マイアミ時代のイチロー

2019年10月18日、ダニエル・ハドソンの育休取得に外部の人間のくせして難癖をつけた、マイアミの元社長David Samsonが「悪名高いジェフリー・ローリアの義理の息子」であることの意味。
2018年8月3日、ホームゲーム平均観客数がとうとう「1万人」を切った、崖っぷちのマイアミ・マーリンズ。
2017年12月22日、ジェフリー・ローリアとまるで変わらないファイアーセールでマイアミ・マーリンズ再崩壊をまねいたデレク・ジーター。
2017年9月15日、「代打ですら打率.292打てる打者」が、レギュラーで出場して3割打てない理由は、どこにもない。
2016年4月27日、「手打ち」と「イチロー」の違い。MLB通算2943安打にみる今シーズンのイチローのコンタクト率が異常に高い理由。
2015年4月18日、イチローの 『マトリクス・スライド2』 でわかった、「プロと呼ばれる人間であるために必要な条件」。
2015年2月25日、いまごろになってようやく「ジョー・ジラルディのイチローの扱いの酷さ」に言及したニューヨーク・ポスト紙。
2015年2月19日、あたかも「イチローが自分の所有するコンドミアムを売りに出した」かのように「誤読」される記事タイトルを故意につけている日本のスポーツメディアの悪質さ。

October 16, 2019

ワシントン・ナショナルズのクローザー、ダニエル・ハドソンの育休取得に、「外部の人間」のくせして難癖をつけたのは、マイアミの元社長David Samsonデビッド・サムソン)だが、こいつがどういう人物か、もっと踏み込んで書かないと、この話のニュアンスが伝わるわけはない。(もちろん、いうまでもないが日本のマスメディア、日本人のMLBライターは誰ひとりとしてきちんと書かない)



ことは、まずは「1980年」にさかのぼる。

この年、デビッド・サムソンの実母シルビア・サムソンSivia Samson)が再婚した。シルビアはデビッド・サムソンがまだ幼い頃に一度離婚していて、デビッド・サムソンの父親はその離婚相手だから、再婚相手は義父(step-father)ということになる。

その再婚相手、義父が、
かのクソ野郎ジェフリー・ローリアJeffrey Loria)である。


ローリアが悪名高いファイアー・セールをやったモントリオール・エクスポズを買収したのは「1999年12月」である。2005年にジェフリー・ローリアとシルビア・サムソンは離婚することになるが、エクスポズ買収時点では、まだ離婚していない。デビッド・サムソンは当時30代に入ったばかりである。

ローリアは、エクスポズ買収と同時に、自分の義理の息子デビッドをすぐに「エクスポズ副社長(executive vice president)」に任命した。デビッドには野球経験も球団経営の経験もないのだが、エクスポズ買収だけでなく、ローリアによるマイアミ・マーリンズ買収にも大きな役割を果たしたといわれている。

MLBでは2つの球団を同時に所有することなどできない。マイアミ買収にあたってローリアはエクスポズを売却して、法外かつ理不尽な売却益を得た。ジェフリー・ローリアが、モントリオールとマイアミでどれほどの悪行を働いたか、ここで書くまでもない。いろいろな紹介記事があるだろうから、自分で調べてみるといい。


その後マイアミ・マーリンズが2003年にワールドシリーズを勝つことになった一方、ローリアがぶち壊して捨てたエクスポズは、2004年にモントリオールでの球団史に終止符を打ち、ワシントンDCに移転する羽目になった。

移転して「やっとジェフリー・ローリアと縁が切れたナッツ」は、「再建のための故意の低迷」を続け、ドラフトをうまく利用して、スティーブン・ストラスバーグ、ブライス・ハーパー、アンソニー・レンドンなど、有力な全米1位指名選手を次々と獲得し、チーム力を急速にアップさせて、いつしかナ・リーグ東地区の常勝チームとなった。

そしてついに2019年、球団創設以来初のワールドシリーズ進出を果たすことになった。

この快挙は「球団創設以来51年目」だが、その「球団創設」とは、もちろん「エクスポズが創設された1969年以来」という意味である。きっとモントリオール市民も喜んでいることだろう。この快挙により、ワールドシリーズに一度も進出していないMLB球団は「シアトル・マリナーズのみ」になった。



エクスポズが球団名を変えて移転しなければならなくなる理由を作ったのが、ジェフリー・ローリアと、かつてエクスポズのエグゼクティブだった義理の息子デビッド・サムソンなのだから、この2人はいわば「エクスポズを窒息死させた張本人」なわけだが、そのデビッド・サムソンは、いまやワシントン・ナショナルズとは何の縁もゆかりもない。
それどころか、マイアミをローリアから買い取ったデレク・ジーターの投資家グループはデビッド・サムソンをクビにしたから、もはやMLBの球団オーナーですらない。
(そのジーターにしても、マイアミでジェフリー・ローリアまがいのファイヤーセールをやって、クリスチャン・イエリッチなどを安売りし、マイアミ・マーリンズを崩壊させた。いってみればジーターはジェフリー・ローリアのstep-son-ownner、「義理の息子同然のオーナー」だ)

その、「いまやワシントン・ナショナルズとはなんの縁もゆかりもないデビッド・サムソン」が、51年ぶりにとうとうワールドシリーズ進出を果たした「かつてのエクスポズ」に、外野から難癖をつけた。自分と義父のせいで弱体化させたクセに、遠くからお祝いのコメントをするどころか、重箱の隅をつつくような難癖をつけるのだから、まったくもってクソ野郎としか言いようがない。

外野からケチをつけようとしたデビッド・サムソンの、この曲がった根性ときたら。かつてのエクスポズファンなら、「黙ってろ、このクソガキ」と言うところだろう。

damejima at 21:32

August 04, 2018

ホームゲームを57ゲーム消化した時点でのマイアミ・マーリンズのホームゲーム観客数は以下のようになっている。
2017年 総数1,184,305人 1試合平均 20,777人
2018年 559,131人 9,809人

2018 Major League Baseball Attendance & Team Age | Baseball-Reference.com


総数で「625,174人」減り、1試合平均でも「10,968人」減っている。と、いうより、簡単にいえば、「観客数が半減した」のである。


こうなった理由は、言うまでもない。
デレク・ジーターが、チームをなんのメドもなく、無意味に解体したからだ。
2017年12月22日、ジェフリー・ローリアとまるで変わらないファイアーセールでマイアミ・マーリンズ再崩壊をまねいたデレク・ジーター。 | Damejima's HARDBALL


これを、ジェフリー・ローリアが悪名高いファイヤーセールをやってチームを解体した2012年の翌年、「2013年の観客数の減少ぶり」と比べると、今のマイアミの惨状はもっとハッキリわかる。

2012年シーズン終了時点 観客総数2,219,444人 1試合平均 27,401人
2013年 1,586,322人 19,584人


2012年にローリアがあの悪名高いファイヤーセールをやった翌年、マイアミの観客総数は「633,122人」も減った。

対して2018年は、57試合消化時点の観客減少数はまだ「56万人減」にとどまっているが、これからまだ24試合ものホームゲームを消化するわけだから、「1試合につき、1万人ずつ観客減少数は増えていく」ので、2018年終了時点のマイアミの観客減少数は、「56万人プラス24万人」で、なんと「80万人の大台」にのってしまうことになる。



別の角度から見てみる。

2013年の観客減少数は、1試合あたり「7,816人」の減だが、この減少数は、前年の1試合平均観客数27,401人の「28.5%」に過ぎない。

対して、2018年の観客減少数は、1試合あたり「10,968人」であり、これは前年の52.8%減という、とてつもない減少率なのである。

つまり、ローリアのファイヤーセールでは、観客の「4人に1人」が呆れて球場に来なくなったが、ジーターのファイヤーセールでは、残ってくれていた観客のうち、「2人に1人」が呆れて球場に来なくなったのである。



これを異常事態と思わないとしたら、どうかしている。もし来シーズン、1試合あたり5000人程度の平均観客数になったら、MLB機構はデレク・ジーターに辞任を要求すべきだ。当然である。

damejima at 17:32

December 23, 2017



Sports Illustratedは雑誌が母体の老舗スポーツメディアだ。長い歴史のある一流メディアなだけに、ファンが好き勝手に書き連ねた文章を電子化して作られているSB Nationや、メディアとは名ばかりでセンセーショナルに煽ることしか能のないイエロージャーナリズムのニューヨーク・ポストあたりと違って、良くも悪くも、「節度」というものがある。

その「温厚な」はずのスポーツ・イラストレイテッドが、MLB30球団ランキングでマイアミ・マーリンズを「言うまでもない最下位」に位置づけた。その上、It's an insult to the fans who are surviving their third teardown since 2003. 「2003年以来、3度の崩壊を耐え忍んできたファンたちへの侮辱だ」とまでハッキリ書いたのだから、やはりマイアミ・マーリンズの「ファイヤーセール」はタダゴトではない


そりゃそうだ。

過去のジェフリー・ローリアの悪行を知っていれば、今回のデレク・ジーターがやっているファイヤーセールが「ローリアそっくりなタイミングのとりかた」であることくらい、誰だってわかる。



このファイヤーセールについては、MLBコミッショナー、ロブ・マンフレッドもインタビューされている。インタビュアーはESPN RadioDan Le Batardだ。

このインタビューは、スポーツのインタビューとして近来まれにみるほどの「激烈なトーンのインタビュー」だったようで、両者の激突ぶりはタダゴトではない。
VIDEO: ESPN radio host Dan Le Batard rips Rob Manfred - NY Daily News
例えば、Le Batardが挑発的に「マイアミのファイアーセールについて事前にご存知でしたか?」と単刀直入に質問すると、マンフレッドは「興味深い話題ではあるね」などとノラクラした答えで質問をかわそうとした。だがLe Batardは、すぐにマンフレッドをさえぎって、「イエスかノーかでお答えいただけるよう、申し上げましたが?」と、わざと見下したトーンでたたみかけたものだから、マンフレッドがキレてしまい、「嘘つき呼ばわりは許さん!」などと語気を強めるなどという、激しいやりとりで始まっている。(だが、結局マンフレッドは当たりさわりない返答に終始し、この話題への介入を徹底して避けた)


過去に、大多数のMLBファン、特にモントリオールとサウス・フロリダの野球ファンが「思い出したくもない、ジェフリー・ローリアがらみの災難」は数えきれないほどたくさんあるわけだが、最大のものといえば、「2004年のエクスポズ身売り」と、「2012年のファイヤーセール」だろう。

エクスポズオーナー時代の2001年、ローリアは放映権を突然値上げして地元メディアともめた。地元メディアが高額な放映権料を拒否したため、モントリオールでは「地元のエクスポズ戦の英語放送」がなくなってしまい、野球人気を一気に冷やすことになった。
その後ローリアとMLB機構は、こんどは地元自治体に「新球場建設の資金援助」を求めた。これも財政難の自治体側が拒否すると、ローリアは、なんとエクスポズをMLB機構に売り渡すという暴挙に出た。
これによりエクスポズは「オーナーのいない、宙ぶらりん球団」になってしまい、一時的にMLB自体が直接運営することになった。
宙ぶらりんのエクスポズは2004年にワシントンDCに移転。2005年5月にやっとオーナーが決まってできたのが、ワシントン・ナショナルズだ。ナショナルズは的確な再建方針の実行により、いまでは押しも押されぬナ・リーグ東地区のトップ球団になった。


「エクスポズ身売り騒動」において、当時のMLBコミッショナー、バド・セリグは、ローリアに「無利子の融資」という特権待遇を与えた。これがそもそも間違いのもとであり、ローリアは結果的にまったく損することもなく、次の買収ターゲットとしてマイアミ・マーリンズに資金投入できた。


2003年マーリンズオーナーとなったローリアは、初年度のワイルドカードからワールドシリーズ制覇しているのだが、勘違いしてもらっては困るが、これはローリアの前オーナーであるジョン・W・ヘンリー(=かつてマーリンズGMだったデーブ・ドンブロウスキーをクビにした人物)の時代の選手たちの活躍が原動力なのであって、ローリアの功績でもなんでもない。
それが証拠に、ローリアはシーズン終了後、ワールドシリーズで活躍した選手たちをさっさと手放した。もし自分が苦労して集めてきた選手がワールドシリーズを優勝してくれたのなら、そのほとんどをを即座に売り払うような真似はしない。

そして2012年、地元自治体が建設資金の約4分の3を負担した新球場マーリンズ・パークが開場したわけだが、ローリアは、たった1年だけチームに多額の資金を投入し、マーク・バーリーなど有力選手をかき集めてみせた。
だがローリアは、その選手たちもすぐにファイヤーセールで売り払った。新球場に資金援助してくれた地元ファンを、たった1年だけ夢を見させておいて、すぐに裏切ったのである。この「裏切り行為」は、いうまでもなく地元のファンとメディアの大顰蹙をかった。それが「2012年のファイヤーセール」だ。


こうした2球団での事件の数々に加え、ジェフリー・ローリアのすべての「悪事の前提」として知っておくべきことは、彼がずっと「MLB機構が、収入の少ないチームに資金を再分配する『分配金制度』を悪用してきた」ことだ。
ローリアはMLB機構から「多額の分配金」を受け取る一方で、選手の年俸全体を「低く抑え」、さらにはサラリーが高騰しそうな有力選手が出現するたびに他球団に売り払うという手法で、結果的に「多額の差額収入を得てきた」のである。



ちなみに「2012年のファイヤーセール」ではマーリンズの有力選手のほとんどがトレードされていなくなったが、ほんの少数「チームに残されたスタメン野手」がいる。そのひとりが、当時22歳で、サラリーがたったの48万ドルだったジャンカルロ・スタントンだ。
そして、ファイヤーセールの翌年、2013年に、突如として出現した若手投手のホープが、当時20歳で、サラリー40万ドル台だったホセ・フェルナンデスだ。

フェルナンデスのコカイン使用中のボート事故死という不祥事と、今回のスタントンのトレードが、マーリンズの歴史においてどういう意味をもっているかわかるはずだ。この2人はいわば、ローリアが崩壊させ続けてきた2000年代以降のマーリンズの「最後に残された希望」だったのである。


ところが、だ。
その「最後のピース」をニューヨークに売り払う人物が現れた。
デレク・ジーターである。

「少ない予算の中で勝てるチームをつくるために有力選手をファイヤーセールするのは、よくあることだ」とジーターは言い訳している。だが、それはローリアがこれまでやってきたことと、まったく何も変わっていない。


おかしな点は多い。

ジーターは「予算が少ない」というが、カネがないなら、MLBチームなど買うべきではない。当たり前の話だ。言い訳にすぎない。

また、ニューヨークなどのビッグ・マーケットのGMの年俸を調べれば誰でもわかることだが、まだ新人で何の実績もないGMにしては、ジーターの年俸「600万ドル」はけして少ない金額ではない。もし「カネがないチームだ」というのなら、なぜなんの実績もないGMが多額の年俸を約束されているのか。

さらに、イチローのオプションの件もおかしい。若手中心のチームに作り変えるためにスタントン、オズーナと、「スタメン外野手」を次々に手放す予定だったのなら、「年俸が安くて、外野のどこでも守れる、打撃のいい控え外野手」を「真っ先に手放す理由」がない

また、スタントンは当初からトレードを望んでいたわけではない。むしろ彼は数少ない「はえぬき」のスタメン選手のひとりとして「投手補強によるマーリンズ強化」を望んでいた。(ちなみにスタントンは2012年ファイヤーセールのときもツイッターでローリア批判を公言している)
実際、2017マーリンズの打撃面は、十分にポストシーズン進出を狙えるだけの内容だったが、2017年マーリンズはホセ・フェルナンデスを事故で失って投手補強が急務だったにもかかわらず、ポストシーズンを前提とした投手補強を行わなかった。このことはマーリンズが2017シーズン終盤に大きく失速する最大の原因になった。
いってみれば、2017マーリンズは、ポストシーズンに行けるチャンスもあったのに、「故意にチャンスを投げ捨てた」のである。


細かい点をだいぶ端折って書いたために事実関係が曖昧だったり、記憶違いだったりする点があるかもしれないが、ご容赦願いたい。
いずれにしても言いたいことは簡単で、デレク・ジーターがいまやっていることは、かつてジェフリー・ローリアがやってきたことと、そっくりだ、ということだ。
ドラフトで有力選手がボコボコ獲れた時代はもはや終わった。ストラスバーグとハーパーをドラフトで獲ったナショナルズと同じ再建手法がもはや成り立たないのは、シアトル・マリナーズの再建の失敗ぶりをみればわかる。
(ちなみにジェフリー・ローリアはニューヨークのマンハッタン生まれで、子供の頃からヤンキースの試合を見て育った人間であり、今でも1年の半分はニューヨークに住んでいる。そしてマーリンズ監督ドン・マッティングリーも、GMデレク・ジーターも、元ヤンキースである)


こうしてこの10数年の流れを大局的に眺めてみると、以下の言葉をつらねるのが嫌になるが、書いておくしかないだろう。
かつてイチローを嫌っていたはずのマーリンズがイチロー獲得に動いたことの「真意」は、結局のところ、「イチローのクリーンなイメージを利用して、ファンを呼び戻し、売り払う前の球団価値を多少なりともアップすることにあった」としか言いようがない。
いいかえるなら、球団を高く売り払うためにローリアは、イチローを利用し、マイアミの野球ファンを利用し、そして2012年ファイヤーセールの「最後に残ったピース」であるジャンカルロ・スタントンをも含めて「すべてを売り払った」のだ。

それが悪行でなくて、なんだというのだろう。


そして、ジェフリー・ローリアがようやくいなくなって、誰もが「やれやれ、やっとこれでサウス・フロリダもマトモになる」と思っていたところで、新しいGMであるデレク・ジーターが「ローリアそっくりのファイヤーセール」をやったわけだ。

怒りを通りこして、呆れるしかない。








damejima at 20:23

September 16, 2017

代打で打率.292打てるバッターがいたとして、もしあなたなら、この選手がスタメンでずっと出場していたら、どれだけの打率残せたと思うだろうか。
あるいは、ちょっと言いかえるなら、「もしあなたが代打という、気まぐれなシチュエーションでワンシーズン出場したとして、3割打てるか」という質問でもいい。


イチロー2017年

月間(打率、出塁率) 
7月 .321 .472
8月 .346 .370
9月 .375 .500

2017年通算(打率、出塁率、wOBA)
走者なし  .240 .303 .280
走者あり  .296 .367 .326
得点圏   .341 .426 .381

ソース:Baseball Reference, Fangraph


自分は、今シーズンイチローがスタメン起用されていたら確実に3割打てただろうと思っている。だから、来シーズンのイチローの契約について、自分は心配したことなど、一度もない。


そんなことよりも、だ。

むしろ、今シーズンのイチローについて、「なぜ?」とクビを傾げていることがある。

盗塁がゼロであることだ。


イチローを見る、という「行為」は、バッティングだけでなく、走塁を見て、守備を見て、あらゆる「野球のあらゆる時間を楽しむ総合的な行為」であるべきであって、代打でバッティングだけ見るというのは、苦痛以外のなにものでもない

盗塁死が1度だけあるところをみると、イチローの側に走る気持ちがまったくなかったわけでもなさそうだが、とはいえ、ゲーム終盤にイチローが代打として起用されるシチュエーションの大半が、盗塁を期待しない、リスクをかけられないシチュエーションばかりだったのかもしれない。よくわからない。

なぜだ。
足のどこかを痛めているのか。

誰か、マッティングリーにイチローの盗塁を禁止してないかどうか、聞いてきてくれ(笑)


冗談はさておき、ついでだからいうと、マイアミのオーナーが来シーズンからデレク・ジーターのグループに変わったら、監督ドン・マッティングリーか、GMマイケル・ヒルのどちらか、特にマッティングリーはクビになるんじゃないかと、ちょっと思ってる。なぜって、やりようによっては今シーズンのマイアミはポストシーズン進出の可能性が十分あったと、誰しも思っているはずだからだ。

damejima at 16:34

April 28, 2016

ひさしぶりに野球の記事を書く。
こんなに肩がこる作業だとは思わなかった(笑)
よくこんなめんどくさいこと、1000本以上やったものだ(笑)

イチロー MLB通算2943安打

2016年4月26日 at Dodger Stadium


最初の写真はドジャー・スタジアムでフランク・ロビンソンに並ぶMLB2943安打を打ったときのイチローだ。この写真の「意味」というか「凄さ」は、わかる人には誰もがわかっていることなのだが、中にはわからない頭の悪い人もいる。今回はそういう、わけがわからない人のために書く(笑)


まず、先日マーリンズ・パークで8号ホームランを打ったときのブライス・ハーパーの写真とイチローを並べてみる。下半身のカタチに注目してもらいたい。

イチローとブライス・ハーパー フォーム比較

2016年4月21日 Marlins Park


まだ意味がわからない?
そういう人のためだけに、もう少しだけ書く(笑) ほんと、めんどくさいな(笑)


上のイチローとハーパーの比較写真は、「下半身のカタチがまったく同じ」だ。これは誰にでもわかる。

だがひとつ、「決定的な違い」がある。
なぜなら、ハーパーの画像が「スイング前」であるのに対して、イチローのほうは「スイング後」だからだ。

そう。2943安打のイチローは、
「スイング後」のはずなのに、
下半身は「スイング前の基本位置のまま」

なのだ。


さて、その意味を知るために同じ打席のブライス・ハーパーで、通常パターンのバッティング・フォームの推移を見てみる。

ブライス・ハーパーのバッティング・フォーム

この連続写真で、最も重要な、野球好きなら誰もが気づかなくてはいけないと思う点のひとつは、踏み出した「右足のピント」がブレていない、という点だ。

逆にいえば、右足以外、つまり「上半身」と「左足」のピントは常に「ブレて」いる。つまり、それらは「高速移動している」状態にある。
にもかかわらず、「右足」、特に「右膝から下のピントだけ」が、常にあっている。つまり「動いていない」。

これはもちろん、熱心な野球ファンなら誰でもわかっていることだが、左打者の場合、「踏み出した右足」をできるだけ開かないようにしながら「左足と上半身だけを旋回」してバットをスイングしているからだ。(ただし右打者の場合は、左足と右足の股関節の可動域の違いから、必ずしも左打者と同じ動作になるとはいえない)

文字で読むと簡単にできそうに思うかもしれないが、実際にはそうではない。「身体の右半分は回さず、左半分だけ回す」というような、不自然な、無理のある動作は簡単に実現できるものではない。


次にブライス・ハーパーの3枚の写真の「ベルトの位置」(というか臍の位置)を見てもらいたい。

野球における臍下丹田の重要性を熱心に語ったのは、2012年に亡くなった、かの榎本喜八翁なわけだが、スラッガー系の打者はよく「伸び上がるチカラ」とか「スウェイするチカラ」をバットパワーに利用している。
ハーパーの「ベルト位置」を3枚続けて見ると、彼が「少し伸び上がってスイングしている」ことがわかる(他に彼はファースト方向に下がりつつ長打を打つことも多々ある)。
面白いことに、定規をあててハーパーの「眼の高さ」を調べてみると、彼の「眼の高さ」はほとんど変わっていないことがわかる。

伸び上がっている、なのに、眼の高さは変わっていない、のだ。

もちろん、ボールを最後までしっかり見るために視線はあまりブレないほうがいいに決まっているから、スラッガーとしては「伸び上がりながらも、同時に、眼の高さは変えないようにしたい」わけだ。

だがこれも、実際やってみると簡単ではない。人間、伸び上がって動作すれば、眼の高さも当然変わるものだ。

それを防ぐというか、矛盾を解消するには、例えば次のような2つの動作を同時にこなすような「工夫」が必要になってくる。
1)体幹を急激に伸ばして、伸び上がりながらも
2)身体を弓なりに曲げて傾け、目線は上がらないようキープ
加えて、左打者なら
3)右足はミートまで固定しながらも
4)左足と上半身は激しく回転
させなければならない。


ややこしいこと、このうえない。

だが、こんなことはあくまで野球のイロハであり、打者はこうした複雑な動作を若い頃から練習で身につけている。
複雑な動作というのをもう少し詳しく書くなら、打者は「無理な姿勢と無理な動作をわざと身体に強いる」ことで、カラダ全体、特にが一時的に蓄える「窮屈なチカラ」を、スイング、特にバットヘッドの回転に向けて急激に開放することでボールを弾き飛ばそうとする。

だが、この「窮屈なチカラの開放」というやつは、概して「途中で止めることが難しく、途中で止めると溜めたチカラが発散して消え、無力化してしまう」という難点がある。

だからこそ、投手にとって打者とのかけひきで重要なのは、打者が長年の習慣として身にしみつかせた「連続的なチカラの開放動作」を、途中で止めさせたり、変更させたりすることで、チカラを分散・発散させ、バットヘッドに集中させないという点に真髄があるわけだ。


ここまでくれば最初に挙げたイチローの写真の「意味」は、もう説明しなくてもいいはずだ。彼は
1)「スイング初期の下半身」を基本に忠実な位置のまま中断して、スイング終了後にまでキープし続けたまま
2)上半身だけを鋭く回転させて、まるで「鎌で稲穂を刈り取るように」バットを振り切ってライナー性のヒットを打ち
3)そのくせ、顔(目線)だけは、スイングが終わりかけてもずっとミートポイントを見続ける位置に残っている
のである。
こんなこと、腰痛持ちの老人にはとても無理だ(笑)


投手の投球術によって打者がバランスやタイミングをズラされて「下半身のカタチを崩されて」しまい、やむなく「手だけ」でバット操作してボールを無理矢理当てにいくのが、「手打ち」だ。

だが2943安打のイチローは、見てのとおり下半身はまったく崩されていない。これは手打ちではない。まったく違う。

普通ならば、バットを止めるか、通常のヒッティング状態に移行していきそうなものだが、イチローは「顔」と「下半身」を「バットを振り始める前の位置」に止めたまま、上半身の回転だけでバットを振り切ってしまうという独特の荒業(笑)を行っている。
身体とバットのすべてを止めるというのならともかく、下半身に加えて顔まで残したままバットだけ振り切る、なんてことは、普通なら筋肉も関節も脳もついていけない。
自分はやれると思う人は、どうぞバッティングセンターででも試すといい。

こういうのを見れば、今シーズンのイチローがコンタクト率が異常に高いのも当然の話で、説明するまでもない。イチローだからこそ、あんなボール球をレフトにライナー性の打球が打てるし、ボールもストライクも関係ない。


いつぞや2012年にヤンキースで地区優勝した年にマット・ウィータースのタッチをかいくぐってホームインした「マトリクス・スライド」もそうだったが、自分の身体を自分の思ったように動作させる能力と、それを支えてきた技術と身体能力とトレーニング、これこそが「イチロー」だ。
2012年10月9日、2012オクトーバー・ブック 『マトリクス・スライド』。ついに揃った 『イチロー 三種の神器』。 | Damejima's HARDBALL

damejima at 06:55

April 19, 2015

2012年10月の『マトリクス・スライド』から、もう「2年半」。
早いものだ。
2012年10月9日、2012オクトーバー・ブック 『マトリクス・スライド』。ついに揃った 『イチロー 三種の神器』。 | Damejima's HARDBALL


あれはイチローがヤンキースに移籍してラウル・イバニェスとの久々のコンビでア・リーグ東の地区優勝をもぎとった後の、ポストシーズンでの出来事だった。
忘れもしない。2012年10月9日、NYY対BALのALDS Game 2。ボルチモアのキャッチャーはマット・ウィータース。彼はイチローに2度タッチしようとして、2度とも失敗した。




そして、2015年。
まさかのマトリクス・スライド 2が劇場公開になった(笑)


http://m.mlb.com/video/v76672583/mianym-ichiro-out-call-overturned-at-home-in-7th/?partnerId=as_mlb_20150417_43965786&adbid=588883217798664194&adbpl=tw&adbpr=18479513

こんどのキャッチャーは、2013年にNYMでメジャーデビューしたばかりの若いトラビス・ダーノー
マット・ウィータースのときもそうだったように、イチローは2度のタッチを、2度ともかいくぐって得点した。MLBのTwitterの公式サイトは The Slide と、ウィリー・メイズのThe catchになぞらえてネーミングし、Cut4は映画マトリクスになぞらえて動画にコメントしている。


プレート・アンパイアはEric Cooperだ。
彼はこの「イチローの2度のタッチ回避」について、「1度目のタッチ回避のみ」を見て、しかも「アウト」と「誤判定」した。
彼が「イチローの2度目のチャレンジ」自体をまったく考慮していないことは、以下の画像で明らかだ。イチローがまだ「2度目のチャレンジ」をしていないタイミングで、球審Cooperは既に「左手を突き出して」いる。これは「ホームプレートでのタッチアウト」をドラマチックにコールをするときの球審特有の動作だ。

「マトリクス・スライド2」におけるEric Cooperの誤判定
Eric Cooperは去年ワールドシリーズのアンパイアにも選ばれて、近年では評価の高いアンパイアのひとりではあるわけだが、こと、この判定については明らかに「早とちり」だった。
論理的に考えればわかることだが、もしキャッチャーのトラビス・ダーノーが「最初のタッチでイチローをアウトにできた」と確信するほどの手ごたえがあったとしたら、あれほど必死になって「二度目のタッチ」にいくわけがない。(実際、試合後にダーノー自身が「一度目のタッチには失敗した」と潔くコメントしている)
まぁ、イチローがらみのプレーでは「普段だったらありえない、マンガの中でしか起こらないようなことが、実際に起きる」のだから、しかたないけれども(笑)
参考記事:カテゴリー:2012イチロー・ミラクル・セプテンバー全記録 1/2ページ目 │ Damejima's HARDBALL



それにしても、このプレーはいろいろと勉強になった。

よくアクション映画では、「車をぶっとばしているヒーローが、間一髪で踏切をわたって、列車との衝突を避ける」なんていうような、「ギリギリでかわすシーン」があるわけだが、ああいう「ギリギリでの行為に成功するためのファクター」について考えたことは今までなかった。

イチローの『マトリクス・スライド2』でわかった「プロと呼ばれる人間であるために必要な判断能力」は、以下のとおりだ。
1)「正しさ」よりも、「スピード
2)「才能」よりも、「自己の能力把握
3)びっくりするほど「細かく」研ぎ澄まされた時間感覚


まず『マトリクス・スライド2』において「イチローがセーフになった理由」を考えてみるとすぐわかることだが、「足が速いこと」は、このプレーの成功にとってはそれほど重要なファクターではない

「時間をかけて判断することによって正しい判断ができる人」なんてものは、世の中にいくらでもいる。例えば、遠くに横から出てきた車が見えたために、衝突を避けるために余裕をもってスピードを落とすことなら、誰にでもできる。
だが、『マトリクス・スライド2』においては、本塁突入するかどうかを「ゆっくりと決断」していたのでは、たとえ足の速いイチローでも確実にアウトになってしまう。

つまり、『マトリクス・スライド2』からわかることは、
「判断結果の正しさには、実は、人が思うほどの価値はない」
ということだ。

はるかに価値は高いのは、判断の「正しさ」よりも、人よりも何十倍、何百倍も早く正しい判断ができる「スピード」なのだ。
(例えば、ビジネス上の判断でも、「それみたことか、俺の思った通りになっただろ」と「後から」言うことなど、誰でもできる。だが、いくら判断が正しくても、「スピードを伴った正しい判断」でないなら、そこに価値は存在しない。価値があるのは、判断の「正しさ」ではないのだ)

大事なのは、「よし! イケる!」、「いや、イケない」という「感覚」だ。
こういうとき、よく野生児の感性などという言葉を使いたがる人がいるけれども、この「イケるという感覚」は実に「論理的なものさし」であって、感性などという曖昧なものではない。



次に、なぜイチローは「正しい判断を素早く下せる」のか、について。

彼が「足が速い」のが理由なのか。
そうではない。

彼の本塁突入は、まさに「100分の1秒以下の刹那の世界」で決まる。もちろん足が速いにこしたことはない。
だが、いくら足が速いランナーであっても、「アウトになるタイミングなら本塁突入してはいけない」のであり、他方で、「いくら足が遅いランナーであろうと、セーフになるタイミングなら、絶対に本塁突入を敢行すべき」だ。

つまり、「本塁突入を実行するか、しないかの判断」にとって重要なのは
足の速さという「才能」ではなくて、むしろ「自己の能力把握」
なのだ。
それは、「自分の現在の能力から判断して、自分がいま実行しようとしているプレーは、アウトになるのか、セーフになるのかが、瞬時にわかる能力」のことであって、「足の速さ」そのものではないのだ。

例えば、足の遅いランナーが走塁を自重してしまうことが多いのは、「足が遅い」ことが根本理由ではない。
太っている人に限って自分の体脂肪率を把握していないことが多いのと同じで、「足の遅い人は往々にして自分のスピードを把握していない」。そのため自分の能力というものが理解できていない足の遅い人ほど走塁について積極的になれない、ただそれだけなのだ。(逆にいえば、野球において、どんな足の遅いランナーであっても盗塁が可能なのは、このへんに理由がある)


では、イチローはなぜ「100分の1秒以下の世界でギリギリに成否が決まるきわどいプレーを、正確に判断できる」のだろうか。

「足の遅い人」というのは往々にして「自分に出せるスピードをまるで把握していない」ものだ。だから、「物事を判断する単位」として、10秒とか、1分とか、「非常に大雑把なものさし(=スケール)」でしか判断していない。

例えば、「車を運転していて、遠くに横から出てきそうな他の車が見えた」、とする。もし自分の出しているスピードの把握が「大雑把」ならば、「ギリギリすり抜ける」なんて神業は絶対に実現できない。むしろめちゃくちゃ余裕をもって自分の車を停止させるほかない。そしてその停止タイミングが早すぎるか、遅すぎるかは、本人すらわからない。
(「ノロノロ走る自信のないドライバー」ほど、むしろ事故を起こしやすいという逆転現象があるのは、このへんに理由がある)

アクション映画でよくある「ギリギリすり抜ける」という行為が可能になるのは、判断スピードの速さとパーフェクトな速度把握をもとに、その人がもつ特有の時間感覚の「単位」が、びっくりするほど「細かく」研ぎ澄まされているからだ。そうでなければ、100分の1秒以下の世界で成功か失敗かが決まる案件を瞬時に判断することなどできない。

アマチュアの日曜大工に必要な道具の種類がせいぜい十種類ちょっとで足りるのに対して、プロの職人が100や200を軽く超える道具をもつとか、プロのハスラーのキューが非常に繊細にできている、などというようなことがあるのは、彼らのような「プロ」は「自分の仕事に対する要求度」が「素人には想像がつかないほど非常に細かくできている」からだ。


「自惚れ(うぬぼれ)」というものは、どんな人にもある。自分が「正しさ」や「才能」をもっていると自覚している人には、(特に年齢が若ければ)自惚れも自然と強くなる。
だが、「正しさ」や「才能」には、実は自分で思っているほどの価値はない。(また、かつて記事にしたように、「若さ」なんてものにも、もうかつてのほどの価値はない。 参考記事:カテゴリー:『1958年の西海岸』 アメリカにおける放浪の消滅 │ Damejima's HARDBALL

スピードの欠けた正しさ、自己把握の足りない自惚れだけの才能、大雑把すぎる時間感覚で、「伸びる前に折れてしまう芽」は多い。
なぜ自分が芽が出ず埋もれたままなのか。それを不満に思ったりする前に、自分の判断スピードの「遅さ」、自己把握の「いい加減さ」、時間感覚の「大雑把さ」を、あらためて初心にかえって修正を試みるべきだ。


イチローが41歳にしてMLBにいられて、マトリクス・スライド2のようなスーパープレーができるのは、足が速いからではない。
いま自分は何ができるのか、それをイチローは
 誰よりも早く、誰よりも正確に、誰よりも細かく
 把握している
」からだ。
彼の判断能力の「標高」は、人が想像しているより、はるかに高い。

アンパイアより、メディアより、ファンより、
イチローのほうがはるかに「イチローの能力」を把握している。

当然のことだ。

damejima at 21:53

February 26, 2015

なぜNY Postが、マイアミに移籍して、もうヤンキースとはなんの関係もないイチローの名前を使って「ひどく遠回しなジラルディ批評記事」を書きたがるのか知らないが、「まったく季節はずれ」な記事を書いている。

Why Ichiro is glad to be a Marlin ― and away from Joe Girardi | New York Post
「マーリンズ入りしたイチローが、ジョー・ジラルディから離れたことを喜んでいる理由」


くだらないにも程がある。
「もうチームにいない選手の名前を借りて、遠回しにチーム批評する」なんてチキンなことをする暇があるなら、NY Postはヤンキースがなぜ、ヒューズ、ロバートソン、フェルプスといった「まだ十分に戦力になるのがわかりきっている生え抜き投手陣」の『流出』を未然に防げなかったのかという記事でも書くほうが、よほど「自分たちに直接かかわるストレートな問題提起」になるだろう。

NY Postは今からでも遅くないから、フィル・ヒューズのところに行って「ヤンキース在籍時に能力が思うように発揮できなかったのは、なぜだと思うか」と質問し、ロバートソンフェルプスに「なぜヤンキースに残る気にならなかったのか」をインタビューしてこい、と言いたい。
ついでに言えば、ロビンソン・カノーに「今のヤンキースの低空飛行ぶりを外からどう見ているか」、さらには、ブランドン・マッカーシーショーン・ケリーに「なぜヤンキースから他チームに乗り換えたのか」と聞いてくるといい。
関連記事:2014年9月21日、フィル・ヒューズ自身が語る「フルカウントで3割打たれ、26四球を与えていたダメ投手が、被打率.143、10与四球のエースに変身できた理由」と、ラリー・ロスチャイルドの無能さ。 | Damejima's HARDBALL

ともかくNY Postは、イチローの名前を勝手に使って、遠回しなチーム批評に「利用」するような「卑しい行為」は心して慎むべきだ。


それにしてもNY Postは、イチローがジラルディから離れてハッピーになれたことに、「今ごろ気付いた」のだろうか? ブログ主に言わせれば、ヤンキースがもっと前にトレードしてくれればイチローは今よりもっとハッピーだったのにと言いたいところだが(笑)、いずれにしてもニューヨークメディアは気づくのが遅すぎるし、しかも、書いていることが的外れだ。

上の記事でNY Postの記者が「ヤンキース時代にイチローがジョー・ジラルディから受けた酷い扱い」の例として挙げているのは、例えばこんなケースだというんだから、笑える。
Ichiro collected his 3,999th hit of his combined career on Aug. 20, 2013, at Yankee Stadium in the first game of a doubleheader against the Blue Jays.
Ichiro was hoping to play in that second game to reach the milestone and get the moment out of the way, but was only used as a pinch runner in that game.
2013年8月20日、ヤンキースタジアムでのダブルヘッダーの第1試合で日米通算3999安打に達していたイチローは、第2試合出場でマイルストーンへの到達(=4000安打達成)を望んでいたが、実際には代走出場のみに終わった。

まったく三流メディアはいい加減なことを書くものだ。

ブログ主の知る限り、「イチローが会見など公の場で、『日米通算という形での記録』を自分が重視していると発言したり、そういう風にふるまった」などという話は聞いたことがない。
むしろ彼は、「日米通算という形での記録」についてはずっと意図的に感情を押し殺し、注意深く言葉を選んで発言して、評価を避けてきたはずだ。
ブログ注:もちろんブログ主自身の「日米通算についての考え」はイチロー自身とは違う。天才イチロー限定だが、彼の場合に限っては、たとえそれが「日米通算」であろうとなんだろうと、十分意味のある「記録」だと思っている。
そして、以下に引用するNHKの番組でイチローが「負け試合で、新人の後に代打に出されて味わった痛恨の体験」について語ったコメントを読めばわかることだが、イチロー自身だって自分の内部では日米通算4000安打という記録にまったく何の価値も見出していないわけではない、のである。

だが、NY Postの記事だけを読むと、あたかも「イチローが表立って『日米通算記録にこだわって』、第2試合出場を強く望んだかのように」書かれている。

おいおい、おいおい。
推測で勝手にモノを書くんじゃねぇよ。


例えば、イチロー自身がNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組に「4000安打達成の10日後の「代打」の屈辱」について語った例があるように、「イチロー自身が自分の言葉で語った、ヤンキースにおける酷い扱いの例」というのは、ちゃんと「ソース」が存在する。
だからNY Postは、曖昧に言葉を濁した情報源だの記者の憶測だのを元に記事を書かず、イチロー本人のコメントを引用しておけば、それが最も確実なのに、それをしないから物事おかしくなる。
「(4000安打達成の)10日後には9対1で勝っている場面で代打にいってるんですよ。悪い言い方すると屈辱。先発のメンバーは下がってる。10日前に4000本を打った僕が代打で出てる。試合決まってますから。僕の前に代打で出た選手はメジャーで1本もヒットを打ったことがないルーキー。このことっていうのは、僕の中で一生忘れない。忘れてはいけないこと。悔しかったんですよね。ライトフライで終わったんですけど。違う意味で今までで一番結果を出したかった打席だったんですよね。」
イチロー語った一生忘れない屈辱 - ライブドアニュース

ブログ主が覚えている限りでも、「ジョー・ジラルディのイチローに対する不合理きわまりない扱い」は、多々挙げることができる。(もちろん自分が観戦してないゲームでも少なからずあったに違いない

例えば、ジョー・ジラルディは、左投手先発ゲームで「左投手をまったく苦にしないで打てるイチロー」をけして先発させようとしなかった。このことも、ここでいう「酷い扱い」のひとつであり、ジラルディはイチローが長年お得意様にしてきたマーク・バーリー登板ゲームですら、先発させなかった。

また、シーズン打率.280以上を記録したイチローをベンチに座らせたまま、「打率1割台のクソみたいなバッティングの選手」を優先して代打に出すことも、1度ならずあった。
例えばジラルディは、打てない守備専の遊撃手ブレンダン・ライアンに、同じく打てるわけがないスティーブン・ドリューを代打に出すような意味不明で無駄な選手交代を、しばしばやった。
これなど、代打としてイチロー、もしくは、ドリューよりマシな打撃のできる若手を使っておいて、その後ドリューをショート守備につかせたほうがはるかにマシな攻撃ができるわけだが、ジラルディはライアンの代打にドリューを使うような意味不明な選手起用を、「ポストシーズン進出の希望がわずかながら残されていた時期」ですら、何度となくやったものだ。


マイアミ移籍会見でイチローは、「選手として必要としてもらえることを、この2年間欲していた」という意味のことを自分の言葉でハッキリ言ってのけた。
会見での原文
この2年間、欲していたものは、これだったのじゃないかなと思っています、選手として必要としてもらえること。これが僕にとっては何よりも大切なもので、大きな原動力になると思う。


もちろんブログ主は喝采した。
プロ・アスリートとして当然の話だからだ。


イチローは、2013年以降のヤンキースで、「チームがイチローのプレーを欲しているという確かな感覚が得られないまま」中途半端にプレーさせられ続け、だらしないチームがだらしなく負け、ポストシーズン進出に失敗するのを「遠くから」眺めさせられた
その原因は、GMキャッシュマンの度重なる大型契約の失敗によるペイロールの硬直化、ジラルディの不合理きわまりない起用法、怪我でロクに働かないのにレギュラーの座に居座っている高給取りの選手たち、アレックス・ロドリゲスに象徴されるチームのステロイド体質、ヤンキースの若手育成能力の無さなどにある。


発言に「耳を傾けて」さえいれば、行間に垣間見える「イチローの感情」は誰にでもわかる。彼が「ヤンキースでは酷い扱いを受けたと感じていたかどうか」なんて、イチローファンにしてみれば、なにもNHKのインタビューなど見なくてもわかる。
だが、ブライアン・キャッシュマンも、ジョー・ジラルディも、ニューヨークメディアも、イチローに「十分に耳を傾けて」はいなかった。いまさらNY Postが何か書いても、それはまったく「季節外れな行為」だし、そもそも書いていることの中身それ自体が「ピント外れ」だ。
いまさらNY Postに「ジョー・ジラルディから離れたことを喜ぶ理由」なんてものを(それも間違った形で)書いてもらわなくとも、そんなわかりきったことは、とうの昔から日本のイチローファンの「全員がわかっている」のである。

「おまえらは、やることなすこと、ことごとく遅えんだよ。書くならヤンキース在籍中に書け、この臆病モノ」と言っておこう。


もう一度繰り返す。

もしニューヨークメディアが、チームが長年抱えてきた欠陥を放置して没落しつつあることをようやく指摘してみる気になったのなら、Future Hall Of Famerであるイチローの発言やネームバリューを借りてそれを行うのではなく、記者が「自分の名前」を使って、「自分の責任」でやるべきだ。
イチローがああ言った、こう発言したなどと、いまさらチームにいない人間の名前を利用する行為を失礼だと思わないのだろうか。ほんとにチキン・ライターどもときたら、無礼きわまりないにも程がある。

関連記事:
2013年9月9日、イチローのバッティングを常に「冷やし」続けてきたジョー・ジラルディの不合理な起用ぶりを、この際だから図に起こしてみた。 | Damejima's HARDBALL

2013年9月18日、ニューヨーク・ポストのケン・ダビドフが書いた「2012年冬のヤンキースの失敗」についての浅はかな記事を紹介しつつ、ジラルディの選手起用のまずさがチームバッティングを「冷やした」証拠となるデータを味わう。 | Damejima's HARDBALL

2015年1月29日、2014年版「イチローのバッティングを常に冷やし続けたジョー・ジラルディの不合理な起用ぶり」。 | Damejima's HARDBALL

damejima at 13:56

February 20, 2015

あの、さ。

世界中のどこの記事ソースに、「イチローが自分の所有するコンドミアムを売りに出した」とか、書いてあるわけ?

たいがいにしとけって。バカヤロ。


まずは元記事。書いたのは、NY PostのJennifer Gould Keilって名前の記者。もちろんヤンキース番のビートライターじゃない。日付は2015年2月18日。
Stealing home: Ichiro’s full-floor apt is for sale/rent | New York Post


そのNY Postをネタに記事にした日本メディアのタイトルが、これ。
酷いもんだ。
イチロー NY豪邸を12億円売り出し(日刊スポーツ)
イチロー12億円NYマンション売却へ(サンケイスポーツ)

誰が読んだって、この2つの記事タイトルの「主語」はイチローだ。だから記事タイトルだけ読んだら、「マイアミに移籍したイチローがニューヨークで住んでたマンションを売りに出してる」というふうにしか読めない。


何考えてんの、こいつら。

実際にコンドミアムを売りに出してるのは、イチローじゃない。ニューヨーク出身で、特にハーレム地区に多額の投資をしてることで有名なユダヤ系デべロッパー兼不動産屋のRodney Proppが売主。(正確にいえばRodney Proppは不動産業者というより地主に近い立場だが)
Rodney Propp - Wikipedia, the free encyclopedia
A Pioneer in Harlem Real Estate Reaps the Profits - The New York Sun

おまけに、この不動産屋、たとえ賃貸でもイチローが住んでたってことで、法外な「プレミア」つけて売り出してる。

このコンドミアム、イチロー入居当時(2013年)の価格は、900万ドル(当時のレートで8億7750万円。当初は1100万ドルだったが、そこから値下がりしたらしい)、賃貸だと月2万3500ドル(同229万円)だった。
それが、不動産屋のつけた発売価格は、1000万ドル(今のレートで約12億円)、賃貸なら月3万2000ドル(同384万円)だってんだから、日本円でみるならRodney Proppは「イチロー物件」として、米ドルでも100万ドル、日本円でみると3億円以上の「プレミア」をつけてやがる。


タイトルで印象操作なんかしやがって、
日本のスポーツメディアって、ほんとくだらない。
そこまでして新聞売りたいのか?

おまえらみたいなタブロイド紙まがいに、
ジャーナリズムなんて、ねぇよ。

damejima at 15:29
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  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
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  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
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  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。



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