June 26, 2010

まだゲームは終わっていないのだが、
「すぐにいい気になって、要所でストレートを使って打者を切ってとるピッチングに戻りたがる」「脳内剛速球投手」ローランドスミスのワンパターンさには、ほとほとガッカリさせられる。
Seattle Mariners at Milwaukee Brewers - June 25, 2010 | MLB.com Gameday


ローランドスミスについては、4月に「ストレートを投げたくてしかたない病」とネーミングした。
そのときに指摘したかったのは、彼のストレートには打者を抑える球威が全く無いこと、それなのにローランドスミスが「俺はストレートで生きる投手なのだ」といわんばかりに、ストレートを投げたがること、だった。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月30日、「ストレートを投げたくてしかたない病」にかかったローランドスミス。

その後もローランドスミスのピッチングをずっと見守ってはきたが、最近多少変化球が増え出して、調子が多少はよくなりかけたのを見て、ブログ主としては、ローランドスミスは「ようやく自分のピッチングスタイルを変えるつもりになったのだ」とばかり思っていた。
つまり、「ようやく自分のストレートに対して見切りをつけたのか?」という意味だ。



そして今日。
ミルウォーキーとのインターリーグ最後のカード初戦だが、スローカーブチェンジアップ(特にスローカーブはよかった)で強打が売り物の打線を翻弄して、ノーヒットのまま4回を迎えた。
明らかに、「ストレート投手としての自分を一度捨ててみる」ことで、(それと、もちろん、バックの守備の良さに助けられて)強打で知られるミルウォーキーの打者を抑え込んでいたのである。


それがどうだ。
ちょっと3イニング打線を抑えただけなのに、どこをどう勘違いするのか知らないが、4回に突然ストレートを投げたがりはじめた。
それでも、2人ランナーを出した後に、今のローランドスミスが唯一頼ることのできる球、つまり、「オフ・スピードの変化球」でルーキーキャッチャーのルクロイを追い込んだ。
なのに、ここでストレートをド真ん中にストンと置きにいった。

同点3ラン。

もともとローランドスミスは気持ちを切り替えるのがヘタだ。3ランで明らかに目が泳いだ。その動揺した精神状態のまま、次の打者ゴメスにも漫然と「気の抜けたストレート(70マイル台のオフ・スピードの球だが、あれで本人はチェンジアップのつもりらしい)」を投げ、3ランを打ったルクロイがまだカーテンコールを受けている最中というのに、逆転のソロホームランを浴びた。


自分のコントロールミスと配球チョイスミスを認める
ローランドスミスの試合後のコメント

"The first time, I was just trying to get it up and in and I left it out over the plate," Rowland-Smith said of the pitch to Lucroy, which came on a 1-2 count. "Gomez I think was sitting [changeup], and I threw a changeup for a strike. That's two pitches that really cost me, obviously."
「最初のは・・、インハイに投げたかっただけなんだけど、外に行っちゃったね・・」と、カウント1-2からルクロイに投げた球についてローランドスミス。「(逆転のソロホームランを打たれた球について)ゴメスはチェンジアップは打ってこないと思ったんだよね・・だからストライクを取りにチェンジアップを投げた・・・・。この2球が明らかに非常に高くついたよ・・。」
Mariners' great start gives way to defeat | Mariners.com: News


まず、ルクロイに投げたストレートだが、過信もいいところだ。ローランドスミスは「脳内コントロールマシン」にでもなったつもりなのだろうか
ローランドスミスは「インハイに投げるつもりだった」と言っているが、そもそもこのゲームの初回、ローランドスミスはミルウォーキー先頭打者のウィークスをストレート2球で0-2と追い込んでおきながら、3球目に「インコースにストレートを投げようとして、膝の横にぶつけるデッドボールを与えて」いる。
4回の場面も全く同じ、打者を追い込んでからのインコース攻めのストレートという配球で、ローランドスミスは1回に既にこのパターンで一度コントロール・ミスしているのである。
先頭打者というランナーがいない場面(1回)打者を追い込んでいるのに、打者のカラダに近いところに投げるというストレスだけで手元が狂うような投手のストレートが、ましてやランナーが2人いるピンチの場面で「インハイ」にビタッと収まるわけがない。
そんな胸のすくようなストレートを投げられるコントロールがあるくらいなら、ローランドスミスがこれほどピッチングで苦労するわけがない。「インハイに投げるつもりだった」とか、真面目な彼には申し訳ないが、アホらしくて笑うしかない。


次に、ゴメスに浴びたソロホームランだが、いったいどういう屁理屈でローランドスミスは「ゴメスはチェンジアップは球を見てくる」と思うのか? それがむしろ不思議だ。
「前の打者に球威のまるで無いストレートを3ランホームランされている投手」が、「次の打者を攻めるのにあたって、またもやストレートを多用して、特に初球にストレート勝負してくる」とは、むしろ誰も思わない。
実際、ローランドスミスは3ランを打たれた直後、次打者ゴメスを迎えた初球に「外にはずれるチェンジアップ」を投げているのである。

2010年6月25日 4回裏2死 ゴメス ホームラン動画リンク
4回裏 ゴメス ソロホームラン
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@MIL: Gomez goes yard to put the Brewers on top - Video | brewers.com: Multimedia

そりゃそうだ。
中には、チェンジアップではなく、3ランを打たれた直後ですら知らん顔してストレートをストライクゾーンに投げてこれるような気の強さを持つ投手もいるかもしれないが、そんな打者の裏をかく度胸、コントロールが、ローランドスミスにあるわけはない。

むしろローランドスミスはなぜあのシチュエーションで「打者は、むしろ自分のストレート以外の球種を待っている」くらいに思わないのか? 理解に苦しむ。
ダメ捕手城島がシアトル在籍時代に、よく見た光景を思い出す。外の球ばかり投げさせてホームランを打たれてしまい、直後にインコースに切り替えて再び長打をくらう、ストレートばっかり投げさせてタイムリーを浴びると、直後の初級が変化球でまたもやタイムリーをくらう、四球を出した直後にカウントを取りにいった球をホームラン、とか、そういうたぐいの「打たれて切り替えた直後にまた打たれる」低脳なパターンである。

それに球筋にしても、とても「チェンジアップ」とは呼べないヘロヘロの球だ。ビデオで見てもらえばわかる。
ローランドスミスが「チェンジアップ」と称している「76マイルの、ただノロいだけの棒球」は、ほとんど曲がりもせず、ストライクゾーンのド真ん中に吸い込まれていっている。
それにローランドスミスのチェンジアップは、ストレートを投げるときと投球リズムから腕の振りから何から何まで全く違うから、打者のリズムが狂わされにくいという点にも、そもそも問題があるだろう。


いったい、何を考えているのか。
ローランドスミスは自分がストラスバーグのようなストレートを投げられるとでも思っているのだろうか。

とてもじゃないが、今のローランドスミスの球威の無いストレートでは、ミルウォーキーあたりのブンブン振り回してくる打者を抑えられっこない。ローランドスミスは性格的に非常に動揺しやすく、変化球には多少コントロールがあるが、ストレートにはまったくない。


ローランドスミスには誰かがハッキリ宣告すべきだ。
「君のピッチングは、どこをどこから見たって、打者をのらくらかわしていく変化球投手にしかなれない。君はストレートの切れる剛速球投手でも、なんでもない。余計な見栄など、捨てるべきだ」

一発放り込まれたくらいですぐに気が抜けてしまうような弱い性格で、どうすると、度胸を決めストレート一本に全てを託してストライクを投げ込む投手になれるというのだ?
性格からして、どうみてもストレート勝負に向いていない。







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