July 11, 2010

野球の得点は「ホームに帰ること」で記録される。
だから野球はホーム帰るためにわざわざホームを離れるという、なんともへんちくりんなスポーツだ。

打席に立つ打者は、自分が果たしてホームに帰れるかどうかはわからない。誰も保証などしてくれない。
運がよければ帰れる。
運が悪ければ永遠に故郷には帰れない。


打席に立つこと自体をやめてしまえば、どうだろう。
ホームを失うことはなくなるのだろうか。
なぜなら一生ホームにいることができるわけだから。

しかしプレーヤーは打席に立つ。
塁に出ることを目指す。
芭蕉が奥の細道への旅立ちにあたって家財を売り払い、家そのものをも引き払って旅立ったように
プレーヤーはプレーヤーでいるために、
もう二度と故郷の土を踏めないかもしれない旅に出る。


旅の果てには約束の地はない。
ほんの一握りのプレーヤーだけが野球殿堂に入り、
チームの永久欠番となったりすることで、永遠に野球の家の住人になれる。
だがほとんどのプレーヤーは永遠の家に入ることなく
フィールドを去る。

だがそれでも。
打席に立って、一度ホームを離れる勇気をもたないプレーヤーに
喝采はない。

ホームに帰りたいなら、、
ホームを離れる勇気をもつことだ。
If you wanna return to the home,
have courage leave home.



マーク・ロウの言葉を聞いて、
やはり野球はフィールド・オブ・ドリームスなんだ、と思った。

旅立つことから
本当のホームへの旅は始まる。


ーーー

草の戸も住替る代ぞひなの家
芭蕉

芭蕉の旅立ち旅立ち(蕪村)







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