せられたファン目線の動画を集めてみた。


これらの動画にはそれぞれ、カメラのブレやフレームアウト、画質の粗さ、音割れなどが多数ある。だが、そんなささいなことは、まったく気にならない。むしろ、臨場感があって、非常にいいくらいだ(笑)

例えば「イチローコール」。
声の大きさや質が、スタジアムのポジションによってまるで違っていることが、よくわかる。女性の感極まったような高い声。英語訛りの男性の低い声。旅行者とおぼしき日本人。かわいい声でコールする子供。いろいろな人の声がする。
外野にいると内野よりもゲームを楽しめないわけじゃないのはもちろんだが、シート料金が安いポジションで声を張り上げてイチローコールしてくれている人が、そこよりも明らかに料金の高い場所で試合を見ている、いかにもIT企業などに勤めてそうな男どもより試合を楽しめてない、なんて、全く言えないことは、ひと目でわかる。
日本人の遠慮がちなイチローコールも、若い男性の英語訛りの「イチロゥ、イッチロゥ」という呟きも、耳をつんざく凄まじい女性の金切り声も、ホームランの瞬間、ごっちゃごちゃにひとつになる(笑)

結局、なんだというと、野球というスポーツは、スタジアムのどこで見ようと、「それぞれの場所に、それぞれの楽しみ」があることが、これらの動画から、本当によく伝わってくる、と、言いたいのである。
あらゆるシートに野球の楽しみがある。人生と同じだ。大事なのは精一杯楽しむ気持ちだ。

せっかく動画の時代がやってきたのだ。あなたがこんどスタジアムに行くときは、ぜひ、ビデオカメラを携行してもらいたい
関連記事も読みつつ、さまざまな角度の動画を見ることで、「視線を共有する」意味や楽しさを感じてもらえれば、と思う。

MLB公式サイトの動画:

Baseball Video Highlights & Clips | NYY@SEA: Ichiro's walk-off homer wins it in the ninth - Video | MLB.com: Multimedia

マリナーズ公式サイトの記事:
Ichiro's walk-off shot stuns Mariano, Yanks | Mariners.com: News

ブログ関連記事:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年1月16日、2009年9月にイチローが打った超劇的サヨナラ2ランで、ヘルナンデスが16勝目を挙げたNYY戦を、「カウント論」から振り返る。

ブログ関連記事:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。



1)三塁側 内野のかなり高い位置の席から。
子供たちが一生懸命にイチローコールをしている声で始まる動画。こういう高い位置の席を敬遠している人もいると思うが、ライトへのホームランの軌道が非常によくわかりやすい。また、イチローがホームに投げるレーザービームはじめ、あらゆる連係プレーが非常によくわかる。
シアトルファンの強い「イチローコール」、それが瞬時に叫び声に変わる一瞬が凄くリアルだ(笑) こういう瞬間のために野球がある。


2)ライトスタンドから。
自分たちに向かってサヨナラ・ホームランが飛んでくるんだから、そりゃ興奮しないわけがない(笑) これぞ外野スタンドの特権。
セーフコのライトスタンドは、言うまでもなく、イチローの守備を眺める楽しみ、また、イチローの盗塁を横から眺める楽しみもある。また有名な「イチメーター」の方に記念写真をお願いすることもできる。日本での開幕戦は、たぶんライトスタンドが争奪戦だろう。


3)三塁側 内野席の低い位置から。
興奮した男どもの突き上げる拳(こぶし)の列に、スタジアムでしか味わえない臨場感がある(笑)


4)一塁側 内野席の低い位置から。
Get out of here! と、打った瞬間叫ぶ声が印象的。左打者のライナー性のホームランの美しい軌道をすべて見るには、まさに絶好の位置。
よく見ると、打球がとっくにスタンドに飛び込んでいるのにもかかわらず、かなり遅れてヤンキースのライトがスパイダー・キャッチを試みている(11秒から12秒あたり)のが小さく映っており、このときの打球がいかに速かったかを物語っている。


5)一塁側 内野席のライン寄りから。
たぶん日本人ファンのカメラだと思うが、あまりにもイチローにズームしすぎて撮り始めているところに、突然のホームランで慌ててしまい、何も映ってない動画が、かえって臨場感がある(笑)


6)一塁側 内野席の比較的後ろ側。
通路をうつむき加減にあわてて帰っていくヤンキースファンがクッキリ映っている(32秒から33秒のあたり)のが、かえってファンの撮った現場映像らしくて、リアリティがある(笑)





damejima at 05:07

May 29, 2011

マリアーノ・リベラを打ち崩してサヨナラ勝ち。
これでとうとう貯金1。

打線もさることながら、ゲームを守りぬいたブルペン投手陣を褒めたい。昨日も頑張ってくれたデイビッド・ポーリーが連日2イニング投げ抜いてくれて、2日連続の勝利投手になった。
おめでとう、ポーリー
New York Yankees at Seattle Mariners - May 28, 2011 | MLB.com Classic


それにしても、なぜ今までこんなことに気がつかなかったのか?、と自分でも残念に思うくらい、マリアーノ・リベラの左打者への投球は「パターンを特定する」ことができた


まず、左打者のインコースを、
ボールになるストレートでえぐっておく。
次に、同じコースにこんどは
ストライクになるカットボールを投げる


パターンといっても、たった2球。
だが、百戦錬磨のクローザーらしく、シンプルだがよく計算されたパターンだ。


この「左打者インコースカットボールえぐり配球」、つまり、左打者にインコースのカットボールで、ドン詰まりの打球を打たせる「リベラ・左打者パターン」には、いくつか運用のバリエーションもあるが、基本的には上に書いたパターンだ。

もし打者が、2球目の「ストライクになるカットボール」を思わず強振してしまうと、初球にインコースをえぐらて印象が残っている分だけスイングが鈍るか、ストレートの軌道でスイングしてしまうかして、リベラのキレのあるカットボールのわずかな変化をバットの芯でとらえきれず、凡打してしまう

それこそがリベラの狙いだ。


具体的に見ていこう。

シアトルがサヨナラ勝ちした12回表に打席に立った5人のバッターのうち、敬遠された右打者グティエレスを除いて、4人の左打者全員に、リベラはこの「左打者インコースカットボールえぐり配球」ともいうべき、「リベラ・左打者パターン」を使っている。


先頭打者 フィギンズ

2011年5月28日 12回裏 フィギンズ セカンドゴロ
アウトコースのストレートでまずストライクをとってから、2球目「インコースをえぐるボールになるストレート」、3球目「インコースでストライクになるカットボール」と、最も典型的な「リベラ・左打者パターン」を使った。
結果は、リベラの狙いどおり。
カットボールをひっかっけてセカンドゴロ。
この「ひっかけて内野ゴロ」、これがマリアーノ・リベラが左打者に対して最も理想的な討ち取り方だ。フィギンズはいわば、簡単に釣り針にかかるアタマの悪い魚。どうしようもない。


2人目 スモーク

2011年5月28日 12回裏 スモーク シングル
初球は、例によってインコース。
ブログ主は、リベラがこの初球をストライクにしたかっただろうと考える。だが、今日のアンパイアSam Holbrookは、何度も書いているように、ゾーンが非常に狭い。そのため判定はボール。リベラの計算はここから狂った

資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。

2球目も、初球同様にインコースのカットボールだが、初球よりも「内側にはずれて」いる。
この「内側にはずれるカットボール」こそ、「リベラ・左打者パターン」の最重要ポイントだと、ブログ主は考える。
スモークの打席は初球がボールに判定されてボール先行になっているわけだから、ストライクの欲しい2球目はむしろゾーン内に投げてくるのが当然だろ? 何言ってんの? と思う人もいるかもしれないが、この議論全体をもう一度読み返してみてもらいたい。
スモークのインコースを、あくまで「ボールになる球で、あらかじめえぐっておくこと」で、打者に「体に近いところを、ボールがかすめるように通過していく印象」を強く与えておくのが、「リベラ・左打者パターン」の本質なのだ。
だからこそ、2球目はストライクでなくてもいい。

結果的に2ボールになってしまっが、ここで、リベラは2-0からアウトコースのストレートを投げて、簡単にストライクを稼いだ。「リベラ・左打者パターン」の後で、アウトコースに投げたストレートは、ほとんどといっていいほど、バッターが手を出してこないことを、マリアーノ・リベラは誰よりも知っている。
そして、再度インコースにカットボールを投げた。打者スモークはさすがに4球目のカットボールを見透かしたのか、シングルヒットを打った。
おそらくリベラは、もし4球目を打たれなかったら、5球目にインコースにストレートでも投げるつもりだったんじゃないか? と思う。つまり彼は、4球目、5球目で、再び「リベラ・左打者パターン」を使ってスモークを討ち取るつもりだったのだろう、と思うのだ。


3人目 ジャック・カスト

2011年5月28日 12回裏 カスト ツーベース
初球、インコースをえぐるボール球のストレート。2球目、ストライクになるカットボール。まさに最も典型的な「リベラ・左打者パターン」だ。打者カストは、リベラの狙いどおり、2球目のカットボールに手を出し、ファウルになっている。
先頭打者フィギンズの凡退でもわかるとおり、2球目のカットボールをひかっけさせて凡退させるのがリベラのパターンなわけで、ファウルになったのは、カストにとってはむしろ幸いした。


4人目 グティエレス 敬遠


5人目 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー

2011年5月28日 12回裏 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー
初球、インコースに「ボールになるカットボール」。2球目、同じインコースに、こんどは「ストライクになるストレート」。
ここまで説明してくると、これが「リベラ・左打者パターン」のバリエーションであることは想像がつくと思う。インコースをえぐっておいて、次にストライク。2球目は、初球と違う軌道の球。球種が逆転しているだけで、本質は変わらない。

結果は、アダム・ケネディの勝ち。
シアトルのサヨナラ。



マリアーノ・リベラが、去年イチローにサヨナラホームランを打たれたシーンを思い出してほしい。
あのとき「初球のカットボール」を、左打者イチローは痛打したが、あれもインコースだった。
たぶん、あのシーン、リベラはイチローに初球を投げる前から既に、「リベラ・左打者パターン」にそって「2球目に、インコースにストレート」を投げてイチローを討ち取るイメージでいたんじゃないか、と思うのだ。






damejima at 17:04

January 17, 2010

9回裏、1点ビハインド。
2人が三振し、2死。
代打スウィーニーが2塁打を放つ。代走はソーンダース。
打席に入るイチローの動作はいつもと変わらない。

初球。

雷鳴に似た歓声。
インコースにややボール気味に投げこまれたカットボールが、総立ちのライトスタンドに吸い込まれて消えていく。見送りながら、マリアーノ・リベラは何度も怒鳴る。"No!、No!"

憮然とした顔でマウンドを去っていくマリアーノにかわって主役がプレートを踏むと、シアトルの長い長い祝賀会が始まった。

サヨナラホームランを打ったイチローを出迎えるマイク・スウィニー

Ichiro's walk-off shot stuns Mariano, Yanks | Mariners.com: News

NY Yankees vs. Seattle - September 18, 2009 | MLB.com: Gameday

2009年9月18日イチロー、サヨナラ2ランfromマリアーノ・リベライチローのサヨナラ2ラン
初球カットボール。

イチローサヨナラ2ランの後ハグするヘルナンデスとロブ


カットボール連投で2三振させていたリベラが
スウィニーへの初球にかぎってストレートだった不思議


9回裏にハナハン、カープと連続三振をとったリベラの投げた球種は、全球カットボール。彼らの打撃ではまったくリベラの得意球カットボールに歯が立たなかった。
次打者はジョシュ・ウィルソンだったが、ここで監督ワカマツはスウィニーを代打に送った。このゲームはシアトルの順位を上げるものではなかったが、ヘルナンデスにとってはサイ・ヤング賞のかかった重要なゲームのひとつだったから当然だ。
ここで不思議なのは、マリアーノ・リベラが、スウィニーへの初球に、カットボールではなく、ストレートを選んだこと。次の打者がイチローでもあるし、ここでゲームを終わりたいのは当然であるにしても、ちょっと不思議なことである。


「2球目強打者」、マイク・スウィニー。

スウィニーは、基本は早打ち打者だが、カウントによって打ち方をはっきり決める、ちょっと不思議なバッティングをする。
スウィニーにとっての初球は長打狙いのカウントで、必ずといっていいほど強振してくる。打率は低い。打数が多く、2009までの3シーズンで最多。ホームランも、17本のうち5本を打っていて、最多。
2球目、ここがスウィニーの「得意カウント」である。1-0であれ、0-1であれ、非常に高い打率とOPSを記録している。2球目の打率は妙に高い。

2009 スウィニー カウント別打率
Count 0-0 .200 OPS.595 打数40(最多)
Count 0-1 .435
Count 1-0 .556
Count 1-1 .300
Mike Sweeney Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

2007〜2009 スウィニー カウント別打率
Count 0-0 .260 OPS.716 打数127(最多) 
Count 0-1 .364
Count 1-0 .377
Count 1-1 .313
スウィニーの3シーズンの打撃スタッツ
Mike Sweeney Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


あれだけカットボールを連投していた投手のリベラが、スウィニーへの初球にストレートを選んだのはなぜだろう。スウィニーが早打ち打者だとわかっていたから、わざと球種を変え、2球目にカットボールを投げる予定だったのだろうか。
また、カットボール連投で2三振くらうのをベンチで見ていたスウィニーのほうも、自分の打席に限って、初球にカットボールでなくストレートが来ることは予測していたのだろうか。なぜ初球のストレートを見送って、得意の2球目にスイングするほうを選ばなかったのか。

わからないことだらけだが、これだから本当に野球は面白い。
リベラがスウィニーに、このイニングで初めてストレートを投げて打たれたことは、イチローの初球にカットボールを投げる(というか、ストレートを投げられなくなった)伏線になっている。

2009年9月18日代打スウィニー2塁打マイク・スウィニーの2塁打
初球ストレート。
初球に長打を狙ってフルスイングするのは、いつものスウィニーの打撃パターンそのもの。



苦手カウントの存在しないイチロー

最近「damejima版カウント論」なるものをちょっと考えていて、もうすぐまとまるので長々と連載する予定なのだが、イチローという打者の天才ぶりには、あらためて驚かされた。
スウィニーにとっての「2球目」のように、イチローにも得意カウントがあるといえばある(0-0、1-0など)のだが、そんな些細なことより驚かされるのは「不得意カウント」というものがほぼ存在しないことだ。
イチローは0-2と追い込まれても、フルカウントでも、3割打てる。こんな打者、そうそういない。だからこそ、毎年のように高打率が残せるのだろうが、ほとほと関心する。

ただ「ほぼ」、と書いたのにはもちろん意味があって、穴のまったく存在しない天才野球少年イチローにあっても、たったひとつ「苦手カウント」というものは存在している。いや、むしろ、ひとつでも存在していることが不思議なくらいだ。そのことについては後日書く。(次の記事以降を参照:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:メジャーと日本の配球論の差異から考える「城島問題」 『damejimaノート』(10) 「MLB的カウント論」研究 <1> なぜアメリカの配球教科書の配球パターンは「4球」で書かれているのか?


初球の打率4割のイチローに
初球勝負をかけ「られて」負けたリベラ


イチローのホームランは、投手のリベラではなく、打者側のイチローが「勝負をかけて、勝った」とみるほうが現実に即していそうだ。この3年間のイチローの得意カウントの打率はこうなっている。
0-0 .402
0-1 .401
1-1 .394
どうだろう、この異様な打率の高さ(笑)
だが、これだけを見て、イチローを「早打ち打者」と決め付けるのは、実際のゲームを見ていない証拠だ。実際のゲームをみれば、いかにイチローが頻繁に「初球ストライクをやすやすと見逃している」ケースが多いか、わかる。「どうしてあれを振らないんだ」と、ファンがやきもきするほど、その数は多い(苦笑)

だが、これも勘違いしてはいけない。
こんど書く予定のカウント論を先取りして言うなら、「メジャーの好打者はほとんどの場合、初球、2球目の打率は、誰でもびっくりするほど高い」ことが多いものなのだ。彼らの追い込まれてからの打率傾向は打者によって大きく違うものだが、初球、2球目についてはほぼ共通して打率が異様に高い。
イチローの初球の打率が高いからといって、その程度のデータでイチローを「早打ち」と決め付けるのは、まったくもって間違いだ。イチローのケースでは、「あらゆるカウントで打てる」というのが、むしろ正解。
Ichiro Suzuki Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


この劇的なサヨナラで16勝目をあげたヘルナンデスは、わずか104球(65ストライク、39ボール)で9回を投げ抜いて、1点負けたままベンチで9回裏を迎えた。劇的な勝ちをもたらしたイチローのあまりにも劇的なサヨナラホームランで好投が霞んでしまったが、104球で強打のNYYに9回投げきったのだからたいしたものだ。
負けも覚悟したであろうヘルナンデスにとっては、ここで負けてはサイ・ヤング賞レースが終わってしまっていた可能性もあった。だからこそ逆転を信じて9回まで投げさせたわけで、試合後のヘルナンデスが興奮してイチローに抱きついて喜んだのも非常によくわかる。

この日のピッチングは、なんといってもグラウンドアウト(GO)を16もとったことが画期的に素晴らしい。これほどの数は、いくらヘルナンデスがグラウンドボールピッチャーといえど、今シーズン最高の数のグラウンドアウトだ。

ヘルナンデスがフライボールピッチャーばかり揃ったシアトルでは非常に珍しいグラウンドボールピッチャーであることは、一度指摘したことがある。
1試合で三振を15以上も獲ることももちろんすごい偉業だが、グラウンドアウトを16もそうそうとれるものでもない。キング・オブ・グラウンドボールピッチャーは、MLB全体でならロイ・ハラデイだが、シアトルではフェリックスだ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年9月24日、先発ゲーム4連勝のロブ・ジョンソン二塁打2四球、ヘルナンデス11三振で17勝目。サイ・ヤング賞レースに生き残る。9月8日の城島のサヨナラ負けがなければ、9月のア・リーグ月間最優秀投手はとっくにヘルナンデスに決まっていた。

ヘルナンデスのGB/AB、GO/AO
(カッコ内はESPN、それ以外はBASEBALL REFERENCE
2005 2.08(2.14)  2.93
2006 1.40(1.41)  2.09
2007 1.55(1.60)  2.56
2008 1.06(1.10)  1.62
2009 1.13(1.17)  1.55
キャリア   1.31 (1.35)  1.95
MLB AVG. 0.78       1.06

Felix Hernandez Pitching Statistics and History - Baseball-Reference.com

Felix Hernandez Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN






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