ケン・ローゼンタール

2016年6月16日、「もしもイチローがMLBでデビューしていたら」という議論特有の慇懃無礼さと嘘くささ。「打数の違い」を故意に無視するレトリック。
2014年11月2日、ジョン・マドンのカブス監督電撃就任をタンパベイ側が「タンパリング」と考えているという話は、思ったより広範囲で報道されていた。
2012年7月23日、イチローのヤンキース移籍でわかる、「感情を表現する場所の変化」。子供時代にイチローを知った世代にとっての「イチローの特別さ」
2012年1月3日、オトナの無意味な決めつけをやりすごすための、エーリヒ・ケストナー風、新年処方箋。
2011年12月10日、ライアン・ブラウン事件の衝撃で珍しく感情的で悲観的な記事を書いたFOXのローゼンタール。
2011年2月25日、エイドリアン・ベルトレの怪我で、ますますこじれるマイケル・ヤングの移籍問題。
2008年6月17日、FOXローゼンタールは城島をオーナーだけのご贔屓捕手と皮肉った。
2008年6月12日、FOXのローゼンタールはシアトル先発投手陣の不満を記事にした。

June 17, 2016

ジョー・ポズナンスキーがこんなコラムを書いてるんだけどさ。
ダメだね。ダメ。計算がまるでなっちゃいない。




ポズナンスキーは、「ピート・ローズとイチローの27歳から42歳までの打撃数値(具体的には打率やヒット数)が似てることを挙げた上で、「仮にイチローがMLBでデビューしていて、なおかつ27歳になるまでの間に899本のヒットを打てるかどうか」について書いてる。

彼は「なんの疑いもない。イチローは899本打てただろう」といちおう書いた上で、こうも書いてる。
If you got to the Major Leagues at age 20 and got 200 hits a year for 21 consecutive years ― every year until you were 41 ― you STILL would not get to Pete Rose’s hit total.
もし20歳でMLBデビューして、41歳になるまで21年連続200安打打ったとしても、ピート・ローズの安打記録には届かない。

つまり、彼が「暗に」いわんとするところは、
もしイチローが「20歳」でMLBでデビューしていたとしても、「41歳まで21年連続200安打」なんてできてたかどうかわからないし、もし仮にできてたとしても、ピート・ローズには届いてない可能性だってある。それくらい、やっぱりピート・ローズの記録は凄い。
ってことでもあるわけだ。いやらしい書き方するもんだ。


おいおいおいおい。
ちょっと待てよ、ポズナンスキー。
と、ブログ主は即座に思った。


「21年連続200安打できるかどうか」なんて、
単なるレトリックに過ぎない。

なぜって、ポズナンスキーだけでなく「もしイチローがMLBでデビューしてたら」という議論のほとんどが、「日本での打数の少なさを、MLBでの打数の多さにアジャストするとどうなるか」って視点が完全に抜け落ちているからだ。ポズナンスキーも例外じゃない。


わからない人のために説明しようか。

イチローが日本でプレーしてた時代、「1シーズンの打数」は540をようやく越えたのが2度あるだけで、600越えたことなど、一度もない。

だけど、MLBでは余裕で690前後ある。

日米で打数が大きく異なるのはいうまでもなく「1シーズンの試合数の違い」が原因だ。日本とアメリカでは、1シーズンで最低でも「150打数」程度、うっかりすると「200打数」近いくらい違うこともある。


ここで、「もしイチローがメジャーでデビューしてて、1994年から2000年までの7シーズン、毎年690打数だった」と仮定してみる。
すると、7シーズンの打数は4830で、「1994年〜2000年の仮想ヒット数」は、「打率」によって以下のように変化することになる。

仮想打率 仮想ヒット数(小数点以下切り捨て)
.330   1593本
.320   1545本
.310   1497本
.300   1449本
.290   1409本
.280   1352本


上の表で、「.330」という打率を最初に挙げたのは、実際のイチローの2010年頃までのMLB通算打率がそのくらいだったからだ。だから、非現実的な数字ではないどころか、非常に現実的な数字であり、若い体力みなぎるイチローがむしろ.330より高い平均打率を残した可能性だって十分ある。
だが、ここではいちおう控えめに「.330」としたまでだ。

打率.270以下は計算しても意味がないので計算しない。
なぜなら、打率がたった.270しかない若い1番打者が、7シーズンもの間、年間690打数も与えられるわけがないからだ。

この計算から
27歳になるまでに、たった899本しかヒットを打てなかった若い凡才ピート・ローズ」と、「27歳までに7年連続首位打者になった20代の天才イチロー」が、同等に比べられなきゃならない理由なんて、どこにもない
ことがわからない人間は馬鹿だと思う。


だがまぁ、まだわからない人もいるだろう。
あえてもうひとつ計算して、わかりやすくしておこう。


もし仮に「イチローがMLBでデビューしてて、仮に1994年から2000年までの間に4830打数あったとして、ヒットを899本しか打たなかった」としたら、打率はどうなるか。

.186だ。

「イチローが最初からMLBでデビューして、27歳になるまでにヒットを899本打てたかどうか」なんてことを真面目ぶって議論に組み込んだようにみせかけてるようなヤツが、その実、いかに慇懃無礼な人間か、これでおわかりだろう。
こういう「非現実的な話」を自分の文章に散りばめる人間が、リアルな議論をしているなどと、ブログ主はまったく思わない。たとえそれがジョー・ポズナンスキーであろうと、Cut4であろうと、だ。


もっと厳しくいわせてもらうと、ヒットを大量生産すべき貴重な若い時期にやっとこさ「899本」しか打てなかったような、そんなヘボい打者が、「若い時期のピート・ローズ」だ、ということだが、ピート・ローズの「最晩年」についても、その間の「ヒット数」と「打率」をひきくらべてみるといい。
晩年、ローズはプレーイング・マネージャー(選手兼監督)という立場を利用し、400打席以上を自分自身に与えながら、100本程度しかヒットを打っていない。そういう「ひどい低打率」だったにもかかわらず、彼は自分をスタメン出場させ続けた。それが最晩年の彼の通算安打記録の実態だ。(そしてその最晩年にローズは現役選手であるとともに現役監督でありながら、野球と自分のチームをギャンブルの対象にしていた)
参考記事:
2015年8月24日、「ヒット1本あたりの打席数」ランキングでみれば、イチローの通算ヒット数の多さは「打順が1番だから」ではなく、むしろピート・ローズの安打数こそ単なる「打数の多さによるもの」に過ぎない。 | Damejima's HARDBALL


ロジックというものはきちんと点検しないと騙される。

ちょっと聞きかじって、「ああ、たしかに、いくらイチローでも21年連続200安打はちょっと無理だろうな」などと思ってはいけないのだ。

「21年間シーズン200安打を続けられるかどうか」などという仮定を設けること自体が、単なる「上から目線からの恫喝」に過ぎない。そんな仮説は単なる机上の空論に過ぎないのである。

話はむしろ逆だ。

もし
日本の野球がもっと試合数が多くて、「日本でのイチローの打数」が「MLB並みの多さ」だったなら、当然「27歳になるまでのイチロー」がもっと多くのヒットを打っていたはずであることは、疑いようがない。
したがって、それが日本であろうと、アメリカであろうと、「27歳になるまでのイチロー」が「MLB並みの打数」を与えられていたなら、とっくの昔にピート・ローズの記録など追い抜いて、42歳時点では既に日米通算5000本に接近していた、と考えるのが、「マトモな議論」というもの
だ。

いいかえれば、
「イチローは打数の限られた日本で何年も過ごしたが、21年連続200安打なんかしなくても、イチローはピート・ローズに届いた。つまり、そのくらいイチローはMLBで、誰よりも早い、ものすごいスピードでヒットを量産し続けてきた」というのが、正しい表現だ。


加えて、ポズナンスキーはじめ「もしもイチローがMLBでデビューしていたら議論」なんてものに手を染めたがる人間はたいてい、ピート・ローズがさまざまな手を使って4256本のヒットを達成したのが「ようやく45歳で達成して、引退」であり、イチローは「まだ42歳で、なおかつ現役で、これからもヒット数は増える」ことも忘れている。
「42歳までのピート・ローズのMLBヒット数」は、「42歳のイチローの日米通算」より260本以上も少ない
のである。
日米通算というアスタリスクはともかく、同じ数字を3年も早く達成できた人間と、3年余計にかかった人間を同等に扱いたがる人は、もっと礼儀というものをわきまえつつ現実を直視したらいいと思うが、どうだろう。

3000安打達成者の1安打あたりの打席数

タイ・カッブ 3.123
(ジョージ・シスラー 3.205 3000安打未達成)
ナップ・ラジョイ 3.226
トニー・グウィン 3.256
キャップ・アンソン 3.298
トリス・スピーカー 3.413
ポール・ワナー 3.416
ホーナス・ワグナー 3.435
イチロー 3.437
(2016年6月19日現在)
ロッド・カルー 3.456
スタン・ミュージアル 3.503
デレク・ジーター 3.637
ポール・モリター 3.666
ジョージ・ブレット 3.686
ハンク・アーロン 3.697
ピート・ローズ 3.727
ウィリー・メイズ 3.806
ロビン・ヨーント 3.848
エディー・マレー 3.936
デイブ・ウィンフィールド 3.974
カル・リプケン 4.046
クレイグ・ビジオ 4.086
カール・ヤストレムスキー 4.092
リッキー・ヘンダーソン 4.369


damejima at 22:46

November 03, 2014

オクタゴンのアラン・ニーロが代理人をつとめるジョン・マドンの電撃的なカブス監督就任に浮上している「タンパリング疑惑」について、MLBの内部動向に地球上で最も詳しいはずのFoxケン・ローゼンタールはたくさんの皮肉と溜息とともに、こんなことを書いている。彼のこういう落胆したトーンをみるのは、ライアン・ブラウンのドーピング記事以来だ。
Yeah, it’s a little dirty. Baseball is a little dirty. Life is a little dirty.(中略)
The Rays probably are right. The people bothered by Maddon’s conduct definitely are right. But while I have sympathy for both the Rays and Renteria, this is the way baseball operates. Actually, it’s the way most large businesses operate. The end justifies the means, however unseemly those means might be.
野球には少しだけ汚れた部分があり、それは人生にもあるが、これはちょっとダーティーだ。(中略)
レイズはたぶん正しい。マドンの契約で迷惑こうむった人々も、当然正しい。しかしながら、レイズと(カブスを首になった)レンテリアに同情を禁じえない一方で、これが野球の仕事というものだ、とも思う。実際それは大半のビッグビジネスのやり方でもある。達成した結果がその手段を正当化するとはいうものの、その手段とやらの見苦しさときたら。
So, does this Joe Maddon-to-Cubs deal feel icky? Deal with it | FOX Sports

奥歯にモノがはさまったような遠回しなコメントだ(苦笑)結局のところ、ローゼンタールが「アラン・ニーロのいつものやり方」を批判しているのか、ビジネスではよくある話と追認しているのか、はっきりしない。たぶん彼自身にもわからないのだろう。

だが、それより門外漢にとって大事なことは、MLB最大の事情通の彼が、この件の存在を認め、おおやけに記事にした、という事実だ。
例えば彼は「城島問題」についても、日本ではその存在すら「ないもの」とまだフタされていた時点でも、それを確証させるだけの取材も加えた上で批判記事を書いた。また、2011年にチーム内で苦しい立場に置かれて移籍すべきかどうか悩むマイケル・ヤングの本音を引き出す記事を書いたのも、ローゼンタールだ。他の記者とは情報の精度が違う。
参考記事:2008年6月17日、FOXローゼンタールは城島をオーナーだけのご贔屓捕手と皮肉った。 | Damejima's HARDBALL
参考記事:2011年2月25日、エイドリアン・ベルトレの怪我で、ますますこじれるマイケル・ヤングの移籍問題。 | Damejima's HARDBALL

つまり、ローゼンタールの日頃の情報の正確さ、速さから判断する限り、
カブス監督就任におけるジョン・マドンのタンパリングは「ほぼ存在する」、「クロと推定される」ということだ。

この件、報道しているのはなにもローゼンタールだけではない。他にも、CBS、Hardball Talk、スポーツイラストレイテッド、ESPNといった、MLBに関わるナショナル・メディアの大半がこの件について記事やツイートを書いていて、報道レンジは思ったよりはるかに広く、単なるゴシップという域を越えている。このことも、この件が「クロ」であるという推定に確かさを与える根拠だ。
Joe Maddon's agent denies tampering charges in jump from Rays to Cubs - CBSSports.com
Rays considering filing tampering charges against Cubs for Joe Maddon situation | HardballTalk
Joe Maddon hired as Chicago Cubs manager, Tampa Bay Rays may file tampering charges - MLB - SI.com
追記:MLBがカブスのタンパリング疑惑を調査 via NY Post MLB probing Cubs for tampering with Maddon | New York Post

代理人アラン・ニーロ、タンパリングとくれば、当然、2009年のダメ捕手城島と阪神の契約を思い出さないわけにはいかない。

当時オリックス監督だった元阪神監督の岡田彰布氏が、移籍先がまだ誰にも見当がつかなかった時点でいきなり「行き先を知っている」とコメントしたのには、びっくりしたものだ。
彼は「何日から話し合いになるという話じゃない。その前に話しとったんやろ!何年か前に、そんな話を聞いている。(オレも)阪神におったわけやから」と語ったが、城島の移籍先はその後「岡田発言どおりの阪神」に決まり、移籍交渉の「タイミング」自体が、タンパリングそのもの、つまり、城島の自主的なマリナーズ退団以前から交渉が行われていたことは決定的になった。
参考記事:2009年10月27日(日本時間)、まさにスポニチ「事前」報道と岡田氏の指摘どおり、城島、阪神入団決定。 | Damejima's HARDBALL

この件がタンパリングとして事件化しなかったのは、マリナーズ自身が城島退団を望んでいたためMLB機構に提訴しなかったからに過ぎない。タンパリングはルール上、元の所属球団が提訴しないかぎり、事件化に至らない。(タンパリングについての野球協約は、2008年以前と2009年以降で大きく異なる。下記のリンク先記事での解説を参照のこと)
参考記事:2009年10月27日、元阪神監督岡田氏の指摘する「城島事前交渉契約疑惑」簡単まとめ(結果:まさにスポニチの「事前」報道と岡田氏の指摘どおり、城島、阪神に入団決定) | Damejima's HARDBALL


アラン・ニーロの所属するオクタゴン(彼がベースボール部門の責任者)は、2000年代以降シアトル・マリナーズに数多くの契約選手を送りこんできた。
代表格はフェリックス・ヘルナンデスで、他に、ランディ・ジョンソンのトレードでシアトルに入団したカルロス・ギーエン (1998-2003)、城島(2006-2009)、現ヤクルトのバレンティン (2007-2009)、ズレンシックのお気に入りのフランクリン・グティエレス(2008〜)、ダグ・フィスターの安売りトレードでデトロイトに行ったデビッド・ポーリー(2010-2011)、城島の後釜捕手のひとりジョシュ・バード(2010-2011)などがいる。(近年ではハンベルト・キンテーロもオクタゴン。彼も捕手)
日本人にも契約選手が多い。「阪神関連」だけでも、城島以外に、元カブスで現阪神の福留、カブス藤川球児の後釜クローザーとして阪神に入団した小林宏之。他に現カブスの和田毅もオクタゴン。福盛、田口、建山など多数。

アラン・ニーロの、シアトル、カブス、阪神をつなぐ「不可思議なライン」には、なにやらよくわからない「繋がり」がありそうにはみえる。(そういう意味でいうと、和田毅も日本復帰後は阪神入団が「暗黙の規定路線」かもしれない)
かつてボストンのジャスティン・ペドロイア、ジョン・レスター(現在はオークランド)もかつてはオクタゴンを代理人にしていたが、理由はまったくわからないが、テオ・エプスタインがカブスに電撃的に去った後、代理人はACESに変更されている。
そういうところから、ニーロの「商売のやり方」は、代理人とチームというパブリックなものより、言いたいことはわかると思うが、ニーロとGM個人との「濃密な関係」からくるものかもしれないのだ。


いずれにせよ、タンパベイ・レイズがジョン・マドンの件をMLB機構に提訴して訴えが認められた場合、カブス側が人的補償をすることになる公算が高い。ジョン・マドンの損失にみあった「タイプAの選手」がひとり、カブスからレイズに移籍することになるだろう。

damejima at 08:45

July 24, 2012

a lot better than you think,”
「(イチローは)君らが考えてるより、ずっと優れた選手だよ」
(FOXのシニア・ライター、ケン・ローゼンタールに、ある球団のエグゼクティブが語った言葉。Miami Marlins concede no World Series in 2012, trade players but not typical fire sale - MLB News | FOX Sports on MSN

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イチローのヤンキース移籍を知った日本人が、次にやることは、「他人がこの件をどう感じているかを知ること」だろう。

これがアメリカ人なら、なによりもまず「自分がこの件をどう感じたかを表現すること」を優先するかもしれない。国民性の違いというやつだ。


他人がどう感じているか、やたらと知りたがることの是非はともかくとして、いまの時代、スポーツ新聞の記事やテレビのコメントで垂れ流される他人の意見を鵜呑みにして、それをあたかの自分の意見みたいに吹聴してまわるような馬鹿馬鹿しいことをせずに、他人が感じているディープな感情を垣間見ようと思えば、ブログや短いツイートに表現されたものを読むだけでこと足りるものでもないことは知っておくべきだろう。

以下に例として挙げたのは、Tamblr(タンブラー)という、ちょっとアーティスティックなつくりのブログの多いSNSのツールだが、別に、このツールを宣伝するつもりで挙げるわけではない。

以下の引用例を見てもらって理解してもらいたいと思うのは、アメリカでのリアルな声だ。
彼らがTamblrならTamblrで表わす感情表現のリアルさは、必ずしもあなた方が見ているスポーツ新聞の日本人記者の書きたがる主観だらけの偏向記事と内容が違っているのはもちろんだし、MLB公式サイトのファンのマニアックで作為的なコメントとも、雰囲気がまるで違うことがわかるはずだ。
そういう偏向した人たちは、スタジアムに普通にいるファンではないし、そういう普通のファンの声を代表してもいない。

今回の移籍を他人がどう思ったか、気になるのはしかたがないとして、yahooのトップ記事や、テレビキャスターのコメントに耳を傾けるくらいなら、これを機会に、なんでもいいのだが、いままで経験ことのないコミュニケーションツールにトライして、自分で手間をかけて、リアルな「普通の人の声」を覗いてみてはどうかと思う。


きっと、さまざまな「普通の人」、特に、子供時代にイチローを知ったアメリカの若い世代の野球ファンが、どれほど今回のイチロー移籍を、哀しみ、残念がり、そして嬉しがっているかを知って、驚くことだろう。
こうした若いファン層こそ、次世代の野球を担ってくれる人たちなわけだが、そうした若い層でのイチロー支持率は高い。なぜなら、イチローは「クリーン」だからだ。

10歳に満たない子供の頃にイチローを知ったアメリカ人にとって、イチローがどれほど「特別な存在」なのかを知ってもらいたい。


Tumblrにおけるイチローに関するコメント
(以下の引用は、そのなかから抜粋したもの。ところどころにある太字は、ブログ側で添付したもの)
ichiro | Tumblr

I’ve never understood anything so emotional in a sport before… but the trade off of Ichiro Suzuki from my all time favorite team to my all time least favorite is something like the official resignation of the longest reigning idol in my life. I would be lying if I said I wasn’t chopped full of tears when I first saw him in a Yankees jersey. 11 and a half years doesn’t seem to be enough for what I believe to be the Mariner’s defining player of the 2000’s. I was only 7 years old when Ichiro joined our Emerald City team from across the sea, and as far back as my memories of the game go, they are accompanied with him. I remember my first M’s game, when I walked through the tunnel that opened to the great green field at Safeco Park and I saw Ichiro for the first time. It was a defining moment in my life. To know that I will never again step into that stadium and see him representing my city is a game changer for me. I will never look at my team, or the sport the same again.
私は今までスポーツを感情によって理解することはしてこなかった。いままでは。
でも、イチロー・スズキが私の一番お気に入りのチームから一番好きじゃないチームへトレードされたことは、人生で最も長い間、心を奪われ続けたアイドルと、正式に決別する、みたいな話だった。私はヤンキースのジャージーを着ている彼を最初に見たとき、たとえタマネギを刻んでたと、よくある言い訳をしたとしても、即座に嘘だとバレてしまうくらい、涙でいっぱいになった。11年半の歳月があったとはいえ、私にしてみれば、自分が2000年代マリナーズの絶対的存在と信じているプレーヤーと過ごす時間としては、けして十分だとは言えなかったようだ。イチローが海を渡ってこのエメラルドシティ(=シアトルのニックネーム)に来たとき、私はまだたったの7歳だった。だから、どんなに古いゲームの記憶にさかのぼったとしても、私の野球の記憶には必ずイチローの姿がある。マリナーズの試合を最初に見たときのことを覚えてる。私はセーフコの素晴らしいフィールドに続くトンネルを抜けて、初めてイチローに出会った。私の人生の絶対的な瞬間だった。私は、自分がスタジアムに足を踏み入れ、そこで彼が私の街を代表してプレーするのを見ることはもう無いのだとわかって、天地がひっくりかえる思いがした。私が自分の街のチームを見ることも、また、今までと同じ目線でスポーツを見ることも、もうないだろう。
http://cam-asher.tumblr.com/post/27899295968/ive-never-understood-anything-so-emotional-in-a


I've firmly shut the door to my room so my parents can’t see the tears rolling down my cheeks. This is the end of an era. Ichiro was the first Mariner I actively followed from his arrival here in Seattle. I was but eight years old when he burst onto the scene during the team’s magical 116-win season in 2001. I adored him. Not just for his athletic exploits, but for his character. He was above all, a humble man. He used his earnings not on flashy limos or callgirls as so many superstars now do, but on building a nice home for his parents in Japan.
頬をつたう涙を両親に見られないように、僕はドアを固く閉じた。これはひとつの時代の終わりなんだ。イチローがここシアトルに来て以来、彼は僕が積極的にフォローするようになった最初のマリナーだった。2001年にチームがマジカルな116勝を挙げたシーズンに彼が突然表舞台に踊り出たとき、僕はまだ、たったの8歳だった。僕は彼に憧れの念を抱いた。彼のアスリートとしての業績に対してだけではなく、彼のキャラクターに。特筆しておきたいのは、彼が謙虚な人間であることだ。イチローは、今のスーパースターの大半がそうしているように、けばけばしいリムジンや娼婦に稼いだ金を使うんじゃなくて、日本の両親のために素敵な家を建てることにお金を使ったんだ。

Even after the Mariners got rid of Lou Pinella and began their current tailspin, Ichiro stayed. I remember staying up late to watch him break the single-season hits record, how gracious he was to the crowd―a crowd that had lacked anything to root for during a progression of 90- and 100-loss seasons. He was the only reminder of our glory days. He was the only player who, even as he began to decline, inspired hope and excitement in my eyes. That’s why it hurts so much to see him leave. My hope for the direction that the team’s owners will follow has gone with him.
マリナーズがルー・ピネラを解任して、チームの急降下が始まっても、イチローは留まってくれた。彼がシーズン最多安打のMLB記録を破るのを見るために、夜遅くまで起きていたのを、よく覚えてる。彼が観客に対して、どれだけ礼儀正しかったことか。観客は、90敗とか100敗とか大敗シーズンが続く中で、何に対して熱くなればいいかわからなくなっていた。彼、イチローだけが、栄光の日々を思い起こさせるものだったんだ。彼は、たとえ衰えを感じさせはじめたときですら、僕の目には前向きの希望と興奮を感じさせる、唯一のプレーヤーだった。彼が去っていくのを見て僕が酷く傷ついたのは、そういう理由からだ。チームのオーナーがイチローをサポートしていくという僕のチーム運営に対する希望は、チームを去る彼とともに終わりを迎えてしまった。

Domoarigato, Ichiro-san. Wherever you go, you will always be a Seattle Mariner to me.
「ドウモ、アリガトウ、イチローサン」。あなたがどこに行こうと、常にあなたこそが、「僕にとってのシアトル・マリナーズ」だよ。
College Student Craving Travel • Devastated.


Sad to see you go, Ichiro. Forever my favorite. Thank you for the memories and good luck in NY!
イチロー、あなたが去っていくのを見るのは、悲しい。永遠に私のお気に入りです。思い出をありがとう。ニューヨークでの幸運を祈ります!


You will forever be my childhood idol, even if you play for my home team or not. I wish you well.
たとえあなたが私のホームタウンのチームでプレーしようと、そうでなかろうと、あなたは永遠に私の子供時代のアイドルであり続けるのです。あなたの無事を心から祈っています。
✞ I WAS MADE JUST LIKE THIS ✞ | Ichiro





damejima at 21:34

January 04, 2012

今まで考えてみたこともなかったが、インターネットには年齢は関係ない。ならば、このブログを、まだ分別のない子供が読むかもしれない。(ペアレント・コントロールで、このクチの悪いブログを親が読ませないかもしれないが)

だとしたら、子供たちの世の中に対するいらぬ誤解を避ける意味で、書いておかなければならない、気になることが、ひとつある。

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あなたはたぶん、虫歯になったことがあるだろう。
誰でも虫歯にはなる。

じゃ、虫歯を治療する方法は知っているだろうか?
そう。歯医者さんに行けばいい。それだけのこと。
(虫歯と発車しそうなバスを糸で結んでおくのも、
 ひとつの手だが、あまりすすめられない)



虫歯になったことがあるなら
次の話も理解できるはずだ。

「人間は虫歯になるものだ。」という話と、
「虫歯を、治せるか、治せないか」
「虫歯は、治すべきなのか、どうか」
「虫歯を治す方法は、あるのか、ないのか」
という話は、まるで違う話。


人間はたしかに虫歯になる。なるけれど、もし虫歯が痛ければ、治す方法はとっくにあるんだから、歯医者さんに行けばいい。
「人間は虫歯になるものだ」という言葉は、見た目は、みょうに立派だ。だけど実をいうと、中身はぜんぜん無いんだ。


オトナはよく、こういう「ヒトは虫歯になる」的な、「中身のぜんぜん無い決めつけ」から話をはじめたがる。そのことに、すこし注意を払うべきなんだ。



たとえばMLBで、ライアン・ブラウンのドーピング疑惑が明らかになったとき、FOXのローゼンタールさんは吐き捨てるように、こう書いた

「スポーツはクリーンには、ならない。」


そう。
もし虫歯の話が本当に理解できたなら
何が言いたいか、もうわかるはずだ。
(わからないなら、最初から読み返しなさい)

「スポーツは往々にしてクリーンではない」ということと、
「スポーツを、クリーンにできるか、できないか」
「スポーツを、クリーンにすべきか、どうか」
「スポーツをクリーンにする方法は、あるのか、ないのか」
という話は、同じじゃないんだ。


たぶん、ローゼンタールおじさんの心には、「ひどく悲しくて、取り除けない思い出」でも詰まってるんだろう。オジサン、時々ひどく口が悪いが、悪い人じゃない。たぶん、やりきれない気持ちを吐き出すための良い方法が他にみつからないだけなんだ。だからモノを書く仕事をして、気を紛らせている。


オトナは「人間は虫歯になるものだ」的なリクツで、みょうに雄弁になるときがある。子供はそれを、マトモにとっちゃいけない。

オトナがいくら「スポーツはクリーンじゃない」とか、自分のおかれた現実に絶望したフリをしてみせても、、たとえ「スポーツにはときどきクリーンじゃないときがある」としても、それでスポーツをクリーンにできる方法が無くなるわけじゃない。
そのことを、子供は間違えないで、覚えておいてほしいんだ。



ついでだから、言っとこう。
よくこんなことを言う、頭の悪い人がいる。

「野球は得点の多いほうが勝つスポーツだ」

うん。まぁ、そうだね。
で。だから、なに?


もうわかるだろ。

「野球は、たくさん点をとったほうが勝つスポーツだ」っていう話はみょうに立派だけど、実は現実の野球でどう勝つかっていう話とは、まるきり関係ないんだ。だから、そこから勝つためのゼッタイの方法なんて、導けたりしないんだ。



めんどくさくなるとオトナはよく、こういう「人間はいつか死ぬ」だの、「地球はどうした、こうした」だの、「電気が足りないから野球はやるな」だの、大げさなことを言う。そういうのを聞いても、子供は心を柔らかくして、一度やりすごすべきなんだ。

けしてオトナを真似て、絶望にとらわれちゃ、いけない。
虫歯があれば、治しておけばいいだけなんだ。



ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年12月10日、ライアン・ブラウン事件の衝撃で珍しく感情的で悲観的な記事を書いたFOXのローゼンタール。

damejima at 15:29

December 11, 2011

かつて「城島問題」のときにも発言を取り上げたことのあるFOXのケン・ローゼンタールは、情報集めの非常に得意なクチの悪いオッチャンだが、iPhoneに熱中してTwitterしまくるくらい茶目っ気さもある。もともと冷静な人物ではあり、感情むき出しに熱くなるタイプでもないのだが、ライアン・ブラウン事件についてはよほど「心が動かされた」というか「トサカにきた」らしく、そのローゼンタールが珍しく、やけに感情的になっている。
彼の記事で、ラファエル・パルメイロなどのようなステロイダーがいまMLB関係者の間でどういう厳しい評価のもとにあるのか、またステロイド問題についてどれくらいアメリカのメディアが絶望視しているかなど、いろいろMLBのステロイド事情の現状がわかる部分があるので、資料的に訳出しておく。


Even if NL MVP Ryan Braun is clean of PEDs, MLB never will be - MLB News | FOX Sports on MSN

A bombshell revelation about a major leaguer testing positive for performance-enhancing drugs. The player disputing the result through arbitration. A spokesperson for the player saying, “There was absolutely no intentional violation of the (drug-testing) program.”
MLBのPED(=performance-enhancing drug 筋力増強剤やヒト成長ホルモンなど競技能力向上に直接効果のあるドーピング薬物)テストの陽性で、ビックリするような事件が発覚した。プレーヤー側は代理人を通じて検査結果に異議をとなえている。選手のスポークスマンはこう言う。「故意のドーピング検査違反は、絶対にしてない」

As if an accidental violation is OK?
じゃあなにか。「意図的でない違反」ならオーケーだ、とでも言いたいのか?

(一部省略)

No, the real issue here is the same as before.
問題は今も昔も、何も変わりがない。

The sport is not clean. It never will be clean.
スポーツはクリーンじゃない。けしてクリーンにならない。

And while baseball continues to make tremendous advances in deterrence, adding HGH testing in its new collective-bargaining agreement, no one should ever be under the illusion that everything is fine and dandy.
野球界は、HGH(ヒト成長ホルモン)のテストを労使協約に盛り込むなど、ドーピング抑止のための大変な前進を見せ続けているにしても、これでなにもかもが正常になる、きちんとなるなどと、幻想を抱くべきじゃない。

I was angry when I heard the news about Braun on Saturday night. I’m sure a lot of fans were angry, too. On the day that Albert Pujols received a hero’s welcome in Anaheim, in an autumn when baseball is basking in unprecedented labor peace, steroid news again hijacked the sport.
僕は土曜の夜、ブラウンのニュースを聞いて、アタマにきた。たぶん、たくさんのファンもアタマにきてると確信している。(エンゼルス移籍が決まった)アルバート・プーホールズがヒーローとしてアナハイムに迎えられた、まさにその日だというのに、野球というスポーツが、かつてない安息を享受できた秋の日だというのに、ステロイドのニュースがスポーツをハイジャックしたのだ。(アタマにこないわけがない)

We all should just get used to it: The issue is never going away. At minimum, steroid talk will surface every year during the Hall of Fame election. And rest assured, major stars will continue to test positive on occasion, renewing our doubts and reminding all of us that you can’t always trust what you see.
我々はもうみんな、慣れてしまうべきだけなんだ。問題は無くなりはしない。ステロイド問題の議論は、すくなくともMLBの野球殿堂入りの選挙期間中くらいは浮上するかもしれないが、それ以外の時期には鎮静化してしまう。メジャーのスターたちは折にふれて検査をし、時々陽性のテスト結果が出ては、見る者すべてに、自分の見たモノすべてを必ずしも信頼してはいけないんだという猜疑心を思い出させ続ける。ただ、それだけなのだ。

(中略)

The problem for Braun, the problem for the sport, is that the stain will be difficult to erase, c.
ブラウンの問題は、スポーツ全体の問題でもある。消去不可能とまでは言えないにしても、消し去るのが非常に難しい「汚れ」みたいなものだ。

Rafael Palmeiro to this day insists his positive test in 2005 was the result of a tainted vitamin injection. Few want to hear it; Palmeiro’s reputation is in ruins. And really, no matter what Braun did ― or didn’t ― do, it is fair to ask, right now, how he even put himself in this position.
ラファエル・パルメイロは今日に至るまで、「2005年の陽性反応は汚染されたビタミン摂取の結果だった」と主張している。彼の話(=パルメイロの言い訳)に耳を傾ける人など、ほとんどいない。パルメイロの名声は崩壊している。実際にブラウンが何かしたにせよ、何もしてないにせよ、フェアなやりかたは、今すぐ彼に「君さ、この件について、どういう立場をとるんだ?」と、尋ねてみることだ。

As Selig has noted, Braun is part of a generation of players that began getting tested in the minors. Those players are familiar with the process, understand that they must consult with team trainers and doctors if they have any question about what they are putting into their bodies.
既に(MLBコミッショナーの)バド・セリグがコメントしているように、ブラウンは、マイナーでドーピングテストが始まった若い世代に属しているから、ドーピング検査のプロセスには詳しい。自分が摂取しているものについて何か疑問でもあれば、チームのトレーナーとか医師に相談すべき立場にあることを理解している。

It’s pretty simple; if you steer clear of PEDs and any substances that might be confused with PEDs, you can’t test positive.
話は非常に単純なのだ。PED、およびPEDと混同されるかもしれないありとあらゆる物質を避けてさえいれば、陽性のテスト結果が出ることなんて、ありえないんだ。

Drug-testing experts frequently say that only idiots test positive. And while Braun might present a perfectly valid explanation for his result, not everyone will be swayed. People are cynical now, even in the supposed “post-steroid” era.
ドーピング検査の専門家がよく言うのは、愚か者だけが陽性反応を示す、ということ。ブラウンは自分の検査結果について、何か完璧で適切な説明をすることができるかもしれないが、全ての人々の心を、その説明で動かせるとは限らない。たとえ今が「ポスト・ステロイド時代」であろうと、(かつてボンズの時代に嫌というほどステロイド事件を経験した)人々の心はいまだに懐疑的だからだ。

That era isn’t real, was never real and is never going to be real. I’m sorry, but nothing should surprise us anymore, not if we’re realistic in what we expect out of players, not if we’ve been paying attention all these years.
ポスト・ステロイド時代は、現在のところ実現していないし、過去においても実現してなかったし、将来も実現しないだろう。申し訳ない言い方だが、たとえ選手たちに何かリアリスティックに期待しているとしても、数年にもわたって彼らに関心を向け続けてきたとしても、もう私たちは何があろうと、もう驚きゃしないのだ。

damejima at 17:21

February 26, 2011

以前から非常に心配しているテキサスのマイケル・ヤングの移籍問題が、さらに複雑なことになってきた。

もともとテキサスを愛してやまないマイケル・ヤングが、チームに対する失望や怒りを露わにする引き金になったのは、エイドリアン・ベルトレの獲得によるDHへのコンバート、さらにトレードの画策と、チームがこれまでチームの攻守の柱を務めてきたマイケル・ヤングを軽んじて扱ったことだが、皮肉なことに、そのベルトレが筋肉の張りを訴えてスプリングトレーニングを10日から2週間ほど休むことになったのだ。
果たして開幕にベルトレが間にあうのかどうか、この怪我が今シーズン以降のベルトレの守備にどのくらい影響があるかは、現時点では不明。

下記の関連記事では、セカンドのイアン・キンズラーも毎シーズンのように怪我でDL入りしていることだし、テキサスはマイケル・ヤングをチームに引き止めておいたほうがいいんじゃないの?的な気楽な書き方をしているわけだが、そんな失礼すぎる展開で残留を要請されても、マイケル・ヤングの心の傷が癒され、怒りがおさまるわけがない。
そもそも、チームのためにDHコンバートまで受け入れてチームに残ることを選んだのはマイケル・ヤングのほうなのであって、「ベルトレが怪我をしちゃいましたんで、三塁手がいなくなる可能性もあるんで、マイケル・ヤングさん、チームに残ってください」じゃ、マイケル・ヤングの怒りに油を注ぐようなものだということが、この記事を書いたライターはわかってない。選手はチームの道具じゃない。

マイケル・ヤングのファンとして、彼の行く末を非常に心配している。マイケル・ヤングのトレード拒否リストにのってないチームは8つほどあるが、どのチームも戦力補強はだいたい終わってしまっているわけだし、このままではこの稀代の好プレーヤーが宙ぶらりんになってしまう可能性がある。
Beltre injury shows Michael Young's value - Dallas Texas Rangers Blog - ESPN Dallas


今回のマイケル・ヤングの移籍騒動の背景をご存知でない方のために、彼がこれまで、いかにチームのためを思って度重なる守備位置のコンバートに応じてきたか、そして、なぜ今回の騒動でついにキレて、本格的なトレード志願にいたったか、経緯を軽くまとめておく。


2000年二塁手デビューと、2004年遊撃手転向
マイケル・ヤングが二塁手としてメジャーデビューしたのは、2000年。だが、この年は数試合しか出場していないため、二塁手としてプレーしたキャリアは実質2001年以降の3シーズンだ。
ヤングが204安打を放った2003年のシーズン終了後、当時テキサスの遊撃手だったA・ロッドがヤンキースに移籍するのにともなって、テキサスはヤンキースから二塁手アルフォンソ・ソリアーノを獲得した。そのためマイケル・ヤングは、チームのためならと、A・ロッドの抜けたショートに転向した。(なお、遊撃手としてゴールドグラブ級だったA・ロッドは、移籍先にデレク・ジーターがいたため、ヤンキースでは三塁手に転向した)

遊撃手としての成功とゴールドグラブ受賞
マイケル・ヤングは、2004年のシーズン開幕を前に4年1000万ドルの契約を結び、このシーズンから遊撃手としてプレーする。この年はオールスターに初出場し、球団記録を更新する216安打を記録する大活躍。2005年に球団史上初めて2年連続で200安打を達成すると、以降、5年連続で200安打を達成。この頃にはチームの攻守の要として、チームリーダー格になった。
2008年には、初のゴールドグラブを、遊撃手として受賞した。

2009年三塁手への転向
2008年オフ、テキサスはマイケル・ヤングに、若いエルビス・アンドラスにショートのポジションを譲って、三塁手に転向するよう打診する。マイケル・ヤングは当初は拒んでトレードも志願したが、やがて受け入れ、2009年以降は三塁手としてプレーしている。
Young will shift to third base | texasrangers.com: News


2010年オフの三塁手エイドリアン・ベルトレ獲得と
マイケル・ヤングのDHコンバート

2010年オフのマイケル・ヤングの本格的な移籍志願騒動の発端になったのは、球場の狭いボストンに移籍して打撃成績を回復させることに成功した元マリナーズのベルトレに、テキサスが5年8000万ドルもの大金をはたいて三塁手として三顧の礼で迎え入れたこと、にある。
このトレードによるDHへのコンバートについて、マイケル・ヤングは当初「チームのためなら」というスタンスで渋々受け入れていたことを、後にFOXのケン・ローゼンタールにあからさまに語った。
“I’ll be the first to admit that I was not particularly keen on the idea of being a DH. But I did agree to do it. I wanted to put the team first. I wanted to be a Ranger. But in light of events that happened in the process, I got pushed into a corner one too many times. I couldn’t take it anymore.”
「DH転向には乗り気じゃなかった。だけど意を決して同意したんだ。チームのことを優先して考えたかったし、ずっとレンジャーズの一員でいたかったから。なのに、その後に起きたいろいろな経緯を経て、僕はあまりにもたびたび窮地に追い込まれてきた。もう我慢も限界だ。」
Rosenthal: Michael Young Q&A - MLB News | FOX Sports on MSN
参考記事:
エイドリアン・ベルトレ、
給料もらい過ぎプレーヤーランキング12位に
Jayson Werth leads overpaid and Kerry Wood tops underpaid players - Jon Heyman - SI.com

マイク・ナポリ獲得による球団不信と
チームのヤング放出の画策発覚による決定的な亀裂

マイケル・ヤングがベルトレ獲得によるDH転向に渋々同意した矢先、2011年1月になって、テキサスはエンゼルスから、キャッチャーで1塁手やDHもこなすマイク・ナポリを獲得してきてしまう。
このことで、ただでさえ内心では、これまでの度重なる守備位置の変更の果てのDH転向を快くは思っていないマイケル・ヤングに、本当にチームは自分を必要としているのか?という疑心暗鬼が決定的になったと考えるむきもある。
だが、マイケル・ヤング自身はローゼンタールとのインタビューを読むかぎり、ナポリのトレードが決定的な亀裂を生んだという説については、表向き否定している。
むしろ、マイケル・ヤングとチームの間の亀裂が決定的になったのは、ナポリ獲得に前後して、テキサスが主にロッキーズを対象にマイケル・ヤング放出トレードを画策していたことが表沙汰になったことにあるようで、このトレード画策の発覚の後に、マイケル・ヤングは住み慣れたチームを出て行きたいと、トレード志願を公言した。


今回のトレード志願について、マイケル・ヤングはローゼンタールとのインタビューで、mislead「あざむく」、manipulate「(人心を)あやつる」という、きつい意味の単語を使って、こんな風に言っている。
Young said. “I asked for a trade because I’ve been misled and manipulated and I’m sick of it.
「トレードを志願したのは、僕がこれまで、欺かれ、操られてきて、もう、うんざりしたからだ。」

温厚な彼、マイケル・ヤングが、こんな厳しい言葉を使ってモノを言わなければならなくなった理由については、ここまで挙げてきたように、彼のメジャーリーガーとしてのキャリア全体において「守備位置をたびたび変更させられ続けてきたが、チームのことを思って受け入れてきたマイケル・ヤングの歴史」があったことを、彼の名誉のために理解してやってもらいたいと、切に願う。


何もなくて、こんなことを言い出す根性の曲がった男ではないのだ。






damejima at 06:15

June 18, 2008

以前に城島についてコラムで短く触れたことのあるFOXのローゼンタールだが、こんどは正式なコラムで今回のシアトルGMバベジ解任について熱心にまとめてきた。

この中で彼は、シアトルがバベジのせいで蒙ったダメージから立ち直るには今後何年もかかると予測しており、理由として「使えない選手との契約問題」をあげ、選手名も列挙している。
名前があがったのは、セクソン、ベルトレ、ウォッシュバーン、バティスタ、シルバ、そして城島だが、城島については「オーナーのご贔屓だが、それ以外、他の誰のお気に入りでもない捕手」とわざわざ注釈をつけて皮肉っている。

Firing Bavasi was good first step for M's
http://msn.foxsports.com/mlb/story/8251800/Firing-Bavasi-was-good-first-step-for-M
by Ken Rosenthal
Updated: June 17, 2008, 12:58 PM EST

Kenji Johjima, ownership's preference at catcher but no one else's, also is signed though '11.

preference:名詞
選択; ひいき, 選り好み ((to, for, over)); 他より好まれる物[人]; 好物; 優先(権); 【商業】特恵.


damejima at 22:56

June 14, 2008

http://msn.foxsports.com/mlb/story/8233548/Win-now-mentality-has-Dodgers-looking-to-deal-Kemp-?CMP=OTC-K9B140813162&ATT=49
One of the many complaints the Mariners' starting pitchers have with Japanese catcher Kenji Johjima is that he costs them strikes. "He umpires," according to a rival executive. "When he catches the ball, instead of framing it, he decides for himself if the pitch is a ball or a strike and yanks it out of the zone quickly."
マリナーズの先発投手が日本人キャッチャー城島に抱いている多くの不満のうちの1つは、というと、彼のせいでストライクが失われている、ということだ。
「自分で『審判』しちゃうんだな」とライバルチームのエグゼクティブは言っている。「捕球のとき、それをストライクっぽくみせる(frame)するかわりに、彼はその球がボールかストライキか自分で決めてしまって、ストライクゾーンの外にクイっと引っ張り出しちゃんだよな。」

posted by Ken Rosenthal
フォックス・スポーツのシニア・ライター
http://msn.foxsports.com/writer/archive?authorId=162

きわどいストライクをキャッチャーがセルフジャッジしてミットを早々と動かしてしまって、ストライクをずいぶんとボールと判定されることは、先発投手陣にしてみれば『死活問題』だ。城島が先発マスクの日は、追い込んでからカウントを悪くして四球やタイムリーを浴びる、などということが、あまりにも多すぎる。おまけに、昨日の試合ではないが、きわどい球をボールと判定されると、この短気な単細胞捕手は、自分だけでキレしてしまい、何度も何度も同じコースを投手に要求する。

つまり、きわどいストライクをボールと言われているのは、城島自身のセルフジャッジとキャッチングの下手さのせいなのに、球審に勝負でも挑むかのように、同じコースを投手に要求して、あげくの果てには打者を四球で歩かせてしまう、などというシーンなど、マリナーズの試合にはザラにある。

アンパイアに対して対決姿勢を見せれば、アンパイアはさらに態度を硬化させ、有利な判定などしてくれなくなる、という、どこの野球世界でも当たり前のことすら、できない単細胞ダメ捕手なのである。

この、城島がキャッチングが下手だ、という指摘自体は特に新しいものではないが、弱腰なマリナーズファンや城島オタはこれまで認めようとしなかった。マリナーズの地元メディアでもなんてもないフォックスのライターが、マリナーズ以外のチームの情報源の話として書いているこの記事で、なにかと判断力の弱いマリナーズの首脳陣はともかく、城島のキャッチングの下手さがメジャー一般の世界と、マリナーズ先発投手の間では常識になっていることが確定した。


damejima at 04:43
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  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
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  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
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  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



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