マックス・シャーザー
● 2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編
● 2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
● 2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
● 2013年10月13日、ボブ・メルビンのALDSにおける自滅。相反する「カオス的世界」と「リニアな個人」。
● 2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
● 2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
● 2013年10月13日、ボブ・メルビンのALDSにおける自滅。相反する「カオス的世界」と「リニアな個人」。
October 21, 2013
前記事:
(1)総合データ編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
(2)マックス・シャーザー編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic
マックス・シャーザーの投球に関する「不利」な判定の具体例に続き、こんどは2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、ボストン投手陣に対する「有利」な判定について、データを記録する。
球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」は、ひとつには、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球に執拗なボール判定を彼が降板するまで浴びせ続けるという陰湿な形で、ボストン側のあらゆるチャンスと得点の全てに抜き差しならぬ関係で絡んでいたのを確かめたわけだが、この悪行はもちろんそれのみで終わらず、もうひとつ、ボストン先発クレイ・バックホルツの投球に有利な判定をする、という形でも著しい偏りをみせている。
アンパイアの判定の「ゆらぎ」は、もしそれが「両軍に等しく生じる」ものであるなら、これほど問題にしたりはしない。
MLBアンパイアには、「ゾーンの狭さや広さ」、「ゾーンの形状の偏り」といった判定基準において、MLB特有といえる「非常に大きな個人差」が容認されており、判定基準はアンパイアごと、ゲームごとに非常に大きく変化してしまうものであることは、これまでこのブログで何度となく書いてきたように、MLBではむしろ常識であり、プレーヤーや監督コーチにもそういうものとして受け止められている。
だが、この2013 ALCS Game 6でみられた「球審Dan Iassognaの明白なボストン寄り判定」は、そうした「MLBでの常識的なアンパイアの個人差の範囲」を著しく逸脱している。
理由は、前記事にみたように、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球について著しく不利な判定を行うだけでなく、以下にみるように、ボストン先発クレイ・バックホルツを中心に、ボストンの投手について有利な判定も同時に行っているからである。
ゆえに、2013 ALCS Game 6球審Dan Iassognaの判定については、あえて「意図的な贔屓行為」と断定させてもらう。
ちなみに、Dan Iassognaは、2013ALCS game 4の2回裏のセカンドでの判定でも、二塁塁審として悪質な「ボストン寄り判定」をやってのけている。(下記のアニメGIF参照)
1死満塁のデトロイトのチャンスで、バッターはまたしても元ボストンのホセ・イグレシアス。平凡なセカンドゴロを、ダブルプレーを焦ったペドロイアがハンブルしたことからダブルプレーが成立しなかったプレーだが、ペドロイアからのトスを捕球したショートのドリューの足は「完全にセカンドベースから離れて」いる。
via We have a new Worst Call of the Month - Baseball Nation By Rob Neyer
上の図は、ボストン投手陣のデトロイトの右打者に関する判定マップだ。四角い黒枠の右下部分に赤色の四角形が多数点在している。これは、2013 ALCS Game 6 球審のDan Iassognaが、「ボストンの投手に関しては、右打者のアウトローの投球を「非常に積極的にストライク判定」したこと」を意味している。
アウトローの拡大図
「右打者アウトロー部分の判定の差異」を明確にするために、図を拡大して比較してみると、両軍の判定結果は以下のようになる。図で、赤色は「ストライク判定」、緑色は「ボール判定」を示す。
結果はいうまでもない。球審Dan Iassognaが両軍投手の判定において、「著しく差をつけることを前提に判定した」ことは、明白だ。
ボストン側投手
デトロイト側投手
ただし、あくまでここまで挙げたデータは、「打者が見逃した球の判定のみ」について書いていることを忘れてもらっては困る。
実際のゲームでは、デトロイト側の、特に右打者は「これだけアウトコース低めをストライク判定されるとわかっているゲーム」では、アウトコース低めに手を出さざるをえないし、他方、ボストン側の特に右打者にとってこのゲームは「アウトコース低めをストライク判定される心配の少ないゲーム」なのであって、安心して打ちにくいアウトコース低めを捨て、甘い球を待つことができた。
これほど著しい不利が他にあるだろうか。
では、以下に具体的な打席例をみてみる。
特に最悪なのは、球審Dan Iassognaが、コントロールの悪いボストン先発クレイ・バックホルツが四球を出すのを、要所要所でストライク判定して、あからさまにアシストしたことだ。じっくりデータ上で確かめてもらいたい。
2013ボストンはたしかに勝ちゲーム終盤のブルペンには絶対の自信をもつチームだが、もしゲーム中盤で先発バックホルツが劣勢のスコアのまま降板するようなことが起きると、ボストン側は田沢以下の鉄壁のリリーフを繰り出すことができない。だから、ゲーム中盤でピンチを作ることでバックホルツの球数がいたずらに増えてしまえば、ボストンの劣勢どころか、致命傷につながる。
だからこそ、以下で示すような球審Dan Iassognaの「ボストンに四球がなるべく出ないようにするアシスト」は、試合結果を直接左右するような悪質な行為だ。
投手:バックホルツ
場面:二死ランナー無し
結果:カウント3-0からのアウトコース低めの球を「ストライク判定」。6球目のアウトコースのボール球に手を出すが、それがライト前ヒットになり、出塁
カウント3-0でのストライク判定だから。もしこの4球目が「ボール判定」だったら、インファンテはすんなり四球だった。
だが、球審Dan Iassognaは、あれだけボストンの9番打者ボガーツに四球を与える有利な判定を何度も何度も執拗に行っておきながら(前記事参照)、デトロイトの打者についてはまるで真逆のストライク判定を浴びせることで、四球による出塁を何度も阻止している。
この判定でアウトコースに手を出さざるをえなくなったインファンテは、6球目の「明らかなボール球」に手を出して、これがライト前ヒットになって出塁しているわけだが、いうまでもなく、ボール球を打ってのヒットはあくまで「結果オーライ」にすぎない。
追い込まれて6球目のボール球に手を出さざるをえない状況を作られてしまっていなければ、このクソボールをすんなり見逃して四球で出塁することはより容易だったはずだ。
投手:バックホルツ
場面:二死1塁
結果:カウント1-0からのアウトコース低めのきわどい球を「ストライク判定」され、平行カウント1-1に。次の3球目で真ん中低めの「ゾーンから外れたチェンジアップ」に手を出し、ファーストゴロ。チェンジ
上で書いたインファンテの出塁直後のジャクソンの打席。いくらジャクソンが不調とはいえ、ランナーがいる状況でカウント2-0になっていれば、嫌でもバックホルツ投手には重いプレッシャーがかかる。だが、球審Dan Iassognaは、バックホルツの2球目のアウトコース低めをストライク判定してバックホルツをアシストした。
投手:バックホルツ
場面:一死走者無し
結果:ボールが2球続いた後の「アウトコース低め」を「ストライク判定」。その後、粘って四球
この場面、もし3球目の判定がボールなら、カウントは3-0で、四球による出塁がみえてくる。
だが球審Dan Iassognaは、またしても「アウトコース低め」をストライク判定するやりくちで、コントロールの悪いバックホルツが四球で走者を2人に増やし、ピンチになるのを阻止した。
それでもジャクソンは粘って、結果的にコントロールの悪いバックホルツから四球で出塁したのだが、なんと、ここでも元ボストンのイグレシアスが2球目のインハイのなんでもない球を内野ゴロにして、ダブルプレー。バックホルツを「内側から」アシストした。
投手:モラレス
場面:無死満塁
結果:2球目の「真ん中低めのカーブ」を「ストライク判定」され、カウント1-1。その後、2点タイムリー
無死満塁の場面だから、いうまでもなくもし2球目が「ボール判定」でカウント2-0になっていたら、ボストンのリリーフ、モラレスに「押し出し」へのプレッシャーが非常に大きくのしかかったはずだ。
だが、球審Dan Iassognaはこの低く外れた球をストライクコールすることで、ボストンをアシストした。
だがそれでも、好打者ビクター・マルチネスは4球目インローの難しい球をレフト前に2点タイムリーして、試合を逆転。彼は出塁した塁上から、プレート方向を睨みつけて吠えた。よほど、2球目の判定が頭にきたのだと思われる。彼はキャッチャー出身だから、このゲームの異常さに気がついていないわけがない。
投手:ブレスロー
場面:1死ランナー無し
結果:三振
度重なる不利な判定にもめげず、デトロイト先発マックス・シャーザーは、7回の1死2塁で、球審Dan Iassognaがアシストし続けた問題の9番ボガーツに、フルカウントから渾身のチェンジアップを「問題のアウトコース低め一杯」に投じた。
だが、球審Dan Iassognaは執拗なアウトローのボール判定で、ボガーツが三振するのを防いでやり、同時に、シャーザーの続投を徹底的に阻止した。球審によって次々と作られるピンチにもめげず、火を噴くような粘りをみせたシャーザーだが、7回にとうとう三振のはずのチェンジアップを四球と判定され降板。この球審Dan Iassognaのボストンへの一方的なアシストを発端に、2-5と逆転されたデトロイトに、もう反撃のエネルギーは残っていなかった。
まるで「ぬけがら」だった8回の打席に立つビクター・マルチネスの姿が痛々しかった。6回の無死満塁で2点タイムリーを打って、塁上でホームプレートに向かって吠え、チームに勢いを再びつけた彼にさえ、もう気力は残されていなかった。
2012シーズン全体を棒にふるような大怪我から見事に復帰してみせたビクター・マルチネスには、個人的にカムバック賞の受賞を願っておきたい。
そして、まだ発表はないが、2013年のサイ・ヤング賞をとるであろうマックス・シャーザーに、心から「おめでとう」と言いたい。
おめでとう、マックス・シャーザー。
(1)総合データ編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
(2)マックス・シャーザー編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic
マックス・シャーザーの投球に関する「不利」な判定の具体例に続き、こんどは2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、ボストン投手陣に対する「有利」な判定について、データを記録する。
球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」は、ひとつには、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球に執拗なボール判定を彼が降板するまで浴びせ続けるという陰湿な形で、ボストン側のあらゆるチャンスと得点の全てに抜き差しならぬ関係で絡んでいたのを確かめたわけだが、この悪行はもちろんそれのみで終わらず、もうひとつ、ボストン先発クレイ・バックホルツの投球に有利な判定をする、という形でも著しい偏りをみせている。
アンパイアの判定の「ゆらぎ」は、もしそれが「両軍に等しく生じる」ものであるなら、これほど問題にしたりはしない。
MLBアンパイアには、「ゾーンの狭さや広さ」、「ゾーンの形状の偏り」といった判定基準において、MLB特有といえる「非常に大きな個人差」が容認されており、判定基準はアンパイアごと、ゲームごとに非常に大きく変化してしまうものであることは、これまでこのブログで何度となく書いてきたように、MLBではむしろ常識であり、プレーヤーや監督コーチにもそういうものとして受け止められている。
だが、この2013 ALCS Game 6でみられた「球審Dan Iassognaの明白なボストン寄り判定」は、そうした「MLBでの常識的なアンパイアの個人差の範囲」を著しく逸脱している。
理由は、前記事にみたように、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球について著しく不利な判定を行うだけでなく、以下にみるように、ボストン先発クレイ・バックホルツを中心に、ボストンの投手について有利な判定も同時に行っているからである。
ゆえに、2013 ALCS Game 6球審Dan Iassognaの判定については、あえて「意図的な贔屓行為」と断定させてもらう。
ちなみに、Dan Iassognaは、2013ALCS game 4の2回裏のセカンドでの判定でも、二塁塁審として悪質な「ボストン寄り判定」をやってのけている。(下記のアニメGIF参照)
1死満塁のデトロイトのチャンスで、バッターはまたしても元ボストンのホセ・イグレシアス。平凡なセカンドゴロを、ダブルプレーを焦ったペドロイアがハンブルしたことからダブルプレーが成立しなかったプレーだが、ペドロイアからのトスを捕球したショートのドリューの足は「完全にセカンドベースから離れて」いる。
via We have a new Worst Call of the Month - Baseball Nation By Rob Neyer
クレイ・バックホルツ vs デトロイト右打者
アウトローのストライク判定
上の図は、ボストン投手陣のデトロイトの右打者に関する判定マップだ。四角い黒枠の右下部分に赤色の四角形が多数点在している。これは、2013 ALCS Game 6 球審のDan Iassognaが、「ボストンの投手に関しては、右打者のアウトローの投球を「非常に積極的にストライク判定」したこと」を意味している。
アウトローの拡大図
「右打者アウトロー部分の判定の差異」を明確にするために、図を拡大して比較してみると、両軍の判定結果は以下のようになる。図で、赤色は「ストライク判定」、緑色は「ボール判定」を示す。
結果はいうまでもない。球審Dan Iassognaが両軍投手の判定において、「著しく差をつけることを前提に判定した」ことは、明白だ。
ボストン側投手
デトロイト側投手
ただし、あくまでここまで挙げたデータは、「打者が見逃した球の判定のみ」について書いていることを忘れてもらっては困る。
実際のゲームでは、デトロイト側の、特に右打者は「これだけアウトコース低めをストライク判定されるとわかっているゲーム」では、アウトコース低めに手を出さざるをえないし、他方、ボストン側の特に右打者にとってこのゲームは「アウトコース低めをストライク判定される心配の少ないゲーム」なのであって、安心して打ちにくいアウトコース低めを捨て、甘い球を待つことができた。
これほど著しい不利が他にあるだろうか。
では、以下に具体的な打席例をみてみる。
特に最悪なのは、球審Dan Iassognaが、コントロールの悪いボストン先発クレイ・バックホルツが四球を出すのを、要所要所でストライク判定して、あからさまにアシストしたことだ。じっくりデータ上で確かめてもらいたい。
2013ボストンはたしかに勝ちゲーム終盤のブルペンには絶対の自信をもつチームだが、もしゲーム中盤で先発バックホルツが劣勢のスコアのまま降板するようなことが起きると、ボストン側は田沢以下の鉄壁のリリーフを繰り出すことができない。だから、ゲーム中盤でピンチを作ることでバックホルツの球数がいたずらに増えてしまえば、ボストンの劣勢どころか、致命傷につながる。
だからこそ、以下で示すような球審Dan Iassognaの「ボストンに四球がなるべく出ないようにするアシスト」は、試合結果を直接左右するような悪質な行為だ。
2回オマー・インファンテ4球目カウント:3-0
投手:バックホルツ
場面:二死ランナー無し
結果:カウント3-0からのアウトコース低めの球を「ストライク判定」。6球目のアウトコースのボール球に手を出すが、それがライト前ヒットになり、出塁
カウント3-0でのストライク判定だから。もしこの4球目が「ボール判定」だったら、インファンテはすんなり四球だった。
だが、球審Dan Iassognaは、あれだけボストンの9番打者ボガーツに四球を与える有利な判定を何度も何度も執拗に行っておきながら(前記事参照)、デトロイトの打者についてはまるで真逆のストライク判定を浴びせることで、四球による出塁を何度も阻止している。
この判定でアウトコースに手を出さざるをえなくなったインファンテは、6球目の「明らかなボール球」に手を出して、これがライト前ヒットになって出塁しているわけだが、いうまでもなく、ボール球を打ってのヒットはあくまで「結果オーライ」にすぎない。
追い込まれて6球目のボール球に手を出さざるをえない状況を作られてしまっていなければ、このクソボールをすんなり見逃して四球で出塁することはより容易だったはずだ。
2回オースティン・ジャクソン2球目カウント:1-0
投手:バックホルツ
場面:二死1塁
結果:カウント1-0からのアウトコース低めのきわどい球を「ストライク判定」され、平行カウント1-1に。次の3球目で真ん中低めの「ゾーンから外れたチェンジアップ」に手を出し、ファーストゴロ。チェンジ
上で書いたインファンテの出塁直後のジャクソンの打席。いくらジャクソンが不調とはいえ、ランナーがいる状況でカウント2-0になっていれば、嫌でもバックホルツ投手には重いプレッシャーがかかる。だが、球審Dan Iassognaは、バックホルツの2球目のアウトコース低めをストライク判定してバックホルツをアシストした。
5回オースティン・ジャクソン3球目カウント:2-0
投手:バックホルツ
場面:一死走者無し
結果:ボールが2球続いた後の「アウトコース低め」を「ストライク判定」。その後、粘って四球
この場面、もし3球目の判定がボールなら、カウントは3-0で、四球による出塁がみえてくる。
だが球審Dan Iassognaは、またしても「アウトコース低め」をストライク判定するやりくちで、コントロールの悪いバックホルツが四球で走者を2人に増やし、ピンチになるのを阻止した。
それでもジャクソンは粘って、結果的にコントロールの悪いバックホルツから四球で出塁したのだが、なんと、ここでも元ボストンのイグレシアスが2球目のインハイのなんでもない球を内野ゴロにして、ダブルプレー。バックホルツを「内側から」アシストした。
6回ビクター・マルチネス2球目カウント:1-0
投手:モラレス
場面:無死満塁
結果:2球目の「真ん中低めのカーブ」を「ストライク判定」され、カウント1-1。その後、2点タイムリー
無死満塁の場面だから、いうまでもなくもし2球目が「ボール判定」でカウント2-0になっていたら、ボストンのリリーフ、モラレスに「押し出し」へのプレッシャーが非常に大きくのしかかったはずだ。
だが、球審Dan Iassognaはこの低く外れた球をストライクコールすることで、ボストンをアシストした。
だがそれでも、好打者ビクター・マルチネスは4球目インローの難しい球をレフト前に2点タイムリーして、試合を逆転。彼は出塁した塁上から、プレート方向を睨みつけて吠えた。よほど、2球目の判定が頭にきたのだと思われる。彼はキャッチャー出身だから、このゲームの異常さに気がついていないわけがない。
ビクター・マルチネスが、ファースト上で、球審のほう睨みつけて、吠えてた。そりゃそうだ。0-1からの球、低いのを、ストライクコールしやがったから。ザマミロ、球審。って、感じだろう。
— damejima (@damejima) October 20, 2013
8回ビクター・マルチネス初球カウント:初球
投手:ブレスロー
場面:1死ランナー無し
結果:三振
右バッターにこれだけ酷いピッチングしたバックホルツがもちこたえてたのは、ひとえに球審がありえないアウトコース低めのアドバンテージをボストン側だけに与えてたから。
— damejima (@damejima) October 20, 2013
度重なる不利な判定にもめげず、デトロイト先発マックス・シャーザーは、7回の1死2塁で、球審Dan Iassognaがアシストし続けた問題の9番ボガーツに、フルカウントから渾身のチェンジアップを「問題のアウトコース低め一杯」に投じた。
だが、球審Dan Iassognaは執拗なアウトローのボール判定で、ボガーツが三振するのを防いでやり、同時に、シャーザーの続投を徹底的に阻止した。球審によって次々と作られるピンチにもめげず、火を噴くような粘りをみせたシャーザーだが、7回にとうとう三振のはずのチェンジアップを四球と判定され降板。この球審Dan Iassognaのボストンへの一方的なアシストを発端に、2-5と逆転されたデトロイトに、もう反撃のエネルギーは残っていなかった。
まるで「ぬけがら」だった8回の打席に立つビクター・マルチネスの姿が痛々しかった。6回の無死満塁で2点タイムリーを打って、塁上でホームプレートに向かって吠え、チームに勢いを再びつけた彼にさえ、もう気力は残されていなかった。
2012シーズン全体を棒にふるような大怪我から見事に復帰してみせたビクター・マルチネスには、個人的にカムバック賞の受賞を願っておきたい。
そして、まだ発表はないが、2013年のサイ・ヤング賞をとるであろうマックス・シャーザーに、心から「おめでとう」と言いたい。
おめでとう、マックス・シャーザー。
damejima at 10:01
前記事:
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
引き続いて、2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、こんどは具体的なシチュエーションに沿ってデータを記録する。
以下にみるように、2013ALCS Game 6におけるボストンのチャンスと得点の全てに、球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」が、それも、抜き差しならぬ関係で絡んでいる。
アンパイアの判定ミスや、その背景にあるアンパイアの個人差やMLB特有のストライクゾーンの特徴などについて、国内の他のどんなメディアやブログよりも多数の事例を指摘してきた自負があるが、これまでこういう「断定」は一度もしたことがないのだが、この「Dan Iassognaのボストン寄り判定」については、あえて「意図的な贔屓である」と断定させてもらう。
なぜなら、以下にみるように、これらの悪質な判定が、
「その1球の判定が、もしボールでなく、ストライクだったなら、ゲーム局面がまるで変わっていた、という特定の場面に限って、それも、執拗に繰り返し繰り返し行われた」からであり、加えて、「事例の大半が、9番ボガーツから打順が上位にかえっていく、まったく同じシチュエーションに集中していて、ボストン側の全てのチャンスメイクと得点をアシストしている」からだ。
正直、酷い判定もたくさん見てはきたが、これほど「意図的であると断定するほかないようなアンパイアの最悪な判定偏向」は、いまだかつて見たことがない。
バックホルツの投球のかなりのボール球をストライク判定したり、シャーザーの左バッターへの投球をボール判定したり、このゲームの球審 Dan Iassognaの悪質な判定例は他にも数かぎりなくパターンがあるが、このゲームで最もありありと「むきだしの作為と悪意」が感じられる愚劣な判定が、以下に挙げるマックス・シャーザーの右バッターのアウトローへの投球をことごとく「ボール判定」した事例の数々だ。
これらはもうMLBというより、スポーツを冒涜しているとしか言いようがない。本当に許しがたい。
投手:シャーザー
場面:先頭打者
結果:カウント0-2から「三球三振」のはずが、四球を与えるほどのボール判定の連続
投手:シャーザー
場面:球審の作りだしたボガーツの四球で、無死1塁
結果:カウント1-1、2-2から2度にわたるボール判定。その後、四球
もし、ボガーツのアウトロー3球の判定のうち、どれかひとつでも「ストライクコール」だったら、彼は「三振」だった。
あえて断定させてもらうが、球審Dan Iassognaは執拗なボールコールで、故意にボガーツの三振を避けさせ続けることで、ボストンにのみ有利な攻撃シチュエーションを与え続けた」。そして、そうしたDan Iassognaの悪意ある贔屓判定は「ボガーツ」に明らかに集中している。
この「ボガーツの打席における執拗なアウトローのボール判定によって、ボストン側にのみ得点チャンスを作りだす行為」は、このゲームでシャーザーが降板するまで、球審Dan Iassognaによって執拗かつ途切れることなく続けられた。
球審Dan Iassognaは、このイニングで、ボガーツの四球だけで飽き足りず、次打者の左打者エルズベリーのインローの判定でもボール判定を続けまくって四球にさせ、無死1、2塁のピンチを強引に演出した。
だがシャーザーは、無死1、2塁で送りバントをしたシェーン・ビクトリーノの小フライをスライディングキャッチするファインプレーをみせ、その後もペドロイアをダブルプレーに仕留める奮闘ぶりで、このピンチをしのいでみせた。
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント1-2から「三振」のはずが、ボール判定。二塁打。次打者のエルズベリーにタイムリーが出て、ボストン先制。
3回の悪質な判定に続き、打者は、またしてもボガーツだ。明らかに球審Dan Iassognaはボガーツの打席で「仕掛け」ようと狙い続けていた。この打席の4球目の判定も、三振だったはずの3回とまったく同様であり、もし4球目が「ストライク判定」だったら、ボガーツは「三振」で、しかも「チェンジ」だった。この「球審Dan Iassognaの悪質な意図的判定ぶり」には呆れるほかない。
ボガーツに二塁打を浴びたシャーザーは、次の左打者エルズベリーの初球に投げたチェンジアップが甘くなり、先制タイムリーを浴びてしまうことになる。
注:問題の「4球目」が「黒い枠線」の右のライン上にあるように見えるため、「きわどい判定」のように勘違いするかもしれないが、この「黒い枠線」は「ルールブック上のストライクゾーン」を意味しているのであって、実際のストライクゾーンはもっと外に広い。すなわち、この「4球目」は「余裕でストライク」なのだ。
投手:シャーザー
場面:無死1塁
結果:四球
5回に、4球目のストレートで三振だったはずのボガーツが、球審Dan Iassognaのねじまがった判定で三振をまぬがれて打った二塁打が元で1点リードされたデトロイトだが、6回表にビクター・マルチネスの執念の2点タイムリーで逆転に成功する。
だが、直後の6回。先頭のシェーン・ビクトリーノがデッドボールで歩いた後のペドロイアの打席で、またしても球審Dan Iassognaはなんと初球から3球目まで、まったく右手を挙げようとしなかった。結果ペドロイアが歩いて、無死1、2塁の絶対絶命のピンチ。これを「悪質な意図的判定」といわずして、何を悪質というのだ。
だが、シャーザーは動じず、続くオルティーズ、ナポリ、サルタラマキアを3者連続でうちとる入魂の投球をみせ、この大ピンチをしのぎきってみせた。
投手:シャーザー
場面:一死2塁
結果:カウント3-2からボール判定。四球
3回、5回に続き、7回のボガーツの打席でもそれは起こった。
7回の「6球目の判定」も、3回と5回、2つの打席と同じであって、もしこの判定が「正しく、ストライクコールされていたら、ボガーツは三振していた」のである。
このような「もしストライクコールだったら三振」という打席が「ボガーツだけ、3打席続いた」ことになる。こんな悪質な行為を、「偶然」だの「ミス」だのと甘ったるい言葉で済ますようなことはしない。遠慮なく「球審Dan Iassognaの意図的悪意に基づく判定」と言わせてもらう。
球審が故意に作り上げたボガーツの四球によって、1死1、2塁となり、マック・シャーザーは、彼の魂がこもったマウンドから引きずり降ろされた。
だが、球審の判定さえマトモで正気だったなら、ここは本来は「2死2塁」だったはずである。当然、粘りをみせていたシャーザーを監督リーランドが降板させることはなかった可能性がある。さらに、あえてタラレバいわせてもらえば、次打者のエルズベリーをうちとって、それで「チェンジ」だった可能性もある。
だが、実際には、球審Dan Iassognaがボガーツの「故意の四球」によって意図的に作り続けた1死1、2塁のピンチで、エルズベリーの「明らかにダブルプレーにできるショートゴロ」を、ボストンから来た愚鈍なホセ・イグレシアスがハンブルして、ビクトリーノの馬鹿げたグランドスラムを呼び込むことになる。出来過ぎた筋書きである。
ここまで見てきたように、あらゆるボストンの得点とチャンスメイクに、球審Dan Iassognaの「右打者のアウトローのボストン寄り判定」が絡んでいるわけだが、では、「左打者」に関してはそういう愚劣な判定はなかったのかというと、もちろんそんなことはない。上に既に挙げておいた3回の左打者エルズベリー以外の例をいちおう挙げておく。
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント0-1からボール判定。その後三振
下記の図で、2球目の位置が非常にわかりづらいと思う。
というのは、「2球目を示す緑色の円が、4球目を示す赤色の円の『陰』に、ほぼすっぽりと隠れてしまっていて見えにくい」からだ。(目をこらせば、やや右下に緑色部分がほんの少しにじんで見えているのがわかると思う)つまり、それくらい2球目と4球目は同じ位置にあるということだ。
判定は2球目はボール、4球目はストライクだ。いかにこの球審の判定が酷いかがよくわかる。
以下、(3)バックホルツ編に続く。
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編
引き続いて、2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、こんどは具体的なシチュエーションに沿ってデータを記録する。
以下にみるように、2013ALCS Game 6におけるボストンのチャンスと得点の全てに、球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」が、それも、抜き差しならぬ関係で絡んでいる。
アンパイアの判定ミスや、その背景にあるアンパイアの個人差やMLB特有のストライクゾーンの特徴などについて、国内の他のどんなメディアやブログよりも多数の事例を指摘してきた自負があるが、これまでこういう「断定」は一度もしたことがないのだが、この「Dan Iassognaのボストン寄り判定」については、あえて「意図的な贔屓である」と断定させてもらう。
なぜなら、以下にみるように、これらの悪質な判定が、
「その1球の判定が、もしボールでなく、ストライクだったなら、ゲーム局面がまるで変わっていた、という特定の場面に限って、それも、執拗に繰り返し繰り返し行われた」からであり、加えて、「事例の大半が、9番ボガーツから打順が上位にかえっていく、まったく同じシチュエーションに集中していて、ボストン側の全てのチャンスメイクと得点をアシストしている」からだ。
正直、酷い判定もたくさん見てはきたが、これほど「意図的であると断定するほかないようなアンパイアの最悪な判定偏向」は、いまだかつて見たことがない。
マックス・シャーザー vs ボストン右打者
アウトローでの徹底的なボール判定
バックホルツの投球のかなりのボール球をストライク判定したり、シャーザーの左バッターへの投球をボール判定したり、このゲームの球審 Dan Iassognaの悪質な判定例は他にも数かぎりなくパターンがあるが、このゲームで最もありありと「むきだしの作為と悪意」が感じられる愚劣な判定が、以下に挙げるマックス・シャーザーの右バッターのアウトローへの投球をことごとく「ボール判定」した事例の数々だ。
これらはもうMLBというより、スポーツを冒涜しているとしか言いようがない。本当に許しがたい。
3回ボガーツ3球目・5球目・7球目カウント:0-2、2-2、3-2
投手:シャーザー
場面:先頭打者
結果:カウント0-2から「三球三振」のはずが、四球を与えるほどのボール判定の連続
3回エルズベリー3球目・5球目カウント:1-1、2-2
投手:シャーザー
場面:球審の作りだしたボガーツの四球で、無死1塁
結果:カウント1-1、2-2から2度にわたるボール判定。その後、四球
もし、ボガーツのアウトロー3球の判定のうち、どれかひとつでも「ストライクコール」だったら、彼は「三振」だった。
あえて断定させてもらうが、球審Dan Iassognaは執拗なボールコールで、故意にボガーツの三振を避けさせ続けることで、ボストンにのみ有利な攻撃シチュエーションを与え続けた」。そして、そうしたDan Iassognaの悪意ある贔屓判定は「ボガーツ」に明らかに集中している。
この「ボガーツの打席における執拗なアウトローのボール判定によって、ボストン側にのみ得点チャンスを作りだす行為」は、このゲームでシャーザーが降板するまで、球審Dan Iassognaによって執拗かつ途切れることなく続けられた。
球審Dan Iassognaは、このイニングで、ボガーツの四球だけで飽き足りず、次打者の左打者エルズベリーのインローの判定でもボール判定を続けまくって四球にさせ、無死1、2塁のピンチを強引に演出した。
だがシャーザーは、無死1、2塁で送りバントをしたシェーン・ビクトリーノの小フライをスライディングキャッチするファインプレーをみせ、その後もペドロイアをダブルプレーに仕留める奮闘ぶりで、このピンチをしのいでみせた。
5回ボガーツ4球目カウント:1-2
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント1-2から「三振」のはずが、ボール判定。二塁打。次打者のエルズベリーにタイムリーが出て、ボストン先制。
3回の悪質な判定に続き、打者は、またしてもボガーツだ。明らかに球審Dan Iassognaはボガーツの打席で「仕掛け」ようと狙い続けていた。この打席の4球目の判定も、三振だったはずの3回とまったく同様であり、もし4球目が「ストライク判定」だったら、ボガーツは「三振」で、しかも「チェンジ」だった。この「球審Dan Iassognaの悪質な意図的判定ぶり」には呆れるほかない。
ボガーツに二塁打を浴びたシャーザーは、次の左打者エルズベリーの初球に投げたチェンジアップが甘くなり、先制タイムリーを浴びてしまうことになる。
注:問題の「4球目」が「黒い枠線」の右のライン上にあるように見えるため、「きわどい判定」のように勘違いするかもしれないが、この「黒い枠線」は「ルールブック上のストライクゾーン」を意味しているのであって、実際のストライクゾーンはもっと外に広い。すなわち、この「4球目」は「余裕でストライク」なのだ。
6回ペドロイア1・2・3球目カウント:0-0、1-0、2-0
投手:シャーザー
場面:無死1塁
結果:四球
5回に、4球目のストレートで三振だったはずのボガーツが、球審Dan Iassognaのねじまがった判定で三振をまぬがれて打った二塁打が元で1点リードされたデトロイトだが、6回表にビクター・マルチネスの執念の2点タイムリーで逆転に成功する。
だが、直後の6回。先頭のシェーン・ビクトリーノがデッドボールで歩いた後のペドロイアの打席で、またしても球審Dan Iassognaはなんと初球から3球目まで、まったく右手を挙げようとしなかった。結果ペドロイアが歩いて、無死1、2塁の絶対絶命のピンチ。これを「悪質な意図的判定」といわずして、何を悪質というのだ。
だが、シャーザーは動じず、続くオルティーズ、ナポリ、サルタラマキアを3者連続でうちとる入魂の投球をみせ、この大ピンチをしのぎきってみせた。
7回ボガーツ6球目カウント:3-2
投手:シャーザー
場面:一死2塁
結果:カウント3-2からボール判定。四球
3回、5回に続き、7回のボガーツの打席でもそれは起こった。
7回の「6球目の判定」も、3回と5回、2つの打席と同じであって、もしこの判定が「正しく、ストライクコールされていたら、ボガーツは三振していた」のである。
このような「もしストライクコールだったら三振」という打席が「ボガーツだけ、3打席続いた」ことになる。こんな悪質な行為を、「偶然」だの「ミス」だのと甘ったるい言葉で済ますようなことはしない。遠慮なく「球審Dan Iassognaの意図的悪意に基づく判定」と言わせてもらう。
球審が故意に作り上げたボガーツの四球によって、1死1、2塁となり、マック・シャーザーは、彼の魂がこもったマウンドから引きずり降ろされた。
だが、球審の判定さえマトモで正気だったなら、ここは本来は「2死2塁」だったはずである。当然、粘りをみせていたシャーザーを監督リーランドが降板させることはなかった可能性がある。さらに、あえてタラレバいわせてもらえば、次打者のエルズベリーをうちとって、それで「チェンジ」だった可能性もある。
だが、実際には、球審Dan Iassognaがボガーツの「故意の四球」によって意図的に作り続けた1死1、2塁のピンチで、エルズベリーの「明らかにダブルプレーにできるショートゴロ」を、ボストンから来た愚鈍なホセ・イグレシアスがハンブルして、ビクトリーノの馬鹿げたグランドスラムを呼び込むことになる。出来過ぎた筋書きである。
マックス・シャーザー vs ボストン左打者
インローでのボール判定
ここまで見てきたように、あらゆるボストンの得点とチャンスメイクに、球審Dan Iassognaの「右打者のアウトローのボストン寄り判定」が絡んでいるわけだが、では、「左打者」に関してはそういう愚劣な判定はなかったのかというと、もちろんそんなことはない。上に既に挙げておいた3回の左打者エルズベリー以外の例をいちおう挙げておく。
2回ドリュー2球目カウント:0-1
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント0-1からボール判定。その後三振
下記の図で、2球目の位置が非常にわかりづらいと思う。
というのは、「2球目を示す緑色の円が、4球目を示す赤色の円の『陰』に、ほぼすっぽりと隠れてしまっていて見えにくい」からだ。(目をこらせば、やや右下に緑色部分がほんの少しにじんで見えているのがわかると思う)つまり、それくらい2球目と4球目は同じ位置にあるということだ。
判定は2球目はボール、4球目はストライクだ。いかにこの球審の判定が酷いかがよくわかる。
以下、(3)バックホルツ編に続く。
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編
damejima at 02:38
October 20, 2013
野球という「自分の好きなスポーツ」を見ていて、こんな不愉快な、というより、胸くそ悪い気分になったことは、非常に珍しい。1球や2球程度の判定のバラつきなら、これほどまでに怒りがこみあげてはこない。
2つのチームで判定を「ボストンはストライク」「デトロイトはボール」と分けた理由を、この悪質な球審 Dan Iassognaに問いただしたいものだ。
Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic
以下に可能なかぎりのデータをどんどん追加していく。
右打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
出典:2013年10月19日 ALCS Game 6 DET vs BOS | 球審:Dan Iassogna | BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
左打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
ボストンの投手 vs デトロイトの右打者
この図は、上のオリジナルから「ボストンの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。ボストン先発バックホルツがどれほど制球に苦しんでいたか、そして、バックホルツとボストンがどれだけ要所要所で「球審のアシスト」を受けていたか、ハッキリわかる。
例えば、右下あたりに注目してもらいたい。赤色の四角形が「枠の外」に数多くある。これは、「右バッターのアウトコース低めの球が、ストライクと判定されていること」を示している。
こうした赤色の四角形は、ほかにも、ゾーンの真ん中の下あたりにも2つほどある。このうち、より低めに外れているほうが、6回にタイムリーヒットを打ったビクター・マルチネス(右打席)への2球目(ストライク判定)だ。いかに酷い判定だったかが、データ上ではっきり確認できる。
デトロイトの投手 vs ボストンの右打者
この図は、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」に非常にたくさん並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた右バッターのアウトコース低めの球が、数多く『ボール』と判定されていること」を示している。
マックス・シャーザーは、こうした球審のあからさまな悪意に満ちた判定に苦しめられながらも粘り抜いた。彼の魂の投球を横を向いてボールと判定し続けた、この外道の球審Dan Iassognaは、いったい何を思いながら判定していたのだろうか。
デトロイトの投手 vs ボストンの左打者
この図は、同じく、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
やはり、右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」と「枠の上」に2つほど並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた左バッターのインコース低めの球が、『ボール』と判定された例」を示している。
以降の2つの記事で、各打者ごとの判定と、その判定の行われたシチュエーションを記録し、Dan Iassognaの歪んだ判定がどれだけ試合展開を決定的に左右したかについて、詳細に記録する。
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編
2つのチームで判定を「ボストンはストライク」「デトロイトはボール」と分けた理由を、この悪質な球審 Dan Iassognaに問いただしたいものだ。
Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic
以下に可能なかぎりのデータをどんどん追加していく。
これほど不快なゲーム、見たことない。Dan Iassogna スポーツの面白さを台無しにしてくれてありがとう。おまえの名前、絶対忘れない。
— damejima (@damejima) October 20, 2013
元資料
右打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
出典:2013年10月19日 ALCS Game 6 DET vs BOS | 球審:Dan Iassogna | BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
左打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
ボストン側判定
ボストンの投手 vs デトロイトの右打者
この図は、上のオリジナルから「ボストンの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。ボストン先発バックホルツがどれほど制球に苦しんでいたか、そして、バックホルツとボストンがどれだけ要所要所で「球審のアシスト」を受けていたか、ハッキリわかる。
例えば、右下あたりに注目してもらいたい。赤色の四角形が「枠の外」に数多くある。これは、「右バッターのアウトコース低めの球が、ストライクと判定されていること」を示している。
こうした赤色の四角形は、ほかにも、ゾーンの真ん中の下あたりにも2つほどある。このうち、より低めに外れているほうが、6回にタイムリーヒットを打ったビクター・マルチネス(右打席)への2球目(ストライク判定)だ。いかに酷い判定だったかが、データ上ではっきり確認できる。
デトロイト側判定
デトロイトの投手 vs ボストンの右打者
この図は、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」に非常にたくさん並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた右バッターのアウトコース低めの球が、数多く『ボール』と判定されていること」を示している。
マックス・シャーザーは、こうした球審のあからさまな悪意に満ちた判定に苦しめられながらも粘り抜いた。彼の魂の投球を横を向いてボールと判定し続けた、この外道の球審Dan Iassognaは、いったい何を思いながら判定していたのだろうか。
デトロイトの投手 vs ボストンの左打者
この図は、同じく、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
やはり、右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」と「枠の上」に2つほど並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた左バッターのインコース低めの球が、『ボール』と判定された例」を示している。
以降の2つの記事で、各打者ごとの判定と、その判定の行われたシチュエーションを記録し、Dan Iassognaの歪んだ判定がどれだけ試合展開を決定的に左右したかについて、詳細に記録する。
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編
damejima at 13:43
October 14, 2013
2年連続地区優勝を果たし、レギュラーシーズンでは十分に最優秀監督賞に値する働きを示したボブ・メルビンだが、ALDSでは投打のタレントの揃ったデトロイトを2勝1敗と追い詰めておきながら、メルビンの投手交代ミスでシリーズの流れを明け渡してしまい、あえなく敗退することになった。勝ちぬけるチャンスが十分あっただけに、もったいない。
(日本のプロ野球セ・リーグCSで、阪神の和田監督が、広島戦の先発投手として「藤浪」を選択する一方で、ヴェテランの能見投手をとうとう使わないまま敗退したばかりだが、メルビンと和田、2つの敗退が意味的に似ているのは確かだ)
敗退の直接の原因は、ハッキリしている。
「ボブ・メルビンの投手起用が的確でなかったこと」だ。
そして、遠因(というか、たぶんこちらが真の原因だと思うのだが)は、野球における才能や経験の有無ではなく、「メルビンの性格が、よくいえば慎重で論理的、悪く言えばスピードに欠け、後手に回りやすく、どこか弱気で、決定的な選択を回避しがちで、農耕的。全部をまとめていえば、『リニア』であること」にあると思う。
たとえでいうなら、レギュラーシーズンが、春の田植えから秋の稲刈りまで連綿と作業が続く稲作のような、定住農耕民的な世界だとするなら、他方、ポストシーズンでの戦いは、いわば「血なまぐさい狩り」だ。
「狩り」は、定住して畑を耕すような「必然性や因果律、約束事に縛られたリニアな世界」と違い、運やミスなど「偶然性にまみれたカオス的世界」だ。(注:カオスにおける偶然性には一定の「法則性」があり、それは無原則でもランダムでもない 参照:Damejima's HARDBALL:2012年11月9日、2012オクトーバー・ブック WS Game 4でフィル・コークが打たれた決勝タイムリーを準備した、イチローの『球速測定後ホームラン』 による『バルベルデ潰し』。)
そして「狩り」は、どこか血なまぐさい。ライオンが獲物のクビをへし折って確実に絶命させておいてからおもむろに食らうように、「獲物を仕留めるべきところ」では必ずトドメを刺す必要がある。
ALDS Game 4
OAK 1 0 0 0 2 0 1 0 2 6
DET 0 0 0 0 3 0 2 3 x 8
Oakland Athletics at Detroit Tigers - October 8, 2013 | MLB.com Classic
ALDS第4戦は、まさにオークランドにとって、「トドメを刺しそこなった狩り」だ。チェスや囲碁将棋に限らず、どんな勝負事でもそうだが、トドメを刺しそこなったら、流れは簡単には戻ってこない。
オークランドはこのゲームで一時は3点リードしている。だが、ゲーム終盤に死にかけたデトロイトに自らのミスで勢いを与えてしまい、息を吹き返したデトロイトに、この重要なゲームを与えてしまった。
終盤まで追いつ追われつの展開だったが、このポストシーズンでのデトロイトのキーマンのひとりになっているビクター・マルチネスの技ありのソロホームランを浴びて、5-4と1点リードを許した7回裏までの展開は、やむをえないし、それほど心配する必要もない。
なぜなら、「常に『クローザーというアキレス腱』を抱えるデトロイトという対戦相手は、1点差くらいなら、取り返しがつくチーム」だからだ。
去年までのクローザー、ホセ・バルベルデのセーブ失敗にもさんざん泣かされ続けたデトロイトだが、今のクローザーのベノワにしても、けして安定してはいない。だから、1点差くらいなら、たとえ9回裏でもなんとかなる。
だが、メルビンが8回裏に、2013レギュラーシーズンでERA6.04とまったく結果を残せていないブレット・アンダーソンを登板させたことは、致命傷だ。なぜならこれが「取り返しのつかないミス」だからだ。
7回表、デトロイト監督リーランドは思い切って2013サイ・ヤング賞最有力候補のマックス・シャーザーをリリーフ起用した。だが、この試合のシャーザーはコントロールが最悪で、1失点した上に、8回表には無死満塁のピンチを招き、このときデトロイトは一度死にかけた。
だが、無死満塁でのジョシュ・レディックの不用意な三振がきっかけで、死にかけのシャーザーは息を吹き返してしまい、その後の気迫のピッチングで失点を防ぎきってしまう。オークランドはトドメを刺しそこなった。
問題のメルビンの「アンダーソン起用」は、その「トドメを刺しそこなった」直後の重要な采配だった。
このとき、メルビンがなぜこういう「弱気な投手起用」をチョイスしたのかが、わからない。なぜなら、あの時点でマウンドに上がるオークランドの投手が対峙するのは、シャーザーが珍しく見せた「火を噴くような気迫」が野手に乗り移った「火の玉 デトロイト打線」だからだ。レギュラーシーズンですら実績を残せなかったアンダーソンでは、明らかに、この場面を乗り切るのに必要な経験も実績も足りなかった。
その後、点差が4点に広がってゲームが決まってしまった後で、オークランドはホワキン・ベノワを予定通り攻めてようやく2点返したが、結局、デトロイトの逃げ切りを許した。つまり、9回の攻撃がいくら「惜しい攻撃」のようにみえたとしても、結局それは4点差では「後手に回ったことの証」にしかならないのだ。
シャーザーをリリーフに使うという「老将ならではの気迫」を采配に見せたリーランド。勢いのないアンダーソンを使うことで、「この試合は負けてもいい、あと1試合あるさ」とでもいうような「農耕民的な緩み」をみせたメルビン。2人の指導者の選択の差が、試合結果に出た。
ALDS Game 5
DET 0 0 0 2 0 1 0 0 0 3
OAK 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
第4戦で「狩り」に失敗したメルビンは、第5戦先発に、どういう意図からかはわからないが、ヴェテランのバートロ・コロンではなく、ALDSで2度目の先発となる若いソニー・グレイを抜擢した(もちろん、この先発投手の選択の是非が後にファンの議論を巻き起こすことになった)
結果的には、若いグレイは、シリーズを決めるゲームのプレッシャーに押しつぶされてしまったようで、コントロールがまるで定まらなかった。またメルビンは、リーランドがあのシャーザーにリリーフ登板を命じたように、グレイやコロンにリリーフをやらせるような臨戦態勢も選択しなかった。
だが、第5戦での最大の失敗は、メルビンがグレイを先発させたことより、むしろ、メルビンが、グレイの調子がよろしくないことがハッキリした時点で、「今日ですべてが決まるというゲームだから、グレイに長いイニングをまかせるのは諦め、早めに投手を替えることにしよう」と、「先を読む」こと、「敗退を予防する」ことをせず、むしろかえって、グレイをとことん引っ張ってしまったことにある。
この選択ミスにより、「オークランドだけが守勢に回らされ続けてしまう苦しい展開」が長く続いてしまい、「攻撃のターンが、オークランドに変わる」のを妨げた。
このゲームのBox Scoreを見ただけではわからないことだが、ボブ・メルビンは、先発ソニー・グレイが4回から6回まで、3イニング続けてピンチを招くそのたびに、ブルペンでダン・オテロに肩を作らせ続けた。(そして結果的にいえば、オテロはマウンドに上げてもらいさえすれば、いつでも好投が可能な状態だった)
だが、メルビンには、調子の悪いグレイを諦め、継投に入ることによって「無駄な失点を防ぐのと同時に、攻撃のターンをたぐり寄せるチャンス」が何度も何度もあったにもかかわらず、グレイを引っ張り続けたために、ようやくオテロがマウンドに上がったときには、6回表にグレイがノーアウトで2人のランナーを出し、にっちもさっちもいかないシチュエーションだった。
そしてさらに問題だったのは、このとき既にオークランドの野手があまりにも長時間に及んだ守備による消耗で、エネルギー切れを起こしていたことだ。
リリーフのダン・オテロは、3度も肩をつくったにもかかわらず、6回の無死1、2塁のピンチで、2人のバッターに続けて内野ゴロを打たせることに成功している。だが、既に消耗している内野手のミスが2度続き、オークランドはダブルプレーに2度も続けて失敗して、シリーズ敗退を決定づける3失点目を喫した。
明らかにこれは、メルビンがソニー・グレイを早めに諦めることを決断することによって、ゲームを落ち着かせ、さらにゲームのテンポをオークランド寄りに修正し、オークランドの野手が守備ではなく「バッティングに集中できる時間帯をつくる」のを怠ったのが原因だ。
(よくバレーボールの試合で、ピンチになると監督がタイムアウトをかけて得点リズムを変えるが、あれと似た話だ)
こうして、2つの試合でゲームの流れを完全にデトロイト側にもっていかれることになった「2つの継投ミス」によって、オークランドはデトロイトをあと一歩のところまで追い詰めながら、逆にトドメを刺される結果になった。
レギュラーシーズンをあれほど上手に乗り切ったメルビンだが、「カオス的世界であるポストシーズンで求められるリスク嗅覚」や「偶然性に左右される狩りにおける戦いの感覚」は、どこかで根本的に不足しているのかもしれない。もちろん、農耕には向いているのに、血なまぐさい狩りには全く向いていない人がいても、それはそれでしかたがない。
2013ALDS第5戦での継投でメルビンのやったことは、たとえとしていうなら、「複数のことを同時に考えて結論を出したり、複数のことを並行して処理するのが非常に苦手な、リニアな性格の人がとりやすい行動や手法」であるようにみえる。
メルビンが先発ソニー・グレイを替えることによって、「試合の流れを変えられるチャンス」は何度もあった。
だが、メルビン自身の関心は、先発グレイが「もっと多くのイニングをいけるのか、いけないのか」にしかなく、ゲーム全体を俯瞰してはいなかった。その結果、リリーフの肩をつくらせるタイミングが遅れ、グレイを替えるタイミングもをつかみそこない、あらゆる皺寄せは野手にいってしまい、失点に直結する野手の守備ミスの連発を招いた。
こうした、ノンリニアな判断ができないこと、全体を俯瞰できないことによる失敗は、ちょっと、「動きのトロい日本の公務員」とか、「決断の遅いデイ・トレーダー」に近いところがある。
「病気が実際に発症するまで治療しようとしない医者」、「相場が動いたのを見て確認してから大金をつぎこんでしまう個人投資家」、「ストーカー犯罪が実際に起きるまで捜査しない警察」、「津波が実際に起きるまで防波堤を高くしない自治体」、「いじめ自殺が起きるまで対策を始めない教育委員会」、「原発の電源が全て喪失したとわかるまで何もしない東京電力」、「利用者が激減するまでiPhoneを売らないNTTドコモ」、こうした例にことかかないどころか、あらゆる事故、損害、リセッション、衰退が、リニアにしか思考できず、リニアにしか自分のカラダと所属組織を動かせない人たち特有の「遅れ」や「迷い」から発生するのが、現代社会というやつだ。
病気でいうなら、症状が現れはじめたのを、視覚とデータでハッキリ確認して、それから「よっこらしょ」とばかりに重い腰を上げ、「治療」を開始しているようでは、手遅れになる。自覚症状が出た時点で、すでに病状が救いようのないレベルに達している可能性だってあるからだ。
ALDSにおけるメルビンは、「予兆」や「気配」に敏感ではなかったし、そもそも「予防」に熱心ではなかった。対応すべきピンチが目の前で発生しつつあっても、彼は「被害の出る確率がまだ低い、と思えるうち」は動かず、さらには、失点という実害が確率的に70%以上の確率で起きてしまうような危機的状態になっても、まだ「我慢」し、さらに実害が出はじめたのを視覚的に確認するに至って、ようやく「対策」を用意させるような、そういう「後手後手なところ」がある。
こうした「判断の遅れ」が起きるのは、野球上の指導の巧拙によるものというより、ボブ・メルビンが、「直線上に因果を並べて思考をすすめるリニアなタイプ」なのか、それとも「カオス的に思考するノンリニアなタイプ」なのかという、そういう人間的な性質の違いから発生しているような気がしてならない。
メルビンが、「話し言葉」より「書き言葉」が重視されるようになって以降に成立した、リニアな視覚重視の世界で起きる問題に対処するのが得意な、典型的なリニア人間だとすると、そういうタイプの人は、カオス的な環境(たとえばMLBのポストシーズンのゲーム)において、リニアな世界でのふるまいと同じように自由闊達にふるまえるとは限らないのである。
そして、これは常々不思議に思ってきたことなのだが、近年の書き言葉の衰えとネットの発達とともに、現代社会が再びどんどん「カオス的」になりつつあるというのに、どうしてそうなるのかわからないが、そこに暮らしているわれわれ人間のほうは、むしろ、どんどん、どんどん「リニア」になりつつあるように思えてならないのだ。
The Lorenz Attractor
Matrix
(日本のプロ野球セ・リーグCSで、阪神の和田監督が、広島戦の先発投手として「藤浪」を選択する一方で、ヴェテランの能見投手をとうとう使わないまま敗退したばかりだが、メルビンと和田、2つの敗退が意味的に似ているのは確かだ)
敗退の直接の原因は、ハッキリしている。
「ボブ・メルビンの投手起用が的確でなかったこと」だ。
そして、遠因(というか、たぶんこちらが真の原因だと思うのだが)は、野球における才能や経験の有無ではなく、「メルビンの性格が、よくいえば慎重で論理的、悪く言えばスピードに欠け、後手に回りやすく、どこか弱気で、決定的な選択を回避しがちで、農耕的。全部をまとめていえば、『リニア』であること」にあると思う。
たとえでいうなら、レギュラーシーズンが、春の田植えから秋の稲刈りまで連綿と作業が続く稲作のような、定住農耕民的な世界だとするなら、他方、ポストシーズンでの戦いは、いわば「血なまぐさい狩り」だ。
「狩り」は、定住して畑を耕すような「必然性や因果律、約束事に縛られたリニアな世界」と違い、運やミスなど「偶然性にまみれたカオス的世界」だ。(注:カオスにおける偶然性には一定の「法則性」があり、それは無原則でもランダムでもない 参照:Damejima's HARDBALL:2012年11月9日、2012オクトーバー・ブック WS Game 4でフィル・コークが打たれた決勝タイムリーを準備した、イチローの『球速測定後ホームラン』 による『バルベルデ潰し』。)
そして「狩り」は、どこか血なまぐさい。ライオンが獲物のクビをへし折って確実に絶命させておいてからおもむろに食らうように、「獲物を仕留めるべきところ」では必ずトドメを刺す必要がある。
ALDS Game 4
OAK 1 0 0 0 2 0 1 0 2 6
DET 0 0 0 0 3 0 2 3 x 8
Oakland Athletics at Detroit Tigers - October 8, 2013 | MLB.com Classic
ALDS第4戦は、まさにオークランドにとって、「トドメを刺しそこなった狩り」だ。チェスや囲碁将棋に限らず、どんな勝負事でもそうだが、トドメを刺しそこなったら、流れは簡単には戻ってこない。
オークランドはこのゲームで一時は3点リードしている。だが、ゲーム終盤に死にかけたデトロイトに自らのミスで勢いを与えてしまい、息を吹き返したデトロイトに、この重要なゲームを与えてしまった。
終盤まで追いつ追われつの展開だったが、このポストシーズンでのデトロイトのキーマンのひとりになっているビクター・マルチネスの技ありのソロホームランを浴びて、5-4と1点リードを許した7回裏までの展開は、やむをえないし、それほど心配する必要もない。
なぜなら、「常に『クローザーというアキレス腱』を抱えるデトロイトという対戦相手は、1点差くらいなら、取り返しがつくチーム」だからだ。
去年までのクローザー、ホセ・バルベルデのセーブ失敗にもさんざん泣かされ続けたデトロイトだが、今のクローザーのベノワにしても、けして安定してはいない。だから、1点差くらいなら、たとえ9回裏でもなんとかなる。
だが、メルビンが8回裏に、2013レギュラーシーズンでERA6.04とまったく結果を残せていないブレット・アンダーソンを登板させたことは、致命傷だ。なぜならこれが「取り返しのつかないミス」だからだ。
7回表、デトロイト監督リーランドは思い切って2013サイ・ヤング賞最有力候補のマックス・シャーザーをリリーフ起用した。だが、この試合のシャーザーはコントロールが最悪で、1失点した上に、8回表には無死満塁のピンチを招き、このときデトロイトは一度死にかけた。
だが、無死満塁でのジョシュ・レディックの不用意な三振がきっかけで、死にかけのシャーザーは息を吹き返してしまい、その後の気迫のピッチングで失点を防ぎきってしまう。オークランドはトドメを刺しそこなった。
問題のメルビンの「アンダーソン起用」は、その「トドメを刺しそこなった」直後の重要な采配だった。
このとき、メルビンがなぜこういう「弱気な投手起用」をチョイスしたのかが、わからない。なぜなら、あの時点でマウンドに上がるオークランドの投手が対峙するのは、シャーザーが珍しく見せた「火を噴くような気迫」が野手に乗り移った「火の玉 デトロイト打線」だからだ。レギュラーシーズンですら実績を残せなかったアンダーソンでは、明らかに、この場面を乗り切るのに必要な経験も実績も足りなかった。
その後、点差が4点に広がってゲームが決まってしまった後で、オークランドはホワキン・ベノワを予定通り攻めてようやく2点返したが、結局、デトロイトの逃げ切りを許した。つまり、9回の攻撃がいくら「惜しい攻撃」のようにみえたとしても、結局それは4点差では「後手に回ったことの証」にしかならないのだ。
シャーザーをリリーフに使うという「老将ならではの気迫」を采配に見せたリーランド。勢いのないアンダーソンを使うことで、「この試合は負けてもいい、あと1試合あるさ」とでもいうような「農耕民的な緩み」をみせたメルビン。2人の指導者の選択の差が、試合結果に出た。
ALDS Game 5
DET 0 0 0 2 0 1 0 0 0 3
OAK 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
第4戦で「狩り」に失敗したメルビンは、第5戦先発に、どういう意図からかはわからないが、ヴェテランのバートロ・コロンではなく、ALDSで2度目の先発となる若いソニー・グレイを抜擢した(もちろん、この先発投手の選択の是非が後にファンの議論を巻き起こすことになった)
結果的には、若いグレイは、シリーズを決めるゲームのプレッシャーに押しつぶされてしまったようで、コントロールがまるで定まらなかった。またメルビンは、リーランドがあのシャーザーにリリーフ登板を命じたように、グレイやコロンにリリーフをやらせるような臨戦態勢も選択しなかった。
だが、第5戦での最大の失敗は、メルビンがグレイを先発させたことより、むしろ、メルビンが、グレイの調子がよろしくないことがハッキリした時点で、「今日ですべてが決まるというゲームだから、グレイに長いイニングをまかせるのは諦め、早めに投手を替えることにしよう」と、「先を読む」こと、「敗退を予防する」ことをせず、むしろかえって、グレイをとことん引っ張ってしまったことにある。
この選択ミスにより、「オークランドだけが守勢に回らされ続けてしまう苦しい展開」が長く続いてしまい、「攻撃のターンが、オークランドに変わる」のを妨げた。
このゲームのBox Scoreを見ただけではわからないことだが、ボブ・メルビンは、先発ソニー・グレイが4回から6回まで、3イニング続けてピンチを招くそのたびに、ブルペンでダン・オテロに肩を作らせ続けた。(そして結果的にいえば、オテロはマウンドに上げてもらいさえすれば、いつでも好投が可能な状態だった)
だが、メルビンには、調子の悪いグレイを諦め、継投に入ることによって「無駄な失点を防ぐのと同時に、攻撃のターンをたぐり寄せるチャンス」が何度も何度もあったにもかかわらず、グレイを引っ張り続けたために、ようやくオテロがマウンドに上がったときには、6回表にグレイがノーアウトで2人のランナーを出し、にっちもさっちもいかないシチュエーションだった。
そしてさらに問題だったのは、このとき既にオークランドの野手があまりにも長時間に及んだ守備による消耗で、エネルギー切れを起こしていたことだ。
リリーフのダン・オテロは、3度も肩をつくったにもかかわらず、6回の無死1、2塁のピンチで、2人のバッターに続けて内野ゴロを打たせることに成功している。だが、既に消耗している内野手のミスが2度続き、オークランドはダブルプレーに2度も続けて失敗して、シリーズ敗退を決定づける3失点目を喫した。
明らかにこれは、メルビンがソニー・グレイを早めに諦めることを決断することによって、ゲームを落ち着かせ、さらにゲームのテンポをオークランド寄りに修正し、オークランドの野手が守備ではなく「バッティングに集中できる時間帯をつくる」のを怠ったのが原因だ。
(よくバレーボールの試合で、ピンチになると監督がタイムアウトをかけて得点リズムを変えるが、あれと似た話だ)
こうして、2つの試合でゲームの流れを完全にデトロイト側にもっていかれることになった「2つの継投ミス」によって、オークランドはデトロイトをあと一歩のところまで追い詰めながら、逆にトドメを刺される結果になった。
レギュラーシーズンをあれほど上手に乗り切ったメルビンだが、「カオス的世界であるポストシーズンで求められるリスク嗅覚」や「偶然性に左右される狩りにおける戦いの感覚」は、どこかで根本的に不足しているのかもしれない。もちろん、農耕には向いているのに、血なまぐさい狩りには全く向いていない人がいても、それはそれでしかたがない。
2013ALDS第5戦での継投でメルビンのやったことは、たとえとしていうなら、「複数のことを同時に考えて結論を出したり、複数のことを並行して処理するのが非常に苦手な、リニアな性格の人がとりやすい行動や手法」であるようにみえる。
メルビンが先発ソニー・グレイを替えることによって、「試合の流れを変えられるチャンス」は何度もあった。
だが、メルビン自身の関心は、先発グレイが「もっと多くのイニングをいけるのか、いけないのか」にしかなく、ゲーム全体を俯瞰してはいなかった。その結果、リリーフの肩をつくらせるタイミングが遅れ、グレイを替えるタイミングもをつかみそこない、あらゆる皺寄せは野手にいってしまい、失点に直結する野手の守備ミスの連発を招いた。
こうした、ノンリニアな判断ができないこと、全体を俯瞰できないことによる失敗は、ちょっと、「動きのトロい日本の公務員」とか、「決断の遅いデイ・トレーダー」に近いところがある。
「病気が実際に発症するまで治療しようとしない医者」、「相場が動いたのを見て確認してから大金をつぎこんでしまう個人投資家」、「ストーカー犯罪が実際に起きるまで捜査しない警察」、「津波が実際に起きるまで防波堤を高くしない自治体」、「いじめ自殺が起きるまで対策を始めない教育委員会」、「原発の電源が全て喪失したとわかるまで何もしない東京電力」、「利用者が激減するまでiPhoneを売らないNTTドコモ」、こうした例にことかかないどころか、あらゆる事故、損害、リセッション、衰退が、リニアにしか思考できず、リニアにしか自分のカラダと所属組織を動かせない人たち特有の「遅れ」や「迷い」から発生するのが、現代社会というやつだ。
病気でいうなら、症状が現れはじめたのを、視覚とデータでハッキリ確認して、それから「よっこらしょ」とばかりに重い腰を上げ、「治療」を開始しているようでは、手遅れになる。自覚症状が出た時点で、すでに病状が救いようのないレベルに達している可能性だってあるからだ。
ALDSにおけるメルビンは、「予兆」や「気配」に敏感ではなかったし、そもそも「予防」に熱心ではなかった。対応すべきピンチが目の前で発生しつつあっても、彼は「被害の出る確率がまだ低い、と思えるうち」は動かず、さらには、失点という実害が確率的に70%以上の確率で起きてしまうような危機的状態になっても、まだ「我慢」し、さらに実害が出はじめたのを視覚的に確認するに至って、ようやく「対策」を用意させるような、そういう「後手後手なところ」がある。
こうした「判断の遅れ」が起きるのは、野球上の指導の巧拙によるものというより、ボブ・メルビンが、「直線上に因果を並べて思考をすすめるリニアなタイプ」なのか、それとも「カオス的に思考するノンリニアなタイプ」なのかという、そういう人間的な性質の違いから発生しているような気がしてならない。
メルビンが、「話し言葉」より「書き言葉」が重視されるようになって以降に成立した、リニアな視覚重視の世界で起きる問題に対処するのが得意な、典型的なリニア人間だとすると、そういうタイプの人は、カオス的な環境(たとえばMLBのポストシーズンのゲーム)において、リニアな世界でのふるまいと同じように自由闊達にふるまえるとは限らないのである。
そして、これは常々不思議に思ってきたことなのだが、近年の書き言葉の衰えとネットの発達とともに、現代社会が再びどんどん「カオス的」になりつつあるというのに、どうしてそうなるのかわからないが、そこに暮らしているわれわれ人間のほうは、むしろ、どんどん、どんどん「リニア」になりつつあるように思えてならないのだ。
Like everyone else you were born into bondage. Into a prison that you cannot taste or see or touch. A prison for your mind.
他の誰もがそうであるように、君は束縛の中に生まれた。味わうことも、見ることも、触ることもできない牢獄の中に。それは「君自身の心」という名の牢獄なのだ。
You have to let it all go, Neo. Fear, doubt, and disbelief. Free your mind.
すべて忘れるんだ、ネオ。怖れ、疑い、猜疑心。心を解き放て。
by Morpheus
quoted from The Matrix(1999)
The Lorenz Attractor
Matrix
damejima at 10:15